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No.24734の一覧
[0] 【正式採用決定】(末期戦モノ)幼女戦記Tuez-les tous, Dieu reconnaitra les siens[カルロ・ゼン](2013/08/04 06:42)
[1] プロローグ・ベータ版[カルロ・ゼン](2012/03/30 23:57)
[2] 第一話 学校生活[カルロ・ゼン](2012/04/22 18:35)
[3] 第二話 良い一日。[カルロ・ゼン](2012/04/12 00:29)
[4] 第三話[カルロ・ゼン](2012/04/12 00:30)
[5] 第四話[カルロ・ゼン](2012/05/31 00:08)
[6] 第五話[カルロ・ゼン](2012/04/12 00:33)
[7] 第六話[カルロ・ゼン](2012/04/12 00:35)
[8] 第七話[カルロ・ゼン](2012/04/12 00:36)
[9] 第八話[カルロ・ゼン](2012/04/12 00:38)
[10] 第九話[カルロ・ゼン](2012/04/12 00:40)
[11] 第十話[カルロ・ゼン](2012/04/12 00:42)
[12] 第十一話[カルロ・ゼン](2012/04/22 18:36)
[13] 第一二話[カルロ・ゼン](2012/04/12 00:55)
[14] 第一三話[カルロ・ゼン](2012/04/12 00:56)
[15] 第一四話[カルロ・ゼン](2012/04/12 00:59)
[16] 第一五話[カルロ・ゼン](2017/01/29 16:26)
[17] 第一六話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:17)
[18] 第一七話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:18)
[19] 第一八話[カルロ・ゼン](2012/04/22 18:37)
[20] 第一九話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:21)
[21] 第二〇話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:23)
[22] 第二一話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:24)
[23] 第二二話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:27)
[24] 第二三話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:30)
[25] 第二四話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:33)
[26] 第二五話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:48)
[27] 第二六話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:50)
[28] 第二七話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:52)
[29] 第二八話(外伝①)[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:54)
[30] 第二九話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:56)
[31] 第三〇話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:58)
[32] 第三十一話(外伝②)[カルロ・ゼン](2012/04/12 02:15)
[33] 第三十二話[カルロ・ゼン](2012/04/12 02:17)
[34] 第三十三話[カルロ・ゼン](2012/04/12 02:18)
[35] 第三十四話[カルロ・ゼン](2012/04/12 02:20)
[36] 第三十五話[カルロ・ゼン](2012/04/12 02:20)
[37] 第三十六話[カルロ・ゼン](2012/04/12 02:12)
[38] 第三十七話[カルロ・ゼン](2012/04/12 02:12)
[39] 第三十八話[カルロ・ゼン](2012/04/12 02:11)
[40] 第三十九話[カルロ・ゼン](2012/04/12 02:09)
[41] 第四〇話(外伝追加)[カルロ・ゼン](2011/11/13 23:03)
[42] 第四一話[カルロ・ゼン](2012/04/12 02:07)
[43] 第四二話[カルロ・ゼン](2012/04/12 02:06)
[44] 第四三話[カルロ・ゼン](2012/04/12 02:06)
[45] 第四四話[カルロ・ゼン](2012/03/08 22:55)
[46] 第四五話[カルロ・ゼン](2012/04/12 02:06)
[47] 第四六話(外伝3)[カルロ・ゼン](2012/04/12 02:05)
[48] 第四七話[カルロ・ゼン](2012/04/12 02:04)
[49] 第四八話[カルロ・ゼン](2012/04/12 02:04)
[50] 第四九話[カルロ・ゼン](2011/11/25 02:02)
[51] 第五〇話[カルロ・ゼン](2012/04/12 02:03)
[52] 第五一話[カルロ・ゼン](2012/04/12 02:01)
[53] 第五二話[カルロ・ゼン](2012/04/12 02:00)
[54] 第五三話(時系列的には第五二話前の外伝)[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:46)
[55] 第五四話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:44)
[56] 第五五話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:43)
[57] 第五六話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:42)
[58] 第五七話(外伝追加)[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:41)
[59] 第五八話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:41)
[60] 第五九話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:39)
[61] 第六〇話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:38)
[62] 第六一話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:37)
[63] 第六二話[カルロ・ゼン](2012/01/15 05:00)
[64] 第六三話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:35)
