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No.25789の一覧
[0] 【ネタ完結】魔法少女リリカルなのは ~ちょっとだけ、やさぐれフェイトさん~[熊雑草](2011/02/02 22:59)
[1] 第1話 フェイトさん、やさぐれる[熊雑草](2011/02/02 22:51)
[2] 第2話 やさぐれた理由[熊雑草](2011/02/02 22:52)
[3] 第3話 やさぐれ初日・昼[熊雑草](2011/02/02 22:53)
[4] 第4話 やさぐれ初日・夜[熊雑草](2011/02/02 22:53)
[5] 第5話 やさぐれと白い服の少女①[熊雑草](2011/02/02 22:53)
[6] 第6話 やさぐれと白い服の少女②[熊雑草](2011/02/02 22:54)
[7] 第7話 やさぐれと白い服の少女③[熊雑草](2011/02/02 22:54)
[8] 第8話 やさぐれとプレゼント[熊雑草](2011/02/02 22:55)
[9] 第9話 やさぐれとプレシア①[熊雑草](2011/02/02 22:55)
[10] 第10話 やさぐれとプレシア②[熊雑草](2011/02/02 22:56)
[11] 第11話 やさぐれの休日[熊雑草](2011/02/02 22:56)
[12] 第12話 プレシアの憂鬱[熊雑草](2011/02/02 22:56)
[13] 第13話 フェイトとなのは[熊雑草](2011/02/02 22:57)
[14] 第14話 やさぐれとフェイト[熊雑草](2011/02/02 22:57)
[15] 第15話 フェイトとプレシアとやさぐれと[熊雑草](2011/02/02 22:58)
[16] 第16話 そろそろ幕引き……[熊雑草](2011/02/02 22:58)
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[25789] 第12話 プレシアの憂鬱
Name: 熊雑草◆890a69a1 ID:96ed7643 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/02/02 22:56
 == 魔法少女リリカルなのは ~ちょっとだけ、やさぐれフェイトさん~ ==



 思わず溜息が漏れる。
 娘のために延命する努力をすると誓ったものの、いざ、自分の症状を医者に見せるとなると憂鬱になる。


 「診断しても変わらないでしょうね……。
  ・
  ・
  でも、あの変なものを飲まされてから、
  吐血はしなくなったのよね。」


 プレシアは、本日、アルフにアリシアを任せて、裏の世界で名の通った医者のところに行くことになっていた。



  第12話 プレシアの憂鬱



 とある世界の海の見える岬の上に大きな洋館が建っている。
 プレシアは、そこに住む医者を訪ねることになっていた。


 「こんな辺鄙なところに家なんて建てるんじゃないわよ。
  こっちは、病人なんだから、
  もう少し労わったところに建てなさいよ。」


 プレシアは、大きな木造の洋館の前で深呼吸するとドアをノックする。
 ちなみに今日の服装は、フェイトの写真立てに写っているものと同じだ。

 中から、リボンをつけた小さな女の子がドアから覗く。
 そして、直ぐに振り返ると大声をあげる。


 「ちぇんちぇ~!
  お客さんが来たわさ!」

 「ああ、連絡を貰っている。
  上がって貰ってくれ。」


 女の子が、プレシアに視線を戻す。


 「どうじょ。」

 「ええ。
  お邪魔するわ。」


 プレシアは、女の子に続いて廊下を進む。
 書斎を思わせる造りの部屋に通されると件の医者が居た。
 若そうだが、髪の半分が白髪になっている。
 そして、顔を横切るような縫合の痕が目につく。
 医者がプレシアに声を掛ける。


