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No.25391の一覧
[0] 【チラ裏からきました】 「銀トラ伝」 銀河英雄伝説・転生パチモノ[一陣の風](2013/09/22 13:53)
[1] 「第4次 イゼルローン攻略戦   前編」[一陣の風](2013/09/20 15:12)
[2] 「第4次 イゼルローン攻略戦  後編」[一陣の風](2013/09/20 19:02)
[3] 「 28 Times Later  前編 」[一陣の風](2013/09/20 15:27)
[4] 「 28 Times Later  中編」[一陣の風](2013/09/20 15:30)
[5] 「 28 Times Later 後編  part-1」[一陣の風](2014/07/21 23:09)
[6] 「 28 Times Later 後編 part-2」[一陣の風](2013/10/09 23:13)
[7] 「 28  Times Later 後編 part-3」[一陣の風](2013/09/20 18:02)
[8] 「 28  Times Later   エピローグ 」[一陣の風](2013/09/20 16:52)
[9] 「 The only Neat Thing to do 」  前編[一陣の風](2014/07/21 23:47)
[10] 「 The only Neat Thing to do 」  中編[一陣の風](2014/07/21 23:52)
[11] 「 The only Neat Thing to do 」  後編[一陣の風](2012/04/29 11:39)
[12] 「The only Neat Thing to do 」 エピローグ[一陣の風](2012/04/29 13:06)
[13] 「銀河マーチ」 前編[一陣の風](2013/02/25 19:14)
[14] 「銀河マーチ」 中編[一陣の風](2013/03/20 00:49)
[15] 「銀河マーチ」 後編[一陣の風](2013/09/06 00:10)
[16] 「銀河マーチ」 エピローグ[一陣の風](2013/10/18 22:31)
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[25391] 「 28  Times Later   エピローグ 」
Name: 一陣の風◆ba3c2cca ID:8350b1a5 前を表示する / 次を表示する
Date: 2013/09/20 16:52
【 アテイション・プリーズ。 シュパーラ星系行き、1549便の登場手続きを開始します。
  ご利用のお客様は5番ゲートまでおこしください。 繰り返します……】

柔らかな女性の声が、ターミナルに響いた。

表示板が私の客船の示す。
もう28分で、私は宇宙(そら)に舞い上がる。


  第八話 【 28  Times Later   エピローグ 】


 ーぎゅむ

と、吸いかけの煙草をもみ消し、私は喫煙ルームから外に出た。
雑踏の喧騒が私を包み込む。
私はトランクを提げながら、少し足早に5番ゲートを目指す。

28時間だ。 
28時間も待ったのだ。
ハイネセンに着いてから、28時間も。
本当はすぐにでも移動するつもりだったのに。

だが航路安全上のトラブルで、シュパーラ星系行き航路が閉鎖されていたため、身動きが取れなかったのだ。
一時は何かの謀略かとも思ったが、幸い航路はすぐに再開され、席もなんの問題なく確保する事ができた。
さすがに「裏の住人達」に高い金を払って、新しい名前を手に入れたかいはあった。

これでシュパーラ星系に着けば、そこでジャムシード星域行きの船に乗り変え、
そこからは独立商人の船で直接フェザーンに渡り、帝国の領事館に駆け込むつもりだった。

 案ずるより生むがやすし。

私は必死になって、こぼれてくる笑みをこらえていた。
偉大なるなる研究。
それを認めない上層部。
それどころか、研究を危険視し葬り去ろうとした上層部。
バッジェーオ(愚か者)共め。

だが私は諦めなかった。 
こっそりと研究を続けた。
飲んだくれの司令を騙すなんて簡単だった。
それどころか、奴は栄養剤と偽って与え続けたサイオキシンには気付きもしなかった。
感づいた奴等もいた。
だが愚かな軍人達を操るなんて、これまた容易い事だった。
司令に疑いを向けるように誘導し、隙をみて事故に見せかけて抹殺。
上出来だ。
ふたりの死は「不幸な事故」で、一件落着。 誰も疑いもしなかった。

後はもう、私の思うがままだった。
研究の最終段階。 人体実験。 
成功した時は、どんなに嬉しかった事か!

目の前で変化を遂げる、ふたりの被験者。 ウィリアムとアネット。
ふたりとも、自らが開発に携わったウィルスの被験者となれた事を喜んでいただろう。
あっという間に醜悪なバケモノへと変化していく、ふたり。
その過程をつぶさに録画したファイルは、このトランクの中にしっかり納まっている。

そして最終段階。
私の持つもの以外の、全データーの消去。
隠蔽工作と証拠隠滅のための、研究所の破壊。
それを全てを、無能なアル中司令と、どこの馬の骨とも分からぬコックのせいにしての脱出。

どれもこれも上手くいった。

新聞報道にも、研究所で事故があり、数人の死傷者が出た -とゆう。
ちいさな囲み記事が出ただけ。
それも一度きりで。
ひっきりなしに前線からもたらされる帝国軍との戦闘に比べれば、後方のいち研究所の事故など
誰の目にも止まらぬ、些細な出来事に過ぎないのだ。