[65] 第六四話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:34)
[66] 第六五話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:13)
[67] 第六六話[カルロ・ゼン](2012/03/17 23:56)
[68] 第六七話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:12)
[69] 第六八話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:12)
[70] 第六九話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:11)
[71] 第七〇話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:10)
[72] 第七一話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:10)
[73] 第七二話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:09)
[74] 第七三話[カルロ・ゼン](2012/03/16 22:14)
[75] 第七四話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:09)
[76] 第七五話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:08)
[77] 第七六話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:07)
[78] 第七七話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:07)
[79] 第七八話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:06)
[80] 第七九話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:05)
[81] 第八〇話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:04)
[82] 第八一話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:03)
[83] 第八二話[カルロ・ゼン](2012/04/18 01:19)
[84] 第八三話[カルロ・ゼン](2012/04/18 01:20)
[85] 第八四話[カルロ・ゼン](2012/04/22 20:41)
[86] 第八五話[カルロ・ゼン](2012/05/11 02:16)
[87] 第八六話[カルロ・ゼン](2012/05/13 18:13)
[88] 第八七話[カルロ・ゼン](2012/05/18 00:55)
[89] 第八八話[カルロ・ゼン](2012/05/31 00:33)
[90] 第八九話[カルロ・ゼン](2012/05/31 00:03)
[91] 第九〇話[カルロ・ゼン](2012/07/02 04:25)
[92] 第九一話[カルロ・ゼン](2013/06/06 20:38)
[93] 第九二話[カルロ・ゼン](2013/06/06 20:32)
[94] 第九三話[カルロ・ゼン](2017/01/29 16:29)
[95] 第九四話[カルロ・ゼン](2013/06/06 20:36)
[96] 第九五話[カルロ・ゼン](2017/01/29 16:28)
[97] 第九六話[カルロ・ゼン](2017/01/29 16:27)
[98] 第九七話[カルロ・ゼン](2012/09/02 12:59)
[99] 第九八話[カルロ・ゼン](2012/09/02 16:01)
[100] 第九九話[カルロ・ゼン](2017/01/29 16:26)
[101] 第一〇〇話[カルロ・ゼン](2012/09/22 01:53)
[102] 番外編的な何か。 という名の、泣き言的な何か。[カルロ・ゼン](2012/09/23 20:17)
[103] 番外編1 『ライヒの守護者』[カルロ・ゼン](2012/09/28 05:02)
[104] 番外編2 『ラインの食卓』[カルロ・ゼン](2017/01/29 16:25)
[105] 番外編3 『203は何処にありや?』[カルロ・ゼン](2012/10/25 22:20)
[106] 番外編4 『ルナティック・ルナリアン』[カルロ・ゼン](2012/11/07 09:34)
[107] 番外編5 『毒麦のたとえ』[カルロ・ゼン](2017/01/29 16:24)
[108] あとがき(+ちょっとした戯言)[カルロ・ゼン](2012/12/17 01:20)
[109] The Day Before Great War 1:ノルデン北方哨戒任務[カルロ・ゼン](2012/12/24 11:11)
[110] The Day Before Great War 2:ノルデン北方哨戒任務[カルロ・ゼン](2012/12/24 11:11)
[111] The Day Before Great War 3:ノルデン北方哨戒任務[カルロ・ゼン](2013/01/29 01:14)
[112] The Day Before Great War 4:ノルデン北方哨戒任務[カルロ・ゼン](2013/01/28 22:00)
[113] The Day Before Great War 5:ノルデン北方哨戒任務[カルロ・ゼン](2013/08/04 08:53)
[114] The Day Before Great War 6: 秋津島戦役[カルロ・ゼン](2013/06/06 20:30)
[115] The Day Before Great War 7: 秋津島戦役[カルロ・ゼン](2013/06/06 21:33)
[116] The Day Before Great War 8: 秋津島戦役[カルロ・ゼン](2013/08/04 06:45)
[117] 『おしらせ』[カルロ・ゼン](2013/01/28 22:19)
[118] 番外編6 『とある戦場伝説』[カルロ・ゼン](2013/09/25 01:57)
[119] 番外編7 『ラインの…オムツ』[カルロ・ゼン](2013/09/25 02:13)
[120] 番外編8 『喰らうた肉』[カルロ・ゼン](2013/09/25 01:55)
[121] 番外編9 『総力戦問題1』:農務省、人手を求める[カルロ・ゼン](2014/03/10 21:47)
[122] The Day Before Great War 9: 秋津島戦役[カルロ・ゼン](2013/10/07 16:12)
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[24734] 第四話
Name: カルロ・ゼン◆ae1c9415 ID:ed47b356 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/05/31 00:08
投稿も電撃戦に準じて迅速かつ速やかに。
※作者の投稿ステータス:1939年ドイツ国防軍並み



