それは、赤ん坊の頃の記憶
父親がいて、一緒にいる母親が笑っている暖かな記憶
父親や母親の友人達と一緒に、笑いあい喜び合う暖かな記憶
自分を空高くへと放り投げる筋肉がぶっ飛ばされる光景に、あぁこれは夢なのだと気づいた
「…やっぱり、あの人がお父さんなんだろうか」
夢に出てくる『父さんらしき人』はいつも衝撃的で、その拳ひとつでで海を割り山を割り空も割る
そんな姿にあこがれた僕は、お姉ちゃんに渡された杖を鈍器として振り回し鍛錬を行っていた
そう、いつか僕もあんなムキムキマンになるために!
「ネギ・インパクトー!! 」
突然村へと襲い掛かる悪魔達に、怒りと恐怖から自然と口から出てきた言葉
そして何度も練習した、夢に出てきた『父さん』の真似
僕の拳は『父さん』とは比べ物にならないほど弱かったけれど、何体かの悪魔達を吹き飛ばすことは出来た
なら、僕は負けない! 負けるはずが無い! 僕はあんなにも強い『お父さん』の息子なんだから!
「お前、ネギか? 」
目の前にいる、あれだけいた悪魔達をあっさりとやっつけてしまった人
その人は夢にも出てきた人に似ていて、これだけ強いのだからやっぱり『お父さん』の仲間の人なのかも知れない!
「えっと、お父さんの知り合いの人ですか? 」
「は? 」
「僕のお父さんは、むきむきな、インパクトーな人です」
「むきむきいんぱくとー? …ってマジか!? 」
『お父さん』の知り合いの人は、何故か頭を抱えながらぶつぶつと何かを呟いています
魔法の呪文かもしれません
【アリカがジャックと浮気とかありえねぇだろ!? 】
【つーか何処からどう見ても俺の子なのに何でだ!? 】
【村の奴等は俺の事をネギにどう説明してるんだ!? 】
その後、何故か持っていた杖を僕に渡した後に姿を消してしまいました
結局お礼もちゃんといえなかったけど、あの人は誰だったんだろう?
※この後ナギさんの勘違いと嫉妬で魔法世界がヤバイ