ガフリオンの意識の転移は『ガフリオンがこの宇宙にたどり着いた』時であり、一時的に意識を失い宇宙を彷徨う。
そんなまた戻ってきたガフリオンの前に現れたのは前回共に逆行した彼だった。
最寄の星へと降り立ち彼はさっそく事の次第を話し始める。
「この鉱石にして装置であるソウルジェムはね、強く複雑な思考と感情を持つ生命体であればあるほどその強さを増すんだ
その生命体から取り出した……魂とでも言えば良いのかな? まぁようは命こそ僕等の宇宙を救う唯一無二の希望なんだよ
そしてこれは希望と絶望の感情を込められて生まれたのが一番強い輝きを持って、可能とする力の領域も増える事が判ったんだ」
「……まるで生贄砲だな」
『生贄砲』
ブゥアーが宇宙でもっともエネルギー変換に優れた方法として生み出した『感情をエネルギーとする』一種の技術の名前である。
その力は凄まじくネズミ一匹殺すだけで……そのネズミが発した死への恐怖や絶望から生まれたエネルギーが全てを破壊する力となってしまう。
威力に換算するならばネズミ一匹で地球クラスの惑星の地表を焼き払うには充分すぎる威力を発揮するとんでもない兵器だ。
失敗するがブゥアーはこれを銀河とそこに住む生命体全てを弾倉とした『銀河砲』を使用しようとした。
それによって全宇宙を食べねば維持出来ないであろう自分の身体を維持するのに充分なエネルギーが得られると計算出来たからである。
元々伝承族の超能力は直径一万キロメートルを超える脳波から生み出される思念の力。
だから意思や感情が持つ力に関しては一歩も二歩も理解と利用方法に秀でていてた。
それを彼に話した所、彼は光明を得たとばかりに微笑んだ。
「そうだ、感情は力なんだ……そして希望と絶望はこの宇宙のあちらこちらに転がっている」
宇宙はあまりにも広い……それこそ文明発達が一定以上になれば戦争の概念が生まれ絶望が満ち溢れだす。
眠れない夜に怯える者達。
大切な人を守らんとする者達。
戦いに溺れ強者との戦いを望む者達。
理由や形は違えど何かしらの望みを持ち、そして自分の非力に嘆いている者達などそれこそ腐るほど存在する。
戦いでなくとも別の形も腐るほど存在する。
あの人に振り向いてもらいたい。
幸せな家庭を築き上げたい。
夢を手に入れたい。
「だから僕達はそんな絶望に敗れた存在に奇跡を与えるんだ、希望に満ちた未来を手に入れ他者を絶望のどん底へと突き落とさせる」
「そしてその絶望のどん底の者達に奇跡を与えて希望を生み出させる。そしてまた絶望に叩き落された連中が希望を求める」
それはあまりにも惨たらしい連鎖と言えた。
だが自分が幸せになる為には他人を突き落としていかないといけないのは事実で、避けられない現実だ。
ガフリオンと彼等はそれを少し手助けするのだ……少しだけそのサイクルを加速させるだけ。
「宇宙を救う為には仕方ないことだ。むしろ僕等はその無意味な願いや人生に希望と成し遂げる力を与えるんだ」
「感謝して貰いたいか?」
「まさか? 僕等はあくまで絶望は小さく……希望は大きくするよ。いつかこの宇宙のみんながこの戦いの意味を知ってくれるまで」
それは何を思ってかの発言かなど判らない。
だが彼等は手に入れた奇跡の力で何かを知ったのだ。
ましてやそんな可愛らしいと呼ぶべき姿をするに到る何かが。
「さっ始めよう! 僕等の奇跡でこの宇宙を救うんだ!」
それから二人の戦いが始まった。
