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No.25606の一覧
[0] [ネタ]ある魔法先生の手記:(ネギま)おまけその6アップ[tune](2011/01/26 02:55)
[1] [ネタ]ある魔法先生の手記(ネギま)前編[tune](2011/01/24 03:06)
[2] ある魔法先生の手記 中篇[tune](2011/01/24 04:00)
[3] ある魔法先生の手記:後編その1[tune](2011/01/24 03:46)
[4] ある魔法先生の手記:後編その2[tune](2011/01/24 16:36)
[5] ある魔法先生の手記:ある吸血鬼の手記その1[tune](2011/01/24 21:08)
[6] ある魔法先生の手記:ある吸血鬼の手記その2[tune](2011/01/25 01:57)
[7] ある魔法先生の手記:おまけその1[tune](2011/01/25 16:13)
[8] ある魔法先生の手記:おまけその2[tune](2011/01/25 17:04)
[9] ある魔法先生の手記:おまけその3[tune](2011/01/25 17:53)
[10] ある魔法先生の手記:おまけその4[tune](2011/01/25 20:38)
[11] ある魔法先生の手記:おまけその5[tune](2011/01/25 21:52)
[12] ある魔法先生の手記:おまけその6[tune](2011/01/26 03:42)
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[25606] ある魔法先生の手記 中篇
Name: tune◆dc9bdb52 ID:a634d081 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/01/24 04:00
ある魔法先生の手記:中篇


○年×月△日

 「ふう。」

 私はため息を付きながらベッドに腰掛けた。
 出てきたため息には深い憂慮がこめられていた。
 それほど、田村先生の話は悩ましい物であった。
 聞き流すことなど決して出来ないほどに。





 「大体、ナギ・スプリングフィールドによる登校地獄は闇の福音を完全に無力化できているのでしょうか?」

 田村先生が目を血走らせながらこっちを睨み付けてきた。

 「英雄であるし、その魔力量は膨大。
  闇の福音の魔力を完全に封じたとしても不思議はありませんが。」

 「英雄。
  確かに英雄です。
  しかし、彼が息子のネギ君が卒業した学校すら中退していたのをご存知か?」

 「え?」

 私は呆然となった。
 ナギ・スプリングフィールドが中退者?
 あの英雄が!!!?

 「ナギ・スプリングフィールドはサウザンドマスターと呼ばれ、魔法の達人のように思われています。
  しかし、実際に記録を調べてみたらアンチョコがなければ魔法を使えず、戦場ですらアンチョコを見ながら魔法を唱えていたそうです。
  そのような魔法の素人が唱えた登校地獄が、600年の歳月を生き、最強の魔法使いを名乗る吸血鬼を完全に封じ込めるようなことができるのでしょうか?
  私は・・・・・私は・・・・・・そう思えないのです。」

 「・・・・・・・・・・・・・・。」

 何もいえなかった。
 あまりにも衝撃的な事実。

 「・・・・・・・しかし、戦場では英雄であり、幾多の敵を倒してきたのではないのですか?
  サーガには造物主すら英雄ナギが倒したとか。」

 「貴方も知っていると思いますが、戦場で強い者が魔法の達人であるとは限らないのですよ?」

 「それは・・・・。」

 その言葉に深く納得する。
 私は学生時代を思い出していた。
 私よりも成績が悪く、実技の成績もそれほどではないのに、やたらと強く模擬戦ではいつも負かされていた友人の姿を。

 「闇の福音。
  ナギ・スプリングフィールドの魔法と学園結界が作用して、ほとんど無力になっているといいます。
  ですが、本当にそうなのでしょうか?
  600年もの間、吸血鬼として追われっぱなしの生活をしていながらこうして健在であり、600万ドルの賞金首となりながらもその首はいまだに繋がっている。
  闇の福音とは私が子供の頃から知っている魔法使いです。
  悪いことをするたびに闇の福音がやってくるぞと脅されました。
  闇の福音・不死の魔法使い・悪しき音信・禍音の使徒・童姿の闇の王・人形遣い。
  どれもこれもあの闇の福音を表す怖ろしき二つ名。
  そう、私は怖ろしいのです。
  あの魔法使いがここにいるという事実が。」

 田村先生はワナワナと震えその言葉を吐き出した。
 私はその恐れに共感した。
 当たり前だ。
 誰が御伽噺の悪い魔法使いといて、恐れないはずがあるものか。
 赴任して一番驚いたのは図書館島でもなく、世界樹でもない。
 あの闇の福音が生徒としてすぐそばに存在する事だった。
 もし、あの福音が力を取り戻したら?
 そして、封印の恨みを晴らすために学園を殲滅する事を実行したら?
 ガクガクガクブルブルブル。
 身体が自然に震えだした。
 ああ、そうだ。
 私も田村先生と一緒だ。
 怖いのだ
 力というならナギ達英雄も私たちを一瞬で滅ぼすくらいの力があるだろう。
 しかし、ナギ達が近くに居ても嬉しいと思えど、決して恐れたりはしない。
 同じ最強と呼ばれたものでも、闇の福音だから怖ろしいのだ。
 あの人外の化け物が。

 「ナギ・スプリングフィールドの登校地獄があの闇の福音を完全に封印しているのなら問題ありません。
  しかし、封印されているのが擬態なら?
  普通の者が行ったなら、闇の福音を封印したなど、笑い話にしかならないでしょう。
  しかし、英雄なら、世界を救った英雄ならどうです?
  闇の福音を封印しても誰も疑問に思わない。
  あの吸血鬼が私たちにそう思わせているのだとしたら?」