とうとう私は、湧き上がる笑いを収める事ができなくなってしまった。
満面の笑顔で。
軽く鼻歌など歌いながら、足早にゲートに近付く。
もう少し。 もう少しで、私は……

「ずいぶん楽しそうだな。アンドレ」

その声に。
その台詞に。
その言い方に。

私の笑みは張り付き、足が急停止する。
髪の毛の一本一本が総毛立ち、全身の毛穴から、どっと汗が噴出す。
正面。
搭乗カウンターと私の間をさえぎるように、その男は立っていた。

スキンヘッドの目つきの悪い男。 
どう見ても「アタマノ螺子ガユルンダ」ようにしか見えない男。
その男が凶相を浮かべ、私の目の前に立っていた。


「グエン少佐……」

私は立ち竦んだまま、擦れた声でその名を呼んだ。

「すいぶんとお久しぶりです。 
 是非とも、もう一度お会いしたくてねぇ……そこを動くなよっ。 俺が行くまで」
凶悪な顔をさらに歪ませて、グエン・バン・ヒューが近付いてくる。

 逃げねば!
意識の中でそう思うものの、足が動かない。

 -動け、動けよ! 私の足!
その叱咤がきいたのか、よろよろと縺れるように足が動く。
咄嗟に、右に逃げようとして……

「中佐殿。何処に行かれるんでありますか?」
向ける視線の先に、無表情でこちらを見返すひとりの男の顔があった。
「ト、トリューニヒト中尉……」

あわてて今度は左に逃げようとしてー
「グエンが動くなと言いませんでしたかな? 中佐殿」
トリューニヒト中尉の無表情より、さらに仏頂面な男が、こちらを悠然と見つめていた。
「ムライ少佐……」

「いけませんなぁ、アンドレアヌフス中佐」
視線を正面に戻せば、さらに近付いてくる、グエンの姿があった。

「これから色々と、旧交を暖めたいと思っていますのに……」
にやり -と、笑う。

私は咄嗟に上着の中に隠しておいた、銃を取り出した。

「う、動くな!」
銃を構え射線をグエンの顔に向ける。

「動くと撃つぞ! 本気だぞ。 お、お前だけじゃない。 まわりの連中も道連れだ!」
そんな私の声と共に振り回される銃を見て、周囲から悲鳴が上がる。
私を中心に大きな円ができる。

「本気だぞ。本気でここにいる連中も、みな殺しにするぞ!」
「レーザーガンとは、無粋ですなぁ」
だが奴は。 グエンはなんの躊躇もなしに、悠然と近付いて来る。

「来るな!
 来るなと言ってるんだ。 聞こえないのか!
私は銃を構え直す。

「そ、そうだ。今すぐシャトルを用意しろ。
 私のためにシャトルを用意するんだ。
 私が何処へでも自由に行けるように、シャトルを用意するんだ。
 さもないと……」
「さもないと、撃ちますか?」
グエンは静かに言った。

「でもその銃を撃つことはできませんよ」
「なにぃ?」

「安全装置がかかったままです」
「!?」
私は思わず銃を見てしまった。 とたんー

「がっ!?」
突然、背後から何かが私の首に巻きつき、締め付け始める。
 げしっ!
と、膝の裏を蹴られ、私はそのまま崩れ落ちた。

「動かないでください。副所長殿。 でないと……」
耳元で囁くような声が聞こえる。
必死に目を動かし、その正体を見極めようとする。
そこにはー

「でないと、首の骨が折れますよ」
にっこりと笑う、リオン軍曹の姿があった。



「ご苦労様、軍曹」
俺はアンドレアヌフスの手から銃をもぎ取ると、しっかりと安全装置をかけ、それをトリューニヒトに手渡した。
「そ…んな。安全装置は……」
「うん。ちゃんと外れてた」
俺は事も無げに言ってやった。

「く……だましたな」
「おいおい。最初にだましたのは、お前の方だろ」
「な、なぜ分かった……」
「あ?」
「なぜ私がここに居ると分かったんだ。
 いや、そもそも。
 なぜ私が生きていると分かったんだ」
「俺達を見くびらないでもたいたいですなぁ」
俺はニヤリと微笑んだ。

「ぐっ……グエン少佐、顔が歪んでいるが…歯でも痛いのかい?」
「じゃっかしいわ!! 
 なぜ、お前が生きていたか分かったかって? そんなモン簡単な推理だ」
「…どうゆう……ことだ」
「最初。 一基目の救命ポッドが射出された時、使用されたIDはバラン大佐のものだった」
「そ、そうだ。 これはずべてバラン司令が仕組んだことで、私は彼に利用されたんだ」