画面の前の皆さまこんにちわ。
ターニャ・デグレチャフ9歳です!
もうすぐ、10歳になります。

ここ帝国北辺も、ようやく春です。
暖かくなり、私達も外でいっぱい動き回ることができるようになりました。
みんな、元気いっぱいです。
あっちこっち、駆けずり回り、もうこのあたりでは、一切迷ったりしませんよ!

ここにきて、いろいろな人たちと知り合えました。
全てが、勉強です。
まだ、小さいのでいろいろと失敗してしまいますが、一つ一つできることを頑張っていきます。
例えば、これまでは、小さくて、重いものをしっかりと持てませんでした。
でも、工夫すれば、できるというのです。
私には、わかりませんでした。
だから、なんとかやってみても、いつも失敗の繰り返し。
でも、優しく指導してもらって、何とか、できるようになりましたよ!









ようやくライフルの反動にも負けずに、連発することができるようになったんです。











と、言うわけで、死んでくれ。

納得できるかどうか、わからないけれども、死んでくれ。

すまないね。戦争なんだ。


では、ようじょの皮をかぶったリバタリアンより皆さまへ改めてごきげんよう。
ターニャ・デグレチャフ帝国軍魔道准尉であります。
ああ、そう構えないでいただきたい。
今は、非番でありまして、単なる一個人としてお話し申し上げているところです。
医薬品関連企業の株価にはご注目されましたか?
ああ、できれば研究に強みがあるところではなく、今製造ラインを確保しているところがよいですね。
御覧のように、ここしばらく業績がうなぎのぼり、株価も連動中でありましょう?

大きな需要がある。要するに、そういうことです。

さて、経済学的に考えてみれば、需要があるというのは、それを欲する消費者がいるということになります。
言うまでもなく、欲望の二重一致が成立してこそですからね。
ここまでは、経済学のことを全く理解できないマルキスト以外には、自明でしょう。
もちろん、そういうわけですから、医薬品が大量に必要な方々がいるということです。
では、いまさらですが、医薬品を欲する消費者とは誰でしょうな。

ああ、もちろん現在帝国や世界で特定の疾患が流行しているか、その兆しがあるというわけではありません。

ご安心ください。帝国の衛生水準は、おそらく世界有数の高水準を維持しております。

我が国由来の伝染病等で皆さまを煩わせる事はおそらくないでしょう。
ワクチンや、特効薬等の備蓄はしておくにこしたことはないかもしれませんが。
製薬会社のスポークスマンではないので、あまり強く推奨することもないですね。

さてさて、インサイダー取引は証券取引法に抵触いたしますから、これ以上は口をつぐむと致しましょう。

ですが、明日の朝刊をお楽しみにしていただければと思いますよ?







はい、デグレチャフ准尉であります。
気がついたら、士官候補生ではなく、准尉に。
いつの間にやら辞令を頂き、士官候補生から昇進だそうで。
研修終了と同時に少尉に任官できるそうですが、どうも、雲行きがあやしい。

それが、つい先日までのお話です。
紛争地域に直面している国境。
名目上では、この地域の帰属権は、争われてはいない。
そういうことになってはいるものの、それは単純に帝国が圧倒的だから。

自重しないソ連に対して、領土要求する国家に理性があるとでも思いますか?

