<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

チラシの裏SS投稿掲示板


[広告]


No.21907の一覧
[0] 神木・蟠桃の木の精霊(ネギま本編完結・超鈴音)[気のせい](2012/03/15 18:40)
[1] 1話 超鈴音が来るまでの5000年(転生版)[気のせい](2011/04/11 09:02)
[2] 2話 火星少女地球に立つ。精霊(笑)少女相坂さよ始まります。[気のせい](2011/02/14 00:43)
[3] 3話 精霊と超鈴音[気のせい](2010/10/19 23:18)
[4] 4話 精霊5000年稀代のイタズラ[気のせい](2011/04/24 22:01)
[5] 5話 超鈴音と二人の暇人[気のせい](2010/12/23 18:36)
[6] 6話 年寄り達が未来に向けて[気のせい](2010/12/13 18:56)
[7] 7話 体育祭[気のせい](2011/01/21 16:46)
[8] 8話 第一段階完了[気のせい](2010/12/23 18:37)
[9] 9話 交渉人超鈴音[気のせい](2010/12/23 18:37)
[10] 10話 茶々円残機-1[気のせい](2010/12/23 18:38)
[11] 11話 麻帆良は概ね平和[気のせい](2011/01/21 16:46)
[12] 12話 全人類肉饅補完計画[気のせい](2010/12/13 19:44)
[13] 13話 赤毛の少年 1人! 来りて 大志を抱け 魔法の先生 2A・31人!![気のせい](2011/02/08 01:04)
[14] 14話 ネギ少年の4日間in麻帆良[気のせい](2010/12/17 17:43)
[15] 15話 夏の終わり[気のせい](2010/12/13 19:58)
[16] 16話 2学期の始まり[気のせい](2010/12/23 18:39)
[17] 17話 新生体育祭1日目[気のせい](2010/12/13 20:11)
[18] 18話 ウルティマホラ[気のせい](2010/12/23 18:49)
[19] 19話 冬目前の長い1日・前編[気のせい](2011/02/08 23:12)
[20] 20話 冬目前の長い1日・後編[気のせい](2011/01/21 16:48)
[21] 21話 少年達の試練[気のせい](2010/10/19 23:40)
[22] 22話 超部活設立[気のせい](2010/12/23 18:41)
[23] 23話 2月の始まりとアメリカ編の幕開け[気のせい](2011/01/19 23:06)
[24] 24話 外国文化研究会inシアトル・前編[気のせい](2011/02/10 18:55)
[25] 25話 外国文化研究会inシアトル・後編[気のせい](2011/02/10 18:55)
[26] 26話 フライング京都[気のせい](2011/02/10 18:55)
[27] 27話 孫娘の秘密[気のせい](2011/02/10 18:56)
[28] 28話 アドバイザー美空[気のせい](2011/02/10 18:56)
[29] 29話 まともな名付け親[気のせい](2010/12/13 20:19)
[30] 30話 修学旅行[気のせい](2010/12/25 08:36)
[31] 31話 DNA[気のせい](2011/02/19 21:10)
[32] 32話 まほら武道会要綱[気のせい](2011/02/19 21:24)
[33] 33話 2003年度麻帆良祭開幕[気のせい](2011/02/19 21:50)
[34] 34話 それぞれの試合[気のせい](2011/02/19 22:12)
[35] 35話 アーティファクト発動![気のせい](2011/02/19 22:27)
[36] 36話 ネギ少年の学祭巡り・前編[気のせい](2011/02/19 22:51)
[37] 37話 ネギ少年の学祭巡り・後編[気のせい](2010/11/14 18:36)
[38] 38話 まほら武道会閉幕[気のせい](2011/02/19 22:57)
[39] 39話 新たなる未来へ向けて[気のせい](2010/11/14 20:24)
[40] 40話 旅立ち直前[気のせい](2011/01/05 12:03)
[41] 41話 2003年8月27日火星大接近(魔法世界編1)[気のせい](2011/01/12 00:06)
[42] 42話 ゲートポート事件(魔法世界編2)[気のせい](2011/01/12 00:07)
[43] 43話 春日美空バカンスの終わり(魔法世界編3)[気のせい](2011/01/12 00:09)
[44] 44話 それぞれの地にて・前編(魔法世界編4)[気のせい](2011/01/21 16:48)
[45] 45話 それぞれの地にて・後編(魔法世界編5)[気のせい](2011/01/21 16:49)
[46] 46話 南極(魔法世界編6)[気のせい](2011/01/12 00:15)
[47] 47話 アリアドネー魔法騎士団候補学校(魔法世界編7)[気のせい](2011/01/12 00:18)
[48] 48話 授業参観(魔法世界編8)[気のせい](2011/01/12 00:17)
[49] 49話 ジャック・ラカン・前編(魔法世界編9)[気のせい](2011/01/21 16:49)
[50] 50話 ジャック・ラカン・後編(魔法世界編10)[気のせい](2011/01/21 16:49)
[51] 51話 麻帆良の謎(魔法世界編11)[気のせい](2011/01/19 08:30)
[52] 52話 オスティアにて(魔法世界編12)[気のせい](2011/01/12 00:23)
[53] 53話 終戦記念祭(魔法世界編13)[気のせい](2011/02/20 17:42)
[54] 54話 究極技法(魔法世界編14)[気のせい](2011/01/12 00:24)
[55] 55話 拳闘大会決勝(魔法世界編15)[気のせい](2011/01/19 08:31)
[56] 56話 オスティア総督府舞踏会(魔法世界編16)[気のせい](2011/01/12 00:26)
[57] 57話 造物主の掟(魔法世界編17)[気のせい](2011/01/12 18:37)
[58] 58話 墓守り人の宮殿(魔法世界編18)[気のせい](2011/01/12 00:28)
[59] 59話 戦闘開始(魔法世界編19)[気のせい](2011/01/12 00:29)
[60] 60話 フィリウス(魔法世界編20)[気のせい](2011/02/09 13:28)
[61] 61話 伝える力(魔法世界編21)[気のせい](2011/02/09 13:46)
[62] 62話 真・新世界[気のせい](2011/02/09 14:31)
[63] 63話 空白期間[気のせい](2011/02/09 14:49)
[64] 64話 姉妹喧嘩[気のせい](2011/01/27 14:34)
[65] 65話 サイカイ。サイアイ (ネギま本編完結)[気のせい](2011/01/27 14:42)
[90] ネギま本編完結・後書き(65話・2011/1/21)【ネタバレ注意】[気のせい](2011/04/11 19:13)
[101] 1話 超鈴音が来るまでの5000年(自然発生版)[気のせい](2011/04/11 12:52)
[102] 2話 未来人地球に立つ[気のせい](2011/04/11 12:52)
[103] 3話 精霊と超鈴音[気のせい](2011/04/09 18:47)
[104] 4話 電撃作戦[気のせい](2011/04/24 22:01)
[105] 5話 図書館島の司書[気のせい](2011/04/09 18:49)
[106] 6話 年寄り達が未来に向けて[気のせい](2011/04/09 18:50)
[107] 7話 体育祭[気のせい](2011/04/09 18:50)
[108] 8話 重力問題[気のせい](2011/04/09 18:51)
[109] 9話 商談交渉[気のせい](2011/04/24 22:01)
[110] 10話 素体処分[気のせい](2011/04/24 22:05)
[111] 11話 麻帆良は概ね平和[気のせい](2011/04/13 19:09)
[112] 12話 全人類肉饅補完計画[気のせい](2011/04/09 18:53)
[113] 13話 赤毛の少年 1人! 来りて 大志を抱け 魔法の先生 2A・31人!![気のせい](2011/04/09 18:54)
[114] 14話 ネギ少年の4日間in麻帆良[気のせい](2011/04/09 18:54)
[115] 15話 夏の終わり[気のせい](2011/04/09 18:55)
[125] 16話 2学期開始[気のせい](2011/04/09 18:56)
[128] 17話 新生体育祭1日目[気のせい](2011/04/09 18:57)
[129] 18話 ウルティマホラ[気のせい](2011/04/09 18:57)
[130] 19話 冬目前の長い1日・前編[気のせい](2011/04/09 18:58)
[131] 20話 冬目前の長い1日・後編[気のせい](2011/04/09 18:58)
[132] 21話 少年達の試練[気のせい](2011/04/09 18:59)
[133] 22話 超部活設立[気のせい](2011/04/09 19:00)
[134] 23話 2月の始まり[気のせい](2011/04/09 19:00)
[135] 24話 外国文化研究会inシアトル・前編[気のせい](2011/04/09 19:01)
[136] 25話 外国文化研究会inシアトル・後編[気のせい](2011/04/09 19:01)
[137] 26話 フライング京都[気のせい](2011/04/09 19:02)
[138] 27話 孫娘の秘密[気のせい](2011/04/09 19:02)
[139] 28話 アドバイザー美空[気のせい](2011/04/09 19:03)
[140] 29話 名付け親[気のせい](2011/04/09 19:03)
[141] 30話 修学旅行[気のせい](2011/04/09 19:04)
[142] 31話 DNA[気のせい](2011/04/09 19:04)
[143] 32話 まほら武道会要綱[気のせい](2011/04/09 19:05)
[144] 33話 2003年度麻帆良祭開幕[気のせい](2011/04/09 19:05)
[145] 34話 それぞれの試合[気のせい](2011/04/09 19:06)
[146] 35話 アーティファクト発動[気のせい](2011/04/09 19:06)
[147] 36話 ネギ少年の学祭巡り・前編[気のせい](2011/04/09 19:07)
[148] 37話 ネギ少年の学祭巡り・後編[気のせい](2011/04/13 19:09)
[149] 38話 まほら武道会閉幕[気のせい](2011/04/09 19:08)
[150] 39話 新たなる未来へ向けて[気のせい](2011/04/09 19:09)
[151] 40話 旅立ち直前[気のせい](2011/04/09 19:09)
[152] 41話 2003年8月27日火星大接近(魔法世界編1)[気のせい](2011/04/09 19:10)
[153] 42話 ゲートポート事件(魔法世界編2)[気のせい](2011/04/09 19:10)
[154] 43話 春日美空バカンスの終わり(魔法世界編3)[気のせい](2011/04/11 00:50)
[155] 44話 それぞれの地にて・前編(魔法世界編4)[気のせい](2011/04/09 20:12)
[156] 45話 それぞれの地にて・後編(魔法世界編5)[気のせい](2011/04/11 00:52)
[157] 46話 南極(魔法世界編6)[気のせい](2011/04/09 20:13)
[158] 47話 アリアドネー魔法騎士団候補学校(魔法世界編7)[気のせい](2011/04/11 00:54)
[159] 48話 授業参観(魔法世界編8)[気のせい](2011/04/11 00:54)
[160] 49話 ジャック・ラカン・前編(魔法世界編9)[気のせい](2011/04/09 20:14)
[161] 50話 ジャック・ラカン・後編(魔法世界編10)[気のせい](2011/04/11 00:55)
[162] 51話 麻帆良の謎(魔法世界編11)[気のせい](2011/04/09 20:15)
[163] 52話 オスティアにて(魔法世界編12)[気のせい](2011/04/09 20:16)
[164] 53話 終戦記念祭(魔法世界編13)[気のせい](2011/04/11 01:09)
[165] 54話 究極技法(魔法世界編14)[気のせい](2011/04/09 20:17)
[166] 55話 拳闘大会決勝(魔法世界編15)[気のせい](2011/04/11 00:56)
[167] 56話 オスティア総督府舞踏会(魔法世界編16)[気のせい](2011/04/11 00:57)
[168] 57話 造物主の掟(魔法世界編17)[気のせい](2011/04/09 20:17)
[169] 58話 墓守り人の宮殿(魔法世界編18)[気のせい](2011/06/11 21:16)
[170] 59話 戦闘開始(魔法世界編19)[気のせい](2011/04/11 01:14)
[171] 60話 フィリウス(魔法世界編20)[気のせい](2011/04/11 00:59)
[172] 61話 伝える力(魔法世界編21)[気のせい](2011/04/09 20:20)
[173] 62話 真・新世界[気のせい](2011/04/09 20:21)
[174] 63話 空白期間[気のせい](2011/04/09 20:21)
[175] 64話 姉妹喧嘩[気のせい](2011/04/09 20:22)
[176] 65話 サイカイ。サイアイ (ネギま本編完結)[気のせい](2011/04/09 20:23)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[21907] 39話 新たなる未来へ向けて
Name: 気のせい◆050021bc ID:899ac1f2 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/04/09 19:09
麻帆良祭も終わり、場所は司書殿の住まう図書館島深部の庭園。
集まったのはそのクウネル殿、エヴァンジェリンお嬢さん、茶々丸姉さん、チャチャゼロ……、ネギ少年、小太郎君、神楽坂明日菜、孫娘、桜咲刹那、古菲、長瀬楓、綾瀬夕映、宮崎のどか、そして……。

