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No.25644の一覧
[0] 【ネタ】剣と魔法と学園モノ。XTH【パロディ】[怪盗婦女子](2011/02/13 08:10)
[1] #1.旅は始まる[怪盗婦女子](2011/02/13 08:00)
[2] #2.女王の首飾り[怪盗婦女子](2011/02/13 08:01)
[3] #3.KoD’sアイテム[怪盗婦女子](2011/02/13 08:21)
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[25644] #3.KoD’sアイテム
Name: 怪盗婦女子◆5e609825 ID:32a983bb 前を表示する
Date: 2011/02/13 08:21
プリシアナ学院。
ハウル大陸にある冒険者養成学校の中で、最も新しい学園である。
歴史も古く、伝統を大事にするドラッケン学園。
独自の文化と教育体系を持つタカチホ義塾。
常に最新の教育を行うプリシアナ学院で、どれもそれなりに売りとするモノがある。
とは言えど、プリシアナ学院の教育は多分に実験的な部分もあり、特に危険が伴うものだ。
アルセーヌとしては、そんな売りよりもこの学校に納められたウィンターコスモス家の秘宝に興味を引かれたのだが……
プリシアナ学院の大聖堂にあるパイプオルガン……の隣に鎮座している、半透明に輝く純白の武具一式である。



剣と魔法と学園モノ。XTH
#3.KoD'sアイテム




大聖堂に人が来る事は、案外少ない。
冒険者と言う職業柄なのか、大聖堂に来る時間を惜しんで冒険に出ているのかは、アルセーヌには分からないし、興味も無い。
アルセーヌ自身、神に祈る為に此処に来ているわけでは無い。

「アルセーヌさん?」
「うん?ああ、はじめまして。セルシア・ウィンターコスモス君」

大聖堂のドアを開けたセレスティアの少年、セルシア・ウィンターコスモスに声を掛けられる。
プリシアナ学院の校長であるセントウレアの弟で、生徒会長も勤める実に優秀な少年だ。

「はじめまして……アルセーヌさんも、神に祈りに来たのかい?」

いかにもな問い掛けに、わずかだが苦笑するアルセーヌ。
半分しかセレスティアの血を引かない彼女と違い、純血のセレスティアである彼には、やはり神は信仰の対象足り得るのだろう。

「いや、僕は祈る為に此処に来たわけでは無いよ。そちらは祈るのかい?」
「時々だけど、ね」

跪いて十字架に祈るセルシアに、アルセーヌは少々居心地が悪くなる。
邪魔にならないように、アルセーヌは口を噤んで椅子に腰掛け、足を組んでステンドグラス越しに空を見た。
セルシアが神に祈る数分の間、アルセーヌは思考を廻していた。
意味のある思考では無く、精々が今日の晩御飯は何だろうと言った程度の低い事だ。

「……お邪魔だったかな?」
「いや、こちらこそ邪魔じゃなかったかい?」
「まさか、そんな事は無いさ……ところで、アルセーヌ君はどうして此処に?」

アルセーヌはしばし考えた。
探りを入れるべきか、否か……

「あのパイプオルガンの隣に置いてある武具一式なんだがね?」
「あれかい?あれはウィンターコスモス家に代々伝わっているものだよ」
「代々伝わっている?何か言い伝えは残って無いのか?」
「え……あ、いや……ただ、古くから伝わる武具だとしか……」
「なるほど、ね」

アルセーヌの問い掛けに、困惑するセルシア。
今まで、気にした事が無かったからだ。

「アレがどうかしたのかい?」
「いや、綺麗な武具だったから……何か伝説でもあるのかと思ったのさ」

実際にあるのだ。
アルセーヌはそれを知っているし、聞かれたら嬉々として答えたかも知れない。
しかし、セルシアはそれ以上は突っ込んでこなかった。
それから二言、三言だけ会話を交わして、二人は別れた。





「アルセーヌ?どうしたの?」

興奮を隠せぬ様子のアルセーヌに、シャルが眉を顰める。
与えられた寮室をグルグルと歩き回り、思考の海に没頭していたアルセーヌの瞳が輝く。
シャルは若干だが、自分の発言を後悔した。

「大聖堂のパイプオルガンの隣に武具一式が置いてあったろう?」
「え……ああ、あの純白の?」

シャルは少し考え、すぐに思い出す。
特徴的なパイプオルガンや、綺麗なグランドテラスは直ぐに思い出せたが、武具一式は印象が薄く、直ぐには思い出せなかったのだ。
アルセーヌがこうも興奮すると言う事は、歴史的に見て重要な何かである可能性が高いのだろうと、シャルは思った。

「そう、あれだよ!!」
「あれがどうかしたの?」
「あれこそが、クラウス王家の三大秘宝の一つとされたKoD'sアイテムだよ!」
「あれが?ムラサマやニルダの杖に並ぶ秘宝の一つ?」

この世界に斬れぬ物は無いと称されたムラサマ。
あらゆる災害や害意を持つ存在から国を守ると言われるニルダの杖。
正直、ステンドグラスの横に飾られた武具一式が、それに匹敵するもののようには、シャルには感じられなかったのだ。
かつて、世界を救ったと言われるダイアモンドの騎士が使っていたとされる伝説の武具こそが、KoD'sアイテムである。
高い攻撃力と防御力を持つのは当然の事ながら、さらには強大な魔法の力が秘められているとも言う。

「そうさ!神剣ハースニールだけでもたいした物だが、その他の武具一式も相当な物だよ!」
「どの位凄いの?」
「うん?武具の価値としては、そうだね……神の武具と言うのがあったろう?あれの上位互換と思ってくれれば良いよ」
「……そうなの?そうは見えないけど?」

首を捻るシャルに、アルセーヌはため息を吐く。

「武具の単純な性能なんかどうでも良いのだよ?実際に僕もこの目で見るまでは、興味も無かったからね」
「見た目が良いって事かしら?」
「もちろん!実に僕の好みなのさ!それに、歴史的視点での価値も高い!」

アルセーヌは武具そのものの性能よりも、歴史的価値や、自身の感性に合うか否かを重要視していた。
しかし、興味が無かったと言いつつも、KoD'sアイテムの存在がアルセーヌをプリシアナ学院へと入学に走らせた理由の一つでもあり、それなりに意識していたのも確かではあったりしたのだが。

「何とかして、僕の物にならないものかな?元々はクラウス王家の物なんだし、頼めば返してくれないかな?」
「無理でしょうね。元はクラウス王家の物でも、ウィンタースノー家に正式な手順で譲渡された以上は、あれはウィンターコスモス家の物でしょうしね」
「それは分かっているさ。しかし、話した限りでは生徒会長はKoD'sアイテムの事をあまり知らないようだし、上手く立ち回れば或いは……」
「無理に決まっているでしょう?一応はウィンターコスモス家の家宝よ?他人に譲渡すると思う?その価値が理解出来ていなかったとしても」
「そうだけどね……」
「それに生徒会長が知らなくても、校長が知らないかどうかは分からないでしょう?」

シャルの反対意見に、流石のアルセーヌも諦めるしか無いと感じた。
八つ当たりとは分かっていたが、思わず涙目でシャルを睨んでしまう。

「駄目か、駄目だろうね……はあ、見るだけで満足するしか無いのか……」

アルセーヌのため息は、誰にも届かず、空中で消えた。


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