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No.22526の一覧
[0] マブラヴオルタネイティヴ『掴み取る未来』[ファントム](2013/02/19 21:25)
[1] 第1話[ファントム](2013/11/03 21:04)
[2] 第2話[ファントム](2011/08/03 13:10)
[3] 第3話[ファントム](2011/08/03 13:11)
[4] 第4話[ファントム](2011/08/03 13:12)
[5] 第5話[ファントム](2011/08/03 13:12)
[6] 第6話[ファントム](2011/08/03 13:13)
[7] 第7話[ファントム](2011/08/03 13:13)
[8] 第8話[ファントム](2011/08/03 13:13)
[9] 第9話[ファントム](2011/08/03 13:14)
[10] 第10話[ファントム](2011/08/03 13:14)
[11] 第11話[ファントム](2011/08/03 13:15)
[12] 第12話[ファントム](2011/08/03 13:15)
[13] 第13話[ファントム](2011/08/03 13:16)
[14] 第14話[ファントム](2011/08/03 13:16)
[15] 第15話[ファントム](2011/08/03 13:17)
[16] 第16話[ファントム](2011/08/03 13:17)
[17] 第17話[ファントム](2011/08/16 12:31)
[18] 第18話[ファントム](2011/08/24 03:07)
[19] 第19話[ファントム](2011/10/14 18:34)
[20] 第20話[ファントム](2011/10/17 05:08)
[21] 第21話[ファントム](2011/10/27 16:01)
[22] 第22話[ファントム](2011/11/05 17:15)
[23] 第23話[ファントム](2011/11/17 04:24)
[24] 第24話[ファントム](2011/12/20 15:17)
[25] 第25話[ファントム](2012/02/20 15:35)
[26] 第26話[ファントム](2012/04/08 23:38)
[27] 第27話[ファントム](2012/04/28 14:27)
[28] 第28話[ファントム](2012/05/25 02:23)
[29] 第29話[ファントム](2012/07/15 11:04)
[30] 第30話[ファントム](2012/08/14 23:56)
[31] 第31話[ファントム](2012/09/18 15:27)
[32] 第32話[ファントム](2012/10/21 11:24)
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[22526] 第3話
Name: ファントム◆cd09d37e ID:9ee676ec 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/08/03 13:11
????年??月??日


「北条君は、どうして自衛官になるの?」
「誰かの為に何かしたいと思ったからかな」
「バーカ、何格好つけてるんだよ。他の公務員試験軒並み落ちただけじゃないか」

せっかく格好つけたのに、ばらすんじゃない。まぁ、ミリタリーオタクとか言われないだけマシかもしれない。
しかし、今言わなくてもいいじゃないか。

「でも、受かったとしても行かないって選択肢もあるじゃない。入隊する道を選んだってだけでも凄いんじゃないかな」

頑張ってね、と彼女は笑った。
この笑顔に弱い、いつでもこんな笑顔が見れたらいいのにと考えていると、死ぬなよなと茶化すやつもいる。
進路がどうだとか賑わっていた教室もホームルームが始まる。いつもの退屈な日々。
ボーっと外を見ていると、誰かが突いてくる。
いいじゃないか、どうせいつものホームルームだろう。話は聞いている。
一度その手を振り払うが、まだしつこく突いてくる。

「北条!!寝てるのかよ!!」

振り返ると、そこには顔をカモフラージュとして迷彩色にした同期がいた。
ここは、どこだ。辺りを見渡すとどこかの林の中だった。

「あれ、ここは……」
「あれ?じゃないだろう。寝ぼけてんのか?」

しっかりしてくれよと肩を叩かれる。
教官はどこから来るのか分からないんだぞ、しっかり見張れと同期はまた林道へ視線を戻していた。
夢を見ていたのか、たったまま眠ってしまうなんて疲れているんだな。
しかし懐かしい夢を見ていた気がする。

無線機がなり、状況が終了した事を告げられる。
たった1日だったが、夜は教官に襲撃され眠れなかったんだ。
やっと終わって一安心、帰ったら風呂に浸かりたいよ。

「さぁて、帰って飯だな。早く行こうぜ」

先に集合地点に走り出す同期の後を追って、自分も駆け出す。
どんどん離されていってしまう、いつもなら自分の方が足は速くて先に行くはずなのに。

「おっ、おい!待てって!!」

呼びかけても反応が無い。一向に追いつく気配も無く胸が苦しくなり頭も痛みだす。
そして、耐え切れずに地面へと倒れてしまった。
勘弁してほしい、病気か何かだろうか。
振り返れよ、倒れてるんだぞ……。
何かが見えてくる、逃げ惑う人々、巨大なロボット、化け物、燃える街。
それを操作して戦う。また何も出来ずに逃げ出す。
目の前で、大事な人が……。

