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No.27174の一覧
[0] 爺様たち、乱入(IS+ガンダムW)【微アンチ】[伝説の超浪人](2012/03/04 01:23)
[1] ブラッドの決意[伝説の超浪人](2011/04/30 12:50)
[2] 戦乱の予感[伝説の超浪人](2011/08/03 00:31)
[3] エレガントな交渉と交渉[伝説の超浪人](2011/04/30 12:49)
[4] デートと刺客[伝説の超浪人](2011/05/24 00:14)
[5] 逃亡と黒い影[伝説の超浪人](2011/06/05 21:52)
[6] 動く時代[伝説の超浪人](2011/08/03 00:32)
[7] 学園と砂男[伝説の超浪人](2011/08/07 15:45)
[8] VS銀の福音[伝説の超浪人](2011/08/07 15:43)
[9] 龍と重腕の力[伝説の超浪人](2011/08/28 17:45)
[10] 彼女の分岐点[伝説の超浪人](2011/09/19 23:33)
[11] ドキドキ☆学園探検![伝説の超浪人](2011/10/01 23:04)
[12] 番外のお話(本編とは全く関係ありませんよ!)[伝説の超浪人](2011/12/12 00:00)
[13] 無人機の驚異[伝説の超浪人](2012/03/04 01:22)
[14] ゼロの幻惑[伝説の超浪人](2012/03/31 15:33)
[15] 欲望と照れる黒ウサギ[伝説の超浪人](2012/09/09 13:45)
[16] 飲み込まれる男[伝説の超浪人](2012/11/08 23:53)
[17] 初の共同作戦[伝説の超浪人](2013/04/07 23:37)
[18] 進撃のガンダム[伝説の超浪人](2013/05/11 23:31)
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[27174] 爺様たち、乱入(IS+ガンダムW)【微アンチ】
Name: 伝説の超浪人◆37b417bc ID:b6393280 次を表示する
Date: 2012/03/04 01:23
宇宙開発が始まった年をA.C.1年とし、人類は宇宙の拠点であるコロニーの開発を始めた。しかしコロニーが初めて完成するまで100年を要し、その間地上の紛争は収まらず、宇宙ではコロニーがMSによる武力を背景とした地球圏統一連合に従属する形での支配が続いた。
そして時は流れ、A.C.195年。コロニーから5つの流星が地球へ飛んで行った。

それは地球圏統一連合にその姿を隠したOZを攻撃目標とした5機のガンダムによる破壊活動、いわゆる<オペレーション・メテオ>であった。

5機のガンダムとそのパイロットである5人の少年たちは時代に変革をもたらし、また彼らも時代に翻弄されていった。

ガンダムのパイロットや彼らの行動を指示していた科学者―ドクターJ以下5名―が捕まり、順来のMSを大きく上回る性能を持つ無人MS<ビルゴ>が開発され、戦局は新たなステージへと進んでいく。

そしてコロニーと地球の対立はミリアルド・ピースクラフト率いるホワイトファングとトレーズ・クシュリナーダ率いる地球圏統一連合、そしてガンダム5機を擁する戦艦<ビースミリオン>の最終決戦へと進む。

ホワイトファングの巨大戦艦<リーブラ>を直接地球に落とす作戦はビースミリオンとリーブラの建造を手伝ったドクターJたちによって回避され、それらは地球圏を大きく離れて行った。

その後ドクターJたちの行方はわからなくなっている。ガンダムを始め多くのMSを作りだし、世界を混乱させた彼ら5人の科学者たち。

もし彼らが生きていたら?それはそんなIFの話である。


● ●  ●

アメリカ合衆国、いや世界でも有数の巨大軍事企業<ユーコン>

表面的には民間企業だが、その実政府直属……いや正確に言うならばアメリカ最大の財団<エス・チャイルド財団>子飼いの企業である。

今世界で最強の兵器と言えばIS<インフィニット・ストラトス>である。宇宙空間での活動を想定し、開発されたマルチフォーム・スーツであったが開発当初は注目されなかった。

しかし開発者である篠ノ之束が引き起こした「白騎士事件」によって従来の兵器を凌駕する圧倒的な性能に宇宙進出よりも飛行パワード・スーツとして軍事転用が始まり、各国の抑止力の要がISに移っていき、現在各国は第2世代に代わる第3世代の開発を進めている最中だった。