「ようこそ私のお茶会へ。お待ちしていましたよ」

「ぼーや達、遅かったな」

「クウネルさん、こんにちは。お邪魔します」

「クウネルの兄さん、来たで!」

「くーねるはん、こんにちは」

「クウネルさん、こんにちは」

少々人数が多いものの挨拶を交わしたところ
司書殿が虚空に向かって話しかけた。

「そろそろ出てきてはいかがですか?」

「え?クウネルさん、まだ誰か来るんですか?」

「ふむ……そうだネ」

わざわざこの時のために光学迷彩コートを用意して、それを着用して予め隠れていた超鈴音の登場。

「超!」

「超姉ちゃん!」

「超さん!どうしてここに?」

「どうしてここに、と言てもまほら武道会の時の事を思い出せば私がクウネルサンと知り合いであることは何ら不思議では無いと思わないカ?」

「あ……た、確かにそうですね」

「気になる事もあるでしょうが、皆さん、まずはお茶とお菓子がありますからどうぞ席に座ってはいかがですか?」

という司書殿の一声でひとまずはお茶会を楽しむ事となり、ネギ少年は色々な種類の紅茶に感動しつつ非常に詳しい批評をしたりする一方女子中学生達は複数種類のスイーツを食べては「おいしいねー」と感想を漏らしていた。

「ネギ君、あなたのお祖父さんから夏にまたウェールズに戻るように言われていませんか?」

「ど、どうしてその事を?」

「学園長から聞いたのです」

「学園長先生が?」

「ええ、そうです。以前ナギが生きていることについて契約カードで見せたと思いますが、ネギ君がナギの事そのもの、行方を知りたいのであれば英国はウェールズへ戻るといいでしょう。あそこには魔法世界……ムンドゥス・マギクスへの扉があります。恐らくネギ君のお祖父さんもそのような意図があるのだと思いますよ」

