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No.22577の一覧
[0] 【習作】ヴァルキュリアなオリ主【VP×ネギま!】[天子](2010/10/25 18:00)
[1] プロローグ№2[天子](2010/10/17 20:36)
[2] プロローグ№3[天子](2010/10/25 18:03)
[3] プロローグ№4[天子](2010/10/18 18:40)
[4] プロローグ№5[天子](2010/10/19 19:40)
[5] プロローグ№6[天子](2010/10/25 18:09)
[6] プロローグ№7[天子](2010/10/21 18:41)
[7] プロローグラスト[天子](2010/10/22 17:36)
[8] №1「不死者の女王」[天子](2010/10/25 17:58)
[9] №2「広範囲凍結殲滅呪文」[天子](2010/10/25 19:33)
[10] 番外 エヴァ[天子](2010/10/25 19:35)
[11] №3「憑依」[天子](2010/10/30 20:38)
[12] №4「親馬鹿」[天子](2010/10/30 20:41)
[14] №5「昨日の終わりは何時なのか」 編集再投稿[天子](2010/11/01 00:32)
[15] №6「邂逅」[天子](2010/11/03 12:48)
[16] №7「参戦」[天子](2010/11/06 18:07)
[17] №8「将軍」[天子](2010/11/08 23:27)
[18] №9「日頃、感じる事」[天子](2010/11/11 18:22)
[19] №10「姫」[天子](2010/11/14 18:03)
[20] №11「孤児、意地、師事、誇示」[天子](2010/11/16 18:03)
[21] №12「疑惑」[天子](2010/11/19 22:01)
[22] №13「考察」[天子](2010/11/23 12:12)
[23] №14「準備」[天子](2010/11/25 19:25)
[24] №15「召喚魔」[天子](2010/11/28 18:00)
[25] №16「手加減」[天子](2010/12/02 19:27)
[26] №17「離別」[天子](2010/12/05 19:34)
[27] №18「高慢な神、優しい人」[天子](2010/12/18 18:47)
[28] №19「不完全なる世界」[天子](2010/12/11 14:12)
[29] №20「終わり、始まり。」[天子](2010/12/15 17:55)
[30] №21「長居」[天子](2010/12/19 22:24)
[31] 番外 アリカ[天子](2010/12/22 21:11)
[32] №22「凶兆」[天子](2010/12/28 21:03)
[33] №23「問題」[天子](2011/01/05 20:44)
[34] 番外 ナギ[天子](2011/01/12 02:29)
[35] №24「イト」[天子](2011/01/19 20:21)
[36] №25「白駒過隙」[天子](2011/01/28 00:29)
[37] №26「馬鹿な選択」[天子](2011/02/05 02:16)
[38] 番外 エヴァ2[天子](2011/02/17 01:24)
[39] №27「アナタの青写真」[天子](2011/02/27 02:04)
[40] №28「こたえて」[天子](2011/03/14 00:28)
[41] №29「色々」[天子](2011/03/26 21:05)
[42] №30「勘違い」[天子](2011/04/10 18:53)
[43] №31「魂」[天子](2011/04/27 03:25)
[44] №32「蛇足」[天子](2011/05/08 02:53)
[45] №33「可知」[天子](2011/09/21 21:57)
[46] 番外 タカミチ[天子](2011/10/24 03:26)
[47] №34「幻日」 序奏[天子](2011/11/30 22:25)
[48] №35「現実」 奏功[天子](2012/02/04 16:09)
[49] №36「訪れ」[天子](2012/06/16 02:20)
[50] №37「理想鏡」 [天子](2012/11/24 01:50)
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[22577] 番外 ナギ
Name: 天子◆8cbc9fac ID:ddb9d17b 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/01/12 02:29


番外 ナギ




「なんだよまだ食べなかったのかい?女王様?…ったく死なれると困るんだがなー。

庶民のお味はお口に合わねえってか?へ…しかし今のあんたにゃお似合いだな

なんせあんたはあの戦争を引き起こした張本人だろ?あんたに味方する人間なんてこの世にゃいねぇ。

全く…いい気味だよ。」


「……。」

「あっこれは議員こんな辺境にわざわざ…。」

「うむ、ご苦労だね下がりなさい。」

「し、しかし!」

「大丈夫だ話は通してある。ここはもういい、後で連絡する。

………。

やれやれ、優秀すぎる兵士というのも考え物ですな。

貴女もそうは思いませんか?…おや?これはこれは…見るに耐えないみずぼらしい姿ですね。

最古の王家の末裔にこのような仕打ち、真に心が痛みます。」

「心にも無い事を…。」

「フフ、刑の執行は十日後と決まりました。

その前に今一度お尋ねしましょう。

貴女が戦争終結最後の日に目撃したあの者…アンジェラ・アルトリアの行方。

それを貴女は知っているはずだ。」

「……。」

「言うのです!!