様々な惑星の戦争や紛争に飛び込んでは力を望む者達に奇跡の力を与える。
特に強い願いを持つ者達を探して色んな星を飛び回った。
「あっアナタ達だれ!?」
そして一人の少女と出会う。
その惑星各地で戦争が起きておりその少女はいつも眠れぬ夜に怯えていた。
だから戦火に怯えず眠れる夜を誰よりも手に入れたいと考えていたが実現する力など持ち合わせていなかった。
戦火に怯えながら星空を見上げて居もしない神にただひたすらに祈る毎日を過ごしていた。
「落ち着いて聞いて欲しいんだ。僕達には力がある……君の願いを叶えられる力があるんだ。どんな願いでも叶えてみせる力がある」
彼のその可愛らしい外見に少女はすぐに油断し、フレンドリーに手を振るガフリオンにも警戒を解いた。
少なくとも敵ではないと思ったからである。
「そんな事が出来るの?」
「出来るよ。でも対価が必要なんだ」
対価と言う言葉に少女は露骨に顔を歪ませ警戒心を露にする。
特に発育しだした身体を守るように毛布を抱き寄せ二人から離れる。
「まぁ待ってくれ、対価と言っても支払いは君が死んでからだ」
「そうだよ。僕達はある目的の為に戦っていてその為に夢を成し遂げた人の力が必要なんだ」
ここで二人は学習する、強い思考と感情を持つ生命体はリスクを負う事を極端に恐れてしまう性質を共通して抱えている。
だから都合の悪い事をはぐらかして少しでリスクを意識させない方法を見出さねばならないと言う結論を理解する。
だがそれに関して二人はまさに天性の才能と催眠術などによる簡単な誘導術を持ち合わせていたのでそう難しい話にはならない。
「僕達は来る終焉に立ち向かう為に戦っているんだ」
「終焉? なんなのそれ?」
「論より証拠だろう、少し頭が痛くなるが我慢してくれ」
ガフリオンが少女にそう遠くない未来を見せる。
収縮を始めて最後には大爆発で消えてしまう抗いようのない未来の映像。
そしてそれは少女の脳にはあまりにも理解しがたい映像で、それこそ骨董無形な御伽噺のような出来事なだけに簡単に理解を示してはくれない。
そもそもこの星の寿命はソレが来るよりも早く尽きてしまい消滅する運命にあるのだから、それこそ遠い未来の話となってしまう。
だから理解されない。
「でもこれは本当の出来事なんだ。そしてソレを回避する為に僕等は戦う為のエネルギーがいる……絶望と希望の感情の力が」
「君が死んだ後に我々は君からそのエネルギーを回収しそれを使ってこの終焉に立ち向かう。だから対価は最後に払うものになる」
そんな説明も少女には理解されず、判らないと半ば錯乱しつつあった。
『使えない』
『失敗した』
二人はそう考えてまた別の存在を探す事を決意する……なにせ候補は宇宙全域なのだからそれこそ幾らでも居る。
きっとこの少女よりも理解を示してくれる者がいる。
だから二人が諦めて惑星から飛び立とうとした時……少女の村に悲鳴と火の手があがりだす。
「戦争のようだね、まっ僕達を理解出来ないならここで死ぬと良いよ。別に代わりは幾らでもいるから」
彼は冷淡にそう突き放す。
「ねぇ……アナタ達の奇跡ならこんな事は無くなるの?」
その言葉に二人は立ち止まった。
「出来るよ、何せ奇跡を謳うんだ……この世界の終焉に立ち向かうんだ」
「こんな辺地の立ち止まるようじゃ始まらないよ」
その言葉には覚悟があった。
この宇宙で唯一終焉を知り立ち向かう為に動いているからこその覚悟が。
