「おーい、サイトくん」
毎朝の日課であるルイズの世話をしたあと、マルトーさんに朝食を恵んでもらった俺が広場でゴロゴロしていると見慣れない顔をした男の人に呼び起こされた。
「あれ?ウェールズさんですか?」
「ああ、今日はロバートの顔を借りてみたんだ」
魔法学院に潜伏中のウェールズ王子はフェイス・チェンジの魔法で変装をして日常を過ごしている。
しかし刺客を警戒してのことなのか、それともただ単にその日の気分の問題なのかは判らないが日替わりで顔を変えるのはやめて貰いたい。
毎日知らない人に話しかけられる人見知りの俺の気持ちも考えて欲しい。
「ん?でも今日の顔はなんか見覚えがあるような……」
実のところコーカソイドな顔つきをしたハルケギニアの人たちは、俺にはみんな似たように見えてしまう。
それでもいま目の前にある顔には頭の隅に何か引っかかる何かがあった。
「あー!!ボブだ!!」
「ん?そういえばサイトくんはロバートとフネの上で会っていたんだったか」
そう。
ルイズとアンリエッタ王女が考えるのを止めたウェールズ王子を誘拐したあと、ギーシュと俺を空賊船からアルビオンのお城まで案内してくれたのがボブだ。
しかし、まさかボブの名前が本当にボブだったとは。
適当につけたあだ名だったのに。
「彼はいまアルビオンで忙しく働いてくれているよ」
「本当ですか?!それはよかった……」
ボブとはアルビオン内戦の前日に別れてそれっきりだったため、安否を聞けてホッとした。
同時に今まで忘れていた自分の薄情さに多少の自己嫌悪もあるが……。
でもそれも仕方がないかも知れない。
なぜならボブのことに限らず、アルビオンでのことは記憶が曖昧なことが多いのだ。
はっきり思い出せるのはウエストウッドでテファに助けられたあとからだ。
それ以前のことは記憶が混濁している上に無理に思い出そうとすると頭が痛くなる。
確か森で迷って、動物に助けられて……。
「うーん……、キノコ……、ゴーレム……、ビンタ……ぐっ!!」
記憶を掘り起こす作業はいつものように頭痛により中断される。
もういいや、どうせ遭難中の記憶なんて碌なもんじゃない。
金輪際、思い出そうとするのはやめよう。
「サイトくん大丈夫か?!具合が悪そうだが……」
「ああ、気にしないでください。大したことじゃないんです」
「そうか……、しかし無理はしないように」
「ありがとうございます。……ところで今日は?」
まだ心配そうな顔をしているウェールズ王子に今日の要件を聞いた。
トリステインにやってきてからというものウェールズ王子はコルベール先生とヘンテコ発明を繰り返している。
そんな彼がアイディアのきっかけを求めて毎日話しを聞きに来るのがハルケギニアの外からやってきた俺なのだ。
「そうだ!今日はサイトくんに是非これを試してみて欲しくてね」
本来の用事を思いだしたウェールズ王子は打って変わって嬉々とした表情で俺に白い手袋を渡してきた。
「あの、これは?」
なんだろう。
タクシーのドライバーさんや警備員の人がつけているような白いペラペラの手袋だ。
「以前君に聞いた偉大なメイジの魔法をマジックアイテムで再現してみたんだよ」
偉大なメイジ?
ウェールズ王子は何を言っているんだ。
「とにかくそれをつけてみてくれ」
俺は言われるままに手袋を装着した。
「そして拳を握る」
「拳を握る、っと」
ウェールズ王子の言葉を復唱しながら行動する。
「そして拳を顔の横に持って行き……、開くっ」
「開く」
…………。
いったいなんなのだろうか?
何も起こらないようだが。
「あのー、ウェールズさん……これは……?」
「ふふふ……、成功だ!」
「え?」
事態を飲み込めない俺にウェールズ王子はどこから取り出したのか鏡を向けた。
「耳がでっかくなっちゃった」
鏡を持ちながら嬉しそうにそう言うウェールズ王子。
「……」
「あれ?なにか間違っていたかな。君に聞いた通りにできたと思うんだが」
目の前の鏡には右耳だけがうちわサイズになった俺が映っていた。
これはあれか?