 最後まであがくのか……まぁそれはそれで尊敬に値するが……

「あの騒ぎの中。 リオン軍曹が最下層の倉庫の中で、バラン大佐の死体を見つけている。
 死因はサイオキシンの大量摂取による、ショック死だそうだ」
「…………」
「面白いのは、彼の推定死亡時刻は、あの騒ぎの起こる数時間も前だってことだ」
「そ、それは……」
「思うに。 バラン大佐はもう随分前からサイオキシンの中毒にかかっていたのではないのかな?
 だからこそ、全ての命令はスピーカーから成され、直接会う機会は最小限に留められていたのではないのかな?
 だからこそ、俺達の着任申告の時の会見は、あんなにも、あっさりしたものだったんではないのかな?
 それが証拠に、司令付きのトリューニヒト中尉ですら、ここ何ヶ月はバラン大佐と話す機会は稀だったそうだ」
トリューニヒトが頷く。

「あの日、お前はー」
俺は話し続ける。

「弱っていたバラン大佐に直接、濃度の高いサイオキシンを投与 -注射でもしたのか?
 してショック死させ。 死体を倉庫に隠し。
 彼のIDカードを奪って救難ポッドを作動させた。
 あらかじめ時限爆弾をセットし、最深部で爆発が起こるようにした上で。
 それから俺に電話をして、過去の事故の真相 -本当は、お前の仕業だろ? 
 を俺に告げ、真犯人はバラン大佐とリオン軍曹だと、思わせようとした」

「違う違う違う」
アンドレアヌフスは必死に言い募る。

「本当は…本当は、このリオン軍曹こそが真犯人なんだ。 
 第一、倉庫で彼がバラン大佐の死体を見つけたって話し自体、証拠がない。
 それにバラン大佐は、私が君に電話をする直前にも、スピーカー越しとはいえ、君と話しているじゃないか!
 つまりそれが、バラン大佐がまだその時点で生きていた、何よりの証拠だ。 
 それに私はその時、本当に地下最深部のラボに居たんだ!」
 
「語るに落ちましたね」
「……なに?」
「バラン大佐と私がスピーカー越しに話をしたって事を、
 何故、あの時、その場にいなかったあなたが知っているのですか?」
「……うっ」

「そんなスピーカーを使ったトリックなんざ、もう何百年も前から使われていますよ。
 それにリオン軍曹は、絶対に犯人ではありえない。
 そしてあなたは、決定的なミスをした」
「決定的なミス?」
「ええ。 あなたとの電話で話している時、どうしても気になることがありましてね」
「気になる……事?」
「あの研究所の救難ポッド。扉が動くとき、独特の音がするんですわ。
 ーキュイキュイキュイ ってね。
 あの時、あなたの電話の後ろにも、しっかり聞こえていましたよ」
「扉の……音」
「ええ。何故あの時。 
 最下層部のラボに居た、あなたからの電話のバックノイズに、
 救難ポッドの扉の作動音が聞こえていたんですかね。 
 それもその後、すぐに射出されたポッドの音が。
 焦ったんですか? ポッドの扉を開けるのは、電話を切った後の方が良かったですなぁ」

「い、いや、しかし。そんなのは状況証拠だろ?」
「はあ?」
「そんなのは全て、状況証拠だろ。 
 わ、私がこの騒ぎを起こした犯人だという直接的な証拠はどこにもないっ」
「証拠か……」

もう話すのには飽きた。
俺はゆっくりと愛銃、コルトパイソン・357マグナム・6in、を取り出す。

「その証拠は」
そのまま狙いをアンドレアヌフスの顔に。

 「お前が今、此処でこうして生きているって事が、その、なによりの証拠だろ!」

 ごっ。 と、銃口を額に押し付ける。
リオンがそっと、アンドレアヌフスから離れた。
 
「まっ、待ってくれ。聞いてくれ!」
涙とよだれを垂らしながら、アンドレアヌフスが叫ぶ。

「今回のウィルスのサンプルはここにある。いや、もうここにしかない」
視線がリオンが持つトランクに注がれる。

「分かるだろ。あの強靭な力を見た君達なら分かるだろ? あ、あれは素晴らしいモノだ。
 たった28時間だ。 
 ウィルスを人体に打ち込んでから、たった28時間であれだけの進化を遂げるんだ。
 人が最初の植物体に進化するまで、たった28時間。
 それからあれは、まわりの人間を取り込んで、次々に赤い実の生物を生み出すんだ」
熱狂したように喋り続ける。

「それにあの緑の寄生体。 あれは一定の確率で生まれる、最強の生物なんだ。
 動物でもあり、植物でもある。
 あれは植物体である母に対する、絶対のボディーガードなんだ。
 少々の傷でも死なない。すぐに再生する。 そんな強靭な肉体を持った生物。
 ありとあらゆる攻撃にもビクともしない。 あれは最強の生物兵器なんだ。
 なあ、少佐。 君にはこの意味が分かるだろ?」
媚びたように笑う。

