注意
これは先に上げた第4話が違和感があるという声に押されて書いたものです。
内容の多くは前の第4話と変化していないので、勝負の場面とラスト近くのひでおの説明部分だけ見れば問題ありません。
後日、人気があった方のみを残しますので、出来れば感想掲示板の方にご意見ご感想お願いします。
第4話
戦いの始まりも終わりも千差万別だ。
勿論、早くに始まり、早くに終わるものもある。
「いいい、いきなり優勝候補の大佐と勝負だなんて…何を考えているのですかーーっ!!?」
ドゴッ、とひでおの頭頂部にウィル子のチョップが当たる。
だが、基本がなっていないため、大したダメージにはなっていないので無視する。
それよりも、ひでおにとっては周囲の参加者の反応の方が問題だった。
「何、いきなり勝負?」
「マジか…?」
「見て!1人はあの『大佐』よ!」
「おいおい…相手は誰だよ?」
ザワザワ…とあっと言う間に周囲をギャラリーが埋め尽くす。
元々人ごみの中で勝負となったからには当然の事なのだが、やはり悪目立ちしているようだ。
「う…!?なんて冷たい目だ…。」
「まるで氷…いや墓石だ。」
「墓石!?まさか、あいつがあの――!!」
何やら周りが騒がしい気がするのだが…気にしないでおこう。
「ほう…?噂には聞いていたが、君がそうなのか?ゴル「川村ヒデオだ。」」
余りの発言に、思わず額の皺が復活しそうになったひでおだった。
…ってか、この世界で実在するとか無いよな?
いたとしたら、幾ら聖魔王と言えども危ない気がするのだが……。
さておき
『何と!もう勝負を始めたペアがいる!!?』
事態を聞きつけたのか、司会者の霧島嬢が壇から降りてきた。
『大戦カードは…これは凄い!一年前に最速で会場入りしたレッドフィールド&ロッキーペアと……つい先程会場入りしたヒデオ&ウィル子ペアッ!!何という神の悪戯かーーッ!!』
広場に設置された大型スクリーンに対戦する選手達の姿が映る。
如何にも風貌の大佐とロッキー、涙目のウィル子と凄まじい目付きのひでおの姿に観戦者の間にどよめきと歓声が広がった。
しかし、ひでおは関係無いとばかりに正面に立つ大佐しか目に入っていなかった。
『それで対戦方法はッ!?』
「…いや、まさか受けてもらえるとは思わなかったのでな。まだ決めておらんのだが……。」
喧しい位に賑やかな彼女にそう返した大佐は懐から葉巻を取り出し、キャップをサバイバルナイフで切り落とした。
…ちなみに切り口が水平であるため、フラットカットに分類されるだろう。
「勝負方法も聞かずに申し出を受けてくれた彼の勇気に免じて…ヒデオ君、勝負方法は君が決めると良い。」
(第一段階は成功…かな?)
ひでおは内心を表に出さず、見事に油断してくれた大佐の言葉に静かに耳を傾けた。
…背後で「もうおしまいなのですよぉぉぉ~~。」と言っているウィル子は放置の方向で。
「言っておくが、私は負けた事が無い。私の人生において、負けとは死を意味していたからだ。」
葉巻を口に咥え、ライターで着火。
鋭い眼光でひでおを見据えながら、大佐はゆっくりと語った。
「嘗てとある部隊に所属し、あらゆる銃器・格闘技・乗り物を扱い、世界中の紛争地帯で勝ち続けてきた。やがて、私は敵味方にこう呼ばれるようになった……ジョージ・ブラッドフィールド(流血地帯)と…。」
ライターの火で照らされた大佐の顔には、彼の言葉を証明するかのように、重ねられた数多の古傷……そして、多くの修羅場を潜り抜けてきた歴戦の軍人としての風格があった。
「これが君に与えられるヒントの全て…よく吟味し、勝負方法を決めると良い。」
言いたい事を言って気が済んだのか、大佐は美味そうにゆったりと葉巻を吸い、煙を吐き出した。
ヒントと言ったが、これは寧ろ精神的な有利の確立のためだろう。
聞けば聞くほどに追い詰められていく、そういう内容だ。
その余裕の溢れた言動に、周囲の観客はおぉぉ…、とその度胸と自信に対する感嘆の息を漏らした。
「す、すげぇ…なんて自信だ。」
「怖いものは無いのか…?」
「流石は優勝候補だ…。」
(そう、血塗られた過去に裏打ちされた絶対的な自負…それこそがジョージ・レッドフィールド!…さぁ、この強敵を相手にどう出る、ヒデオ…!)