だったのだが、つい先日アメリカの大地に突如出現した超巨大な人工物とその中から現れた5人の人物によって中断せざるをえなかったのだ。

「では貴方がたの話をまとめると、あれは今から数百年先の未来で開発された宇宙戦艦の一部だったもので、貴方達はそれの開発に携わった科学者ということでよろしいですか?」
「正確には手伝わされた、と言うのが正しいがのぅ」

そう言った男は本来こういった尋問をする人物ではなく、職業は科学者だ。

しかし先日発見された巨大人工物は少し調査しただけでも、アメリカ政府が保有する科学力を超える物がいくつも存在していることが判明し解析できない物も出てきている。そこで同じ科学者を尋問役として彼を当てたのだ。普段尋問を行っている者では科学者であろう老人たちの話は理解できないだろうという判断からだ。

しかし彼は何度見ても老人たちの姿に慣れなかった。

ぶっちゃけて言えばその老人たちは見かけからして変わっている。

質問に答えた老人は両眼にゴーグルをつけ、両脚、左腕は義肢である。左腕には取っ手がついている。

彼は自分のことをドクターJと名乗った。かつてヒイロ・ユイを破壊工作員に育て上げ、ウイングガンダムを作り上げた人物だ。

「さよう。老い先短いじじいを働かすなぞ、とんでもない奴らじゃった」

呟くように答えた老人はプロフェッサーGと名乗る老人だ。ガンダムデスサイズの開発者。キノコの傘のような髪型と長い鼻、左頬に傷痕が特徴である。

「まぁ奴らに一泡吹かせてやったからのぅ」
「カーンズのあの顔は見物じゃったわぃ」

イーヒッヒッヒ、と残りの3人も含め5人の老人たちは一斉に笑いだす。その笑い声は尋問をしていた科学者の神経をイラッ☆とさせた。

総毛立った頭に鼻あて、ケーシー白衣が特徴のドクトルS。元ガンダムヘビーアームズの開発者である。

細い目、常に笑みを湛えたような表情とドジョウ髭が特徴のH教授。元ガンダムサンドロックの開発者だ。

中国系の剥げ頭な巨漢である老師O。というかどう見ても科学者に見えない男である。

とはいえ彼も立派な科学者で、五飛のシェンロンガンダムの開発者である。しかし格闘技や肉弾戦も得意としており、わざととはいえガンダムデスサイズのパイロットにして優秀な兵士であるディオ・マックスウェルを倒した過去もあるほどだ。

5人の科学者の名前はどう考えても偽名なのだが、彼らに聞きたいのはそれではない。今回聞きたいことは巨大人工物の内部で発見されたある物体についてだ。

「ところで見つかったのはリーブラの一部だけか?」
「……はい。貴方がたが言うような戦艦2隻は見つかりませんでした。今のところ発見されているのは貴方がたが乗っていた戦艦……の一部のみです」

科学者が戸惑いがちに言ったのも無理はない。発見されたひし形の巨大な建造物は既存の巡洋艦を上回るほどの大きさだ。

それにも関らず目の前のドクターJたちの話と、内部にあったコンピューターの一部をサルベージしたところ、ひし形の巨大な建造物が4つほど組み合わさったような戦艦が<リーブラ>ということが判明した。

その大きさはもはや戦艦というよりは、移動要塞と呼ぶにふさわしいものだ。さらにIS一機の打ち出されるビームを超えるビーム砲を外壁に数多く搭載している。

いくらISという超兵器が存在しているとはいえ、これほどの建造物をどこかの国が作っていたら各国に隠し通すことは不可能であるし、また作りだすことも経済的・技術的に不可能だろう。

リーブラの一部で使われている科学力は「未来から来た」なんて妄言とも言っていいことを信じられるほどのものだ。だが国のトップ、いや常識ある人間が早々信じられないのも事実。現在減口令を布いてリーブラの一部の調査を進めている。

「ふむ……いや、どちらにしろあの大きさでは隠し続けることは無理じゃろうて。ところでワシ等の他にあの戦艦に誰かおらんかったか?」
「いえ、貴方がただけでしたが……」

