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No.21942の一覧
[1] 第一話 会議は踊り・・・・[凡人001](2010/09/16 19:24)
[2] 第二話 帝国の事情、共和国の策略[凡人001](2010/09/27 22:59)
[3] 第三話 アスターテ前編[凡人001](2010/09/17 17:07)
[4] 第四話 アスターテ後編[凡人001](2010/09/17 21:14)
[5] 第五話 分岐点[凡人001](2010/09/18 20:34)
[6] 第六話 出会いと決断[凡人001](2010/09/19 07:25)
[7] 第七話 密約[凡人001](2010/09/26 18:21)
[8] 第八話 昇進[凡人001](2010/09/26 18:18)
[9] 第九話 愚行[凡人001](2010/09/26 19:10)
[10] 第十話 協定[凡人001](2010/09/26 17:57)
[11] 第十一話 敗退への道[凡人001](2010/09/26 18:01)
[12] 第十二話 大会戦前夜[凡人001](2010/09/26 23:45)
[13] 第十三話 大会戦前編[凡人001](2010/09/26 18:11)
[14] 第十四話 大会戦中編[凡人001](2010/09/26 19:08)
[15] 第十五話 大会戦後編[凡人001](2010/09/28 06:24)
[16] 第十六話 英雄の決断[凡人001](2010/09/28 20:58)
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[21942] 第十四話 大会戦中編
Name: 凡人001◆f6d9349e ID:4c166ec7 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/09/26 19:08
帝国暦486年 11月10日 ローエングラム上級大将官邸

『ブリュンヒルトに乗りたい?』

『はい、閣下。この目で戦場の現実を目に焼き付けておきたいのです』

『それは駄目だ』

『危険、だからでしょうか?』

『それもある』

『私が、ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフが女だからでしょうか』

『・・・・・・・』

『それでしたら無用の気遣いと言うものです、閣下』

『私は閣下に全てを賭けたのです。その上で閣下にお頼み申し上げているのです』

『・・・・・キルヒアイスには何と言う?』

『同じ事を・・・・それに、です』

『それに?』

『閣下ほど私の心を躍らせてくれる人物はいませんから』

『ああ、それともう一つ。私は閣下のものですからヒルダ、で結構ですわ』



「 バグダッシュの感想日記

宇宙暦796年5月、アスターテ会戦から2ヵ月後、俺は統合作戦本部の人事課に呼ばれた。そこで第3艦隊の情報参謀の任を解く旨を受けた。正直唖然としたよ。自分は確かに士官学校は中の中で卒業したが、それでもこれまでは何一つ大きな失敗をしてきた記憶は無い。むしろ有能な情報参謀としてルフェーブル中将から重宝されていた自信が在る。それがいきなり国内諜報部門第三課への転属だ。怒りたくもなるね、この左遷人事には。だからさっさと転属、それも対外諜報部の第一課に転属して貰うようかけあうつもりだった。あの男に会うまでは。あの男は俺の全てを見透かすように語りやがった。それに引き込まれる俺もどうにかしている、だが、悪くはなさそうだ。あの男についていけば今以上の階級が上がりそうだ。主義主張なんてものは単なる道具に過ぎない、それが邪魔ならば捨てるだけのこと。それを言い当てられたときの恐怖。そして「大佐」の階級章。とりあえず責任は彼のものだとも言った。気楽に、いや、あの男は楽をさせてもらえそうに無いな。ならば必死でやらせてもらうとしようかな     」




