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No.26986の一覧
[0] 【ネタ】 IS ―R・G・S― (IS×スクライド)[黒条非日](2011/04/25 00:13)
[1] 1. 『最強とは一体何だろうか?』[黒条非日](2011/04/06 00:57)
[2] 2. 『幼馴染み』[黒条非日](2011/04/07 07:00)
[3] 3. 『金のドリル』[黒条非日](2011/04/09 00:01)
[4] 4. 『俺とコイツとあの人と』[黒条非日](2011/04/09 22:28)
[5] 5. 『壁』[黒条非日](2011/04/10 22:32)
[6] 幕問 『遅いと言うことは命に関わる』[黒条非日](2011/04/11 06:53)
[7] 6. 『酢豚来日』[黒条非日](2011/04/12 01:54)
[8] 7. 『酢豚撃沈』[黒条非日](2011/04/14 02:49)
[9] 8. 『クラス対抗戦』[黒条非日](2011/04/17 19:52)
[11] 9. 『嵐の前触れ』[黒条非日](2011/04/25 00:30)
[12] 10. 『実戦訓練とは名ばかりの苛め』[黒条非日](2011/10/20 03:18)
[13] 11. 『獣笑』[黒条非日](2011/10/24 02:16)
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[26986] 【ネタ】 IS ―R・G・S― (IS×スクライド)
Name: 黒条非日◆42027da6 ID:0d323c6d 次を表示する
Date: 2011/04/25 00:13
さて、この物語を始めるに至って、俺は果たしてどの場面から話を始めるべきなのだろうか。


IS(インフィニット・ストラトス)という世界最強の兵器が世の中に出現した時の驚愕?

あぁ、それは驚いた。驚いたとも。ゲームの中にしか存在しなかったような存在が目の前に現れればそりゃあ、驚くしかないってモンだ。

――だけど、そこじゃあない。








女しか乗れないはずのISに自分が乗れた時の驚愕か?

驚きこそしたが、それには心当たりがないでもない。まぁ、それにしたって実際は口を間抜けに開けて呆けちまう程の衝撃は存在したし、その後の試験の時も驚かされた。目の前で対戦相手がずっこけりゃ、ビックリもするってモンだ。ましてやそれが乗り慣れているはずの人間だってんだから一塩だ。

――だが、ここでもない。








それともそれとも、俺の前に専用機が届いた時の驚愕か?
確かに驚いてはいたが、この時に関しては歓喜の方が大きかっただろう。
昔、昔、夢に見た憧れの存在。琴線を刺激するような有り得ない程クールなフォルム!
いやぁ、感動だったね。思わず声が漏れちまうくらいには。

――しかし、これもちょっと違う。









――そう、話すのならば俺の原初。初めての、俺の小さな世界を揺るがす程の驚愕から俺は話すべきなのだろう。
人にとっては取るに足らないようで、しかし俺の、いや今となっては世界的にも衝撃的な出来事なのかも知れない。

たかだか小学校の時分の話だ。親友とその嫁(誰一人として認めてはいないが)と友達だった俺が出会った世界最高、いや唯一(オンリーワン)の頭脳を持つ、世界有数の変態で変人の話から俺は物語を始めるべきなのだろう。


篠ノ之束。俺は彼女になおっちなどと呼ばれてはいるのだが、実はこれは驚くべき事態だ。
この彼女というのがとんでもない人格破綻者で、身内と一部の人間以外には驚くべき程関心がない。人の名前を憶えるなんてのは稀も稀。そもそも興味のない人間に脳の要領を取られるのなんて御免だとでも言わんばかりに憶える気が全くない。
まぁ、俺も例に漏れず、ある時までは彼女に名前を呼ばれるどころか、遭遇さえしたことがないなんてそんな有様だった。


ある意味、イベント配信しかされないレアな伝説のモンスターなんて目じゃない程だ。
彼女はイベント配信さえされやしない。伝説も伝説、都市伝説になっても良いようなそんな存在に何故、俺が名前なんて物を呼ばれるまでに至ったか、なのだが……。


これが何とも情けない話ではあるのだが、別に人間性でもなんでもなければ、俺になにか特異な能力があったわけでもない。彼女の興味を惹く物なんか俺はこの身に一つとして持ってはいなかった。イジメを見れば傍観者を気取り、義憤に身を窶したこともないそんな平凡な少年に彼女がどんな興味を惹かれるというのだろうか。
そんな彼女と俺は如何にして縁を結んだか、と問われれば。