「このウィルスが量産化された暁には、同盟の勝利は間違いない。
 帝国なんかは、すぐに滅ぼせる。
 ほんの少し。 奴等の都市の片隅に、ウィルスを蒔けばいいんだ。
 そうすれば、28時間後にはアレが大量発生。
 あっという間に惑星ごと滅ぼせる。  そう。 28ヵ月もあれば帝国を滅ぼせるんだ。
 どうだ簡単だろ? それにー」
最早「恍惚」とでもゆうような表情で言い切る。

 「このウィルスは同盟の……いや、人類にとっても貴重な財産なんだ!」

 がちりっ。 俺は無言で激鉄を引き上げた。

「ひいっ! 待て。 待ってくれつ。
 そ。そうだ。 金を払おう。 金で解決しよう。
 ムライ君も、中尉も、軍曹もそれでどうだ?
 こ、このウィルスを帝国……いや、フェザーンの独立商人に売れば、莫大な富が手に入るぞ。
 軍人みたいな安い給料で、死ぬかもしれない危険を冒すより、その何倍もの金が楽に手に入るんだ。
 悠々自適に暮らせるぞ。
 戦争なんか忘れて、AQUAのようなリゾート惑星でのんびり暮らせる。
 贅沢のし放題だ。 いいだろ?」

 「やれやれ」 とでも言うように、みなが肩をすくめる。 うん。良かった……

「わ、私はその報酬の半分。いや三分の一でいい。
 後は君達で分けてもらえればそれで……見逃して…今見逃してくれさえすれば、それだけの金が手に入るんだ。
 ど、どうだ。悪い話じゃないだろ?」
俺の引き金を握る手に力が入る。 

「撃たないで。撃たないで。 お願いだ。 殺さないで。頼む、頼むよ。
 分かった。 金は全部やる。 全部、君達に渡す。 
 だから殺さないで。 お願いだ。 殺さないでくれ。
 頼む。 死にたくない。死にたくない。私は死にたくない!」

 突然、俺の耳から音が消えた。

あたりに飛び交う怒号も悲鳴も喧騒も。
何事かを喚き続けるアンドレアヌフスの声すらも。
俺の耳には届かない。
俺の耳には聞こえてこない。

代わりに聞こえてきたもの。 それはー

 AHAHAHHAAAAHAHHHHAHHHAAA!  と。
無理矢理、醜いバケモノにされた所員達の声。
 
 あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”  と。
悲鳴を上げた、部下の声。

 KEKEKEKEKEKKEKKEEEEEKee  と。
娘を守ろうとした母の声。

 イヴァヴァアアアグラアァァァァアァァン  と。
我が子に語りかける父の声。

 そしてー

 パパ ママ……
ふたりに別れを告げたドールトンの声。


俺は今まで、これ程、人を憎んだ事はない。 殺すほど個人を憎んだ事はない。
確かに帝国軍は敵であり、俺が倒すべき相手だ。
だがそれとて、相手は軍であり、艦隊であり、艦だった。
それはあくまで対等な関係だった。

こちらが相手を殺そうとする。 相手もこちらを殺そうとする。
あくまで対等で平等な殺し合いだ。
その乗り組んでいる乗員、指揮官。
その誰か特定個人を殺そうと思って戦闘をしかけた事は、今まで一度としてない。
ましてや、無抵抗の人間をだ。  だがー

今ならできる。 今なら殺れる。
今すぐ、このクソッタレの頭を撃ち抜き。 その腐った脳漿をぶちまきたい。
俺は引き金を引こうとしてー

「およしなさい。少佐」
トリューニヒトがそっと、銃を持った俺の手を押さえる。
「おなたの輝かしい軍歴を、こんな奴を殺した事で汚すことはありません」

「中尉の言う通りだ」
ムライがそっと、俺の肩に手を置く。
「ここは私刑や私闘(リンチ)がまかり通る専制国家ではない。
 後は司法の手に委ねよう」

俺はトリューニヒトとムライを見た。
ふたりとも小さく、けれど力強く、頷いてくれた。

まだ泣き叫んでいるアンドレアヌフスの薄汚れた顔を見る。
最後に、その背後に立つリオンを見る。
リオンはほんの少し唇を端を持ち上げ、笑った。

 喧騒が戻ってくる。
 ドッ -と。
 喧騒が俺を包み込む。

俺はゆっくりと銃を降ろすとセイフティをかけ、しまい込んだ。
そのまま踵を返すと、足早に歩き始める。
俺は一刻も早く、その場を離れたかった。
未だに懇願し泣き叫ぶアンドレアヌフスの声を、俺はこれ以上、聞きたくなかった。


ドアを開け、外に出る。
そこは泣きたいほどの青い、蒼い「エルシエロ(空)」が、どこまでも広がっていた。




  *****


「いや。ご苦労だった」
空港での一件を警察とMPに任せ、統合作戦本部に戻った俺達はそのまま、シトレ中将に呼び出されていた。

「今回はみな、大活躍だったようだな」
黒い肌から白い歯がこぼれる。 なにか歯磨き粉のCMを見ているようだった。

「ふむ。 これが例のウィルスか……」
リオン軍曹がアンドレアヌフスから回収したトランクを、シトレの机の上に置いた。
「軍曹。ご苦労だった」
「はっ」
「結局……」
「んん?」
俺はわざとらしく小さなサイ(タメ息)をつくと、ふたりに言ってやった。

「結局、俺達は彼のためのスケープ・ゴートだったんですね」
「少佐……君が何を言っているか分からないんだが?」
くそっ。 このタヌキ親父め!

