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No.25569の一覧
[0] 【習作】EFBを持ってリリカルへ(オリ主転生・テイルズ等のゲーム技名引用)[涼雪](2011/01/28 16:02)
[1] それは突然の出会いがあった後なの?[涼雪](2011/01/24 15:08)
[2] 魔法の呪文はフリージング・ダーク・アイシクル・オブ・ディッセンバーなの?[涼雪](2011/01/24 16:06)
[3] 未来は不確定要素がいっぱいなの?[涼雪](2011/01/25 04:59)
[4] 師匠登場!?死亡フラグを抱えた魔法奥様なの?[涼雪](2011/01/25 14:37)
[5] ここは修羅道、ナカジマブートキャンプなの[涼雪](2011/01/26 12:40)
[6] 妥協しか許されない状況なの?[涼雪](2011/01/27 14:37)
[7] 殺伐とした萌える世界なの!?[涼雪](2011/01/28 16:00)
[8] それは踏んではいけない地雷だったの?(没1[涼雪](2011/01/29 13:17)
[9] お知らせとか色々。[涼雪](2011/01/29 09:27)
[10] それはまた一つネタ技を思いついた時なの?[涼雪](2011/01/31 15:11)
[11] 師弟対決は暁に燃えるの[涼雪](2011/01/30 14:22)
[12] 複雑な心の内なの[涼雪](2011/01/31 15:09)
[13] お知らせとか再び。[涼雪](2011/02/01 00:38)
[14] 閑話:泡末と消えたフラグ回避なの?[涼雪](2011/02/01 16:51)
[15] 閑話:父親のお仕事なの[涼雪](2011/02/01 17:07)
[16] 無印プロローグ:それは避けられない原作なの?[涼雪](2011/02/02 11:15)
[17] 無印1話:交戦規定はただ一つ「攻撃魔法は使えない」なの?[涼雪](2011/02/03 14:22)
[18] 無印2話:原作の原作も死亡フラグなの?[涼雪](2011/02/03 16:19)
[19] 無印3話:子持ち熟女!?でもヤンデレはお断りなの![涼雪](2011/02/04 14:00)
[20] 無印4話:ここは隣町、フェイトのセーフハウス一日目なの[涼雪](2011/02/05 19:44)
[21] 無印5話:主人公組のチートを見て今どんな気持ちなの?[涼雪](2011/02/08 22:39)
[22] 無印6話:付け焼刃のポーカーフェイスなの!?[涼雪](2011/02/18 07:22)
[23] ラクガキ:ぼくの考えたかっこいいマブラヴ世界観(1944-1987)[涼雪](2011/02/26 03:55)
[24] ネタ帳に残ってた閑話の一つ。65年のナンバーズとか。[涼雪](2012/02/09 13:56)
[25] 無印7話:ここで伏兵フラグ、海鳴温泉なの。上[涼雪](2012/02/21 14:46)
[26] 遅まきながらのキャラ紹介とかコメント返しとか。[涼雪](2012/02/19 16:00)
[27] 無印7話:ここで伏兵登場、海鳴温泉は8歳以上混浴禁止!だといいなぁ。中[涼雪](2012/02/21 15:22)
[28] 無印7話:ここで一言、ファンタジー世界の子供の子供っぽくなさは異常・下[涼雪](2012/03/09 04:09)
[29] 無印8話:いい展開が思いつかなかったまま引き伸ばされた温泉編終わり[涼雪](2012/05/03 03:34)
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[25569] 無印5話:主人公組のチートを見て今どんな気持ちなの?
Name: 涼雪◆7a2751f0 ID:6ea60729 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/02/08 22:39