第十四話 大会戦中編



side 第5艦隊

戦況は五分五分に見える。
だが、もう間もなく崩れるだろう。
ビュコックはそう予想していた。

「もはやここまで、じゃな。」

「閣下!」

リン・ファイフェル少佐が叫ぶ。
まさか敬愛する上官がここで弱音を吐くとは思わなかったからだ。

「第9艦隊、第3艦隊の司令長官は既にこの世に無く、第11艦隊は訳の分からぬ行動をとった挙句、半数を失いましたからな」

チュン・ウー・チェン参謀長が同意する。

今は小休止となってっているが、どうなるか分からない。
中央には2万5千隻が、左翼の第2艦隊は1万隻が、右翼の第11艦隊、第8艦隊には合計1万3千隻の合計4万8千隻が健在だが、もう時間の問題なのは明らかだ。
無傷の艦艇など一隻もいないと言ってよかった。無事なのはたまたま重防御スクリーンと隔壁のおかげであろう。
あと数時間もすれば戦闘継続は不可能になる。
それは火を見るより明らかだ。
そしてセンサーで確認された黒い艦隊。

「敵中突破後に撤退させよう。第3艦隊の8000隻はパエッタ中将に預ける」

「そうなると敵左翼ですな、こちらの第9艦隊と第11艦隊はいかが致しますか?」

チェン参謀長が聞いてくる

「指揮系統をアル・サレム中将に統合するよう命令せよ、司令部の命令と偽ってもかまわん」

総司令部からは臨機応変に対応せよ、としか言ってこない。
ホーランドが煩いだろうから、こちらも臨機応変に対応して黙らせよう。

「では尚のこと敵をひきつけなければなりません。1万3000隻で。」

1万3000隻の犠牲。
囮部隊。
殿部隊。
古来よりもっとも犠牲が出る部隊である。

「ああ、苦労をかけるが・・・・頼む」

参謀長も覚悟を決めているようだ。

「ハッ」

(総司令部はどうするのだろうか?)

そんな中、ファイフェル少佐の疑問には誰も答えるものはいなかった。



一方帝国軍別働隊


「時間がかかりますね」

キルヒアイスが珍しく苛立たし気に放つ。

「まあ、9000万個の機雷を除去するのだ、いかにゼッフル粒子とて時間がかかる」

それを窘めるメルカッツ。
彼は分かっていた、待つことも戦いであると。
このあたりは若手で構成されているローエングラム陣営に欠けている性質と言っても良い。

「メルカッツ提督」

「それにだ、前線は我が軍が優位と聞く。それほど恐れることはあるまい」

試作型指向性ゼッフル粒子発生装置。
天才と言われたゼッフル博士が共和国に亡命して以来、停滞していた帝国軍の技術。
それを進めたシャフト技術大将。
この作戦には試作品しか間に合わず、当初の予定よりはるかに作業は遅れていた。

「わかっているのですが、こう、なぜか漠然と嫌な予感がするのです」

キルヒアイスが艦隊司令官らしくない発言をする。

「嫌な予感?」

(この若者はそんなあやふやなものに脅かされるほど神経質だったか?)

メルカッツの感想を知らず彼は続けた。

「ええ、嫌な予感です」

そこで、メルカッツが反論する。

「センサーには反応が無いが」

キルヒアイスが懸念材料を持ち出す。

「ですが、哨戒に出した偵察艇からの定期連絡がありません」

と。

「それは戦場のジャミングとこれだけの質量を持つ恒星系の傍であるからではないかね」

「そう、ですね」

確かにメルカッツ大将の言う通りかもしれない。

「今は一刻も早く作戦を成功させることだ。これに成功すれば向こう数年間は共和国軍の侵攻に対処しなくて済む」

「そうですね、そうしましょう。」

キルヒアイスも気持ちを切り替えた。
そうだ、所詮は直感でしかない。

試作型指向性ゼッフル粒子装置を数機使い、帝国軍は待つ。
機雷源に穿つ穴を作るために。



一方、敵左翼ではビッテンフェルト艦隊が突撃を開始した。
ビュコックの再編命令よりそれはすばやく実行される。
伊達に高速戦艦を中心に編成された部隊ではない。
そして、この司令官の気質は貴族たちにとっても好ましかった。
突撃好きの貴族たちとビッテンフェルトの呼吸が合致する。