マ○ー一門の彼が得意とするあの魔法(芸)なのか?
そういえば以前、ウェールズ王子誘拐(亡命)事件のフネの上でのことを細かく話したような……。
「いい出来だろう?それにはフェイスチェンジの魔法が応用してあって……」
ウェールズ王子がとても楽しそうにこの手袋の説明をしてくれている。
「次は、縦縞から横縞に変わるハンカチを開発するつもりだよ」
「あ……そうですか……」
なんかすごく生き生きしてるな。
俺は王子に変なことを教えてしまったのだろうか。
こんな人だったっけ?ウェールズ王子。
「じゃあサイトくん。私はコルベール先生と研究の続きに励むとするよ」
「あ、ちょっと!俺の耳はどうすれば……」
…………。
行ってしまった……。
言いたいこと言ってやりたいことやったら嵐のように去っていったな。
前々から何度も思ってたことだがハルケギニアの人たちって自分本位がすぎるだろう……。
俺の耳どうすりゃええの……。
顔の右側がすごく重い。
「……。とりあえず左耳も大きくしておくか……」
バランスが悪いし。
@@@@@@@@@@
「サイトさーん、サイトさん宛に荷物が届いたんですけど品物のお代を頂きたいそうで……、って耳がでっかい!!」
耳が大きいせいでうまく腕を枕にすることができず、結局大の字で広場に横になっていた俺のところにシエスタがやってきた。
「ああ、シエスタ。俺宛に荷物って?」
「え?あの、サイトさん宛にトリスタニアの武器屋さんから大きな剣が届いたんですけど……」
「大きな剣……?」
「はい……って、いやいやそれよりもサイトさんどうしたんですかその耳!!」
「あ~……シエスタ。男ってやつにはそういう時があるんだ……」
「え?ああ、はい……」
シエスタはものすごく困った顔をしている。
しかし、彼女もこの数カ月でややこしくてわけわからん出来事に対する耐性がだいぶついたらしい。
すぐに察したようだ。
どうせ下らないことなんだな、と。
そして説明するのが面倒なんだな、と。
「それで着払いっていくらなの?」
「なんでも100エキューということなんですけど……」
「でええええええええ!!100エキュー?!」
完全に詐欺です。
本当にありがとうございました。
「とりあえず、配達してくれた人のところに行かなきゃマズいだろうな……」
なんとかお引取り願えないものか。
………………。
…………。
……。
「おう、久しぶりだな!相棒」
学院の正門まで行くと聞き覚えのあるオッサン声が響いた。
「すいません、どちら様でしたっけ……?」
「そっちじゃねーよ!!オレオレ!!インテリジェンス・ソードのデルフリンガー様だよ!!」
配達してくれた方に頭を下げたら、地面に置かれた長い包みからツッコミが入った。
なるほど、こ汚い布で包まれたこの長い棒がその剣か。
「約束通り全部思い出したぜ!!さあ、俺を手にとってみな!!伝説の力、とくと御覧じろってんだ!!」
ふむ。
このオッサン声でまくし立てられ、俺もだんだん思い出してきた。
フーケから杖を取り返した後、ルイズとトリスタニアに買い物に行ったときに武器屋においてあったあの剣だ。
「……だけど、思い出したら学院に連絡を~って話だったと思うけど」
いきなり送りつけられて100エキューって困るんですけど。
「な~に言ってんだ、しゃらくせえ!!俺っちとオマエの仲だろうが?!」
「いや……でも……」
「ほらほら!!いいから手に取りなって!!そうすりゃ俺のスゴさがわかるってもんよ!!」
この剣メチャクチャうるせぇ……。
これ以上騒がれても堪らないので、言われたとおりに包み布を解き剣を手に取る。
「よし!!相棒、心を震わせろ!!」
いや、急に無茶言わないでくれ。
ただでさえ、送りつけ商法に遭って気分が落ち込んでるのに。
「ほ~れ、みろ!!お前さんのルーンと俺っちが共鳴してとんでもない力を……」
「うわ、見た目通りとてつもなく重い……」
「力を……」
「わあ、サイトさんカッコイイです」
「え?そうかな」
フラフラしながらもなんとか剣をそれっぽく構えるとシエスタが褒めてくれた。
なんか照れる。
「伝説の……」
だけどやっぱり重い。
いくらなんでもこの剣は大きすぎる。
こんな剣、プロレスラーサイズの人間でも振り回せるもんじゃないと思う。
「あの~……」
「ん?」
「そろそろ、お代を頂戴したいんですが……」
蚊帳の外だった配達員さんが俺の耳をチラチラ見ながら代金を請求する。
彼はさっきから何かを言いたそうにしていたが、果たして俺の耳にツッコミたかったのか代金が早く欲しかったのか……?