「う、うわぁぁぁ!!」

動かした身体に痛みが走る。ベッドの上で、身体を押さえる。
徐々に周りが見えてくると、どこかテントの中で同じようにベッドがいくつも並び傷病者で溢れていた。
痛みを堪えるうめき声や、嗚咽、叫び声も聞こえてくる。
まるで映画の中の野戦病院の様だ。

「気がついたんですね!先生、彼が気付きました」

赤十字の腕章を着けた兵がこちらに気付きテントを出る。
すぐに、戦闘服の上に白衣を羽織った男が近づいてくる。

「気付いたか。殆ど傷の無い状態で運ばれてきて一向に目が覚めないから何事かと思ったわ」
「ここは……」
「運がよかったな。あともう少し助けるのが遅ければ機体ごと吹き飛んでいただろに……」

死んでいた方が楽だったかもしれんぞ、そう言うと書類に何か走り書きをして傍にいた先程の兵士に渡している。

「いつまでベッドを占領している、ここを必要とするものは他にいる。異常はもう無いようだ、とっとと行け」
「ここに、強化装備を置いておきます」

先程出て行った兵が、見慣れない服のような物を持ってきた。
キョウカソウビ?強化装備ってなんだったか。こんな装備あっただろうか……。

「どうかしましたか、少尉?」
(少尉?いや、自分は少佐だった。……違う、ただの士長だ)

何を考えたんだ。少佐なんてわけが無い。
頭が混乱していて、上手くまとまらない。

「頭を打ってる。異常は無かったが一時的な記憶喪失にでもなっているか」

名前を聞かれるが、反応できない。
自分は北条直人。強化装備?機体?少尉……。
段々思い出してきた。ここは、オルタの世界、自分は衛士で戦術機を操縦して戦っていた。
でも、ここにいる理由が分からない。先程まで、BETAとの戦闘中だったはずだ。

「おい、名前も忘れたのか?」
「自分は、北条直人です、すみません。まだ頭がボーっとしていました」

怪訝そうな顔でこちらを見る医師だったが、もう大丈夫だろうと判断したのか次の兵士に呼ばれ駆け出していく。
残ったのは、ここが担当なのだろう、自分が気付いたのを知らせにいってくれた兵だった。

「ところで、自分はなぜここに?」
「事故があったそうです、それ以外は何も聞かされていません」

耳にした話ですと、友軍の誤射に遭われたとかと小声で付け足される。
友軍の誤射……、運が良いのか悪いのか。生き残れた事を喜ぶべきなのかもしれない。
しかし、先の言葉を思い出す、死んでいた方が楽だったかもしれない。
また悪い癖が出てしまう、こう悪い方向にばかり考えてしまう。
考え込んでいるうちに、別の患者の方へ彼も行ってしまった。
いつまでもここにいるわけにはいけない。ここから出る手続きはしていたようだ。
落ち着いたら、中隊はどうなったのだろうか。
急いで強化装備に着替え、テントの外へ出る。
まずは、ここの通信隊を捕まえて部隊の所在を確認しなければならない。
慌ててテントの外に飛び出してしまったので、前方に注意が行かなかった。
何かやわらかい物が顔に当たる。

「……元気そうじゃないか、北条?」
「さ、佐藤中尉!?すみません!!」

慌てて出たために、佐藤中尉とぶつかってしまった。
そんなに大きくはないが柔らかい場所へ事故で当たってしまったのだ。

「……まぁいい。先程こちらへ連絡があったのでな。迎えに来たわけだ」
「は、隊は今どのようになっているのでしょうか?」

歩きながら説明すると佐藤中尉は歩き出す。
いつもの事だが佐藤中尉の後を追っているのが当たり前になってしまっている。
どこかの学校だろう、グラウンドにはいくつものテントが並んでいる。
この様子だと校舎の中も怪我人で溢れているのではないだろうか。

