[とある殺人貴-the dark six-(とある魔術の禁書目録×月姫)]
8月初頭
土御門はイギリス聖教からとある指令を受けた。
「やれやれ、お偉いさんは安全地帯から保身活動か。」
今更ながらの事だが、思わずぼやいてしまう。
こっちは今までインデックスと上条当麻の一件の裏方処理に追われて、先日漸く仕事が終わったばかりだというのにだ。
『学園都市に席を置く“超能力者“第6位がローマ聖教から狙われているため、護衛に着け』
「第6位か…」
人口230万人、その殆どが学生である科学と超能力の最大都市。
レベル5はその中でも最高の頭脳と最強の能力を持った化け物供。
その6位を何故護衛する必要があるのだろうか?
第1位.一方通行
第2位.未現物質
この2人は化け物の頂点。もはや勝てる奴などいないに等しい。
第3位.超電磁砲
第4位.原子崩し
第5位.心理掌握
第7位.原石
確かに、今までこの街で掴んだ情報はここまでだ。
第6位は能力どころか名前すら知らない。
「仕方がないか。アレイスターも学園都市の超能力者が狙われているとなれば、情報を出さざるをえないからな。」
気は進まないが、またあいつのところに出向くとしよう。
そう考えながら炎天下の街を歩く。しかし、いくらアロハシャツ1枚でも、この気温は暑すぎる。
そう思い、土御門は喉を潤すため近場のコンビニへ足を向ける。
時刻は午前11時を過ぎたところだが、辺りには人気は無く、まるで人払いの結界が敷いてあるようだ。
いや、実際は注意深く観察すれば人はいる。ファミレスのガラス窓の向こうには学生たちは寛いだ様子を見せている。
魔術に頼らずともこの空間は結界だ。内界と外界でこれほどの差がある。
そんな中誰かが言った。
溺れた魚の様だと。
漸くコンビニに入ると、ドリンクコーナーへと向かう。
ペットボトルのお茶を一つ取り、そのままレジにて会計を済ませると、ちょうど隣のレジにいた学生に眼が行った。
今時地味な黒髪に黒淵眼鏡をかけた、特に特徴がなさそうな少年。 年齢や身長、体つきはカミヤンとほぼ同じ程度。
本当にそれだけなら、土御門はその人物を見逃していただろう。特に気にする場面でもない。
しかし土御門は少年が持つ眼鏡に反応し、同時に戦慄を覚えた。
(な!?魔眼殺しだと!?)
彼がかける眼鏡は恐らく最上級の魔術師が作ったのだろう、精巧な偽装に最上級ともいえる礼装処理が施されていた。
その一瞬出来た意識の空白。
いつのも土御門なら気が付いたであろう一瞬の時間に。
大型トラックが店内へと突っ込んできた。
「――――ちィッ!!」
ガチリ、と意識を日常の高校生から、"いつもの非日常"に切り替える。
防御は間に合わないと一瞬で結論付け、ガラスが吹き飛ぶ真横に身を投げ出す。
そこでふと、先ほど見かけた黒ぶち眼鏡の少年の姿が目に留まる。
「おい!何つっ立ってやがるっ!!」
思わず叫んでしまう。突き進むトラックは、今にも少年を押し潰しかねない速度で店内へと侵入してきているのに。
少年が緩慢な態度で眼鏡を外す
(後にバンクデータを見て知った)
覗いた瞳はレンズ越しの黒から、蒼へ
(通常の彼はレベル3の透視系能力者)
直視するのは直死の魔眼
(眼鏡を外した彼はレベル5の第6位)
第6位.直死の魔眼(バロール)、殺人貴
いつの間にか突き出されたナイフが、トラックに突き刺さると同時に音もなく崩れて行く。
運転していたのは強盗目的のチンピラども。
大方、ATMでも強奪しようとたくらんでいたのだろう。
そんな中、犯人の一人が定員の女性を人質にとりだした。
余程気が動転しているのだろう。そんなモノ何の役にも立たないというのに。
蒼い瞳の少年が大きく跳び天井を走り出す。
それはまるで、重力操作の能力者を思わせる動作で―――否、あれはまるで蜘蛛の動きだ、可能と出来るのなら4足獣のみだろう、人間には不可能な動きだ。
それを可能とする異常。
一瞬で犯人の背後に回りナイフを一閃。
犯人の上半身と下半身――――だけではなく全身が17の肉塊へと変わる。
いつそれだけ振るったのか分からなかった。
ただそれを実際に行った少年の異常。
小さなナイフだけで解体しつくした異常。
他の犯人がその光景を見て、一斉に逃げ出していく。
ただ血だまりの中の少年を見て、唐突に理解した。
「これが、モノを殺すということだ。」
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思いつきで書いてみました。
続きません。