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No.25654の一覧
[0] 【ネタ】プレイヤーが、こぬこ様!?【多分、ゲーム系異世界トリップもの】[まいうー](2011/02/02 20:13)
[1] こぬこ様はどこまで駆ける?[まいうー](2011/01/28 19:15)
[2] こぬこ様は魔王に勝つる[まいうー](2011/01/29 20:49)
[3] こぬこ様はぬこ鍋できない[まいうー](2011/02/09 20:34)
[4] こぬこ様はお花畑で設定に出会う[まいうー](2011/02/01 20:22)
[5] 爺様による異世界講座[まいうー](2011/02/01 20:28)
[6] こぬこ様はこぬこ様[まいうー](2011/03/02 21:21)
[7] こぬこ様は精霊に愛でられる[まいうー](2011/02/05 16:41)
[8] こぬこ様は浪漫を求める[まいうー](2011/02/09 20:52)
[9] こぬこ様は同胞と遊ぶ[まいうー](2011/02/21 21:24)
[10] こぬこ様は名付けに挑む[まいうー](2011/03/02 21:23)
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[25654] こぬこ様は魔王に勝つる
Name: まいうー◆355e87ed ID:15071914 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/01/29 20:49
 我輩はこぬこである。名前はまだ無い。

 名も無き無力なこぬこが、たった一人、もとい一匹で邪悪な魔王と対面というのは何か間違えていないかと我輩は愚考するのであるが、いかがなものだろうか。



 魔法のレベルは無限大であっても全て使用不可。物理攻撃はにくきゅうぱんちくらいなもの。
 ぬこ好きをしあわせにすることは出来てもダメージを与えることは困難であろう。相手が魔王ともなれば尚更である。

 ちなみに相手が魔王だと即座に分かった理由は実に単純至極。我輩がここに駆け下りた瞬間、ウィンドウが開いたのだ。

『邪眼の魔王が現れた!』

 現れたとメッセージにはあるが、生憎と現れたのは我輩の方ではないだろうか、と邪悪な魔王の城の玉座の間と言われれば千人中九百九十九人までが即座に納得するであろう禍々しくも豪勢な内装を見た我輩は思ったものであったが。

『邪眼の魔王の攻撃! 邪眼の魔王は“灼熱の波動”を放った!』

 存在そのものがバグであるかのような我輩がそのように思うのは僭越というものであるのだろう。
 壮絶な音と共に我輩に襲い掛かった何かは、我輩に何の影響も与えなかったのであるからして。

『ミス! ???(名前未定)は0のダメージを受けた!』

 我輩の残りHPは2である。もし足掻いて逃げようとした結果としてうっかり転びでもしようものなら紙より薄い我輩の物理防御力では転倒によるダメージで死にかねない。と常人ならば即死しそうな魔法を次々放ってくる魔王を意味も無くただ見ていた。

 ぬこは動くものを視界に入れると、ついそれをじぃぃぃっと見てしまう習性があるのだ。

「貴様…何者だ」

 こちらを見据えて鋭く問うてくる姿はまさしく魔王の風格。

「これほどの攻撃を受けたにも関わらず、何故こちらを攻撃してこない。この我を侮っているのか!?」

 だがしかし、魔王よ。貴殿は重要なことを理解していない。
 攻撃をしようにも攻撃手段などひとつたりとも持っていないだけであることもだが、それ以上に語るにはばかられる事実が存在することを。

「ええい! 何とか言った、ら……」
「にゃあ」

 小首を傾げて我輩は一声鳴く。それ以外に何を出来はしない。
 我輩は、こぬこである。言葉を理解できようとも語ることは出来ないのだ…!