これまた情けなさ過ぎて涙が出そうなのだが、趣味の一致と言えばまだマシな方だろう。もっと端的に言うのならば……。
――アニメの御陰だ。


まぁ、かったるい話をとろとろと続けるのは俺の信条に合わないのだが少しばかりお付き合い願おうか。

これは俺、久我直道(くがなおみち)の物語だ。














ある日のことだった。


俺、久我直道は子供としては当たり前のように、自分の好きな物を友達と共有したいとそんなことを思いつつ、自分の大好きなアニメのDVDを持って友の家へと急いでいた。
そしてその友達、織斑一夏の家へと行ってみれば――。


「……いない」


いくら呼び鈴を鳴らしても誰も出てきやしない。蝉の鳴く声だけが無情に響く中、じゃあ嫁のところだろう、と俺は大して気落ちすることもなく一夏の嫁(こう呼ぶと本人は顔を真っ赤にして否定するのだが。竹刀付きで)篠ノ之箒の家へと向かった。

彼女もまた、俺の友達なのだからこの大好きなアニメを見せることに何の躊躇いがあろうかという物だ。
走って走って、そう短くない時間をクラスの中でも一番速い足で駆けていって、篠ノ之の家へと到着した。


「御免ね。まだ二人とも帰ってきてないの。でももうすぐ帰ってくる思うから中で待ってるといいわ」

「はーい」


二人はまだ帰っていなかった。一体どこでいちゃいちゃにゃんにゃんしているのかと少しばかり憤りを覚えたが、しかし俺は寛大な子供だった上に、夫婦水入らずを邪魔する程空気の読めない子供ではなかったので、大人しく家の中で待っていることにした。

ただ待っているのも暇なので、篠ノ之母に許可を貰い、一足先にアニメを鑑賞していることにする。

画面の中で繰り広げられる、熱く格好良い戦闘。
子供心に憧れを憶え、そして敬意を感じる。
彼らは何故こんなにも強くあれるのだろう、何故こんなにも諦めることなく壁に向かっていけるのだろう、何故こんなにも――。


「……なに見てるの?」


びくり、と。

いきなり掛けられた声に肩を跳ね上げる。
今まで聞いたことのない声だったこともその挙動に拍車をかけた。
この家で聞き覚えのある声は、一夏と箒そしてその母親と偶に見る父親くらい。
聞こえてきた声はそのどれとも違っていた。

振り向けば、そこにいるのは見たこともない少女だった。
歳は幾分か上だろうか、綺麗な、可愛らしい少女だった。ただそれも見たことがないと言うその一点だけで俺の動きを止めるのには充分に過ぎたわけだが。


「なに見てるの?」

「あ、アニメ……」

「……ふーん」


不審者が二度目の問いかけを俺に寄越す。どもりながら俺は何とか言葉を返したが、どもったのはなにも彼女が不審者だから恐かったわけではない。……いや、勿論ガキである俺にはそれだけで恐怖するには理由が揃っていたわけではあるが。
何よりも恐かったのはその眼だ。

あの頃は何とも表現しにくかったが、充分に育った今なら説明できる。
あの時、彼女が俺に向けていた眼はまるで――。


――路傍の石を見るような。

――死にかけた蟻を見るような。

――道端に捨てられた空き缶を見るような。

――遊び飽きた玩具を眺めるような。


どうしたらあそこまで無機質な、まるで全く完全に俺――いや世界と言うべきだろうか?――と言う存在に興味のない眼を向けられるのか、俺には未だに分からない。まぁ、あの頃から彼女という存在は異端で異質で、それでいて異常だった。

そんな眼を俺に向けておいて、彼女はポスリと俺の隣に座り込んだ。

無言。

静寂と言うにはいささか目の前のテレビが煩すぎたが、しかしその場の空気は嫌に緊張感に満ちていたのを憶えている。
妙なプレッシャーに晒されながら、俺は文字通り現実から逃避を果たす為に目の前に映し出される世界に意識を集中させた。

知らない少女とアニメを一緒に――一緒にと言うには彼女と俺の世界は隔離されすぎていたが――見始めて数分。初めて彼女がアクションを起こした。
俺の前に転がっているテレビのリモコンを取ると、彼女はいきなり巻き戻しをかけ始めた。