それを聞いてドクターJは訝しげな表情を浮かべるが、すぐに元の人を喰った様な表情に戻った。

「そうか、それならいいんじゃ。気にせんといてくれ」
「は、はぁ……」

ドクターJたちは語らなかったが、リーブラには5人だけでなくもう1人存在していた。

その男の名はカーンズ。ホワイトファングの副指導者にして、真のオペレーション・メテオの協力者でもあった男だ。

真のオペレーション・メテオに反発を覚えたドクターJたちとガンダムのパイロットたちは別の形でオペレーション・メテオを発動した。

これにより早期に決着が着くはずだったオペレーション・メテオは失敗し、予定とは大きく違う結果に終わった。

ドクターJたちの無断行動で大きく歪められた結果に怒りを覚えたカーンズは、リーブラに残ったドクターJたちを殺害しようと拳銃を突きつける。

が動力炉が暴走し、内部の爆発にカーンズとドクターJたちは巻き込まれた。

そして意識を取り戻したドクターJたちが連れてこられたのが、<ユーコン>だったというわけだ。

だがカーンズだけはいつまでたっても発見されないでいた。

しぶといカーンズのことだから、そう簡単には死んでないだろうとは5人の共通思考だったが。

「実は今回貴方がたにお聞きしたいことがあって参りました。先日リーブラ内部で発見された数メートルのロボットの腕のことについてです」
「何?」
「こちらです。ご覧ください」

ノートパソコンから映し出された映像は、黒い人工の腕だった。さらに場面が進むと、腕の周りには多くの残骸があった。銃身が溶けて固まった巨大な銃や、ボロボロの胴体らしきもの、1つのモノアイの黒い頭があった。

「酷く損傷している物が多かったですが、どうもこれらを組み合わせると推定15メートル以上の人型兵器だったのではないか?という報告が入っています。胴体部分からコックピットらしきものがありましたが、いずれも損傷がひどくデータのサルベージができませんでした。しかし動力部分を調べたところ、おそらく核融合炉が使われているであろうとゆう見解です。これらのことについて何かご存知でしょうか?」

無論全てのデータがサルベージできないわけではない。だがそのコンピューターの使われている科学力と自分たちの科学力との差があり、解析できなかったのだ。もちろん彼はそれに触れるつもりもないし、意地もあった。

「……これはMSという人型兵器じゃ。動力はお主の言う通り核融合炉が使われておる」
「で、ではこれを開発されたのは貴方がたなのですか?」
「このMSはワシ等が作ったものではないが、MSの原点である機体を開発したのはワシらではあるがな」
「おお……」

ISコアと同様に解析できないほどの兵器の元を生み出した科学者。つまり目の前の科学者たちは篠ノ之束博士と同じレベルにあるのではないか、そう考えても仕方がなかった。

「……実は確認が取れたらという話だったのですが、貴方がたに上の方から依頼があるのです」

その内容はドクターJたちが予想していた通りの物で、ユーコンの上層部の依頼―正確に言えば政府からの依頼ということになるのだが―ISコアの解析と新型IS開発だった。

ドクターJたちは素直にその依頼を受けた、というよりは受けざるを得なかったというのが正しいが。

あちらの依頼という名の命令に従わなければ、無理やり情報を聞き出すこともできるのだ。その結果廃人になろうとも、だ。

もちろんこれほどの物を作った科学者をそう簡単に処理するなどという浅慮なことはしない。あくまでそれは最後の手段だ。

このままおとなしくしている爺様たちではないが、今は関係ないのでまた今度。

とりあえずISコアの解析にかかる5人だったが、調べて行くたびに彼らは揃って眉を顰めた。

ISコアとそれ以外の兵器に使われている技術の間に大きく開きがありすぎることだ。

聞けばISが世間に現れてから十年、いまだにISコアが解析されていないというのもおかしな話だ。

普通新しい概念の技術が出てきても、数年で他の所で解析し使用できるものだ。その新しい技術も元は同じ科学力から生まれてくるのだから、そうでないと不自然だ。

例えばOZで作り上げたトールギスから他の科学者によって量産型MSリーオーを作り上げたり、『最強の矛と盾』として作り上げたメリクリウスとヴァイエイトはロームフェラ財団のツバロフ技師長によって量産型MSとしては破格の性能をもつビルゴを生み出す原因ともなり、トールギスと5機のガンダムを参考にしてゼロシステムを搭載したガンダムエピオンが開発された。

つまり天才が作り上げたものも数年がかりで研究すれば、似たような物もできるということだ。

なのにISの中枢ともいうべきISコアは未だにブラックボックス部分がほとんどを占めていて、わかっているのは基本部分ばかりである。全てを把握しているのは開発者の篠ノ之束博士だけだ。

それほどのものを作りだした篠ノ之束博士も20代の見た目麗しき女性だと言う。明らかに年齢と合っていない能力と、その行動の出鱈目さから皮肉をこめて“大天災”と呼ばれている。

