<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

チラシの裏SS投稿掲示板


[広告]


No.25391の一覧
[0] 【チラ裏からきました】 「銀トラ伝」 銀河英雄伝説・転生パチモノ[一陣の風](2013/09/22 13:53)
[1] 「第4次 イゼルローン攻略戦   前編」[一陣の風](2013/09/20 15:12)
[2] 「第4次 イゼルローン攻略戦  後編」[一陣の風](2013/09/20 19:02)
[3] 「 28 Times Later  前編 」[一陣の風](2013/09/20 15:27)
[4] 「 28 Times Later  中編」[一陣の風](2013/09/20 15:30)
[5] 「 28 Times Later 後編  part-1」[一陣の風](2014/07/21 23:09)
[6] 「 28 Times Later 後編 part-2」[一陣の風](2013/10/09 23:13)
[7] 「 28  Times Later 後編 part-3」[一陣の風](2013/09/20 18:02)
[8] 「 28  Times Later   エピローグ 」[一陣の風](2013/09/20 16:52)
[9] 「 The only Neat Thing to do 」  前編[一陣の風](2014/07/21 23:47)
[10] 「 The only Neat Thing to do 」  中編[一陣の風](2014/07/21 23:52)
[11] 「 The only Neat Thing to do 」  後編[一陣の風](2012/04/29 11:39)
[12] 「The only Neat Thing to do 」 エピローグ[一陣の風](2012/04/29 13:06)
[13] 「銀河マーチ」 前編[一陣の風](2013/02/25 19:14)
[14] 「銀河マーチ」 中編[一陣の風](2013/03/20 00:49)
[15] 「銀河マーチ」 後編[一陣の風](2013/09/06 00:10)
[16] 「銀河マーチ」 エピローグ[一陣の風](2013/10/18 22:31)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[25391] 「The only Neat Thing to do 」 エピローグ
Name: 一陣の風◆fc1b2615 ID:8350b1a5 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/04/29 13:06
「やあ、諸君。ご苦労だった」
そう言うシトレは影ではなかった。


 第12話 「The only Neat Thing to do 」 エピローグ


「貴君等の働きによって、海賊共は一掃された。
 航路の安全も確保され、補給物資も滞りなく届けられ、避難民達の退避も無事、完了した。
 これで帝国軍の攻勢にも十分、備えられるだろう」
シトレは和かな笑顔のままで話す。

「いや、本当にご苦労だった。
 いずれ諸君等には、それ相応の褒賞を上申するつもりだ。
 それまでは、ゆっくりと休暇を楽しみ給え」
「古来より……」
「ん?」
俺は無表情なまま、ゆっくりと言葉を紡いだ。

「木を隠すなら森の中。
 人を隠すなら都会の中。
手紙を隠すなら、ポストの中。 それからー」
「うむ?」
俺はシトレを睨みつけながら言った。

「臭いものには蓋。 とも言います」

「ふむ。グエン少佐。それが何か?」

 くっそう。くっそう。
俺はオバカな子のように、腹の中で毒づく。
いいだろう。トボけるなら最後まで言ってやるっ。

 「あれは本当に帝国軍だったのですか?」

瞬間、場が凍りついた。
誰もがしわぶきひとつ立てない。
けれど、シトレだけは全く動じてはいなかった。

「んん? それは君も見たのだろう? この写真を」
変わらぬ平静さで、シトレが言った。
その背後のパネルに、ザキ大尉が撮った敵基地の写真が浮かび上がる。

「確かにそこには帝国軍の輸送船が写っています」
ま、負けるモンか!

「これが何よりの証拠ではないのかね?」
「いえ、中将。 問題はそこではありません」
「それでは貴官は何が問題だと言うのかね。
 確かに、こんな同盟軍の領地内に、小なりとはいえ、帝国軍の基地を築かせてしまった事は、問題ではあるが……」

「大きな嘘を隠すためには、いくつもの小さな嘘を並べるのが一番有効です」
「…………」
「提督。あの後、敵基地には調査隊が入ったはずです。その報告書はどこですか」
シトレは黙って微笑み続ける。
俺はしゃべり続けるしかなかった。

「それも ー For Commander Eyes Only ですか?
  他言無用。
 つまりはそれが……それこそが証明なのですね」

「Q・E・D ー quod erat demonstrandum(証明終了) とでも言うつもりかね?」
「Q・E・I ー quod erat inveniendum(発見終了)と言うべきかもしれませんね」