観客に紛れる形で静かに観戦するリョータは、この先の展開に密かに期待していた。
ヒデオなら、何か思いもよらない事をしでかすんじゃないか?
無論、師である大佐の力量は把握している。
だが、それでも、リュータはひでおに期待を寄せる…良き宿敵(とも)と認めた相手に。
そして、それは誰もが思いもよらぬ形で現実となる。
「……はぁ……。」
周囲からの注目を集める中、ひでおは疲れた様に溜息をついた。
(さて、何が出る…。)
大佐はひでおの一挙手一投足すら逃さないと、目をこらしながらも、どんなルールが決められるかを推測していく。
相手は相当の手練であり、隙も無い。
絡め手に関しても、コンピューターウイルスだという少女もいるので、サポート面でも同様だ。
そして、ひでおは何かを確かめる様に右手を握ったり、開いたりしているだけだった。
(確実に勝利できるルールを考えているのか?)
確かに自分相手に確実に勝つには吟味する必要があるだろう。
大佐はそう判断したが、しかし、そこで彼はこの都市に来て一番の驚愕を得る事となる。
ひでおは正直に言って……困っていた。
間違いなく正道では勝てないであろう強敵、ジョージ・レッドフィールド大佐を相手に多数の観客を周りに置いた状態で、何らかのルールに則って勝利しなければならない。
先ずは状況を確認しておこう。
今は大会初日であり、選手達はまだ勝負するには足踏みをしており、自分達が最初だ。
相手は優勝候補と目される大佐と軍用犬のロッキー。
素の戦闘力もそうだが、長い軍事活動で精神力も並ではないだろう。
更に極め付けは、観客がいるから余り手の内を晒す事も出来ないという事だ。
例えば、ここで「アレ」を出して勝利しても、切り札が一つ失われ、今後の勝負に置いて何らかの問題が出る可能性がある。
また、通常の戦闘などでもこちらの力量を悟られる可能性も高く、そもそも、通常の戦闘では到底大佐に及ばない。
軍用犬であるロッキーに関しては無効化する手立てはあるが、それとて大佐本人が勝負を申し出ている状況では難しいし、こちらのペアも問題がある。
「もうダメなのですよぉおぉぉぉ……。」
宙に浮かびながら落ち込むという器用な真似をしているウィル子。
ハッキング等の電子関係をルールとした場合、彼女は非常に強力なのだが、それをこの場で見せる事にはやはり躊躇いがある。
となると、ここは……。
(やはり、ハイリスクハイリターン…よりはマシだろうが、仕方ない、か…。)
動き続ける自身の右手を見つめながら、結局賭けになる事に憂鬱になり、ついつい溜息をついてしまうひでおだった。
『さぁさぁ、勝負方法は!?』
「これだ。」
言って、示す様に右拳を上げ……
「…格闘戦か。しかし、それは私の得意分野だぞ?」
大佐の念を押すかの様な言葉に、ひでおはただ首を横に振った。
『へ?では、一体どんなルールに?』
「ジャンケン、一回勝負で。」
ルールを宣言した。
…………………………
………………………………………
……………………………………………………
≪ハァァァァァァァァァァァァァァァッッッッッッ!!?!??!?≫
余りの言葉に、広場一杯に疑問と驚愕が乱舞した。
「な、貴様正気かッ!?」
誰も彼もがその言葉に面食らい、勢いのままに叫んだ。
てかジャンケン?
あのグーチョキパーのジャンケン?
え、何、冗談じゃないの?
広場に何処か弛緩した空気が流れる中、当事者の1人である大佐は周囲とは異なり、戦慄していた。
(なんという男だ…ッ!)
大佐が何故ジャンケンを知っているのかはこの際置いておいて…。
だが、確かに勝敗をつけるのなら、たった一度のジャンケンでも十分だった。
お互いにこれからも大会を勝ち抜かなければならない身。
なら、消耗も避けられ、手札を見せずに済むのなら、それに越した事は無い。
だから、この勝負自体はそれ程おかしなものではない。
だが、何故態々一度だけに?