自分がいない間の説明を受けたが、中隊はひどい事になっていた。
中隊長含めた第1小隊が光線級へと吶喊を行い、未帰還。
自分の機体は余剰パーツを組み込んでなんとか準備できた撃震との事だ。
無いよりはマシかもしれない。

現在、日本は佐渡島へのBETA侵攻を許しハイヴの建設が始まり東進をするBETAは活動を停滞させていると言う。
やはり、あの歴史の通りに動いているんだな、となぜか他人事のように思えてしまった。

「大変です、佐藤中尉!米軍が撤退を始めたと報告が!」
「何!?」

中隊の待機する教室へと入ると動揺が広がっていた。
今まで戦線を構築していた米軍が続々と戦線を後退していると言う。
日米安保条約の破棄、今までがむしゃらに戦っていたがもうそこまで進んでしまっていたのか。
このまま戦線は縮小を余儀なくされ、ついには横浜ハイヴも建設されてしまうのではないだろうか。
待機するシールド中隊にも呼集がかかる。

「中隊各員は速やかに機体へ!北条だったな、君へは後で自己紹介をさせてもらうよ」

中隊長が戦死した為に別の隊から指揮官が派遣されていた。
彼もまた部下が戦死し、部隊が擦り減っていたために急遽シールド中隊と合流していた。

「北条、機体が今までとは違うんだ。多少の違和感があるがそうも言っていられない。やるしかないぞ」
「はっ!了解です」

今まで気付かなかったがかなり多数の部隊がここへと集結していたようだ。
主機がうなり声を上げている。

「シールド中隊はこれより、作戦を開始する……」

今目の前の脅威を排除する、それしか道は無いと思う。
やるしかない……。


1999年


すでに何度戦い傷ついたのだろうか。
自分は運が良いのか、機体を失う事もあったが五体満足で生きていた。
とうとう、横浜ハイヴが建設され24時間体制で間引き作戦が実行されていた。
北条の所属する元シールド中隊もこれに参加しており、度重なる戦闘は部隊の数をすり減らし、新任の少尉2人が新たに配置され1個小隊の遊撃部隊になっていた。
こうしていくつもの穴埋めの部隊が作られては記録だけを残し消えていった。
気がつけばこの世界に紛れ込み、1年が経っている。コックピット内で戦闘糧食を頬張りながら思い出していた。
あっという間に過ぎ去った1年だった。あり得ない、夢だと何度か言い聞かせていたが、未だに覚めることは無い。
やはりここが現実なんだ、そう今は考えていた。

(横浜ハイヴ攻略戦も発令されている頃か)

「シールド01より小隊各機、中隊規模のBETA群が確認された。砲撃を潜り抜けた奴等をいつものように撃破する」

佐藤中尉と自分がシールド中隊の生存者で、佐藤中尉が小隊長となった。
自分がシールド02で、副官の立場になっている。指揮官、下士官、兵、装備、武器、弾薬、何もかもがギリギリである。
北条の機体も含め、展開する部隊間でデータが共有され戦域が表示される。
すでに、国連所属の戦術機甲小隊が展開しているようで足が速い。

「こちらシールド隊、左翼のBETA群へ仕掛ける」
『ブルドッグ隊だ、了解。こちらは右翼だ』
(F-15、イーグルだ。かなりいい機体使っているんだな)

シールド隊など、帝国軍の部隊は未だに撃震を使用する隊が多い。
米軍は撤退したものの、こうやって機体の提供はしてくれているようだ。
いつもの癖でつい違う事を考えてしまう北条だったが、気持ちを切り替える。
突撃砲の安全装置を解除する。最前衛にいる要撃級をロックオン、トリガーを絞り込む。

「1つ撃破!」
『こちらブルドッグ隊、もう3つ、いや4つ撃破!」

佐藤中尉は、フンと鼻を鳴らすだけだった。支援砲撃で擦り減ったBETAを撃破する。
こうしていつもの間引き作戦が行われていくのだ。

1999年8月5日


海上を幾つもの黒く巨大な影が並んで浮かんでいる。
太平洋、日本海に国連、帝国海軍の各艦隊が展開を追えその瞬間を待っていた。
作戦開始の合図により、いくつもの重低音が響き渡り風を切る音が重なる。
一瞬何か待つかのような間、閃光、爆発が起こる。
侵攻するBETAの後続を寸断する事から始まった明星作戦は洋上に展開する艦隊からの艦砲交差射撃から始まった。
AL弾によって光線級のレーザーの効果を減退させるために発生する重金属雲、その合間を抜けるように通常の砲弾も地表へと落下しBETAを吹き飛ばしていく。

