最後まで読んでくれてありがとうございました。
では、これから自己満足全開の作品解説とかを始めます。
序章
死を覚悟したシンシアが、超展開で命を救われる一発ネタが書きたいという思い付きから生まれた話。
ドラクエなら、ダイ大を使うべきだろうという簡単な発想です。
モシャスって、ゲームだと大して役に立たないけど、漫画やラノベに持っていけばチート能力になるよなぁとか、ずっと思ってました。
モシャスした村人が竜闘気のこととかを知ってるのは、紋章に蓄積された経験と知識がどうのこうのです。
ハーフにはない? アーアーキコエナーイ。
第1章
序章が、勇者にもっとも近しいシンシア視点なら、ライアンと一緒に戦うNPCのホイミンの視点にするべきだろうという考えから、そういうことに。
で、主人公にはツッコミ役をやってもらうべきだろう常識的に考えて。ということで、ライアンをツッコミどころ満載の超人に魔改造。
ライアンは戦った。そして勝った。だと味気ないので、ツッコミどころ満載モンスタースカイライン(仮名)を配置。
超人オリンピックはバトランドで開催されており、ライアンはかつてのチャンピオンでしたが、豚のようなマスクマンに……。
あと、ライアンは超人なので、空を飛んだり巨大化も出来ます。多分。
第2章
この章には仲間になるNPCがいなくて困りました。
しかし、考えてみればこの章は3人パーティなんだし、その中の一人をツッコミ要員にすれば良くね? と思い、それ絶対魔法じゃないよというツッコミをやらせたかったので、魔法が使えないアリーナを主人公に起用。
ザラキは正直思いつきませんでした。もし、思いついたら使ってました。
アリーナは最高の才能を腐らせるだけのキャラです。
第3章
スコットを主人公にするのはすぐに決まったのですが、トルネコをどういうキャラにするかに悩みました。
この章の目的がゲームではお金稼ぎだったというのも、どうオチをつけるかで悩む理由でした。
で、トルネコを戦争狂にしたわけですが、これだけだと、ただの出オチだしギャグというには弱いので、後から武術大会に出場する話と、いつかどこかで使いたいと思っていた悪魔が微笑む時代ネタを付け加えました。
この章は1章から十年近く経過しており、その間ホイミンはずっとライアンと一緒に旅をしていて精神汚染を受けています。
最終章でわかるとおりスコットの前世は学生です。高校生。
某同人で『規格外品な人たち』というのを見て、ガイバーネタか、この使い方はいいなと思ったわけですが、あとがきの説明のしかただと誤解する人がいそうだな、と後で思ったら実際にいました。ごめんなさい。
第4章
オーリンを主役にして、そのポジションの転生者ならどう行動するかを考えて書いてみたんですが、どうギャグを挟めばいいのかわからない話が出来上がり、分量も短かったので没。
没ネタではオーリンは普通に男です。
で、どうギャグにするか考えた結果、進化繋がりでデジモンネタを使用。
アニメのデジモンを知らない人には意味不明なんじゃないかと、不安でいっぱいでした。
テイマーズの進化については、どうだったかとぐぐってみたら、デジモンテイマーズ 【進化集】という動画でマトリクスエボリューションと繰り返していたので、全部それでいいんだなと判断しました。
違ってるかもしれませんが、現在確認できていません。
最終章
デスピサロが死ぬまでが本編。
なんか、短い気がしたので裏設定予定のものをネタばらし。
カイザードラゴンは、適当にマスドラより強そうな名前だということでドラゴンナイツグロリアスから持ってきて、ビジュアルイメージはゴジラ FINAL WARSのカイザーギドラを使用しています。
アベル伝説キャラ名は、分からないひとは読み流してくれれば良い小ネタです。
さて、この先は4章の没ネタを公開しようと思っていたのですが、どうも感想を見ると誰も期待していないようなので、まったく関係のないドラクエ3の一発ネタでも置いておくことにしました。
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ドラゴンクエストⅢ 伝説になる勇者
16歳の誕生日の朝、目を覚ましたら母がお前は勇者なんだから魔王を倒す旅に出なさいと行ってきた。
さて、これは何かの暗号だろうか?