だが解析に当たっているドクターJたちも只者ではない。数百年未来の世界であらゆる兵器を開発し、世界を混乱に陥れたのだから。そういう意味では篠ノ之束博士とドクターJたちは似た者同士かもしれない。

「む、これは……」
「何かわかったのか?」
「うむ、この部分だ。おそらくこれは学習機能だろう」

画面のある部分に指をさすH教授。彼はコックピットシステムのエキスパートであり、あの忌まわしいゼロシステムを作り上げた男である。こういった中枢の解析は彼の得意分野だ。

「奴らが自己進化と言っていたものだな。しかし、これは……」
「そう。MD<モビルドール>に使われていたものとかなり似ている部分があるのだ」

MD<モビルドール>とは簡単に言えば無人機のことだ。本来MSは有人機だがロームフェラ財団は新たな力の形として無人機であるMDを開発した。

当時MDの危険性を理解していたトレーズ・クシュリナーダとガンダムによって開発の邪魔をされ遅れていた。

MDは学習機能を搭載することで、戦闘を重ねれば重ねるほどその性能は高まってゆく代物だ。そして無人機故に生身の体が耐えられないようなGがかかる機動を可能にし、結果有人機では無人機を倒すことは一部の例外を覗いて非常に困難だった。

ガンダムがコロニーから迫害されたことで脅威となる敵が消滅し、戦場はその性能でMDが支配する状況がしばらく続くこととなる。

「つまりこのISコアは無人機として活動することも可能ということかのぅ?」
「それに他の部分を見ると擬似的な人格も存在するようだ。人格部分に関しては完成度はあまり高くないようだがな」
「……ある意味ではMD以上になるかもしれんな」
「さよう。それ故にわからん。なぜこれほどのものを女性にしか扱えないようにしたのか」
「こんなものを作るぐらいじゃ、ワシ等と同じくらいイカレているに違いあるまいて」
「違いない!」

『イーヒッヒッヒ』という笑い声が、ユーコンの研究所に響いた。

● ●  ●

それから1ヶ月ほどか経過した。定期報告のためドクターJたちの研究室に科学者は訪れていた。

報告を受け取るだけならデータを送ってもらうだけでいいのだが、やはり彼らの高い技術力を直に触れたいというのもあっただろう。

「失礼します。どうです、何か新しい発見はありましたか?」
「ほう、お主か。ちょうどよかった」

まさか本当に新しい発見があったのだろうか?実のところ今回はあまり期待してなかった。

いくら彼らが自分たちより高い技術力を持っていたとしても、自分たちが十年かけてもほとんどわからなかった代物だ。こんな僅かな期間で調べられるとは思っていなかっただけに、彼は眉を顰めた。

「ISコアで分かったことがある。あれはISコア同士で得られた戦闘データを共有し、経験を積み重ねて行く」
「そしてその積み重ねたデータは擬似人格に成長を促し、有人機を超える性能を持つ無人機を生み出すことができるだろう」
「女性しか扱えない理由はここの部分……遺伝子で適合したものしか扱えないせいじゃろう。女性の物は幅広く設定しているようじゃが、男性の遺伝子の物はこの1つのデータしかない」
「つまり男で扱えるのはこの遺伝子を持つ人物しかいないというわけだ。まぁ少し弄れば他の男性でも扱えるようになるだろう」
「まず間違いないだろうがこれを開発した人物は今までISコアが得た情報を全て自分の物としているだろう。我々ならこのISコアを大体だが書き換えることができるが……どうする?」

ドクターJたち5人がそれぞれ引き継いで一方的に科学者の男に語った。だが内容はこの世界の科学者ならそんな簡単に語れるものではない。科学者が数秒呆けてしまっても仕方ないだろう。

「つ、つまりそれは男性でも扱えるようになるということですか……?」
「だからそう言っている」
「で、では少しお待ちください!我々の研究チームを今ここに呼びますので!」

科学者は慌てて研究室を走って出て行った。その部屋からでも研究チームに連絡はできるのだが、彼の頭はそんなところまで回らなかったようだ。

「やれやれ、慌ただしい奴じゃ。じゃが言わなくて良かったのか?ISコアを書き換えれば、開発者に気付かれることを」
「彼らにとってはそのデメリット以上に男性が乗れるというメリットの方が魅力なんじゃろう」
「さよう。それに会ってみたいしな、これの開発者にな」