「あの……提督。グエン少佐」
おずおず といった感じで、俺の横に座っているトリューニヒトが言った。
「おふたりは先程から、なんの話しをされているんですか?」
ちなみに彼の腕は、未だにギプスをはめられ、三角巾で吊るされたままだ。

「あの作戦の敵の話だ」
同じく俺の横に座っているムライが、いつもの無表情で言う。
「敵って……宇宙海賊。 いえ、帝国軍の事ですか?」
「なあ、トリューニヒト」
「はい」
「君は何故、あの敵が帝国軍と分かったんだ?」
「は? それは……」
トリューニヒトは目をしばばたせながら答えた。

「ザキ大尉の撮ってきた写真に、帝国軍の輸送船が写っていたからです」
「そうだ。 まさにその通り」
「え?」
「俺達があの岩だらけの小惑星を帝国軍の基地だと思ったのは、そのに帝国軍の紋章をつけた輸送船がいた。それだけなんだ」
「何をおっしゃっているのですか……」

「なあ、トリューニヒト。 あの写真には他に何が写っている?」
「何って……あとは。 あとは小惑星。 それと同盟軍の艦艇……って、まさか!?」
「その、まさか。サ」

「私達はたった一隻写った帝国軍の輸送船を見て、あの敵は同盟軍に偽装した帝国軍だと思い込んだ。 いや……」
ムライが絞り出すように言った。

「思い込もうとしたのだ。 なんの客観的な証拠もなく」
「いえ、し、しかしっ」
トリューニヒトが声を荒げる。

「そんなっ。そんなバカな話しが。友軍が。味方が海賊だなんてっ」
「そうだ。本来これは海賊狩りのはずだった」
「グエン少佐……」
「ところが蓋を開けてみれば、現れたのは味方の艦艇。
 それだけでも『 魔女の大釜(大混乱) 』だったのに、さらに発見したのは、とても海賊規模ではない、多数の艦載機や砲艦まで揃えた大艦隊。
 しかも全て同盟軍の正式艦艇。 そう……
 たった一隻の帝国軍の輸送艦を除いてはな」
「そんな……そんな……」

「心理的な要因かもしれない」
「ムライ少佐?」
「人は誰しも自分の友人が犯罪者であるとは思いたくない。ましてや生死を共にする戦友ともなれば尚更だ。
 だからこそ、我々は彼等を海賊……味方の成れの果て。 だとは思わなかった。 いや、思いたくなかったのだ」

「客観的に考えても」
ムライの言葉尻に乗っかって俺は言う。

「いくら帝国軍といえども、こんな同盟領の奥深くに、小とはいえ軍事基地を置くことはリスキー過ぎます。
 それこそ補給が続かない。
 しかも敵軍艦艇ばかりを使うとなると、手間も暇もかかる。
 それに乗組員の熟練度の問題もある」

「機関ひとつを取ってみても……」
背後から、ポツリと呟くような声が聞こえてくる。

「帝国軍と同盟軍の艦艇では規格が違います。そう簡単には使いこなせない」
「それは兵装にしても……」
「それは操舵にしても……」
「むろん通信機器にしても……」
「スパルタニアンの操縦にしても……」
彼・彼女達の声が響く。

「でもあの海賊達は、ちゃんと使いこなしていましたわ。うふふ」
最後に穏やかな笑い声が響いた。


「しかし証拠はない」
まるで悪あがきをするミステリィの犯人のように、シトレが言った。
そうくると思った。
俺は小さなデータ・ファイルチップを取り出す。

「ナサダ技師長が調べてくれました」
背後で頷く気配がした。

「サン・ミケーレ・アイランドに激突した、敵スパルタニアンの機体データーです」
「……………」
「機体は1から10まで、すべて同盟軍の正規品でした。
 帝国の物を改造したり、流用した物は、ひとつもありません」
「それは帝国がフェザーンを通じて、三角貿易で得た物の可能性もあるのでは?」
シトレが反論する。

「確かにその可能性を排除する事はできません。
 ですが、あれだけの規模の艦隊を維持するのには、莫大な金と手間がかかります。
 それなら最初から帝国軍の艦艇を使った方が安上がりで効率も良いです。
 それにー」
俺はもうひとつ。チップを取り出す。

