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No.25391の一覧
[0] 【チラ裏からきました】 「銀トラ伝」 銀河英雄伝説・転生パチモノ[一陣の風](2013/09/22 13:53)
[1] 「第4次 イゼルローン攻略戦   前編」[一陣の風](2013/09/20 15:12)
[2] 「第4次 イゼルローン攻略戦  後編」[一陣の風](2013/09/20 19:02)
[3] 「 28 Times Later  前編 」[一陣の風](2013/09/20 15:27)
[4] 「 28 Times Later  中編」[一陣の風](2013/09/20 15:30)
[5] 「 28 Times Later 後編  part-1」[一陣の風](2014/07/21 23:09)
[6] 「 28 Times Later 後編 part-2」[一陣の風](2013/10/09 23:13)
[7] 「 28  Times Later 後編 part-3」[一陣の風](2013/09/20 18:02)
[8] 「 28  Times Later   エピローグ 」[一陣の風](2013/09/20 16:52)
[9] 「 The only Neat Thing to do 」  前編[一陣の風](2014/07/21 23:47)
[10] 「 The only Neat Thing to do 」  中編[一陣の風](2014/07/21 23:52)
[11] 「 The only Neat Thing to do 」  後編[一陣の風](2012/04/29 11:39)
[12] 「The only Neat Thing to do 」 エピローグ[一陣の風](2012/04/29 13:06)
[13] 「銀河マーチ」 前編[一陣の風](2013/02/25 19:14)
[14] 「銀河マーチ」 中編[一陣の風](2013/03/20 00:49)
[15] 「銀河マーチ」 後編[一陣の風](2013/09/06 00:10)
[16] 「銀河マーチ」 エピローグ[一陣の風](2013/10/18 22:31)
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[25391] 「 The only Neat Thing to do 」  中編
Name: 一陣の風◆5241283a ID:8350b1a5 前を表示する / 次を表示する
Date: 2014/07/21 23:52
 ーごるヴぁっ! 

と。宇宙(ソラ)に華が咲く。
爆炎という名の華が咲く。
その美しい華の中で。

 人が死ぬ。


 第十話「 The only Neat Thing to do  」 中編


「第一波ミサイル。直撃弾・5!」
「続けて第二波、第三波、連続発射!」
「空戦隊、戦闘開始」
「敵艦、回頭し始めます」
「バッジェーオ(愚か者)め! 航海長、全速力で真下に突っ込め!
 砲雷長。真下に付くまでミサイルで牽制せよ」
「『 アイ・アイ・サー 』」
「二時の方向に、所属不明のスパルタニアンx4」
「IFF(敵味方識別装置)に応答しないスパルタニアンは敵と認定する。撃墜せよ」
「了解」

「間もなく敵巡航艦の真下に入ります」
「航海長。敵艦の真下で絶対方位0度に転進。艦首を敵に向けよ。
 砲雷長は回頭終了後、軸線が固定次第、敵艦に対して主砲、斉射三連。
 発射のタイミングは、砲雷長に一任する」
「『 アイ・アイ・サー 』」


敵艦が回頭し始める。
そこへ第二波のミサイルが命中。再び炎が巻き上がる。 
艦内酸素に引火したものか、炎は収まらない。
さらに第三波が命中する。
敵艦は大きくよろめいた。
その隙に、サン・ミケーレ・アイランドは全速力で相手の腹の下に潜り込む。

「敵艦の真下に到着。絶対方位0度に転進。艦首回頭。
 機関長、急制動かけます。
 同時に艦首下部スラスター及び、艦尾上部スラスター、全力噴射!」
「了解っ。おもいっきり噴かせて構わんぞ!」
「感謝します!」

ーズゴゴゴゴッゴオゴッグ
と、サン・ミケーレ・アイランドが急転回し始める。


「ぐぅうううぇぇぇぇぇぇえええ」
トリューニヒトが内蔵が出てきそうな声を上げた。
宇宙では、めったにお目にかかれない不快で急激な「G」が体を抑えつける。

「目標軸線に乗った。主砲発射準備!
 電影クロスゲージ、明度二十! 対ショック、対閃光防御!」
正面を写すスクリーンに、炎を纏った敵艦が降りてくる。
「船体固定! ゴダイ!」
「撃てぇ!」
シィマ航海長の声に、なんの躊躇もなしに砲雷長が命じる。
光の矢が放たれた。

 ーごるヴぁっ!

