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No.26037の一覧
[0] 【ネタ】トリップしてデュエルして(遊戯王シリーズ)[イメージ](2011/11/13 21:23)
[1] リメンバーわくわくさん編[イメージ](2014/09/29 00:35)
[2] デュエルを一本書こうと思ったらいつの間にか二本書いていた。な…なにを(ry[イメージ](2011/11/13 21:24)
[3] 太陽神「俺は太陽の破片 真っ赤に燃えるマグマ 永遠のために君のために生まれ変わる~」 生まれ変わった結果がヲーである[イメージ](2011/03/28 21:40)
[4] 主人公がデュエルしない件について[イメージ](2012/02/21 21:35)
[5] 交差する絆[イメージ](2011/04/20 13:41)
[6] ワシの波動竜騎士は百八式まであるぞ[イメージ](2011/05/04 23:22)
[7] らぶ&くらいしす! キミのことを想うとはーとがばーすと![イメージ](2014/09/30 20:53)
[8] 復活! 万丈目ライダー!![イメージ](2011/11/13 21:41)
[9] 古代の機械心[イメージ](2011/05/26 14:22)
[10] セイヴァードラゴンがシンクロチューナーになると思っていた時期が私にもありました[イメージ](2011/06/26 14:51)
[12] 主人公のキャラの迷走っぷりがアクセルシンクロ[イメージ](2011/08/10 23:55)
[13] スーパー墓地からのトラップ!? タイム[イメージ](2011/11/13 21:12)
[14] 恐れぬほど強く[イメージ](2012/02/26 01:04)
[15] 風が吹く刻[イメージ](2012/07/19 04:20)
[16] 追う者、追われる者―追い越し、その先へ―[イメージ](2014/09/28 19:47)
[17] この回を書き始めたのは一体いつだったか・・・[イメージ](2014/09/28 19:49)
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[26037] リメンバーわくわくさん編
Name: イメージ◆294db6ee ID:eeea2184 前を表示する / 次を表示する
Date: 2014/09/29 00:35
「太陽よ、炎を纏いて龍となれ! 太陽龍インティ! レベル8で召喚!」



これは違う。もう全然違う。くそう、中々カッコいいシンクロ口上が決まらんぜ。

クイラはストライクですね分かります。

じゃなくて。そんな事をしている場合じゃなくて。



制服やら何やらは確かにこの部屋にあるけど、肝心のデッキがここにはない。

恐らくDホイールにセットしたままなのだろう。

まずそれを回収しないと何をするにも話にならない。主にSS的な意味で。

メタ発言? 何の事だかわからんな。



とりあえず捨て猫の如き俺を拾ってきた大徳寺先生を探すべき。

多分大徳寺先生は俺が捨て猫だったらもっと優遇してたよな。いいけどさ。

まさにレスキュー・キャット。なんのこっちゃ。



とりあえず用意されていたアカデミアレッドの制服に袖を通す。

サイズがピッタリなのは、俺が寝ている間に、あんなことやこんなことをされたからなのかもしれない。

思わぬところで大人になってしまった。



ヘルメットもないが、そっちもバイクと一緒にあるだろう。

あとあのDホイールはジェットスライガーに酷似しているだけで、本物じゃないのだ。

名前は鍵代わりのカードの名前と同じ『ホープ・トゥ・エントラスト』

ちゃんと書かなきゃ分からないよね。これ書いてる奴は焼き土下座すべき。

何故感想で突っ込まれていた事を知っているか? それはあれだよクアンタムシステムがついてるんだよ、あのバイク。

異種との対話しちゃってるんだよ。

ジェットスライガーというか、ジェッ○スラ○ガーとすべきだったね。

ちなみに元ネタはライダーだよ。555。

あとついでにバイクに乗ってガンバライドする時、ライディングガンバライドとガンバライディング。

どっちが正しいんだろうね。



そしてサンダーグレイモンは、

万丈目サンダーの中の人がデジモンセイバーズでやってた役、シャイングレイモン(アグモン)の事。

ちなみに十代の中の人、KENNも出てるよ! ジオグレイソードさんが唯一活躍した敵キャラとして。

みんな、こんな駄文見てないでデジモン見ようぜ!



と、そのあたりまで考えた所で着替え終了。

うん? メタ発言が満載? 何の事だかさっぱりだわ。

もう江戸川コナンやクワトロ・バジーナの正体くらい全く分からない話だ。



外へ出て、左右を見渡す。

デュエルアカデミア本校の中でも外れにあるレッド寮の周りは、本当に殺風景な場所だった。

まあ瓦礫の街よりはいいかもしれないが。

大徳寺先生の部屋なぞ知らんので、とりあえず食堂の中へと入ってみた。

いなかった。結論が早いが狭いのだからしょうがない。



と言うか誰もいないと言う事は、もう入学式始まってんじゃね?

まあ俺はさっきの流れ鑑みるに、十代とデュエルしたら今度はDM世界で遊戯とデュエルするんだろうし。

ここでの僅か一日に満たないだろう学園生活を満喫する気はないので構いやしない。



ご都合夢とはいえ、あのデュエリストたちと戦えるとはヒデキ感激だ。俺はヒデキじゃないけど。

シーフードカレーのCM出れるよね、みんな。まあヒトデやクラゲの入ってるカレーが売れるかは知らんが。

っていうか王様はカレーうどんのCMやってたね。そういえば。

それよりレモンヌードル食ってみたいわ。さっきシティに行って買えばよかった。



話が脱線事故を起こしているが、あいにく突っ込み不在なのでしょうがない。

しょーがなーいーしょうがないー。

さておいて。



食堂から出て、もう一度辺りを見回す。

やっぱり誰もいない。そういえば、今でも十代たちの部屋にコアラがいる筈。

だが流石に不法侵入はいけないだろう、常識的に考えて。勇者的に考えたら許されるが。

残念なことに俺は勇者じゃない。



そうそう、勇者といえばDMのデュエルモンスターズクエスト編のモクバ姫もといメアリー姫の中の人、

早乙女レイと同じなんだよな。

個人的にあの中の人のセリフで印象に残ってるのは、今日は本気でいくわよ!だ。

フユーン前はトラウマ。や、ユイチイタンほどでもないが。ギャランティマジうざい。シンセイバー(笑)



地の文が迷子。このgdgd感はこれを書き始める前に読んでた傾物語と無関係ではないだろう。

人のせいにすんなし。



うだうだと頭の中でgdgd一人ボケツッコミを繰り返していたら、視界に一人、ブルーの制服の人間が見えた。

可愛い女の子であるが、見た事はないのでモブキャラだろう。

他人の制服姿を見て思い出したが、20越えてる俺の制服姿って実際どうよ。

…留年したなら仕方なーいね。赤いと色々なものが三倍になるのさ。歳も三倍に見える能力が働くのさ。



アニメ描写見る限り、確実にレッドは話しかけるなks。

みたいな事になると思うが、やらないよりはマシだと思う事にして。



「すんませーん」

「?」



何故かレッド寮を目指していたように見える少女を呼び止める。

とりあえず第一段階は成功である。



「お茶しない?」

「はぁ?」



しまった、メダロットの思い出話をしていたらつい。

くそう、これは彼女が実はリバティーズのメンバーであることに期待するしか…



「ふざけているなら邪魔なだけだから。どいてくれないかしら」



ですよねー。

冗談冗談、と手を振って場を和ませる俺。全然和まないけど。

リアルで発動して欲しいカードが和睦の使者とか初体験でござる。



「いや、ごめん、冗談。ちょっと訊きたい事が…」

「嫌よ、何で私が……いえ、いいわ。代わりに私の質問にも答えてもらうけど」



ふん、と顔を背けながらも視線だけはこちらに向ける女の子。

これはもう性格:ツンデレだな。

ツンデレと言えばDM前の初代遊戯王ってDVDにならないのかな。

俺久しぶりに、キャベツがゴーゴン三姉妹を倒して、

「べ、別にお前を助けたわけじゃない。お前を倒すのは俺の造ったDEATH‐Tなんだからね!」

って言ってるのが見たい。

いや、基本的に嫁自慢にきただけだったがな。



そう言えばあの頃のカードまだ微妙に残ってたなぁ。

あと初代の頃にモンスターが書かれたトランプ出てたよな、あれどこ仕舞ったっけなぁ…

ついに書き手の完全なチラ裏と化してきた。

今更か。



「ああ、分かった。俺に答えられる事なら」

「そ。じゃあ、あなたから」



うむ。と、その段階に至って、少女の姿をよく見る。

ロングのブロンドヘアー。と言うと、GXでは明日香をイメージする。

が、彼女はどちらかと言うとシェリーのような外人さんな雰囲気があるようなないような。

シェリーとは直接会ってないけどな。



「もう入学式って始まってる?」

「ええ。新入生?」

「んー、まあ」



どうやら遅刻らしい。まあ問題ないからいいか。

次は彼女の質問。



「数日前、大きな水上バイクと新入生が流れ着いたと聞いたの。

 その事を訊きたかったのだけど、新入生じゃ……

 あなた、新入生は本来、この島に来てそのまま講堂で入学式をする筈だけど?」

「漂流者でして」

「あなたが?」



ねめつけられる。美少女にされるなら本望なので問題ない。

彼女は顎に手をやり、少し考えてみせたあとに、太腿に巻いたデッキホルダーから一枚のカードを取り出した。

おお、エロいエロい。



だが、そんな日常にちりばめられたエロイベントの一つを吹っ飛ばす、一大イベントが発生した。

彼女が取り出した、一枚のカードから。



「…バイクにはデッキホルダーがついていて、そのデッキには白いモンスターカードが入っていたそうね」



取り出されたるは彼女の言う白いモンスターカード。

シンクロモンスター。

何故にこの世界にあるのか。パラドックスか、あいつが悪いのか。

なんて奴だ。これは2月26日から公開される、

『劇場版遊戯王~超融合!時を越えた絆~』のアンコール上映を劇場まで見に行き、文句を言わねばならんね。

更にアンコール上映と同時に発売さえるMOVIE PACKを買おうぜ。



「ああ、入ってたよ。14枚ほど」

「………」



エクストラデッキの制限ギリギリだ。

後1枚? エクィテスさんに決まってるだろ。

この前のデュエルでも出したかったけどスピード・フュージョンなんて持ってないから仕方ない。



隠す気のない俺に毒気でも抜かれたか、彼女は拍子抜けした表情で俺を見る。



「…これはシンクロモンスターと言って、一般には出回っていないカードよ。

 何故あなたがそのカードを持っているの?」

「未来から来たからね」



しーん……

場に静寂をもたらす俺の一言。こういうのを鶴の一声と言うのだろうコケコッコー。

全く違う? そうですか。



「……正気?」

「ふぅん、質問が多いぞ貴様」



睨まれた。でも長々と質問攻めにあうくらいなら、とっとと十代とデュエルしに行くべき。

そうすればこのよく分からない状況を打破出来るしな。



「未来にタイムマシンがあるのはおかしいか?」

「………ありえなくは、ないだろけど」



いや絶対おかしいから。普通に考えてありえないだろ。

ドラえもんじゃあるまいし、そうそう色々な法則を無視されてたまるか。

が、バクラと言うかゾークなら出来るかも分からんね。

ゾーク・ネクロファデスは邪神然としててそれなりに好きだが、ラスト・ゾークの方がモンスターとしてはカッコいいと思う。



「それは明かして大丈夫な事なの?」

「訊いた当人から言われても…いいんじゃない? 多分」



本来の時間であり得ないモンスターを未来から過去に送るのはZ‐ONEもやってた事だ。

多分OKだろ。ギリギリセーフなラインの筈。



「で、仮に俺が未来人で、未来ではシンクロが一般で流通してるから持ってたとして、それ以上の質問は?」

「―――じゃああと一つ、トリシューラというシンクロモンスターを知ってる」



現環境最強のモンスターですね、分かります。

ってか何でトリシューラ。これはイエスにすべきかノーにすべきか迷うな。

あのDホイールの中に入ってるしな、トリシューラ。



目の前の少女の目を見る限り、ここからは何だか踏んだらいけない地雷原な臭いがする。

何と言う危機回避能力。で、ここはどうやって抜けるべきか。



「知らない、と思う。全部のシンクロモンスターを知ってるわけじゃないからどうにも曖昧だけど」

「そう……なら、さっきの仮定を真実とすれば、未来ではトリシューラの脅威はないって事ね」



トリシューラの脅威? 鼓動じゃなくてか。

っていうか、何故にシンクロモンスターがこの世界にあるんだよ。

まさかホントにパラドックスが引っ張ってきたわけじゃないだろうに。



「で、トリシューラって言うのは?」

「それを話す前に。

 あなたは何年か前に行われた、海馬コーポレーション主催のカードデザイン募集イベントを知ってる?」



ああ、ネオスとユベルを打ちあげた話だな。

ネオスたちの存在や、ユベルの愛理論も完成せずに二期以降がガッツリ吹き飛ぶどころか、

何気にあれがなければ十代は鮫島校長に目をかけられる事もなくなって、クロノスに落とされてたんじゃないか?

というレベルの重要イベントだったな。

流石社長。やることが一味も二味も違う。



「知ってる。宇宙の波動を受けたカードを作ろう、って企画だったっけ」

「ええ、そうよ。でもその宇宙の波動でカードが生成されるという話は、どこからきたか知ってる?」

「いや?」

「落ちて来たのよ、その企画より前に。宇宙から3枚のカードが」



ΩΩΩ<な、なんだってー!