あれから特に何事もなく2週間が過ぎた。
その間に2回程ジュエルシードの発動が、あったのだが……

1回目

「どうしたんだ汗だくで」

「場所が…神社で…階段がものすごくて…」

「あぁ、あの神社か。普通に高過ぎだよな。てか飛ばずに行ったのか」

「近くまで行かないと結界範囲に入らないし…あんな場所に…建てたら誰も参拝にこないと思うんですけど……」

「まぁ寺社仏閣ってのは立地が重要になってくるからな。さ、風呂入ってさっぱりしてこい」

2回目

「で、今度はびしょ濡れか。どうしたんだ?」

「駆け付けた先でフェイトがウォータースライダーっていうのの近くで水飛沫をモロに浴びちゃってさ」

「風邪ひく前に風呂入ってあったまってこい」

とまぁこんな感じで夜の探索に備えて寝ていたフェイトが飛び起きて
寝癖も直さないまま飛び出していったのだが悉く先を越されて帰ってきた。
そして今日は

「で、今度はまた汗だくだな」

「用務員のおじさんが……」

「まぁ、風呂入ってこい」

夜の探索に出かけてる最中に学校で発動を感じて駆け付けた途端に張られていた結界が解かれ、用務員さんから見つかって逃げてきたそうな。
当然ジュエルシードは既に学校に潜入していたなのはによって封印され、しょんぼりした顔で帰ってきた。

「ジュエルシードもないし、もう一人の魔導師も見つからないし……」

日に日に焦った表情を浮かべていくフェイト。
なのはさんというジュエルシードが出たら即惨状、もとい参上しちゃう主人公がいるんだから、ライバルは焦るに決まってる。
アルフが目線で「アンタからも何か言ってあげてよ」と言ってきたので

「大変そうなら手伝おうか?」

と爆弾発言をしてフェイトは更に焦る。アルフも自分が馬鹿な事を頼んだと気づいて慌てる。
「ダイジョブデスヨ」「ソダヨーダイジョブダヨー」という片言となった言葉に何も言わずに納得すると
フェイトとアルフはほっとした表情をしていた。

『鬼畜ね』

『失礼な、ウイットに富んでると言え。現地の子供に飴玉の代わりにパイナップルを手渡す兵士だっているんだぜ』

『パイナップル?ならいい兵士じゃない』

『パイナップルってのは手投げ弾の事だ』

なんてやり取りをしながらも、暇な時は適当にテレビを見たり
自分の生まれ故郷はこの世界にもあるのかとネカフェのPCで検索したりの日々である。
図書館なんて絶対にお断りする。
隣町の図書館でさえ車椅子に乗った子供の後姿を見かけてからは怖くて近寄れねぇ。
あれが狸かはわからないが、今までの事を考えるに確実に狸と考えていい。くわばらくわばら。

『まぁ当然故郷なんてさっぱりなかったわけだが』

『あったらどうかしてたの?』

『いや、なんもしない。暇つぶしに探しただけだしな』

別の世界の自分なんてものがいたとして、果たして会いたくなるか?
個を特定するための条件の一つに記憶がある。
だが、別の世界の自分が同じ記憶を持っている可能性はおそらくない。
同じ経験、同じ思考をする可能性などあるわけもなし。
そうなるとそれはもう別の個と言える。

フェイトは前提からして違う個にアリシアの記憶を転写した結果出来上がった存在だ。
何故別の個と言えるのかといえば、生まれた経緯も生まれた年代も違う。それはもう立派な差異だ。
フェイトとアリシアという既に別の個なのにもかかわらず、持っている記憶は同じだと言うが
フェイトはアリシアの全ての記憶をもっているのだろうか?断片的にしかないのなら更に差は広がり、同じ思考と選択をするわけがない。
つまりアリシアを生き返らせるには、アリシアという個を蘇らせる以外にはない。

『さすがに死んでから十年以上経ってる死体を復活させるなんて無理そうだが』

『そうねぇ…死んだ直後なら私の世界でも死者蘇生に近い魔法を使って蘇らせたなんて話があったけど』

『やっぱりお前の世界にもあったのか、死者蘇生』

『私のような精霊が生まれる遥か前からあったらしいわ。といっても出来るのは肉体的な死を修復するだけ。
精神的な死にはどうしようもないし、死んでから時間が経ってしまえば無理だったみたいだけど』