 「考えすぎではないのですか?」

 恐怖を共感しておきながらも反論する。
 そうだ。
 そんな事実はいらない。
 闇の福音が実は自由になっているなど。

 「考えすぎならいいのです。
  ですが、考えてください。
  魔法は秘匿される物。
  それは私たちの常識です。
  決して一般人に迷惑をかけない。
  魔法使いとしての基本的な心得です。
  なのに、ネギ君の状況はどうですか?
  秘匿はちゃんと出来ていますか?
  一般人に迷惑をかけない、これを彼は守っておりますか?」

 「それは・・・・・。」

 私は何もいえない。
 当たり前だろう。
 彼はあまりにも魔法使いの掟を破りすぎる。
 それは異常と言っても過言では無いほどだ。
 だが、魔法使いの村で生まれ、魔法使いの学校で育った子供だ。
 そうなるのもある意味当たり前であり、それを是正するのが年長者の義務であるはず。

 「そう、彼は魔法使いとして未熟すぎる。
  ですが、子供なのだから仕方がない。
  問題は私達魔法先生の方です。
  子供が間違ったら叱る。
  こんな簡単な事がネギ先生にできていますか?」

 「確かに・・・・・・・。」

 否定できない。
 何度も注意しようとは思った。
 だが、学園長の言葉が邪魔をする。
 ネギ君の修行なのだから、決して、魔法先生だと知られてはいけないと。
 魔法について指摘しようと考えているのに、魔法先生と知られてはいけない。
 どうやって指導しろと?
 
 「気づきませんか?
  ネギ君の状況を。
  力を求めるように明らかに誘導されている。
  3-Aの生徒達は明かに異常です。
  あまりにも戦闘能力や特殊技能の保持者が多い。
  秘匿についてまったく注意せず、ネギ君が魔法使いだと知る生徒がドンドン増えていても注意すらされません。
  そして、犯罪者であるオコジョが仮契約をしても、何も手を打たない。
  これを見ればあのクラスの目的は簡単に推測できます。
  あのクラスはネギ君の従者候補のために作られたクラスです。」

 「馬鹿な。
  貴方は学園長が。
  教育者としての長が。
  生徒をネギ君の生贄にしているとでも言うのですか?」

 それだけは認められなかった。
 教育者として、立派な魔法使いを目指すものとして。

 「あのクラスの編成は学園長が関与しています。
  私は教育者としての学園長を信じております。
  英雄を作るための生贄に生徒をする事はないと。」

 「貴方の言葉は矛盾している。
  教育者として生徒を生贄にしないと良いながら、実際にはしていると言う。
  何が言いたいのですか!?」

 「だからです。
  だから言うのです。
  学園長はクグツであると、すでに闇の福音の言いなりなのだと。」

 がーーーーんと頭を殴られたようなショックを受けた。
 今までの生涯で感じたことがないほどの衝撃だった。
 
 「今のネギ先生の周辺は明らかに力をつける事が優先されている。
  従者を作りやすいように魔法の秘匿を軽視する。
  犯罪者のオコジョが無断でパクティオーをするのを黙認する。
  そして・・・・・・そして・・・・・・ネギ君を狙ってあのような騒ぎを起こした犯罪者をとうとうネギ君の師匠としてしまった。
  これは・・・・・・これは・・・・・・・何者かの意思が介在されていないのでしょうか?
  本当に偶然だと?」

 「それは・・・・・・。」

 どう見ても何者かの思惑によってネギ君は動かされていた。
 それはただの魔法先生の私でも感じることのできるレベルの話だ。

 「狙われた被害者が自ら、加害者に弟子入りする。
  こんな不自然な話がありますか?
  貴方ならどうです?
  父親のせいで命すら狙われて戦いになった相手に、人外の化け物で犯罪者に師匠になってくれとお願いしますか?
  そのような事できますか!!!!!?」

 確かに不自然だ。
 これも誰かによる誘導があったとしか思えない。
 
 「闇の福音は学園長を操ることでまんまとネギ先生の師匠となりました。
  私はそう思っています。」

 「だが、どうしてネギ君を。」

 私を見る眼差しに呆れたような気持ちが込められた。
 正直、嬉しくはない。

 「英雄ナギ・スプリングフィールドの息子ですよ。
  その価値はとんでもない物があるでしょう。
  人質にするなり何なりできる。
  また、今回の活躍を見ればネギ先生は英雄になりうる力を持っていることが分かります。
  闇の福音からすれば始めてみた時からその才能を見出したのでしょう。
  そう、その手に入れたいと思わせるほどに。
  長話をしましたね。
  失礼しました。
  また職員会議で会いましょう。」

 「待ってください。
  何故その話を私に話したのです?
  貴方は一体何をするつもりなのです?」

 去ろうとしたその背中に話しかけた。
 田村先生は振り向くと私にぼそっと呟く。

 「私はこの学園を愛してます。
  それを汚らわしい人外によって汚されることなど許せない。
  その為にならどんな事もするつもりです。
  ではまた。」

 そう言って今度こそこちらも見ずに歩いていく。
 私はその背中をじっと見送るしかなかった。






 「ふう。」
 再びため息をついた。
 田村先生は命がけでこの学園の膿を出すつもりのようだ。
 私に話したのもその為の策の一つだろう。
 さて、私はどうするべきか。
 ベッドに寝転び、天井を見ながら考えた。



続きますw


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