しかし、使い道のないものに100エキューはさすがに躊躇われる。
「あの、申し訳ないんですが……受取拒否ということで……」
「ちょっとまてー!!どうして何も起きないんだ?!」
強引に送りつけられた剣が耳元で喚く。
声でかいんだって……。
今の俺は耳が大きいせいでデビルイヤー状態なんだから加減をしてくれ。
「……そういえば俺ルーンが取れちゃったんだったな」
「取れた?!なんで?!どうして?!ありえねえだろそんなの?!」
この剣、グイグイ来るな……。
「いや、そんなこと言われても……」
「そうだ!!あの娘っ子は?!あいつがいれば俺っちの偉大さが……」
「ルイズは実家に帰省中だけど」
「…………」
「じゃあ、受取拒否の旨を武器屋のおやじさんに……」
「待ってくれー!!頼む、全部思い出したのにまたあそこで埃かぶって過ごすのは辛すぎる!!」
なんか可哀想になってきたな……。
武器屋の時も思ったが。
「後生だから、俺を買ってくれ……」
う~ん。
仕方ないか。
@@@@@@@@@@
「痛い出費だな……」
100エキューって。
シエスタが目を丸くしてたよ。
庶民がポンッと出していい金額じゃない。
まだ庶民にとっては大金といえる額を所持してるとはいえ、平民の俺からぼったくろうって金髪縦ロール貴族がこの学院には居るからな。
いつ無一文になってもおかしくない。
「まあ、いいじゃねえか。伝説の剣がたった100エキューで手に入ったんだぜ?」
「…………」
なんか買ってやった途端に態度がでかいな、この剣……。
いや、始めからか?
一瞬の同情でとんでもない後悔を背負い込んだ気がする。
置き場もないし寮の部屋に持ち込んでしまったが帰ってきたらルイズも怒るだろうな。
デカいし、うるさいし、汚いし。
「しっかし、ルーンが取れちまったとはいえオマエさん使い魔だろ?娘っ子に付いて行かなくてよかったのか?」
「ああ、それは……」
………………。
…………。
……。
サイトが送りつけ商法に遭う数日前。
「サイト。あたし少しの間帰省することになったから」
「ん?」
「おとなしく留守番してるのよ。落ちてるもの拾って食べちゃダメよ?」
「食べるか!」
俺は犬か何かか?
「しかし、急だな」
「お父様から一度顔を見せるようにって手紙が来たのよ。虚無の系統をしっかり修得できるように色々協力したいからって」
「ふ~ん。……ん?」
きょむのけいとう……?
「え?ルイズ自分が虚無だってこと言っちゃったの?」
学院長先生は黙っとけって言ってた気がするが……。
「は?そんなの伝えるに決まってるでしょうが。お父様もお母様もお姉さまたちも……昔からすっごく心配してくださってたのよ?」
「いや、まあそうだろうけど」
「なんなら、虚無に目覚めた姫さまの結婚式の当日に手紙を送ったわよ。わたし虚無でしたって」
軽いな!
いいのかそれで。
「でも学院長先生は……」
「……ああ、オールド・オスマンには注意されたわ。お父様から確認の手紙がいったそうだから」
面白くなさそうにルイズが話す。
「でも、そりゃ言うわよ!だいたいサイトには黙っとけって言ったらしいけど、わたしは何も言われてなかったもん」
まあ、学院長先生もさすがにルイズが自分からペラペラ喋るとは思わなかったんだろう。
それが、親といえども。
しかし、読みが甘かった。
この子、すっごく素直なんです(自分の思いつきには)。
召喚直後の他人に対するツンツンの壁が半壊したなら、自分の思考の壁は全壊。
思い立ったが吉日生活。
一体なぜこんな娘になってしまったのか……。
「しかし、虚無のこととなると俺は行かなくていいの?いや、絶対に行きたくはないけど一応使い魔だし」
偉い人に会う。
人の家でそいつの親と出くわす。
両方苦手なんだよ。
ダブル役満じゃないか。
「あのねぇ、これがわたしの使い魔ですってアンタを紹介したら、その場でエクスプロージョンを炸裂させても虚無って信じてもらえなくなるでしょ」
「確かに」
ただのオッサンだし。
「じゃあサイト、わたしもうそろそろ行くから後のこと頼むわよ。他所の使い魔のエサとっちゃダメよ?」
「盗らんわ!」
他の使い魔のエサなんて8割方、生肉か虫じゃねえか!