「俺とムライが惑星ゴラスに派遣された理由。
 それは彼が内部調査を、よりやりやすくするための隠れ蓑だったという訳です。
 そうだろ? 
 リオン・S・ケネディ軍曹。 いや……」
俺はたっぷりの情感を込めて言ってやった。

 「ワルター・フォン・シェーンコップ伍長?」

俺は「銀河英雄伝」史上、稀有な存在となり得た。
あのシェーンコップを、一瞬とはいえ、唖然とさせたのだ!

「どうして分かったのかな?」
ところがどっこい。 
シトレの方はなんの動揺も見せず、いつもと変らぬ微笑を浮かべたまま訊ねてきた。
流石、この石の狸!!

「我々を舐めてもらっては困りますなぁ……」
俺はここぞとばかり、ニヒルな笑みを浮かべる。
「んん? 少佐。 顔が歪んでいるぞ? 歯でも痛いのかね?」
「……ちょっ。 うぐっ……な、なんでもありません」
まさか上官相手に怒鳴ることもできず、俺は悶絶する。

隣に座る、ムライとトリューニヒトが笑いを噛み殺す。 
シェーンコップも、ようやく顔を綻ばせた。

「最初から違和感はありました」
まさか前世の記憶で、シェーンコップの顔を知っていたから -とは言えず、
俺は適当な話しをでっちあげた。

「ムライはともかく、俺には全然、場違いな研究所への移動。
 一緒になったのは、とてもコックには見えない、目つきの鋭いガチな下士官。
 そして握手した時に気が付いた。 手にできた戦斧ダコ。
 包丁なんぞ小さ過ぎて、かえって使いにくそうな、その無骨な太い指」
「…………」

「それから俺達は調べました。最近ちょっと猜疑心が強くて……」
「それは私と仕事をするようになってからって事かな……」
シトレが悠然と言った。 恐っ。

「と、ともかく我々は、あの手この手で探りはじめたのです」
俺は慌てて言葉を紡ぐ。

「彼の移動は、極秘扱いだったハズだが……」
「それはムライが説明してくれます」
俺は丸投げする。

「確かに人事上の書類では、リオン・S・ケネディ軍曹なる人物が、惑星ゴラスに転任するとなっていました」
ムライは淡々と言う。
「けれど人事ではなく経理の方。
 惑星ゴラスに転任する際の特別手当。 およびその間の任地手当。
 輸送艦『ヴァガ・ロンガ』に対する、ひとり分とはいえ 食料、食費及び空気の手当。
 それらの流れを追っていった結果、たどり着いた名前は……」
「ワルター・フォン・シェーンコップ伍長というわけか……ぬう……経理とはな……」
シトレが感嘆する。

「みな忘れがちですが、後方業務はある意味、作戦業務より機密に溢れているのです」
「うむ。よく分かった」
ムライの台詞に、シトレはまた、白い歯を見せて笑った。
「これからはそちらの機密事項に関しても、防諜を高めるように言っておこう。
 それで……」
シトレは意味ありげに、俺達を見た。

「それでどこかの誰かが、軍のホスト・コンピューターに勝手に侵入した件は、不問だ」
「ありがとうございます」

 はいはいはい。
俺達が機密を破った事を喋らなければ、ムライがハッキングした件はなかった事にしてくれる。
そうゆう事ですね。
だから俺とムライは、素直に頭を下げた。

「さて。 と、いう訳で。 
 みな、ご苦労だった。 次の任務まで、ゆっくり体を休めていてくれ給え」
シトレは言うだけ言うと、視線を手元の書類に移した。

それはもう帰ってもいいぞ -って事だった。
俺達は敬礼すると部屋を出……

「ああ、ムライ少佐。トリューニヒト中尉。それからシェーンコップ伍長」

ようとした瞬間、俺を除く三人が呼ばれた。
呼ばれた三人は、シトレの元に集まり、彼が何か一言言った途端、相好を崩した。

 -ん? なんやろ?