「魔法世界……」

「ネギ坊主、行く気はあるのかナ?」

「そうですね……はい、是非行きたいです」

「ぼーやの為にわざわざゲートを用意してくれるんだ、夏休みの旅行にしてはやや遠出だが行ってみるのもいいだろう」

「ネギ、私も付いて行くわよ!」

「ネギ君、アレを見たからにはうちも行くえ!」

「ネギ先生、私も行きましょう」

「俺も当然行くで!ネギの相棒やからな!」

「これが……もしや旅でござるか。ならば拙者も参るでごさるよ」

「楓、そうみたいアルね!ネギ坊主、私も行くアル!」

「ね……ネギ先生!私も行かせて下さい!」

「ネギ先生、私も行くです」

「……皆さん。……でも……いえ……分かりました。教師としても引率はしっかりやります。夏休みを利用してですから情報収集程度になると思いますがよろしくお願いします」

「話はまとまたようだネ。私からも少し手助けをするヨ。これをネギ坊主に渡しておくネ」

超鈴音が取り出したのは……。

「これは超さんの部活の書類?」

「外国文化研究会。生徒を引き連れて公的に海外に行くというのならば部活が良いだろう?後は顧問にネギ坊主が登録して皆が部員になるだけネ」

「超さん、もしかしてこのために……?」

「元々私の用事で設立した部活なのだけどネ。年内に使う予定は特に考えていないから設立した時の状態に戻してあるヨ」

「そう……ですか。でも……あれ?そういえば相坂さんと春日さんと龍宮さんもいたと思いますが2月の旅行は一体何を……?」

「ただ観光をして超包子の支店を視察、それに少しビジネスをしに行ただけネ。きちんと部活としてのレポートも提出してあるヨ。予め言ておくが詳しい事については教えられないネ」

「……そうですか。分かりました。深くは聞きませんが、超さん、ありがとうございます」

「どういたしまして。私は付いていかないけど魔法世界に行くなら気をつけてナ。ここから先はネギ坊主達の話になるだろうし私は退席させてもらうネ。それではまた」

そう言って庭園から去っていった超鈴音であるが、ネギ少年達からすると今までよりも更に謎が深まったに違いない。

「まるで超さんはこの事を知っていた上で部活を作ったかのような気がするのですが……」

「刹那さん、僕もなんだかそんな気がします」

「ネギ坊主、超はたまに良くわからないけどあれでも協力しているアルよ」

「……そうですね、ありがたくこの部活の書類は使わせてもらいます」

「それじゃ部員の役職決めたりしないと駄目ね!」

「ほな、うちは書記がええな!」

「私は肉まん大臣アル!」

「古姉ちゃん、肉まん大臣って何や?」

「肉まん大臣は肉まん大臣アルよ!」

超鈴音の謎はすぐに流れていった。

《茶々円、ぼーや達は本当に魔法世界に行っても大丈夫なのか?》

《心配なら付いていかれては?》

《……そこまで私も過保護ではないさ。それにしても超鈴音の部活の書類とやらは用意が良すぎると思うがどういう事なんだ》

《超鈴音……私もですが、ある程度どうなるか分かった上で、ついでという形で部活を作ったのです。実際2月の時には必要でした》

《わざわざそこまでお膳立てしてやる必要は無いと思うがな》

《超鈴音がネギ少年達に手を貸せる事はもうあまりありませんから……言わば駄目押しのようなものでしょうか》

《ふ……そうか。それにしても茶々円はぼーやを魔法世界に行かせたがっているように感じるがそうしようとする意図は一体何だ?例の魔法世界の崩壊とやらは解決するのだろう?》

《確かにネギ少年達が魔法世界に行かなくてもその意味では問題は無いです。……個人的な事情としましては、それでも恐らくネギ少年達が魔法世界に旅に出た方が魔法世界の崩壊の件が非常に上手く解決する事になる可能性が高いのです。実に身勝手極まりないと思われるかも知れませんが勘弁して欲しい所です》

《……足りないピースが揃った方が噛み合うのは当然という所か……。問い詰めたところでお前の言うとおり本当に気になるなら私も行けばいいという話にしかならんか》

《私にも本当の所これからどうなるかは正確には分かりかねます。ただ、やるべき事をやって問題が起きるなら……予め対処するなり起きてしまったなら解決させるだけです。……とは言っても直接関わる事は殆どできませんが》

《間接的には既に十分関わっているだろうに》

《たった数人と、だけですが》

《……それは茶々円の事情を考えれば仕方ないだろう。諦めてその数人で頑張るんだな》

《それでも心強い数人ですから、問題はありません》

《当たり前だ。私を誰だと思っている》

エヴァンジェリンお嬢さんです。

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

早くも7月に入りましたが学園祭が終わって大分皆気が抜けた感じになっています。
そこへ更にいよいよ夏に突入するため暑さが追い打ちをかけてきていてだるい空気が教室に広がっています。

鈴音さんがネギ先生に外国文化研究会の書類を渡した後、ネギ先生達は必要事項を書き込みしっかり事務手続きを行って手続きを済ませた後は、相変わらず修行をしたりして過ごしています。
真面目に修行する必要があるの?という疑問も湧きますが、くーふぇさん、楓さん、小太郎君と桜咲さんは今更ですから。
それにしても綾瀬さんと宮崎さんがもう初級魔法については扱えるようになったというのには驚きましたが、本来魔法生徒が学ぶのは魔法の運用だけではなく歴史、魔法薬の知識、魔法に関する一般常識、ラテン語や古代ギリシア語の解釈そのものの勉強等が必要なんだそうです。
つまり綾瀬さん達は初級魔法の本をネギ先生から借りていたとはいえ、基本的には発動させる魔法の呪文をそのまま発動できるように運用の練習のみを大量に積み重ねただけという事になるので、魔法使いと名乗るにはあまりにも偏りがあるでしょう。
近衛さんはその点についての座学も行っていますが。
ただ、どうやら綾瀬さんには魔法の才能はかなりあるようなのですが、宮崎さんはそれほど魔法の才能が無いようです。
でも、高畑先生のように呪文詠唱が元からできない訳でもないですから、もう努力の問題でしょう。

火星の方はと言えばもう春休みから3ヶ月が経ち、大気組成も酸素が20%になりとうとう地球とほぼ同じ濃さになりました。
放射線レベルも地球の1.1倍程度となり若干惜しい気がしますがこれなら許容範囲内だそうです。
南極の極冠を全部溶かした時点で海になるべき部分には全て水が行き渡っていますし、その後もしっかり地下の氷を溶かしたので、水深に少し物足りなさはあるものの誰がどこから見ても海だとしか思わない筈です。
それに同調すれば今はもう海に浸かっている神木・扶桑も龍山山脈の付近に重なって陸上に戻る上、その大陸の分さらに水深が上がりますしね。
平均気温も15度前後になり快適な状況になりましたが、これは二酸化炭素の影響でまだまだ勝手に上がり続ける可能性があるものの、元々太陽から遠いのもあって急激に上昇することはなさそうです。

それで同調の際の増幅魔法はどうなったかというと丁度鈴音さんの魔法球で最終実験で今にも結果がでるんです。
そこそこの大きさの球体を浮かせ、その球体に地球の11箇所の聖地と対応する場所に魔分溜りを、麻帆良の位置にも神木とそれを囲む6つの魔分溜りを模した物を用意してあり、既に11箇所それぞれから魔分の流れが神木に集中するという状況ができています。

「うむ、星と月の座標の計算を考慮していないもののこれでほぼ完成だろうネ」

「キノ、これ実際にやったら目立ちますね」

《それは……止むを得ません。いずれにせよ超鈴音のお陰でこうして同調の目処が立ちました。星と月の座標の計算は私達が行いますし、問題はありません。ありがとうございます、超鈴音》

「ああ……思えば2年半こうしてやてきたが私の本来の予定よりも1年早く目的が達成できたナ」

少し遠い目をしている鈴音さんはなんだかどこか遠くに行ってしまいそうな雰囲気です……。

「……鈴音さんはどうするんですか」

《…………》

「……それは私が未来に帰るかという事かな」

「鈴音さんは帰りたいですか……?」

「そうだね……帰りたいと言えば帰りたいよ。私を送り出した故郷の皆に会いたいと思わないわけがない。できるならば皆にもこちらに来て欲しいぐらいね」

《……そうですか》

「……元々私、私達は過去を変えれば未来が変わる……けれど変えたところで私達のいる未来が変わるのでは無く違う未来の分岐が生まれるだけで解決にはならないという矛盾をはらんでいたのは理解していたよ。……翆坊主、そもそも私が未来に戻ると死ぬというのは……つまり私は強制認識魔法の発動に完全に失敗したか、あるいは発動に成功した未来と失敗した大きく未来が変わりはしなかった未来の2つの分岐を作り後者からそのままあるべき場所に戻ったという事なのか?」