「これはその体当たりしてきたパイロットの生体データーです。 
 サン・ミケーレ・アイランドの板張り廊下に肉片が張り付いていました」
「……ほう」
シトレが初めて笑みを引っ込めた。

「DNA検査の結果、パイロットの特定に成功しました」
「……………」
「認識番号、So-1415926535ch fuso/miyafuzi少尉。
 第24航空戦隊288航空隊、戦闘701飛行隊、第2中隊。第1小隊所属。
 彼女は所属部隊ごと、三ヶ月前に哨戒任務中、行方不明になっています」
「……………」
「それが初めから予定されたものなのか、それとも突発的な何かがあったのか。
 詳細は分かりません。
 分かりませんが、再び我々の前に現れた彼女は、友軍に弓撃つ存在になっていました」
「……………」
「それも最後には体当たりが……
 自爆攻撃が『 The only Neat Thing to do ーたったひとつの冴えたやり方 』だと思うほどの精神状態で。
 つまりはそれが……」


 「 軍曹 」

不意にシトレが傍らに控える人物を呼んだ。
「はい。提督」
「グエン少佐からデータチップを受け取ってくれ給え」
「……はっ」
ゆっくりと近づいて来る。
軍曹は俺の前に立つと、そっと手を差し伸べた。

「……………」
「……………」
俺と軍曹の視線が絡みつく。
視線をそらしたのは彼の方だった。
俺はその手の中に、チップをねじ込む。

「少佐……」
トリューニヒトが、何かを言いかけた。 だがー
「いいんだ、中尉」
俺はゆっくりと言う。

「彼に逆らったって、勝てる訳もない」
俺のその言葉に軍曹 ー シェーンコップは、顔を歪ませて笑った。


「このデータチップは確かに私が預かった」
シトレの顔に微笑みが戻る。
「これは軍が責任をもって、しっかりと管理させてもらおう」
俺の脳裏にあるイメージが浮かび上がる。

地下の奥深く。
大きな扉で厳重に守られた広い部屋。
そこに並べられた無数のキャビネット。 その灰色の壁が何処までも続く。
そのひとつに、黒い服の痩身の男が近づいて行く。
そしてキャビネットを開けると、手にしたチップを無操作に放り込み、閉める。
男はそのまま、振り返る事なく部屋を出てゆく。
灯りが消え、部屋は闇に沈む。
全ては闇に葬られる。



 「ところで」
シトレが、穏やかな声で言う。

「実は今度の人事移動で私は士官学校の校長に転任する事になった」
まるで、ついでのように彼は言う。
「誠に光栄な話しであるが、私ひとりでは明らかに力不足だ。そこで……」

 おひっ!おひっ!おひっ!

「諸君等にも手伝ってもらいたくてな。 転属願いを一緒に出しておいた」

 ……………

 …………ヽ(`Д´)ノ プギャーッ


「それはあからさまな口封じ……なるほど。ですから最初、グエン少佐はおっしゃったのですね。
 『 臭いものには蓋 』だと。 つまり提督は始めから、全てを知って……」

 こらっ!こらっ!こらっ!

「ううん? トリューニヒト中尉。君がいったい何を言っているのか、私にはさっぱり分からんね」
シトレが真っ白な歯を浮かべて、にっこりと微笑んだ。
だから恐いっちゅーの!

「それも目的のひとつだったという訳です」
だから俺はあえて声を上げた。

「んん?」
「提督はあのような状況に置かれた場合。私がどういう行動を取るか予想していた」
「……………」
「『アタマノ螺子ノユルンダ』私が、どのようにして敵を攻撃するか、予想していた」
「……………」
「だから提督は、あんな無茶な命令をくだされたのです。
 たった一艦で敵を抹殺せよと。 捕虜を取ることなく殲滅しろと。
 俺が特攻をかけることを予想して。
 サン・ミケーレ・アイランドを破壊する事を予想して」
シトレは微笑みでもってのみ答える。

「あらあら。それじゃあ、私達は………」
「ええ。その通りです。グランマ」
俺は自分の背後に目を向ける。 そこには短期間だったとはいえ、苦楽を共にした「戦友」達がいた。

「あなた方を『 サン・ミケーレ・アイランド 』という名の墓地から追い出す為の。
 匠と称されるあなた方を、一隻のオンボロ船から外に出させる為の。
 あなた方を、『愛着」という名の呪縛から解き放つ為の。
 その策略の一部として私は……」