『まぁ肉体的な損傷を再生して、後は精神が消失する前に蘇生させる、となるとそれが限界だろうな』

さて、死者蘇生とは一体何かというと、一般的に言われているのは二種類ある。
死んだ原因を超回復させるものと、死んだという因果そのものを捻じ曲げるものの二つ。
前者は圧倒的な回復力を持つ魔法や薬などを精神が死ぬ前に施す事で死者蘇生となる。
当然だがこれは、死亡してから時間がたち、精神や魂と言われるものが肉体から消えてしまえば使えない。
ではなぜアリシアが事故で死んですぐに治療行為がなされなかったのか疑問が残る。
超回復で肉体的な損傷を取り除いたのか、外傷のない死因だったのか知らないが、アリシアは体を損傷していなかった筈だ。
ならば死んですぐに脳細胞が死ぬ前に蘇生を行えば生き返らせられたのではないだろうか。
まぁ、プレシアが無理だったのだ、恐らく超回復では治せない死因だったのだろう。

ちなみに、スカさんが死んだゼストにレリックを埋め込んで生き返らせたのも、レリックによる肉体強化の促進を利用した超回復だ。
スカさんの研究テーマはあくまで、レリックウェポンという人間の強化だ。副次効果で蘇生させたに過ぎない。
メガーヌも早めにポッドによる細胞と生体機能維持を行ったために生き返らせる事ができたわけだし。

ならばプロジェクトFとはなんだったのか。
スカさんにとっては恐らく「違う個に他人の記憶を転写して作る新しい個」という認識だったのだろう。
だが他の人間は「他者を復活させる方法」と考えた。
スカさんが周りにそう言って扇動したのか、周りが勝手にそう思い込んでいたのかは知らないが。
そしてプレシアはアリシアのクローンを生み出し、記憶を転写させても違う個として
出来上がったフェイトを見て、それに気づかされてしまった。

『どちらにせよ、死者蘇生が無理とわかれば、失われた都なんておとぎ話にでもすがりたくもなるだろうさ』

『でもスカリエッティとやらはアルハザードの遺産から生み出されたんでしょう?』

そう、アルハザードは実在する。ただそれはオーパーツのようなものなのだ。
いつ誰がその世界をアルハザードと呼びだしたのか、それすら分からない。
にもかかわらず、アルハザードの遺産は存在している。
ならばアルハザードとは一体なんなのか。

『人知れず滅んだなんて言われてるが、あくまで痕跡が見つかったというだけだから、案外どこかに残ってるのかもしれないがな』

『それなら見つかる可能性もあるでしょう?』

『今の次元世界よりずっと進んだ世界の人間が、旅行先に同じ世界を選ぶか?』

個人的な考えでは、滅んだのではなく、消えたのだ。それも遥か昔に。
下手をすると文明どころか生体レベルで全て消えたのではないだろうか。
アルハザードの人間が消えたあと、もう一度種の起源から今の人類が生まれた可能性だってあるのだ。
そうなると数千年どころか数百万年規模の話になる。そりゃ確かに痕跡なんてものは殆ど残っていない。

『案外不死人とかいたんじゃないか?アルハザードの人間とやらは』

そう、数千年を生きて今の世界には何もないと分かった彼らは、新しい世界を探しにどこかに行ってしまった。
自分の後に生まれた者達が自分達に気付かないように何も残さずに。
だが全て消せたわけでもなく、どこかの次元世界で痕跡が発見されて、次元世界は魔法と科学を融合させた技術を手に入れ、スカさんが生まれた。

『ふむ、我ながら夢がある話じゃないか。どっかにリアルえーりんとかプロトカルチャーがいるかもしれない』

『なにそれ?』

『あらゆる薬を作る不死人と世界を作った始祖達だ』

あらゆる薬ってどの程度までいけるんだろうな?歌で管理局の暗部が平和になったりはしないだろうけど。
なんて自分には何も関係ない事を考えて時間を潰す程度には平穏である。