  *****


「どうだい、この後。みんなで飯でも喰いに行かないか?」
統合作戦本部ビルの長い階段を降りながら、俺は三人に声をかける。

「私もですか?」
「もちろんだ、伍長。 金の事なら心配すんな。 ムライがいる」
「何故、私だけに振る。 まぁ、喜んで奢らせてもらうが……」
「聞いたろ? 伍長。 
 この男は頭が固い、テッパンのMr.「秩序」だけど、恩は忘れない良い奴なんだ」
それをずっと覚えておいて欲しい。  ワルター・フォン・シェーンコップ中将。

「そうであれば、喜んでお供させていただきましょう。 でも……」
「うん?」
「グエン少佐はダメですよ」
「ええ? なにそれ?」
俺はマジ驚いた。

「だって少佐はお酒飲まれないのでしょ?」
トリューニヒトが、くすくすと笑いながら言う。
「え。いやだって……」
「今回は酒飲み限定だ。貴様は早く帰れ」
追い討ちをかけるようにムライが言う。

「いや、なにそれ? いったい、どうゆう……」
「おっ。ちょうど無人タクシーが来た。 伍長、すまないが停めておいてくれないか?」
「了解、中尉殿。喜んで」
「殿はいらないよ。 頼む。 伍長」
軽く敬礼をして、シェーンコップが駆け出して行く。 
なにその『喜んで』の三連発。 えええ? 君達そんな人だったの?

「ああ、それからグエン少佐」
少し涙目な俺に、トリューニヒト中尉が世間話のように話しかけてくる。
「自分は軍に残ることにしました」

 なんですと!?

「もちろん最終的には政治家を目指しますが、それまでの間、もう少し、グエン少佐の仰った
 軍人の……いえ『人としての本分』ってものを学ぼうかと思いまして……」
「……………」

 なにコレ?
 なにこのいきなりの歴史改変。

 いやだってトリューニヒトといえば、二年しか軍務についてなくて。
 それも本来なら一度もハイネセンを出た事がなくて。
 それから怪物的政治家に成長していくハズなのに?
 
 なんかむっちゃ、好い人になっていってるんですけど!?
 原作と変っていってるんですけど?

 これがもしてして、俺の転生理由?
 何か訳の分からないうちに、転生させられた理由?
 何か訳の分からないモノに操られている、俺の転生理由?


 はっ。
 もしかした時間軸が変った?
 α線? いや、γ線か? 
 タイムリープ? ジョン・タイター?
 いや、Dメールだな! 誰かがDメールを送ったんだな!?
 そうなれば衛星が落ちてくる? ツンデレ血マミレ死体?
 バナナ・バナナ・バナナ……俺は人質だからしょうがないなぁ……なのか!?


「そんな訳で、グエン少佐……」
錯乱する俺に、もうひとつ。 トリューニヒトがぶちかしてくる。

「ヨブ・トリューニヒト中尉。明日付けをもって、グエン・バン・ヒュー少佐の副官を命じられました。
 よろしくお願いします!」

 

はいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい?

 え? ちょっと待って。ちょっと待って。 
 トリューニヒトが俺の副官?
 中尉が俺の副官?

 少佐に中尉の副官? 
 
 ナニソレ キイタコトナイヨー?
 ツカナンデ、キミガ、オレノ、副官ナノ、カナ? カナ?
 ナニ・ナニ・ナニ
 トコ・トコ・トコ
 タレ・タレ・タレ
 ワレ・アオバ。 チガウ!

 ネェキミ、ドンナ汚イ手、使ッタノー? 

 キタヨー! マタ来タヨー!
 ガクブルガクブル
 
 ネェコレ。ドンナ死亡フラグ?





                   ーつづき 






                が





               















 トボトボトボ……
ただひとり( 結局あいつ等は、本当に三人で飲みに行きやがった……ガッデム! )
押し込められた無人タクシーから降りた俺は、とぼとぼと宿舎に向って歩いていた。

 くそっ。
 なんだよアイツラ。 酒飲めないくたって、一緒に飯喰うだけでもいいじゃん?
 なんでそんなに否飲者に冷たいの?
 酒飲めなきゃ、楽しく過ごせないって訳ないじゃん?
 酒飲めなきゃ、言いたい事も言えないって訳ないじゃん?
 ……くっ。 今夜は星が綺麗だなぁ。
 あれぇ? なんだか霞んで見えるよ。 明日は雨かな……しくしく。
 
  おや?

俺はちょっと立ち尽くす。
誰も居ない俺の家。
佐官になった時に支給された、小さいがれっきとした一軒屋。 そこに……
灯りがともっている?

俺は愛銃のコルトパイソン357マグナム・6in( クドイ )を引き抜くと、そっと中の様子を伺った。

誰かの気配がする。 台所付近? 金属の触れ合うような音もする。
ドアノブをそっと廻した。
鍵はかかっていない。 今朝出る時、俺はしっかり掛けて行った。
空き巣か?
で、あるならばー

「フリーズ!」
俺は叫びながら、前転しつつ、家の中に飛び込んだ。
 バッ!
態勢を整え、素早く銃を構える。     ふっ。 決まった!
が、俺の目に飛び込んできたのは……