「………」

 不自然に沈黙した魔王は我輩とじっと見つめあった。

『邪眼の魔王は様子をうかがっている!』

 我輩は耳をぴるると震わせる。何故か魔王の額からじわじわと汗がにじんでいるように見られる。

「…………………」
「みゃう」

 手持ち無沙汰であったため、尻尾もひょいと振ってみた。

『邪眼の魔王は苦悩している!』

 出てきたメッセージに我輩は反対の方向に小首を傾げた。
 何故に苦悩されねばならぬのか。我輩が正体不明であるためであろうか。

「………………………………………」
「にゃ!」

 お手の要領で片手を上げて、ご挨拶をしてみた。

「………………くっ………!」

 引き剥がすような不自然さで我輩から目を逸らした魔王は、何の魔法を使ったのか、そのまますぅっと姿を消していった。

『邪眼の魔王は逃げ出した!』

 何故だ。

『邪眼の魔王が癒しの眠りモードへ移行したため、人間界への侵攻は百年停止になります!
常駐クエスト/魔王軍からの侵攻阻止TypeA を達成しました!』

 ウィンドウをじぃっと見つめた我輩は取るべき反応を掴みかね、沈思黙考を為した。
 驚愕の事態である。

 何もしていないのに、いきなり逃亡され、あまつさえ受けた覚えも無いクエストを達成してしまった現状はいかにすべきか。

 しかし続いて出てきたウィンドウに我知らず身を乗り出す。

『達成報酬としてスキルと称号を取得しました』

 クエストを受注した覚えなぞありはしないのだが、勝手に出てくる他者には見えないらしいウィンドウなどから鑑みて、我輩もしくはプレイヤーと呼ばれる者はこの世界において記録と解析を常に為されているはずだ。

 となればクエスト受注の覚えなぞなくとも一定条件さえ満たせば達成であると、このウィンドウを出してくる何者かに結論されていたとて別段問題はないだろう。

 我輩はこぬこであるからして、これ以降にクエスト達成と呼べる何かを為せるとも思えなかった故に多大な期待を抱いた。
 ましてや魔王軍による侵攻阻止の報酬ともなれば、いかな素晴らしきものであろうかと浪漫を覚えもしようというものだ。

 目を輝かせて我輩は新たに出現したウィンドウをじっくり読む。




取得スキル:
魔王の知【種族:こぬこ には適合しないため発動させるとHPに毎秒5のダメージ】
絶対解析【前提スキル:邪眼 がないため発動不能】
強者の威光【前提条件:戦闘系スキルをひとつ以上持つ が満たされていないため発動不能】

取得称号:魔王を討ち滅ぼせし者【現在の称号は固有称号のため、称号変更コマンドによる使用は不可】




 そのあまりの使えなさに我輩は驚愕した。
 唯一使えそうなのは『魔王の知』であるが、我輩の最大HPは5であるが故に、1秒使えばそれで死んでしまう!

 あまりに驚愕してしまったことによる疲労でHPが更に1減り、HPが残り1になってしまった。
 故に驚きは棚の上に上げ、実は見事にふかふかだった玉座の上のクッションに我輩はくるり丸まって休息を取ることにあいなった。

 目を覚ましたときには魔王が立っていた場所に、達成報酬と思(おぼ)しきこの世界のお金と思しき金色の硬貨がたくさん積みあがっていた。そういえば、取得スキル及び称号の後に達成報酬のウィンドウが開いていたような気がしなくも無い。

 しかし我輩、こぬこであるゆえに袋も持っていないのだ。
 その上、こぬこであるゆえに…そもそも如何にして金銭を使うことが出来ようか。

 持ち運べたとしてもどう活用できるとも思えぬこの財産を我輩は、はてさて、扱いを何とすべきか。



 ちゃりーん♪



 存外、ころころと戯れに転がすと面白かった。


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魔王様、こぬこの魅力とプライドのせめぎあいに負けて冬眠のお知らせ。

せっかくチートな設定をつけたのならば、一回はやっておくべきとバトってみました。
もしも魔王が魔力をこめないただの強い息を吹きかけたなら転んで死亡していたと思われるため、この魔王のような普通の攻撃をしてこない相手としか戦えない。


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