待って、待ってくれ。やばい、置いて行かれそうなくらいいきなり話が加速した。



「宇宙から南極に落ちた3枚のカード、それは白いモンスター。氷結界の龍という名のカードたちだったわ。

 それは慎重に回収され、1枚はインダストリアルイリュージョン社のペガサス氏の許へ。

 1枚は海馬コーポレーションの海馬社長の許へ。

 そして、最後の1枚は―――シンクロモンスターをデュエルモンスターズに組み込むべく、

 研究と開発を任された一人のカードデザイナーの許へ……」



なんだこの女の子がそのカードデザイナーの娘さんフラグ。



「だけど、開発は難航したわ。

 シンクロモンスターを、通常のモンスターとチューナーと呼ばれるモンスターを使い、召喚するところまでは順調だった。

 でも……」



むしろそこ以外で難航する場所が見当たらないのだが。

何が難航したというのだ。



「召喚された氷結界の龍 ブリューナクは制御出来ず暴走し、

 そのカードデザイナーに与えられた研究施設を破壊し尽くしたわ。そのデザイナー自身をも巻き込んで……」



あれ、俺は今カードゲームの話をしていたんだよな。

一体全体どこを繋げたらその結果に辿りつくのだろうか。

もうちょっと初心者向けに、優しくお願いしたいのだが。



「その結果、事態を重く見たペガサス氏は三体の龍を封印した」

「……で、さっきまで言ってた事と合わせると、そのカードの封印が解かれて盗まれた、とか」

「ええ、そうよ。アメリカのペガサス邸、インダストリアルイリュージョン社、海馬コーポレーション。

 それぞれ封印処理されたカードは全く別の場所で厳重に警備されていた。

 筈なのに、3枚とも同日、同時刻に盗まれてしまった」



手があるならそれが最も効率のよい盗み方だったのだろう。

1枚盗めば自ずと残るカードの警備は強まる。

全てを同時に盗めば、警戒ランク最低の状態で全てのターゲットを処理出来るのだ。

ただそんな事、彼の盗賊王だって出来るかどうか…



「私はそれを探しているの。

 あなたが知らなかった、と言う事は未来はあんなカードに壊されはしないということね。

 話半分にして、信じておくわ」

「俺の疑い、何で晴れたのかよく分からないんだけど」



よくわからないが、それはそれでシンクロを知っている俺を徹底的に絞るべきではないのか。

冗談ではないが、普通に考えてそうするべきな状況に、口が勝手に動いた。

ただ少女は、俺に背を向けて来た道を戻り始める。

その途中、足を止めて顔だけ振り抜き、微かに口を歪ませた。



「貴方、カード盗むような顔してないわ」



キラッ☆

なんて、カッコいい女傑だったわけだが、遊戯王のヒロインはイケメンじゃなければいけないのか。

と言うかお前ヒロインじゃねえよ。



「出来そうにも見えないし」



ですよねー。そうなっちゃいますよね。

彼女はそれを言い残して、鮮やかに立ち去って行った。



「んーむ、流石アニメで最強公認されたカード。パネェわ」



きっともうあれだ、三つの首で過去、現在、未来を除外してしまうのだろう。

劇場版第3弾ktkr。



まあそれはおいおいとして、俺はDホイールを探しに行くとしよう。

あれがないと十代とデュエル出来ないし。

さて、今度はどのデッキを使おうか。深く考えてなかったが、感想見ると色々使うの期待されてないでもない感じだったし。



M・HEROや妖怪はOCGカード足りないって。

モンスターカード2枚or5枚だって。まあ漫画HEROと言う括りなら十分いけるか。

通常召喚可能なモンスター入れてないリシドやら7枚しかないヨハンじゃあるまいし。

と言うか、TG組みたい超組みたい。ブルーノォオオオオオオオオオオオオオ!!!

あと機皇組みたい超組みたい。アポリアカッコいいよアポリア。

俺、機皇組んだらマシニクルとアステリスクを三積みするんだ…(死亡フラグ)



優秀なのは分かるが、サイバー・マジシャンSRきつ過ぎる…

ワンダーは揃ったがサイバーが一枚もない。

あとライブラリアンのせいでグラディエイター影薄いよ。

そりゃライブラリアン×2+フォーミュロンの方がいいもんね。

効果でドローブーストかかるし。



つーかギア・ゾンビは諦めるとしても、ドリル・フィッシュOCG化しろよ。

バスター・ショットマンしかブルーノが使ったレベル1非チューナーいねぇじゃねーか。



そうだね、書き手のコナミへの文句など激しくどうでもいいね。

もはや趣味のブログレベル。



Dホイールはレッド寮の裏手に放置されていた。

でかいから滅茶苦茶邪魔だしな。

マシンが放置されてるのはまだしも、潮風にカードをさらすなし。



デッキの内容を変更するためには、こいつのモニターに映る画面で編集すればいい。

なんと便利な…



文字通りのカードキーは挿入しっぱなしだったので、モニターをタッチして操作する。



『くぁwせdrftgyふじこlp』

「うぉおおう!?」



何だかいきなりバイクが喋った。だが分からん。

俺はアメリカ語は分からない。英語だって分からない。日本語だってあやしい。

べ、別にエキサイト先生に頼んで翻訳するのが面倒だったとかそういうんじゃないんだからね!



「に、日本語でおk?」

『くぁwせdrftgyふじこlp…言語設定:日本語』

「できたし」



流石だな、俺。まさかあの難解な英文を一瞬で日本語に変換してしまうとは。

ほんやくこんにゃく涙目。他の奴ならばこうはいかなかっただろう。

バ、バームクーヘン? とか言っちゃったに違いない。

ビバ・ノウレッジとか言って、ビバはイタリア語で、ノウレッジは英語だ。とか突っ込まれたに違いない。



「で、何で喋るんだ。このバイク」

『要求:「で、何で喋るんだ。このバイク」の明確な内容を入力して下さい』



はぁ? 何様なんだこのバイクは。

俺はどこでもいっしょをやってるわけでも、シーマンをやっているわけでもないと言うのに。

実際やったことねぇから昔話に発展しないじゃないか。



あ、でもポケットステーションの話は出来るぞ。

封印されし記憶はポケステゲーだったよね。

ポケステを封印されし記憶とデジワー2以外で使った記憶はない。



「あー、えーと。お前が、何で音声出すのか、疑問なの」

『予測結果:「ホープ・トゥ・エントラスト搭載型デュエルAI・“X”が、

 搭乗するD・ホイーラーを対象に行う音声ガイド」が最も確立の高い原因と予測』

「はぁ…」



そんな話ジジイから聞いてはいなかったが。

まあ付いてる機能を活用するのは悪い事じゃないか。



「何で今まで喋らなかったの?」

『要求:「今まで」の期間を指定してください』



何だ、そのくらい勝手に予測して答えろよ。



「俺が初めて乗った時から、今まで」

『要求:「俺が初めて乗った時」の明確な時期を…』

「ああ、もうめんどい。予測して答えろ」



モニターのタッチパネルを適当に触るが、モニターが音声ガイド中という画面から切り替わらない。

なんという奴だ。こちらの操作をガン無視してやがる。



『前提:ホープ・トゥ・エントラスト開発後より今回起動時の間。

 予測結果:約37時間前に始動キーの投入を確認。よって、約37時間前と予測』

「ああはいはい、よくできました。で、何で喋らなかったの」

『回答:デュエルエネルギー不足のより、デュエルAI・“X”の起動が不能だったため』



デュエルエネルギーですってよ。

デュエルは凄いね。不思議現象は当然に、デュエル発電まで出来るんだから。

電気・化石燃料「もうあいつ一人でいいんじゃないかな」



「で、何で今は喋れるの」

『回答:約37時間前に行われたライディングデュエルにより、デュエルエネルギーを充填。

 充填したエネルギーを使用し、タイムワープを実行。

 現在の起動状況は20%を下回っているため、再度のタイムワープは不可能』



タイムワープ。…タイムワープ?

駄目だスネーク! 未来が変わってしまった! タイムパラドックスだ!

世界の未来を守るため、俺のリロードはレボリューションだ!

違うお前じゃない。



そんな事はどうでもよくて、だ。

…実際、これって本当に夢なんだろうか。

まあこの状況が夢以外のなんだと言うとあれなのだが、少なくともこんなリアリティのある夢は他に見た事無い。



夢ではないと仮定して、他にどんな状況となるか。

本当に現実世界…と言うか、俺の世界から遊戯王世界へきてしまったと言うのがまあ妥当。

原因としてはこのバイクとジジイ。

問題としては、帰還が可能かどうか、それに尽きる。

帰還出来るなら特に問題ない。遊んで帰ろう。



「質問だ」

『了解:要求:質問の内容を入力して下さい』

「俺が元にいた世界に戻る方法は?」

『要求:「元にいた世界」の意味を入力して下さい』



え? …具体的に元にいた世界と考えると、なんと説明すればいいのか。

むぅ、正直どこが違うとかどこが合ってるとか口での説明は不可能な気がする。



「質問変更。そのワープ機能って並行世界とか行ける?」

『了解:要求:「並行世界」の明確な範囲を指定して下さい』

「いや、ぁ~…? んん~? 例えば今この時と同じ時代だけど、このデュエルアカデミアみたいな学校が無い世界に、

 今の俺のままで行く事出来る?」



数秒沈黙。



『特殊回答:ホープ・トゥ・エントラスト搭載の〈System Advent "X" Duelist〉は、

 時間軸の移動、別次元世界への移動、時空・次元を越えたデュエルエネルギーのサーチが可能。

 時間軸及び次元の位相が観測できる範囲であれば可能』



ここは俺からすれば2次元の世界なわけだが、つまり3次元から2次元に来たって事になるのか。

っていうかここが元いた世界から見て2次元だとすれば、こちらから3次元を観測できず、戻れないと?

いや待てれれれ冷静になれ。十代だって雨上がり決死隊を召喚する事が出来たんだ。

どうにかして3次元を観測する方法はある筈だ。



ハッ!? つまり俺は3次元の人間たちから観測されていると言うのか!?

貴様! 見ているなッ!



え? さっき読者がどうのだのクアンタムがどうのだのメタってたのはどこのどいつだって?

さあ、俺のログには何もないな。

上にスクロールさせるなよ。絶対にさせるなよ。

ともかく。シリアスにならん奴だな、俺は。



超融合ならどうよ?

もうあれなら余裕で12次元くらいまで干渉出来ちゃうっしょ。どうよ。



「よし、カード検索だ。超融合だして」

『了解:検索:『超融合』:検索終了:結果・該当0件:関連カードを再検索しますか?』



ぶ、それはない。持ってた筈だ。…嫌な予感しかしなくなってきた。



「嫌な予感で背筋がゾクゾクするねぇ。さあ、検索を始めよう。

 検索ワードは『E・HEROエレメンタルヒーロー ネオス』…あと『氷結界の龍 トリシューラ』も」

『了解:検索:『E・HEROエレメンタルヒーロー ネオス』・『氷結界の龍 トリシューラ』

 検索終了:結果・該当1件。『E・HEROエレメンタル・ヒーロー ネオス』がヒット』



……ネオスはあるのか。なら、その時代にありえないカードが消える。ってわけではないと。

で、だ。



……確実に俺のせいだよね? 宇宙からトリシューラ降ってきたの確実に俺のせいだよね?

マジですかしら。いやいや、盗み出したどうの以前に根本的に俺の責任じゃねぇか。

うっわぁ…つーことは、



「再検索、『氷結界』のシンクロモンスターで」

『了解:検索:『氷結界』と名のつくシンクロモンスター:検索終了:結果・該当1件。『氷結界の虎王 ドゥローレン』』



虎さんはぶられてる…あと制限解除おめ。

くそう、トラメダルさんといい何故世界はここまで虎に辛くあたるのだ。

一体虎が何をしたと……

ナチュルガオドレイク! ドゥローレン! スピードジャガー!

ガオ! ガオ! ガァアオ! 百獣戦隊ガオレンジャァアアアッ!

歌は気にするな!



ってちげぇよ。10年と30分くらいずれてるわ。

つーかスピードジャガーOCG化してねぇし。

俺の天使、スピードウォリアーさんと似た名前のスピードジャガーさんの活躍が見たい人!

遊☆戯☆王R 全5巻好評発売中だ!



ボケてないでどうにかする手段を考えないとな。

ううん。まあ行動に方向性を付けるとすれば、

1.俺がするべきは元の世界への帰還。

2.その為に必要なものは(恐らく)超融合辺りの、(この世界では)リアルで危険なカード。

3.俺が原因の一端と思われるトリシューラ等の回収も行うべき。と言うか捨てて帰る気はない。



まあいうまでもなく最初にやらなきゃいけないのはカードの回収。

と言う事は、あのイケメンヒロイン(仮)と協力するのが一番いいだろうな。

ちょっくら追いかけて話しようか。



Dホイールを起動する。モーメントエンジンは一気に最大稼働。

もしもの時のため、デッキも準備しておく。

折角なのでHEROデッキだ。



『警告:デッキレシピに指定されたカードを所持していません。

 不足カード:『ハネクリボー』」



あれ、ネオスはあるのにハネクリボーはないのか。

本当にランダムで無くなってるっぽいな。

あとで中のカード確認しておこう。

とりあえず今回は代わりに翅無しいれとくか。



「って、あ。俺スタンディングのためのデュエルディスク持ってないや。

 このバイクの中に入ってたりしないか?」

『回答:一般に使用されている腕部装着型デュエルディスクはありません。

 特殊回答:ホープ・トゥ・エントラストではスタンディングデュエルを行う際、モードチェンジを行います』



……あれ、嫌な予感。

いやいやまあそれはあれだ、考えすぎなのだろう。気にしなくても問題ないさ。

じゃあ行きましょう。大丈夫、合体なんかしないし、出来ない…筈!

念のためにサイキックアーマーヘッドとは合体しておく。

つまりヘルメットをかぶっておく。

かぶるとやっぱり、お前たちに名乗る名はない現象が発生する。



アクセルを開放する。

ビルに突っ込んでもビクともしないボディのDホイールは、今もまるで新品のようだ。

レッド寮の裏手の崖っぷちから躍り出た車体は、ありえないくらいタイヤの角度をぐるぐる回す。

半ばベイブレードの動きで飛び出す俺。



その目の前、丁度レッド寮の目の前へと飛び出したバイクの目の前。

そこにはなんと、この寮の生徒がいた。

またこのパターンである。ワンパターンすぎる。



手にしているのは恐らく寮の部屋番号でも書かれた合格通知の類だろう。

つまりは、入学式を終えて初めて寮に来た生徒だ。

どこかの蟹型もとい髪型みたいな奇抜なんて事はなく、髪型は丸みのある、普通の髪型。

しいて例えるならばクラゲ。ドククラゲ。

ちなみにポケモンはカーバンクル・ペガサス・タートルまでしかやっていないので今のは分からない。

どちらかと言うとデジモン派だからである。



この文を書いている時に丁度D-Artsオメガモンが発売された。勿論買った。

オメガモンマジカッケェ。いや、カッコEー!

