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No.26613の一覧
[0] 【ネタ】銀の戦姫(IS×おとボク2+AC、ガンダム他)[平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2013/01/21 11:41)
[1] IS世界の女尊男卑って、こーゆーとこからも来てると思うんだ(短いです)[平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2011/03/21 23:20)
[2] この人は男嫌い設定持ちです[平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2011/03/28 18:12)
[3] こーゆー設定資料的なことはやんないほうが良いと分かっているんだが……[平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2011/03/21 17:44)
[4] ちーちゃんって、理想的なツンデレヒロインだと思うんだ(短いです)[平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2011/03/21 20:38)
[5] ハードモード入りました(短いです)[平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2011/03/22 22:07)
[6] ハードモード挑戦者1号[平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2011/04/29 22:59)
[7] 世の中の不条理を噛み締める[平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2011/03/25 20:54)
[8] ハードモードには情けも容赦もありません[平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2011/04/29 23:00)
[9] ちーちゃんは代表候補生を強く想定しすぎたみたいです。(設定変更)[平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2011/03/28 18:18)
[10] お忘れですか? 一夏のフラグ体質[平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2011/03/26 09:42)
[11] ハードモード挑戦者3人目入りました……あれ?[平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2011/03/27 13:49)
[12] 織斑先生の激辛授業と御門先生の蜂蜜課外授業[平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2011/03/28 18:40)
[13] 自重? 奴の前ではそれほど虚しい言葉もないぞ。(クロス先増大)流石に自重しなさ過ぎました。[平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2011/03/31 06:27)
[14] とりあえずここの束はこういう人です。[平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2011/04/03 17:10)
[15] 銀の戦姫[平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2011/04/03 00:40)
[16] (短い番外編)本当に瞬時加速より速かったら、こうなるのは当然の帰結な訳で……[平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2011/04/03 07:50)
[17] まあこの位は当然の備えな訳で[平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2011/04/03 12:26)
[18] 対ラウラ戦(クラス代表選考戦最終戦)下準備回[平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2011/04/10 00:25)
[19] 束さんはちーちゃんの事をちはちゃんと呼ぶ事にしたようです[平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2011/04/17 08:16)
[20] 女尊男卑の仕掛け人!?(劇場版ガンダム00のネタバレあり)[平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2011/04/24 16:41)
[21] 無理ゲー攻略作戦[平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2011/04/29 22:56)
[22] 女心の分からない奴[平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2011/04/30 12:27)
[23] 兵器少女ラウラ=ボーデヴィッヒ(短いです)[平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2011/05/01 23:01)
[24] 2巻終了後に1巻ラストって[平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2011/05/01 22:23)
[25] ちょっくらハードル上げてみよっか[平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2011/05/05 19:40)
[26] 比べてみよう! ノーマルモードとハードモード[平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2011/05/10 23:05)
[27] ちょっとまってよ銀華さん 副題:ちーちゃん無残 あるいは祝・心因性健忘症快癒[平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2011/05/15 17:15)
[28] マリア様……これは褒め言葉? それとも失礼な事なのですか? ←失礼に決まってます[平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2011/06/11 11:56)
[29] おとボク2の人達、すんなりちーちゃんの性別受け入れすぎ[平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2011/07/12 00:18)
[30] 目まぐるしく駆け足な一日[平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2011/07/30 21:44)
[31] 専用機同士のタッグって、運営側からすりゃ大迷惑だろうな(短いです)[平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2011/08/27 09:52)
[32] きゃー千早お姉さまー(短いです)[平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2011/09/20 20:26)
[33] 悪夢再び(ただしちーちゃん限定)[平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2011/09/29 22:28)
[34] 千歳の憂鬱[平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2011/11/28 20:49)
[35] 銀華誕生秘話……まあ銀華の話はチョイ役ですが。[平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2011/12/03 20:54)
[36] 10年ひと昔と人は言う 前書いた話と設定が矛盾したんで削除します[平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2011/12/17 22:58)
[37] 劇物につき取り扱い注意[平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2012/01/05 00:12)
[38] マトモな出番は久しぶりかも[平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2011/12/31 21:48)
[39] 異界の書物を読んでSAN値チェック→SAN値直葬[平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2012/01/04 22:56)
[40] タッグマッチトーナメント1回戦[平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2012/04/04 23:46)
[41] ルート確定 ヒロインの皆様、再チャレンジをお待ちしております(前)[平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2012/06/02 22:29)
[42] ルート確定 ヒロインの皆様、再チャレンジをお待ちしております(後)[平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2012/06/23 08:42)
[43] ちーちゃんルートじゃないよ! ホントウダヨ!![平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2012/07/14 16:41)
[44] はい、みなさんご一緒に「恋楯でやれ」[平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2012/08/30 14:55)
[45] さあ、もっと取り返しがつかなくなってまいりました[平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2013/01/21 09:45)
[46] 夏だ! 海だ! 臨海学校だ!! ……のB面[平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2013/05/08 22:29)
[47] いや実際、一夏じゃ生きてけないでしょIS世界って[平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2013/10/04 21:06)
[48] 長らくお待たせしました。コレにて終了です。[平成ウルトラマン隊員軍団(仮)](2015/05/05 00:16)
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[26613] 2巻終了後に1巻ラストって
Name: 平成ウルトラマン隊員軍団(仮)◆ae4f8ebe ID:0055e01a 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/05/01 22:23
 ラウラの再教育について頭を抱えているクラスメイトなどの関係者に助け舟を出したのは、なんとラウラが所属するドイツ軍だった。