「――あっ」


俺の驚きを意に介すこともなく、彼女はそのアニメを一番最初まで巻き戻した。
再び始まるオープニング。
……文句などあの頃の俺に言えるわけもない。あれは苦行だ。拷問だ。何故好きなアニメを見るのにあんなに胃が痛くなる程のプレッシャーをかけられなければいけないのか。

まぁ、何度も見ているアニメをもう一度見ること自体は別に苦痛でもなんでもなかったのは確かでもあった。
速くこの少女が何処かに行かないだろうか、なんてそんな淡い希望を持ちながら再び上映会は始まった。

――それから一時間後。


「……これ、面白いね」

「えっ!? あ、そ、そうですね……?」


一巻を見終わって、彼女から唐突に掛けられた声に思わず疑問型で返す。
まさか一時間なにも話さず無言だった彼女がいきなり声を掛けてくるなんて誰が予想出来ようか。


「続きはあるのかな?」

「あ、あるけど持ってきてないです……」

「ふーん。……君、名前は?」

「え、あ、えっと。く、くがなおみち……」

「じゃあ、なおっちだ」

「な、なおっち?」

「うん」


一体、何が琴線に触れたのか。先程まで蚤ほどの興味すら俺に抱いていなかった少女はいきなり親しげに俺に話しかけてきた。
戸惑う俺に構うことなく、妙なあだ名までつける始末。

戸惑った、大いに戸惑ったね。いきなりなんだって言うんだ、ってな。
その時だった。救いの女神(既婚)が現れたのは。


「ね、姉さん!? な、直道と喋っている、だと……?」

「は?」

「あー! お帰り、箒ちゃん!」


聞き慣れた声に振り向けば、そこには友達の篠ノ之箒が愕然と、まるでツチノコでも見たような表情を浮かべて立ち尽くしていた。
と言うか、姉さん? 姉? Why?

状況が理解できなかった。誰が誰の姉さんなのか。終ぞ篠ノ之家にもう一人子供がいるなんて情報を俺は寡聞にして聞いたことはなかったのだから。


「一体何をした、直道!」

「え、俺怒られんの?」


鬼、と言っては失礼だろうがまさしくそんな表情で駆け寄ってきた箒に俺は呆然としながらそんな言葉が口を突いた。


「あ、す、済まない。と、ところで今日はどうしたのだ?」

「いや、一夏と箒と遊ぼうかなって思って」

「む。そうだったのか……。済まないことをしたな、一夏ももう帰ってしまったし」

「いや、いいよ。俺も今日はもうなんか疲れたし帰る……」

「そうか。気をつけて帰れよ。……って違う! お前、姉さんとどうやって――!?」

「うん? 帰るの、なおっち?」

「あぁ、えっと……。はい」


話しかけてきた篠ノ之姉(暫定)に何とか言葉を返す。疲れの大本はこの人なのだがそこを追求する気すら湧いてこない。


「そっかー。じゃあ、明日この続きよろしくね!」

「はいぃ!?」

「よろしくね!」

「……はい」


否定すらさせない勢いに押されて、しょうがなくそれだけ返す。
満面の笑みは可愛らしく、それでいて有無を言わせない力強さがあった。


「そう言えば自己紹介してなかったねー。私の名前は篠ノ之束。宇宙最高の美少女だよ! 束さんって呼んでも良いよ!」

「はぁ。了解です」

「うん。素直なことはいいことだね! それじゃ、また明日!」

そのまま玄関までご送迎。
何となく痛い胃と、疲れによって石のように重たい足を引きずって俺は家路についた。


……玄関まで出て俺を見送る姉を見て、いつもの凛々しい顔を驚愕の表情へと崩し、あんぐりと口を間抜けに開けている箒の顔が嫌に印象に残っていた。












それから一週間程だろうか。
まるで女王に貢ぎ物を持って行く民衆のように、俺は足繁く篠ノ之家に通い続けほぼ毎日のようにアニメを篠ノ之姉である束さんと見続けていた。
――で。


「終わっちゃたねー」

「そうですねー」


何事にも終わりはある。それが物語なら尚のこと。
遂に最終回に至ったアニメを見ながら、俺と束さんは感慨深げにそう呟いていた。


「なおっちは誰が一番格好良かったと思うー?」

「それ、聞く意味あるんですか?」

「あはは。愚問だったかな? そうだね、こんな下らない質問をするなんて超天才美少女束さん一生の不覚だね」


そう、愚問だ。

俺と束さんはこのアニメを見る上での感性という点だけでは、非情に似通っていたと言ってもいい。
惹かれたのは不条理を打ち砕く黄金の獣でも、全ての影/悪を絶つ刃のような信念でもなかった。