そこまで考えて、大佐は思わず呟いていた。
「成程、イカサマか…。」
「そう思うなら、見破れば良い。大佐、あなただけではない。ここにいる誰でも構わない。それが判明した時点で、オレは負けを認めよう。」
「…ぐぅっ…!」
揺らがない。
大佐の言葉にも、ハイリスクの極みとも言うべきこの状況にも、ひでおは全く揺らがない。
普通に考えて勝敗は三分の一、どちらが勝ってもおかしくはない。
だが、ひでおの無機物めいた不動の瞳に見つめられると、何かあるのではないか?何か見落としはないか?という疑心暗鬼に駆られる。
ひでおは敢えて多くの事は語らない。
寧ろ大佐の疑心を増長する様に、ただただポーカーフェイスを続ける……元々余り表情豊かとは言えないが…。
沈黙は金、雄弁は銀……二度目での知り合いに、そんな言葉を教えられていたからだ。
(ありがとう預言者様、ありがとう堕天使様。何時かお祈りさせてもらいます。)
その場合、神殿協会にすべきか、寺にすべきか悩み所だ。
マリーチは神殿協会の預言者だが、同時に摩利支天という陽炎が神格化した仏教の守護神でもあるため、そこら辺が曖昧なのだ。
…何故か夜空に笑顔でサムズアップするマリーチが見えたが、幻覚だろう。
さておき
(イカサマだとすれば、何処かにタネがある筈…。)
もし、それが判明すれば即座に自身の勝ちとなるが……。
(何処に仕掛ける要素があると言うのだ…ッ!)
自分で言っておきながら、ジャンケンという至極単純なこのゲームにはイカサマのしようが無いのだ。
無論後出しという手もあるが、そんな稚拙な真似は直ぐに解る。
(なら、本気でジャンケンで勝敗を決めようと言うのか!?)
『な、なんと驚きのジャンケンでの一回勝負!こんな事があって良いのかぁっ!?』
「霧島嬢、出来れば音頭を。」
『あ、はい。任されました。』
そして、大佐の苦悩を余所に、準備が整えられた。
ここまで来たのなら、後はもう互いに運任せだ。
(そう言えば、昔はコイントスで戦友達と賭けたものだな…。)
『それでは、最初はグー!』
勝負という勝負に大佐は勝ち続けてきた。
だが、ここまで緊張する勝負が今までどれ程あっただろうか?
少なくとも、命の危険の無い状態でこれ程の緊張を強いられる経験は無かったと断言できる。
『ジャンケン……』
そして、右手を構えて……
(…これ以上何をするでも無い、か…。しかし、少なくとも私の目にはイカサマの手は見えなかった。)
そして、ほんの少しゆっくりと互いの右手が突きだされた。
(頼む…。)
信じてもいない神を相手に、もう何度目か解らない祈りを捧げた。
多くの観客達もグッと固唾を飲んで沈黙しつつ、目だけは2人の手から逸らされていない。
そして、勝利の女神が微笑んだのは……
『こ、これは……パーとチョキ!ヒデオ選手の勝利が確定しましたーーー!!』
ひでおの方だった。
宣言と同時、中央広場には歓声が轟き渡った。
『聖魔杯は大波乱の幕開けか!?勝者はヒデオ&ウィル子ペアだーー!!』
「っは!?一体何が!?」
大歓声の中、漸くウィル子が正気になった。
しかし、今一状況が飲み込めず、混乱しているようだった。
…後で説教付きで説明してやろう。
「…負けたのか、この私が……。」
信じられないという顔をしながら、大佐がその場で膝をついた。
当然だろう。
ひでお自身も彼に勝てるとは思っていなかったのだから。
「や、やったのですよマスター!すごいのですよマスター!」
『大会開始十分にして優勝候補が敗れるという大波乱!これからどうなっていくのかー!!』
ウィル子の歓声と、霧島嬢の声と観客の大喝采が轟く中、ひでおは静かに大佐に声をかけた。
「…もしここが戦場なら、あなたは絶対に手段など選ばせなかった。命が懸からない戦場だからと、あなたは油断してしまった。」
大佐の最大の敗因、それは今言った通り、ひでおにルール選択の権利を譲った事だった。
他の多くの分野では、ひでおが相手なら彼は絶対に負ける事は無いだろう。
「ふ、ははっ……確かに、君の言う通りだ。」
身体を起こし、慰める様に脇に控えていたロッキーの頭を撫でながら、大佐は思う。
思えば、殺しが御法度と聞いた時から、所詮はゲームだと思っていた。
だが、ひでおはそれを的確に突いてみせた。
そして、隙を突かれた大佐は敗れ、ひでおは勝ちを拾った。
ただ、自分が油断しただけだが、それを見逃さなかったひでおの眼こそ称賛するべきだろう。
「なんという皮肉だろうな…。」
それだけを言って、大佐とロッキーは未だ歓声の冷めやらぬ中央広場を後にした。
「残念だったな、大佐……まぁ、あんまし気ぃ落とすなよ。」
「リュータか……。」
大佐の斜め後ろから、リュータが慰めの言葉をかけた。
普段なら絶対に言わないであろう言葉だが、師である大佐のあまりの落ち込み様に、思わず声をかけてしまっていたのだ。
「あの青年、君が見込んだだけはある様だ。」
そして、吹っ切れる様に笑いながら言った。
「…彼こそが真の戦士だ。」
こうして、優勝候補レッドフィールド大佐&ロッキーのペアは大会初日にしてリタイアした。