 学園に居る人間だとどうしてもラウラが激怒させてしまった千冬に対する恐怖が先に立ってしまうという事で、ラウラの部隊の副隊長であるクラリッサ=ハルフォーフが遠方のドイツからラウラに真っ当な価値観を再教育する……という話なのだが、その実態はラウラ絡みの騒動をどこからか聞きつけたドイツ軍の策略だったりする。
 その経緯は下記の通り。











===============











 ドイツ某所。
 ここは、ラウラが所属する部隊「シュヴァルツェア・ハーゼ」が詰めている駐屯地である。
 女性にしか扱えないISを運用する為の部隊である為、その全員が女性であり、また近年設立されたIS学園のOGばかりなので平均年齢も恐ろしく若い。
 15歳のラウラより若年の者は流石にいないが。

 その部隊の最年長者であるクラリッサは激怒していた。

「くっ、隊長を真っ当な女の子に仕立て上げて、織斑 一夏に接近させろだと!?
 上の連中め、隊長をハニートラップ要員か何かだと思っているのか!!」

 思えば、最初からその兆候はあったのだ。
 ラウラを含め、1組にだけ代表候補生がやけに集まっているという事実。
 それがラウラ達代表候補生を一夏に近づけ、あわよくば彼女達の肉体で一夏を誑し込もうという考えに基いている事は、少し考えれば誰にでも分かる事だった。
 ラウラにしても、男嫌いの英国代表候補生セシリア=オルコットにしても、その性根を考えれば男を誑し込む餌には向かないはずだが、それは一夏自身の異常なモテ方でカバー可能という目算のようだった。
 実際クラリッサは、セシリア=オルコットが一夏に敗れた直後から態度を軟化させ、一夏に積極的に絡もうとするようになったという話を聞いている。

 しかしそうなると、ラウラの兵器として染み付いた独特の価値観が一夏争奪戦においてハンディキャップとなる。
 不用意な発言によって千冬を激怒させるという危険行為の元になった事もあり、上層部は今回の指令を彼女達に下してきたのだろう。

 クラリッサにとって、「シュヴァルツェア・ハーゼ」の隊員は、隊長であるラウラを含めて全員が妹のようなものである。
 今回の指令は敬愛する上司であると同時に末の妹でもあるラウラを男を誑し込むための道具にされているようで、非常に不快だった。

「しかし副隊長、自分は隊長のあの「可愛いというのは何なんだ? それは美味いという事なのか?」という台詞が耳に張り付いて離れません!
 さすがにあのままでは問題があると愚考いたします!!」
「むう、確かに隊長は素材は最高だが、価値観で台無しになっているところがあるのは否定できんからな……」

 クラリッサは一理あると唸る。

「むしろ今回は良い機会なのでは?
 隊長を真っ当な女の子に仕立て上げるのは、我が部隊の悲願でもあったはず!!
 隊長の可愛らしさを今以上に輝かせる良いチャンスです!!」
「……うむっ!!」