敵艦の鼻面がそがれる。
正面の装甲を粉砕され、破片が飛び散り、大穴が開く。
その鼻面めがけて、さらに何発ものビームが叩きつけられ……

 宇宙に華が咲く。

「敵艦爆散!」
「やったあ!」
「喜ぶのはまだ早い! 空戦隊の状況は?」
スクリーンの端に、新たな火球が現れる。
ハッとして振り向けばー

「こちらザキ。駆逐艦一隻撃沈」
冷静な声が響く。 ほっ......

「もう一隻はどうした?」
「全速力で遁走中。離れます」
「追撃しますか?」
トリューニヒトが訊ねてくる。

「いや、このまま見逃す」
「司令?」
「心配するな中尉。このまま放っておくつもりはない。ザキ大尉。聞こえるか?」
「はい、司令」
「何機かで、遁走する敵艦の送り狼を頼む。敵の根拠地を知りたい」
「了解。バーミリオン小隊は私に続け。後の者は帰還し、次の出撃に備えよ。
 ウランデル。後を頼む」
「『 アイ・ショーティ 』」


 終わった。やれやれ……

誰もがそう思い、気を緩めたその瞬間。

「敵機直上! 急降下!!」
空母「赤城」 その見張り員ばりの絶叫が響き渡った。

 ーうごるヴぁっ!

轟音と共に、サン・ミケーレ・アイランドが激しく揺れた。

「うわああああああああ!」
トリューニヒトが悲鳴をあげてすっ飛んで行く。
俺は目の前のコンソールに手を付き、なんとか踏ん張った。
ムライも咄嗟に座席に手を付き、持ちこたえていた。

「ダメコンチーム出動! 損害状況の確認を急げっ」
叫ぶ俺の脳裏に、第4次イセルローン攻略戦の悪夢が蘇る。

吹き飛ばされ意識を失った司令官。
落下し、泡吹いて痙攣する参謀長。
総員の40%を失い、廃艦となった旗艦。
 
「こちら後部指揮所のアキノです。上部甲板に敵機が激突したようです。
 火災が発生しましたが、隔壁を閉鎖する事で鎮火しました。
 板張り廊下が何枚か吹き飛びましたが、なんとか大丈夫そうです」
こんな時でも「ほっほっほっ」と、笑い声が聞こえてきそうな穏やかな声で、副長が報告してくる。
その声に俺は落ち着きを取り戻す。
震えずに済んだ。

事故か、ミスか、あるいは故意か。
仲間を失い、追い詰められ、最後の一機となった敵のスパルタニアンが体当たりをかましてきたのだ。
くそっ。さっさと降伏すれば良いのに……

戦果=巡航艦x1 及び、駆逐艦x1撃沈。スパルタニアンx3撃墜。
損害=被弾x1。スパルタニアンx2小破。

 圧倒的!

と、誇ってもよい戦果だったが、どっこい。それどころじゃなかった。
艦内は大混乱に陥っていた。


 ****

「第三駆動バルブ作動不能。 第七補助モーター動きません」
「第4、第6、第11制御ノズル可動せず」
「上部ミサイル、13番から21番まで損傷」
「酸素循環器、機能低下。二酸化炭素濃度、上昇中」
「与圧、低下しつつあり」
「主砲回路に異常。発砲できません」
「機関スクラム!(緊急停止)」
「非常電源切り替え。灯りを失うな」
「はひっ」
「長距離通信アンテナ損傷。レーダー使用不能」
「ウランデル大尉。予備のスパルタニアンで哨戒隊を編成。周辺を警戒させろ」
「機関長。回路の112番から246番までバイパスさせます」
「分かった、技師長。こちらもバルブの三番から五番を閉鎖。残りで再スタートをかける」
「了解!」

たった一発。いや、たった一機。
被弾しただけで「老婆」はよろめく。
突入してきたスパルタニアンの影響は、思いのほか深刻だった。


「被弾による穴は塞ぎました。与圧も二酸化炭素濃度も正常にもどりつつあります」
顔と手を真っ黒にしたナサダ技師長が報告する。

「機関の再スタートも成功。動力、電力。共に回復しつつあります。。
 長距離通信アンテナも復旧。少しノイズは入りますが送受信は可能です」
「了解。ご苦労様でした」
「ただ・……」
「ただ?」
技師長が薄い眉毛をしかめながら言った。

「レーダーは未だ修理中。主砲の発射も可能ですが、数回が限度です。ミサイルも半数が使用不能。
 幸い艦載機区域には被害はありません。
 ですが、現状で本艦の戦闘能力は30%ダウンと判断されます」
「……………」
「また衝撃でフレームに異常な圧力がかかりました。
 その為『ねじれ』が生じています。
 最大戦速を出すと、船体を破損する可能性があります」
「破損…どの程度なのかな?」
俺の問い掛けに、ナサダが静かに答える。