え? 異世界に迷っているのに何の話だって? ただの電波である。



曲芸機動で現れた俺をポカンとした目で見つめる、二対の視線。

先程の遊戯王的に突っ込み辛い髪型をしたクラゲ、遊城十代。

そしてその眼鏡に意味があるのかどうかと問いたい感じの、背の低い少年、丸藤翔。



まあ、予定は狂うが。

ここで十代と闘ってからでもいいか。そもそも別に今日でなくてもいいしな。

イケメンヒロイン(仮)に会いに行くの。

ある程度解決策に繋がる道があれば、そこはもう余裕を持って行動するべきである。

最悪、超融合はこの世界であと2年待てばね。十代に貸してもらえるかもしれないしね。

そのためにはここで十代と友好関係を築いておかねば。



「さあ新入生くん! レッド寮の掟デュエルだ!」

「おぉっ! そんなのがあるのか! 翔、ちょっとオレの荷物持っててくれ」

「えっ、ちょっ、十代くん!? あんな見るからに怪しい人とデュエルするの?」



俺も翔の意見に賛成である。なんだこの十代、ワクワクさんすぎるわ。



「あったりまえだろ。せっかくデュエルを挑まれたんだ、受けなきゃ損じゃないか」



荷物の中から今日配布されただろうアカデミアディスクを取り出し、腕に装着する十代。

腰のデッキホルダーからカードを引き抜き、ディスクのホルダーにかませる。



「ところで先輩、デュエルディスクしてないけど?」

「うむ、とりあえず俺は先輩ではない。お前たちと同じ新入生だ」

「えぇ!? じゃあレッド寮の掟デュエルって……?」

「今考えた」



肩を落とす翔。反対に、何故かテンションの上がる十代。



「そんなにデュエルしたかったのか! やっぱりここはデュエル好きな奴が集まるんだな…

 くー! 面白いぜデュエルアカデミア! お前の挑戦、オレはいつでも受けるぜ!」

「フフフ…」



デッキをホイールのホルダーにセットし、スタンディングデュエルをセットアップ。

すると、



『スタンディングデュエル:セットアップ』



Dホイールの後部が中央からタイヤごと二つに分かれる。

俺が乗る運転席の左右を塞ぐガードのようにそれがスライドし、同時に前輪が横向きに倒れた。

二つに分かれた後輪も倒れ、三つとなったホイールが回転を始める。

そうなった直後、Dホイールだった筈のものが、浮 き は じ め た。

三つの車輪の回転を浮力に空中を浮遊する俺たち。

能力といいこれはパラドックスのアレか。



これスタンディングやない、フライングや。



「すっげー! 飛んだ! なぁなぁそれ後でオレも乗らせてくれよ!」

「じゅ、十代くん…そういう問題じゃ…」

「フフフ…これぞデュエルディスクの究極形態だ!」



デデーン。



「さあ、やろうぜ! デュエルだ!」

「ああ、行くぞ!」



「「デュエル!!」」



互いのプレイヤーはカードを5枚ドローし、デュエルディスクに先攻の選択預ける。

先攻の権利を会得したのは。



「俺の先攻、カードドロー!」



うむ、実に怖い。

カードを思いっきり引き抜くと足場がぐらついた。

なにここ超揺れるんですけど。マジでヤバいって。スゲー怖いんだって。



「フ、フフフ…E・HEROエレメンタルヒーロー エアーマンを召喚!」



青い肌の上に青い鎧を纏う戦士。

顔は兜に付けられた顔面を覆うバイザーに隠れて見えないが、その屈強な肉体は鎧の上からでも見て取れた。

その最大の特徴と言えば、鎧の背中に付いた一対の翼である。

機械的な翼には両翼の中央にプロペラが存在している。見て取れる属性は風。

あらゆるエレメントを持つに戦士たちによって構成されるシリーズ、E・HEROエレメンタルヒーローの一人。



E・HEROエレメンタルヒーロー…! あんたもHERO使いなのか!」

「フフフ…それは俺の顔の一つにすぎない。俺はあらゆるデッキを使いこなすデュエリスト! 宇宙デュエリストX!」

「すげー!」



なん…だと…! 突っ込み待ちの俺のボケをスルーした、だと…!

翔、丸藤翔! お前だけが俺の希望だ、突っ込み来い、カムオン!

カムオンって何だか時械神みたいだね。



「変な名前だなぁ」



感想なんか訊いてない。突っ込めと言うのに。

俺は自分のボケを自分で回収しなくちゃいけないと言うのか。これがメダロットのネタだと言う事も…

ブラックビートルは俺の嫁。色々な意味で時代を先駆けたコクエンには尊敬の念を送らざるを得ない。

関係無い話多すぎる。っていうか突っ込みが欲しい。



E・HEROエレメンタルヒーロー エアーマンの効果発動!

 こいつが召喚に成功した時、デッキからHEROと名のつくモンスター一体を手札に加える事が出来る」



またはエアーマン以外にフィールドに存在するHEROと名のつくモンスターの数だけ、

魔法、罠ゾーンのカードを破壊出来る。

だが今俺の場にはエアーマンのみで、魔法、罠ゾーンにカードは存在しない。ので、意味がない。



「俺はデッキから、E・HEROエレメンタルヒーロー フラッシュを手札に加える」

「おお、また見た事ないHEROだ! なあなあ、このデュエル終わったらよく見せてくれよ!」

「お前が勝ったらな」



デッキがオートでサーチし、俺がそれを引き抜くと勝手にシャッフルされる。

それを見た十代は、更に追撃をかけてくる。



「おおおおお! デッキが自動でシャッフルされるのか! それいいなー」



お前、俺今飛行してるんだが。何で手元が見えるんだ。

デュエリストの視力はマサイ族並みなのか?

むしろデュエリスト族と呼ぶべき新人類と化しているのか。



伏せリバースカードを2枚セットし、ターンエンド」

「よっし、オレのターン! ドロー!」



手札を6枚、全て指差すようにして確認した後、十代は笑った。



「融合発動! 手札にある二体のE・HEROエレメンタルヒーロー

 バーストレディとクレイマンを融合する事で、新たなるHEROを召喚する!」



十代の目の前の空間が歪み、融合の効果が発動される。

その歪みの左右にそれぞれ、モンスターが現れたのだ。



一本の角が反り立つ黄金の冠を被り、黒い長髪を背後に広げる女性。

その胸元が際立つ細く女性的な肢体には赤い紋様が描かれている。そこから読み取れる属性は、炎。



球状の胴体に赤い頭部を乗せ、土偶を連想させる無表情を描かれた土塊。

太く、力強い四肢は全て粘土で作られているような身体を見るに、属性は地。



二体の戦士は同時に、空間の歪みに身を投じ、溶け合っていく。



「来い、E・HEROエレメンタルヒーロー ランパートガンナー!」



捩じれた空間が打ち砕かれる。

混ざり合った身体は面影を微かに残しつつも、全く別のそれへと造り変えている。



粘土どころか鋼鉄の装甲に包まれた肉体。

左腕には赤い装甲の盾が装備され、右腕は多連装ロケットランチャーとなっていた。

外から見る限り、唯一女性の面影が見えるのは、頭部。

黄色いヘルメットと赤いバイザーに隠されてはいるが、口許が僅かに露出している。



重装の兵器は重々しい音を立て、大地へと足を下ろす。

それを見届けた十代は、何の迷いもなくそのしもべへと指令を出す。



「バトルだ! ランパートガンナーで、エアーマンを攻撃。ランパート・ショットォッ!」



重々の身を繰っているとは思えない素早さで突き出された右腕が、炎を噴き出した。

十数と放たれた小型のミサイルは、空中にいる俺の隣で待機しているエアーマンを目掛け、加速してきた。

ランパートガンナーの攻撃力は2000。そして、エアーマンはそれを下回る1800。



エアーマンが身構え、翼のプロペラを回転させる。

発生するトルネードはエアーマンを包み込む風の障壁となり、ミサイルを防ぐ防壁と化した。

風に衝突し、爆散するミサイルたちはしかし無意味などで無く、その爆風のみでエアーマンを破壊に導く。

爆炎と衝撃は障壁を突破し、高速で回転を続けるプロペラを侵す。

メキメキとひしゃげ、折れ、砕けるプロペラ。



それは同時に飛行能力を失う事を意味し、地上へと引き寄せる重力に逆らう手段を失った事を意味する。

浮力を失った身体は真っ逆さま、地面に落ちていく。

だがしかし、風の戦士がその足を地に付ける事はなかった。



落下先に待ち構える重戦士は重火器である筈の右腕を振り上げる。

頭から落ちるエアーマンにそれを躱す方法などなかった。

超重の鈍器に殴打された身体は、ガラスの如く砕け散り、消滅した。



俺のライフカウンターが4000から3800まで削られる。



トラップ発動、ヒーロー・シグナル!」



だが同時に、それが俺の狙いを満たす。

最強の戦士を呼び出すための布陣。



「自分フィールドのモンスターが戦闘によって破壊された時、」

「手札かデッキからレベル4以下のE・HEROエレメンタルヒーローを呼べる、だろ。

 知ってるって。次はどんなHEROが出てくんのか楽しみになってきたぜ」

「フフフ…その余裕がどこまで持つかな?」



何せ、そいつはあらゆるHEROの中で最強と噂される融合モンスター。

そう簡単に攻略は出来ないのは、分かり切っている話だ。



E・HEROエレメンタルヒーロー オーシャンを守備表示で特殊召喚!」



海色の肌を持つ、その名の通り海の化身である戦士。言うまでもなく、その属性は水。

魚類の背ビレを彷彿とさせる角を頭部に生やし、海の中でもその存在を誇示する真紅の瞳を輝かせる。

手にした白い杖を奮い、俺の目前で片膝立ち、腕を交差させた姿勢で身体から透明感を失った青に変えた。



「あ、青くなった」

「ホントだ、何でだろう?」

「お、俺のフライングデュエルディスクには守備表示モンスターをより分かり易くする、

 バーチャルシミュレーションシィス↓テェム↑を実装しているのさ」

「へー」



そういや5D’sからだもんな。あの青くなるの。

ついでに戦闘が派手になったのもゴッズからだよな。

そしてその派手な戦闘シーンの皮切りとなったのは俺らの英雄スピード・ウォリアーさんだよな。

マジパネェっす。



「オレはカードを1枚伏せて、ターンエンドだ」

「俺のターン、ドロー!」



既に呼び込まれた水の力と、それを宿すためのHEROの名を冠する戦士。

後は1枚、その力を呼び起こすためのキーカードを呼び込めばいい。



「オーシャンの効果を発動!