これは世界を滅びから救う為でもあり、貴女の最愛の国をお救いする為でもあるのですぞ!?」

「……。」

「フン、使えぬ女だ…。

いや失礼これは言い過ぎました。

貴女は十日後の死によって充分に世の中に役立つことになるのでしたな

そう――世界平和の礎として。」









シルチス亜大陸 紛争地域




「う……。」

「もう大丈夫だ、すぐに治療してやる。」

「アリガトウ、立派な魔法使い…ナギ…。」

「おう、もう大丈夫だぜ。よっしゃアン治療頼む…って、やべぇまた癖で…。」

「…ナギ、アンが居なくなってもう二年だぞ?それにアンはもう…。」

「生きてるさ…簡単に死ぬようなタマじゃねえよ、あいつは。」

「ナギ…。」

「ナギ!詠春さん!」

「どうした?タカミチくん。」

「クルトから連絡が!アリカ様の事です!」









「アリカ様の処刑が十日後に行なわれる!?それは本当かクルト君!」

「は、はい。アリカ様は今でも“私はこの世界を平和にすると”

濡れ衣を着せられた今も、この思いに嘘はないはずです。

本当は女王として紛争を食い止めたいと考えていたのでしょう…。

しかし、それは叶いませんでした。

それでも我が身を犠牲にして、戦争の被害に合った者達の心を救済するなら…

それしか方法がないのなら、已むを得まいと。」

「アリカ様…。」

「なるほど、あの馬鹿姫らしい台詞だな。」

「なるほどって!救出に行かないつもりですか!ナギ!!」

「クルト!そんなこと―」

「俺は今まで多くの人間の運命を変えてきた。

そうして助けたヒトや倒したヒトが今の俺の一因になってやがる。その意志に関係なくな。

そして俺は曲り形にも世界を変えた、救ったんだ。

…だったら俺は俺の思う通りに動く。きっとその先に…。」

「本当にその先に希望があるのですか!?アリカ様は今、希望を見失いかけているのですよ?

元老院の老害共の不正を明かす訳でもなく、裏切られた国で真実を訴える事もせず、

只、謂れなき罪を一身に背負い、この世界の安定の為に生贄になろうとしているのですよ!?

貴方が行かなければ誰が彼女の名誉を守るのです!!

好きな女一人も救えず!何が英雄ですか!!

今こそ彼女を救い、ヤツラを告発し、真実を白日の元に…

ナギッ!!聞いているのですか!!」

「……。」

「くッ見損ないましたよ、ナギ…。

貴方のその力と名声があればもっと大きく世界に関れるはずです!

それを何故こんな地味な活動に憂き身を窶すのです!!それで世界を変えられるというのですか!!」

「だけどクルト…今日も又一人の命を救えたよ。」



本当にクルトはアリカの事となると目の色変えやがる…人の事はいえねぇがあいつのどこが好きなんだ?

…でもよ、クルトの言う通りなんだろうな。

誰もがクルトの言っている事が正論だとわかるし、選挙でも多数決でもすりゃ皆クルトに従うだろう。

でも俺は…


“ナギ、貴方ならできる。

私の言ったように貴方は“世界最強の魔法使い”に成れた。

その強さを、貴方の強さを、それさえ忘れなければいい。神様はね、強い者の味方なのよ。”




アン、俺は本当に強いのか?強くなったのか?

もし神ってモンが強い奴の味方だってんなら、

俺が弱いから、神様は俺達に味方してくれねぇのかよ?

…らしくねぇ、ウジウジ悩むなんてほんと俺らしくねぇ。

なぁアン、アンなら今の俺を見てなんて言うんだ?

大方、馬鹿とか弱くなったとかか?まあいいさ、この際なんでも言ってくれ。

だからよ、

いい加減顔見せやがれ、もうあっちこっち探すのも飽きたぜ。

















十日後―


















「魔獣蠢くケルベラス渓谷。

魔法を一切使えぬその谷底は魔法使いにとってまさに“死の谷”

古き残虐な処刑法ですが…この残虐さをもってようやく、

魔法世界全土の民も溜飲を下げることとなりましょう。」

「歩け!」

「…触れるな下郎、言われずとも歩く。」



(アリカ様!…くッ、ナギ達は本当にアリカ様を見捨てるのか!?