単純化するとそういう図式でした。
はい、過去形。

ここしばらく、国境では、ちょっとした偶発的事故が散発していました。

具体的には、ライフルの弾が帝国軍の宿舎に撃ち込まれたりとか。
国境付近の鉄道に爆弾が仕掛けられているのが発見されたりとか。
その何れにおいても、協商連合製と思しき兵器だったりとか。

ああ、物騒。

そういう物騒な世情にもかかわらず、私は呑気に飛行哨戒班で陸軍との連携研修。
あくまでも、士官学校の教育の一環です。
ちなみに、コールサインはピクシー04。
魔導士官学校からの促成組や、現地の研修要員などなどからなる臨時の編成。

で、48時間の待機命令。
まあ、よくある実戦のピリピリとした緊張感を維持させるための奴でしょうな。

まったく運の無いことに、24時間ほどした時に、なんと、本格的な武力行使。
いやいや、なんでも協商連合の首脳陣が選挙で変わって、方針が一変したらしく、一気に進駐してきましたよ。
馬鹿じゃないの?
それとも、必勝の方策でもあるの?

そう聞きたいところです。
よくわからんのですが、何故、向こうから手を出してくる?

普通、セオリー通りに行くならば、帝国がいちゃもんをつけて、武力行使。
もしくは、挑発しまくり、一発撃ち返されたところで、大進撃。
あるいは、もう名分など気にせず蹂躙戦。

ところが、気がつけば、協商連合から宣戦布告代わりに、退去勧告?
“24時間以内に、我が国固有の領土より退去せよ”
“進駐する協商連合軍に投降し、武装解除するか、速やかに退去せよ”

・・・本気なのか、それとも協商連合側に偽装した帝国の自作自演勧告?

ええ、そう真剣に混乱するほど衝撃的な勧告でありました。

ところが、実際に、協商連合軍が、意気揚々と国境を越境。
なんですかな、なんと言えばいいのか。
こういう時に、どういう顔をしていいのか、良くわからないのです。
無謀なレミングス?もしくは、自殺志願者の群れ?


私にはさっぱり理解できない深謀遠慮もあったのか、ともかく協商連合は大々的に侵攻してきます。
まあ、私がここによこされた時には、お上は開戦を決断していたのでしょう。
物資の集積量・軍団の集結度合い。
全て、秘密裏に行ってのけたということは実に見事な手際。
早い話が、馬鹿が飛び込んでくるのをもろ手を広げて待ちかまえていた状態。


ウェルカム・トゥ・ヘル!!

・・・さすがに、帝国も協商連合から戦端を開くというのは半信半疑だったらしいですが。


ええ、だって、平時でさえ、軍団規模の駐屯軍。
そこに、一応来るかもということで動員されたらしい我ら追加の一個軍団。
まあ、情報封鎖@北方演習という名目でしたが。
あとは、いつもよりも多めにマスメディアを用意。
我々から撃ってないよアピールまでしておいたのに、本当に向こうから来るとは。

世の中、摩訶不思議すぎる。

気分としては、本当にフィンランドかポーランドから武力行使を受けたソ連の気分。
いや、腕まくりして、叩き潰したいけど名分が・・・
オヤ?向こうから鴨がネギと鍋と燃料セットできたような、という気分。

“開戦です!!ご覧の皆さま、繰り返しお伝えいたします。
開戦です!!たった今、戦争がはじまりました!!
帝国が、レガドニア協商連合の最後通牒に対して、宣戦を布告致しました!!
ご覧になれるでしょうか!?
帝国軍の魔導部隊が続々と国境を突破しております!!
すでに、各所で交戦中との情報が入って来ております!”