「最悪の場合、分解するでしょう」
「……………」

「こちら医療班。手が足りないよ~。誰でもいから空いてる奴、今すぐ来てぇ」
サド軍医の深刻な内容の割には、のんびりとした声が響く。
「私が行こう」
ムライが声を上げる。
「戦闘配食は終わっている。空いた者を、先に医療班に参加している者達に合流させよう」
「すまん。頼む。後で俺も顔をだす」
ムライは敬礼すると出て行った。

「空戦隊のウランデル副長から入電。 ザキ機、帰還します」
アイバラ通信長が静かに告げる。


 ****

 ーあまり接近できなかったのですが

そう言うザキが示した写真データーには、敵基地の様子がはっきりと映し出されていた。

「敵の基地は小惑星を改造したものでした」
ザキが写真を見ながら解説する。
「さほど大きくはない岩の惑星に、簡単なドックと居住区が建造されています。
 現在、ブーバー中尉のバーミリオン小隊が監視を続行中です」

「あらあら」
「こいつぁ……」
「なんてこった」
「マジすか……」
みなが感嘆の声を上げる。

そこには予想以上のモノが映し出されていた。

「駆逐艦x4。巡航艦x2。うへぇ。戦艦まで1隻いやがる」
「他にスパルタニアン多数。サンパブロ級砲艦もいるぞ」
「これ、本当に宇宙海賊ですか?」
「ほっほっほっ。そのレベルを遥かに超えているわねぇ」

「うん? ちょっと、この部分を拡大してくれないか?」
俺は小惑星の隅。ほとんど写真の縁の部分を指差した。
「これは……」
最大まで拡大されたその部分。
そこには「大きな箱」が写っていた。

「これは輸送艦?」
「しかもこれは……」
「なぜ、こんな所に」
「どういうコトだ?」
「あらあらぁ」
その「大きな箱」の船腹には、色鮮やかな帝国軍の紋章が描かれていた。

「アイバラ通信長」
「はい。司令」
「ハイネセン。シトレ中将宛に秘話通信を開きたい。できるか?」
「アイ・スキッパー。ただ未だアンテナが不安定です。調整に一時間ください」
「分かった。準備が出来次第、呼んでくれ」
俺はそう言うと、みんなを見回した。

「諸君ご苦労だった。戦闘配置を解く。別命あるまで待機。
 それから、ザキ大尉」
「はい?」
「空戦隊は暫く間、交代で哨戒索敵と敵基地の監視を頼む。
 疲れているところ申し訳ないが、レーダーが復旧するまで、本艦の目と耳になってくれ」
「アイ・アイ・サー」

 ーぴしっ

うん。 やっぱり彼女の敬礼は格好良いわぁ~。


 ****

「で、お前は何しとんの?」
俺は顔を出した医務室で「ケムラーの眼差し」で言ってしまった。
そこにはベッドに腰掛け、サド軍医長を膝枕で眠らせている、ロリコ○少佐の姿があった。
しかもご丁寧な事に、ふたりの前には「団結・美少年」と書かれ、空になった一升瓶まで転がっていた。

「いや、実はこれは、その……」
おーおう。
珍しくコイツが動揺しとる。汗なんかかいてるお。
こりゃもう、攻めるしかないネ(はぁと)

「貴公は本艦の現状を分かっているのかな?」
「も、もちろんそれは……」
「このような切迫した状況にもかかわらず、許可なく飲酒し、その上、女性士官と不必要なまでに体に密着させているとは……
 貴公には同盟軍士官としてのモラルはないのか?」
「い、いや、グエン。聞いてくれ。これには訳が……」
「ムライ少佐。私は今、この艦をあずかる艦長だ。しかも空戦隊をも含む、この戦隊の司令官でもある。
 地位に対する敬意をはらい給え」
「……はい。司令」

 ぶひゃっひゃっひゃっひゃっ

良いぞ!良いぞぉ!

「鉄仮面」
普段はそう評される程の無愛想な男が、むっちゃ動揺しとる!
顔を真っ赤にして、大汗かきながら口をパクパクさせとる!
たまりまへんなぁ……

「さあ。主計長。釈明を要求する」
俺はここぞ! とばかりに責め立てる。

「なぜ、このような事態になったのか。
 なぜ、貴公がこのような艦内秩序を乱すような乱行に及んだのか。
 復唱もしくは赤字で釈明を要求する。
 納得できる説明を貰えなければ、私は指揮官権限において、貴官を解任、あるいは拘束し、
 営倉にぶち込み、石を抱かせ、逆さ釣りの上、水責めの後、竹刀でシバき倒し。
 お白州に引き出し、背中の桜吹雪を見せながら『おうおうおう。てめえら人間じゃねえ! 叩ぁ切ったる!』
 と、吠えながら、市中引き回しの上、磔、獄門申しつげぐぶわひゅっっ」

 ーガスッ 
突然、飛んできた湯呑が俺の顔面に衝突した。

「うっせい! 人が気持ち良く寝てんの邪魔すんな!」
紅い髪の毛を逆立て、その豊満な胸をたゆませながら、鬼のような形相で軍医長が叫んだ。

「あっ。す、すいません」
赤くなった鼻を押さえ、俺は思わず謝ってしまった。 
……あれれぇ?