 「あ。 お帰り、グエンくん」


 エプロン姿のイヴリン・ドールトンだった。


「…………」
「どうしたの? グエンくん。鳩が豆喰って、ポン! な顔して……」
 いやいやいや
「さあ、もう少しで晩御飯ができるわよ。 座って座って」
「……ドールトン?」
「なに? グエンくん。 あ、先にお風呂? それとも、一緒に寝……」
「ちゃうわあああああああああ! つか、なに恐いこと言おうとしてんねん!」
「あらあら、うふふ」
「『あらあら』禁止! 『うふふ』も禁止! って違う! あのさ……君、なに当たり前な顔してココにいるの?」
「え?」
「いやだからね、どうして君がココに居るのかなぁって? 確か親戚の家に行ったんじゃ……」
「合わないから、出てきちゃった」
「はへ?」

「向こうの親と合わないから、出てきちゃった。 えへっ」
ドールトンが可愛く小さな舌を出す。

「だってサぁ。
 朝は必ず6時に起きろ。 とか。
 ご飯を食べる前には、お祈りをしろ。 とか。
 お昼寝せずに勉強しなさい。  とか。
 危ないから、外で遊んじゃダメ。 とか。
 いい子にしていないと、おやつは無し。 とか。
 夜は9時には寝ろ。 とか。  いろいろ五月蝿いんですもの」
「ああ。それは確かに大変……じゃなくてぇ!」
俺は意識的に深呼吸、三回。

「落ち着け俺。落ち着け俺。
 よしまずは問題点を最初から整理していこう。 なあ、ドールトン」
「なに? グエンくん
「何故、君はココいる」
「だからそれはさっきも言ったように、親戚の叔父さんが五月蝿くて」

「いや、そうじゃない。 そうじゃなくて! 落ち着け俺。 大丈夫。
 俺、最強。 俺強い。 マジヤバ。 つか。パネェ。 俺パネェ!  ウス!
 な、なあ、ドールトン。 私が聞いているのは、何故、君が私の家にいるのかってコトで。
 それよりもまず、なぜ、私の家が分かったか? ってコトでぇ……」
「ムライさんが教えてくれたわよ?」
「なんですと?」

「私が家出したって電話したら、ムライさん。 すぐグエンくんのお家を教えてくれたわ。
 ムライさんもご近所さんですってね」
「うん、三軒先。 って違う! 問題はそこじゃない。 ちょっと待て。 落ち着け俺。
 深呼吸深呼吸。 ひーひーはーはーラマーズ法。 ……よし!
 とりあえず、話しを先に進めるんだ。 ゴー・アタック! ゴー・アタック・オンリー!」
「グエンくん。変。 あ、もとからか……」

「なんだとー!  ……くううっ。 が、我慢だ、俺。 頑張れ、俺。 負けるな、俺。
 ……そ、それでドールトン。 どうやって家に入った?」
「どうって……普通に玄関から。 ドアを開けて」
「……ドアには鍵がかかってなかったかな? かな?」
「ああ。 それならリオン軍曹さんが開けてくれたわよ」
「にゃんですとぉ!?」

「リオン軍曹さんが私をここまで送ってくれて。 それから鍵がかかってるって言ったら。
 なんか道具使って、すぐに鍵を開けてくてたわよ」
「あんのボケぇぇぇ!」
「ふふふ。 リオンさんって面白いのよぉ。 10年たったらデートしましょうって。
 私、モテモテ? モテモテ?」
おいコラ。 さすがは伊達男。 こんな幼女にまで……って、カリンに殺されるお!! 

「いや、しかし。 
 それじゃあ、向こうの親戚の人達が心配してるだろ。 
 それに家出しておいて、俺に家に勝手にいるなんて。
 いろいろと問題が……」
「それなら、トリューニヒト中尉さんが、全部済ませてくれたわ」
「トゥットゥル~♪  はひいいい?」

「トリューニヒト中尉さんが『 びんわんべんごし 』って人に相談して、全部、解決してくれたの。
 『ホー的には、なんの問題もない』んだって。
 私、トリューニヒト中尉さんの事、誤解してたわ。 
 向こうに居た時は、とっつきにくそうな、イバリーな人かと思ってたけど、こっちに帰って来てからは、
 すっごく私の事、気にしてくれて……好い人だったんだね」
「くそったれ歴史改変んんんん!」
「……グエンくん。本当に大丈夫? さっきから変だよ?」

 いや、つーかおまっ。

「あのなぁ、ドールトン……」
「グエンくん、顔が恐い」
「恐くて当たり前ダのクラッカー! 俺は怒ってるんだ!」
「…………古」

「くっ。 あのなぁ、ドールトン。 お前は今、自分が何をしてるか分かってるのか?」
俺は憤然と言ってやった。

「親戚の家から家出して。 勝手に人の家に入り込み。 勝手に同居を決めて。
 法的には問題ないとか言ってるが、当事者の俺には一言もなく、一方的に話しを進めて。
 勝手に決めて。 
 いいか? 
 ふたりきりの生活になるんだぞ?
 俺とふたりきりの生活になるんだぞ? 
 そこんとこ分かっている? ちゃんと分かって……」

 「グエンくんは私の事、嫌い?」

「はあ?」
ドールトンが俺を見る。
うるんだ瞳で俺を見る。

「グエンくんは、私の事、嫌いなの?」
「バッ……嫌いなわけないだろ」
あれ? なんか俺、顔赤くなってる?