《……ええ……その通りです》

「やはりそうか……。翆坊主と話した時から薄々そうではないかと思っていたがあえて考えないように日々を過ごしていたのだけどね。失敗していなければ私が未来に帰るという選択自体取る筈無いものな。それが私が『未来に帰ると死ぬ』と、それはそれなりに近いうちに起きる事だと暗に翆坊主が言った理由なのだろう。少なくともカシオペアを使って戻ったという事は何らかの資料は持ち帰ったもののその際死亡したという所か」

「鈴音さん……」

「……翆坊主とさよは歴史を知っていると言う話だけど私が故郷からこちらへ来る時に故郷の皆に一体何と言われたか聞くか?」

鈴音さん今まで泣いた事なんて一度も無いんですけど目元が……。

《……聞きましょう》

「私も……聞きます」

「ああ……聞くね。……『スズネ、体に気をつけなさい。しっかり睡眠はとるネ。ご飯はあちらにはいいものがあるだろうけれど必ず食べるんだヨ。ここより風邪も多いから気をつけるネ』なんてそんな心配ばかりだった」

《…………》

「最後に『私達はこれからも頑張るけれどスズネも頑張ってきなさい、達者でネ』……だよ。皆笑顔で送り出してくれたがどう考えても……別れの挨拶にしか……聞こえないだろう?……悪い、少し思い出して……しまったよ……」

「鈴音さん……泣きたい時は泣いていいんですよ」

《……サヨの言うとおりです》

「済まないな……さよ、少し胸を借りてもいいか?」

「もちろんですよ」

「……ありがとう」

鈴音さんは今まで一度も見せた事が無かったですが、初めて涙を流しました。
泣いてもいいと言ったのに、私に顔を見せないようしがみつき、少し震えながら我慢して声を押し殺し泣いていたのは鈴音さんとしてもやりきれない思いがあったからなのでしょうね。
しばらく小さな音が魔法球の中に響き続けました。
キノは精霊体だったので鈴音さんに触れる事はありませんでしたが表情には哀愁が漂っていたように思います。
それでも、泣き止んで顔を伏せたまま深呼吸して息を整えて顔を上げた鈴音さんはいつもの元気な鈴音さんに変わりありませんでした。

「ん……少し情けない所を見せたナ。私が肉まんを世界に広めるのは故郷で一番お世話になた人、母の好物だたからネ」

「鈴音さんのお母さんの好物だったんですか……」

「もちろん私の好物でもあるけどネ。超というのはクウネルサンが言ていた通り所属機関の名前ネ。超機関のメンバーは人種、出自を問わずとにかく火星で生き抜くための研究をし続ける所だたヨ。私が超という苗字を使うのは皆に共通する名を名乗ろうと思たからネ」

《超には故郷の願い、想いが詰まっているのですね》

「一つ聞くが……翆坊主にとて……これからも……私には興味があるのカ?」

《ええ、それは勿論です。超鈴音のこれから……そうですね……。超鈴音そのものが私にとっての願い。私にとっての興味……というのは言い換えれば願望そのものです》

「はは……そうカ。……まるで私は願いの塊だナ。うむ、だからこそ、やはりそう簡単に死ぬわけにはいかないネ。まだまだやることはいくらでもあるのだからナ」

「私にも手伝えることは言って下さい!」

《……私もできることがあれば協力しますし、これからも応援し続けます》

「……少し私らしくもなく話すぎたかナ。さあ、そうと決まればこうしてはいられないネ!次のプランをどんどんたてるヨ!」

「はい!」

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

超鈴音が真面目に自分の話をしたのはこれが初めてであった。
今回が気まぐれなのか、それとも信用した証なのか……少なくとも私は後者だという確信がある。

……それからというもの、超鈴音は更に新たな研究に手をつけ始めた。
目新しいのは今まで東洋医学研究会で会長職を勤めていても、魔法球で薬草を栽培するという事はしていなかったのだが、突然「優曇華のアーチを貸すネ」と言いだし、雪広グループを通して古今東西の植物を集めて栽培する事にしたのである。
優曇華のアーチはあのように調整したのであるが、これからは相対時間の操作も自由にできるので魔法球と同等……それ以上の使用もできる。
どうして薬草に手を出すことにしたのか聞いてみたところ「優曇華の有効利用法としては良いし、科学ばかりやりすぎるとオーバーテクノロジーだらけになるからネ」との事。
私もサヨも特にアーチは使わないので、好きなように使ってもらえればそれで構わない。
しかし、その割には魔法世界と火星が同調するのを見越して、魔分を反応させる半永久魔力炉なるもの作ろうと考えているようでその開発意欲は留まるところを知らない。
茶々丸姉さんの魔力炉すら一日一回ゼンマイ……を巻く必要があるが、完成すれば画期的という言葉では済まない。

……ネギ少年達の方はといえば外国文化研究会という部活名だけでなく、一応対外的な名前としてナギ達の赤き翼に因んで白き翼と団体名を付けたそうだ。
それを示す物としてエヴァンジェリンお嬢さんがバッジを作るという事になったのだが、もうあまりネギ少年達には関わらないかと思われた超鈴音にその話を少ししてみた所興味が出たようで、

《エヴァンジェリン、その作る予定のバッジにはどういう機能を付けるネ?》

《茶々丸には付いて行かせようと思っているから位置を把握できるセンサーぐらいは付けるつもりだ》

《茶々丸姉さんも行くんですか?》

《茶々円、寂しいなら付いていったらどうだ?》

それは無い。

《……遠慮しておきます》

《……茶々丸頼みのセンサーか……エヴァンジェリン、原型ができたら私に回して貰えないカ?少し改良するネ》

《好きにしろ。私は機械には強くないからな。もともと科学と魔法の両方を利用するつもりだったから超鈴音かハカセにでも頼もうかと思っていたところだが丁度いい》

《そういう事なら任せるネ。……ここは一つ私からもネギ坊主達に何か作てやるかナ》

そうこうして超鈴音がバッジの改造ともう一つ餞別を作成する事にした。
一応、尋ねてみた。

《どのような物を作る予定ですか?》

《あちらで使うにしても色々困るだろうからソーラー発電装置と誰でもできる魔力注入で動く端末を作る事にするネ。まあやはりまた携帯電話だナ》

《もう例の端末の通信を教えても良いのでは?》

《うむ、エヴァンジェリンと共同で作たという事にすれば私が翆坊主達と関わりがあるというのにも早々行き着かないしそれでいいだろうナ》

《助かりますね。お嬢さんを介すと》

《うむ。……そうだ、あの魔法生物はまだ戻て来ないのカ?》

《はい、一体どこを歩いているのかは知りませんけど戻って来ていません。もう今月で4ヶ月ぐらい経ちますが》

《少しぐらいまともな情報を持ち帰て来るのを期待したいナ》

《ケット・シーと並ぶ由緒正しき妖精という事ですが果たしてどうでしょうか》

《実際転移魔法符のルートはきちんと把握しておかないと下手なテログループに渡れば過激な所なら毒ガスや爆弾を直接転移させるなんて手段にも出かねないからナ》

《魔法使いのNGO達も例の組織の捜索にかかっているようですから彼等の活躍に期待したい所です》

《世の中ままならないものだネ。人間も怖ければウイルスのような極小微生物もどんどん進化を続けるしナ》

《ウイルスと言えば障壁を張っていれば遮断できますよね》

《それはエヴァンジェリンのような相当高位の魔法使いに限るネ》

《それもそうですが……ええ、エヴァンジェリンお嬢さんにウイルスはそもそも意味がないですね》

《全くだナ》

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

そのまま、あっという間に7月も半ばになり期末テストを迎え私たちはいつも通り乗り越えそのまま念願の夏休みに突入しました。
これでネギ先生もほぼ1年間教師をした事になりますが、去年来た時よりも大分身長が伸びています。
魔法球にもうそろそろ1年近くは入っている事になるので実年齢で10歳後半ぐらいにはなっていると思います。
小太郎君はネギ先生よりも少しだけ年上だったと思いますが、ネギ先生程魔法球に毎日入っていた訳ではないので誕生日の差が違う程度でもう殆ど同年齢と考えていいでしょうね。