 クラリッサは部下の進言を受けて顔を上げる。

「まずは敵戦力の分析から入る!!
 現時点で判明している織斑 一夏についての情報を資料にまとめて人数分用意しろ!!」

 そして彼女達はあまりの戦力差に絶望する事になる。
 彼女達の手元の資料には、一夏の恋人として千早の事が写真込みで書かれていたのだ。

「ふ、副隊長……これは、いくらこちらの戦力が隊長という素晴らしい素材でも……か、勝ち目が…………」
「て……敵戦力、圧倒的ですっ……!!
 これは…………」
「う、うろたえるな!!
 ドイツ軍人はうろたえない!!」

 重苦しい空気が辺りを支配する。

 ちなみに今のクラリッサの台詞の元ネタは、ほぼ男性キャラばかりが活躍するマンガであった為、IS台頭時に女尊男卑に押しつぶされる形で無理やりマイナー漫画扱いされるようになってしまっている。
 とはいえ中身の面白さは折り紙つきである事に変わりなく、IS台頭による日本語の公用語化によって日本で販売されている日本語版を遠く海外のファンが通販で購入するという事も頻繁に行われている。
 まあ、それは他の日本の創作作品においても同じ事がいえるのだが。

「と、とりあえず隊長に、可愛いとはどういう事かとか、一般的に言われている女らしさとはどういったものかとかを教えるところから始めるべきでは?
 織斑 一夏攻略は上からの命令に過ぎず、我々の悲願はあくまで隊長をマトモな女の子にする事ですから。」
「……確かにな。」
「むしろここまで女らしい女性が織斑 一夏の身近にいるというのなら、彼女を通して女らしさとはいかなるものなのかを学んでいただくというのはどうでしょうか?」
「なるほど。
 それならば織斑 一夏に接近しろという命令にも従っている形にもなるな。
 それで行くか。」











===============











「……という訳で、今日一日、貴様に張り付いていたわけなんだが。」
「そのクラリッサさんという人と小一時間ほど話をさせてはもらえませんか、ラウラさん。」

 千早は頭を抱えながらラウラに言った。
 「インフィニットストラトス」において、「ラウラ=ボーデヴィッヒ」を愉快に魔改造していく女性「クラリッサ=ハルフォーフ」。
 いつか出てくるだろうとは思っていたが、まさかこんな風に自分に絡むとは思ってもみなかった。

「っていうか、男の僕に女らしさを学んで来いって……」

 千早はガックリと項垂れてしまった。

「2人とも漫才はその辺にしておけ。
 一夏達の試合が始まるぞ。」

 千早とラウラは箒に促されて、アリーナにいる一夏と鈴音に注目する。

 そう、今日はクラス対抗戦。
 第一試合は、一夏対鈴音だった。











===============











 「インフィニットストラトス」では、酢豚に関する告白を巡って一悶着あった場面なのだが、この2人の間にそのような確執は無い。
 純粋に戦闘を行う為だけに、アリーナに立っている。

 観客席は満員御礼。
 普段からIS学園にいる生徒職員たちだけではなく、外部からIS関連企業やIS国家代表チームなどといったISの関係者達が視察に来ているからだ。

(アイツ、クラス代表選考戦でAIC見切ってたわよね……
 ひょっとして衝撃砲とか、事前に射線見切られちゃう?)
(衝撃砲はまあ千早に散々撃たれてるから、多分打つタイミングとか射線とかは分かると思うんだけど……
 接近戦がなぁ……所詮ずぶの素人ってーのがモロに出るからなぁ……)

 方や飛び道具というアドバンテージがマトモに機能しない事に頭を抱え、もう一方は接近戦しか出来ないのにその接近戦でまるで勝ち目が無いという事実に頭を抱える。

 かつて修得していた武術は錆付いたを通り越して完全に朽ち果てており、今の一夏は正真正銘の未経験者より多少マシ程度。
 千早との訓練やシミュレータで奇跡的に僅かながら復旧できたとは言え、かつてのそれに比べると見る影もなく劣化している。
 喩えるなら、小学生の一夏を数打ちではない職人の心血が注がれた太刀とした場合、今の一夏はそこらに転がっているペーパーナイフにすぎない。
 そんな事で、たった1年で代表候補生にのし上がった大天才である鈴音に敵う筈が無い。
 それが一夏の自分への見立てである。
 一夏は散々千早に無力をなじられてきたせいか、「一夏」のような実力が伴わない大口叩きを極力避け、自分の実力を正当に判断しようとする。
 そうして下した「正当な評価」がこれであった。