どんだけハラペコキャラなんだ、俺は。
……いやハラペコキャラか?これ……。
………………。
…………。
……。
「ということがあってだな」
「オマエさん、一体どういう扱いを受けてるんだ……」
「犬なのかな?」
「いや俺っちに聞かれても……」
「…………」
「…………」
猫かな……?
そんなカワイイもんでもないしな。
カラスかな。
「っておい!!相棒!!そっちそっち!!」
「うおっ、急にどうした」
アホな思考は大剣の大声でかき消された。
お前は口も何もないんだから急に大声出されたらビビるじゃねえか。
っていうかそっちってどっちだよ。
何のジェスチャーもない剣の言う『そっち』が分からんわ。
「そっちだっつってんだろ!!」
剣が発するオッサンの怒鳴り声に促されて辺りを見回すと俺の真後ろに何時ぞやのプラズマが出現していた。
すでに日が落ちてマジックアイテムの灯りだけが照らす部屋にもう一つの光源現わる。
「ああ、これ召喚のゲートだな……」
「……やけに冷静じゃねえか」
「まあ、3度目だし……」
だが、どういうことだろう?
ルイズが自分から俺を自宅に召喚するとは思えないんだが。
「…………」
「どうした相棒。行ってやんねえのか」
「嫌な予感がする……」
「嫌な予感?」
「ゲートを出た瞬間、公爵家の面々に圧迫面接をくらう可能性がある……」
「なんだそりゃ……」
「これは、『私達がお前の使い魔を審査してあげよう。さあルイズ、サモン・サーヴァントを唱えなさい。なぁに、私達が気に入る使い魔が出るまでアレしてアレすれば何度でも……』ってパターンかもしれん」
ご家族と使用人の方々数十人で取り囲まれた状態で面接開始かもしれない。
そしてアレしてアレされるかもしれない……。
「……行きたくないなら、ほっときゃいいんじゃねーか?」
「公爵家からの呼び出し無視したらイカンでしょう……」
どうする俺?
どうすんのよ……。
「よしっ!!しゃあねーな!!他ならぬ相棒のピンチだ。俺っちを一緒に持っていきな!!」
なんとか先方の印象をよくしなければ……。
「俺が相棒がいかにスゴいやつかキッチリ説教してやるぜ!!」
とりあえず菓子折りを持って行こう。
ついさっきマルトーさんが焼いてくれたクック・ベリー・パイが手つかずである。
ギーシュがどうしても"アレ"をやりたいってことで作ってもらったんだが。
ろくな包装はできないが、この絶品パイなら多少は好印象を……。
「なあに、いざとなったら娘っ子にコントラクト・サーヴァントでルーンを刻んでもらえば無敵の戦士のいっちょあがりよ!!」
あとは服をジャージから一張羅に着替えて……。
「よし!ちょっと召喚されてくる。留守番頼むなデル……デルナントカ!」
「へ、おいちょと待……無敵の……」
「デュワ!」
無精者特有の朝の早着替えスキルを発動し、パイを抱えて鏡のようなプラズマに俺は飛び込んだ。
「デルナントカって……」
@@@@@@@@@@
「おええええええええええ……」
3度目だというのに相変わらずこの召喚ゲートの無重力感には慣れない。
だが上も下も判らないなかでもクック・ベリー・パイの形は死守できた。
草ソムリエ、アニマリンガルに続いて、またハルケギニアで特殊技能を身につけてしまった。
無重力菓子(運び)職人。
「ちょっとサイト!召喚したらさっさとゲートをくぐりなさいよ!どれだけ待たせるの……って耳デッカ!」
「おう、ルイズ……。男ってやつにはそういう時があるん……はっ!」
ノックもなしに部屋に闖入してしまった。
だが、召喚のゲートをどうやってノックすればいいんだろうか……?