ところで今、茶々丸さんの性能向上を兼ねて新しいボディへの換装を終え、実際に実験しているところなのですが凄い事になっています……。
原因はまほら武道会で数百試合分の戦闘データが蓄積されたからなのですが……。

「茶々丸もあの瞬動術ができるようになるとはねー」

「ハカセは前から実現したいと言ていたからナ」

「茶々丸さん、凄いですね」

実際に瞬動やら虚空瞬動を使っているのは驚きなんですが、いずれ田中さん達も使えるようになるのでしょうか……なんだか麻帆良はどんどんおかしな都市になっていきそうです……。

「ありがとうございます。ただ……ハカセ、何故こんなに武装があるのですか?」

「それはね茶々丸、科学者のロマンだよ!」

産みの親というだけあって茶々丸さんと話す時の葉加瀬さんのは丁寧口調ではなくなるんですよね。

「そうネ茶々丸。ロケットパンチはその最たる物にして最も基本的な物だヨ!それ無しには話すら始まらないネ!」

「……そうですか」

そんなに嬉しくないのは何となくわかりますけど、強く要らないとも言えないですよね……。
魔法関係の武装だけならまだ良かった気がするのですが、カオラ・スゥさんと技術の擦り合わせをしたらプラズマ火球や完全なレーザー兵器も搭載されたようなんです……。

「新しいボディはなかなかのできだと思うんだけどどんな感じ?」

「見た目はより人間らしくなったようでそれはうれ……しいです」

「うん、良かったね。ネギ先生もその方がいいでしょ」

「なっ!ハカセ、その話はもうしないと!」

茶々丸さんの表情がっ!

「あーごめんごめん。もうしないからさ、今度の旅行楽しんで行ってきなよ」

以前茶々丸さんのデータを確認した時にネギ先生の画像の比率がおかしく葉加瀬さんが気になって色々調べた時一悶着あったんですよね。

「うむ、茶々丸もこの2年の間に人間らしくなたネ」

「それでも、私には心があるのでしょうか。自分でもよく分からないのです」

「茶々丸、心はあると思えばあるし無いと思えば無い!そういう事だよ」

「ハカセ……」

「今すぐに答えを出す必要も無いヨ。もしかしたらこの旅行で何かのキッカケぐらいにはなるかもしれないネ」

「……分かりました」

私からすればもう茶々丸さんにはしっかりとした人格があると思うんですよね。

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

嵐の前の静けさ、とでも言うべきか7月は特に何か問題が起こることもなく順調に日々がすぎていく。
……かと思われたが、ひなた荘で動きがあった。
住人達が暑い中出払っている時に窃盗事件が発生した。
盗まれた物は青山素子さんの所持している妖刀ひな。
犯人はあの月詠だが、フェイト・アーウェルンクスも彼女の侵入と逃走に水の転移門で一役買っていた。
ひなた荘自体が荒らされた訳でもなく忽然と妖刀ひなだけが無くなっていたので住人が月詠の姿を見る事もなく、見事な手際だった。
たまちゃんは「みゅー?」と侵入に気づいた節もあったが特にどうこうできはしなかった。
素子さんも普段から妖刀ひなだけを振り回している訳でもないので刀が無くなっているのに気付いたのは……すぐとはいかなかった。
ひなた荘自体あまりそういったまともな事件……度々おかしな事ばかり住人達自体がやっているが……そのためか無くなっているのをそれ程重要視せず、「いつか戻ってくるだろう」程度に考えたようなのだが、実際その予想は正しいかもしれない。
妖刀ひなが無くなったのを素子さんが鶴子さんに連絡したりするか……と言えば「姉上に……やめておこう」とそのような面倒事を報告するような真似はする訳も無かったのであるが。

一方麻帆良ではそのような時に合わせたのかどうかは分かりかねるがメルディアナからドネット・マクギネスさんというネギ少年達も既に修学旅行で会った事のある女性が遠いところやってきて明石教授と対談していた。
話し合われたのは例のフェイト・アーウェルンクスの事について。
彼はやはりイスタンブールの魔法協会から日本に派遣されたと書類上の処理がなされていて、それにも関わらず修学旅行で月詠を伴ってメルディアナに現れた事についてメルディアナと麻帆良でそれぞれ独自に調査を行っていたためそれの情報の擦り合わせをするという訳だ。
一番の問題はどこから3-Aの生徒達の修学旅行の行き先がイギリスに決まったという情報が漏れていたのかという事であるが実際航空チケットの予約から分かってもおかしくはないので双方の魔法学校に内通者がいるとは早急には考えがたいのだが、ここで浮上してくるのが例の魔法具に手を付けている組織の存在。
例の組織は裏のルートに手を付けていると言っても一般社会への溶けこみ方にかけては元々表が主なだけあり怪しいとめぼしをつけてもどこまでも憶測でしか判断がつかなかったりと決め手にかける事が多く非常に厄介……との事。
2人の元々の目的は情報交換であったので特に結論が出た訳ではないものの、会話をしている2人には下手な尾行がついていた。
それは明石教授の娘、明石裕奈とそれに付いて行った佐々木まき絵他クラスメイト。
彼女達はドネットさんを知っていたので「えー、まさか遠距離恋愛!?」などと言っていたが声が大きすぎて明らかに聞こえていた為ドネットさんはやれやれという体で、少女達を手で招いて事情を……嘘を交えて話しだした。
それによって明石教授が娘本人からすると浮気だなどと思われていた誤解も解け、明石教授とドネットさんが旧知の仲であり、更に明石裕奈の母の友人であったという事を明かされしばし話をしたのだった。
「夕子にとてもよく似ているわ」と評された明石裕奈は、実際遺伝的に魔法の才能は一般人に比べれば遥かに適正があるであろうが果たしてどうなるであろうか。

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

7月の終わりは毎年夏祭りがあるのだがこの日その前にエヴァンジェリンの家に全員集合してもらたヨ。

「皆に集まてもらたのは他でもない、あまりお節介を焼くつもりも無かたのだが乗りかかた船でネ。1つ餞別を私から渡しておこうと思てナ」

「私からもあるぞ。お前達一応対外的に白き翼と名乗るからには何か証になるものでもあった方が良いと思ってな。ほら1人1つずつとれ」

「バッジですか?」

「何や皆お揃いでええね」

「ありがとうございます、マスター」

「ありがとう、エヴァンジェリンさん」

バッジ自体にも私が改造を加えたのだが、端末の方でほぼ代用できてしまたから茶々丸のセンサーで互いの位置が数千キロの範囲でわかるようにしておいたヨ。

「次は私からネ。皆1つずつ取て欲しい」

「超さん、ありがとうございます」

「超りん、ありがとな」

「超殿、かたじけない」

「超、また端末アルか?」

「古、使い方は全て端末で調べて分かるようにしてあるから慣れてくれると助かるネ。それでは機能の説明をするヨ。まず、一番凄いのはどこでも、どれだけ離れていてもほぼ確実に通信ができる事ネ。これはエヴァンジェリンと協力して作たのだが是非今試してみるといいヨ。エヴァンジェリン頼むネ」