間も無く朝になるという時間、ひでおとウィル子は地図を見ながら最寄りの住居へと足を向けていた。
「まさかマスターがイカサマの天才だったとは!さぁさぁ、何をしたのかウィル子にだけこっそり教えるのですよー!」
「…生憎と、何もしていない。」
「………………………………………………………………………………………ハァ?」
余りの事実に、ウィル子の顔が顔面崩壊と言うべきか、形容しがたい表情になった。
「ななな、何を考えているのですかーっ!!それじゃ本当に運任せの天任せ…!勝ったから良いようなものの!!」
大噴火とでも言うべき怒りを見せ、ひでおにチョップを連打するウィル子。
彼女の怒りはもっともだが、ひでおにもそうしなければならない理由があったのだ。
「勝負を受けた際の勝率は殆どゼロだった。しかし、ジャンケンなら三分の一にまで上がる。それも、殆ど労せずに、だ。」
ひでおはウィル子に言い聞かせる様に、ゆっくりと説明していった。
そもそも、普通の勝負なら大佐が勝って当然であり、それ故にひでおは勝負の結果に対しても諦めにも似た感情があった。
勿論、負ければそれまでの話だ。
そして、もし勝った場合、とんでもない程のリターンを得られる。
大佐という強豪を然したる労も無く排除し、これから起こるであろう数々の戦いをする上で、少なくともこちらの戦績を知る者は二の足を踏み、隙を見出す事が出来るかもしれない。
つまり、無駄な戦いをして、消耗する事が無くなるのだ。
そして、然して戦闘力が高くない自分にとって精神面での有利は大きな武器となる。
…腕に自信のある者しか挑戦してこなくなるという弊害もあるが、この場合、仕方ない事だろう。
また、大佐に勝つにはあの瞬間しか無いという理由もあった。
この大会が始まり、ルールの隙を突けるのは恐らく今日限り。
そして、命の危険が無いという状況で、大佐が油断している状態。
しかも、こちらには相手の情報があるが、向こうにはそれが無い。
この三点の有利を見逃す程、ひでおは馬鹿ではない。
「それに、勝機が無かったと言う訳じゃない。」
昔々…二度目の方の最初の頃。
まだ魔王制が存続していた頃の話だ。
当時、えるしおんは身体能力の補助系、或いは強化系の魔法を研究していた。
その関係で人体の構造にもかなり精通していた。
そこで持ち前の記憶力と演算能力を駆使して、大佐が出す手を筋肉の動きから予測したのだ。
基本的に人間と魔族・魔人は魔導力を秘めているかどうか位しか大きな違いが無いため、応用するのは簡単だった。
また、大佐の服装が袖無しの野戦服であった事も幸いした。
ひでおが実際にやった事は並列思考を展開し、大佐の筋肉の動きを知識に照らし合わせて手を予測しつつ、それに勝てる手を後出しにならないように気をつけて出した事位だった。
なお、何故土壇場でここまでスムーズに出来たかと言うと、これが初めてではないからだ。
二度目において、側近A・Bとの間で面倒な仕事を押し付け合う時にジャンケンをして勝敗を決めていた経験があったからだ。
御蔭でジャンケンにおいては連戦連勝、実に百回以上は勝ち星を上げていただろう。
…後日、タネがばれてて三人で自身の筋肉の動きにまでフェイントを織り交ぜた無駄に高度過ぎるジャンケンが2000年近く続く事になったのは準黒歴史に登録されていたりする。
という事を二度目の事を微妙にぼかしつつ、ウィル子に説明した。
「と言う訳だ。」
「…まぁ、取り乱していたウィル子が悪いですし、結果オーライですよね。」
はぁ…、とこちらを見て憂鬱そうな溜息をはくウィル子。
…なんだ、その「この人って…」な駄目亭主に向ける様な無言の視線は。
確かに相談も無しに勝負を受けたのは悪かったが、上記の理由通りアレしか無かったんだってば。
「ちなみに他の勝負方法とかは無かったのですか?」
「一応ロシアンルーレットやコイントスとかも考えてはいたんだが……。」
「前者は殺しは御法度ですし、後者は完全に運任せですもんねー。」
弾丸の位置によって重心やらバランスやらが変化するから、後はそこから銃弾の位置を並列思考で逆算すれば良い。
だが、これだと大佐が本気になる可能性も高いし、ルール違反でもあるので没案となった。
コイントスは勝率5割だが、同時に敗率も5割なため、ハイリスクハイリターンの極みであるため、やはり没案となった。
「ロッキーに関してはもっと簡単だ。」
腕に布を巻きつけて、敢えて噛ませる。
その後は目を潰すなり、窒息させるなり出来る。
注意すべきは踵などの急所を噛まれないようにする事だ(動物の狩りの仕方でもある。これをやられると早く動けなくなり、獲物はやがて衰弱、餌食になる。)
若しくは広場内にある料理や食材の内、あるものを使えば対処できる。
即ち、匂いの強い食べ物だ(香水でも可)。
「例えばシュールストレミング。」
「なんで世界一臭い缶詰ですか!?普通、ニンニクとかでしょう!?」
何故か広場にあったスウェーデン印の缶詰の存在をウィル子に話す。
…本当、一体誰があれを食べるんだろうか?