既に一度宇宙の終わりを見届けたからこその重みを持った言葉を二人は言い放った。
「契約して、こんな悲しい事がこの世から無くなるように……私は私のような子達を見たくない」
彼がガフリオンの肩に乗り、少女を見る。
「契約はなった! さぁ……戦おう!」
少女の身体からソウルジェムが出てくる、その光は強い光を放つ。
光が少女を包み込み、収まった中から現れたのはフリルのドレスを身に纏い美しく淡い光を纏う存在となっていた。
意思の力から生まれる神秘の力を武器に、自分の願いの為に数多もの敵をなぎ払う一騎当千の別格なる存在。
魔法少女へと少女は進化した。
「えっこれ……私なの?」
「そうだよ、悲しい事を無くす為に君が手に入れた姿と力だ。そしてその力は意思に比例して強くなる」
魔法少女となった彼女が部屋に飛び込んできた敵国の兵士に手をかざすと、巨大な歯車が現れてその兵士を押しつぶした。
潰れてしまった兵士と自分のかざした手を交互に眺める。
だがそこには殺してしまった罪悪感よりも、変えられる明確な力を得た事への興奮が宿っている。
「行ってきます」
少女は家から飛び出すと村を荒らしまわる兵士達を次々と歯車で押しつぶしていく。
何処からともなく現れて自分達だけを正確無比に押しつぶすその歯車に兵士達は瞬く間に戦意を消失していく。
「流石は伝承族の遺伝子……あんなちっぽけな個体にあんな力を与えるなんて」
「それをそうする奇跡の力も大概だがな?」
部屋からその虐殺劇を眺める二人は自分達の奇跡が起こす劇場を眺めるだけ。
既に怯える側の筈の少女は脅かす側へと立ち位置を変え、逃げ回る敵を全て殺していく。
その顔には返り血と自分が強者であると言う愉悦を宿した笑顔が張り付いている。
全ての兵士を殺し、村を守った少女は意外にもすぐに行動を起こす。
「二人ともついて来て、きっと私のような人はもっと居るから」
魔法少女となった彼女は恐れる様子もなく二人に命令を下す。
「この世界からこんな悲しい事を無くすの」
強引に突き進みだす彼女を二人は仕方なく見守っていく事にする。
なにせ初めてのテストケースだけにその眼で見届けておきたかったからだ。
あとはほんの少しの興味から生まれた好奇心から。
それから彼女……ワプルとガフリオンとインキュベータはその惑星各地でその名を轟かせていく。
魔法と言う神秘の力と比類なき力を持って各地の戦乱を解決に尽力し人々から賛辞を受け取る存在となった。
世界から争い事を無くすと言う骨董無形な夢はあまりにも綺麗であり、その輝きに多くの者達が魅せられてる。
いつしか賛同者は増え、争いを無くす運動がその星全域を包み込んだ。
「数年で済むなんて……本当に奇跡なのねこの力」
「ひどいなぁ、僕の力を少しは信用して欲しいよねぇガフリオン?」
「危ないのを何度も助けたからな、でもこれからどうするんだ?」
僅か数年でその星の戦争はなくなり、平和と話し合いと星空へと旅立つ為の準備が着々と進みつつある。
もうこの星では彼女の願いは叶えられない。
この星の自分のような存在はこれからなくなっていくのだから。
彼が加えているワプルのソウルジェムは希望を生み出し絶望を退けた輝きをまるで太陽のように放っている。
それはワプルが希望を捨てずに絶望を照らしていったからに他ならない。
「故郷に一度挨拶して、それでアナタ達と一緒に旅がしたいな。もっと広い世界を見て私も長生きして世界の終焉に立ち向かうの!