「知っていましたわ」
「え?」
俺はグランマの顔を見る。 そこに座る、かつての部下の顔を見る。

「あなたが着任された時から。
 あなたがサン・ミケーレ・アイランドに一歩、足を踏み入れた時から。
 我々には何となく予感がありました」
「グランマ……」

「ああ。
 きっとこの人は、この船に引導を渡しに来たんだと。
 きっと私達を、あの世界から連れ戻しに来んだと。 
 きっと私達の『未練』を断ち切るために来たのだと……」
「……………」

「私達は話し合いました。 これからどうするか。
 いちから教育してやろうか。とか。
 専門的なお話しでケムにまこうか。とか。
 あるいはいっそ、いぢめて、前任者のようしてしまおうか。とか。
 それはもう、いろいろと。 うふふ」
「がくぶるっがくぶる」
「あらあら。でもあなた達は、とっても良い人達でしたから。 私達は運命に従おうと決めたんです」

「そう決めたは、グランマだ」
「我々はグランマに従ったに過ぎない」
「前任の、じゃがいも士官のように、中身もないくせに、階級だけをかさにきて、いばりちらす様な奴ならば。
 全員でカチコミかけて追い出してしまうつもりだった」
「それに後始末を頼める我々の教え子は、何処にでもいますから」
「貴公は、グランマに感謝すべきだ」
「あらあら」
「がくぶるっがくぶるっがくぶるっ」

「やはりグランマは……」
ザキが熱のこもった瞳でアキノ大尉を見る。
「我々の偉大なる母。 『グランド・マザー』なんですね」

「おっほっほっ。いやだわ、みんな。 買いかぶり過ぎですよ」
「いえ。だからこそだったのですね」
「グエン司令?」
「だからこそあなたは、あの言葉をハッチに書き込み、みんなを送り出したのですね。
 みんなの為に。新たなる一歩を踏む出す仲間達の為に。 その言霊として。
 
  【 ここからが、全ての始まり 】 

 なのだと」


「あらあら」
グランマは優しく微笑む。 静かに微笑む。
俺には何故か。
そんな微笑む彼女の横に、蒼い瞳の大きな白い猫を見た気がした。

 その蒼い瞳に映るこの先の世界を、俺も一緒に見てみたいものだ

室内に暖かな何かがあふれる。
誰もが小さな微笑みを浮かべる。

「嗚呼。まったくもって」
だから安心した俺は、つい言ってしまった。

「私はシトレ提督の、匠(たくみ)達を、あの船から追い出すための『 悪タクミ 』に、すっかりハメられた。
 って訳ですか。 あははははははぁ………アレェ?」

 再び、場が凍りつく。



 風が凪ぎましたね……しくしく


 ****

 「おー。お帰り。おふたりさん!」
夕闇迫る。ハイネセン。
そのオレンジの光を浴びながら、俺とムライが宿舎に帰って来ると。
そこには死神がいた。

「今度は士官学校勤務だって? あたしも今度は軍医局派遣なんだよ。
 確か士官学校と軍医局ってお隣さんだったよなぁ。 素晴らしき偶然だなぁ」
サド軍医は相変わらずの巨乳を揺らしながら言う。

「偶然じゃねぇよぉ……」
「ああん。司令官なんか言った?」
「なんも言ってねぇよぉ! つか俺。もう司令官じゃねぇしっ」
 
「軍医長。君は何故、デブリーフィングに出席していなかったのだ?」
Mr.「秩序」が咎めるように言った。
「作戦が終わった後は、全員が集まり、反省や戦訓を交えた話し合わなければならない規則だ」
「んだよぉ。堅いこと言うなよぉ。あたしゃ、あの雰囲気苦手なんだよぉ。
 真面目くさった顔で、ああでもない。こうでもない。って。小難しい顔しちゃってサ。
 無事に生きて帰ったって事を、もっと素直に喜べってぇのっ」
「軍医長。規則は規則だ」