惹かれたのはただ一人の愚直な男。
不器用で、優しくて、道化を演じながらも美味しいところをかっさらうそんな男。
自分の心情を最期まで守りきり、そして死んでいった最高に格好いい男。
直道。自分の名前の意味を初めて考えた。考えさせられた。

真っ直ぐな男でありたいと思う。人を守れる男でありたいと思う。人生という名の道を曲がらずに走れる、そんな男でありたいと初めて思った。


「……ねぇ、なおっちは今の世界は楽しい?」


唐突な質問だった。俺は特に何を考える出もなく反射的にその言葉に答えを返した。


「そんな難しいこと、分かんないですよ」

「じゃあ、あの人みたいになりたいと思う?」


あの人、それが何を指すかなんてことは聞かなくても分かった。だから俺は、すぐにその答えを出した。


「なりたい」

「わぁ、即答だ」


その時、俺は初めて彼女が俺自身に向けた笑顔を見た。









――と、まぁ、此所までがプロローグだ。ここから世界は急激に変化を見せたってわけ。
ここからは俺の信条に従って、さっさと話を進めていこうか。











数年後。華々しいデビューを飾って世界にISなんてものが登場した。
世界を驚かせ、震え上がらせるものをあの天才は作り上げた。
それは俺の理想にその時点では一番近いものだった。だからこそ驚愕して、驚喜して、そして絶望した。


だってその兵器には――。
――女の子しか乗れないんだから。


彼女に宣誓したあの日から、ずっと俺は追い求めていた。
ずっとずっと、それだけを愚直に。
しかし、なにかが足りない。


自転車――全然足りない

車――まだまだ足りない。

バイク――こんなものじゃない。

戦闘機――それなりに近くはあったが、しかし足りない。

尊敬して、敬愛するあの人が見た景色はきっとこんなものじゃない。


IS――近い。だけどもっとだ。まだたり得ない。


足りないものそれは情熱か? 気品か? 思想か理念か鮮烈さか? それともそれとも?
何よりも俺が追い求めるものが足りていない。それは――。












更に数年後。
今や親友まで格上げされた友達。織斑一夏と共に来た試験会場。
目の前に佇むIS。
一体何なのか、乗れるはずもないものに乗ることが試験内容なのか。

困惑する思考の中、隣の一夏は何故か乗れないはずのISに乗り込んでいて。
つられるように俺も並ぶそれに触れた。
体中を奇妙な感覚が通り抜けたと思った瞬間には、何故か俺もそれに乗り込んでいた。

感じたことのない全能感。溢れる脳内麻薬。クスリでも決めたかのような有り得ない程の昂揚感。
そして戦闘試験。
俺の熱は急速に冷めていっていた。

全能? この程度で?

昂揚? これぐらいで?

脳内麻薬? 出るわけもない。すでに止まった。

おいおいおいおい、なんだこれは? と脳内で不満が喚き散らす。
訓練機とはいえ、あの人が作ったものがこんなもんかなんて、勝手に失望する。
足りない、足りない、足りなすぎる。
力、能力、機能、柔軟さ。
そして何より――。











IS学園。
何が何だかしらに内にこんな訳の分からない学校に入れさせられて。
まるで鑑賞動物のような惨めな気分を味わいながら、横の女のかったるい口上を聞き続ける。


「だ、大体、文化としても後進的な国で暮らさなくてはいけないこと自体、わたくしにとっては耐え難い苦痛で――!」


あぁ、煩い。煩わしい。
ISに乗るこいつは、どこの国の人間がISを作ったのかすっかり忘れているらしい。
恩恵に預かっているのはどこのどいつだと、そう言う話。
横目に一夏を見てみれば、すでに切れる二秒前。