第一段階として、後続の寸断に成功した軍は地上に展開するありとあらゆる火砲によって横浜ハイヴへ面制圧を開始した。


戦術機のコックピットで戦域マップを確認する。横浜ハイヴ攻略作戦【明星作戦】である。
いくつもの思惑が重なっているだろうが作戦が始まる。
そして、彼がこの世界に来るためトリガーでもあるわけだ。

(自分がここにいる理由だって正直よくわかっていないんだがなぁ)

作戦は順調に進み、BETA群の後続を絶つことに成功を収めているようだった。
目の前では光線級、重光線級のいくつものレーザーが空へと伸びている。
帝国軍も作戦の主導を国連、大東亜連合に委譲しているが自国のハイヴ攻略作戦だが、この作戦は本来は帝国軍が主導で行うべきであるとの考えもあり、各戦線からかき集めた2個戦術機甲大隊が投入されている。
佐渡島への警戒網も敷いているのだ。これが今帝国軍が動かせる部隊だった。
自分たちシールド小隊も解体されこの隊に再編成された。編成された大隊はノーブル大隊、コールサインも変更され自分はノーブル05。所属する小隊の指揮官は佐藤中尉でノーブル03だ。
第1大隊、スパルタン大隊は不知火、陽炎を保有する精鋭。
第2大隊のノーブル大隊は撃震で編成されていた。

『CPより、各大隊へ、作戦は予定通り。これより本作戦は第3段階へ移行する。繰り返す、第3段階へ――」

大東亜連合の戦車大隊と協力し、BETA群をハイヴ周辺から引き離し軌道突入部隊の作戦を支援する事になる。
自分は生き残れるか、そんな事よりもここは米軍がG弾を使用するはずと隊長へ話すべきか悩んでいた。
使わなければ、横浜ハイヴは攻略できないかもしれないし、使わなくても攻略できるかもしれない。
多大な犠牲をどっちも払う事にはなる。

しかし、そう話したとしても聞いてはくれないだろう。
ただの衛士がそんな話をしても、信憑性が無いだけだ。
結局、今の今まで原作に搭乗した人物には出会えていない。
どう会えばいいのかも分からなかった。

「ノーブル03、今良いでしょうか」
「作戦開始前だぞ、なんだ」
「すみません、今作戦上手くいくでしょうか。BETAの数が今なら少ないなんて誰が予測したんでしょう」
「数の事は知らないな、大方戦略研究家だとか学者が計算したんだろう」

当然、予測する数を上回ってBETAが出現する事になるはずだ。
作戦の推移によってG弾が使用され、横浜ハイヴが攻略されるわけになる。

「北条、今は目の前の化け物どもの巣窟を潰す、それに集中しろ。やつらがどこに巣を作ったか間違いを分からせてやるぞ」
「ノーブル01より大隊各機、時間だ。これより私語は許さん」

先行するスパルタン大隊の主機がうなり声を上げる。
次々と出撃していく隊を見送る。まだ第2大隊の出番は先だ。
このままスパルタン大隊が楔を打ち込み、BETAを分断する。そこにノーブル大隊と戦車隊が前進し戦線を構築。
門周辺からBETAを誘導する事になる。これが各戦域で開始されていた。

『HQより、ノーブル大隊、BETA群の増援を確認した。スパルタン大隊が孤立、分断される。予定を繰り上げ、ノーブル大隊はスパルタン大隊と合流せよ』
「ノーブル01より大隊各機!聞いたな、これより我々はスパルタン大隊と合流を目指す。邪魔なBETAは排除する」
「了解!!」

地上要員の誘導に従い、自分の機体を滑走路へ前進させる。ゴーサインが出され、先に出撃した佐藤中尉の機体を追う。


横浜ハイヴ東ノーブル大隊担当区域


ノーブル大隊が到着すると、スパルタン大隊へBETAは殺到している、後ろを取る形となった。
ノーブル大隊第1中隊は白兵戦用に近接長刀へと装備を変えるとBETAの中を前進していく。
スパルタン大隊は合流するためにこちらへと移動を始めていた。
レーダーを確認すると、かなりの数に損害が出ているようだ。