 一方で鈴音は、自分より明らかに格上のラウラを下した一夏に対して油断をするなどという間抜けな真似はしない。
 もし仮に、自分の武器でもAICを切り裂けると仮定しても、一夏のようにラウラに打ち勝てる自信は全く無かった。
 それなのに油断などできよう筈が無い。

(ラウラみたいに油断してくれてりゃ何とかなると思うんだが……あんな大金星挙げちまった直後に油断してもらえるとか、ねえよなぁ。)
(接近戦ならひょっとしたら勝てるんだろうけど、一発でもウッカリ貰えば零落白夜や絶対防御強制発動で一撃必殺とかないでしょ!?
 マグレ当たり一発でサヨーナラなんて反則じゃない!!)

 2人の苦悩を余所に、無常にも試合が開始されたのだった。

 鈴音は動かない、否、動けない。
 何しろ一発が怖い接近戦オンリーで一夏を下さねばならないのだ。
 待ちに徹して、一夏側の攻撃の隙を突くしかなかった。

 一方で一夏の方も動けない。
 何が悲しくて待ちに徹している格上の懐に、自分から突っ込んでいかねばならないのだ。
 いくら完全なド素人に成り下がったとはいえ、100%確実に撃墜されると分かっていて無為に突っ込むほど馬鹿になった憶えはない。

「男らしくないわね。
 さっさとかかって来なさいよ!!
 どうせアンタってば接近戦しか出来ないんだから!!」

 鈴音はそう言いながら衝撃砲を連発する。
 案の定完全に見切られており、アサルトライフルのような連射がきかない事もあって当たる気がしない。

(距離をとられるとジリ貧よね……当たる気がしないっていうか、飛び道具の類はガトリングガンやアサルトライフルの乱射じゃないと当たんないんじゃないの、コレ?)

「何が悲しくて待ちに徹している格上の懐に突っ込まなきゃなんねえんだよ!
 何をどう考えても、突っ込んだ回数だけカウンター貰うだけじゃねえか!!」

 甲龍の手の中で、凶悪な大きさでありながらバトンのようにクルクル回転している二振りの自称青龍刀を見ながら、一夏はそう答えた。

「シャルロットと戦ってた時はやってたじゃない!」
「そりゃ逃げ回っててもジリ貧だったからだよ!!
 大体、突っ込んで負けてたじゃねえか、俺!!」

 鈴音はいっその事自分から突っ込もうかと考えるが、頭を振る。
 白式の方が圧倒的に早いのだ。
 突っ込んだところで再度引き離されるだけで、待ちが完璧ではなくなるというリスクの方が遥かに大きい。

 と、唐突に白式が動く。
 得意の連続瞬時加速でない事が気がかりだったが、鈴音はようやく仕掛けて来てくれるのかと、白式迎撃の為に神経を集中させる。

 と、白式が時折瞬時加速を行うようになる。

(うっわ、キチンと反応してるわ……
 やっぱスピードでかく乱って言うのは無理があるってことだよなぁ。
 しかもコイツはプロトタイプネクストとも何度かやってるから、目の前で瞬時加速かましても見失うなんてマヌケは曝してくれないだろうし。
 手詰まりだなあ……
 やれるとするなら……後の先をとれた場合かな?)
(コイツ自分の速度に私がついてってるのか見てるみたいね……
 うう、ついていけてない振りでもしとけば良かったかなぁ。)

 と、白式は連続瞬時加速を使い時速850Kmでの複雑な機動で鈴音の甲龍に迫る。

(よっしゃ、来た!!)

 鈴音は背後斜め下から迫る白式を気付かない振りをしながら引き付けてから、白式目掛けて得物を振るう。
 だがその直前、白式が瞬時加速で逆噴射してほんの少しバックした為、青龍刀は空を切る。

(へ? っ!!)

