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No.22542の一覧
[0] 【ネタ】エロゲ主人公から全力で逃げる少女【オリジナルギャルゲ・ヒロイン憑依】[りゅーじゅ](2010/10/24 00:37)
[2] オタク女子高生、降臨[りゅーじゅ](2010/10/16 01:24)
[3] エロゲヒロインは処女の法則[りゅーじゅ](2010/10/16 01:26)
[4] メインヒロイン=一番人気という正統[りゅーじゅ](2010/10/16 01:32)
[5] 女にモテたい?ならば前髪を伸ばせ[りゅーじゅ](2010/10/24 00:43)
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[22542] メインヒロイン=一番人気という正統
Name: りゅーじゅ◆fe68845d ID:e704b190 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/10/16 01:32



わたしがこっちに憑依してきてから、もう二週間ほどが経った。
わたしの通う、そしてゲームの舞台となる『逢坂山学園』は、家から歩いて三十分ほど行った丘の中腹にある。
梅雨入り前の六月の太陽が燦々と照りつける朝の通学路を、わたしは一人微妙に憂鬱な気配を漂わせながら歩いていた。


家を出てから十五分ほど歩くと、住宅街を抜けて交通量の多い国道に出る。
このあたりから電車通学の生徒が合流するので、道を歩く人に逢坂山学園生が一気に増えてくる。
ウチの学園はギャルゲーの宿命とでもいうか、制服が妙にオシャレでそれは夏服も例外ではない。
以前の学校の夏服なんて、校章を象ったピンを胸ポケットに付けただけの単なるワイシャツだったというのに、
こっちでは白地の襟にミントグリーンのラインが入って、胸元にはチェック柄のリボンというセーラー。
ちなみに学年ごとに色が違ったりする。
これだけなら、わたしもオシャレな制服は嬉しいし別にそれほど問題じゃないんだけど…………



わたしの十メートルほど先を、学園の女子生徒が三人ほど連れ立って歩いている。
かわいらしい背中の襟が歩くのに合わせてピョコピョコ揺れるのを眺めつつ、視線をゆっくり下げていく。
そして、わたしは一つ大きなため息をついた。



ギャルゲー名物『異様に丈の短いスカート』



ていうか膝上二〇センチが標準とか、いくら何でも短すぎでしょ!?
生徒によっちゃマイクロミニってレベルまで短い子がいるわよ!?
下手したら駅の階段でふっと視線を上げたらパンチラどころじゃなくパンモロじゃない!
『以前』は生徒指導主事やってたうちのお父さんだったら、憤慨で顔を真っ赤にしてぶっ倒れるレベルよ!?

最初はさすがに恥ずかしかったので、とある3位のビリビリ中学生に倣い短パンを履いて行こうとしたけど、
お母さんはともかくお父さんまでが心底不思議そうな顔を向けてきたので諦めた。
そっか、この世界ではコレが普通なのね…………


というわけで、わたしも恥ずかしい気持ちを必死に我慢しつつ、可愛いセーラーにやたら短いスカートで今日も学校へ行く。
一応ヒロインだけあってスタイルはかなりいいので(元のわたしは微妙に足が太いのに悩んでいた。理不尽!)
劣等感を感じることがないのだけは、唯一救いといっていいんだろうか。







そんな朝からローテンション全開で、わたしは教室の扉をくぐった。
わたしの姿を見つけて、何人かの子が挨拶をくれる。
それに返事を返しながら、わたしは自分の机に座って本日何度目かの大きなため息を付いた。


(もう6月になっちゃった…………主人公がやって来る…………)


『8×4 Beats!』のゲーム期間は、主人公が転校してくる6月から、最終目標となるバンドコンテストのある12月までの約半年。
ということは、もういつ主人公がやって来ても不思議じゃない。
文化祭とか夏休みとか、そういった大枠でのイベントはしっかり覚えてるけど、細かい日付まではさすがに分からない。
つまり今すぐにでも、担任が『今日は転校生を紹介するっ…………!』と唐突にクラスの戸を開け放ち、言い放つ可能性もある、ということ…………!
まあ冗談はさておき、わたしは顔を上げてクラスを見渡した。
予鈴五分前の教室は、もう半分以上の生徒が揃っていて思い思いに雑談に興じている。
そんな生徒たちの中、わたしの眼はひとりの女子生徒を捉えていた。
クラスメイト数人と仲良く談笑する姿は、一見どこにでもいる女子高生に見える。
しかしながら気の強そうなキリッと吊り上った眼、どことなく異国の血を感じさせる青みがかった瞳など、
ぶっちゃけクラスどころか校内屈指と評していい美貌を持つ少女。


