「ん~~!!」
朝、私はぐっと伸びをします。
ふう、昨日はすごかったの。と、ちょっと思い出してへら~っと笑みが零れてしまいます。
「あ、おはようなのは」
「あ、うう……なのは、おは、よ……ん!!」
と、先に起きてたユーノくんと、そのユーノくんにその豊満なウォーターメロンを責められるフェイトちゃんが挨拶をしてきます。
「おはよう、ユーノくん、フェイトちゃん。でも、今は『なのは』じゃないでしょ?」
私の言葉に二人が、顔を紅くします。
『その……おはようございます『ご主人様』』
ん、よろしい。私は二人のご主人様、うふふ。
心のどこかが軋むのを聞きながら私はその言葉に陶酔した。
訓練でみんなを扱いてから、お昼の自由時間を迎えました。
私の楽しみの時間です。さあて、私に誘導されたみんなはどうしてるでしょうか?
こっそりとよくティアナが特訓をしている場所を茂みに隠れながら覗き込みます。
「んん、ふあ、ヴァイスさん……」
「ティアナ……」
そこに、濃厚なディープキスをするヴァイスくんとティアナ。さらに、
「ひう! し、シグナムさん、いきなり胸を触らないでください!!」
「そう言うがな、お前はサイズ気にしていただろう? 成長期にちゃんと揉んでやらないとな」
と、シグナムさんは、はやてちゃんのようなことを言いながらティアナの成長途上の胸を揉みしだきます。
その後はお約束、我慢できなくなったヴァイスくんによって二人は野外でおいしくいただかれることに。
途中で見るのをやめて、次は訓練所。
そこではスバルが真っ赤になったエリオの頭の上に歳の割に大きい胸を載せていました。それを嫉妬と羨望の交じった目で見るキャロ。
「あ、あのスバルさん、頭の上に乗っかってるんですけど!?」
「あはは、載せてるんだよ~」
「羨ましい……ぎりぎり」
ふふふ、こっちはこっちで楽しそう。
あんまりにスバルが私に懐いてくるもんだから、ちょっと意識を逸らさせるために「エリオを意識してみて」って言っただけなのに、ここまでなるんだ。
自分で自分の力が怖いなあ。
そして、自室に戻れば待っていた四人が私を見てぱあっと笑顔を浮かべました。
「なのは!」
「遅いよなのは」
「うふふ、なのはちゃん、遅かったね」
「遅い! なのは!!」
ユーノくんが嬉しそうに、フェイトちゃんは少し不機嫌そうに、ふんわりとすずかちゃんが笑って、ぷんすかと不機嫌そうにアリサちゃんが文句を言ってきました。
「ごめんね。みんながどうなったか見てきてたんだ」
と、笑います。
「そうなんだ。みんな楽しんでたでしょ?」
「なのはちゃんのお陰だよね」
「ふん、百歩だけ譲って認めてあげるわ」
「さすがなのはだね」
口々に褒めるみんなに私は微笑む。
心がみしみし音を立てるのを無視しながら。
私がその『力』に気づいたのは小学生になってでした。
お父さんが大怪我をして、家族が忙しい時淋しさからつい「誰かなのはといて」と言ったら、必ず家になのは以外の人がいました。
お母さんはお店があるから流石にいなかったけど、お兄ちゃんかお姉ちゃん、バイトの誰かが必ず。
これだけなら、ただ私の小さな我がままを聞いてくれたと取れるでしょう。
それから、小学校に上がって、ある女の子が大人しそうな子からカチューシャを盗った時も、「やーめーなーさーい!」と言えばその子は渋々と女の子に返しました。
現在、その子たち、アリサちゃんとすずかちゃんとは大の仲良しです。
それから何度か、私が何かを言う度にその通りになりました。学校で何気なく呟いたこと。喧嘩する相手を仲裁すればすぐに止めること。
そして、気づきました。なぜか私の言葉には人を従わせる力があると。
最初、アリサちゃんは笑ったけど、冗談ですずかちゃんとキスしてと言ったら本当にしようとして、止めるのに苦労しました。
以来、アリサちゃんによって私の力は『女帝の声(エンプレスヴォイス)』と名付けられ、コントロールのための訓練を三人でしました。
その過程である程度自分で意識すれば力を押さえられること。言い方で『命令』にならないよう気を付ければいいことがわかりました。
そして、私はしゃべり方に気を付けながら生きることになりました。
結果、私が我がままはを言えば、みんな従ってしまうから、あまり言わないようにしていたら、遠慮する子どもと周りから思われるようになりました。
でも、それが嫌で、世界が変わって欲しいと思いました。素直な言葉でお話できる相手が欲しいって。
そして、それは叶いました。
異世界から来た魔法使いの男の子、ユーノくんと私は出会いました。
ユーノくんはどうしてか、私の『女帝の声』が効かなかったんです。
嬉しかったです。ユーノくんには正直に、ありのままにしゃべることができたんです。
だから、ユーノくんのお手伝いをしました。その途中で出会ったフェイトちゃんも私の力が効きづらく、絶対にお友達になると決めました。
そして、ジュエルシード事件を解決し、闇の書事件と過ごすうちに、私が自然と接することができる相手、そういうのもあるんでしょうが、私は二人が何よりも大切になりました。
特に、ユーノくんのことは異性として意識もしてたと思います。
そして、私はある日、ユーノくんに告白しようと思って無限書庫に訪れました。命令なんかじゃない。純粋にずっと私のそばにいてとお願いするために。
誰もいない、まだ未開拓エリア付近でユーノくんとフェイトちゃんがいました。
私は普通に声をかけようとして、ユーノくんの雰囲気がおかしかったからちょっと様子を窺っていました。そしたら、
「フェイト、僕と付き合ってくれないかな?」
え?
