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No.25371の一覧
[0] (勘違い系習作)麻帆良でサバイバル(逸般人オリ主トリップ)[ADFX-01 G-2](2011/01/12 11:07)
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[25371] 1ページ目
Name: ADFX-01 G-2◆a9671369 ID:bcdb6a14 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/01/11 12:35
 ある晴れた昼下がり。世間の一部は春休み。どこか浮かれた雰囲気を醸す街の中にて、俺は若干の絶望を覚えた。
 家が消滅していた。
 コンビニに行って戻る、その数分の間に、見事に更地になっていた。
 多少は迷子体質ではあるが、数百mの距離を迷うほど俺は超人ではない。

「……解体?」

 なわけない。数分で家を解体できる業者など存在するはずがない。
 周囲を見てみる。何かおかしい。家消滅以外になにか違和感がある。

「麻帆良?」

 お隣の家の塀に、住所を示す縦長の看板があった。そこには見慣れも聞き鳴れもしない麻帆良という地名。
 読みは『まほら』で合っているだろう。そこには何もない。

「……麻帆良などなかった。あさき的に考えて。海底にへばりついて探してもあるはずがない」

 現実逃避終了。
 気持ちを切り替えて、帰る方法を探すことにする。

「は?」

 現実逃避終了と同時に、目の前の更地が店になっていた。喫茶店だ。辺りを見回すと完全に自宅周囲の光景が全く別の街に移り変わっていた。

「これはアレか、認識によって猫の生死が確定されてしまったとかいう状況か?」

 量子力学とかいうファンタジックな学問でしかこれは説明できないだろう。俺は異世界に舞い降りた時空の迷子だということを理解しなければならない。
 俺は迷っていない。ほぼ完全に把握していた自宅周囲では迷うはずがない。家が消え、住所板は麻帆良なる見知らぬ場所。そして一気にすり変わった街並み。

「かくして俺はホームレスか」

 この時点で帰還は諦めている。こんな都会に見える街中で携帯は圏外、ここが日本のどこかすらわからない。俺の同位体も存在するかどうかわからない。保険証などの身分証明書も、使って偽物と思われたらアウトだ。警察とかが「並行世界からきました」などという言葉を信じるはずがない。この状況において、調べるということは多大なリスクを負うことになる。ハイリスクノーリターンという、最悪の状況だけは避けたい。せっかく前の世界のあらゆるものから解放されて自由なのにだ。貧困などに縛られそうだが。

「衣食住の確保が先決だな……衣はこの際無視するとして……食は森さえあればどうにかできる。住居は森に住めばいいか」

 森さえあれば俺は生きていける。日本の森であれば、その生態系はほぼ完璧に網羅している。いつどこで遭難してもいいように。迷子体質の俺が生きるために。迷ったら街でなく森に行く。そのせいで発見が遅れることもしばしばあったが、死ぬよりマシだ。ましてや、この世界に俺の親兄弟友達はいない。頼れるのは己の肉体だけ。
 よし、森を探そう。



――――1日目

 さっそく森を見つけた。
 しかし、どうもおかしい。見覚えのない植物が存在している。並行世界だからか、学園都市だからか。
 ここは学園都市なる巨大な区画で、文字通り大小様々な学校を中心とした街であるらしい。研究成果とやらを都市内の森で栽培している可能性もあるし、あるいは外来種の侵略であるのかもしれない。
 ざっと見て、食糧はかなり存在する。やはり森はいい。寒暖で死ぬことはあっても、餓死はしないだろう。
 とりあえず雲行きから鑑みて数日は雨が降らないだろうと予測し、拠点を決めずに森の全容を把握するためにうろつくことにする。



――――14日目

 二週間も使って森を完全に把握した。
 広さや配置、植生、動物などのデータは完全に網羅している。これで拠点たる家を作るべき場所が決まった。
 なるべく目立たない場所で水場に近く、なおかつ食糧が簡単に手に入る場所。川からは多少離れたが、梅雨や台風で流されたり溺れ死ぬのは避けたい。それでも水汲みなどには問題ない程度の距離を取れたと思う。
 さて、肝心な家だが、穴である。垂直に5m程度の穴を掘り、高さ2mにして四畳半ほどのスペースを掘削する。逃走経路兼二酸化炭素の抜け道として、壁の足元に人一人が通れる穴を掘る。わずかに角度をつけて、雨水が入らないようにする。ここらはなかなかしっかりとした地層で、地震があっても崩落はしないだろう。いつ迷子になってもいいようにと常備していた汎用サバイバルリュック、それに入っていたスコップが役に立った。俺の慎重の半分はあるスコップ付リュックは目立っていたが、こうして役に立ったのだ、これからも常備することを心に決める。
 穴の入り口は土を盛り、森林迷彩ビニルシートで覆うことにより雨から身を守ることができる。偽装もできてパーフェクト。しかしこの森には忍者が生息しているから、少々心もとない。ほかにいくつか家を掘り、セーフハウスにする計画を立てる。こんないい場所が他にあるかはわからないが。
 そういえば、対空放火のような音が聞こえたが、もしや戦時下なのだろうか。