「ゴホッ!ゴホッ!……ジュ、ジュエルシードを…探しに…」

「だめだよフェイト寝てなきゃ!」

ベッドから起き上がれない程見事に風邪を引いて寝込んでるフェイトと
それでもジュエルシードを探そうとするフェイトを必死に止めるアルフがいたが。

『まぁ、案の定というか、ここ最近湯ざめしそうな雰囲気がプンプンしてたというか。しかし風邪ってこんな重い症状だっけ?』

『さぁ?私は風邪なんて引いた事ないし』

『あぁ…クローンだから免疫抗体が正常に機能しきれてない、とかか?』

いくらスカさんでも完全な遺伝子のコピーは無理な筈だ。
血液検査と投薬を適度に行いながら徐々に遺伝子の自己修復に任せて免疫不全を直す事が出来る程度には完成されているのだろうが。
そんなわけで普通の病院ではそんな事出来るわけもなし、そもそも保険証なんかあるわけないから病院に行くのも無理。
となるとプレシアの所に運ぶか自然治癒しか選択肢がないわけだが

「あのババァがフェイトのために薬を用意なんかしてくれるわけないし……」

アルフがそう漏らしたのが聞こえたのでこれで自然治癒で決定。
そりゃ道具に無駄に金かける気なんかないだろうさ、あのご婦人。

「寝てる…場合じゃ…」

「寝てろ寝てろ。今日一日は休業日だ。身分証もないから病院には行けないだろう?」

「あ、ヴェルさん……でも……」

部屋に入り氷嚢をフェイトの頭に乗せる。
フェイトはこちらを見て申し訳なさそうな顔をしたが

「もしジュエルシードが発動したら、俺が行ってきてやるから」

「で、でもヴェルさんは封印魔法を持っていない。危険です……」

「まぁ、仮に襲われても時間稼ぎくらいは出来る。その間にもう一人の魔法使いが来れば御の字だな。俺の事はいいから寝てろ」

本当は自分が行く気なんてこれっぽっちもないんだが。

「アルフも今日一日看病。俺に大事なご主人様の看病を任せたくないならな」

「え、いや、でもさヴェル…」

「それでなくても最近はお約束事故が起きそうになった事があるんだ、氷嚢と食事は用意しておくから着替えとかはお前がやれ」

そう言って問答無用で部屋を出る。
背後でフェイトがとうとう気絶したらしく「ふぇ、フェイト!」なんて聞こえたが無視だ無視。
お約束事故の事を話せ?フェイトじゃなくて犬と事故っただけですよ?
そう、あれは動物だからお互いにスルーできた。
だがフェイトが事故ったら俺はともかくフェイトがお嫁に行けない。

「ま、さすがに昨日ジュエルシードが発動したんだ、今日もって事はないと思いたいが」

なんて考えながらその日の家事を済ませていく。フェイトは寝てしまったので、俺とアルフの分だけ朝食を作り
アルフがまたフェイトの部屋に行ったのを見届けてから自分はソファーに座る。

「だが、学校で発動ってのは本編じゃやってなかった筈だよな……」

『そうなの?』

「やったのは最初の動物病院と神社、そして街にトトロの木が出来る回だった筈だ」

『トトロ?』

「妖怪が住んでるでかい木だ。しかし本当に本編は時系列が分からないな……」

そう、この二週間のうちに発動したのは3つ。
うち二つが本編ではやっていない発動。
プールっていうのは前に何かで聞いた気がするからあまり気にはしていなかったが
学校での発動というのは初耳も初耳。
まぁ、これ自体に何か問題があるわけではない。今の所フェイトがなのはと出会えていないし
もし今日発動したならフェイトは病欠で、次の発動で必ず会うだろう。

「と考えた結果がコレか」

『これがトトロの木?』

「コブやら根やらがグロテスクに見えるから違うな。こんなのにトトロが住んでたら子供が泣いちゃうだろう」

何事もなく昼を回り、起きたフェイトにおかゆを作ってアルフが食べさせ、再び寝たフェイトの側にアルフが着いて。
夕方になる少し前にジュエルシードの発動を感じた。アルフが部屋から出てきたので

「とりあえず様子を見てくる。お前はフェイトの側にいてやれ。なんかあったら念話する」

と言い含めて看病を任せて自分は海鳴へとやってきたわけだが
結界こそあるものの、広範囲で完全には無理なのか、やはり人と物を分ける程度にしか張れていない封時結界の中に入ると、目の前には巨木。
特に暴れもせず、ただ突っ立ってるデカい木。だが街の一部を覆う程に伸びた根が、家やら道路やらを破壊している。