確かに私の父は勇者と呼ばれる人だったが、だからと言って私が勇者呼ばわりされる覚えはない。
むしろ、強盗団の首領のような覆面をかぶりビキニパンツ一枚にマントをかけただけの半裸の姿で堂々と町を歩くような父と結婚をする気になった母の方が、よっぽど勇者の称号を受けるに相応しいのではないだろうか。
思えば小さな頃は、それが理由で寺子屋の男子連中にからかわれたものだ。
「なにか失礼なこと考えてない?」
「滅相もない」
勘がいいなと思いつつ、首を振る。
「なんで、私が魔王を倒さなきゃいれないの?」
「あんたが、勇者の血筋だからよ」
打てば響くような感じで言葉を返してくる母をまじまじと見つめると、父が行方不明になってからは化粧っ気もなくなり、年齢のこともあって老け込んでいっている印象のある顔が見える。
「そうか。私の若さを妬んで、抹殺しようと……って!!」
頭に拳骨を落とされた。
「バカ言ってんじゃないの。今世界は、魔王バラモスの脅威にさらされてるのよ」
「だから何?」
モンスターに命を脅かされている人たちには同情するけど、勇者の血筋なんて理由で私が命を賭けなければならないなんて理不尽な話は認められない。
「うちの家は、そういう時のための勇者の家系だって理由で、お城からお金をもらってやっていってるの。だから、あんたは家のために魔王退治の旅に出る義務があるのよ」
「え!? そうなの?」
「そうよ。大体、あの人が帰ってこなくなって働き手のないうちが、どうやって生活費を稼いでいると思ったの?」
考えたこともなかったわ……。
「じゃあ、ひょっとして旅に出たくないなんて言ったら……」
「良くて、家族丸ごと国から追放。悪くすれば、国民全員からの私刑か処刑もありうるわね」
おおぅ。最悪だわ。
見た目は変質者以外の何物でもなかった父は、それでも人々に称えられるに相応しい一騎当千の勇者だった。
その父が、帰って来れなくなるような旅に出て生きて帰れる自信は私にはない。
けれど、母や祖父の三人だけでモンスターの徘徊する城壁の外に追い出されれば、のたれ死ぬのがオチだ。
もちろん、私刑もごめんだ。
「つまり、行くしかないのね……」
「ええ。だから、まずはお城に行って王様に挨拶をしなくちゃね」
ニッコリと笑う母の笑顔は、しかし娘を死地に向かわせる罪悪感に歪んでいて……、演技してんなよババアと思わざるをえない。
「じゃあ、行きましょうか」
「いいわよ。行ってやろうじゃないの」
そうして、私は母と二人でお城に向かったのだった。
◆
「よくぞきた、勇者オルテガの娘……、オルテガの娘よ」
母の顔パスで門番に通してもらい、その後は一人でお城に入った私を迎えた王様の第一声は、そんな言葉だった。
私の名前を知らないのね。別にいいけど。
「単刀直入に言うが、勇者の使命的な理由で魔王バラモスを倒してくるがよい。軍資金は、その辺の宝箱に入っているから適当に持って行け」
そんな、いい加減な。
思いつつも、見回せば宝箱が一つ。
「あのー。これ開けていいんですか?」
「好きにせよ。それは、もはやおぬしの物じゃ」
じゃあ、遠慮なく。
取っ手とかないので、適当に蹴っ飛ばしてみたらカヒョッっと音を立てて開く宝箱。そして中には50ゴールド。ってオイ。
「王様。50ゴールドしか入ってないんですけど」
「50ゴールドしか入れてないからな」
「…………」
「…………」
「子供のお小遣いですか!」
「うむ!」
「うむ! じゃないでしょ。なんで、魔王退治の軍資金が子供のお小遣いなんですか!」
「そもそも、おぬしの家には毎月国庫から多額の金を送っておる。足りなければ親に頼めばよかろう」
そうきたか。
「あと、いくらなんでも一人で魔王を倒して来いとは言わん。ルイーダの酒場には話を通してあるから、仲間を募るかよい。定員は四名までじゃ」
「定員があるんですか?」
「あまり連れて行かれると国防に問題が出るのでな」
世知辛いわね。まあ、いいや。
「じゃあ、一度家に帰ってからルイーダの酒場に行ってきます」
「うむ。もう、こっちには顔を出さなくていいから、仲間を集めたらすぐ旅立つがよい」
「はい。そうします」
というわけで、家に戻る私である。
◆
「お金なら出せないわよ」
出せないって……。
「どういうことよ?」
「あんたが旅に出たら、うちはお爺ちゃんと二人しかいないのよ。それで、あんたが魔王を倒せずに倒れるようなことがあれば勇者の血筋も絶えてお城からお金も貰えなくなりかねないんだから、貯蓄しとかなきゃでしょ」
酷い言い草だ。とても、生みの親の口から出てくる言葉とは思えないわ。
「それじゃあ、旅の装備はどうすればいいのよ。私には素手でモンスターと戦う技能なんてないわよ」
「装備なら家にあるわよ」
「へ?」
「うちは、代々の勇者の家系よ。先祖代々の勇者の装備くらいあるに決まってるじゃない」