 自分のスタンバイフェイズ、フィールド、または墓地のHEROと名のつくモンスターを手札に加える。

 俺が選択するのは当然、エアーマンだ」



と言うかそれしかいない。オーシャンを手札に戻す事も出来るが。



「そして、E・HEROエレメンタルヒーロー クノスペを召喚」



四つの蕾と葉で身体が出来ているHERO。

頭部にあたる蕾は微かに花を開く予兆を見せており、可愛らしくも強さを秘めた眼をしている。

両腕の蕾は固く閉じており、それで相手を殴ればそれなりのダメージを与える事が出来るだろう。



「おー、あんなHEROもいるんだな」

「クノスペは場に他のE・HEROエレメンタルヒーローがいる場合、攻撃対象に選択できない。

 そして、クノスペ自身は相手にダイレクトアタックする事ができる」



クノスペがふんふんと蕾の両手でシャドーボクシングする。



「クノスペで十代へダイレクトアタック!」



葉っぱの足でひらひらさせながら、十代目掛けて飛びかかる。

しかしその瞬間、ランパートガンナーが十代の前に立ちはだかった。

だが、そこでクノスペの力が発動する。



俺の目の前で防御態勢を取っていたオーシャンが、ランパートガンナーに向かって行く。

シールドを掲げていたガンナーに組みつき、クノスペの道を切り拓いた。



「げっ、あだっ!」



硬い蕾は鈍器として丁度よかったらしく、十代は頭を殴打される。

別にソリッドビジョンは痛くないが、これはふいんき(何故か変換できない)の問題だろう。



クノスペの攻撃力は600。ダイレクトアタックを受けた十代のライフは3400。

更に、ここでクノスペの効果が発揮される



「クノスペは相手に戦闘ダメージを与えた時、守備力を100下げて攻撃力に加算する効果を持っている」



クノスペの元々のステータスは攻撃力600、守備力1000。

よって、今のクノスペの攻撃力と守備力は700・900と言う事になる。



「ターンエンド」

「おう! オレのターン、ドロー!」



ドローしたカードを見た十代は微かに笑い、そのカードをディスクに置いた。



E・HEROエレメンタルヒーロー スパークマンを召喚!」



電撃が十代の足元から立ち上る。

青い身体を黄金のボディアーマーで包み、ブルーのマスクで頭部を全て覆い隠す戦士。

それが両の拳を目の前で打ち合わせると、周りに飛び散る電撃が腕のリングに嵌められた宝玉に集う。

雷光を自在に繰る光の戦士。



「バトルだ! スパークマンで、オーシャンを攻撃!」



アーマーの背中に伸びる二枚のブレードの間に雷電が奔り、背中肩当てに嵌められた宝玉へ。

手首のリングの宝玉でそれを再び放出し、掌で押し止める。



「スパァアアアク、フラァアアアッシュ!!」



解放された光が矢となり、オーシャンを目掛け殺到する。

幾条もの閃光の刃の威力はスパークマンの攻撃力に準拠し、1600。

守備力1200しか持たないオーシャンがそれに焼かれれば、あっという間に焼き魚と化すだろう。



トラップ発動! 攻撃の無力化!」



オーシャンの目前。空間の捩じれが生じ、裂けていく。

先の融合召喚とは違い、その歪みはモンスターを融合する特殊な空間などでなく、それは虚無へと繋がる孔。

あらゆる攻撃を呑み込み、次元の彼方へと捨て去る冥界の秘奥義。



いや、知らないけど。マハードが冥界の時空とかいう技を使ってたので、それっぽくなくもない。

どっちかと言うとあれは筒だが。



「相手モンスターの攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了させる」

「ちぇー、ターンエンドだ」

「俺のターン、ドロー!」



きた…きた…ザワ…ザワ…

俺のデッキ。いや、あらゆるHEROの中でも圧倒的なまでの破壊力を持つ戦士。

最強の名に相応しい絶対零度の冷気。



「俺は手札から魔法マジックカード、融合を発動!」

「融合HEROか! やっぱ融合モンスターもオレが見た事ない奴かぁ?」



十代は相変わらずワクワクさんだが、それもいつまで続く事か。

例え十代の力をもってしても、こいつが如何に倒し難いモンスターなのかは言うまでもない。

それほどにこいつは、強い。強すぎると言ってもいい。



単体の火力は最上級モンスターの平均値。

そこだけ見れば、最強などと言ってもやや頼りなく見える。

だが、真価はその効果にある。



「フィールドの水属性モンスター。オーシャンと、HEROと名の付くモンスター、クノスペを融合!」

「水属性と、HERO?」

「そう! これこそがE・HEROエレメンタルヒーローの特性である属性の豊富さから生まれる力。

 エレメンタルフュージョンパワー・メイクアップ!!」



なんのこっちゃ。そんなシステムは存在しない。セーラームーンプラシドかよ。

ただ言ってみたかっただけである。



「エレメンタル…フュージョンパワー…!」



何故一番重要なメイク☆アップを抜かしたし。俺だけ恥ずかしいだろ。

くそ、セッタップにしておけばよかった。



言ってる間に、フィールドに出揃っている二体のHEROが空間の歪みに巻き込まれていく。

ランパートガンナーのそれとは違う融合。

そこには元となるモンスターたちの面影は微塵と残らず、ただ特性のみを抽出した存在と化す。



その姿は、純白。

間接には藍色が覗くものの、全身純白の鎧である戦士。

最強と称し続けてきたが、その細身の立ち居姿には力強さはなく、ただ美しさが先に立つ。



全身の白はまるで鏡のように、周囲を映し出すほどに輝く。

鋭角に尖る肩を揺らし、そのマスクの奥から鎧と同じ白く輝く瞳を開いた。

ふわりと白いマントを靡かせて降臨した戦士は、微かに腰を落として構える。



「これが俺のデッキ、最強を誇るHERO。

 E・HEROエレメンタルヒーロー アブソルートZero!!」

「すっげぇ…すげーよ! これがあんたのHEROか!」



目をキラキラさせて食い入るようにZeroの姿を見つめる十代。

それも仕方あるまい。俺も思った以上にカッコよくて、軽くビビってた。



汚れの一つもないその身体は、まるで氷の彫像。

侵す事が許されない美がそこにあった。

そのZeroは俺に一瞥をくれると、十代に対して向き直った。

―――声が、聞こえた気がした。



このデッキも、遊星とデュエルしたデッキと同じく俺と何度もデュエルを経験したカードたち。

そいつらと一緒に戦うのだ。今度こそ、負けられない闘いである。



「行くぞ、Zero! ランパートガンナーに攻撃!」



マントが風に巻かれ、Zeroは弾丸の如くランパートガンナーの許へと弾け飛んだ。

一瞬で間合いをクロスまで持って行かれたランパートは反応すら出来ず、その攻撃を許す。

最大の速度でZeroへと照準されようとした右腕のランチャーはいつの間にか氷結し、足許すら地面に氷で縫われている。



冷気でふわりとマントが浮く。

圧倒的な一撃。他のHEROすら寄せ付けぬ戦闘力。

しかしこれは、アブソルートZeroの力の一端に過ぎないのだ。



ランパートガンナーの身体が完全に氷に覆われ、氷像と化す。

それに止めを刺すため、Zeroは一度拳を振り被ると、一気に振り切った。



トラップ発動! ドレインシールド!」



拳が氷像に届く直前、透き通るエメラルドグリーンの壁がそれを阻んだ。

必殺の一撃の威力、全てを殺して、それは光の宝玉となった。

宝玉は十代の元まで飛び去り、その胸へと溶け込んでいく。



反して、阻まれたZeroは弾き返され、俺の横まで戻ってきていた。

凍結していたランパートガンナーも、その間に氷を砕き、自由を取り戻している。



「相手モンスターの攻撃を無効にし、その攻撃力分のライフを回復する!」



Zeroの攻撃力は2500。最上級モンスターの基準値である。

その攻撃力分がまるまるライフに加算された十代のライフカウンターは、5900まで跳ね上がった。



「あー、あっぶなかったー」



胸を撫で下ろす十代。

流石にそう簡単に攻め切らせてはくれないが、まあいいだろう。



伏せリバースカードを一枚セットし、ターンエンド」

「オレのターン!」



引いたカードを確認。

なんだかスピードカウンターのピッという音がないと寂しくなるな。



魔法マジックカード、融合回収フュージョン・リカバリー

 自分の墓地にある、融合召喚に使用したモンスター一体と、融合の魔法マジックを手札に加える!」



ディスクのセメタリーから二枚のカードが吐き出される。

それを取ると、十代は俺に見せながら宣言した。



「オレはバーストレディを選択し、手札に加える」



それを合わせても十代の手札は4枚。

融合召喚はそれに使用するカードが多く、手札アドバンテージを確保するのが難しい。

今の十代が持つ融合方法は恐らく融合とフュージョン・ゲートくらいなものだろうから、なおさらだ。



「ランパートガンナーとスパークマンを守備表示に変更し、カードを一枚セット!

 ターンエンド」



ランパートガンナーは左腕のシールドを前に構え、スパークマンは両腕を身体の前で交差させる。



「俺のターン、ドロー。俺は再び、エアーマンを召喚!」



オーシャンの効果により、墓地より手札に舞い戻ったエアーマンが現れる。



「そして、エアーマンの二つ目の効果を発動!

 自身以外に自分フィールドに存在するHEROの数だけ、魔法マジックトラップゾーンのカードを破壊する。

 俺の場にはアブソルートZeroのみ。よって一枚、今セットしたカードを破壊!」



翼のプロペラが回転を増す。

Zeroがエアーマンに手を向けると、その回転がより加速していく。



「させるかぁ! 伏せていたカードは速攻魔法、クリボーを呼ぶ笛!

 壊される前に効果を発動だ、自分のデッキからハネクリボーを手札に加える!」



十代がデッキをホルダーから取り外し、ハネクリボーを選び取る。

その瞬間、エアーマンの翼から竜巻が放たれ、役目を果たした笛を粉砕する。

デッキをシャッフルして再びホルダーに嵌めこむの待つ。



「なるほど、エアーマンが手札に加わるのを見ていた以上、対策は怠らないか」

「え? いや、オレは今の効果の事は知らなかったけど?」



おい、テキスト読めよ。墓地は公開情報だぞ。

いや、俺も雰囲気ふんいき(何故か変換できる)読んで確認しないけどな。

それにしても恐ろしきは天性のデュエルセンスか。



「いやー、今のってつまりさ、エアーマンはライトジャスティスとエマージェンシーコールの力持ってるって事だろ?

 凄いHEROだな、オレも欲しいぜ」



いや全く。こいつ何なの? と言うくらいアドの塊だからな。



ランパートガンナーの守備力はZeroの攻撃力と並ぶ2500。

このままでは破壊する事が出来ない。

戦闘以外の方法で破壊する手段もあるが…



「俺は手札より装備魔法、シンクロ・ヒーローを発動!」



星が一つ、俺の目前に現れる。

その星はZeroの身体の中に溶け込み、レベルを一つ、押し上げる。



「シンクロ・ヒーローは装備したモンスターのレベルを一つ、攻撃力を500アップさせる。

 これでZeroの攻撃力は3000となる」

「へー、変わったカードだな。レベルを変えるなんて」



夜行さんディスられてます。レベルトリックなんてこの時代あんま意味無いもんね。

バルバロスだって別にレベルを変更するわけじゃないしな。



「Zero! ランパートガンナーを破壊しろ!」



Zeroが両手を広げ、腰を落とす。

冷気の白煙がその姿を隠す中、煙の中で強く輝く白光が際立った。

白い閃光が奔り抜ける。



「っ!」



十代が息を呑む。

盾を構えていたランパートガンナーの背後に、その純白の姿を見たのだ。



瞬間凍結Freezing at moment



俺が技の名を告げると同時、ランパートガンナーの身体が砕けた。

鋼鉄とは言え絶対零度の冷気の前では、何の意味も持たない。

まるでシャーベットのように崩れていくそれを見届けたZeroは、十代を一瞥して俺の前に戻る。



かっこええのう。



「更にエアーマンでスパークマンを攻撃!」



プロペラが回転し、暴風を巻き起こす。

スパークマンの守備力は1400。その防御力ではその竜巻を防ぎきる事は出来ない。

大地ごとスパークマンの身体を抉り取る威力は、遺憾なく発揮され、光の戦士を引き裂いた。



「くっ!」

「これでターンエンド! さあ、ここからどうする!」

「へへっ! 勿論、逆転してみせるさ! ドロー!!」



十代の顔に恐れも諦めもなく、際限なく闘気を高めていく。

そうだ、それでこそ俺のデッキの力が輝く。

このデュエルで、今度こそ俺はこいつらの声に応えてみせる。



「オレはハネクリボーを守備表示で召喚! カードを2枚伏せて、ターンエンド!!」

<クリクリ~!>



ブラウンの体毛に覆われたボールのような生物。

緑色の短い手足で必死に顔を隠すように身を守っている。

その背中には小さい、一対の白い羽が生えている。

それこそが名の由縁だろう。



「俺のターン! E・HEROエレメンタルヒーロー フォレストマンを守備表示で召喚!」



葉緑色の肉体の右半身は樹木に侵食され、半ば樹と一体化している。

大樹の力を授かった大地のHEROは、大木の幹のような太い腕を前に出すと、守りの体勢に入る。

その色は緑色から青へ。



「新しいHERO…今度はどんな力を持ってるんだ?」

「Zero! ハネクリボーを破壊しろ!」



Zeroが掌をハネクリボーに向ける。

冷気が相手に向き流れ、ハネクリボーの身体が徐々に凍りついていく。



<くり~!?>



パリン、と鏡が割れるように砕ける氷。

ハネクリボーの守備力は200。当然の如くそれを防ぐ事は叶わず、砕けて散った。



「悪い、相棒…! ハネクリボーのモンスター効果!

 このカードが破壊され、墓地に送られた時、そのターンの戦闘ダメージを全て0にする!」



ハネクリボーが散り際に残した一枚の羽が、十代の足許に落ちる。

それは光を放ち、周囲に虹色の壁を作り出した。

戦闘によって発生する全てのダメージを無効にする壁、それこそがハネクリボーの特殊効果。



「これ以上の追撃に意味はないな。ターンエンドだ」



戦闘できるモンスターはいるが、ダメージを発生させられなくては意味がない。



「オレのターン! よし、魔法マジックカード、強欲な壺を発動!」



壺ktkr。

最強最高のドローカード。恐らく、デュエルモンスターズ史上ここまで強いカードはこれ以外にない。

そう言っても過言ではないほどに強力なカードである。

たかが2枚のカードをドローするだけ、などと言えたものか。



1枚のカードで行う事のできる無条件ノーコストによる2枚のカードドロー。

それがどれほどのアドバンテージを持ち込むかは、言うまでもない。



「へへ、更に魔法マジックカード、オー―オーバーソウル!

 自分の墓地に存在するE・HEROエレメンタルヒーローと名の付く通常モンスターを特殊召喚する!

 オレはスパークマンを選択する。来い、スパークマン!!」



先程とは違い、十代の足許に黒い孔が開く。

冥界へと続くその孔から白い光が僅かにパリパリと鳴り、一気に噴き上がった。

雷光と共に魂を現世に呼び戻したのは、光のヒーロー・スパークマン。



「まだまだぁ! 装備魔法、ライトイレイザーをスパークマンに装備!

 ライトイレイザーは光属性、戦士族のモンスターに装備できる専用武器だ」



スパークマンが前に突き出した拳に、銀色のナックルダスターが装着される。

中央に埋め込まれた赤い宝玉が、スパークマンの放つ光のエナジーを使用して光の刃を形成する。



「ライトイレイザー…戦闘を行った相手モンスターを除外する光の剣」

「そう、これで他のモンスターもスパークマンを易々と攻撃できなくなった。

 スパークマンで、守備表示のフォレストマンを攻撃! フォレストマンを除外しろ!」



光が閃く。一度大きく振り上げた剣を後ろに流す。

正しく電光石火の様。武器を構えた瞬間には、スパークマンの身体はフォレストマンの許まで迫っていた。

フォレストマンの守備力はスパークマンの攻撃力を上回るが、しかしその手に持たれた光剣には意味を為さない。



だが、それは届かせない。

この瞬間に、それは漸く解放される。



「その眼に刻み込め、最強のHEROが持つ絶対の奥義を!」

「え?」

「アブソルートZeroに秘められし能力を解放しろ、魔法マジック発動、融合解除!!」



融合解除はその名の通り、融合モンスターをエクストラデッキに戻し、その素材を再召喚させるカード。

その効果を受けたZeroは、白く輝く瞳の光を消し、力を無くし糸が切れた人形のようにくずおれた。



それを見た十代は不思議そうに首を捻る。



「…何で融合解除なんだ? それじゃあZeroが帰っちゃうじゃん」

「フフフ…それは、今に分かる」



Zeroの身体が完全な氷像と化してしまう。

氷の戦士がそこに残すのは最後の輝き。フィールド全てを0にする、凍てつく波動。



パキン、と。

Zeroの氷像にヒビが入った。その瞬間、氷の割れ目から冷気の嵐が噴き出す。

さながら、雪崩の如く。



敵陣全てを呑み込むそれは、フォレストマンの目前まで迫っていたスパークマンをも押し返す。

雪崩という表現ですら生温い、最早氷山がそのまま天から落下する勢いで。

スパークマンを呑み込んだそれは俺と十代の間に叩き落ちて、積み重ねられていく。



「な、なんだぁ!?」

「アブソルートZeroの効果発動!

 このカードがフィールドを離れた時、相手フィールドのモンスター全てを破壊する!!」



積層される氷の山はやがて、天を衝く大地から伸びる氷柱と化した。

相手のモンスターを全て蹂躙し、巻き込む氷の墓標。

それはざらざらと崩れていき、ほんの数秒で霧散した。

そこにスパークマンの姿はない。



「スパークマンが一瞬で…すげぇパワーだ」

「これが最強のHEROの力だ。更に俺は、融合解除の効果でオーシャンとクノスペを守備表示で召喚」



蕾の戦士と、海の戦士が帰還する。



「もうひとつ、いい事を教えてやる。

 フォレストマンには、スタンバイフェイズに墓地の融合を回収する効果がある」

「なるほど、つまりフォレストマンとオーシャンはセットで大活躍ってわけか」



十代は微かに焦燥の混じった声で納得した。

だがそれを聞いていた翔は理解が一拍遅れて来たのか、その驚愕を声に出しきれず息を詰まらせる。



「それってつまり…」

「次のターン、俺の場には再びZeroが降臨する。

 そして手を尽くしてZeroを倒したとしても、Zeroの効果は十代のフィールドに0地点までの強制リセットをかける…

 更に俺の場にオーシャンとフォレストマンがいれば、融合素材も、融合も、無限に回収が可能だ」

「そんな! それじゃあ十代くんに勝ち目なんて…」



翔が声を荒げる。だが、その声を聞いて逆に落ち着いたかのような十代は、俺に問う。



「なあ、お前のデッキにZeroは何枚入ってるんだ?」

「フフフ…一枚だ、今融合解除で帰還したもののみ。

 そして融合召喚以外で召喚する事は出来ないと言う、HEROの制約を破る能力も持っていない」

「へへへ、つまりそいつを倒せば道は切り開けるわけだ。なら、そいつをぶっ倒してオレが勝つ!」



闘志がより増した。Dホイールのモニターに、高密度のデュエルエネルギー感知という表示が出た。

だが、そんな事はどうでもいい。どれだけ熱量を増した闘気であろうと、それは絶対零度の前では全てを無くす。



「バーストレディを召喚!」



赤い紋様がペイントされた肢体を、惜しげなく見せつける女性戦士。

炎の女傑が再びフィールドに降り立つ。

自分のデュエル中でなければついつい (*´д`*)<ハァハァ などとでも言ってしまっていたかもしれない。

シリアスに耐えきれなくなった時はとりあえずエロネタに走る。つまりはそういうことだ。

俺の事じゃない。書いてる奴(ry



先程の融合回収フュージョン・リカバリーで手札に加えたカード。

あとの手札は1枚。つまりあれは、融合か。



「更に手札の魔法マジックカード、天よりの宝札を発動!」

「なっ、あぁ!」



思わず声が出た。あらゆるドロー加速の頂点に立つ究極の1枚。

あまりの性能からOCG化の際は全く波乱万丈奇々怪々奇想天外吃驚仰天関係無い効果になってしまった。



「互いのプレイヤーは、手札が6枚になるようドローする。オレの手札は0枚、よって6枚ドロー」

「…俺は3枚、3枚のカードをドロー」



互いにデッキから同時に必要枚数を引き抜く。

これだけで一気に3枚分。勿体ない、あと1枚2枚伏せておけばよかった。

後悔ばかりしていられない。これで十代の手は充足した。



一気呵成の攻めが展開されたとして、何もおかしくはない。

このターンのバトルフェイズが終了していなければ、危なかっただろう。



「オレは伏せリバース魔法マジック、融合を発動!」



当然そうなる。天よりの宝札で最大限のドローを得るために、前のターンでブラフにしつつ仕掛けられていたのだ。

…こちらは本当のトラップだろうと踏み潰せるZeroがいたからこそ迷わず攻めた。

だがこれは…



いや、いいんだ。こちらはこちらの戦略を貫く。

十代が正面突破を仕掛けてこようと、搦め手で封じてこようと、それを真正面から食い破るポテンシャルを持っている。

だからこそ俺は常にZeroが最大の力を奮える戦場のメイキングに力を尽くせばいい。

そうすれば自ずと、こちらが勝つ―――!