「ああ、それでは起動するぞ」

《聞こえるか?》

《皆聞こえるかナ?》

《ま、マスター!この感覚は!?》

《何これ、不思議な感じね》

《テレパシーみたいやね》

《念話……とは違うのですか》

《ぼーや、これは加速はしないがアレと同じだ》

《そ、そんな事ができるんですか……》

《ネギ、知ってるの?》

《はい、一応》

皆この新感覚にそれぞれ驚いて心の声を念じたりしていたが、そのまま太陽エネルギーでの発電と側面につけたスイッチを押すと出てくるレバーを回すことで魔力注入が出来る事を教えておいたヨ。
魔力注入については不思議に思われたが元々これはエヴァンジェリンの技術だからそこまでおかしくは無いネ。

「大体こんな所だネ。今日は夏祭りがあるがネギ坊主は去年8月に来たから知らないだろう?皆で行くといいヨ。3-Aの皆もこの通り行くみたいだしネ」

SNSにはもう鳴滝姉妹の偵察で屋台の構成についての情報が書き込まれているが特にいつもと変わりは無いナ。

「お祭りですか、是非行きましょう!」

「よっしゃネギ!金魚掬いに射的で勝負や!」

「うん!」

「うちも金魚掬いやるえ!」

「私もやるアル!」

「拙者も挑戦するでござるよ」

楓サンがやると水槽の金魚が全ていなくなりそうだけどネ……。
私もいつもの楽な服装ではなくさよから着物でも借りてみるかナ。

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

「鈴音さん着物にあってますよ」

「そうかナ?何だか自分で買えばいいのにさよの着物借りて悪いネ」

「一度に何着も着れませんし、お祭りですから雰囲気楽しんだほうがいいですよ」

「うむ、そうだナ。ありがたく着させてもらうネ」

「それじゃあ出発しましょう!」

既に夕方を回ってお祭りの屋台が並ぶ通りにも灯りが灯り始めた頃に丁度着きました。

「ネギ先生達はもう金魚掬いやってますね」

「元気なことだネ」

ネギ先生と小太郎君、楓さんがピタリと水槽の前で動きを止めたままタイミングを伺っているのですが、何でこんなに真剣なんですか!

「ッ!今でござる!」

「「了解!」」

金魚掬いに使われるポイを3人が一斉に水面に振りかざした瞬間、何がどうなったのかわかりませんが水槽の中の金魚さん達が全部水から飛び出し、そこをボールで一気に回収されてしまいました……。

「絶滅したナ」

「生態系は大事にしないと」

店主のおじさんが凄く間の抜けた顔をしていたのですが、なんとか正気に戻り「1人3匹までしか持って帰れないよ」と注意を促したところネギ先生達もやってみたかっただけで「飼う余裕もないからいいです」という事になりお祭りが始まったばかりで金魚すくいの屋台が一軒終了するのは免れました。

「ネギ君達、今の何なん?」

「このかさん、これは楓さんと山篭りした時に川の魚を効率的にとるために身につけたものなんです」

「このか姉ちゃんも覚えてみるとええで」

効率的どころか下手すると絶滅ですよ!
何でもやってみたいという割には普段の生活がハイレベルな状況において童心でお祭りをこのまま楽しめるのか気になりますね。

「よっしゃ、次は射的や!」

「うん!」

……そんな事心配しなくても大丈夫そうです。

「龍宮サンのバイアスロン部で鍛えてるから店の人も困るだろうナ」

「商売上がったりですね」

射的の屋台に走っていったネギ先生達はすぐ様お金を出して銃を渡してもらっていましたが、10才の子供達には少し台自体が高く店の人が「届くように踏み台用意してやろうか?」と言うと同時にジャンプしては景品を撃ち落とし、弾を再度詰めてはジャンプして撃ち落としを繰り返し、どう考えても倒せないようになっているものは2人が息をあわせてネギ先生が撃った所へ小太郎君が続けて撃つことで衝撃を増幅させ無理やり落としていました。

「ネギ坊主達にかかるとどこも絶滅は免れないようだナ」

「ネギ先生達には射程距離数百メートルぐらいが丁度いいかもしれませんね」

その後も回転する的にダーツを投げて当てる店でも猛威を振るい一番細い枠の所に何発も当てたりしていて店の人がかわいそうでした。
この子達に難しいお祭りの屋台なんて無さそうです。
景品はどうなっているかというと気に入ったものを神楽坂さん達が好きなように貰っていったり、途中から合流してきた明石さん達によって全て消費されています。
来年?ネギ先生が夏祭り出入り禁止なんて事になりかねませんね。

「ネギ坊主達を見ているのも飽きなくていいが、綿飴を食べるのは欠かせないナ」

「ちょっと口元のパチパチした感じがなんともいえなく良いですね」

「後はチョコバナナにたこ焼き、焼きそばかナ」

「たこ焼きなんかはどの店のが美味しいか食べ比べるのも楽しいですよね」

「しかし誰が何と言おうと肉まんは超包子以外はありえないヨ!」

「もちろんです!」

「たこ焼き味の肉まん……流石に無いかナ」

たこ焼き味の肉まんってどうなるんでしょう……。
たこを肉まんに入れるだけだと……。

「ただの海鮮風肉まんになるんじゃないですか?」

「そういうのも今度メニューに考えて見るカ」

「五月さんならきっといいアイデア出してくれますよ」

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

2003年8月3日ネギ少年が日本に来て現実時間でとうとう1年が経った日のエヴァンジェリンお嬢さんの別荘では魔法世界への出発もあとわずかとなり、荷物の用意などが徐々に始められていた。

「マスター、いくらなんでも夏休みに入ってからこんなに修行する必要あるんですか?」

7月21日からおよそ2週間を毎日4日に増やして修行を重ねているため既に夏休みだけで2ヶ月が経過しようとしている。
当然ネギ少年の修行期間も1年を軽く越えた。

「嫌だと言うなら構わんが、魔法世界で合流する事になっているのがあのラカンなのだろう?信用できたものじゃない」

「え、どういうことですか?」

「あいつは金にうるさい上、自分勝手な奴なんだ。予定では迎えに来ることになっていても来ない可能性の方が高い」

「ええええ!?そんな!?」

「それにだ、ぼーやがナギの息子というのが公的に伏せられているとは言え、どんな輩がぼーや達に近づいてくるかわからん。性質の悪い奴らだと相手の立場によっては事情はどうあれ先に攻撃を仕掛けた時点で法的に嵌めようとしてくる可能性もある。まあこれは修行でどうこうというものでもないがな」

「僕が利用されるかもしれないって事ですか」

「それは十分にありえるだろう。アスナのような単純な奴がそういう奴らに煽られて少しでも攻撃してみろ、大変だぞ」

「アスナさんなら……なくは……無いですね」

「ネギー!何か言ったー?」

「いえ、大丈夫です!気にせず続けて下さい!」

離れたところで訓練していながらにして僅かな音声を拾う神楽坂明日菜。

「地獄耳だな……。とにかくだ、メガロメセンブリア首都が治安的には辺境に比べれば一番安全なのは確かだが、あそこはぼーやにとっては政治的に一番危険な場所でもある。甘い言葉には常に何か裏があると思え。ナギの捜索は以前行われても行方が掴めなかったような情報だ、ぼーやは情報収集程度と言ったがある意味でそれを調べるのは一番難しいぞ。下手に顔を突っ込めば藪から蛇をだしかねん」

「は、はい。分かりました、マスター。……それって学園祭でクウネルさんが会わせてくれた父さんが『俺は死んだって事か』と言っていたのとやっぱり関係があるんでしょうか」

「ナギは世界最強の魔法使いと呼ばれていた。それが行方不明になるという事は何らかの情報を掴んだが、結果それは相当マズイものだった、という可能性が高い。一体何があったのかは分からないがな」