「まぁまぁ、ムライちゃん。 んなこと言いっこなし。 つか、あたしももう、軍医長じゃねぇしっ」
不意にサドがムライの腕に抱きついた。

 おおっ!
サドのその豊満な胸が、ムライの腕に押し付けられる。 ぷにゅぷにゅ。ぷにゅぷにゅ。
ええなぁ~柔らかそー。 くそっ。正直、羨ましいぜっっ。

「な、なにをする!?」
おバカが叫ぶ。 こんな幸福な状況にもかかわらず、おバカが、おバカな台詞を叫ぶ。

「いいから、いいから。 さっ、行こ、行こ!」
「い、行くって何処へ……」
 
狼狽えるムライに向かって、サドは、その名さながらに責め立てる。

「お前の家に決まってるだろぉ……」
「な、な、な、な、なっ」
「もちろん、ふたりっきりで………」
耳元で囁くように言う。 チラリと見えたピンクの舌が、セクスィぃぃぃ……
ムライは、身動きひとつできずに硬直していた。

「私は聞いたぞぉ……」
大原さやかばりの甘ったるい声で、サドは囁き続ける。
「私はなぁ…知っているんだ……」
「し、知っているって….いったい、何を……」
「お前の家には酒がある」
「………は?」

「そうだ。お前の家には酒がある!」
サドは片手を高く空に掲げると、満面の笑顔で叫んだ。

「グエン司令から聞いたんだ。お前の家には最高級の酒がある!」
「はいい?」 
「年代物のワインから、なかなか手に入らない洋酒、日本酒にいたるまで。
 それも、とてもひとりでは飲みきれない程の量があると!
 だから行こう。一緒に飲もう! 今夜はふたりで飲み明かそう!」
そう言うとサドはムライの腕に抱きつきながら、引きずるように歩き出す。

「ツマミのチーズやピクルスは冷蔵庫の中に。オイルサーディンやコンビーフ。ソーセージとかの缶詰は、水屋の右から三番目に。
 あと、クラッカーや黒パンなんかは、パックして二番目に入ってるからぁ」
去りゆくふたりに手を振りながら、俺はにこやかに声をかける。

「グエン、貴様ぁ!」
「おー、ありがとう、司令官」
「いやちょっと待て! おいっ、サド。 待ってくれ!」
「ふへへぇ。 やっと名前で呼んでくれたなぁ、ムライちゃん」
「い、いや、違っ。 そうではなくて」
「おふたりさん。 ごゆっくりぃ~」
「あいよ~楽しんでくるぜぇい!」
「サド。 おい。 だから……」
「しっぽりと仲良くねぇ~ひひひひ」
「ぷいにゅ、ぷいにゅ~ん」
「ちょ。おまっ。グエンっ。おぼえてろーぉ!!」
まだ何事かを叫び続けるムライの腕に、やっぱりその豊満なバストを擦り付けながら、サド軍医が歩いて行く。
その紅い髪が黄昏に染まり、幸せそうに揺れていた。

 そしてー


 天使の唄が響く。
 燃える自然に輝き、オレンジのぷらねっと と化したハイネセンポリスに、天上の謳声が響く。

目をやれば。
天使が友達と手をつなぎ、楽しそうに謳いながらやって来る。

「グエンくん!?」
「お帰り。ドールトン。 ぐっぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」
みなさまのご期待通り。
飛び込んで来たドールトンは、そのまま俺の腕に、しっかりと噛み付いた。 しくしく……


「もう。それを言うのはこっちだよ」
よだれを拭く俺に、ドールトンはそう悪態をついた。

「お疲れ様。 グエン君。 お帰りなさい」
紫がかった銀の髪が、さらりと揺れた。

「ただ今。 いい子にしてたかい?」
その満面の笑顔が嬉しくて、俺もつい、はしゃいでしまう。
「もちろん。 彼女と楽しく過ごしてたわ」
ドールトンはそう言って、一緒に帰ってきた女の子に目をやる。

「こんにちは。 ドールトンが、お世話になったね。 ありがとう」
俺の挨拶に、その女の子は少し照れたように微笑むと、こう言った。


「初めまして。グエンさん。 私は、フレデリカ・グリーンヒルです」









 来タヨォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーォ! コレッ
 ヤン夫人 来タヨォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーォ! 早イッ
 早スギルヨォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーォ! ツカッ

   ネェコレ ドンナ死亡フラグ!?



        つづく       と思われます




 ><><><><><><><><

「For Your Eyes Only」=「他言無用」は、Brendam様のご示唆からいただきました。 ありがとうございます。 詳細は感想版にて!

また。前任者=じゃがいも士官(分かってくれますよね? 鹿馬)ネタは、悠さまからパクリました。

合わせて、お礼申し上げます。


前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.022754907608032