「突撃だ!! ロイエンタールにコーヒーを飲む時間を作ってやろう!!」

猛攻。

まさにその一文字。

残存する共和国艦隊は必死の反撃を試みるも次々と敵の突破を許してしまう。
ここで凡将ならば壊乱に転じただろう。
だが、良くも悪くも第11艦隊司令官は凡将ではなかった。
敵の中央突破を許してしまう第11艦隊。そしてビッテンフェルトが第9艦隊を捉えた瞬間、


「今だ反転迎撃せよ」

なんと指揮下に残っていたわずか4000隻の艦隊で逆にビッテンフェルト艦隊へ突撃をかけたのだ。
普通の常識ある提督ならばここで戦力を再編するだろう。
事実、見捨てられた形になった3000隻はロイエンタール、ワーレン艦隊に崩壊の瀬戸際に立たされていた。

そして、第11艦隊の突撃に呼応するかのように第9艦隊もわざと敵に中央突破をさせビッテンフェルト艦隊を前後から砲火を集中。
さらに第5艦隊の全力の側面砲撃で敵中に孤立してしまう。

「ビッテンフェルトは何をしているのか!」

金髪の司令長官が叫ぶ。
本来であればビッテンフェルトは賞賛に値する行動を取ったであろう。
何せ敵艦隊を二つも分断したのだから。
ところが、中央の第5艦隊にまで欲をかいたのがいけなかった。
第5艦隊は想像以上に堅牢な陣形を引いていた。そして耐え切った。さしたる損害も出さずに。

そしてラインハルトももまさか敵の第11艦隊がここまで大胆に味方を見捨てるとは思いもしなかった。
その結果、半ば偶然の産物で包囲網が完成することになろうとは。

「ビッテンフェルト提督をお叱りになる前に、新たなる命令を」

ケスラーが進言する。
そこにオペレーターから通信が入った。

「ビッテンフェルト提督より入電、我救援を求む、以上です」

硬直するラインハルト。
そして激発した。

「救援? 私が艦隊の湧き出る魔法の壺でも持っていると思っているのか!」

「我に余剰戦力なし、現有戦力を持って武人の名誉を全うせよ、と返信」

その命令を下そうとした瞬間、ヒルダが瞳で訴える。

(あなたもあの第11艦隊の司令官と同じですか?)

と。

そこでラインハルトは命令を撤回する。
幸い、中央は自分の艦隊で十分支えきれる。
敵の狙いは左翼のようだ。ならばメックリンガー艦隊を増派しても問題はあるまい、そう判断した。

「いや、まて、不本意だがメックリンガー艦隊を送る。それまで現地にて防衛線を張るよう伝えよ、以上だ」

だがこの命令が届く頃、戦局は更なる転機を迎える。



side 第5艦隊

「閣下、敵艦隊に動きあります。一時的に敵左翼・中央が空きます」

「よし、今じゃな。パエッタ中将!」

通信妨害に苦しむ帝国軍と予め数十機の偵察衛星を配置することで通信の潤滑さを図った共和国軍。
その差は確実に現れていた。

「ハッ」

「苦しかろうが当初の予定通り頼む」

「了解しました」

そしてパエッタは自分の指揮下の艦隊に命令を下した。

「第2艦隊全速前進、左翼の敵を叩き付けに行くぞ!」

パエッタの檄と共に動き出す共和国右翼艦隊。一方でそれの追撃を阻む第5艦隊。
この時、第5艦隊は超人的な働きを見せていた。黒色槍騎兵艦隊を殲滅しつつ、反対側の側面砲撃で追撃する敵右翼の足止めを行い、主砲で戦力の減少しつつあった敵中央を削り取ったのだ。

「このままでは中央が危ない」

メックリンガー艦隊がそう判断せざる負えないほどの猛攻撃。
それはビッテンフェルト艦隊と同様、いや、それ以上の苛烈さを持っていた。
そしてとうのビッテンフェルト艦隊は何とか自力でロイエンタール艦隊に合流したものの、戦力の9割を失うと言う大打撃を被る。