「フィールドのバーストレディと、手札のフェザーマンを融合! 行くぜ、マイフェイバリットHERO!!」



新たに姿を現すのは、緑色の羽毛に身体を包み、同じもので作ったマスクを被った戦士。

背中には真っ白な翼を一対、背負っている。

エアーマンのもののような機械的なそれではなく、美しく風に靡く白翼。

左腕は腕を覆う手甲のように、鳥の脚をイメージするような爪が生えている。

足はそれどころか、正しく人間サイズの鳥の脚そのもの。



四肢を異形で構成された風のHERO。

そして先程に召喚されたバーストレディが、空間の歪みに取り込まれていく。



「来い、E・HEROエレメンタルヒーロー フレイム・ウイングマン!!」



歪みが焼き切られる。

次元の狭間から顔を出すのは、一頭の龍。

龍の顎が開かれる。ごう、と炎が周囲を舐めまわすように取り巻いた。

残り火を散らし、照らされながらその場所に姿を現したのは、龍…ではなかった。



右腕が丸々龍の頸と化しているのだ。

赤と黒のトサカを揺らしているのは、恐らくその部分の素材と化した女戦士の美髪の名残だろう。

右の肩から続いて、腰から赤い竜尾を垂らしている以外は、残りは緑色の肌。

左肩からは純白の翼が生えており、そこには片割れの名残が見える。

黒いマスクのような頭部で赤い瞳を輝かせ、そいつは降り立った。



「こいつがオレのエース、フレイム・ウイングマンだ!」

「たかがその程度の炎が絶対零度に届くかな?」

「へっ、やってみなきゃ分からないぜ。カードを3枚セットして、ターンエンド!」



3枚の伏せリバース。また、大盤振る舞いだな。

ならば、俺はその程度で臆しはしないという事を示すべきだ。

そうすることで相手は賭けには出辛くなる。手堅い手ならば、予測するのも、受け流すのも容易だ。



「俺のターン! スタンバイフェイズ、フォレストマンの効果で、墓地の融合を手札に加える!

 フフフ…再びその姿を現せ。フィールドのクノスペと、手札のアイスエッジを融合!」



その姿はまるで小さいZeroのようだった。

純白のZeroの鎧を模しているのだろう鎧を纏った小さな戦士。

その力は、小ささを活かした相手への直接攻撃。

そして、Zeroの足りない部分、伏せリバース対策を備えている。



だが今は、のんびりと相手のカードを潰していく労力は支払えない。

迷いと躊躇で僅か1ターンでも猶予を作れば、それは相手の希望となるのだ。

Zeroの進む道と、1ポイントのライフさえ残ればいい。

常に手札に活路を開く手段を残し、あとは全てをお前に託す。



「アブソルートZero!!」



足許から立ち上る氷河が爆ぜた。

マントを一度大きくはためかせて、腕を組んで十代を見据えるZero。

その視線を受け止めて、十代をむしろ歓喜に震えているようだった。



ちなみに今のは歓喜と寒気をかけたギャグだった。



「バトルだ! 侵食しろZero、相手のフィールドを!」

「この瞬間、トラップ発動、立ちはだかる強敵!」

「戦闘強要のトラップ。ならば狙いは、エアーマンか!」



Zeroが瞬きの内にフレイム・ウイングマンへと接近して、その掌を翳していた。

あらゆるものを一瞬で凍結させる瞬間凍結Freezing at momentは、その名の通り、一瞬の間に凍結させる筈で、

しかしそれは無効とされていた。



「更にトラップ、ヒーローバリア!!

 このカードの効果で、一度だけE・HEROエレメンタルヒーローを狙った攻撃を無効にする!」



Zeroとフレイム・ウイングマンの間に現れていた渦巻くエネルギーシールド。

それはいかなZeroと言えど破れず、その場は退くしかあり得ない状況とされた。



「っ、エアーマンでフレイム・ウイングマンを攻撃!」



十代のトラップ。立ちはだかる強敵

その効果で、攻撃表示のモンスターは十代の指定したモンスターに攻撃を仕掛けねばならない。

十代の場にはフレイム・ウイングマン以外のモンスターはいない。

よって、フレイム・ウイングマンに攻撃しなくてはならないのは、確定的に明らかなのだ。



だがしかし、みんなはエアーマンがフィールドに残っていた事を覚えていないのではなかろうか。

大分久しぶりに名前が出てきた気がするが。まるで三さおっと誰か来たようだ。

さておき。



「更に更に! トラップ発動、異次元トンネル-ミラーゲート-!!」

「な、に? だがそのカードは…!」

E・HEROエレメンタルヒーローが攻撃対象になった時に発動出来るカード。

 攻撃してきたモンスターと、攻撃対象となったHEROのコントロールをエンドフェイズまで入れ替え、その状態でダメージ計算だ!」



攻撃態勢になっていた俺のエアーマンと、迎撃態勢だった十代のフレイム・ウイングマンが入れ換わる。

俺の隣にはフレイム・ウイングマンがいて、十代の前にはエアーマンがいる。



エアーマンは翼のプロペラを最大稼働させ、巨大な竜巻として撃ち出した。

が、しかし。

フレイム・ウイングマンはその竜巻を左肩の翼で跳ね除けると、右腕の龍を突き出した。

火炎弾が吐き出され、それは空気の壁を易々と打ち破る。

力量差は明白。同じ風使いとしても、あるいはHEROとしても。

炎の塊はエアーマンに直撃し、一瞬で火達磨にしてみせた。



十代のライフが、フレイム・ウイングマンの攻撃力2100。エアーマンの攻撃力1800。

その差分、300ポイントのダメージを負う。十代LP5600。

だが、それでは終わらない。



「フレイム・ウイングマンの効果、相手モンスターを破壊した時、

 相手プレイヤーにそのモンスターの攻撃力分のダメージを与える。忘れてはいないだろう」

「あ、ああ…勿論」



火達磨と化したエアーマンが、十代の目前で炸裂した。



「ぐぅううぁああ!」



これで1800のダメージ。十代の残りライフは、3800。

何故こんな事をする。まるで自爆でしかない。



「だけど、これで次のターンに繋がった…! 最後の伏せリバースカードだ…!

 速攻魔法、融合解除を発動!! 対象は、アブソルートZero!」

「な、まさか…!」



Zeroの身体が氷像と化し、弾けた。

だが今、十代のフィールドにはモンスターがいない。

十代のモンスターは今は俺の場にいて、エンドフェイズに戻るフレイム・ウイングマンのみ。

一時的にコントロールを俺に移す事で、Zeroの効果を避ける…?



尋常な手段じゃない…!

普通だったらそういう手段もあると思える。

だが俺は、HEROデッキで、あいつに属性とHEROで融合している事も話した。

つまり、今のフレイム・ウイングマンは新たなHEROの恰好の餌だ。

自分の切り札を相手に預ける。相手を絶対的有利に導きかねない方法で…



「…融合解除した融合モンスターの素材をフィールドに戻す効果は、

 融合解除をプレイした側の墓地を参照し、融合素材一組が揃っている場合に発生する。

 アブソルートZeroの融合素材は当然、俺の墓地であり、お前の墓地にはない。

 よってZeroは融合デッキに戻るが、アイスエッジとクノスペが特殊召喚される事はない」

「ああ、後は次のターン、反撃するだけだ」



十代はそう言って笑う。



「…俺の手札に融合はない。だがもし、もしあったらどうするつもりだったんだ…

 俺の融合デッキには風属性を使った融合も、フォレストマンの地属性を使った融合もある。

 考えてなかったのか? そんな筈はないだろう。

 フレイム・ウイングマンを融合素材にされる可能性は高くはないが、低くもなかった」

「ああ、それも考えた。すげー悩んだけど、やっちまった」



ははは、と笑う。

そこまで来れば流石に俺も沸点だった。



「バカかお前はっ! 今のはミラーゲートでエアーマンを破壊して俺のライフを削り、

 次のターン、フレイム・ウイングマンでオーシャンを破壊すれば俺の残りライフは僅か200になった!

 そこまで削れればZeroがいても押し切れる可能性の方が高い!

 何故わざわざそんな…!」

「…だってさ、どっちの方が高い可能性かなんて考えないから。

 やっぱお前、何かデュエルが違うぜ。見てれば分かる。もっとやりたい事あるんだろ?

 色んなHEROと一緒に闘いたいんじゃないのか?

 勝率なんて捨ててかかってこいよ。そっちの方がオレも楽しくなるしさ」



…それは、そうだろうよ。出せるなら全部出して、全ての力を尽くしたい。

だが応えられる自信がない。応えきれるほどに強くない。

勝てなければ、意味がない。勝利と言う答えが用意できなければ、応えられない。



「つまんない事考えないでさ、めいっぱい楽しもうぜ!

 見てみろよ、お前のHEROたちを」



俺の場のモンスターはオーシャンとフォレストマン。

守備表示で待機している彼らを見つめ、一つ問うてみた。



「闘いたい、んだよな」

「オレたちだってそうだぜ」



未だ俺の場にいるフレイム・ウイングマンを見る。

その眼には“かかってこい”という意思が見えて…



一度、目を瞑り、深呼吸。

ごめん、と謝って眼を開く。



「闘おう」

「ああ、そうだ。来い!」



悔しいなぁ、最初っから完敗してたじゃないか。

泣きたくなるほど勝負になってないけど、泣きながらでも立ち向かおう。

一緒だから、絶対に諦めない。



「これからが、俺のターンだ!」



ここから、俺の、俺たちの全てを叩きこむ。



「俺はE・HEROエレメンタルヒーロー フラッシュを守備表示で召喚!」



青いボディスーツに、銀色のボディアーマー。

頭部を覆うマスクには雷マークが表されており、その全体像はスパークマンによく似ている。



「オーシャンを攻撃表示に変更!」



海色の戦士が防御姿勢を解き、その杖を構える。



「カードを2枚伏せて、ターンエンド!」

「オレのターン、ドロー!」



俺に合わせ、十代の表情もより締まっている。

互いに全力、死力尽くしてのデュエルになるかどうか。それは俺たち自身にかかっているのだ。



魔法マジックカード、戦士の生還!

 自分の墓地からの戦士族を手札に加える。オレはスパークマンを選択し、手札に加える。

 そして、再び召喚! 来い、スパークマン!」



再びの参上。だが、スパークマンの攻撃力では、

守備力2000のフォレストマン、1600のフラッシュは倒せない。

故に狙ってくるとすれば、オーシャンだ。



だが狙わせない。



「スパークマンでオーシャンを攻撃!」

「この瞬間、トラップ発動、スーパージュニア対決!

 相手モンスターの攻撃宣言時発動するトラップだ。

 その戦闘を無効にし、相手フィールドの攻撃力が最も低いモンスターと、

 自分フィールドの守備力が最も低いモンスターとで戦闘を行わせ、バトルフェイズを終了させる!」



十代のフィールドで最も攻撃力が低いのは、攻撃力1600のスパークマン。

そして、こちらの最も守備力の低いモンスターは、守備力1600のフラッシュ。



スパークマンの視線が自然とフラッシュに固定され、十代の指示を無視させる。

両手に溜めた雷光が、防御姿勢を取っているフラッシュに向けて解き放たれた。

閃光は集束し、光線となり相手を焼き払う。



だが受けるは同じく光のエレメントを持つ戦士。

それが簡単に焼き払える筈もなく、僅かな後退のみが勝ち得た戦果。

どちらも何も受けず、得ず、このバトルは終結する。



「ターンエンド…!」

「俺のターン! スタンバイフェイズにフォレストマンの効果を発動、融合を墓地より手札に!」



そう。今度こそ、ちゃんとした意味で俺は呼ぶ。

俺と共に闘う戦士を。

勝つ為だけではなくて、勝つ為に。共に。



「フォレストマンとオーシャンを融合! 来い、アブソルートZero!!」



弾ける氷飛沫と共に、再三、彼は俺の求めに応じて降臨した。

勝つ為の一手ではなく、闘う為の命を共有した相棒として。

今度こそ間違えない。俺の答えを彼らに示す。



「Zeroで、フレイム・ウイングマンを攻撃!」



即座に双方の対応が始まった。

Zeroはその速さで、フレイム・ウイングマンが動くに先んじて距離を詰めていた。

絶対零度の凍気にあてられれば、いかな戦士とは言え氷結が必定。



だが、動きの早さは敵わねど、それが敗北に直結するわけではないと言わんばかりに。

フレイム・ウイングマンは突き付けられる掌に、口を開けた龍の顎を合わせた。

Zeroが距離を詰めるための一瞬でその炎を溜めこんでいたのか、

即座に解放された炎と冷気はぶつかり、混ざり、反発しあって爆発する。



その爆発に紛れ、下がろうとしたのだろう。

翼が広がるフレイム・ウイングマンは、直後に驚愕と、困惑を残した。

爆発が凍る、その異常に。爆発が凍り、爆炎をも凍らせ、爆風すら凍る。

その凍結異常状態は元を遡り、冷気とぶつかった炎を凍らせて、フレイム・ウイングマンの身体を侵しに来る。



凍りついた翼では羽搏けず、彼はその凍死を甘受した。

英雄の氷像はぱきぱきと音を立てながら、それを断末魔として崩れて消える。



Zeroの攻撃力は2500であり、フレイム・ウイングマンは2100であった。

故にその結果は当然と言う事になる。

ならば、こうやってそれに逆らう事は無意味なのか。けして違う。

こうやって闘っている彼らには数字など見えてない。全力で、必死で、闘っているんだ。



十代のライフは、3400となった。

そしてエースが墓地へ送られた。だがしかし、彼は何一つ諦めていない。

そう、そういう奴なのだろう。



伏せリバースカードを1枚セットし、ターンエンド」

「オレのターン!」



十代は宝札で補充したとは言え、前のターンに大量に使用した結果、手札はあまり残っていない。

この状況で、どんな攻めをしてくる。楽しみで、怖くて、泣きそうだ。



魔法マジックカード、貪欲な壺を発動!