「発動を感じて駆け付けたけど、何処かから収束砲撃が飛んできて封印されてしまった。と言えばいいだけなので、このまま見てればベストだな」

というわけで物見遊山と洒落込もうと思い、氷の足場でビルの壁をすいすいと滑って上っていく。
至るところでジュエルシードの魔力を纏った木がある中なら自分が魔法を使ってもバレる事はないだろうし、ビルの上まで初代W.A.Sは届かない。
屋上について、縁に座って木を眺める。魔力強化した視力で見ると、巨木の中心の少し上のあたりに呑気に寝てるバカップルがいるのを見つけた。

「気絶してるのは果たしてよかったのか悪かったのか」

『罪の自覚が足りない?』

「まぁ、不慮の事故って事で納得してくれるさ、優しい人間なら。さて、高町なのはのはぢめての砲撃を見届けるとしますか」

この回でなのはは収束砲撃での封印を行う。それも数キロ離れた学校の屋上からだ。
封印魔法とは俗称であり、一つの封印魔法で全てのロストロギアが封印できるわけではない。
一般的には専用に組んだ術式を用いる事で効果的に封印することが可能となる。
ジュエルシードの場合、周囲の魔力をとりこみ、放出するタイプなので、発動させなくするには魔力が流れ込まないようにすればいい。
AMFのような魔力消滅力場を形成するのが理想的ではあるが、それでは準備に時間がかかりすぎる。
ならばどうすればいいのかというと、一番手っ取り早いのはジュエルシードを魔力を遮る物質化させた魔力で覆ってしまう事。
魔力を通さなくするのはシールド等の魔法の応用で出来る。だがジュエルシードの魔力放出力は強く、AAランク以上のシールドを張れるものでしか覆う事はできない。
管理局では封印処理専門の部隊まであるのだから、ロストロギアの封印処理がどれほど厄介かが分かるというものだ。
ちなみに俺の氷の盾はAランク相当。砕けた側から魔力に物を言わせて復活させる事が出来るので
並みのシールドより破られにくいが、一枚の防御力はそれほど高くない。
発動してすっからかんの状態のジュエルシードを覆う事こそ出来たが、そもそもレティニアで変質した魔力で封印とか怖すぎるだろう常識的に。

「AAランク相当の威力を持たせたまま、数キロ先のジュエルシードを封印出来る程の遠距離収束射撃を感覚で、ねぇ……」

『なにそれ?ありえないわね』

「なにせ主人公だからな。チート性はこっちの方が上だが、汎用性なら向こうが圧倒的に上だ」

そう、魔力の収束射出というそれほど高難易度なわけでもない単純な攻撃。だが高町なのはの収束砲撃は今の時点でAAランクの威力を持ったまま数キロ先まで届く。
これが魔法世界においてどれほど効果的かは言うまでもない。射程外からの一撃。これに尽きる。
本編でも何度かやっていたが、正確無比にして避けるのも楽じゃないスピードで迫り
生半可な壁では防げない威力の収束砲の攻撃能力は絶大なものがある。
防げるとしたら同ランク以上のシールドか、相殺。もしくは全力回避しか方法がない。

『ヴェルでも先に撃たれたら危ないわよねそれ』

「だなぁ、EFBで周囲を常に凍らせてる状態ならSLB何発食らおうが防げるだろうけど、不意打ちされたらキツイな」

自分にディバインバスターやSLB規模の魔法を簡単に防ぐ方法はない。
直射魔法でDBくらいなら相殺できるが、SLBとなると恐らく撃ち負ける。
EFBを展開してしまえば魔力放出した範囲内にあるものは大気だろうが魔力だろうが片っ端から凍らせて防げるが
範囲外からの高ランク収束魔法は中々に厄介なのだ。
だからこそプレシアは条件付きSSランクなんて持ってるわけだし。
もっとも、プレシアの場合は射程外からの次元跳躍範囲攻撃。
射出地点は目標から200mそこらだろうし、一点の威力も高いわけではないので、なのはの射程外とは意味が違ってくるが。
エースオブエース。撃ち落とされる事なく撃ち落としていく姿に高町なのはに付けられた称号は
彼女の戦闘スタイルを見れば案外納得のいくものなのだ。そもそも相手とは土俵が違うのだから。