無論今の私の力なんて知れてるけれど……きっとこれから旅をしていく途上で色んな仲間に会えるだろうから戦力はうなぎ上りよ
そしていつか皆で希望を願うの! 皆でこの世界が終わらないように、これから出会う人達もみんな幸せになれますようにって!」
少女と言うよりも女性となったワプルだが、その性格にはいまだ少女らしさが残っている。
そしてそんなお気楽な言葉にため息を吐き出す他二人だがその顔はとても幸せそうに笑っている。
希望の奇跡が小さくとも自分達の思想を広げられる事を理解出来た……とても大きな収穫と言えた。
「じゃあ早くいこっか? 数年ぶりの帰郷だもの、きっと待ってくれてるよ」
「えぇ」
だがそんな夢はいとも簡単に崩れ去る。
何てことはない、ワプルの故郷は平和の為に犠牲となった・戦いに敗北した者達の報復を受けただけの事。
焼け落ち何もないそこを見たワプルは狂いながらとにかく村のあちらこちらを探し回った。
お世話になっていた医者の家・幼馴染の家・小さな学校代わりの塾・そして自分の家族が待つ家。
そのどれにもあったのは黒こげの死体だけ。
「私は……こんなのが嫌だから戦ってきたのに、こうなるのが嫌だから頑張ってきたのに」
ワプルの夢は燃え尽きた。
ひたすらに夢へと戦い燃えていた。
奇跡は対価としてワプルに故郷を要求してしまったのだ。
「ガフリオン!」
インキュベータがくわえていたワプルのソウルジェムから希望の光が瞬く間に消えていく。
代わりにそれは凄まじい勢いでどす黒く濁っていき、その濁りに比例するように内包している力が増大していく。
それは伝承族の生贄砲と同じ。
絶望や恐怖の感情がこの世の感情でもっとも力強い力を持つと言う証明となる。
希望の力を信じた矢先に絶望のあまりにの強さに屈服させられる。
ガフリオンの信じた夢もまたあっけなく砕け散った瞬間であった。
「私は……こうならない為にこうならない為に」
「行こうワプル、もう君の故郷はないんだ」
ガフリオンは泣き崩れるワプルを抱き寄せようとするが彼にそれを止められる。
何故止めたのかを尋ねるよりも早く、ワプルの身体に異変が起きだす。
普通では聞けないような異様な音と共に身体が巨大化し全長十メートルはあろう巨人へと変貌する。
身体には魔法少女の時に纏っていたドレスを纏い周囲には無数の歯車のような物が彼女を守るように浮遊していた。
「三歳になったのか? こんな短期間に?」
「そうだよ、魔法少女はいつか君の遺伝子に飲み込まれてあんな存在になる。そして生前に成し遂げられなかった事を成し遂げようと暴れまわる
力を使いきるか……奇跡を成し続けた対価としてソウルジェムに力が満ち足りた瞬間に少女達は成長して魔女に成ってしまう事が判ったんだ
奇跡なんて小さな子供しか見れないようなモノの中に生きた少女は……現実を知って大人になって絶望の淵であぁなってしまうのは避けられない
唯一の救いはその費やした日々がこの宇宙を救う為の最大の功績になることだろう、ワプルはおそらく魔女の中でも最強だろうから更に絶望を生む」
「そしてあの子は何処かで暴れ、苦しんだ連中を更に奇跡の餌食にして魔女を産んで・対抗する少女を生んでそれがまた……か」
魔女ワプルはまるで苦しみを理解して欲しいと言いたげに歌いだす。
そして周囲に浮いていた歯車達が惑星全土へど飛び散り、世界をその歯車でつぶし始める。
「そう……これは壮大な自作自演なんだよ。皆を困らせる魔女を倒す為に僕等が魔法少女を生み出し、そしてその子達がまた新たな魔女になる
これは正当な対価なんだ、この宇宙を救う為に礎となるならば皆も本望だろうし僕等の奇跡の終わりはこれでも確かにあの子達の夢を叶えたんだ
悪を倒す正義が生まれるけどそれそのものがいつか自分達が倒してきた悪となってしまう絶望の繰り返し。それが僕等の研究の答えの一つなんだよ」
この星が壊されるその風景を眺めながら二人は何もせず見届けるしかない。