いや、それよりまず状況の確認を……。
「あっ、よろしくお願い致します!」
まず最初に目に飛び込んできたのはルイズの横におられる女性だ。
真っ先に45°の礼で挨拶を。
なるほどピンク髪か。
ルイズの親族だろう。
しかし、おっぱいが大きい。
ルイズ……の親族……か?
「あら、こちらこそよろしくお願いしますね」
この部屋の中にはルイズとこの女性しか居ないようだ。
人間は。
代わりに大量のアニマルたちが所狭しとひしめき合っている。
ここはルイズの実家のお屋敷なのだろうが、ルイズの部屋ではなさそうだ。
しかし、大勢の面接官ではなく大勢の動物で圧力をかけてくる圧迫面接とは……。
「ルイズ、この亜人さんがあなたの使い魔なの?」
「あのちいねえさま……。なぜか耳が大きいけどサイトは一応人間……のはずで……」
「そうなの?ごめんなさいね。わたしすぐ間違えるのよ」
「トリステイン魔法学院の使い魔サイト・ヒラガ!平民です!本日はよろしくおなしゃす!」
そして45°。
「うっさいサイト!急に大声出すな!」
「…………」
人見知りが命がけで面接に挑んでいるというのに。
ちょっと酷くないだろうか?
「ちょっと……さっきから何で兵士みたいに突っ立ってるのよ……?」
「……ルイズ、こういう時は『どうぞ、お掛けください』って言われるまでこうしとくもんなんだぞ」
「あらあら、ごめんなさいね。どうぞお掛けになって」
「失礼いたします!」
今度は15°で頭を下げ、浅く亀に座り、軽く握った手を膝の上に。
パーフェクト!
「ちいねえさまの亀に座るな!!」
「ブヘェっ!!!!」
ルイズに強か顔面をぶん殴られる。
なるほど。
やはり、緊張は拭えない。
大きな陸ガメに座ってしまっていた。
しかし、俺の近くには椅子どころか他に座れるようなものは無いようだが……。
「なるほど、これが圧迫面接か……」
恐ろしい……。
入室、着席の段階でセオリー通りには行かないとは。
トンチ合戦の始まりか……。
「もう、サイト!ちいねえさまの前で恥をかかせないでよ!」
「ふふ、あなたたち仲がいいのね」
「そんなことないわ!こんなやつ野良犬みたいなもんよ!」
「…………」
そうか。
正解は、『野良犬扱い』だったのか。
惜しかった。
@@@@@@@@@@
「そういうことなら早く言ってくれればいいのに……」
「アンタがゲートから出てくるなり奇行に走りだしたんでしょうが!」
まあ、いつものことだけど。とルイズが続ける。
どうやら今回の召喚は面接目的ではないようだった。
お姉さんであるカトレアさんに俺を見せたかっただけらしい。
「まったく!ちいねえさまは体が弱いんだから、部屋でバタバタしないでよ。アンタみたいな野良犬と違って繊細なのよ」
「本当にすみません……」
「ごめんなさいね。あなたが動物と話せるってルイズ聞いて一度会ってみたくて」
「そうなんすか」
さっきまでのドタバタがどこへやら。
すっかりと落ち着きを取り戻し(主に俺が)、俺が持参したクック・ベリー・パイをお茶請けにティータイムの時間だ。
夜だけど。
「ちいねえさまだって鳥のしゃべっていることがわかるのよ!」
なぜかルイズが胸を張って得意げだ。
「サイトさんもうちの子たちとお話をしてあげてくれないかしら?」
「ああ、いいですよ」
さて。
どのアニマルと話そうか。
「よしっ、君に決めた」
このクマと話そう。
クマ語は俺の一番得意とするアニマル言葉だ。
しかし、デカいなコイツ……。
全長3メートルはある。
襲ってきやしないだろうか……。
「こほんっ、では。ガウガウ、ガガウ、ガルルルル……?」
「グルルルルルル……」
「ガ、ガガウガウ。ガルルル、ガウ?」
「グルルルルルルル……」
ふむ……。
なるほど。
「ねえサイト……そのクマはなんて言ってるの?」
「ガガウガウ、ガウガウ、ガルルル、ガぶへぇっ!!」
「人間の言葉でしゃべれっ!」
「何も殴らなくても……。じゃあ直訳するぞ?」
…………。
『どうもこんにちわ、ご機嫌いかがですか?』
『なんだオマエは、田舎臭い訛りで話しかけやがって。どこの出身だ耳亜人』
『ア、アルビオンのクマ語です。御存知ですか?』
『ああ、聞いたことは有るよ。空に浮いてんだろ』
…………。
「って感じ」
「……なんの中身もない会話ね……」
「いや、だって……初対面のクマと何を話せばいいのやら……」
「というかクマ相手にへりくだりすぎでしょアンタ……」