「…………。少し今回の旅行を甘く見ていました。備えあれば憂いなし、ですね。改めてマスター、後数日間の修行をお願いします」

「ぼーや、今まさにぼーやが修行をするよう誘導した形になったのを分かっているか?」

「あ……」

「いいか、ぼーやの純粋さ、真面目さは美点だ。だがな、こういうのは往々にして気がついたときには既に手遅れになっている事が多い。気をつけろよ」

「……はい!気をつけます!」

「あと1ヶ月ぐらい時間があるが戦闘技術かどうか問わず引き続き教えるからしっかり覚えていけ」

「はい!よろしくお願いします!」

「元気な返事でよろしい。と、言ってもまだ休憩中だから適当に魔法世界の地図でも見ておくといい。行く割にはまだ見てもいないだろう。茶々丸!端末に魔法世界の地図を入れてくれ!」

「了解しました、マスター」

「そうですね、行くからには地図ぐらい見ておいた方が良いですよね」

「データの転送終わりました」

「しかし超鈴音の技術はどうなってのか良くわからんが便利ならまあいいだろう」

「この立体映像なんて魔法の映像付きの手紙の比じゃ……あれ?魔法世界ってなんか火星に似てますね」

「……ぼーや、どうしてそう思うんだ」

「千鶴さんの部屋にお邪魔して火星儀見せてもらったからなんですけど……ほらこうして魔法世界の地図をひっくり返すとここの龍山大陸はないですけどそれ以外は良く似てると思うんです。マリネリス渓谷の形はそっくりですしエリジウム大陸も……あれ、エリシウム島にヘカテ……何ですかこれ!!そんなまさか!!」

城のテラスでゆっくり会話していた所突然椅子からネギ少年は立ち上がった。
この段階でネギ少年が気づいてしまうのは予想外。
那波千鶴が天文部であった事が運命か。

「はっはっはっは!!ぼーや、良い生徒を持ったな!」

「ま……マスターは魔法世界が火星を触媒にして成り立っている異界だと前から……?」

「ぼーやはこれをどう考える?」

「……人工的に造られた世界だとしか」

「つまり誰かの手によって全て造られた世界だと、そうぼーやは思うのか?」

「はい、とてもじゃないですけど信じられませんが……」

「火星の地名が命名されたのは私からすればつい最近なのは知っているか?」

ヘラス、エリシウム等といった地名をつけたのは1877年に火星の大接近を口径22cmの屈折望遠鏡で観測したジョヴァンニ・ヴィルジニオ・スキアパレッリというイタリアの天文学者、実は魔法使いの方である。
魔法世界ではあまり天体に興味は持たれていなかったが地球側では広大に広がる宇宙に興味を持つ魔法使いもいた。
因みに人造異界の存在限界・崩壊の不可避性についての論文が出されたのは1908年であり、彼はその2年後に亡くなっている。
単純に老衰だったのかまでは分からないが衝撃の事実に気づいた事が祟ったのかもしれない。
崩壊するのは間違いないが、ただ人造と彼等は考えているがそれは違う。
考える事自体あまり意味もないが、もし仮に人造異界だとするならば、直接その土地に魔法処理を行う必要がある。
しかし地球と火星という優曇華でも無ければ気が遠くなるような距離にいくら魔法が使えるといっても紀元前の人類に出来る訳がない。
単純に土地があればいいだけならば、一番近い月か、せめて地球との平均距離が火星に比べて半分の4000万kmで済み、表面積も地球の90%もある金星に普通は造るだろう。
仮に人造異界だとしたら何故魔法世界の方が全体の魔分量が地球よりも遥かに多いのかという問題もある。
人造ならば元になる魔分が必要になる。
要するに魔法世界の成り立ちは世界各地のゲート周辺や地球と繋がっている他の一般的な異界とは全く異なる。

「え……じゃあ先に魔法世界の方ができていて……その名前に因んで?という事は火星の地名の命名には魔法使いが関与していることに……」

「ぼーやの気になる事はまほネットでジョヴァンニ・ヴィルジニオ・スキアパレッリという人物を検索すればいいだろう。……まあまず本当に人工的に造られたのかどうかから考えるべきだろうがな」

お嬢さんには魔法世界が火星だとは大分前に言ったものの人造かどうかまでは話していない……が、その認識がどうあれ問題はただ1つ。

「マスターは自然発生的なものだと思うんですか?」

「ぼーやもとても信じられないと言ったばかりだろう」

「それはそうですけど……人造異界の存在限界・崩壊の不可避性についての論文がありますし」

「お?読んだことがあったのか、ぼーや」

「えっと、詳しい事は知らないんですけどタイトルは知ってます」

「それで人造だと先入観があるのか……まあ通説だと言われたらそう思っても仕方ないか。1つ考えてみろ、仮に造る手段があったとして実行する際に必要な魔力はどこから来る?」

「普通はその場にある魔……そんな大量の魔力なんて一体どこから……」

「これの答えは奴なら……知ってるかもしれんがどうだかな……」

「それってまたマスターがたまに言う幽霊さんの事ですか?」

「……そうだ。どうせ現れんだろうが」

ここまで来た場合……。
一言。

《グレート・グランド・マスターキー》

通信終了。

《おいっ!》

《え、この声は一体!?》

《チッ……奴め、通信を切ったか》

「マスター、今の声が?」

「そうだ、訳の分からない単語だけ言いよって……。マスターキー、か」

「何の鍵なんでしょう……」

「奴が今の話を聞いていたのだとしたら魔法世界の謎に関係する事だろうな」

「魔法世界に行く前に大きな謎が増えましたね」

「今の単語は頭の片隅にでも置いておけ。さあ休憩は終わりだ、続きをやるぞ」

「……はい!」

その後、エヴァンジェリンお嬢さんに通信不能を解除した途端問い詰められたが「それには答えません」で押し通した。

ネギ少年の主な修行はエヴァンジェリンお嬢さん指導による戦闘訓練とサポート系の魔法、魔法薬の授業とそれ以外の時間は学園祭でナギの遺言体に「お前はお前自身になりな」と言われた事からその一つの取り組みとしてオリジナル魔法を目下開発中である。
その詳細は把握しかねるが……もしかしたら……というような可能性がある。
陰陽術に手をだしている辺り……否定はできない。
それに、超鈴音のDNA鑑定によりネギ少年も黄昏の姫御子の系譜であるのが間違いないのは科学的にも明らかになったが……とすれば、時々妙な攻撃が出るのはその影響なのかもしれない。
オリジナル魔法ばかり開発中かといえばそうでもなく、これまでの期間でネギ少年はかなりの新魔法を習得した。
風系、雷系の魔法は勿論、エヴァンジェリンお嬢さんから光系の魔法も教わった。
果たして使い所にはかなり問題がある大規模な魔法もあり実際使うのかどうかは分からないが……手札は多いほうがいいのだろう。
魔分の操作も上手くなり、断罪の剣も魔分で短時間であれば構築もできるようになった。

さて、大分遡るが宮崎のどかと綾瀬夕映も必死に修行に参加して魔法の練習をしていた訳だが、綾瀬夕映の方は、成長はかなりのものであった。
魔分量的には一般水準であるのは間違いないが威力はともかく、白き雷が使えるようになったのは驚きである。
実際これには孫娘がかなり衝撃を受けていた。
しかし、すぐ「うちには治癒魔法あるえ!」と気を取りなおしたが、それでも魔法の射手を練習したりと対抗意識はあるようだ。
宮崎のどかは魔法使いの資質としては平均より僅かに低いぐらいであるが使えない訳ではなく、ネギ少年達の人外訓練を目の当たりにして、「夕映程うまく魔法使えないけど」と、せめて機動力だけでもと魔力での身体強化に関する教えを請って、それなりに物になり始めていた。
とりあえず図書館探険部3人は仲良く箒で飛ぶ練習をしていたりと微笑ましい限りである。

小太郎君はと言えば地道な訓練の甲斐あって真面目に咸卦法の練習を始めて4ヶ月程度で1秒間なら咸卦法を発動させることができるようになった。
……が、実用にはまだまだ時間がかかりそうであり、それ以上続けようとすると咸卦法どころか気での強化すら解除されてしまったり、場合によっては力を入れすぎて掌で爆発が起きたりと大変である。
そんな時は孫娘の治癒魔法の被験体として役だっている為それも無駄ではない……だろう。

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

どうもー、108万の小切手をシスターシャークティに取り上げられて親に送られたのが懐かしいと感じられる春日美空ッス。
もうこの暑いっつうのに黒いシスター服は辛いわー。
そんな感じでダラダラ夏休みを過ごしてたりしたんスけど学園長から呼ばれたわ。

「暑い中よく集まってくれた。4人には麻帆良代表でメガロメセンブリアに行ってもらおうと思っとる。任務は一応旧世界と新世界の交流という事なんじゃが、2、3挨拶する所に行ってもらう以外は特にこれと言った仕事はないから安心して良い。ま、夏休みを楽しんでくればよかろう」

お?これってもしかしてサマーバケーションですか?