眼下では、友軍機甲部隊と、なんか、同行してきて叫び声をあげている報道関係者。
・・あら?
ここに至ってまで報道関係者ってことは、情報戦をやる気が上にはあるということか。
強大さアピールは悪くはない。
加えて、正当性を示すためにも、向こうが先に国境を越えたという証明があるので、気分は楽。
ついでに、マスメディアを入れるということは、要するに勝てるということだろう。
負けてるところを報道してほしい首脳陣なんていないし。
不祥事隠しは、どこも考えること。
逆に、隠すことが無いか、少ないということは順調なことの証。
少しは、気が楽になる要素だ。

正直、北方に飛ばされた時は研修とか、左遷とか、そういうものだと思っていました。

・・・まさか、人手不足の特殊プロジェクトに出向だったとは。

そういうことは、こっそりと言い含めてくれれば、気持ちよく出立できたというに。
おかげで、気分が乗らないまま、北方紛争地、今では北方戦線に赴任したせいで、周囲から浮いてしまっている。

まあ、もともと不本意ながらも私の外見は幼子。

加えて、これまでのエリートコースから逸脱して不貞腐れているように見える子供。

自分だって、仕事でもなければ関わりたくすらない厄介さ。
それが、准尉というそれなりの地位。
誰だって厄介事には近づかないという実に自然かつ賢明な判断力を有している。

さすがに、帝国軍の人材不足もそこまで深刻ではないのか、北方にはまだ余裕があるのか。

いや、中身はともかく、一応は子供である私を動員せねばならない時点で、根本的にはあれだが。
平時と戦時の境界線が曖昧になりつつあることを考慮しても、相当厳しいのではないだろうか。
企業で言えば、銀行から与信を与えられない程ぎりぎりの自転車操業に等しい状況。

ともかく、今はこれを乗り越えなくてはならないのだが。
やれやれだ。
しかし、これが初戦。
味方が圧倒的に優勢な戦場で初戦というのは運がいい。
まだ破局点に達していないからだろうが、比較的余裕のある部署に付ける。

ぎりぎりかもしれないが、少なくとも帝国という緻密な戦争機械は、未だ健在なのだ。
当分は、いくばくかはましな状況で戦争ができるだろう。
その間に生き延びるために必要な権力と地位。それに、コネクションを確保してしまいたい。

幸い、ここ北方方面軍は任地の性質上中央からの出向者が多い。
私自身、名目上は中央からの出向だ。
つまり、ここで成果を上げれば、中央軍への復帰も叶うし、後方勤務も夢ではない。
帝国軍親衛隊にまで選抜されれば、帝都防衛の任で、ずっと後方待機も可能。

要するに。
ここで、盛大に活躍し、後々に有効なキャリアを積んで来いという有りがたい魔導士官学校の思し召しだ。
教官殿には、感謝状を速やかに投函しておくべきだろう。
人事に意を配っていただいたのだ。
こうした好意に対しては、礼節として感謝を述べておくべきものだ。
コネを軽視すると、大失敗しがちなのだ。
先方がこちらに好意的であり、こちらがその好意に気付いていないとは、まさしくありえない失態。

それに不平不満を抱いていることが発覚すれば、考査になんと記されるか知れたものではない。
失態は速やかにリカバリーし、取り繕い、事後の予防に活用する必要がある。
さしあたってはPXで封筒と紙を購入してきた。
軍隊のいいところは、手紙に関しては、まあ、書いていても邪魔されないということだろう。
出撃前に遺書を、という軍隊の伝統もあり、こうしたところには融通がきく。
まあ、検閲はされるのだが。

しかし、ここは全くの無問題。
なんとなれば、私はお世話になった士官学校の教官殿にお手紙を差し上げるだけなのだ。
賞賛される行為でこそあれ、なんら問題がある行為ではない。
強いて言うならば、遅いという懸念がある。
だが、ここには完璧な大義名分が。
すなわち、情報封鎖。機密保持。
全くもって素晴らしい。
職務に忠実であったという名分があり、かつ時期的にも最適なのだ。