 一瞬惚けた鈴音は先日の一夏対ラウラの顛末を思い出し、もう一方の青龍刀で瞬時加速で突っ込んできた一夏を迎撃する。
 だが、惚けた一瞬が余りにも痛かった。

「あっぶねぇなぁ……一瞬惚けて隙が出来てたってぇのに、もう少しで迎撃される所だったぞ。」
「そ、そうね。も、もう私には、二度とこんなの通用しないわよ。」

 鈴音の腹部には容赦なく雪片弐型が打ち込まれ、発動した絶対防御は甲龍のシールドエネルギーをごっぞり削り取っていった。
 鈴音は腹部の激痛に耐えながら一夏に対する迎撃体制を瞬時に再建させる。

 と、衝撃が二人を襲う。
 その方向に意識を向けてみると、そこには全身装甲型の……











===============











「……どういう事なの?」

 束はIS学園にハッキングして一夏達の試合を観戦していた。

 「インフィニットストラトス」の7巻に、「束にしか無人機を作る事は出来ない」と明言されていたのに、自分が送り込んだ覚えの無い無人機が一夏達を襲っている。
 さらに言えば、作った覚えの無いデザインの無人機だった。
 一夏は対戦相手の少女を庇いながら戦っており、随分戦い辛そうにしている。
 程なくして、無人機からの妨害電波で束からもアリーナの様子を見る事ができなくなってしまった。

 束はその展開に戸惑う。

 確かに彼女の世界と「インフィニットストラトス」で描かれた物語とでは、相違点が存在する。
 何もかもが物語通りではない以上、彼女の世界には、彼女以外にも無人機を作ってしまえる人材がいてもおかしくは無い。
 だが……その事が分かっていてもなお、無人機の存在は束の不安を掻き立てる。

「「インフィニットストラトス」を成立させようとしている誰かがいるの……?
 ダメ、「インフィニットストラトス」を、いっくんが一番弱くて女の子に助けてもらって成り立つお話なんか、いっくんが主人公で箒ちゃんがヒロインのお話なんか成立させちゃダメッ!!
 破綻させなきゃ、「インフィニットストラトス」を破綻させなきゃっ……」

 束は自分の世界にある一つの危惧を持っている。
 それは世界そのものが物語に類似しているという事は、物語上のお約束がある程度適用されるという事。

 たとえば、今は見る影もなく衰えているとはいえ、かつての一夏は本当に強かった。
 つまり、主人公補正による強烈な武術の素質が彼には存在していた。
 現在でも見られる一夏の強烈なモテッぷりにしてもそうだ。

 千早は「そのような有利な補正は、存在しないかも知れない」という危惧を持っている。
 だが、束の危惧はその真逆。
 物語の中にしか存在しないような不都合な『お約束』が、自分達の世界にあるかもしれないという危惧。
 だから彼女は物語を破壊したい。
 「インフィニットストラトス」を破綻させたい。
 そうすれば、物語上の『お約束』が起きないかも知れないから。

 一夏をIS学園に入れなければ彼は再び誘拐され、今度こそ取り返しのつかない事態になってしまうと考えられた為、一夏のIS学園入学を取りやめる事は出来なかった。
 だが、色恋沙汰において誰も勝てない無敵のヒロインという立場によりにもよって男である千早がいれば、ラブコメとしての「インフィニットストラトス」はぶち壊しになるはずだ。
 それに「インフィニットストラトス」に本来存在しない千早が、全てを滅茶苦茶にしてくれるかも知れない。
 千早との猛特訓やシミュレータによる特訓を続けて一夏が一番弱くなくなれば、弱い一夏を女の子達が守り、何かにつけてISについて教えるという「インフィニットストラトス」の基本ラインを否定する事ができる。

 だから彼女は千早をIS学園に放り込んだのだ。

 一番大切な妹の長年にわたる思いをサポートする事を諦めてでも、彼女は「インフィニットストラトス」を破綻させて……

「ちーちゃんが、ちーちゃんが死んじゃう…………っ!!」

 千冬が抱える「主人公の家族であり保護者であると同時に世界最強」という特大の死亡フラグをへし折りたい一心で。

 いくら彼女にとって箒の方が千冬より大切であっても、流石に箒の恋愛と千冬の生命では後者の方が重い。
 しかし、脳裏に焼きつく無人機が暴れている光景は、物語上の「篠ノ之 束」の役割をボイコットしている自分の代役が用意されているようで、彼女から不安を際限なく引き出してくる。

 不安の余り恐慌状態直前にまでなってしまう束。
 それは、彼女の世界の人間には到底想像もつかない……ごく普通の人間としての束だった。











===============











「ちょっと一夏、私だって素人に庇われるほど落ちちゃいないわよ。
 庇ってくれなくても大丈夫だから!!」
「シールドエネルギーがねえんじゃ腕の差なんて関係ねえだろっ!!」