ISコアを持ったプロフェッサーGは嬉しそうに呟いた。

しばらくして研究チームが研究室に到着し、それからISコアの書き換えを行った。世界の誰もができなかった偉業ともいえる行為に研究チームの歓喜の声を上げた。

彼の研究チームは今のIS開発では珍しい男性のみで構成されたチームだ。女尊男卑のこのご時世でクビになったり端に追いやられた実力のある者たちを少し強引に集めたのだ。

女性社員からは批判がきたが、上層部に男性が多いユーコンは無理やり通したのだ。

しかしこのことを上層部に報告すると、続けて新しい命令が下された。

確かにデータ上では男性が使えることになった。しかし本当に動かせるようにならなければ意味が無い。簡単に言えばそのISコアで新型ISを作れ、と上層部が言ってきたのだ。当然と言えば当然である。

だがこれにはもう1つ条件があった。リーブラ内部で発見されたビルゴの装甲を試験的に使ってほしいというものだった。

ビルゴの残骸を持ち帰ったユーコンは実験のたびにドクターJたち5人のうち1人を必ず呼び出し、共に研究を行った。

彼らにとっては驚愕であったに違いない。なぜならビルゴの装甲はありとあらゆる兵器の攻撃をほぼ無傷で防ぎきったのだから。無論その中の兵器にはISも含まれている。

ISの特徴としてシールドバリアーと絶対防御と言うものがある。シールドバリアーは元になるシールドエネルギーを使い、一定の威力の攻撃を遮断する。そして絶対防御はシールドバリアーを抜けて操縦者に危険を及ぼすような攻撃を遮断する。

シールドエネルギーを使いきるか絶対防御を3回使うことによってISは戦闘不能となる。つまりISは装甲が弱くとも、操縦者の生存性は極めて高いと言える。

それ故に第1世代、第2世代と開発が進むたびISは装甲より機動性を重視するようになり生身を晒す部分が多くなっていく。つまりISは本体の装甲そのものに関してはそれほど重要ではないのだ。

だが今回上層部がビルゴの装甲<ガンダニュウム合金>を用いてISを製造しろといった理由は、世界初の男性専用ISだからだ。

世界初の男性専用のIS。それは十年間男たちが求めてやまなかった代物。それは男たちの希望であり、女たちを力で凌駕する象徴でなくてはならない。

全てにおいて高水準で、特徴ある物で無くてはならない。そう上層部は考えていた。

そう命令を下された科学者たちは揃って苦い顔をした。実にわかりやすい注文であるが、とても難しいものだ。しかもISコアが書き換えれたとはいえ、IS本体の製造に関しては他の先進国とドングリの背比べな状態だ。バランス良く性能を上げて、さらに特徴ある能力をつけるとするとISコアのデータ領域が足りなくなるはずだ。

そうドクターJたちに伝えると、彼らはこう言った。

「ワシ等はその注文に見合う機体の構想がある」

その構想をドクターJたちが研究チームに語ると、彼らの表情は様々に変化した。頬を引き攣らせている者、キラキラと年甲斐もなく目を輝かせている者、5人に尊敬の念を送っている者と様々だった。良い歳したおっさんたちのその表情はとても気持ち悪かった。

ここから新たなIS開発が始まった。この計画は「オペレーション・A.C.」と呼ばれることとなる。

● ●  ●

数カ月が経過した。

新型ISを完成させる過程でいくつかの壁があった。

まず1つはビルゴの装甲<ガンダニュウム合金>の加工が難航したことだ。ISの攻撃でさえ破壊できないほどの強度を持つガンダニュウム合金なのだ、それは当然と言えた。

ISの装甲を加工する際に使われる機械のレーザーの出力を大幅に上げて、長い時間同じ部分に当てることでようやく切ることができるほどだ。このせいで加工には大きく時間がかかり、非常に根気のいる作業となった。

2つ目はISコアから供給しているエネルギー以外から、さらにエネルギーを確保するために小型高出力発電ジェネレーターを搭載することが決定したのだが、意外にこれが苦戦した。

ドクターJたちはMS開発のエキスパートである。しかしISの全長は4m前後だが、MSは15m前後である。この大きさに合わせて改良するのは時間がかかった。

3つ目、最後は新型ISのパイロットである。ドクターJたちが求めたパイロットは肉体、精神共に最高の兵士だ。だがISが兵器として軍に採用されてからパイロットは女性しかおらず、彼らの条件に合う者は存在しなかった。