「そうなの?」
「そうなの」
なんだ、慌てて損した。
「そういうことは、先に言ってよ」
「先に聞きなさいよ」
「で、その装備はどこにあるの?」
「ちょっと、待ってなさい。お爺ちゃーん、この子にご先祖様の装備を持ってきてあげてーっ!」
自分で持ってくればいいのに、容赦なく老人をこき使う母。絶対いい死にかた出来ないわ、この人。
そうして、待つこと数分。お爺ちゃんが、ヒーヒー言いながら人が入れそうな大きな宝箱を引っ張ってきた。
「ほら。この中に入ってるわよ」
「ふーん」
どんな装備なのかと宝箱を開けて覗き込み、そして閉じる。
「どうしたの? 気に入らなかった?」
「気に入るわけないでしょ。なんなのよ、あれ」
指差す宝箱に入っていた装備は、斧とマスクとマントとビキニパンツ。あんなの、装備して旅に出たら変質者呼ばわりされるわよ。
「お父さんと、お揃いの装備を変質者とか酷い子ね」
「酷いのは、お父さんの格好じゃない。って言うか、お父さんに渡してよ。そういう装備」
「渡したわよ。お父さんには、勇者の斧と勇者のマスクと勇者のマントと勇者のパンツ。あんたには、王者の斧と王者のマスクと王者のマントと王者のパンツよ。あっ! もしかして、光の斧と光のマスクと光のマントと光のパンツの方が良かった?」
「よくないわよ! いいわよ。もう、王様に貰ったお小遣いで棍棒でも買うから」
「待ちなさい!」
急に、大きな声を出した母に驚く。
「なによ?」
「そのお金、家に入れなさい」
「いやよ!」
◆
王様に貰ったお小遣いで装備を整えることにしたわけだけど、素人の私が一人で選ぶより誰かに相談したほうがいいかもしれない。
で、誰に相談するのかといえば母は論外なわけで、ルイーダの酒場で仲間を集めてすればいいのだと思いついた。
「それで、どんな人がいるんですか」
酒場の主人らしき、柄の悪い酔っ払いの女性のルイーダさんに聞いてみたら、名前と職業を書いた名簿をくれた。この中から選べってことらしい。便利なものね。
とりあえず上から見ていって、おや? と思う。
「ねえ、ルイーダさん。この名簿に乗ってるダイって人なんだけど……」
「なんだ?」
「職業の所に勇者って書いてあるんだけど」
「魔王退治のパーティの候補者に勇者がいると、何か問題でもあるのか?」
えーと、そう言われると無いような気がしてくるわね。
他は、どんな人が……。
「ルイーダさん」
「なんだ?」
「この、ポップって人の職業の大魔道士ってなんなんです?」
「大魔道士は大魔道士だろ」
えーと。
「じゃあ、こっちの魔剣戦士は……」
「魔剣戦士だな」
「ホイミの使える武闘家は?」
「僧侶から転職したんだろ。そんなことも分からんのか?」
転職って……。
いやまあ、獣王とか魔影参謀とか魔軍司令とかの謎の職業に比べたらって、ええぇぇ!?
「何を吹いている?」
「こ、こ、こ、この大魔王バーンって何者!?」
「職業、大魔王のバーンだな。それがどうした?」
どうしたもこうしたも、大魔王って言うからには、実は魔王バラモスの上にいる黒幕とか、そんな身分の魔族だったりするんじゃないの?
「いいじゃないか。そんな大物がいればバラモス退治も楽になるぞ」
心を、読まないでください!
でも、いい考えかもしれないわね。
どうせ行き倒れる可能性の方が高い旅なんだし、後ろから刺される心配くらい軽いものよね。
「じゃあ、大魔王のバーンと勇者のダイと大魔道士のポップと武闘家の……」
「定員は四人までだよ」
「……そこをなんとか」
「ならんな。私も、王様に睨まれるのは面倒だ」
面倒って程度のレベルなのね。
うーん。つまり四人以内で最強のメンバーを集めないといけないのか。
「ステータスの載った書類もあるよ」
また心を読むし。でも、ありがとう。
かくして翌日には、三時間ほどかけて私の選んだ最強のメンバーが、魔王バラモスを倒す旅に出ることとなるのだった。
◆
「いい天気だわ」
青く澄んだ空を見上げながら、私は小さく呟く。
お城で王様に魔王退治を命じられてから一年。私は今日で17歳になった。
その一年で、世界は平和になった。
世界を震撼させた魔王バラモスは、とうの昔に倒されている。
私が勇者パーティに選んだ精鋭の手によって。
勇者ダイ、竜騎将バラン、大魔王バーン(老)、大魔王バーン(若)。
それが私の選んだメンバー。
定員が四人までなら、私が抜ければ良いというコペルニクス的発想で選び出した最強の四人は、バラモスの後に存在が確認された大魔王ゾーマをも見事に倒してくれたはずである。
そして、方法はともかく世界を救うという使命は果たされたのだから、誰に文句を言われる筋合いもなく私の今後の人生は安泰であるはずだ。
「ねえ。金持ちのヒヒジジイが、救世の勇者を嫁にもらいたいって言ってきてるんだけど、結婚する気はない?」
この母さえいなければ……。
了