こうなったら僕だけでも…。)






(バーカ、お子様がいきがってんじゃねーぞクルト。俺達に任せな。)

(え?この声は…ラカンさん?って!そんな事よりアリカ様が!

え?あれ?…いない?

まさか…もう……落ち…た?)





「クックッ…王家の血肉はさぞや美味でしょうな。

この処刑方法の長所は復活がほぼ不可能な点です。

魔法の使えぬ谷底で幾百の肉片となって魔獣の腹に収まってしまえば…

たとえ吸血鬼の真祖といえど復活は困難でしょう。」


「ア、アリカ様ッ…。」

「よろし…「よおぉーし!こんなもんだろ!」…い?」

「録れたか?ちゃーんと録れたか?よおーしご苦労ッ!!

お~いおっさん、これ生中継とかじゃねえよな?さすがに生だとマズイんだけどよ。」

「無礼者!何者だ貴様!名を――」

「おい、おっさん…

録画はここで終わりだ、で今からここで起きた事は“なかった”事になる

…わかるな?」

「きっ、貴様は!」

「ぬん!」

「せ、千の刃の…ジャ…ジャックラカンーーーーッ!?」

「俺だけじゃないぜ?自分の周りをよく見てみな、おっさん。」

「なッ!あれは…青山…詠春ッ!

それにアルビレオ・イマ!ガトウまで!

紅き翼が…馬鹿なっ!では谷底の女王は!」

「あの馬鹿が此処にいねぇんだ、見当ぐらい付いてんだろ?

今頃二人でイチャイチャしてんじゃねぇか?」

「バカな!いかな千の呪文の男とはいえあの谷底から生きては…!」

「それはどうかな?魔力も気も使えねぇくらいで奴が死ぬかよ。」

「ぐ…捕らえよ反逆者だ!!谷底の二人も逃がすな!!」

「おおっとやるのか?いいのかよ“その程度の戦力で”。」

「フフ…その程度の戦力だと?愚か者が…このイベントの警備はここに見えるだけではない。

周囲数十キロ二個艦隊と三千名の精鋭部隊が包囲している。いくら貴様等でもこれを…」

「だから、“その程度の戦力で”いいのかって聞いてんだよ。」

「な、何!?」


















「え?ナギ?何故主が天国に?アレ?」

「バーカ、アンタを助けに来たんだよ。」

「え?何故じゃ?な、何故主がここにおる?」

(何故ってわかってねぇのかよ…この馬鹿姫は

…おっ始まったか…しっかし派手にやりやがって。)

後方で爆発音と共に兵士の悲鳴が聞こえてくる。

このイベントの為にメガロのお偉方は精鋭を集めに集めたらしいが、今のあいつ等に敵うはずがねえ。

アリカを逮捕した事や証拠のでっち上げ、それについての虚偽や不正、

更に今までやってきた裏でのあくどい悪事、全部まとめて返してやる!ってすげぇ意気込みだったからな。

あの詠春まで乗り気だったんだぜ、それはもうあいつ等を止めるストッパーがいねえってことだろ?

それなら、たかが二個艦隊と三千の兵士ぐらいで暴れ続けるあいつ等が止まるかよ。

…ちぇ、鬱憤が溜まっているのはお前等だけじゃねぇってのによ。

「答えよ!何故じゃ!いくら主でも自殺行為じゃ!魔法の使えぬこの場では主も普通人じゃろ!!

こやつ等の攻撃を一撃でもかすれば即死は免れぬ!!無謀にも程がある!何を考えてるトリ頭!!」

「へっ。」

(変わらねぇな、二年も無罪の罪で監獄の中に入っていたってのに、本当に変わらねぇ。)

「確かにな、これまでで一番やべえ状況かも、だッ。こんなやべぇのは石化されかけた時くらいだぜ。

けどクリアの景品がアンタだってんなら、このスリルも悪かねぇぜ!」

「な、何を言うておる!妾は何故かと聞いておるのじゃ!

何故ここまでの危険を冒して妾を助ける!?無意味な行為じゃ!」

「ハッ!忘れたのかよ!言っただろ!?…どこへだって連れてってやるってな!!」

「り、理由になっておらぬ!妾は最早そなたの主君であるどころか王族でもない!!