そういうわけで、じつのところ、私は珍しく今高揚している。
失敗があったけれども其れを取り繕い、さらに得点にできるのだ。

だから、実際に戦場に参加し、戦域で、弾着観測を行っていても私の気分はご機嫌であった。

「ピクシー04より、CP」

「こちらCP、ピクシー04。感度良好」

実戦では、演習ほどに無線感度がよくないと想定されていた。
にもかかわらず、協商連合からの妨害もなく、さしたる障害が無い以上、感度は極めて良好。
本当に、協商連合は何がしたいのだろうか?
ゆっくりと、行軍隊列を保ちつつ、進軍し、しばらく混乱した揚句に停止?
実弾演習の的になりたいなら、素直にそう言ってくれればよいのだが。
七面鳥ならぬ、ドードー撃ちなら、私も参加したかった。
友軍が、これでもかと言わんばかりに最適な射撃目標を実戦で撃てるとは。
羨ましくて、思わず、ライフルをかついで飛ぼうかとすら本気で出撃前には考えてしまった。

「ピクシー04より、CP。同じく感度良好。観測データを送る。」

「確認した。現在砲兵隊に転送中。弾着観測継続されたし。」

「ピクシー04了解。別命あるまで、弾着観測に当たる。オーバー」

「CP了解。オーバー」

いや、実に楽な仕事です。やってることは、極めて重要ですが。
無線と観測機材一式背負って、弾着観測を行うだけ。
仕事は、リアルタイムで数的処理は演算宝珠の得意とするところであるためただ飛んでるだけ。
後は、我が帝国軍の誇る砲兵隊の仕事。
その見事な曳下射撃や同時着弾射撃を見学するだけの本当に簡単なお仕事です。
もともと新興の軍事大国だけあって、帝国陸軍は比較的新型の装備を誇り、火力主義の信奉者。

銃剣は嘘をつかないのかもしれませんが、物量も嘘をつかないのです。

そういうわけで、ゆっくりと飛びつつ、データ収集。
あとは、人任せにしつつ、出撃前に基地で行われた非公式の戦果トトカルチョの結果に思いをはせる。
私の属する観測班で、誰が担当した砲兵隊が一番戦果を上げるか。
まあ、戦果確認という仕事を自分達で兼任しているために若干水増しの懸念もあるのだが。
なにしろ、単独で、観測やれというあたり、微妙に嫌なものが背中を走らざるをえない。
最悪、水増しされていてはたまらないのだ。
しかし、まあ、今は大丈夫だろう。

さすがに、戦果確認機が仕事をさぼって誤情報を発信すれば、利敵行為だ。
憲兵隊にお世話になりたいほどに、憲兵隊を恋しがれている奴は魔導士官には少ない。
我が観測班に隠れた憲兵隊のファンがいない限りは、うちの班はクリーンのはず。

なにしろ、こちらから待ちかまえていた開戦。
要するに、制空権も、対空魔導監視網も万全に整えられている状況。
散発的な抵抗も、対空砲火の輝きを、先生こと砲兵隊に告げ口すれば、一発きついげんこつで黙らせてくれる。
だから、私は戦場見物という実に呑気な立場に等しい。
全力で戦争をやっている連中には申し訳ないが、実に良い身分だ。
全くもって素晴らしい。叶わぬ願望かもしれないが、今後もこうあってほしいものだ。

なにしろ、特等席で、花火の打ち上げを眺めて、今か今かと待ちかまえている状況。
富士総合火力演習が可愛く思えてくるような、盛大な規模で今から撃たれるのだ。
気分も最高に素晴らしい。
砲兵隊が耕し、歩兵と機甲部隊が前進。
対地援護兼直掩が我々魔導師。
その上空を戦爆混合戦隊が、奥地侵攻の先遣として先行中。
演習でもこれほど上手くできるかどうか。
それが、現実に成功しているのだ。もう、笑って乾杯するほかにない。
戦争が、楽しくてしょうがないものに思えてしまうほどだ。

「CPより、ピクシー04、砲兵隊による観測射撃開始。データ、送レ。」

「こちら、ピクシー04、弾着確認。演算宝珠のデータを砲兵隊へ転送中。」

「CP了解。効力射に留意せよ。全力射撃は200秒後の予定。オーバー」

「ピクシー04了解。オーバー」

やや、高度を上げつつ、少し距離を取るように西側へ動く。
そう簡単にずれるとも思わないが、破片に巻き込まれて、味方に落とされるのは全く理不尽。
さすがに、らりって落ちたいかといわれれば微妙だ。
しかし、観測射撃一つとっても、かなりの投射量。
これは、ぜひとも本番に期待せざるを得ない。
砲兵隊は気分よくぶっ放し、私は指をくわえて見物といえども、これはこれで見ごたえがあるだろう。