「報告します」
ユキモリ看護士が言う。
ちなみに軍医長殿は、再びムライの膝枕で、スヤスヤと気持ち良さ気に夢の世界を漂っていた。

「重体2名。重傷16名。軽傷43名。
 重体の2名の内、ひとりは脳挫傷。意識不明。 
 もうひとりは内蔵損傷。こちらは先程、意識を取り戻しました。
 重傷者のほとんどは骨折。命に別状はありません。
 また、軽傷者はその後、全員、職務に復帰しました」

「重体2名はヘタをすれば死んでいた。軍医長が緊急手術を行なって助けたのだ」
ムライが膝の上のサドを見ながら言う。

「それはスゴい腕前だった。
 一度にふたりの手術を同時に行なったんだ。
 ひとりは頭蓋骨を開き、ひとりは内蔵に刺さった肋骨を取り出しながら……」
「いっぺんにふたりもか……」
「ああ。それも物凄いスピードで。神技とは、ああゆう事を言うのだろう……」
「ツギハキ顔の無免許医師なら、法外な料金を請求されそうだな」
「ん?」
「いや、なんでもない。ただの独り言……で、飲酒の件は?」

「これは私のせいだ」
目の前に転がる、一升瓶を見ながらムライは、バツの悪そうな顔で頭を掻く。

「お前の? どういう事だ?」
「人手が足りないので、手伝ってくれと言われてな。
 手術に立ち会ったのだが、その有様に逆上(のぼ)せてしまって……軍人失格と言われても仕方がないな」
自重の笑みを浮かべる。

 あ。やめて。
 
そんな話、俺も得意じゃない。
空いた頭蓋骨。薄桃色の脳。開けた胸部。
白い脂肪。艶にてかる肌。赤く染まったガーゼ。
生命維持装置の単調な音。時折響く金属音。切迫した声。
そしてなによりも、その匂い。
む せ る ような、あの匂い。

爪が、イガイガする。
思わず黒板に突き立て、あの音を響かせたがる爪を、俺はあわてて握り締めた。

「で。手術を終えた軍医長に、神経を鎮めるためにと薦められてな。つい……」
「まぁ、全ての軍人が血に強いってわけでもないわな。
 特別に許可する……サド軍医も?」
「ああ。一気にな」
「うわぁ……」

一升=約1・8リットル。 
ふたりでとはいえども、一気かよ。
もっとも。飲めない俺には、そんだけ飲んでも平然としているムライの方にも、びっくりだが……

「祝杯だ」
「はひ?」
「サドが言っていた。これは祝杯なのだと」
「……祝杯?」

「死にかけている人の命を助ける以上に、面白い事がこの世にあるか。
 死神を追い返す事ほど、楽しい事がこの世にあるか。
 だから祝おう。
 だから祝杯を掲げよう。 そう言ってな」

ムライの手が彼女の髪を、そっとなでる。
その波打つ紅い髪を、ムライが、そっとなぞる。
サド軍医は、相変わらずムライの膝にしがみついたまま、ふにゃふにゃと気持ち良さ気に無防備な寝顔を晒していた。


 リューク・キャンセラー

不意に俺の脳内に、そんな言葉が浮かび上がる。
あの資料に。
何故か年齢を抹消された、サド軍医の公式資料に。
その備考欄に誰かが ー恐らく揶揄を含んでー 殴り書きのように書かれた言葉。

 リューク・キャンセラー。「 死神返し 」

そう書かれた彼女の二つ名を。


「司令。ハイネセンへの秘話通信回路。接続完了しました」
通信長の声が響いた。




               「後編」につづく(ヤッパリナ)
    




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「 The only Neat Thing to do  」 中編をUPさせていただきます。
いやもう、なんかね……ツッコみ処多すぎて、ごめんなさい。
指差しながら笑っていただけたなら幸いです。
笑えない人。すいません。
なんせ賞味期限切れ、半額ならオ・ト・ク と、思う奴なので。
それでは次回。
「 The only Neat Thing to do  」「後編」
も、よろしくお願いします。

 明日。そんな先の事は分からない(弩阿呆


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