確かに希望の終わりを迎えるだろう子達もいる。
だが皮肉にもエネルギーならば絶望の方が何倍も強くて価値がある。
この星の各地にいる魔法少女や魔法使い達がワプルへと戦いを挑むが全て簡単に倒されてしまう。
「誰かの為に犠牲になってきた子の強さだ……そう信じて突き進んだ夢に裏切られた絶望の力は半端な奴等の力じゃどうしようもない」
「ならあの子は何処に?」
「おそらく直感に近いモノで別の星へ行くよ、そこにある苦しみを断ち切る為にあの魔女はひたすらに暴れまわるんだ
それが一番苦しみを生んでいるとも知らずに本能にも似た感覚に身を任せて暴れまわる。だから僕等はそこに新しい子をこさえれば良い
候補なんて幾らでもいるんだ、みんなこの宇宙の延命の為なら死ぬのなんて怖くないだろうし良いじゃないか? 素晴らしい事だよ」
インキュベータはそう言いながら笑った。
それは限りなく同一に近い個体で構築された種族で、個体差を理解し切れていないからこそ言う言葉に笑顔。
彼にとって自分達は宇宙を救う存在であり、その他多数はあくまでエネルギー候補でしかない。
あまりにも割り切られた残酷な考えとも言えたがガフリオンはそれに対して何も言わない。
伝承族もまた自分達が生きる為に銀河や宇宙一つの生命体を皆殺しにしようとしたのだ……非難出来る道理などない。
「さっ行こう、もっと効率の良いエネルギーの変換方法を考えるんだ。それでいつか……きっと」
ガフリオンと共に星から飛び立つその姿は何処か寂しげに何度も地表で暴れるワプルを見た。
それは哀れみか、あるいは不甲斐なさか。
『いつかきっと』の言葉にどんな想いが託されているのかなど誰もわからない。
良い方向に進めと願うのか。
あるいは純粋にもっとエネルギーになれと言いたいのか。
滅びてしまう世界を知った生命である彼等はそれを知らず夢に生きる少年少女達を眺め続けた。
それからも二人はずっと宇宙中の星を巡り奇跡と絶望を作り続ける。
絶望の淵にある人などを狙い契約しその傍に無数の個体の内の一つを補佐役として同伴させておく。
あとは出来る限りの事をするだけ。
魔法少女や魔法使いを生み出してはそれらの希望を大きく実らせて、そしていつか来る奇跡の対価に屈服させる。
絶望に飲まれた者達はやがて化け物へと変貌し、更なる害悪として更なる奇跡の増産を強要させていく。
壮大な自作自演が二百億年続き、彼等の手元には途方もないエネルギーが集められた。
「随分と集まったね……まぁ良し悪しを気にしないならの話だけどね」
「でもどうやって宇宙にこの供物を捧げるんだ? 生贄砲の弾にして何処かに撃ちだすか?」
「とりあえず試してみて、無数の絶望に彩られた弾倉で宇宙の希望とするんだ。あぁ過去への跳躍分はしっかりとっとくから」
この宇宙の中心点。
それはやがて膨張限界を迎えた自分自身を支える柱を失い縮退と共に消え去る点。
とある星の地表に散りばめられた無数のソウルジェムであった鉱石から眼に見えない何かがガフリオンの手のひらに集まる。
そして引き金を引かれたソレは巨大な光の柱となって宇宙に確かな輝きとなって宇宙に捧げられた。
「……後は数百億年後に来るだろう終わりがどれだけ引き伸ばされるかだね」
地表を埋め尽くしていた鉱石から光が消え、本当にただの石くれになっていた。
無数の命と魂を物質化されたソレは役目を終えてただのゴミに成り下がったのだ。
「何とかなるさ……きっと」
そして滅びの時は二千億年後へと遅行した。
研究の成功に喜ぶべきだったが、既に二人に喜ぶ余裕などなかった。
他ならない宇宙が無数の文明のによるエネルギー資源の枯渇によって滅びを迎えつつあったからだ。
それはたとえ宇宙の寿命を延ばしても、いや……伸ばしたからこそ生まれたどうしようもない新しい問題である。
宇宙全土で残された僅かな資源を巡った戦争が勃発し、そして魔女達の製造は爆発的な速度で早まり奇跡のバーゲンセールが起きた。