なにより、有象無象が右往左往して混乱しているのを上空彼方から見下すのだ。
その事実だけで、かなり気分が良いものではないか。
これで、私が直接砲撃できていれば最高なのだが。
まあ、人生において、最高の追及は完全に達成し得るものではない。
だから、最善で我慢するほかにないのだろうが。

「・・・・ザッ・ザザザ・ザッーーーーーーーー」

ああ、まったく。こんな良い時にもかかわらず無線にノイズ。観測射撃が始まったから?
これからが、良いところだというのに。
しかし、演習ではこれほどは無かったはずだが。
実戦だからかもしれないが、これでは弾着観測の精度が微妙に不安になる。
ん?照射?
・・・照射!?

「メーデー!メーデー!ピクシー04より、CPへ。戦域警報!至急処理を要請。」

国境付近に残存している敵戦力の中で、最も脅威足りえるのは、間違いなく魔導師。
レガドニア協商連合は、魔導師に関しては後発国であるため数こそ少ない。
しかし、少ないという弱点を補うために、徹底的な質的増強が、行われている。
それを、可能としているのが主としていくつかの反帝国的国家の援助だ。
実戦試験というのもあるのだろうが、協商魔導師は、装備の面で極めて優れている。
というか、どこからどう見てもレガドニア人ではなく、アウストリア人とか、ファリウス人とかがいる。
まあ、もちろん、個人が、あるいは、団体が国籍離脱したり、他国軍に志願するのは自由である。
我が帝国においても、過去にそういう事例は結構あった。
人の事は、とやかく言えるものでもないらしい。
だから、レガドニアという一つの協商連合ではなく、実質他国の精鋭軍が援軍として駐屯しているようなものだ。
さすがに規模は小さいし、戦局に大きな影響を及ぼせるものではないはずだが・・・。

事前諜報では、敵魔導師らは、やや南方のエリヤンス防衛のために急遽集結中と、説明されている。
レガドニアの後ろ盾であるアウストリア連合王国やファリウス共和国の意向は不明だ。
しかし、少なくとも進駐しようとしてきた連中には確認されていないとのこと。
もし、発見すればただちにCPへ、急報せねばならない。
戦術的価値もそうだが、政略的にもつ意味合いは果てしなく大きい。
もちろん、手順通りに報告は行うし、そもそも、敵を一人で引きつけて、大活躍という英雄願望は無い。
死にたい奴は、勝手に死ねばいい。
生き残ることが最優先なのだ。
敵発見という手柄で、私にとって十分すぎる。
ついでにいえば、背後にいる連中の政治的な背景を考えれば、こちらから仕掛けるのは避けたい。
まあ、さすがにそれは無理な願望だろうが。

「我、敵魔導師群を感知。中隊規模、急速接近中。」

「座標、戦域α、ブロック8、高度4300!」

向こうは、どのような葛藤や政治的な思惑があったにせよ戦意旺盛。
極めてやる気に満ち溢れた勤勉な軍人だ。
最悪極まりない。
全力で持って、回避機動。すぐ先ほどまでいた空間に、プラズマと誘導弾多数が撃ち込まれる。
こちらに向かってきているのは規模からして、すくなくとも小隊?いや、精鋭分隊もありうるか。
敵中隊主力は突破し、こちらの支援火力をつぶす気だろう。
どちらにしても、望ましくない。
砲兵隊は自走砲ならばともかく、大半は牽引式。
逃げるにしても、隠れるにしても、時間は絶望的に足りないだろう。
必然的に、直掩部隊の活躍にかかってくる。
だが、さすがに魔道中隊規模の突撃を受け止めるには、相応の戦力が必要になってしまう。