(相馬実耶。『8×4 Beats!』のメインヒロイン…………)


ギターを捨てた主人公の情熱を再び燃え上がらせるほどの歌唱力の持ち主で、ゲーム中で結成されるバンドのボーカルを務める。
その後もボーカルというバンドの中心的位置付けのため、どのヒロインのストーリーでも絶大な存在感を示すのが彼女だ。
自分以外のルートでは時にヘタレそうになる主人公を叱咤激励し、恋に悩むヒロインの相談に乗るなど、
姉御肌な部分も持ち合わせるその姿は、まさしくメインを張るに相応しい。

相馬実耶。通称みやちゃん。担当楽器はボーカル、後半でギターボーカルも務める。バンドでの表記はMIYA。
パーソナルデータは、身長165センチ。スタイルはメインヒロインを張るに相応しいレベル。
血液型は確かAB。誕生日は文化祭当日だったはずだから、多分11月なんだろう。
ちなみにおっぱいはわたしよりも大きい。巨乳と称していいレベルだ。具体的にはナニを挟めるくらい。
真ん中分けにしたナチュラルストレートの髪をさり気なく耳に掛ける仕草が何とも色っぽい、問答無用の美少女。
それだけに彼女にアタックをかける男子生徒はかなりの数いたらしいけど、その悉くを振ったという。
よって転校して間もないのにいきなり声を掛けた主人公も、最初は凡百の男共と同じと相手にしなかったが、
彼の目的が単なる女としての自分ではなく、ボーカリストとしての相馬実耶だということを感じ、バンドに加入する。
以降は共に純粋に演奏者として高みを目指す主人公と気が合い、いくつかのイベントを経て恋人になっていく。
まさに王道シナリオだけど、それだけにファン人気は高く人気投票では僅差ながらも一位を獲得している。


そんな彼女、実は主人公からの第一印象は『綺麗な娘がいる』程度で、単なるクラスメイトでしかなかった。
そもそも主人公は目立たず普通の高校生として生きていくと、当初は考えていたから。
だからむしろ厄介ごとになりそうなレベルの美人である実耶とは、関わる気すらなかったのだ。
それがとあるきっかけで彼女の天才的な歌唱力を知って、そこから物語は動き出すわけだけど…………



実は、そのきっかけとやらを作るのに、わたしはめちゃくちゃ大きく関わっていたりする。



(いきなりストーリーの出鼻を挫くわけにも、いかないわよね…………)


わたしの目的は、主人公とヒロイン(当然わたし以外の、ね)のハッピーエンドを演出すること。
どんなストーリーにもはじまりのイベントというのはあって、ソレがなきゃそもそも物語が始まらない可能性が高い。
桃色ツンデレの使い魔が、しゃべるチート剣がなきゃ序盤のかませ犬にも勝てないように。
少女がフェレットと出会わなければ、白い魔王様にはならないように。
この世界では、相馬実耶の歌唱力を見せ付けなければ、殻に閉じこもった主人公は出てこない。
覚悟を決めて、わたしは何人かの女子生徒と談笑している相馬実耶の下に歩き出した。


「ん、四宮さん? どうしたの?」


わたしが近づいたことでこっちに気付いた相馬さんが、にっこりと微笑みかけてくる。
その瞬間、ビシッと硬直するわたし。
さすがに以前の学校ではお目にかかることの出来なかったレベルの美少女、破壊力が段違いだ。


「う、うん、ちょっと相談したいことがあるんだけど、いいかな?」

「四宮さんのお願い? いいわよ、私でできることなら」


そう言って、特に疑いもなくわたしを話の中に入れてくれる相馬さん。
また一緒に話していた子たちも、わたしが割り込んだのにそれほど気分を害している様子はない。
これはわたしが四宮めぐみに感謝していることの一つで、彼女は女子の間での信頼度がものすごく高いのだ。
四宮めぐみは、元の世界のわたしに爪の垢でも煎じて飲ませてやりたいくらいの『いい人』
某正義の味方とまではいかないけど、人が面倒くさがるような仕事も積極的に引き受け、しかも投げ出さずに最後までやり遂げる。
それが信頼につながって、彼女は校内では隠れた人気者になっていた。
これは正直すごくありがたい。
女の子は特に群れる生き物だからこそ、集団から排斥されたときの恐怖はかなりヤバイから。
ともかく、わたしは相馬さんと彼女の友達の前まで来ると、少しばかり勿体つけてから話を始めた。