「艦隊全速前進」

「いまだ、敵左翼を突破する!」

アル・サレムが、パエッタが命令を下す。
自分たちが生きる道、それは敵艦隊の後ろにあることを知っていた将兵たちは死に物狂いとかして命令を実行する。

ロイエンタールは油断などしていなかった。正確な用兵家はこの攻勢をワーレンと共に支える自信が在った
艦艇の半数を失ったワーレン艦隊だが数では互角。ならばあとは指揮官の力量のみ。
そして指揮官同士の力量ならヘテロクロミアの男は負ける気がしなかった。

「ワーレン艦隊に連絡」

ロイエンタールが命じる。

まさにその時である、ワーレン艦隊において司令官左腕切断の重症の報告が入ったのは。
運命の女神のいたずらとしか言いようの無い一撃がワーレン艦隊「火竜」に直撃。
轟沈こそ免れたものの、艦橋にて爆発が発生、司令官の左腕が吹き飛ぶと言う重傷をおった。
ワーレンの意識を奪う。すかさず副艦隊司令官に指揮権が移譲される。

そしてラインハルトらが貴族たちを御せなかったように、ワーレン艦隊副司令官も御せ無かった。

第2艦隊、第8艦隊、第11艦隊が更なる猛攻撃を加える。
ロイエンタールをもってしてもパニックを起した群衆とかした各艦を抑えることは出来なかった。
いや、正確には抑える時間が無かったと言うべきか。
それほどまでに死兵とかし、生存への欲求に満ちた艦隊の突撃を抑えきれることは出来なかったのだろう。

本来のロイエンタールであれば、あるいはワーレン艦隊もまた正規軍であれば共和国軍の中央突破を抑えられたかもしれない。
だが、何度もいうように共和国軍は死兵だった。そして用兵家の計算を狂わすものは敵味方の熱狂的な士気。
その士気に敗れ去ったと言うべきか。

だが、ただでは通れない。
第2艦隊18000隻は10000隻まで、第11艦隊は1000隻まで、、第8艦隊は5000隻まで撃ち減らされた。
それでも、帝国軍の包囲網を突破した。

そのときである、第五艦隊後方で爆炎が生じたのは。

それはキルヒアイス艦隊とメルカッツ艦隊の来援であった。



side 第5艦隊


「後背に新たな敵です」

「なんじゃと!」

参謀長の報告にさすがに驚くビュコック。

「機雷は、機雷源はどうなったのでしょか?」

ファイフェル少佐が信じられないと言った感じでうろたえる。

「恐らく何らかの方法で無効化されたものと思われます」

それを冷静に受け止め、報告するチェン参謀長。
そこでビュコックははたと思い出した。
そう言えば、ここには督戦しかしない有害な司令長官がいたと言うことを。

「総司令部は?」

ファイフェル少佐に尋ねる。

「だめです、連絡がつきません」

それに続けてチュン・ウー・チェン少将が付け加えた。

「恐らく降伏か玉砕かいずれかを選択したものと思われます」

ビュコックは数秒間無言を保った。・・・・・そして

「・・・・・わしらもそうするしか無さそうじゃな」

と、発言した。

「やはりロボス元帥はヤン元帥の出撃を拒絶されたのですね」

いくら待っても来ないヤン艦隊。逆になぜか8000隻と言う中途半端な数で援軍に来たロボス。
そして後方深く陣取り、前線に「臨機応変に対応せよ」としか言ってこない総司令部。

「ああ、そうじゃろうて」

ビュコックは悔やんだ。己のミスを。

後背からのおよそ3万隻。
前方の敵、およそ5万隻。

対して味方は1万隻。

もはやその差は絶望的だ。
逆転の秘策など無い。

(さて、どうしたもんかな。)

ビュコックは思う。

(わし一人の命ならばここで散らすのも悪くない)

だが、即座に否定する。

(じゃがここにはユリアン君をはじめ多くの将兵が、家族を持つものがおる)

(いたずらに殺してよい法があるまいて)