「だって怖いし……」
「そもそもクマは呻ってただけじゃないの……。ホントに会話出来てたの?」
失敬な。
アルビオンへの留学(遭難)でネイティブ相手に本格習得したというのに。
というか、疑ってるなら召喚するなよ。
「まあ、サイトさんはそんなにハッキリと会話ができるのね」
「え?まあ」
すごいわ。とカトレアさんが感心してくれる。
美人に褒められかなり照れる。
動物の言いたいことのわかるカトレアさんが信じてくれたため、ルイズは疑惑の眼差しを俺に向けつつも引き下がる。
「ねえサイトさん。実はその子、森に帰りたがってるようだから放してあげようと思ってるんだけど詳しいことを訊いてくれないかしら?」
「いいですよ」
カトレアさんの頼みに浮かれ気分で返事をし、クマと再び向き合う。
「ガウガウガウガウ、グルルルルルル、ガガガウガウガウ」
「グルルルルルルル……」
なるほど……。
「なんて言ってるの?」
「ガガウ、ガウガ……」
「だから人の言葉でしゃべれっつってんでしょうが!」
「えーと……」
…………。
『あなたは森に帰りたいようですが、そこの女性が理由を知りたいそうです』
『おう、実は狩人に撃たれて手負いの俺をそこのピンクが助けてくれたんだ。イイもんも食わしてもらって本当に感謝してるぜ。ただ体が回復してくると森に残してきた妻と子どもが気になってよ。俺が狩人を引き付けてるうちに棲み家の穴ぐらまで逃げられたとは思うんだが、まだ子どもは小さいし子育てを母ちゃんだけに任せっきりっていうのもな。無関心な父親と過保護な母親っていうのは子どもの性格形成に良くないと聞くし……。それにしても、あの時の俺の勇敢さといったらクマ界にも名が響き渡るって、』
「だああああああああ!長いのよ!というかさっきと同じグルルルルル……しか言ってないじゃないの!あとちいねえさまのことをピンクって言うな!」
「熊がそう言ってるんだからしょうがないだろう……。そもそもクマ語というのは呻り声と身振り手振りをミックスした全身言語で、その情報量は人語の遥か上を……」
「いいから、結局何なの!」
「……家族のトコに帰りたいそうです」
なんで俺がルイズに怒られなきゃならないんだ……。
「そうなの……、またいつでも遊びに来てねって伝えてもらえるかしら?」
「ガウ」
「グルル……」
「『もちろんだぜ。ありがとな』だそうです」
「……どんどん疑わしくなるんだけど」
ルイズのジト目が俺を襲う。
「サイトさん、サイトさん、他の子たちともお話してみてくださいな」
「いいですよー」
「…………ま、いっか。ちいねえさま楽しそうだし……」
………………。
…………。
……。
@@@@@@@@@@
「あら、ちいねえさま。もうこんな時間だわ」
「まあ、だいぶ話し込んでしまったわね」
あれからどれだけ時間が立っただろうか。
カトレアさんに催促されるまま部屋のすべての動物と会話してしまった。
途中、トラのシッポを踏んで噛み殺されそうになったり、大蛇の尻尾を踏んでしまい絞め殺されそうになったり、何もしてないの小鳥に突つき殺されそうになったりというベタなハプニングもあったがクマに仲裁してもらいつつ平謝りをし事なきを得た。
ただ俺の一張羅はアニマルパワーに圧倒されズタボロだ……。
「あら?」
「どうしたの?ちいねえさま」
「わたしのパイの中に指輪が入っているわ」
ティーセットを片付けてもらうためにメイドさんを呼ぼうか、というときにカトレアさんが皿に残ったパイの中から何かを見つけた。
そうだ!すっかり忘れていた。
そういえば、このパイはギーシュたちと王様ゲームをやるために焼いてもらったものだった。
「ああ、それはガレット・デ・ロワといって……ブヘェッ!!」
「あんた、ちいねえさまに何食べさせてるのよ!ぶん殴るわよ!」
もう殴ってるじゃないか……。
せめて宣言した後に殴ってくれ。
「ルイズ……説明させてくれ……」
つまりこれは運試しゲームであり、当たった人はなんでも命令できるということ。
ギーシュが(おそらく邪な気持ちで)やりたいと言い出したこと。
指輪はいつのまにか俺が持っていたものをキレイに洗浄消毒したのちパイに投入されているということ。
「そういえば、ガリアの方にそのような風習があるのを聞いたことがあるわ」
そうなのか。
俺の世界ではフランスだった気がするけど、その辺はなんかガリアと繋がりがあるのかな?
