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No.21468の一覧
[0] 『銀魂 二次創作・オリ主』赤ちゃんは母乳をすごく美味しそうに飲むけど実際アレって美味しくないらしいよ[八郎](2010/08/26 19:17)
[1] 『銀魂 二次創作・オリ主』赤ちゃんは母乳をすごく美味しそうに飲むけど実際アレって美味しくないらしいよ 弐[八郎](2010/09/28 01:07)
[2] 『銀魂 二次創作・オリ主』赤ちゃんは母乳をすごく美味しそうに飲むけど実際アレって美味しくないらしいよ 参[八郎](2011/02/23 00:40)
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[21468] 『銀魂 二次創作・オリ主』赤ちゃんは母乳をすごく美味しそうに飲むけど実際アレって美味しくないらしいよ
Name: 八郎◆bc608e1a ID:c1dcaa88 次を表示する
Date: 2010/08/26 19:17
前書き

この小説は「小説家になろう」からの転載です。
オリ主至上・ご都合展開になる予定です。


・ ・ ・ ・ ・

 侍の国。
 俺たちの国がそう呼ばれていたのは、遥か昔の話だ。
 今や天人と呼ばれる宇宙人が町を闊歩し、侍は天人に支配され刀を捨てた。
 空には天人の船が雲と同等に浮かんでいる。
 そんな中、俺の仕事は時代遅れな舟の船頭だ。
 渡し舟の船頭である。このご時世、こんな商売をやっているのはきっと俺だけだ。
 もちろん客も、稼ぎも少ない。一日寝転がって過ごすなんてこともざらだ。
 だが、今日は大物がやって来たようだ。

「舟を出してもらえますか」

 初老の男は橋田賀兵衛と名乗った。
 俺のような何年も着回した着流しでなく、まるで今日俺に会うためだけに新調したかのような上等な着物を着ていた。
 もちろん、そんなわけはないだろうが。

 俺の舟は小さい。客は大人二名が定員だ。
 賀兵衛と付き人を乗せて、舟を出した。
 俺が舟を動かし、後ろに付き人、さらにその後ろに賀兵衛という順で座っている。
 気付かないとでも思っているのだろうか、賀兵衛も、付き人も、やたらと鋭い視線を投げかけてくる。
 櫂で舟を漕ぐ単純な動作が、奴らの視線で絡みつけられていた。
 恐怖や畏怖という念より、興味や品定めというものに近かった。
 それはつまり、俺にとってはいつもどおりということだ。
 目的地の中盤まで差し掛かった頃だろうか、無言だった賀兵衛がやおら言った。

「朱点童子だな」

 俺は漕ぐ手を止め、賀兵衛を見た。
 俺に近付いて来たときのやたら人が良さそうな笑みを止めて、己の目付きの悪さを露見している。

「仕事を頼みたい」

 そう、船頭では食っていけない。
 だから、副業と称して俺には裏の顔がある。
 といっても、自ら裏の道に入ったわけではない。
 寄ってくる奴らが綺麗でない奴らが多いため、いつの間にか裏に堕ちただけである。



 ふわふわの天然パーマ。小さくやわらかな肉。ふてぶてしい小さな双眸に見つめられている。
 彼の最初の挨拶は「ばぶぅ」だった。

「お主に頼みたいのは我が孫、勘七郎の用心棒だ。噂に違わぬ働きを期待しておるぞ」
「ちょっと待てじじい!!」

 去ろうとする賀兵衛の顔を容赦なく殴ると、障子を破って庭へ飛び出し、空中で何回転もした挙句、木にぶつかった。
 「賀兵衛様ー!」と慌てて駆け寄る付き人を尻目に、俺は縁側から怒鳴り込んだ。

「何が“噂に違わぬ働きを~”だ!
何の噂だ? 何の噂がどうなったら俺に餓鬼預けるっていうプランになる!
俺ぁベビーシッターじゃねぇんだよ!! 汗疹からも何も守りようがねぇぞ!!」
「話を聞け! 誰が毛も生えてないようなガキにベビーシッターを頼むか!!」
「お戯れを賀兵衛様ぁ!? 俺ぁ毛深ぇぞ! 胸毛とワキ毛全部繋がってて、入ったら迷子になっちまうくらいだかんな!!」

 数人がかりで賀兵衛は助け起こされ、そのまま飄々と説明を始めた。

「橋田屋は江戸一の大店だ。お前のような小僧にはわからんだろうが、店というものはここまで大きくするには想像を絶する苦労があるのだ。
謂れのない誹謗や中傷、なぜか回ってこない回覧板、毎週月曜日に家の前に置かれている生ゴミ、逆恨みする者も出てくる」
「途中苛めだったよな、苛めとしか考えられねぇ仕打ちがあったよな。なんで江戸一の大店がちっせえご近所トラブル受けてんだよ」
「そして、勘七郎は橋田屋唯一の跡取り。幼い赤子の勘七郎まで佐藤さんとのトラブルに巻き込まれては…」
「今佐藤さんつったな。もう犯人わかってんじゃん。回覧板回さねぇのも生ゴミ置くのも佐藤さんだろ。そうなんだろ」
「用心せねばならぬのだ。鼠一匹、勘七郎に近づけるな。妙な女が近付いたら、叩き切れ」