コイツに先に切れさせてなるものか。誰よりも前を行くことこそ我が誇りだというのに。
それにそろそろ俺自身もこのお話には飽きてきたところだ。


「あ~、やだやだ、文化を知らないヤツは。黙れよ。コロネ頭」

「はぁ!? わたくしのことをおっしゃてますの!?」

「テメェ以外に誰がいるっつーんだよ」

教室から漏れる忍び笑い。我ながら自分のセンスには脱帽だ。人を貶めると言うことと、ある一点に関しては他の追随を許す気は無い。置き去りだ。


「言うに事欠いて人の頭を菓子パン呼ばわりなんて、聞き捨てなりませんわ!」

「だったら一生抱えてろ」

「――~ッ! 決闘ですわ!」












目の前に佇む俺の専用機。

『それが久我くんの専用IS『R・G・S』です!』

そう、この『相棒』を見た時の俺の気持ちをなんと表現すればいいのだろうか。


感動? 生温い。

歓喜? まだ足りない。

狂喜? これだ。


何時かの夢が目の前に顕現した瞬間。
今までの人生で一番嬉しい出来事。そう言っても過言ではないし、これから先これ以上はないだろうと断言できた。
だがしかし、形だけだ。

俺はあの人にはまだ届かない。どうしようもなく遠いと未だにそう感じる。
だけど、形から入るってことは大事なことだ。それは人を真似ることでありながら、何れそれを超えるという確かな信念を感じさせる行為でもある。
そう、俺はここから始まる。

偉大なる先人越え。超えられるかどうかは知らない。相手は幻想の人間だからだ。
誰も超えたことを証明してはくれないし、俺が彼を超えたと自分自身でそう感じられるまでにならなければ、彼を超えたことにはならない、出来ない。


魂という名の原動機(エンジン)を叩き起こす。

体中を巡る血/燃料に火をつける。

体躯に行き渡る、熱情と熱量。だが足りない。足りなすぎる。


俺に足りないもの、それはあらゆるものだ。それは自分が一番分かっている。
中でも一番足りないもの。それはもしかしたらこの目の前に佇む相棒が補ってくれるのかも知れない。
そう、その足りないもの、それは何より――。












セシリア・オルコット。その前に第一次形態移行(ファーストシフト)を済ませた俺のISが立っている。
今時珍しい全身装甲(フル・スキン)。一部の隙間もなくその全身をISが覆っている。

しかし、その外装はゴツゴツとした鎧めいたものではない。
タイツのような材質の分からない物に覆われた袖や腹。手には丸みを帯びた手甲が装備され、全体的に流線型をモチーフにしたようなイメージ。
赤紫色のバイザーに覆われた顔は窺うことが出来ない。
そして何よりも異様なのはその足だ。

飛ぶことを前提としたその兵器にそんなしっかりした足は要らないはずなのにも関わらず、それには人間のしっかりとした二本足がついている。
武装もなにもない、極限まで細身に作ったかのようなスタイリッシュな形状。
そんな姿に目を奪われながらも、セシリアはそんな自分を誤魔化すように声を上げた。


「ふん! 形態移行したのは結構ですがそれ、飛べるんですの?」


確かに俺のISは飛べるような機能はどこにも有していないように見えるが、PICは装備されているし飛ぶ事自体は可能だ。
――しかしこれは飛ぶ為のものではない。跳ぶ為のものだ。
そしてこの二つの足はただ走る為だけにある。


「ご託はいい。さっさときやがれ」


俺の言葉を皮切りに、青い雫(ブルーティアーズ)のビットが光条を吐き出す。
――だが足りない。
一条、二条、三条、四条。次々と放たれる光線も俺を穿つことはない。穿つことなど有り得ない。
――だって足りなすぎる。


「何故、何故当たらないんですの!?」


彼女の驚きの声が聞こえる。
俺は見えるはずもないISの下で静かに唇を吊り上げた。
――足りなさすぎる。


「足りない! 足りないぞぉ!」


嗚呼、これだ。俺の求めたもの。俺が追い続けたもの。
だけど彼が見ていた景色はきっとこんなものじゃあない。俺自身さえまだ足りないと言うことだろう。


「セシリア・オルコットォ! 貴様に足りないもの! それは!」


吐き出す。万感の思いを込めて。世界に俺を刻むように。


「情熱思想理念頭脳気品優雅さ勤勉さ! そして何よりィ――!」
















――速さが足りない!!



















やあ (´・ω・`)

ようこそ、バーボンハウスへ。

このテキーラはサービスだから、まず飲んで落ち着いて欲しい。



うん、「また」なんだ。済まない。

仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。



でも、この小説を見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない

「情熱」「魂」みたいなものを感じてくれたと思う。

殺伐とした世の中で、そういう気持ちを忘れないで欲しい

そう思って、この小説を作ったんだ。



じゃあ、注文を聞こうか。

原作知識がISはほぼないから続きは書けないんだぜ!


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