 とはいアリーナの遮蔽シールドをぶち抜いた全身装甲機のビームは、エネルギーシールドをぶち敗れる代物。
 原理的にアリーナの遮蔽シールドとISのシールドは同じ物だからだ。
 直撃を受ければ、エネルギーが残っている一夏の方もタダではすまない。
 とはいえ、シールドエネルギーが枯渇寸前の鈴音よりもマシである事は確かだった。

 しかし、射撃用の武装が無い白式では、ビームを防ぐ楯として零落白夜を射線上に置く事が精一杯。
 距離を離せばとても戦えたものではなく、さりとて接近しようにも鈴音を庇いながらでは近づけない。

 一応鈴音も衝撃砲を放っているのだが、空間の歪みを見切られてしまうのか避けられてしまう事が多く、また命中弾も大したダメージになっている様子はない。
 防御力が非常に高いようだった。

 このままではジリ貧である。

 と、2人に通信が入る。
 プライベートチャンネルではなく、オープンチャンネルで、発信者は千早だった。

『2人とも、零落白夜か敵のビームで遮蔽シールドに穴を開けて一旦外に出て!!
 僕が入れ替わりで中に入って敵機を引き付けておくから、その間に白式のエネルギー補給を済ませて専用機持ちを集めるんだ!!』
『それでどうするんだよ!!』

 一夏もオープンチャンネルで答える。
 周囲で通信を聞いている者達に話の内容を分からせる為だ。

『零落白夜で突入口を開いて、そこから専用機持ち達に突入してもらう!!
 彼女達は全員僕達2人より強い筈だから、人数が揃えばアイツにも勝てる!!』
『分かった!!』

 その通信を聞いていた専用機持ちの少女達の動きは早かった。
 お互いに探しあい、スムーズに一夏と合流できるよう一塊になっていく。

 一方、一夏は敵機直上付近でワザとビームを撃たせて遮蔽シールドに穴を空け、そこから鈴音を抱えて瞬時加速で脱出し、入れ替わりに千早がアリーナの中へと突入する。
 無人機はなおも一夏達を狙おうとするが、千早の衝撃拳で体勢を崩されてしまう。

『千早っ、お前病み上がりなんだから無理すんなよっ!!』
『分かってる!
 こちらに注意をひきつける最低限の攻撃以外は逃げに徹する!!』

 プライベートチャンネルで互いに声を掛け合い、そうして自分のやるべき事に向かう二人。

(さて1巻の無人機か……
 逃げに徹すれば当たらないだろうけど……コイツが一夏狙いだった場合は、そうも言ってられないな。)

 千早は銀華のMaxスピードである940Kmで鋭角機動を行いながら無人機に迫る。
 無人機は長大な腕を振り回すラリアットで応じるが、いくらなんでもそこまで大雑把な攻撃が異常な運動性を誇る銀華に当たる筈もなく、逆にすれ違いザマにアンロックブレード『銀氷』で斬りつけられる。

(くっ、やっぱり堅いっ!!)

 銀華はISとしては非力な部類に入る。
 そのためか、時速940Kmの運動エネルギーを乗せた刃という暴虐の塊の筈の攻撃は、決定打には程遠いダメージしか与えられなかった。

(僕だけじゃあ火力不足かっ!)

 千早は内心そうこぼす。
 しかし、無人機の注意はひきつけておかねばならなかった。

 一方、一夏も困っていた。
 エネルギーを補給するアテが無いのだ。

 いつもはピットに戻ってエネルギーを補給していたが、今は観客席にしかいけない。
 あの機体のしわざなのだろうか、アリーナ中の遮蔽シールドがLv4に再設定され、アリーナ中の扉が全てロックされてしまっている。
 この状況では、エネルギー補給もママなら無い。

「くそっ、これじゃあ零落白夜が使えないぞ!!」
「あたしもこのまんまじゃ格好がつかないんだけど……」

 と、そこへ紅椿を身につけた箒がやってくる。

「箒?」
「紅椿の絢爛舞踏ならエネルギー補給が出来ると思ってな。
 もっとも、本来ならそうおいそれとは使えない単一仕様機能だ。
 実際、今まで何度も試してみたが、使えたためしが無い。
 ……まあ使えなかったら使えなかったで、紅椿のエネルギーをそのままお前にやる。」
「え? ああ。助かる。」
「でもコアエネルギーを融通しあうなんて、そんな簡単に出来るの?」
「普通のISならコアエネルギーを融通しあうのは難しいだろうが、紅椿は絢爛舞踏による自機及び僚機へのエネルギー補給を前提に開発されたISだ。
 やってやれん事は無いと思うが……」
「……補給用の割にトンでもない強さだよな。」