 夜は夜行性動物を狩る時間だ。夜目が効けば、それだけ動物性蛋白質を捕獲できる。昼に熊を解体したからしばらくはいらないのだが、訓練はしておくべきだ。夜間狙撃なんてものは暗視装置を使うばかりではない。クロスボウにアイアンサイトだけでもできるのだ。
 ところがどっこい、夜行性なのは人間も同じ。というか、あれは鬼か? 比喩ではない、鬼がうろうろしている。それを迎え討つ超人侍少女。じっと地に伏せ、愛用のやたら頑丈で断熱性に優れるギリースーツで闇に紛れ、その光景を観察していた。娯楽の少ないこの生活、こういったイベントがあるというのはなかなか嬉しい。まあ、もう二度とないのだろうけど。
 ちなみに、こういうときに動いてはいけない。息を殺し、注視して不意に視線を合わせないように少しだけ対象から視界の中心をずらし、全体を見るようにするのがポイント。もし視線が合ったとしても、視線を逸らし顔を伏せじっとしていれば気づかれないこともある。逃げるのは、相手が去った後。もし見つかれば全力で逃走する。とあるガンブレード使いみたいな技を繰り出すような相手から逃げられるとは思わないが、警察に捕獲されるくらいなら名誉の戦死を選ぶ。



――――side S.S

 先程から、視線を感じる。私を見ているようで見ていないような、しかも方向がわからない、何とも微妙な視線だ。
 術者かと思えばそれも違うようだ。殺気も敵意も感じない。そして気配も。視線からどこかにいるのは確実だが、どこにいるかはわからない。
 もし殺気を隠しているのであれば……いや、気配をこれだけ隠している時点で相当の猛者だとわかる。なにせ「いる」と理解させたうえで、どこにいるのか一切わからないのだ。いつの間にかやられている、なんてことがあり得る。
 術者であろうとなかろうと、侵入者であることには間違いない。とりあえずこの鬼どもを全滅させてから――――

「しまっ――――」

 油断した! 背後に跳んだ鬼に挟撃され――――



 ヒュン、と、何かが風を切る音。振り向くと、棍棒を振り上げたままの鬼の頭になにやら棒が突き刺さっていた。頭を押さえながらそれを抜こうとするが、その前に斬る。

「助けられた?」

 鬼は紙に戻り、金属の棒、矢が地面に落ちる。鬼に刺さっていた角度から大体の位置は割り出せるが、その方向に集中しても何も見つからない。また不意討ちをされかねないので、すぐに敵に集中する。



 鬼を全滅させ、戻ってきた。誰かがいたあの場所に。目印とばかりに、一本の短い金属の矢が落ちていた。
 視線はまだある。先程、矢が飛んできたであろう場所に歩を向ける。しばらく歩くと、やがて視線は感じなくなった。

「ありがとうございました」

 とりあえず、上に報告だけはしよう。それだけ決めて、私は森を出た。

――――side end



 教訓。銃を撃つ瞬間までは、銃爪に指をかけてはいけません。
 アイアンサイトすら覗かず、そもそも狙うどころか構えてすらいないクロスボウの銃爪に指をかけたままぼーっとするなんざ、暴発させますよと宣言するようなものだ。幸いにして侍少女には当たらなかったが。
 ちょっと眼を離した隙に彼女はこっちを見ていたから心底驚いたが、それも当然か。矢が飛んでくればそっちを見るに決まっている。顔を伏せ、激流に身を任せるがごとく自然と一体化する。ギリースーツは1m圏内に存在する中尉の眼をも騙す。それに期待するしかない。
 幸いにして少女は鬼を追い少し離れたが、まだ動くには早い。――――ほら戻ってきた。
 矢を拾うと、こっちに近づいてくる。Easy lad...Don't move...Keep a law profile...
 無敵砲台大尉の幻聴が聞こえる。動いたら負けだ。
 頭の真横の地面が踏み抜かれる。なんて幸運だ。

「ありがとうございました」

 ?
 何かに礼を言って去っていった。助かった……



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11.Jan.2011 ver.0.02


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