「ん?きたか」

そんな事を考えていると、左手に見える学校の屋上から、桃色のサーチャーが無数に放たれたのが見えた。
あれも魔法を覚えたばかりの子供が放てる量ではない。
デバイス側で必要な情報のみを取捨選択してから持ち主に送信しているのだろう。

「レイハさんはつくづく優秀だな……」

ユーノはなのはの才能にばかり目を向けていたが、レイハさんの優秀さも異常と言える。
インテリジェントとは思えないほどの処理能力。そしてそれを余す事なく持ち主の為に使う。

「レティニア、ああいうのを尽くすタイプって言うんだぜ」

『あら、私だってヴェルの為に尽くしてるでしょう?』

「なら少しは自重する心を持てよデバイスもどき」

なんて言っていると、学校の屋上から大量の魔力が放出された。
そしてそれは拡散することなく一点に収束していく。

『なにあれ、ひたすら放出した魔力を収束してるわね。暴発寸前じゃない』

「制御限界ギリギリまで圧縮して撃つ。そりゃ数キロ先までも届くわけだな」

高町なのはの魔力量はそれでなくても一般の魔導師数人分近くある。
つまりそれが切れるまで彼女は収束して撃つ事が理論上可能。
もちろん収束に用いる制御やデバイス側の管制処理が追いつく範囲内での話だが。

「本当にチートだな。本人はデバイス側からの情報だけで感覚で術式組み上げるし、デバイスは管制術式に関しては並みのストレージより高い性能持ってるし」

『彼女と戦う事になったら遠距離での撃ちあいはお断りしたいわね』

「最終的にはシューターとシールドで近距離でも生半可なスピードと威力じゃ太刀打ちできなくなってたけどな」

『でもヴェルならなんとかなるでしょう?』

「どうだろうな。クイントさんと違ってウイングロードを出さなくても空中を滑る事が出来るが、クイントさんほど早いわけじゃない。
フリーズランサーの弾幕を囮にして接近、ショートバスターはこっちも使えるからクロスレンジに入ってしまえばなんとかなるかもな」

『でもそれEFB無しの話でしょう?』

「当たり前だろ、主人公凍らしてどうする……お、撃つな」

『うわぁ……撃ちながら収束してるわねあれ』

普通は収束した魔力を射出したらそのまま大気魔力で減衰するに任せるが
なのはの場合はそこから更に収束を続ける事で威力を安定させていた。
正直これは凄く危ない。それでなくても収束魔法というのは
当然の事だが、収束中に攻撃を受けたら収束した魔力が暴発する危険があるのだ。

「……つくづく信じられん戦い方をするな」

『主人公だから許されるってわけでもないでしょうに』

「ユーノもなんで注意しないんだろうな。まぁサポート魔法ばっかりで収束砲撃は専門外なんだろうが」

収束された桃色の魔力光を纏った砲撃は、デバイスの管制に従い、外れる事なく木の中心を貫いた。
ジュエルシードの魔力で生み出された木と根は消えていき、着弾点に残されたのはバカップルだけ。