 最後だけ妙に格好つけて、神妙ぶって伝えると、付き人に抱え込まれながら賀兵衛は去っていった。
 部屋に残されたのは俺と、これから文字通り“お守り”をすることになった赤ん坊。
 祖父が殴られ吹き飛ぶという衝撃的な光景を目の当たりにしても、泣くどころか、云とも寸とも言わなかった。

「妙な女、ね…」

 そこでやっと、赤ん坊が「ばぶ」と言った。
 俺には何故か、不服そうに聞こえた。



 赤ん坊のお守りといわれ、ミルクやオムツ変えを想像していたのだが、俺の仕事はあくまで用心棒だった。
 ミルクやオムツ変えは女中や奉公人がやるし、今のところ曲者も出ていない。
 つまり…

「ふわーあ」

 暇なのである。
 このでかい欠伸もゆうに十回はした。
 餓鬼の頃から経営学を学ばせるとかで、昼間は店に赤ん坊を連れている。
 もちろん、赤ん坊に店を手伝わせるわけではなく、ただ従業員が右往左往する埃っぽい店の空気を吸わせているだけである。
 録に歩けもしない赤ん坊をこんなところに連れてきて何の意味があるんだと鼻で笑ったが、依頼主の気が変わるわけでもない。
 昼間は店、夜は屋敷を行き交う日々だ。
 俺はこの赤ん坊とともに特別室で待機している。
 女中は交代の時間とかで、ついさっき出て行った。

「あのじじい、やっぱ杞憂だったんじゃねえか。思い過ごしだったんじゃねえか。
回覧板もほんとは回ってきてるのにどっか失くしちまってるのを佐藤さんのせいにしてるだけじゃねぇか?
生ゴミも自分が夜食い散らかしてるのを女中に怒られんの嫌で佐藤さんのせいにしてるだけじゃねぇか? 佐藤さんほんとはいい人だって、畜生ー」
「あぶぅ」
「“あぶ”じゃねえよ、天然パーマ。ちっせえ頃から捻くれた頭しやがって。碌な大人になんねーぞ。いい年こいてジャンプ読みあさるような大人になんぞ」

 膝に乗せた赤ん坊と戯れる。
 嫌われちゃいないと思うが、笑いもしねぇし泣きもしねぇ。妙な餓鬼だ。
 うにーと赤ん坊の頬を引っ張る。無表情が伸びただけだった。
 俺のやる気は完全に地中深くに落ちて消え去っていた。
 だから、背後から猛烈な勢いで何かが迫ってくることに、気付くのに遅れた。
 櫂を取った。
 ぶつかる。
 強い衝撃が櫂を通じて全身に伝わった。
 目の端に刀の切っ先が映り、背筋に汗が伝った。

「腕を持て余してるみたいじゃないか…」

 ねちっこい声が鼓膜にまとわりついた。
 聞き覚えのない男の声だった。

「誰だ、手前」

 振り向けない。
 そんなことをしたら、切られる。

「あんたと同じ、ここの用心棒さあ。暇してるようだったから、ちょいと遊んでやろうと思ってねえ」

 かたかたかた、刀が鳴る。
 俺の首を取ろうと細かく動く。
 俺は櫂で必死に抑えつけた。
 こんな状況でも、赤ん坊は泣かない。くりくりした目で俺を見ている。

「いいねえ、あんた。変わったニオイがするよ」

 後ろから衣擦れの音がし、次いで、水を霧吹きで噴き出したような小さな音がした。
 すー、はー。
 男が息を吸って吐いたらしい。
 嫌に大きく聞こえた。

「ケモノとはまた違う…。もっと凶暴な、そう、化け物のニオイだ。あんた、とんでもないものを内に飼ってるね」

 刀が引かれた。

「もっとよく飼育できたら…相手をしてやるよ、ボウヤ」

 俺は間髪入れず、背後の男に櫂を振るった。

「うぎゃあああああ!!」

 手応えはなく、あがった悲鳴は今まで聞いていたねちっこさが欠片もなかった。
 背後には、グラサンをした割烹着の男が、寸でのところで俺の櫂を避けている。

「ちょ…っ、てめぇ、何しやがんだ!! 交代の時間だからって赤ん坊の世話見に来たらこれかよ!!
用心棒ってのは、奉公人にまで手ぇ挙げるわけ!? いたいけなオッサンにも手ぇ出すわけ!?」
「……って」
「え?」
「舐めやがって、あの糞野郎――!!」
「うぎゃあああああ!!」

 この俺の背後を取りやがった。
 この俺に情けをかけやがった。
 舐めやがって、舐めやがって!!
 グラサンのぼこぼこに潰れた顔を見て、多少気分が収まった。



・ ・ ・ ・ ・

後書き

オリジナル展開も含めますが、基本アニメ51、52話に沿って進めるつもりです。


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