「学園長、この高音・D・グッドマンにお任せくださいませ」

「学園長先生、私も是非行って参ります」

「学園長、私も行きまーす」

「春日さん、もう少しシャキっとできないのですか?」

「ほら、学園長も夏休み楽しんでこい行って言ってるじゃないですか」

「少なくともそれはまず先に交流を済ませてからです!」

やっぱお堅い人ッスねー。

「はい、肝に銘じておきます……」

……てな訳で数日間魔法世界行ってきてOKになったんだけど、旅費は全部麻帆良学園持ちらしい上、VIP待遇を受けられるらしいわ。
なんつーか最近私旅行に恵まれているような……あ?何かマズくない?
大体麻帆良から離れるとここ最近妙に面倒な事に巻き込まれてるんだけど今回は……三度目の正直って言葉もあるし、大丈夫だよな……うん。
きっとそーだなー。

……気を取りなおして、魔法世界に行くためのゲートはまた愛衣ちゃんのジョンソン魔法学校の近くにあるのを使うから8月の週末にまた飛行機でシアトルに飛んでいくんだそうで、2度目だから大丈夫だろ。
あと3日ぐらいしかないからまた荷造りするかなー。
何持っていったらいいんだろ……十字架は必須としても金とか?
そういやドラクマと日本円ってどんなレートなんだっけか。
まほネット見た時は何も考えずにドラクマで見てたけど詳しく憶えてないわー。

「高音さん、ドラクマのレートって日本円でどれくらい何スか?」

「そんな事も知らずに行くつもりだったのですか?」

「いやー、お恥ずかしい」

「1ドラクマが16アスというのはご存知だと思いますが、あちらとこちらではそもそも貨幣価値が違います。大体の目安としては日本の100円で買えるものがあちらでは10円で買えると考えればいいでしょう」

100円のおにぎりが10円で買える感覚かー。
安ッ!

「安いッスねー」

「基準自体違いますから。1アスが10円で、例えば有名なナギ・スプリングフィールド杯のチケットは12アスですから日本円だと120円で買えます」

ネギ君のお父さんの大会のチケット安ッ!マジやっす!
あ!だからVIP待遇にできるのか。
そら10倍の貨幣価値だったら余裕だわ。
1万が10万の感覚だったらそらな。

「日本に住んでて良かったー!」

「それは確かにそうですわね。他国の魔法協会だと所によってはそうはいきませんし」

日本の高度経済成長もこういう時役に立つとは……。
ブレトンウッズなんちゃらとかいう金本位制の時は1ドルが360円だったんだもんなー。
あのエヴァンジェリンさんが600万ドルの賞金首になったのって大分昔だから……当時の貨幣価値だとえーと携帯の電卓で……ほいほいっと……おお……21億6千万……魔法世界の感覚に直すならこれに更に10倍をかけてと……216億……なんだそれ。
とんでもない金の塊だな……。

とりあえず整理すると1ドラクマは160円だけど日本人の感覚だと1600円てなもんか。
たつみーがボソッと言ってた魔法転移符が80万だから……800万を1600円で割ると5000ドラクマか。
魔法具はやっぱ高いなー。
確かにレート的に考えれば、国を選べば地球で転移符が裏で回ってるっぽいのも仕方ないなこりゃ。
あと覚えてんのは……結構良い認識阻害魔法付きメガネが確か2万9800ドラクマだから……476万8千円か……。
ダイオラマ魔法球の一番安いのなんて250万ドラクマだったから……4億……。
はー!超りんあれ5つ用意するとかやっぱおかしい!
まあさっきのエヴァンジェリンさんの賞金をドラクマに換算しなおすと……1350万ドラクマ?
幻想種って凄いわ……。
しっかし誰がこんなレートに設定したんだ?
こんだけ差があると魔法世界からこっち来るのって相当金銭的に辛いだろ。
新世界と旧世界で孤立主義がどうのっていう話だけどなんか意図的っぽいような気がするな。
ま、そんなのはさておき私は安い金で贅沢ができるって事で!
で……寮に戻って荷造りしてたらさ。
なんで情報掴んでんのかしらないけども、超りん訪ねて来たわー。

「やあ美空、魔法世界に行くそうだネ」

「ど、どうしてそれを?まさか一緒に行くとか?ちょっとそれ」

「安心するネ。私は行かないヨ。ただ渡しておくものがあてナ。ほら、魔法世界用端末だヨ。使い勝手を後で教えて貰いたいネ」

「お?あー確かにこっちの携帯使えないもんね。4つって事は全員に渡せって事スか?」

「愛衣サンの所はともかく高音サンの所に行くのは面倒だからネ。動力のシステムは端末の説明書を読んでくれればいいヨ。因みに例の通信装置も起動してあるからネ」

「そりゃー助かるわ。んー、ソーラー式と……おお?このボタンで……レバー出しーの回しーので、これでも充電できると。ありがたい、超りん、戻ってきたら感想言うよ!」

「いずれ商品化したいと思ているからどんどん使て欲しいネ」

「おっけー!高音さん達にも渡しとくよ!」

「頼んだヨ。それではナ」

これ商品化かー、つか半永久じゃんこれ。
エコって奴だな。
不思議通信も付いてるって事はどこでもまた使えるんだろうな。
念話はココネみたいな能力者だと聞き取れるらしいけどこれなら安心だもんね。
超りんもうまいよなー、これ買ってくれと言われたら手が出ないけど試用してくれって事だし。
うん、使おう。

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

……そして8月8日に飛行機でアメリカに飛んだ春日美空達は、ゲートを使って魔法世界にネギ少年達よりも一足先に出発していった。
因みに一応春日美空達が魔法世界に行く情報は近衛門から超鈴音に知らせてあったという事で口裏を合わせた上で端末を渡してある。

《美空達がネギ坊主達に会うかどうかはわからないがもしもの時は役に立つだろうネ》

《世界一の技術力を持った超鈴音の完全監修ですから、それはもう》

《ふむ、まあ美空ならなんとかなるヨ。それで翆坊主こちらの予定はいつになるネ。やはり出力が一番高くなる火星の大接近に合わせるのカ?》

あの事件が起きて予定通り行けば……いかなくても近いのを利用して無理やりなんとかするしかないが。

《その予定です。8月27日、日本時間18時51分、丁度太陽が落ちた後です》

《直線距離5575万0006km、6万年来の大接近カ。さよも言ていたが目立つだろうナ》

《ええ、1年早めの大発光になります。火星を観測している方達には明るくなって申し訳ないですが、諦めてもらいましょう》

《単純な接近なら2年2ヶ月毎にあるからナ。余程世界12箇所が同時に光る方が興味あると思うネ》

《綺麗だと思ってくれるだけならば良いのですが》

《問題が無数に沸く事は間違いないがそれよりも新たな何かも同じぐらい得られる筈だヨ》

《私もそれを期待しています》

《まさに新世界の幕開けだナ》

……そろそろ新たな未来へのカウントダウンも開始。


前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.043581962585449