確かに捕虜になれば自分の名誉は失われよう。
だが、自分ひとりの名誉でまだ生きている200万人以上の人命が無事で済むのならば。

「敵艦隊旗艦に通信を」

そこまでビュコックが考え降伏しようと思ったときだった。

「敵旗艦より閣下に通信が入っています、どうしますか?」

オペレーターが報告してきた。

「サブスクリーンに出せ」

即答するビュコック。
両軍の砲火が自然と止んでいく。

そして合間見える二人の名将。
一人は帝国軍の若き英雄、ラインハルト・フォン・ローエングラム。
もう一人は共和国の生きた軍事博物館とまでいわれた、老練なる名将アレクサンドル・ビュコック。

敬礼する二人の名将。

(若いな。ヤン・ウェンリーも若かったが、この若者も若く、覇気に満ちておる)

「銀河共和国軍第5艦隊司令官、アレクサンドル・ビュコック中将です」

「銀河帝国軍上級大将、ラインハルト・フォン・ローエングラムだ」

お互いに名乗りを上げる。

「卿の戦い見事である。そして卿ほどの人物ならば分かっていよう、既に退路は立たれたと」

金髪の若者は正確に物事を洞察しているようだ。
次の言葉に自分は、いや、艦橋全体が一瞬息が止まった。

「どうだ、いっその事銀河帝国で大将の地位につかないか?卿ほどの人物を一艦隊司令官に備え付けるとはもったいない」

それは思いもよらぬ勧誘条件。
だが確かめなければならない。

「それは、降伏勧告の条件ですかな?」

ビュコックの問いは、彼の中でとても重要だった。
彼が彼自身であり続けるために。
金髪の若者は無言で首を振り、続けた。

「いや、降伏勧告とはまた別の個人的なお節介だ」

と。

「では、まずそのお節介について言わせてもらいましょう」

「うむ」

「残念ながらその申し出、銀河帝国軍大将の申し出は拒絶させていただきます」

それは老将ならではの矜持。
人生の大半を共和国に捧げたものにしか、いや、何かに人生を捧げた者にしか分からない矜持だった。

「理由は?」

だから若いラインハルトには分からない。
なぜ、其れほどまでに拘るのか、を。

「これは私事です、ですから最後まで聞いていただきたい」

「よかろう、私の名に基いて最後まで聞こう」

そして語り始めた。

「私は常々孫がいたらと考えました。そしてこの間、一人、孫のような人物に会いました」

「また、もう一人孫が出来るのなら貴方の様な覇気に飛んだ孫が欲しいと思います」

そこでビュコックは戦死した二人の息子を思い出す。

「・・・・・わしは誰かにとって良い友人でありたいし、良い友人が欲しい」

「だが、良い主君も良い臣下も持ちたいとは思わぬ」

「ですから、あなたの友人にはなれても臣下にはなれません」

「貴方は、かのヤン・ウェンリーとは面識があるそうですが、彼もあなたの友人にはなれても臣下にはなれません。
他人事ながら保障してくれても良いくらいですな」

そしてビュコックは語気を強めた。

「だが、だからこそ、やはり貴方の臣下にはなれん。だからこそ、貴方と私は同じ旗を仰ぐことは出来んのだ」

「なぜなら、偉そうに言わせてもらえれば民主主義とは対等の友人を作る思想であって主従を作る思想ではないからじゃ」

それは彼の生き様。
渡される紙コップ。注がれるウィスキー。
ファイフェル少佐も覚悟を決めた。

「ご好意には感謝するが、あなたのような若者には、この老体は必要ありますまい」

「民主主義に乾杯」

チュン参謀長がビュコックの気持ちを代弁する。
いつの間にかウィスキーの入った紙コップが握られていた。

ラインハルトが怪訝な表情で確認しようとした。
この老人は無益に将兵を死なす人ではない、そう感じたが。

「では拒否すると」

そしてビュコックが口を開こうとしたそのとき。



そのときである、ビュコックが降伏を受諾する旨を伝えようとしたその時、その瞬間、数十万のもの光が帝国軍後方の下方45度から帝国軍右翼・中央に向けて貫いた。そして大混乱が発生した。



戦局は予期せぬ第三幕を迎えた。


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