乱立する奇跡がお互いの奇跡を潰し合い、無数の魔女同士が宇宙を埋め尽くさんばかりに生まれ殺しあう。
魔女達を産む元凶である二人は宇宙全域の敵として生き残った文明に執拗に狙われ、宇宙の敵として認識されてしまった。
執拗に追い立てられ無数に存在したインキュベータの群も二桁しか生き残っておらずガフリオンも既に深手を負っている。
「ハハハハハ……これが僕等の起こした奇跡の対価なんだ。誰も僕等の努力を理解してくれない、あぁなんてしっぺ返しなんだ」
「それどころか宇宙を滅ぼす化け物を量産する輩と来たんだ。全部ホントなだけに何の反論も出来ない」
「過去へ飛ぼう……そして今度は宇宙のエネルギーを満たすんだ。宇宙の延命もしながら、きっと出来る僕等だもの」
宇宙の縮退を見届けながら二人の意識と記憶はまた過去の世界へと飛ぶ。
努力した結果として『宇宙の敵』と蔑まれる道が待ち構えている。
だから今度も変えねばならない。
より良い未来を掴み取る為に。
補足説明
二人の過去への逆行
過去へと意識と記憶を持って飛ぶ
その時間軸は『ガフリオンがこの宇宙にたどり着いた時間』
ただしガフリオンは過去から流れてきた情報の処理で寝ている為に少しだけ活動開始が遅い
魔女化の都合の良い理由として伝承族の年齢採用
『魔法使い』なる存在は効率の良いエネルギー採取が判るまでにおそらく居たであろう存在です
この作品だと素質があるならば無差別に契約していますから余計にいないとおかしい感じが
魔法使い・魔法少女(仮)
今作では『伝承族の遺伝子に書き換えられた異星人』と言う設定になっております
伝承族は意思と思念で超能力を発動するので、魔法と言う存在を発現させるには凄く都合が良いです
しかし本来は直径一万キロメートルの脳味噌から作りだされる力で人間の小さな脳への負荷は絶大
やがて能力を使用しすぎた者達はその全てを伝承族に飲み込まれ化け物(三歳)となる、と言った感じ
様々なモノを呼び出せるのも魔法と言う名の超能力……マップスの連中は本気で宇宙船一つ作れますから
むしろ人間の小さな脳ならマスケット銃を呼んだりするのはかなり能力限界としてピッタリです
魔女
今作では『伝承族の遺伝子に飲まれた生命体の成れの果て』と言う位置づけです
伝承族は力の使いすぎでも最悪強制的に成長するのでまさにピッタリ
原作では魔力の消耗や絶望に飲まれた魔法少女がたどり着く成れの果て
生前の目的か何かを行動理念として活動する存在で普通なら魔法少女(伝承族)一人で倒せる強さ
ソウルジェムから孵化して死ぬとソウルジェムの穢れを吸収出来るグリーフシードを落とす存在
伝承族の遺伝子
他生命体の遺伝子を乗っ取り書き換え、それの記憶や意識などを『伝承族の都合の良いもの』としてしまう存在
マップスのとあるキャラはこの遺伝子こそが伝承族と言っており、この遺伝子を注入しただけで超能力を得ている
ただしあらゆる遺伝子の奥深くへと進入し書き換えてしまうので遺伝子分解が起きた際は蒸発する運命にある
今作でのワルプルギスの夜は最初の怪物と言う立ち位置で伝承族の遺伝子を持つと言う設定
だからデタラメなくらいに強い……しかし原作のアイツは本当に地球産なんでしょうか?
そもそも激戦区(意図的?)でもあるまどか達の下に現れたのはいったい何故?
そしてアイツの生前の深く関わる物とは何なのか?
一応ワルプルギスの夜は春の到来を待つ・死者が好き勝手しだすのでかがり火で追い払うなどの祭りらしいです
わざわざそんな名前をつけていると言う事はワルプルギスの夜は春を手に入れられなかった魔法少女の成れの果てなのでしょうか?
だから今作の元になった子は『大人だけど子供な部分があって倒した奴等(死者)に故郷を蹂躙される』なんて絶望にしたんですが?
あとインキュベータ達はどうやって魂の物質化に成功したのか……どんな研究をすればそんな事が可能になるのやら
皆さんはどう考えますか?