 戦闘機より強い空中給油機のようなものだった。

「いくぞ、一夏。」

 箒は「絢爛舞踏」という字面だけを頼りに、紅椿から絢爛舞踏の使い方を引き出し、実行しようとする。
 ……だが、仮にも単一仕様機能である。
 そう簡単に使えるものではなかったらしい。

「くっ、やはりやり方が分からんかっ!!」
「じゃあ、紅椿のエネルギーを直接白式に移すのか?
 そっちの方もやり方が分からないんじゃないか?」
「だが、単一仕様機能である絢爛舞踏よりは出来る可能性が高い。
 それに……お前の役に立たせてくれ。」

 箒がそう言って一夏の手をとる。

「展開装甲の応用範囲の広さなら……エネルギーの受け渡しぐらいやってみせろ……っ!!」

 紅椿の全身の装甲が展開し、光の流れが白式の中へと流れ込む。

「おっ、すげぇ、シールドエネルギーが本当に回復してきてるぞ。」
「よし、満タンになったら言え。
 こっちは消耗が激しい。
 どうも今のはあまり効率の良い方法ではないようだ。」


 と、その時、無人機が一夏達に狙いを定めてビームを放とうとして千早に阻止される。
 そしてエネルギーを満タンにしてもらった一夏は、他の専用機持ち達の所へ行き、彼女達が突入する為の遮蔽シールドの穴を零落白夜で切り開いた。


 ……その後は詳しく描写する必要がないほど、一方的な展開となった。
 一夏が空けた穴から突入した専用機持ち達の猛攻に、たった一機の無人機が耐えられる筈もなかったからだ。











===============












「無人機……か。」

 千冬はそうごちる。
 今回、アリーナを襲撃してきたISは、本来なら有り得ない無人のISだった。
 破損部分からナノマシン入りの水を入れてかき回す更識楯無の内部破壊によって、外装こそ無事ではあるものの中身はグシャグシャになっていた。

 が、ISコアは無事だった。

「467個のISコアに該当しないISコア……か。」

 実の所、銀華と紅椿のISコアも467個に入らない新造品なのだが、これらはISコアを自力で作ることが出来る束の手によって作られたISであり、さして不自然ではない。
 しかし無人機に関しては……

(「インフィニットストラトス」7巻には、無人機は『篠ノ之 束』にしか作れないと書いてあったのに、私が作った覚えの無い無人機がアリーナを襲った……か。)

 束の自己申告である為、真に受けるのはどうかと思ったが、確かに彼女にあんな真似をする理由は千冬には思いつかない。
 それに今の彼女は純正太陽炉やら男性用ISやらの研究でそれなりに忙しい筈だった。
 わざわざ無人機を作って、どこかからの刺客のように振舞わせるヒマはないはずだった。

(ふん、友人の弱みと言う奴か。
 なんだかんだ言いながら、奴を信じたい私がいる。)

 何にせよ、無人機の主を放置しておく事は危険なように感じたが、打てる手立てがない事も事実だった。

「歯がゆいな……」

 千冬は一言だけ、そうこぼしたのだった。











==FIN==

 さて、セシリアさんに続き、新たにちーちゃんを参考に女らしさを磨こうという女の子が出現しましたw
 まー、例えばまりやとちーちゃん並べて、どっちが淑女に見えますか、どっちを見習ったほうが淑女になれますかって言ったら……
 ちーちゃんの女子力はハンパ無いですからねww

 一方の束さんですが……こういう情報って小出しにした方がいいんでしょうけどねぇ。
 プロットほぼ無しの書きっぱなし品なので複線として回収できる自信も無く、ここで一気に大放出させてみました。
 一応この束さんの心情を知っているのは、ISキャラでは彼女一人です。
 おとボクキャラも、少なくともちーちゃんは知りません。

 しかし、絢爛舞踏なしでもこの人は電池ですか……


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