ISとかつての戦闘機のパイロットでは、肉体的に言えば戦闘機パイロットの方が上だ。理由としては機体性能の差である。

ISはパイロットの体にかかるGを常時展開しているシールドエネルギーによる限りなく減らし、ハイパーセンサーによりパイロットの知覚を強化し通常より遥かに視野が広がる。

対して戦闘機パイロットの体にかかるGは装甲だよりであり、視野も本人の能力だよりだ。

故に戦闘機パイロットの方が肉体的にも上である。皮肉にも機体性能の低い方が人間としての能力が高いのだ。

条件に合うパイロット。それはかつて人々の憧れで、今は退職金で小さな喫茶店マスターを営む男。

――その男を勧誘に行ったときの会話をお送りする

「私に新型兵器のパイロットを……?」
「そう。肉体的にも精神的にも貴方しかいないと思っている。ブラッド・ゴーレン大尉」

ブラッド・ゴーレン。並のパイロットなら体が耐えられない機動を行うことで、若手でありながらトップエースの1人として数えられていたほどの男だ。

「“元”ですよ。大体こんなロートルに今更……」

だがISの台頭により戦闘機自体が追いやられ、トップエースは一般兵にまで落ちる。いつか、いつか戦闘機の時代がもう1度戻ると信じたが……結果として、裏切られた。

絶望した彼は退職金で喫茶店を開いた。かつて若手と言われた彼ももう30代半ばに差し掛かっていた。

「それが男性のためのISでも、お断りになりますか?」
「なッ……!それは本当ですか!」

男性専用のIS。それは男から空を、誇りを奪った兵器の力を男が得ることができると、目の前の男は言っているのだ。

「ですがその機体は、はっきり言うと今までのISとはケタ違いです。それでもよろしいですか?」
「ぜひ、よろしくお願いします」

ブラッドは迷わなかった。その男の口調からその機体は何か欠陥を抱えているのだろうとすぐにわかったが、そんなことは関係ない。

戦闘機のパイロットになることを子供の時から憧れて厳しい訓練の末にパイロットになり、体を鍛えに鍛え上げ、得意の機動を駆使して有名なパイロットの人たちと肩を並ぶまでになれた。

今度は自分が人々の憧れとなる。……そう思った、矢先だった。

男たちは空を奪われた。たった1人の女の手によって。

女性しか扱えない兵器。そんな物に手も足も出ないまま敗北し、俺の仲間や憧れの人たちは誇りを奪われた。

許せなかった。奪われたことも、それによって力の持たない女たちが男を見下す態度も。

「いいのですか?もう少し考える時間が必要なのでは?」
「構いません。直ぐに連れて行ってください。その新型がある場所へ」

だからブラッドは迷わない。あの女を倒せるチャンスを、彼は逃す気はない。彼は笑みを浮かべた。かつて敵機を撃墜した時のような、不敵な笑みを。

――時は戻る。

ユーコンにある地下の大研究所。ブラッド・ゴーレンはそこへ連れて来られていた。

「なるほど、こいつがそのパイロットか」
「ブランクがかなりあったと聞いているがのぅ……」
「問題ありません。乗せてください、新型に」

迷いが無いブラッドの言葉だった。それを聞いてドクターJたちは笑い声を洩らした。

「中々気合いがはいっているのぅ」
「まぁ、それぐらいでないとあの機体は乗ることもできないだろうて」
「ならばついてこい。お前の機体はこっちだ」

ブラッドは5人の後ろをついていく。あるのは大きな鉄の扉だ。

ドクターJは懐からカードを取りだして、通した。すると扉は開き、その先に何かが見えた。

近づいてみると、それは白い機体だった。

6~7mであろうか、普通のISよりも大型であるその機体は右腕に巨大な銃、左腕に盾を装備し、背部には大型バーニアを搭載している。頭部は中世の騎士の仮面を思わせるような物から、この機体の印象は「騎士」だった。

「お主が乗る機体じゃ。名を……トールギスと言う」

ブラッドは知らない。この機体がシールドエネルギーと絶対防御の両方を廃止し、その余ったエネルギーと小型高出力ジェネレーターを機動と兵装に回したものであることを。

ISの基本であるPIC(パッシブ・イナーシャル・キャンセラー)を廃止し、背部のバーニアと各部スラスターのみの機動を行い、パイロットにかかるGを軽減するものは装甲のみという仕様だ。

これが後にライトニング・バロンの異名を持つこととなるブラッド・ゴーレンとトールギスの出会いだった。










あとがき

突発で書いたものです。あの爺共ならできるかな、と思って書きました。

こまかいことは気にしないでNE!


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