かの戦争を引き起こした大罪人“災厄の女王”じゃ!!妾の救出に意味はない!」

あれ~?今のはバシッ!と決まったと思ったんだけど?あれか?

…まさか気づいてないのか?俺的にはプロポーズ的な意味だったんだけど?

…じゃあ二年前に言ったのも、もしかして姫さん気づいてない?

まじかよ…なんか俺馬鹿みてぇじゃねぇか!まさか善意で助けに来たとでも思ってんのかよ!!

いや百パー善意なんだけどよ?

こう、なんていうか、ほらあれだ、俺はアリカを好きな訳で、アリカも多分俺の事好きで、

でも正面きって言うのはなんか恥ずい訳で……。

遠まわしに言った心算だったんだが…伝わってないのかよ!どうするどうするどう…

あぁぁぁぁ面倒くせぇえ!!!

「妾の価値は―」

まだ何か言いやがるか!この馬鹿姫は!

「まっ!」

…“まっ”ってなんだよ、まあ話してる最中、急に頭突きすれば変な声もでらぁ。

しかしこの姫は…なんで頭突きされた?って顔してんじゃねぇか。

価値がないだと?この姫さんは俺がアンタの女王としての価値に目が眩んで救いに来たと思ってやがる。

そんなもんで命掛ける馬鹿がいるかよ!

「相変わらずゴチャゴチャうっせえ~。」

これは重傷だぜ…本当に言わなきゃわかんねぇようだな。

…ちっ!一度っ切りだ!一度しか言わねえから今度はしっかり、その耳かっぽじってよく聞けよ!!

「あーもー言わなきゃわかんねぇかな!この姫さんは!理由だぁ!?

そんなもん

俺が!

アンタを!

好きだからに決まってんだろぉぉが!!」







「は?」






―杖よ!





「っておいおい、まさか本当に気づいてなかったのかよ。

その顔、予想もしてなかったって顔だな?

…傷つくぜぇ、ったく何が世界を救えだ、何が紛争地域を救えだ、何が“救国の女王”だってんだよ。」


妾の代わりに世界を救ってくれだと?その為の道は示しただと?

そんなもんがアンタの最後の言葉でいいのかよ?

ふざけんじゃねぇ。


「好きな女一人も救えねぇ男に、世界とか救える訳ねぇだろ。」

目ぇ完全に見開いてやがる、そんなに驚く事か?

今度こそ理解してくれたんだよな?

…俺だって恥ずかったんだ、聞かせてもらうぜ?

「で?アンタはどうだ?」

「な、何がじゃ!」

「アンタは俺の事どう思ってんだ?」

「なっなぜ妾が言わねばならぬ!?」

「俺が言ったんだからフツー言うだろ」

「そ…そうなのか?」

「あぁそれが礼儀だ、一般常識だぜ?」

「そ、そうかしかし妾は…王族であるが故、元々妾に私心は許されぬ。

それどころか今の妾は大罪人“災厄の魔女”

戦争によって苦界に落ちた民達、ひいてはこの世界に住む全ての―

はっ、きゅ!」

ま~た変な方向に話が進みそうだったからな、頭突きで止めといたぜ、ナイス俺!

…まったく、俺が聞きたいのはそんな事じゃねぇんだよ!

「何をするのじゃ!」

「アンタもう王族じゃねぇってさっき自分で言ったばっかだろ?

それに災厄の女王も今さっき死んだ、アンタは自由だもうアンタを縛るものは何一つ無い。

今のアンタは他の何者でもないただのアリカ、ただの一人の人間だ。」

「一人の、人間。」

「そ、そーゆー“アリカさん”としてはどう思ってるんだって聞いてんだ。」

「な…う…。

そういう意味でなら、き、……きらいと言う……わけでは、ない。」

ボソボソ言ってちゃ何話してるかわからねぇよ、まぁホントは聞こえてるけど。

でも俺はあんだけ大声で叫んだのに、それはねぇだろ?アリカさん?

「あーー?何スカ?聞こえねぇっす。」

「…嫌いではない。」

「んぁん?声小さいス。」

あれ?アリカの顔がどんどん険しくなって行く…やべっ言い過ぎたか?

うおッ!眉間に皺とこめかみに血管が浮かび上がるのコンボは平手打ちが来る前兆!マズイッ!!