「ノーブル大隊、各中隊毎に展開、先頭は第1中隊が出る。楔壱型(アローヘッドワン)で突撃、合流する」

自分の所属する第3中隊は追従しながら周囲のBETA群排除、エリア確保の命令が下達される。

「第3中隊、我々は左翼へ展開だ、続け!!」

自分のレーダーを確認する、BETAを現す光点の中に2個大隊が戦線を構築しようと動いていた。
すでにこちらは重金属雲の下になる。HQからの通信も今は途絶えていた。
次第にBETAの密度は濃くなっており、ノーブル隊にも損害も出始めていた。

「ノーブル01、弾薬が心もとなくなっています!」
「推進剤が切れた!くそ、倒しても倒してもキリがな――」
「くそ、スパルタン11大破!」

敵味方はすでに入り乱れ、戦線が崩壊しかかっていた。BETAの出現数が大幅に上回っている。
大東亜連合の戦車隊はこちらへ前進するも、BETA群の地下からの奇襲によって全滅との報告があった。
戦車級に取り付かれた衛士の悲鳴、罵声などで無線は混線している。

「ノーブル03へ!こちらも弾薬がもう持ちません!」
「ノーブル05、やられた機体から回収出来るか?」
「ノーブル05了解、やってみます!!」

突撃級に破壊された僚機から36mmのマガジンを取り出す。
なんとか無事のようだった。レーダーからまた1つ部隊のマーカーが消える。

「くそっ、くそっ!!」
「ダメだ、そいつはもう死んでる!」
「支援砲撃は無いのか?!」

すでに、退路は絶たれてしまい後退する事も出来ない。絶望的だった。

「ふ、要塞級出現!陰に隠れて光線級も確認されました!」
「スパルタン03よりノーブル16、我々が行く」

光線級の出現と聞き動きを止めてしまった。

「北条!!」

声に反応するが回避が間に合わない。一瞬の間があり、身体に衝撃が走る。

「くぅぅぅぅ!!」

機体が吹き飛ばされ、何かにぶつかって止まった。
何が起こったかわからない、電源は落ちコックピット内は真っ暗になってしまった。
通信機からも雑音しか入らない。

「ノーブル03、ノーブル09!?誰でもいい、動けない」

何度も呼びかけるが反応は無い。
周りはBETA、その中をベイルアウトして逃げる……、無理だ。逃げ切れるわけが無い。
しかも脱出しようにも、うんともすんとも言わない。
もう聞こえないだけで、戦車級が機体に取り付いているかもしれない。
生きたまま食べられるなんて、考えたくも無い。
支給されている銃に手を伸ばす。これまでだ、そう思って銃を抜き取り確認、弾は入っている。
その時、機体が揺れる。何かに引き摺られているようだ。いよいよ最後の時がきた。
こめかみに銃を持っていこうとした時だった、先程試した再起動が今実行された。

カメラが起動し外の様子が網膜投影され確認出来るようになる。
機体が仰向けなのか、頭部が空を向いていたのかわからないが今は空が映し出されている。

『な、なんだアレは!?』
『わかりません、光線級が迎撃しているという事は味方の攻撃なのでしょうか』
『未だに健在のようだが……。全周波数に何か言っているぞ!』

高濃度の重金属雲が発生し、無線が混線で何を伝えているのか聞き取れないと言っている。

(あれは、あれがG弾じゃないのか?はは、レーザーが直撃してない。まるで効いてないじゃないか)

あんなのがこれから爆発して最後だなんてな、そんな風に北条は考えていた。

(痛くないといいな)

今何が出来るのだろうかとステータスを確認するが、機体表示は真っ赤で動かす事も出来ない。
引き摺っているのも味方の撃震の様だ。機体番号に目をやると、佐藤中尉の機体だ。
こんなになってもまだ自分の事を助けてくれようとしている、嬉しいと思った。
ふと、今まで見ていた空が消えた。仄暗くなったそこは青く光っているようにも見える。
ここは、ハイヴの中なのだろうか……。

『もっと奥に行け!地表より離れるには進むしかない!!』
『くそっ、要撃級多数確認!蹴散らすぞ』

G弾はハイヴもかなり抉り取ってしまうはずだ。
もっともぐらないといけないだろう。
突撃砲が火を吹いている。
無線はなんとか繋がっているが外の音が取れない。もしかすると、もっと深く潜れたら助かるかもしれない、そう北条は叫んでいた。


そして、今まで見えていた何もかもが消えて、北条は意識を手放した。




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