 自分の墓地からモンスターカードを5枚選んでデッキに戻し、カードを2枚ドローする!

 戻すモンスターは、バーストレディ、クレイマン、ハネクリボー。

 あと、融合デッキにランパートガンナーとフレイム・ウイングマンを戻す」



そして、戻した後のデッキをシャッフルする十代。

その後、2枚のカードをドロー。



HEROの融合モンスターは、融合召喚でしか召喚出来ない。

という誓約を背負っている。つまり、墓地から蘇生召喚できないのだ。

だから、今ここで墓地に放置せずに戻しておけば、再度融合召喚につなげられる。



「更に魔法マジック融合回収フュージョン・リカバリーを発動!

 オレが手札に戻すのは融合1枚と、フェザーマンだ!」



墓地から出てくるそのカードを取る十代。

2枚目の融合回収フュージョン・リカバリー。ここからどう繋げてくる。

更なる融合召喚を行ってくるか…?



「いや、まだだ! 手札の魔法マジックカード、天使の施しを発動!」



天使の施し。カードを3枚引き、その後2枚墓地に送る魔法マジックカード。

その強さは、遊星を相手にした時も語っていたか。

今回は更に、十代が直前に使った融合回収フュージョン・リカバリーの効果で更に活きる。

融合回収フュージョン・リカバリーは1枚で、融合とモンスター、2枚のカードを墓地から持ってくる。

つまりは、天使の施しのデメリット分を1枚で埋められるのだ。



ドローした3枚のカードを見た十代は、一瞬だけ悩み、墓地へ送るカードを決めた。



「オレは融合回収フュージョン・リカバリーの効果で手札に戻した、

 融合、そしてフェザーマンを再度墓地へ送る」



融合を墓地へ送った。しかしそれは、単体での攻撃力に欠くHEROとしては、良いものなのか。

いや、十代は勝利へと繋がる希望の道を創り出す賭けに、勝機をベットしたのだ。



「オレはスパークマンを守備表示に変更!」



スパークマンが膝を落とし、両腕を胸の前で×字に交差させて身を守った。

攻めては来ないと言う事か。それとも別の…



「そして、E・HEROエレメンタルヒーロー ワイルドマンを攻撃表示で召喚!」



どうやら攻めてくるようだ。当然とでも言いたげな十代の表情。

全く持って恐ろしい。



筋骨隆々の肉体、褐色の肌を晒す、ネイキッドヒーロー。

他のHEROとは違い、その姿からはアメリカンなヒーロー像よりも、自然と共存する民族のそれらしさが見える。

黒い髪を頭の後ろで結び、ポニーテイルにしている。

その武器は背負った大剣。

大地に共栄する部族の戦士のエレメントは、当然の如く地。



「更にワイルドマンにサイクロン・ブーメランを装備!」



十代の前にカードのソリッドビジョンが出現し、そこからワイルドマン自身と同じ丈を持つブーメランが放たれた。

自分を標的に、回転しながら向かってくる刃に怖じず、彼はその巨大ブーメランを片手で掴み取った。

さしずめ、ワイルドマンが狩りで仕留めた大物の骨から削り出した武器なのだろう。



それはワイルドマン以外に扱う事の出来ない、大地の加護を受けながら大地を薙ぎ払う刃。



「サイクロン・ブーメランを装備した事で、ワイルドマンの攻撃力は1500から2000にアップ!」

「だがZeroには及ばない」

「だけどフラッシュは倒せるぜ! ワイルドマンでフラッシュを攻撃、サイクロン・ブーメラン!」



己と同じ身の丈を持つ巨大武器を両手で持ち、まるでゴルフの如く上半身を捩じり上げる。

ぬあぁああっ! と、野生の英雄の咆哮が高く挙げられる。瞬間、それは放たれた。

空気を炸裂させて弾け飛ぶブーメラン。



描く軌道上に嵐を引きずりながら、対象を目掛けて飛翔する。

それを避ける術はフラッシュには当然なく、まともな反応すら返せずにそれと衝突した。

スパークフラッシュにすら耐えたボディと鎧は、まるで紙切れの如く引き裂かれた。

進撃に一度、後退に一度、合わせて二撃はフラッシュの身体を四つに断つ。



残光を残すフラッシュには、だがまだやってもらわねばいけない事がある。



「フラッシュが破壊された瞬間、効果を発動!

 フラッシュ自身と、自分の墓地のE・HEROエレメンタルヒーローを3体。

 それらをゲームから除外する事で、墓地の通常魔法カードを1枚手札に加える事が出来る!」

「通常魔法、って事は…」

「俺はフラッシュ、エアーマン、クノスペ、アイスエッジの4体を除外し、墓地から融合を手札に加える!」



墓地より4体のHEROたちが現れ、フラッシュの身体にエネルギーを集中させた。

仲間たちの力を受け取ったフラッシュの能力は飛躍的に上がり、その雷撃は次元すら焼き切る熱を帯びる。

隔たる現世と冥界の間に、その雷撃を湛えた掌を差し込み、引き抜いた。



その手の中には、HEROの真の力を解放するための魔法、融合のカード。

フラッシュはそのカードを俺に投げ放つ。

俺がそれを受け取るのを見ると、4体の戦士の魂は一時の眠りにつく。



「オレは、永続魔法、悪夢の蜃気楼を発動する!

 更にカードを2枚伏せて、ターンエンド」



永続魔法、悪夢の蜃気楼。

相手のスタンバイフェイズに手札が4枚以下の時、手札が4枚になるようドローする。

そして、自分のターンのスタンバイフェイズにその時引いた分だけ、ランダムに手札を捨てさせられるカード。

このカードが永続魔法の意味。

それは、このカードでドローした相手ターン中にこのカードを破壊してしまえば、もう一つの効果を無視できる事だ。



ここでは普通に使用できるのかもしれないが、とっくに禁止カードに行くほどの強力なドローブースト。

既に十代の場にはその使用方法のお手本となるコンボの、伏線が張られている。



サイクロン・ブーメランは、装備モンスターが効果で破壊された時に発動する効果を持っている。

それは、魔法・罠ゾーンのカード全てを破壊するという、大嵐同然の効果。

更にその条件を満たすためには最高の標的、あらゆるモンスターを効果により破壊するZeroが、俺の場にいる。



たとえ、そうだとして。だからと言って最早退く気はない。



「俺のターン!」

「このスタンバイフェイズ、オレは悪夢の蜃気楼の効果で手札が4枚になるようにドロー!」



一息に全ての手札を吐き出したと言うのに、十代の手の中には再びカードたちが舞い込む。

恐怖すら覚える。だが同時に、尊敬すら抱ける。



魔法マジックカード、魔法再生を発動!

 手札の魔法マジックカードを2枚墓地へ送り、墓地の魔法マジックを1枚手札に戻す」



墓地に送るのは先程フラッシュが再生してくれた融合と、フィールド魔法フュージョン・ゲート。

フラッシュの能力は通常魔法を再生できるが、他の速攻魔法等は戻す事ができない。

だが、フラッシュの能力で回収したこのカードがコストとなり、キーカードを呼び戻す。



「速攻魔法、融合解除を手札へ!」

「だが、その能力を使えば悪夢の蜃気楼も破壊されるぜ」



そうなれば十代は丸々手札を4枚残す。

だが、このターン。今エンド宣言をしてしまえばそいつらは墓地へ直行する。

それでもいい。



十代のスタンバイフェイズ、手札を4枚墓地へ送った後のメインフェイズ。

そのタイミングで融合解除を発動すれば、十代の手札、フィールド。共に一気に力を削げる。



「退くかい?」

「いいや、全力で叩き付ける」

「そうこなくっちゃ!」



だがしかし、そんな逃げは取らない。

デュエルに勝てても、心で負ける。心が折れる。戦術や戦略じゃない、純粋にデュエリストとしての誇りプライドが。



「行くぞ、俺はフィールドに新たなHERO、ザ・ヒートを召喚!」



レッドとオレンジ。太陽のイメージか、その二色を基調に丸みのあるシンプルの鎧を纏う炎の化身。

種族は標準的なHEROたち戦士族と違い、炎族。

炎のエネルギーの結晶である鎧は、共に闘う仲間のハートに触れれば、更なる熱を解き放つ。



「ザ・ヒートは、自分フィールドのE・HEROエレメンタルヒーロー一体につき、攻撃力を200アップさせる。

 俺の場にはザ・ヒート自身とZero、二体のHEROが存在している」



ザ・ヒートの纏う炎熱のオーラが密度を増す。

元々の攻撃力1600に加え、200×2ポイントアップした今の攻撃力は2000に至る。



「あっついHEROじゃないか。まだまだ色んなHEROがいるんだな!」

「ああ、行くぞ。ザ・ヒート、スパークマンを燃やし尽くせ!」



ザ・ヒートが濃密に漲らせた熱気を帯びたまま、深く沈みこみ、直後に飛び跳ねた。

守備の姿勢をとるスパークマンは前方に雷の壁を張り、より強く守りを固める。

だが、その程度で止まる炎ではない。



空中へと躍ったザ・ヒートは更に力を滾らせ、炎の塊を化す。

その姿は正しく隕石。膨大な熱量となったそれはスパークマンを目掛けて落下し、炸裂した。

電光の防壁は意味を為さず、その炎は突き抜ける。



瞬く間に溶岩の波に浚われたスパークマンは、その姿を消した。



「くっ! だが犠牲になったスパークマンが最後に残す輝きが、ピンチを切り拓く光明となる!

 トラップ発動! ヒーロー・シグナル! オレは、デッキからクレイマンを攻撃表示で召喚!」



パッ、と突然現れたスポットライトが、天頂にサインを映し出す。

そのピンチに駆け付けるのは最硬の下級HERO。

土塊の戦士が、新たに十代を守る守護者として天から現れる。

だが、攻撃表示として。



十代の場には、攻撃表示のワイルドマンと、同じく攻撃表示のクレイマン。

ワイルドマンの攻撃力は2000。クレイマンの攻撃力は僅か800。

明らかに誘われている。

だがその目的は? 最終的に十代はどちらに攻撃させたい?



ワイルドマンを効果で破壊した時、サイクロン・ブーメランが効果を発動し、悪夢の蜃気楼のデメリットが消える。

だが戦闘破壊であればそれは発生しない。

つまりワイルドマンへ攻撃させ、反撃でZeroを破壊する事ができれば、Zeroの脅威を取り除きかつ手札の確保ができる。

伏せリバースはそのためのカードか。



いや、だがそうとさせないためのクレイマンの攻撃表示か。

裏の裏と読めば、見え見えの餌である筈のクレイマンこそが破壊すべきキーカードに見えてくる。

その二択、どちらもがフェイクであり、このターンの攻撃を伏せリバースで防ぎ、

次のターンで最上級モンスターに繋ぐ事が狙いだとも考えられないわけではない。



サイクロン・ブーメランの存在で深読みさせ、実は伏せリバースの方が悪夢の蜃気楼を破壊する手段。

と言う事も考えられる。

だとすれば、こちらがサイクロン・ブーメランの効果を阻止するために、ワイルドマンへ攻撃を行う。

それが十代の狙いか?



…これ以上悩んでも意味がない、か。



「十代、一つ訊いていいか?」

「何だよ?」

「お前今、結構ピンチ?」



訊かれた十代はきょとんとした後、笑った。



「ああ、大博打の真っ最中だ!」

「そうか―――」



なら今度はこっちがベットする番か。

確率は、知らない。カードの数だけ手段があって、それはきっと数えきれない。

だから後は、信じるだけだ。



「Zeroでクレイマンを攻撃!」



Zeroが躍り出る。その一撃は例え最上級モンスターだったとしても易々と凌げるレベルではない。

まして、下級のクレイマンではどうやったところで躱す事は不可能。

鈍重なクレイマンは瞬きの間すら与えずに接近したZeroに腕を掴まれ、―――



トラップ発動、クレイ・チャージ!」

「クレイ…チャージ…!?」



茫然とした直後、我を取り戻し、思わず歯軋りした。

負けたっ……!!



「クレイマンが相手モンスターの攻撃対象に選択された時に発動出来るトラップ

 攻撃モンスターとクレイマン自身を破壊し、相手に800ポイントのダメージを与える」



俺の手札には融合解除。このターン、それで躱しても、再度融合を手札に戻すには次のターンまで待たなくてはならない。

フォレストマンとオーシャンを特殊召喚して攻撃したとしても、十代は倒しきれないのだ。

次のターン、十代の攻撃をそんな様で防ぎきれるのか?



この、俺などより遥かに強いデュエリストの本気の攻撃を?

冗談としても通用しない。選ばなくてはならない。最強のHEROに恃み、眼を逸らすか。

それとも―――



ふぅ、と。溜め息一つ。弱いから強さに頼る、恃む、縋りつく。

俺が望めば、俺が引き出せれば、こいつらはもっとずっと強いと言うのに。

何故、俺はこうまで、弱い。



「……っ、速攻魔法を発動!」

「融合解除か? その手はもう、」

「いや、違う。俺が取りえる、お前に未知の戦術!!

 俺が発動したのは、フィールドに伏せられたカード、マスク・チェンジだ!」



クレイマンを捕まえていたZeroは、その立場を逆転させて、クレイマンに捕まえられていた。

その粘土の巨腕で振り回されて、大地に叩き付けられる。

汚れ一つなかった純白の光は泥に塗れ、その彫像と見紛うボディには亀裂が奔っていた。



「マスク・チェンジはHEROを、新たな姿へと変身させるカード!」



Zeroの視線が一度、こちらに向いた。

合わせられる顔など無い。結局なんだかんだと、彼に縋っていたのは俺だ。

十代のように仲間たちの力を限界まで引き出し、共に戦えていれば、負ける事などなかった筈だ。

そうだ、確信がある。俺の作ったデッキは、例え十代が相手でも負けはしない。

絶対に。



俺が十代に数段劣るのは分かっている。

だが、俺のデッキは確実に勝っていた筈だ。あらゆる戦術に対応出来るように作り上げた筈だ。

遊星の時のミラーマッチとは違う。俺のデッキは、勝っていた筈なのだ。

だから、だからこそ、死ぬほどに悔しい。

俺が弱いせいで、こいつらはいつまでたっても勝てやしない。

こんなに悔しいのは初めてだ。負けた事の方が多いのに、ここまで悔しい負けは初めてだ…!