ユーノくんがフェイトちゃんに告白をしていました。
「うん、いいよユーノ」
と、フェイトちゃんが返します。
う、嘘……
「なのはが驚く顔が楽しみだね」
「うん。なのはに知られないように気を付けないと」
二人が私の隠れていた書棚の横を通ります。楽しそうにお話しながら。私は何もできず、それを見送りました。
「はは、ユーノくんとフェイトちゃんが……」
告白すらできず、私の恋はオワッタ。素のままの私でいられる人は、ユーノくんはフェイトちゃんを選んだ。
あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは……
その日、私の中の何かが壊れました。
翌日、私は二人を呼びました。
「なのは、どうしたの?」
「なにかあったの?」
二人は不思議そうに部屋に入ってきました。
私は躊躇いませんでした。
「ユーノくん、フェイトちゃん『私を愛して』」
籠められるだけの魔力を籠めて『女帝の声』を私は使いました。
「は、い」
「はい……」
結果、耐性のある二人ですら、私の支配下に陥りました。
「ふふ、ずるいんだもん二人とも。私を置いて二人だけで幸せになろうとしたんだから」
私は二人を抱き締める。
「ごめんねなのは」
「ごめんなさい」
二人が謝ってきます。でも、いいんです。もう、二人は私しか見れないから。
まあ、かわいそうだからたまに二人を愛し合わせたりしてあげてますし。これでいいんだ。
その後、私は『女帝の声』をフルに活用しました。
はやてちゃんの夢の機動六課の設立、メンバーの勧誘からなにまで。上の五月蠅い人たちも黙らせるのだって楽でした。
さらに、どうせならと地球にいたすずかちゃんにアリサちゃんも呼んで、ついでにお兄ちゃんたちにも『女帝の声』を使いました。
まったくお兄ちゃんも酷いよね。ずっとそばにいたお姉ちゃんとフィアッセさんの気持ちに気づかなかったんだから。
今頃四人で楽しんでるのかなあ?
そして、私は今の生活を満喫しています。
周りのみんなも幸せになるように思考を誘導して、今ではみんな幸せそうです。
ヴァイスくんにはティアナにシグナムさん、エリオにはキャロとスバル、はやてちゃんとギンガにはゲンヤさん。ザフィーラさんにはアルフさんにリーゼ姉妹。
ふふふ、もうね、我慢しないの。自分がしたい通りにするの。
にゃははははははははははははは……
「ねえ、それで満足なの?」
私は上空から『私』を観察していました。
可哀そうな『私』。たった一つの勘違いで全てを狂わせてしまったのだから。
でも、私はもう遅いとわかっていても聞いてみました。
「ねえ、それで満足なの?」
『私』が私を見て驚きに目を見開きます。
「ねえ、本当にそれで満足なの?」
私の言葉に『私』が怯えた目を向けます。
「ま、満足だよ? だって、ユーノくんもフェイトちゃんも私のものになったんだもん! あ、あなたがなんなのかわからないけど、邪魔しないで!!」
そう。
「なら、一つだけ教えてあげる。あなたが勘違いしてたことを」
「勘違い?」
私の言葉に眉をひそめる『私』
「ユーノくんとフェイトちゃんは付き合ってなかったんだよ」
教えてあげました。
「え?」
『私』が呆けた顔をする。
「ユーノくん、あなたにするプレゼントを選ぶのに付き合ってって意味でフェイトちゃんに付き合ってって言ったんだよ? 本当はあなたに告白するつもりだったんだよ?」
私は続ける。本当のことを。
「う、嘘だ……そんなの嘘だ!!」
『私』が小さく首を振る。
そう思いたいんだね。でも、それが
「本当のことだよ」
私は憐みのこもった目で私を見ます。もう戻れない。もう二人を元に戻せないから。
「わ、私、わたし……あああああああああああああああああああ!!」
泣きだす『私』
私はそれを見てゲートを開きました。
「じゃあね、お幸せに」
そして、別の世界に転移しました。
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なんとなく、最低系オリ主を見てて、逆になのはさんが洗脳能力持ってたら……なんて想像したらこんなのに。
次はリクであったスクライアななのはさんとかいこっかなあ?