「いや、いいものを見た。参考にはならないが」

『まさかヴェル、また収束を練習するつもりなの?』

「冷凍ビームが無理だった時点でどうしようもないだろ」

生憎自分には魔力の収束に関しての才能は殆どない。
代わりにレティニアというチートのお蔭で魔力の性質変化と形状変化はそこらの魔導師には出来ないレベルで出来るが。
収束が苦手、というのは戦闘魔導師としては中々に致命的である。一般的な武装局員でさえ、収束射撃魔法を使う。
だが自分の魔力は収束出来ない。いや、そもそも収束する必要がないのだ。
大気ごと凍らせるような魔力密度を既に持っているからである。
だがそれは制御されて収束されたわけではなく、ただレティニアによって密度が増しただけ。
当然そのまま直射しても遠距離射撃は大気魔力による減衰で大幅に威力が下がってしまう。
なので遠距離の相手にも凍結効果を与える一つの方法として、物質化させて射出する事を考えた。
そして出来上がったフリーズランサーは相手に当たると、氷の矢として形成した魔力が元の凍結魔力に戻る。
これにより相手に刺さる事なく、凍らせるか魔力ダメージだけを与える事が出来るわけだ。
もちろん蜂の巣にすることも可能だが、まぁそれはいわゆる殺傷設定という奴だ。
必死に覚えた唯一キロ単位で届く魔法だが、それでも射程は2キロが限界。
まして弓兵のように百発百中なんて無理なので、単発ではとてもじゃないが当たらない不便な技である。
ちなみにだが、直射であるアイストーネードは威力を安定させたまま届くのは射程400mほどが限界。
ショートバスターな獅子戦吼は20mそこらをカバーする事が出来るだけ。
実質フリーズランサーが一番汎用性が高いのだ。
1キロ以上の遠距離なら変化制御という溜めに多少のロスがかかるが、中距離ならほぼ無詠唱。
弾幕としても使えるし滅茶苦茶便利だったりする。

(ヴェル!ジュエルシードは!?)

反応が消えたからだろう、アルフからの念話が入ってきた。

(ん、もう一人の魔導師が封印したよ。生憎と数キロ離れた所からの遠距離収束砲の狙撃で封印なんて馬鹿げた事をしてくれたから会えなかったが)

(そうかい……怪我とかしてないよね?)

(ただの馬鹿でかい木でどう怪我しろってんだよ。だいたい発動地点から多少離れて見てたし。まぁ帰ったら詳しく話す)

こうして原作通りに街の一部は半壊し、結界が解けて騒然としはじめた街中を駅がある方向に向かって歩く。
日は暮れはじめ、夕日に染まる街。
高町なのはは半壊した街を見て自分の意志でジュエルシードを集める事を決意するのだろう。

「決意した途端フェイトが出てきて出鼻をくじかれるわけだが」

『で、どうなるの?』

「遠距離砲撃を覚えたばかりのなのはにフェイトが負けるわけないだろう。インレンジで接敵した時点で彼女は詰んでる」

『成程』

「収束スピードや威力調節がまだまだ不安定だから、撃ったとしても当たらないだろうしな」

『そういえば彼女たちって今の時点でどれくらい強いの?』

「単純に戦闘技能だけなら、なのはがC、フェイトがBってところじゃないか?総合的にはAランク近いだろうけど」

『それでも高いわねぇ』

「二人とも欠点を補う形で硬い防御と早いスピードがあるからな。何より魔力量が尋常じゃないし」

『そういえばそうだったわね』

武装局員のランクがBランクというのは総合的にB、という事である。
戦闘技能、魔力量のランクその他を加味してBという事。
つまり戦闘技能がSランクとはいえ、本人の魔力量はCランクそこら、なんて人も中にはいるのだ。近代ベルカ式でAランクの障壁抜く人妻みたいな。
対してなのはとフェイトは戦闘技能はともかく、魔力量と使う魔法の威力が尋常じゃない。AAAの魔力量とニアSに届く威力の魔法。
つまり強くてニューゲームなのだ。そして戦闘技能を覚える二人の成長速度はありえないスピード。
自分もレティニアという強くてニューゲーム状態だという自覚はあるが、成長速度に関しては主人公組に勝てる気がしない。

「ま、このままいけば原作無印で戦う事はないだろうさ」

『もし戦闘になったら?』

「とりあえず避けるが避けたら怪しまれそうな攻撃は非殺傷なら甘んじて食らう。伊達にクイントさんの拳を食らっているわけではないからな!」

『ヘタレねぇ』

「打たれ強いと言え。人妻に殴られる複雑な気持ちを吐露すんぞ」



後書き
「妹パラダイスをしていたと思ったらカスタムメイド3Dをしていた」
な、何を言ってるのかわからねぇと思うが、俺にも何が起きたのかわからなかった…頭がどうにかなりそうだった…
好きなキャラ作り放題だとかめいめいこと御苑生メイの一人四役がハンパないだとかそんなチャチなモンじゃ断じてねぇ
もっと恐ろしいテクスチャ遊びの片鱗を現在進行形で味わってるぜ……