…ってあれ?

「あぁそうじゃ!

この二年間一日たりとも主の事を考えぬ日はなかったわ!!

それがどうした!悪いか!?」

なんだ、やっと素直になったのか…ったく頑固すぎんだろ。

でもまぁ…

「いや、悪かねぇ。」





そう言って俺はアリカを強引に抱き寄せ、キスをした。





ああ悪かねぇ、これが二年間の成果だってんなら、悪いはずがねぇ。

だが最善でもねぇ…本当はオスティアで…アリカの国でアリカのやりたい事をやらしてやりたかった。

それはもう無理だ…それでも

「うっ…ふっ…」

「アリカ?」

誰にも聞かれないように、それこそ俺にも聞かれないように声を潜めた、小さな嗚咽が聞こえる。

目を開けてみると、今まで見たことのないアリカがそこにいた。






―紅き翼は暇なのか?ならば買い物がしたいのじゃ、お主付き合え―


最初は、いや最初から何考えてんのか、全然わかんねぇ奴だった。


―なんじゃ?心配しておるのか?―


鉄面皮がそのまま歩いてるみたく、まったく感情を表に出さなくて、


―ならば我等が世界を救おう、我が騎士ナギよ我が盾となり剣となれ―


いつも無表情で、尊大な態度を崩さなかったアリカが、

…こんなにも、か弱くなっちまうんだからよ。







目を瞑り、誰にも聞かれないように、小さく静かに泣くアリカに、

俺は声を掛けて、

ギュっと抱きしめて、ナデナデして、

調子に乗って平手打ち、いやグーでアッパーされるしか他に、アリカを慰めてやる方法が思い浮かばなかった。















「なぁ…アリカ。」

「うむ?」

あーっさっきの勢いに任せた告白と違って、今度はマジだからな…

正直、今言うのも早ぇと思う、はっきり言って勇み足も甚だしい。

でも、

決めたんだ、だから俺は、俺の思うように動く。

…それでいいんだよな?アン。





「結婚すっか。」





「…アンタのやりたいこと、

まだ残る世界の平和ってやつも全部一緒に成し遂げてやるよ。

なっ!」

「……はいっ」

へっ、さっきの涙はどこへやら、もう笑ってやがる。

そういえば、アリカのこんな笑顔を見たのも初めてかもしんねぇな。

本当、今日はアリカの色々な表情七変化を楽しめたぜ。

まっ!これからも、色んな表情を見させてもらう予定だがな!

失った二年間はもう戻らねぇが、今から作る時間は、失った時間を懐かしむ余裕なんて感じさせねぇ!

それぐらい濃縮した時間を過ごすって事だ!



「さ、帰ろうぜアリカ。」

「ふ、あの掘っ立て小屋か?」

「違ぇよ、とりあえず今から旧世界の詠春家にだな…」
































「残念ながら…それはできないよ千の呪文の男。」






























「え?ナギ…?」









俺の腹から生えてる石の塊、おまけに、強力な魔力が付加されていやがる。

ぐっ!まずった…。この石槍は、まさか…


「久しぶりだね。千の呪文の男。

本当はアリカ女王の事なんて興味なかったんだけど、

ちょうどいい所に君が来たから、挨拶しようと思ってね。

…でも少し見ない内に弱くなったんじゃないか?

まぁ些細な事か、それより…

君と一緒に連れて行かれて子供でもできると困るんだよ。

“災厄の女王”の子供なんてね。」


「かはっ…アーウェルンクス…か。」


「もう遅いよ、その石化はレジストできないだろう?油断したね。千の呪文の男。」






…弱くなったか、ちっ最後の最後で…

くそっ!視界が狭まってきやがった!

せめてアリカだけでも…

「心配しなくていいよ、時期が来れば君の石化も解いてあげるさ。

寂しいだろうからアリカ女王も石化してあげる…

と言いたい所だけど、そうは行かないんだ、すまないね。」

ちくしょう…なんだってこれからって所でこんな…。


それもこれも全部、俺が弱い所為なのかよ!


何が神だ!何が強い者の味方だ!





くそっ…。















幻覚か…























一目会いたいと思ってた奴がお出迎えかよ…。









アン、お前やっぱり死んだのか?




天使の羽なんて、お前にゃ似合わねぇよ。






























あとがき





なげぇ、寝ぬい



その為誤字脱字あるかも知れません、

見つけた方はすいませんがご報告ください。


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