「前から考えてたんだけど、クラスの女の子でカラオケとか、どうかな?
 クラス替えから二ヶ月経ってるけど、そういうことなかったから…………」

「カラオケ…………? 私はいいけど。それにしても突然ね、何かあった?」

「特に理由はないんだけど、せっかく同じクラスになったんだから、みんなともっと仲良くなりたいと思って…………」


そう言ってわたしは、恥ずかしそうにもじもじする(フリをする)
世話焼きだけど恥ずかしがり屋な性格の四宮めぐみだったら、こうするであろう仕草で。
そんなわたしを見て、相馬さんは「仕方ないわね」とばかりにクスッと笑い、周りを見渡しながら言った。


「そういうことなら、私は賛成かな。たまには大人数でカラオケも面白いかも。
 みんなはどう?」

「いいね、面白そう! 日程だけ早めに決めなくちゃね」

「私も賛成。あ、けど部活あるしな…………休日にするのか? それとも放課後?」


相馬さんが声を掛けると、周りの女の子が次々に賛同してくる。まるで相馬さんの答えが自分の答え、とでもいうように。
これはさっき少しだけ言及したけど、彼女は姉御肌でわたしとは別の意味で女子からの信頼が厚いからだ。カリスマ、っていうのかな。
そして、周りの友達が全員乗り気になったのを見て取り、相馬さんはチラッとこっちに視線を向けて、薄く笑ってみせた。
さしずめ「フォローはしておいてあげたわよ」ってところだろう。
だったら、わたしの言うことは一つだけ。


「みんなありがとう! 駅前のピノキオだったら大きいフロアがあったし、場所はそこでいいかな?
 日時はみんなの予定聞いてからってことで」

「あっ、ピノキオだったら私割引券持ってる! ちょうどいいから使っちゃおう!」


さくっと話をまとめて、クラスでカラオケっていうイベントを確定させることだけだ。
ちょうど割引券持っていた子もいたみたいだし、これでイベントの最低条件は満たせた。後は…………


(さて、彼は今の話、聞いてたかしら?)


いきなり決まったカラオケの話でわいわい盛り上がっている相馬さんとその友達からスッと視線を外して、わたしはひとりの男の子に目をやる。
短く刈った髪をワックスでツンツンに立たせて、制服のワイシャツのボタンを上から二番目まで外した、少し不良っぽい外見の少年。
相馬さんたちが話している席から1メートルほどしか離れていない席に座ってこっちをチラチラ見ていた彼は、
わたしと一瞬目が合うと、少し慌てたようにして視線をそらして宿題らしきことを始めた。
この距離だ、さっきの会話はばっちり、しっかり聞こえていただろう。だけどそれでいい。


少年の名前は、大宮泰典(おおみややすのり) 通称やっくん。
学園モノのギャルゲー・エロゲーではほぼ必須といってもいい、いわゆる主人公の友人ポジションの男子だ。


さて、ここでまたしても少し関係ない話になってくるけど、少しだけ語らせてほしい。
四宮恵が語る、エロゲ講座第2回講義の時間だ。

この友人ポジションの男子は、性格的に大きく二つに分類される。
まずは、クールな性格で『恋愛よりも友情』というスタンスをとっているタイプ。
例を挙げると、強気っ娘がいっぱい出てくるエロゲーの、イケメン子安ボイスな彼とか。
純愛と銘打っておいて共通ルート中に全ヒロインの処女を喰っちまう勇者な主人公が出演する、お嬢様エロゲの爽やか系水泳部長とか。
八月のFAに出てくる空気な同級生の男子もそんな感じだったかな。まああそこは上級生が存在感有り過ぎた。ちなみにわたしの好みは金髪の方だ。

そしてもうひとつが、いわゆる三枚目キャラタイプ。
お調子者で憎めない性格だから、たぶんNTR意識しなくていいし友人として動かしやすいっていうのが理由なんだろう。
こちらはさっきも言及した強気っ娘エロゲのフカヒレとか、エロゲじゃないけど便座カバー君とか。
どちらかというと、こっちの三枚目タイプの方がわたしがこれまでプレイしたエロゲでは多かったように感じる。