いや本当申し訳ない。
もうなんていうか、「嫁イド」が可愛すぎてついつい2徹で遊び倒して今日一日死んでました。
てなわけで半分ほど書きかけた状態で放置されてたので
さっき気付いて慌てて書き上げました。

カスタムメイド3Dはストーリーと呼べるようなものがほぼありません。
ひたすら自分で作った嫁とらぶちゅっちゅするゲームです。
ならばシナリオ厨は楽しめないの?そんな事はありません。
まして二次小説なんて読んだり書いたりしてる方ならばあふれ出る妄想という名の脳内設定で好き放題できる夢のようなゲームだったりします。
とまぁ何をゲームの紹介なんぞトチ狂った事をしているのかと言われても仕方ない程作者はハマってしまっております。
EFBなのはの方は正直今日起きてPCの前に座るまで忘れる程に……

別に打ち切るつもりは今の所ないですけど、更新速度が遅くなる理由としてご説明させて頂きました。正直殴られても文句は言わない。

べ、別に作者がピリオドの向こうへ行こうと読者には関係ないんだからっ!




くだらない事言ってないで感想返し

烏賊さま
あ、じゃあ一応次回は父母達ミッド組からの視点もちょこちょこ書いてみる事にします。騒ぎにはなってない筈。

奇士さま
この話を書くときに、考えた最初の一つとして「セーフハウス確保に時間がかかる」というものがあります。
他の方が言っていたように、次元航行船が単なる事故、という原作設定そのままなら、なのはとフェイトが遭遇するまでの二週間ちょっとの間にプレシアはジュエルシードの事故を知り、セーフハウスを用意したという事になります。ちょっとそれはありえない速さじゃね?って思って私の小説内では改変しています。
他の作者さまの設定とか見たことないので分かりませんが、フェイトの出現時期はなのはに会う時とほぼ同時期、としても上記以外にさして違和感はないと思います。プレシアが「ジュエルシードが落ちたと聞いて」って感じで海鳴に来るまでのスピードもありえないですけどね。

甘党な抹茶さま
いやほんと、仰る通りです。でもそこは二次設定ということでやんわりスルー…は無理ですね。この作品の目的は無理がある原作設定をどこまで解釈することが出来るかも十分範囲内ですからね…なんとか無理のない設定だけで書き上げてるつもりですが、至らない、というより作者の原作知識の少なさが露呈する形で不満に思われるのは本当に申し訳ないです。

HITAさま
可愛いババァは共有財産と自負しております。でもプレシアルートは未定w

九十欠さま
美少女にラーメン啜らせるのは鬼畜。
でも本当に鬼畜なのは「美少女とデート先でラーメン屋に行く」事

MMEさま
なんと!知りませんでした…。
遠見だとか海鳴だとかなんかのギャルゲの主人公の苗字みたいな名前しやがって←意味不明

34さま
主人公曰く死亡エンドもある鬼畜ゲーな世界だそうですが、美少女と和める世界なだけで十分裏山けしからんですよね

A-Ⅲさま
てなわけでトトロの木の回になりました。
神社はフェイトには遠すぎたんです。街から離れすぎだろう背景描写的に……みたいな。
独自設定…なんですかね?既に他の方が似た設定してしまっている可能性は高いと思います。何せ作者の妄想力はそこまで高くないですし。
その場合はまぁ「同じ妄想設定に辿り付くなんて気が合いますね!」って感じで作者とその作者さまのフラグが立つ、かもしれない。

kyokoさま
作者の知識は偏ってます。最低の屑だとか、みさくら語マスターのサトウユキ信者だったりするチャチな人間ですから。可愛いプレシアは今後も出る予定は今の所なかったりするんですけどね!
食器に関してはまぁ午前中のうちに主人公が見つけた鍋とかは煮沸して、丼はフェイトが取り出したものを洗った、という事とかなんとかでもいいですし、そこまで深く考える必要ないかと。





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