 「どうぞ、座ってください。」


 プレシアは、手で示された椅子に座る。


 「今日の用件は、何ですかい?」

 「折り入って頼みたいことがあるの。
  この病気なんだけど、治るかしら?」


 プレシアは、数ヶ月前を最後に取ったカルテを医者に見せる。


 「こいつは酷い……。」

 「分かっているわ。
  そのカルテを作った医者は、匙を投げたから。」

 「当然でしょうね。」

 「…………。」


 医者がカルテを見ながら質問する。


 「この末期の状態は、随分と前のものですね?
  どうして、今頃?」

 「……言わなきゃいけないかしら?」

 「構いませんよ。
  ただ、興味がありましてね。」

 「そう。
  じゃあ、結果だけを聞かせてくれないかしら?」


 医者は、溜息を吐く。


 「この状態の時に来てくれれば、
  何とかなったんですがね。
  今は、どうなるか分かりません。」

 「……残念ね。
  その時、貴方を知っていれば良かったのに……。
  でも、診ていただける?」

 「一億払って貰いましょう。」

 「ちょ……!
  助かるかどうかも分からないのに
  そんなに吹っ掛ける気!?」

 「嫌ならいいんですぜ?
  こっちだって慈善事業をしているんじゃないんだ。
  モグリで医者をやっている以上、
  訳ありの患者も診察するんですから。」

 「っ!
  医者と名の付く男は、どういつもこいつも……!
  藪だったりモグリだったり……!」

 「何のことです?」

 「こっちのことよ!」


 プレシアは、唇を噛み締める。
 そして、それでもと顔をあげて医者を見る。


 「それでも構わないわ。」

 「こういう患者はいいな。
  治そうという意思が出ている。」

 「……娘が居るのよ。
  まだ、一人じゃ巣立てない娘が……。
  だから、死ぬわけにはいかないのよ。」

 「……その言葉が聞きたかった。」


 医者は、立ち上がると助手の女の子に声を掛ける。


 「検査の用意だ。
  現状のカルテを作る。」

 「アイアイチャー!」


 女の子は、足台を持って来ると棚から、検査に必要な器具を用意し始める。


 「この子が助手なの?」

 「ああ。
  そこいらの看護師なんかよりも、
  よっぽど役に立つ。」

 「そうなんだわさ。
  そして、あたちは、ちぇんちぇいの奥さんなのよさ。」

 「…………。」

 (大丈夫なのかしら?)


 プレシアの胸に不安が募った。


 …


 レントゲン、採血、問診、etc...。
 長い検査が終わると日が暮れだした。
 その日は、一泊し、検査結果を翌日に聞くことになった。
 そして、翌日……。


 「…………。」


 プレシアは、真剣な眼差しでカルテを眺める医者の答えを待っていた。
 医者がゆっくりと口を開く。


 「奥さん。
  私をからかっていたのかい?」

 「からかう?
  どういうこと?」


 医者は、数ヶ月前のレントゲンと昨日撮ったレントゲンを並べる。


 「肺の影が消えている。」

 「そんな……まさか!」


 プレシアが、並べられたレントゲンを見比べる。
 『プロジェクトF.A.T.E』に携わっていたため、プレシアは、レントゲンを見比べることが出来る。


 「何……これ?」

 「こっちが聞きたいよ。」

 「アッチョンブリケ!」


 医者の横で、助手の女の子が奇妙な言葉を口走った。


 「一体、どんな治療を施したんです?
  レントゲンの臓器のラインから、
  この患者が同一者であるのは間違いない。
  だが、末期とも言えた状態から、完全に治っている。」

 「何って……。
  この前まで吐血だって……。
  ・
  ・
  ……あ。」


 プレシアは、思い出したくないことを思い出した。
 そして、額に手を置き、項垂れる。


 「どうしました?」

 「異世界で手に入れた得体の知れない薬を
  無理やり飲まされた……。
  それも用量と用法を無視して、
  瓶ごと中身を一気に……。」

 「……は?」

 「それしか考えられない……。」

 「一体、何の薬なんです?」

 「注意書きには、滋養強壮と気付けって書いてあったわ。」

 「絶対に治りません。」

 「私もそう思うわ。
  でも、異世界の薬だから、
  何らかの効果が働いたのかも……。」

 「信じられませんな。」

 「私もよ。
  しかも、あんな馬鹿な展開で治ったなんて、
  絶対にありえないわよ。」

 「馬鹿?」

 「それだけは言えない……言いたくない。」

 (一体、何が?)


 プレシアは、健康を手に入れたのに頭痛が消えない。


 「あのサブミッションも影響してたり……。」

 「サブミッション?」

 「何でもないわ。
  とりあえず、言われた額のお金は払うわ。
  それで、お願いだから、
  貴方の治療で私が治ったということにして。」

 「どういう理由ですか……。」

 「誰にも知られたくない理由よ。
  そんな時のためのモグリの医者なんでしょう?」

 「違います。」


 プレシアは、大きな溜息を吐くと自分で制限していた魔法を使う。


 「治ったのなら、使っても問題ないわ。」


 プレシアは、転送魔法で取り出したダッシュケースを医者に渡す。


 「言われた金額が入ってるわ。
  好きに使って。」

 「しかし……。」

 「偶には、その子とご飯でも食べてくれば?
  今だから分かるけど、
  一緒に居られる時間というのは貴重なものよ。」

 「……そうですか。
  では、遠慮なく。」

 「やった~!
  ピノコ、お子様ランチがいい!」


 医者は、苦笑いを浮かべ、プレシアは、そんな二人を自分とアリシアに重ねていた。
 そして、医者の下を後にした。


 …


 プレシアは、納得いかないままだが、少し晴れた気分で心にゆとりが出来る。


 「思えばフェイトには、酷い仕打ちをしてしまったわね……。
  時間がないからって……。
  でも、本来の寿命に戻ったなら、焦る必要もない。
  アリシアも快方に向かっているから、
  アルハザードに行く理由もない。
  ・
  ・
  ジュエルシード……。
  要らなくなったわね……。」


 プレシアは、ガシガシと頭を掻く。
 その姿は、誰かにそっくりだった。


 「とりあえず、フェイトにはジェルシードを集めさせて置くわ。
  何かの役に立つかもしれないし、
  あのふざけた擬似人格にアリシアの治療を邪魔されたくないし……。」


 フェイトを呼び寄せない理由は、やさぐれフェイトのせいだった。
 プレシアは、大きく伸びをする。


 「これから忙しくなるわ!」


 そこにあったのは、険の外れた母親の顔だった。


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