「水属性のHERO、アブソルートZeroを生贄に捧げる事で、

 融合デッキからM・HEROマスクドヒーロー ヴェイパーを特殊召喚!」



クレイ・チャージの効果でZeroを跳ね退けたクレイマンが、Zeroに向かい突撃してくる中、

Zeroは周囲に水を巻き上げる。



その中に包まれたZeroは一体何を考えたろう。

情けなく、弱い主人に失望したか。それとも、元から望みなど抱いていないのか。

Zeroのカードをフィールドから、セメタリーゾーンに移そうと手にする。



『警告:モーメントに異常なエネルギー発生』

「っ!」



ぴー、と“X”が警告音を発する。

だがそれほど大した異常でもないのか、特別な対応をし始めたわけではなかった。

ただ、一つ。



『報告:モーメントを経由し、何らかのシグナルを受信。

 『E・HEROエレメンタルヒーロー アブソルートZero』のカード情報欄が内容変更を行いました。

 要求:対応を指定してください』

「……なんて、追加された?」

『回答:カードテキスト欄に二文字追記されています。『GO』。デュエルには関係のないテキストです、削除しますか?』



……それは本当に、Zeroがそう考えたと?



『追加報告:このデュエルに使用しているエクストラデッキに存在するカードの情報欄にも、不備を確認。

 『Come On』『Call Me』等、意味が類似するものが追加されています。デュエルには関係のないテキストです、削除しますか?』

「このデュエルが、終わったらな」

『了解』



…闘おう、それしかないんだ。

俺にはそれしか、ない。



『報告:『E・HEROエレメンタルヒーロー アブソルートZero』のテキストに更に追加。

 『くぁwせ…』』

「翻訳して報告しろ」

『了解:『おれたちは、たのしい』先程の決定に基づき、このデュエル終了後、修正します』



「たの、しい? この負け戦が? 俺はお前たちを全然…使いこなせ、て、ない…のに…?」



負けたって楽しい。それは分かる感情だけど、力を尽くせればの話だ。

このザマで、この有様で、この惨状で、楽しいって?



もう応えはなかった。



一緒に、闘えてるだけで…?



「今度はE・HEROエレメンタルヒーローじゃない、新しいHERO?」

「なあ、十代。お前、」

「え、何?」



(ごめんよ、ユベル。また君を呼べなかったね…)

(ありがとう…十代)

そっか、誰だってそうなんだ。でも、呼べなかったなんて感想は間違ってた。

ずっと、ずっと一緒だったんだ。俺たちは。

デッキを組んだ時から、デュエルを通じて感じられる全て、俺たちが共有している筈のものだ。



力は貸りたり与えたりするものじゃない、力は合わせるものだ。やっぱり名言だな。



「いや、やっぱり何でもない。デュエル、続行だ」



Zeroを取り巻いていた水竜巻が、内側から吹き飛ぶ。

水の飛沫はZeroの力となり、無数の氷刃となって十代のフィールドを襲う。



クレイチャージはクレイマンと相手モンスターがいて、初めて互いのモンスターを破壊する効果が成立する。

よって、Zeroが消えた事によりその効果は不成立。



そして、Zeroは生贄にされ、フィールドを離れた瞬間、その能力が起動する。



「Zeroの効果! ワイルドマンとクレイマンを破壊!」



降り注ぐ霰の雨に打たれ、身体を抉られ、散りゆく二体のモンスター。

だがそれは、同時に十代の狙いでもある。



身体を打ち砕かれたワイルドマンが持っていたブーメランが、弾かれて宙を舞う。



「この瞬間、ワイルドマンに装備されていたサイクロン・ブーメランの効果が発動!

 サイクロン・ブーメランを装備したモンスターが効果で破壊された時、互いの魔法・罠ゾーンのカード全てを破壊する!

 オレの場の悪夢の蜃気楼と、」

「俺の場には伏せリバースが1枚」

「合計2枚のカードを破壊し、破壊したカード×100ポイント、200ポイントのダメージを与える!」



空中に放られていたサイクロン・ブーメランがまるで意思を持つかのように軌道を変える。

俺と十代の目の前を通るように円を描いたコース。まるでコンパスのペンだ。

互いの魔法・罠ゾーンを切り裂いた後に、それは俺の前まで来て、爆発した。

ライフカウンターが3600になる。



「どうだ!」

「ああ、完全に上回られた。完敗だった…だが、まだ終わらないぞ。俺のHEROは」



マスク・チェンジの効果で召喚された戦士が、Zeroがいた筈の場所に現れていた。

オーシャンの体色によく似た色の鎧。

その姿、身体の肌を晒している場所はなく、全身全てを鎧に包んでいた。

海神の矛を模しているのか、トライデントを連想するのようなデザインのマスクに顔を隠している。



「こいつが、M・HEROマスクドヒーロー

 融合せずに、融合モンスターを召喚しちまいやがった…」

「そう、マスク・チェンジの効果でのみ召喚できるHERO。それが、こいつだ。

 バトルフェイズ中の特殊召喚だ。ヴェイパーでガラ空きの十代を攻撃!」

「げっ!」



ヴェイパーはその手に構えた槍を、十代に向ける。

その足許からはまるで噴水の如く水流が立ち上り、ヴェイパーの全身を呑み込んだ。

水の流れはそこでは止まらず、意思を持つかのように十代の許まで奔り抜けた。



目前まで迫った津波に、十代が咄嗟にデュエルディスクを盾に構えた瞬間。

水が爆ぜ、中に居たヴェイパーが姿を現した。

振るわれる槍の一撃は十代を切り裂き、そのライフポイントを大きく削ぎ取る。



「ぐっ…!」



攻撃力2400のヴェイパーの一撃を直接受けた十代のライフは1000となる。

ばしゃんと、波を置き去りにしてヴェイパーは俺の許へ帰還する。



「カードを1枚伏せて、ターンエンド」

「ついに別のHEROか。へへ、どんと来い! オレのターン!」



ドローした十代。悪夢の蜃気楼は破壊され、そのデメリットは消えている為、手札は十二分。



魔法マジックカード、黙する死者を発動!

 自分の墓地の通常モンスター一体を、守備表示で特殊召喚する。オレはフェザーマンを選択!」



光と共に風が巻き起こり、フェザーマンがセメタリーから帰還する。

壁、などという消極的な目的で呼んだわけではあるまい。



「そして手札の融合を発動! フィールドのフェザーマンと、手札のバーストレディを融合!

 決着をつけるぞ、こいつがオレの切り札だ。来い、フレイム・ウイングマン!!」



バーストレディが出現し、フィールドに存在していたフェザーマンと共に、次元の狭間に消える。

再び姿を現すのは、龍腕と白き片翼を持つ十代のフェイバリット。

だが、それだけではヴェイパーを倒すのに遠く及ばない。



「そして魔法マジックカード、ホープ・オブ・フィフスを発動!

 オレは、スパークマン、クレイマン、バーストレディ、フェザーマン、ワイルドマンをデッキに戻し、シャッフル」



墓地のカードを回収し、デッキに混ぜてシャッフルし、再びデッキホルダーに戻す。

ホープ・オブ・フィフスはE・HEROエレメンタルヒーロー専用の貪欲な壺。

つまり、この墓地回収を行った後は、



「そしてカードを2枚ドロー!」



これで手札は3枚。だがそれで、この状況が覆るのか。

いや、確実に覆してくる。それが十代だ。



「さあ、次はどうする気だ!」

「こうする気だ! 魔法マジックカード、魔法再生を発動!

 エイチ-ヒートハートと、アール-ライトジャスティスを墓地へ。

 そして墓地の魔法マジックカード、天よりの宝札を手札に加えて、効果を発動!」



互いの頭上に光が降り注ぐ。全プレイヤーの手札を6枚にする天よりの宝札をエフェクト。

俺と十代はともに手札を6枚にし、確認する。

どこまでも止まらない攻撃。これが、遊城十代。これが、真のデュエリスト。



魔法マジックカード、イー-エマージェンシーコール!

 デッキからE・HEROエレメンタルヒーローを一体、手札に加える。オレが選ぶのは、スパークマン!」



息を呑む。この瞬間、下級HEROたちの切り札の発動条件が整ったのだ。

能力は高くなく、融合する事で真の力を発揮するものたちが、融合ではなくその身の力を合わせる事で生む光。



「そう、この瞬間がクライマックス! HEROたちの絆が、電光石火のフィニッシュだ!

 墓地のエイチ-ヒートハート、イー-エマージェンシーコール、

 アール-ライトジャスティス、オー-オーバーソウルをゲームから除外!」



十代の目の前に文字が浮かぶ。

燃え盛る炎の中から浮かぶH、背後の爆発と共に姿を現すE、赤い閃光を背負うR、魂のオーラとゆらめくO。

それらが示すのは、輝かしい一つの称号。



魔法マジックカード、ヒーローフラッシュ!!」



HEROの名が燦然と輝く。

場に並んだ四つの光は一つに交わり、その輝きで新たなる戦士を呼び起こす。



「デッキからE・HEROエレメンタルヒーローと名の付く通常モンスターを特殊召喚する!

 オレはクレイマンを特殊召喚! 更にスパークマンを通常召喚!」



ヒーローフラッシュの中から現れたのは、粘土の身体を持つ戦士と、雷光の戦士。

フレイム・ウイングマンを二つのエレメントを持つ戦士とすれば、これで四つの属性が並んだ事となる。

火、風、光、地。



「行くぞ、フレイム・ウイングマンでザ・ヒートを攻撃!」



フレイム・ウイングマンの身体が炎に包まれる。

対するザ・ヒートも同じく炎の弾丸と化し、迎え撃つ姿勢を取る。

下から上に、突撃を仕掛けてくるフレイム・ウイングマンと、隕石の如く落下して向かうザ・ヒート。



その衝突は爆炎と爆風を生み出し、そちらに全てのエネルギーを渡したかのごとく、どちらの動きも停止する。

拮抗は数秒続いたが、しかしそれ以上は続かなかった。



風が巻き起こる。ザ・ヒートの炎を吹き消すように、フレイム・ウイングマンの炎を盛らせるように。

火力を増したフレイム・ウイングマンは左肩の翼で、ザ・ヒートの右肩を打ち据える。

怯み、体勢を崩したザ・ヒートはその瞬間、大口を開けて迫る龍の顎を見た。

バギリと嫌な音を響かせながら、もぎ取られる左腕。

オオオ、とザ・ヒートの悲鳴と共に、亡くした腕の裂け目から炎が吹き抜けていく。



更なる追撃、身体を捻ったフレイム・ウイングマンの龍尾に腹を打たれ、吹き飛ぶ。

その身体は俺の目前まで吹き飛ばされてきて、漸く止まった。



「フレイム・シュゥトォオオオオオッ!!」



満身創痍のザ・ヒートに止めの一撃が迫りくる。

体勢を立て直す暇すらなく、炎の龍と化したフレイム・ウイングマンの攻撃に直撃する。

炎の化身すら耐えきれぬ熱量に、鎧は融解し、焼き尽くされた。



「ザ・ヒートの攻撃力は2000。よって、フレイム・ウイングマンとの戦闘ダメージは100だ。

 だがまだフレイム・ウイングマンには必殺の特殊能力がある」

「だがフレイム・ウイングマンの効果は墓地参照。ザ・ヒートの元々の攻撃力は1600」



鎧が熱に耐えかね崩れ去ると同時に、その中の炎が氾濫する。

それはフレイム・ウイングマンによって誘発された、俺を巻き込む為の自爆。

フレイム・ウイングマンの能力は、戦闘破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与える事。

よって合計ダメージは1700。俺のライフは残り、1900。



「そして、クレイマンとスパークマンの追撃だ!」



HEROの文字が輝きを放つ。

これこそヒーローフラッシュが持つもう一つの効果。

このターン、E・HEROエレメンタルヒーローの名を持つ通常モンスターは、ダイレクトアタックが可能となる。

攻撃力の合計は2400。俺の今のライフでは、耐えきれない。



「スパークマン、スパークフラッシュ! クレイマン、クレイナックル!」

「だがぁッ!」



十代の宝札は俺の手札にもそれを打開するカードを呼んだ。



「スパークマンの攻撃に対し、俺は手札のクリボーの効果を使用! ダメージを0にする!」



ぽん、と俺の目の前にクリボー。ハネクリボーからそのまま羽を取った外見のモンスターが出現する。

その効果により、俺の前に立ちはだかりスパークフラッシュを一身に受ける。



しかしそれで止まるのはスパークフラッシュのみ。

掻い潜ってきたクレイマンの拳が、俺に向かって振るわれ、足場を揺らす。

同時に俺を死守したクリボーの身体が砕け散る。

残ったライフは1100。



「クリボーか…まさか止められるとは思ってなかったぜ」

「お互い様だ」

「へへ、手札を4枚。全てセットしてターンエンド!」



次が最後のターン。そう言わんばかりに、十代の闘気は限界まで上昇している。

ならばこちらも、腹をくくった最後の一撃に臨むだけだ。



「これが俺の、最後のターンだ!」

「来い、宇宙デュエリストX!」



そんな名前も名乗っていたか。まあどうでもいい。



伏せリバース魔法マジック発動オープン

 異次元からの埋葬! 除外されているエアーマンを墓地へ戻し、

 更に魔法マジック発動、死者蘇生! 墓地よりエアーマンを特殊召喚し効果発動!」



エアーマンには召喚・特殊召喚した際に発動できる二つの効果がある。

一つは、デッキからHEROを一体呼び寄せる効果。

もう一つは、自身を除くHEROの数だけ、魔法・罠を破壊する効果。

これらを選択し、発動するのだ。



十代が伏せたカードは4枚。

ヴェイパーが存在する以上、それを破壊するための効果を使えないわけではない。

だがいずれかが必勝につなぐトラップで、他はブラフという可能性も低くない。

最早手の内の探り合いはいらないのだ。俺は全力でぶつかり、それを全力で迎え撃つと十代は言った。



ならばそこに必要なのは、保険ではなく更なる力を呼び出すコール。



「エアーマンの効果で、デッキからE・HEROエレメンタルヒーロー ボルテックを手札に!

 そして融合を発動! フィールドのエアーマンと、手札のボルテックを融合し、降臨しろ風のHERO!