「他にもホンオ・フェ(韓国のエイ料理)やキビヤック(イヌイットの誇る海燕の発酵食品)もあった。」
「だから!一体誰得なのですか!?」
ウィル子が行き場の無い突っ込みを続けるが、答えは自分も知らないので答えようが無い。
恐らくだが、あの世界の臭い食べ物シリーズはみーこ様も食べるまい(以前、ナマコは食べなかったし)。
(何が悲しくて臭さのあまり化学兵器に間違えられる様な食べ物を食さねばならないんだ……。)
ちなみにシュールストレミングの缶詰には実際に警告文でそう表記されている。
なお、実食する場合、服や手についても簡単に匂いは落ちないし、口臭もすごい事になるので覚悟しておこう。
カッパやゴーグル、ゴム手袋や各種消臭剤等で匂い対策をしても暫く尾を引くので要注意。
「ま、まぁ良いです。取り敢えず、今後に向けてさっさと今日は休みましょう。」
「…もう間も無くだ。今日は早く寝よう。」
そうして、初めての勝利を得た2人は寝床の確保へと向かっていった。
「にしても、随分思い切ったやり方でしたね。」
「クスクス!ここぞという時の決断力は相変わらずね。本当、視てて面白いわ。」
「うーん、それにしても何時接触しましょうか?私としては早い所再会したいんですけど…。」
「じゃぁ、明日にでも会いに行きましょうか。私も早く直接OHANASIしたかったし。」
「なら、明日に備えて、私達も今日は早めに休みましょう。(何か不穏な感じが…)」
「うふふ、クスクス♡…待っててね、ヒデオ…。」
「明日が楽しみですね♪」(ルンルン♪)
「所で、宿は何処にしましょうか?」
「…主要な所はもう一杯みたいねぇ……。」
「…まさか、宿無しですか?」
「…………………うん、そうみたい♪」
ひゅるり…と2人の間に寒風が吹いた。
はい、VISPです。
言いたい事はもう一つの第4話に上げてありますので、こちらでは一部の方の疑問などにお答えしたいと思います。
先ず第一に、臭い食べ物シリーズですが、思いついたのは単に「犬を無効化するなら…」という考えで臭いものを調べた結果です……あのマンガは何度か見た事がありますがww
なお、犬の無効化に関して「腕に布を…」はマスターキートンからのものです……生憎と水辺はありませんが…。
そして、原作ヒデオとひでおの能力ですが、ここで解りやすい早見表をば
大佐>>越えられない壁>>>>>>>ひでお(体力多めの一般人)>>>原作ヒデオ(引き篭もり)
となります。
と言うか、どうやったら多少体力多め程度の文官出の人材が百戦錬磨の超ベテラン軍人に勝てるんじゃいww
勇者(笑)の方がまだ見込みがあるわww
それと大佐を優勝戦近くまで持っていく案があったのですが、それをやるとヴェロッキア戦のフラグが潰れちゃいますので、流れ自体はほぼ原作通りとなりました。
最後に、何だか最近感想板の方が白熱していますが、ここで作者の脳内のひでおに関する独自設定の一部を公表したいと思います。
元々暗い魔王城で厳めしい、又は美系の魔族・魔人に囲まれていたえるしおんにとって見た目の醜美は然したる問題ではありません。
本当に大事なのは能力と人格です。
また、相手の見た目に騙されず、本質を見抜いてくる預言者様が身近にいるため、仕事上で必要な時以外は自身を飾ろうとは思いません。
このため、相手の見た目ではなく、中身を評価してくる者に信用を置く・又は警戒する癖の様なものが付いています。
これがひでおになっても中々抜けず、未だにそのままになっています。
…時々、目が合っただけの子供に泣かれて傷つきますが…。