「オン・エンゲージ!」

無線の向こうでCPでも動揺するような声が漏れ聞こえてくる。
予想の範疇であっても、最悪の事態なのだ。
誰だって動揺するし、愚痴の一つや二つくらいは付きたくなるだろう。
それは、理解できる。理解できるが、しかし、その問題の矢面に立つ私としてはどうにも困る。
なにしろ、面倒事の当事者なのだ。

「CPより、ピクシー04!」

ほら来なさった。
面倒事の予感が100%。
女の勘は、的中率が高いというが。
さて、外見ようじょといえども中身は別段、女性のつもりは無いのだが。
なんだろうな。この嫌な感じは。
今なら、碌でもないことである確率に生涯所得を全部賭けてもよいくらいだ。
どうせ、少しも外れないのだろうから。

「こちらピクシー04。感度は悪化しつつあるも、聞こえている。」

「射撃観測を中断、接敵を維持。遅延に努めよ。また、可能ならば情報を収集せよ。」

ああ、きた。
全くもって最悪極まりない。
接敵し、情報を収集?
いやいや、それ以前に、遅延に務めろと?
一人で、中隊をかき回せと?
隠れる遮蔽物一つないこの大空で?

死ねと言いたいなら、はっきりそう言ってほしいのだが。

「現在、友軍魔導小隊がスクランブル中。600以内に急行予定。」

ああ、10分で来てくれると。
インスタント食品が出来上がり、食べ終わって、片付けまでやってのけられるだけ有るじゃないか。
正直、中隊相手に10分遅延防御なんぞ、やってのけられる訳が無い。
個人の保身と生命の安全を勘案すれば、三十六計逃げるに如かず。
いや、敵前逃亡ではなく、戦略的に価値の無い空域からの転進だ。
より重要度の高い任務に向かうために転進すべきなんだよね。

「ピクシー04より、CP。即時離脱許可を。繰り返す、即時離脱許可を。」

「CPより、ピクシー04。許可できない。機動により遅延防御に努めよ。」

ああ、クソッたれ。
後方から命令一つで人の命を奪える指揮官に災いあれ!
そういうことを命令するならば、私と席を代われと本気で叫びたい。
機動防御でも遅延防御でも、攻勢防御でも好きな奴を選ばせてやんよ!!

「友軍砲兵隊は?」

とはいえ、私は大人なのだ。
感情に任せて、恨み事をぶつけてやると後々、面倒にあることは理解している。
恨みは、将来偉くなってから返せばいいことだ。
そのためにも、なんとか今は、今できる最善をしておくだけだ。
そう言うこう次第だから、取りあえず、後ろにいるはずの砲兵隊の状況を聞いておく。

「現在、直掩の魔導小隊が急行中なれども厳しい。すまないが、離脱は許可できない。よろしく頼む。」

ああ、最悪決定。
クソッたれな事態を招いた因果律に、災いあれ!!
まったく、いったいぜんたい、何故、私の後ろにいる砲兵隊めがけて、敵魔導師隊が突撃してくるのだ。
隣の戦区でも一向に良いじゃないか。
どうして、よりにもよって、こっちにくる!
悪魔め。未だに私を呪うか!?
もう、決めた。
こうなったら、やけくそだ。
どいつもこいつも、私を殺そうというのだな?
ならば、一人では死なない。
今決めた。
死なばもろともだ。

「ピクシー04了解。Semper Fi!!」

「Do or die.May god breath you...」

・・・やけくそで叫んだのは認めるがね。
なんですか、その最後の沈黙は。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
うん、すまない。
絶望的な戦局を期待しているところで、御預けなんだ。

でも、ご安心あれ。
確かに作者は、マブラヴもガンパレも好きだし絢爛舞踏章の英雄も大好きです。ルーデルとか、絶望的な戦況なのに、奴がいるところだけ絶望的なのはソ連軍とかいうリアルチートも、もちろんいける口です。

しかし、しかしです。
大好物も、そればかりでは食傷気味になります!

タマニハ末期戦モノデモドウダロウカ?


ZAPです。
ZAP+ZAP
ああ、ZAPの嵐がorz


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