「えへへ……ありがと。 それに……」
「うん?」
いや、何やってんの俺。 こんな幼女に。
俺はムライじゃないんだよ!?

「それにグエンくん。約束したじゃない」
「にょっ?」
間抜けた声が出た。

「約束?」
「うん。 あの時、私に約束したじゃない。 明日を見せてやるって……」
「あ……」
あの時。 ドールトンを振り向かせるために使った言葉……

「俺と一緒に、明日を見に行こう! って言ってくれたじゃない!」
「いや、そのあれは……」
「もしかしてあれは……あれは嘘だったの!?」
エプロンの裾で顔を覆いながら、ドールトンが叫ぶ。

 いや、それ反則でしょ?
 
「ドールトン。 ドールトン。 ドールトン!」
俺はつい、ヤンの真似をしてしてしまった。
完敗だった。

「分かった。分かった。 分かったから泣き止め」
「…ぐす。 許してくれるの?」
「許すも何も、もう実質的に、お前はココにいるんだろ? 居座るつもりなんだろ?」
「うん!」
「いや、そんなに力強く言われても……はぁぁぁぁ」
俺は大きく、サイ(タメ息)をつく。
魂が抜ける程の、大きな大きなサイをつく。

 くそっ。 だからあの三人組。 俺を早く帰らそうとしたんだな。 
 知ってて黙ってたんだな。 つかどんだけ協力的やねん!
 ひょっとして、シトレのタヌキ親父も一枚噛んでいたのかも。
 だとしたら、俺にはもう、逃げ場はないんだな。  
 ホロホロ…ホロホロリ……

「とりあえず、腹が減った。 何か喰わせてくれ」
「グエンくん?」
俺はがっくりと近くのソファに腰を降ろした。

「家の事は、ちゃんとやってもらうぞ。 決して遊ばせてはおかない」
「えっ。それじゃあ……」
「それから言いたいことは、お互い遠慮せずに言う合う」
無条件降伏の俺は、両手を上げながら言った。

「それが一緒に暮らすためのルールだ。 分かったか? うわっ!?」
「ありがとう、グエンくん!」

 - がばちょ! 
と、ばかりにドールトンが抱きついてくる。
力いっぱい、俺に抱きついてくる。 
紫がかった、銀色の髪が俺の視界いっぱいに広がった。

「私、なんでもやるよ」
ドールトンが、こぼれるような笑みで言う。
「パパとママが忙しかったから、私、なんでもひとりでやってた。
 だから、なんでもできるんだよ!」

パパとママか……
その言葉にどれだけの重みがあるのだろう。
その言葉にどれだけの想いがあるのだろう。
俺にコイツの両親の代わりが、この先どれだけ務まるのだろう。


「ねぇ、グエンくん」
そんな俺の想いとは裏腹に、ドールトンは屈託のない笑顔を浮かべている。

「なんだよ」
「あのさ……」
そして俺の手を取り、言いやがった。

 「責任とってネ!」  かぷっ

ぎぃぃぃやああああああああああああああああああああああああああああああああああ!


満天の星空に照らされた静かな住宅街に、俺の悲鳴が木霊した。






                 -つづく ホントか?







 「おい、ドールトン」
 「なに、グエンくん」
 「これが晩飯?」
 「うん」
 「ホットケーキ?」
 「うん、グエンくん嫌いだった?」
 「いや、嫌いじゃないけど……晩御飯がホットケーキ?」
 「うん。 だって私、これしか作れないから」
 「……………」
 「グエンくん?」
 「ご飯は明日から俺が作るわ………」
 「え? 本当?
  やった! これが新しい明日への第一歩なのね! 
  んと、食べたいのは、カレー。ハンバーグ。ケーキ。たこ焼き。
  それからそれから……」
 「夕陽が沈みぃ~流れぇるホロホロ…ホロホロリ……」






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 案ずるより生むが横山やすし。
 メガネ。 メガネ。 メガネ。
 師匠ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーぉ!(大鹿馬


銀トラ伝・第5話「28 Times Later」編。 ようやく一巻の終わりです。
ぜんぜん「銀河英雄伝説」でもない、こんな長い長いお話しにお付き合いくださって、真にありがとうございました。
たぶん、次に書かせていただくお話しも、このようなグダグダなバカ話になりそうですが(作者の趣味により)
できましたら、これからも、変らぬご贔屓のほどを、よろしくお願いします。

 それでは、ありがとうございました。


一応、この世界。
ハイネセンに月はなく「アルテミスの首飾り」もまだない(完成してない?)設定です。
いえ、なんの伏線もありませんが……(土下座)


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