それで少し脱線しちゃったけど、大宮泰典君は、この二つを合わせたような性格をしているハイブリッドタイプだ。
時折三枚目っぽい行動をするけど、要所要所では頼りになるところを見せるって言えば、なんとなく分かってもらえると思う。
リトバスのお兄ちゃんみたいな性格かな。たださすがに彼ほどの存在感はないけど。
まあ何より重要なのは、彼は『8×4 Beats!』のストーリーにおいて、欠かすことのできないキャラである、ということ。

彼は、主人公が結成するバンドのドラマーを務め、主人公とクラスの橋渡しになる役どころなのだ。




―――『8×4 Beats!』最初の山場は、しつこいようだけど相馬実耶がその歌声を披露するというもの。
これは、さっきわたしが約束を取り付けた『クラスの女子でカラオケに行く』というイベントが基本になっている。

原作ではこのカラオケに行く日の数日前に主人公が転校してきて、彼はわたし、四宮めぐみの隣の席になる。
そこでいいんちょキャラたる四宮めぐみは、転校生の主人公が学校に、クラスに馴染めるようにと色々とお節介を焼くわけだ。
その中で彼女は、数日後にクラスの女子でカラオケに行く約束をしていたことを思い出す。
ちょうどいいとばかりに主人公を誘うけど、主人公は女子ばかりのところに行くのは居心地が悪いと辞退する。まあ当然よね。
そしてそんな時に、後の主人公の親友、大宮泰典君が颯爽と登場する。

大宮君はさっきわたしが相馬さんに話を持ちかけたとき、しっかり聞き耳を立てていた。
彼も一般的な男子生徒なので、女子と仲良く遊びたいといつも思っているし、クラス一の美人の相馬さんにも憧れている。
だけど女子だけで予定を立てているところにいきなりしゃしゃり出ていくわけにもいかず、黙っていた。
だから主人公が転校してきて、四宮めぐみがカラオケに誘っているのを見たとき、彼は降って湧いた幸運を逃すことなく、話に入ってくる。
具体的には、男子を何人か集めるから、みんなまとめて主人公の歓迎会ってことにしちまおうぜ!っと宣言するわけだ。
女の子とカラオケなんて美味しいイベント逃してなるものか!とテンション上がっている大宮君に押し切られて、主人公はしぶしぶ歓迎会への参加を決める。

―――そしてその歓迎会という名の、水面下で下心が暴れ回るカラオケで、主人公、八神英人は運命に出会う―――



…………とまあ、こんな感じでわたしが最初にやらなきゃいけないことは理解してもらえたと思う。
わたしの当面の目標は、この主人公歓迎イベントを完璧な形でプロデュースすること。
そのためには大宮君を誘導して男子を参加させなくちゃいけないし、女子にそれを認めさせなきゃいけない。
何より相馬さんがドタキャンしないように、彼女にもしっかりと釘を刺しておく必要がある。


(う~、めんどくさい~…………)


慣れない方面での頭脳作業で、わたしは少しだけユーウツになって机にダラリと上半身を投げ出した。
この露骨にやる気のない仕草は、後で知ったことだけど元の四宮めぐみだったら有り得ない行動だそうで。
友達の何人かは、それでわたしが何かとてつもない悩みでも抱えているんじゃないかとマジに心配したらしい。
だけどそんなこと知る由もないわたしは、今日も今日とて慣れない平行世界生活の疲れから、両手をだらんと前に投げ出して寝そべっていた。










「あー、みんな揃ってるな。それじゃあ今日は転校生を紹介する」


そんな、クラス担任の無慈悲な死刑宣告が耳に届くまで。




******




ヒロイン設定集



四宮恵
何の因果か、同姓同名のエロゲーのヒロインに憑依しちゃった女子高生。兄の影響でエロゲにはまっている。
基本的に兄のフィルターを通しているため、極端な地雷、鬱、鬼畜はプレイしていない。
そのためエロゲの知識は純愛系に偏っている。
性格はのんびり屋。ただし行動力はそこそこある。
また小さい頃からエレクトーンを習っているため、キーボードの腕前はかなり高い。




四宮めぐみ
『8×4 Beats!』メインヒロインのうちの一人。主人公に憑依されちゃった人。
完璧超人な兄を持ったため、自分も頑張らなきゃと行動しているうちに、いいんちょキャラが板に付いた。
ただしどれだけ頑張っても兄を超えられず、結果かなり自己評価が低い内気な少女になってしまった。
しかしながら努力は確実に力となっており、勉強に関しては元の四宮恵をはるかに上回る知識を保有している。
このため以前と比較して、四宮恵は全国模試の偏差値が一気に10近く跳ね上がった。










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