 E・HEROエレメンタルヒーロー Great TORNADOグレイトトルネード!!」



鋼の翼を持つ風の戦士、エアーマン。

そしてスパークマン、フラッシュたちと同じく雷光を帯びるボルテック。

ボルテックの姿は、同じエレメントを持つ戦士たちとよく似ているものの、一番近しいのは恐らく、ザ・ヒート。

紺色の鎧に身を包むその姿は純粋な戦士ではなく、戦士という形を取る雷の力そのものに思えた。



それら二体の力が、融合によって新たな力を生み出す。



風が吹き荒れた。

嵐の如きそれにボロボロのマントを靡かせる雄姿が、現れる。

黒と緑で彩るボディスーツを纏い、両の腕脚、そして肩を白い鎧で固める暴風を操る戦士。

その戦士が降臨する戦場では、相手のフィールドに暴風が発生し、動きを大きく制限する。



Great TORNADOグレイトトルネードの効果発動!

 このモンスターの融合召喚時、相手フィールドのモンスター全ての攻撃力を半減させる!」

「なに!?」



フレイム・ウイングマン、スパークマン、クレイマンが暴風に巻き込まれる。

翼を折られ、鎧を砕かれ、あるいは腕を砕かれ。

その戦力の大半をこそぎ取る風の暴力。

フレイム・ウイングマンは1050、スパークマンは800、クレイマンは400。

下級モンスターと比べてもなお低く見える。

ヴェイパーと、Great TORNADOグレイトトルネード

二体のモンスターを相手取るのに、それは余りにも絶望的な数値。



「くっ…!」

「更に魔法マジック融合回収フュージョン・リカバリーを発動。

 墓地の融合と、フォレストマンを手札に加える。更に魔法マジック、戦士の生還で、オーシャンを手札に」



これで俺の力は、揃った。

あとは、出し尽くすだけだ。



「そいつらを戻しても、もうZeroはいないぜ?」

「ああ、お前に今から叩き込むのは、真正面からの一撃だ。

 融合発動! 手札のオーシャンと、フォレストマンを融合する!」



大地と大海、それぞれを表す二体のモンスターが、一体と化す。

それは、惑星の生誕。



「つまり今度は地属性の融合ってわけか」



空間に二体が吸い込まれ、消えた後。

揺らめく孔を見据えた十代がそうこぼした。

確かにその選択肢がなかったわけではないが、これは、違う。



「いや。これは俺のHEROたちが持つ、数少ない特定のモンスター同士の融合形態。

 大地を象徴するフォレストマンと、大海を象徴するオーシャンのみが行える、星を創る融合」

「星を、つくるぅ?」



空間の歪みが一際大きくなる。

それは巨大なパワーの解放される前触れ。俺は最後を担うHEROに対し、その名を呼び掛けた。



「降誕せよ! E・HEROエレメンタルヒーロー ジ・アース!!!」



一点の曇りもない白い巨体が舞い降りる。

能面のような無表情、肩と額には青く輝く結晶、胸の中央には赤い結晶。

まるで飾り気のない。特徴がないと言い換えてもいい。

そのHEROの姿を見た十代は、微かに息を呑んだものの、首を傾いだ。



「そいつが星なのか?」

「そう、原型が整ったばかりのこの惑星は何がその力なのか分からないだろう。

 だがお前は今からその力に臨む事になる。これが俺の、出し得る全ての力だからだ。

 ジ・アースの効果を発動!」



Great TORNADOグレイトトルネードが両腕を掲げ、そのエネルギーを全て竜巻に変換した。



「な、なんだ…!」

「ジ・アースの効果。自分の場のE・HEROエレメンタルヒーローを生贄に捧げる事で、

 生贄に捧げたモンスターの攻撃力分、ジ・アース自身の攻撃力を上昇させる…」



ジ・アースの攻撃力は2500。

Great TORNADOグレイトトルネードは2800。

よって、この効果によりジ・アースの攻撃力は、



「こ、攻撃力5300!? ただでさえ十代くんのフィールドのモンスターは、攻撃力が半減してるのに!」



Great TORNADOグレイトトルネードが全てを託した竜巻が、ジ・アースを包み込む。

唸りを上げるジ・アースの身体が灼熱し、その身体を白から真紅に染めていく。

生誕した惑星がそこにある。



「更に魔法マジックカード、受け継がれる力を発動!

 モンスター一体を生贄に捧げ、別のモンスター一体にその攻撃力を受け継がせる! ヴェイパーの力を、ジ・アースに!!」



ヴェイパーが津波を呼び寄せ、己の身体をその中に投じた。

水の中に溶け合う事で、その力を全てジ・アースに託すために。

水流はジ・アースの身体に全て吸収され、膨大な蒸気を周囲に撒き散らしながら、更なる力と化した。



「ヴェイパーの攻撃力は2400…つまり、ジ・アースの攻撃力は」



攻撃力・7700。

それが今の俺が持ちえる最高攻撃力。これを、どう躱すか凌ぐかは十代次第。

だが、十代も知っている。俺の手札にはまだ、融合解除が残っている。

ジ・アースに逃げを打てば、スパークマンとクレイマンを、フォレストマンとオーシャンが襲う。



「行くぞ十代…! これが最後のバトルフェイズだ!!」

「ああ来い! 正面からそいつに打ち勝ってやる!!」

「「バトル!!」」



地球灼熱ジ・アース マグマで、フレイム・ウイングマンを攻撃!

 地球灼熱斬アース・マグナ・スラッシュッ!!」



マグマが沸き立つ。巨神が溢れだす熱量を腕からマグマの剣として顕現させ、フレイム・ウイングマンへ向かう。

その戦闘能力の差は歴然。

そのまま組み合えば一合持たず、フレイム・ウイングマンは蒸発して、十代のライフを完全消滅させる。



「どうする十代ッ! 避けるかっ、それとも守るかっ!?」

「言った筈だぜ。正面から打ち勝つってな! 速攻魔法、突進!!」

「!?」



猪突のイラストが描かれたカードが現れる。

その効果はモンスター一体の効果をエンドフェイズまで700ポイントアップさせる。というもの。

効果が成立すれば、フレイム・ウイングマンの攻撃力は1750となる。



「たった700!? それじゃあ焼け石に水、マグマに水を入れるようなものだよ!」



翔がその効果を見て悲鳴を上げた。

フレイム・ウイングマンは十代に従い、恐れなく最大速度でジ・アースに立ち向かう。



「攻撃力1750…今のままで、発生するダメージは5950…」



十代の場には3枚の伏せリバース

そして、三体のE・HEROエレメンタルヒーロー



「ま、さか…! 本気で…! 真正面からっ…!?」

「相手の攻撃宣言時に発動させた突進にチェーンして、トラップ発動! エレメンタル・チャージ!!

 自分の場のE・HEROエレメンタルヒーロー一体につき、1000。ライフを回復する」



これで十代のライフは4000。

つまり、あと1枚。



「エレメンタル・チャージにチェーンして、速攻魔法を発動、非常食!

 突進とエレメンタル・チャージを墓地へ送る事で、ライフを2000回復!!」



覆した。真正面から。



フレイム・ウイングマンの特攻をジ・アースはマグマの剣で迎え撃つ。

折られた翼では満足なスピードも出せず、火炎弾など吐き出してみてもまるで通じない。

それでも、限界に挑む。



速度はけして緩めずに巨大な惑星へと仕掛ける突撃。

それはしかし、ジ・アースが突き出した剣によって、胸を貫かれるまでの事だった。

フレイム・ウイングマンはけして、ジ・アースには届かない。



「十代くんのライフはこれで6000になって、ダメージは5950だから…の、残った!

 50ポイントだけど、まだ負けてない!」

「だッ、が…! 俺は融合解除を―――!」

「いいや、まだオレたちの最後の攻撃は残ってるぜ…!」



不敵に笑う十代は、最後の、4枚目の伏せリバースを示す。



「―――!」

「これがオレたちのラストアタック!

 トラップ発動、英雄変化チェンジ・オブ・ヒーロー-リフレクター・レイ!!」



ガッ、と胸を貫かれたフレイム・ウイングマンが左腕でジ・アースの炎の刃を掴んだ。

万物を焼き尽くす力の前に、対抗出来ずに焼かれた筈のフレイム・ウイングマンが。

ジ・アースが一瞬怯んだ瞬間に、それを握り潰す。マグマに触れた左腕は、やがて燃え尽きる。

だが、まだ動く。



後退を余儀なくされたのはジ・アース。

全身をを崩しながらも、未だ眼光の鋭さを残す戦士に気迫で敗北した。

瀕死のフレイム・ウイングマンは半ば以上に消滅・炭化しており、僅かな身動ぎで崩れてしまいそう。



「リフレクター・レイは、E・HEROエレメンタルヒーローと名の付く融合モンスターがが戦闘で破壊された時発動する。

 HEROが遺した最後の力で、相手に直接ダメージを与える効果を持つトラップ

 その威力は、HERO自身のレベル×300ポイント!

 フレイム・ウイングマンのレベルは6。よって、1800ポイントのダメージだ!!」



フレイム・ウイングマンの瞳が赤く輝く。

黄金色のオーラを身体の底から溢れさせたHEROの眼光が向かう先は、紛う事なく俺だ。

原型など残っていない身体で、それでも勝利に向かってHEROは羽搏いた。



黄金の龍が俺を目掛け殺到する。

ギリ、と歯を食い縛り、直後の衝撃に備えた。



が、それは直後のものではなかった。

俺とフレイム・ウイングマンの間に割り込む、ジ・アース。



「ジ・アース…」

「これで決着だ! フレイム・シュゥトォオオオオオオオッ!!!」



龍の前に立ちはだかる地球の分身は両腕を大きく広げ、俺に向かう敵を灼熱した身体で受け止める。

龍頭はその敵に向け、称賛するように赤い眼を一度、一際大きく輝かせると、一撃の許に葬り去った。

両断されたジ・アースは身体をガラスのように散らし、消え去る。



ジ・アースを破壊したフレイム・ウイングマンの魂の一撃は、最後に俺を貫いた。

ライフカウンターが0を刻み、Dホイールから白煙が噴き出し、強制的にバイク形態へ戻ってしまった。

当然浮力も失い、落下する。



その時に見えたのはディスクから外れたジ・アースのカード。

それを掴みとり、満足して、俺の意識は落下の衝撃に持って行かれた。











後☆書☆王

↓書き手が今回のデュエルで感じた事をエアーマンが倒せないにのせて。



気が付いたら いつの間にか出てきてる

そしていつも 効果を使われる

諦めずに 手札のHEROを融合するけど

すぐに 効果発動

※ミラクルフュージョンあれば 墓地のHERO融合出来るけど

どう考えても どう考えても

アムナエルが初出だから

あの効果が何回やっても避けれない

天罰使えば 無効になるけど

十代の奴は使わない

Wikiにらめっこしてみたけれども 使ってないから意味がない

だから場アドの維持をするために 僕は強欲だけは最後まで取っておく



気が付いたら ライフももう少ししかない

そしていつも そこでドロー加速する

諦めずに エアーマンは何とか除去するけど

すぐに Zeroがわいてくる

ネオスビートが組めれば 楽にZeroをはったおせるけど

どう考えても どう考えても

キモイルカはまだいないよ

帰るアブソは何回やっても止めれない

こっちも帰して 効果避けても

いずれは手元がハンドレス

Wikiとにらめっこしてみたけれども 効果耐性がありゃしない

だから手札を確保するために 僕は宝札だけは最後までとっておく



※ リピート



汗べいべぇ…







エレメンタルVSエセメンタル。エセメンタル強すぎる。

アドの塊空気男。相手の場アド根こそぎ削り取る絶対零度。

どうやってエレメンタルを勝たせろと…

効果破壊を防ぐカードの1枚もないと言うのに…



書き手のデュエリストレベルではこの程度が限界でした…

俺はあと何回wikiに行けばいい? 俺はあと何回、あの効果とあの裁定を確認すればいいんだ…

Zeroは俺に何も言ってはくれない…教えてくれ、ごひ。



今回のテーマはリスペクトデュエル。コンセプトはHERO。メインはZero。

キーモンスターはフレイムウイングマン。メッセージはわくわくを思い出すんだ。



ちなみに前回のテーマは絆。コンセプトはシンクロン。メインはスターダスト。

キーモンスターはジャンク・ウォリアー。メッセージは集いし絆が更なる力を紡ぎ出す。



天よりの宝札は言うまでもなくアニメ効果です。

あれがないとデュエルの展開がgdるのでどんどん使用していく予定です。制限扱いとして。

ただし主人公は完全OCG縛りなので持ってません。※OCG効果のなら持ってます。

OCG化しているものは大体OCG効果で進めますが、時々アニメ効果のままなカードもいます。※主人公は全部OCG。

あとアニメオリカも多分使います。※勿論原作キャラ限定で。Spもオリカですし?



あと今回どうしても劇中使ったカードっだけでは足りず、十代は数枚使った事無いカードを使ってます。

前回もクローズサモンとか使ってたけど。



ではちょっとアンコール上映イテキマースノシ



時械!じゃなくて次回!

立ちはだかる超魔導剣士! 打ち破れ 波動竜騎士 ドラゴ・エクィテス!

※次回予告の内容は変更の可能性があります。



投稿直後に決定的なミスのご指摘あり。



>>OCGでは平行世界融合は発動するターン、自分はモンスターを特殊召喚できないとあるのですが、

主人公がこのカードを使用した後に融合によりジ・アースを融合召喚しています。



すいません…直しました。

ご指摘下さったTR様、ありがとうございます。



更に致命的なミスをご指摘いただきました。



>>フラッシュの効果でエアーマンは除外されているのでまず墓地に戻さなくてはなりません。



ホントに何やってんだろ俺。すいません、直しました。

ご指摘下さった通りすがりの日本人様、ありがとうございます。

も、もうないよな…?



などと言っていたらまだありました。



>>なぜ入学当初の十代がエクストラデッキの名称をしっているのですか?

>>疑問:十代が主人公に対して「お前のエクストラデッキにはZeroは何枚ある?」みたいな発言をしてたけど、

 この時代だとまだ『融合デッキ』と言われていたのでは?



ですよね。この時はまだ新エキスパートですからエクストラじゃなくて融合ですよね。

根本的に間違ってますね。

…15枚制限がついたのはマスタールールからというのは覚えてましたが、名称も変わってた事をすっかりと…

何度間違えれば気が済むんでしょうね。

十代のセリフ及び、十代との会話で出るエクストラデッキというセリフを修正。

戒めのために地の分で使ってしまったのは、エクストラデッキのまま放置。

ご指摘を下さったネラー様、翠玉 皐月様、ありがとうございます。



>>デュエルの間違いではないですが、第二回のマスクチェンジのシーンでの『Came On』

>>過去形になってます。Come Onではないでしょうか



なん…だと…!? 俺は小学生か。修正しました。

ひふみ様、ありがとうございます。


>>初めまして、初見ですが楽しんで読めました・・・1話だけですが。

>>2話のリメンバー(ryの後半(十代とのデュエル部分)が

>>非常に読みづらくなっていたので修正してもらいたいです


なんか変なとこにルビタグがついてました。そのせいです。

修正したので大丈夫だと思います。波人様、ご指摘ありがとうございました。


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