「……なによ、早く言いなさいよ。それを」
「いや言おうとしたら、ぶん殴られたんですけど……」
「食べる前によ!知らないで食べたらただの異物じゃない!」
「おっしゃる通りです……」
「あらあら、今日は最後まで素敵なことがあるわね」
殺伐としかけた雰囲気にすかさずフローラルな風を流しこんでくれるカトレアさん。
いいお姉さんだな。
「しかし、運がいいですね。俺とカトレアさんのパイは20°くらいしかなかったのに……角度が」
「……ヒュー、スヒュー、ヒュー」
全然ごまかせてないぞルイズ。
そして口笛吹けてないぞ。
というか、ルイズがメイドさんに任せず自分で切り分けた時点でバレバレだったぞ。
そもそもルイズのパイだけパックマンみたいな形だったし。
カトレアさんはあふれる慈愛で暖かくルイズが切り分ける様子を見守っていたが……。
「じゃあ、楽しい時間をおしまいにする前に二人にお願いごとをしてもいいかしら?」
高貴な雰囲気プンプンのハンカチーフで指輪の汚れを拭い落とし、それを指にはめたカトレアさんが言った。
「もちろんよ。ちいねえさま」
「死なない程度の命令でお願いします」
「ちいねえさまがそんなことさせるわけないでしょ!」
そりゃそうか。
しかし、お願いとなるとどうも。
アルビオン絡みでルイズと王女さまがやたら危険なことに巻き込んでくれたから、つい身構えてしまう。
「まず、サイトさんにはわたしのお友達になってもらおうかしら」
「え、いいともー」
「ちゃんと答えろ!」
「本当に?嬉しいわ。わたし同年代のお友達がいなくて」
「俺も同年代の友達とか存在しないんで……」
「あんた、ちいねえさまがお友達になってくれたからって調子に乗るんじゃないわよ」
ねえさまに何かあったら、ただじゃおかないわよ……。と杖をちらつかせながら俺を睨むルイズ。
「また、お話しましょうね。サイトさん」
「はい、また機会があったら」
あるかな、機会。
ルイズの里帰りくらいしか無い気もするが、それさえも俺は付いて行かないことのほうが多い気がする。
「ルイズには今晩久しぶりにわたしと一緒に寝てもらおうかしら?」
「ちいねえさまー!」
ルイズがカトレアさんの胸に飛び込む。
とはいっても彼女の体を気遣ってとても優しく、だ。
しかし、なんと優しいお願いであろうか。
どこぞの内戦国に行けだのというお願いをされた方には大いに見習ってもらいたい。
………………。
…………。
……。
「さて、じゃあ俺はどうすればいいんだ?」
この後、ルイズとカトレアさんは諸々の支度をして就寝ってところだろ。
俺はどこで過ごせばいいんだ?
「ああ、アンタは竜の背中に括りつけて明日の朝までには学院に送り返してあげるわよ」
ほらそこ。とルイズが指差す窓の外には小さめの竜(それでも全長5メイルは軽くあるのだが)が羽ばたいていた。
「Whats?]
「だから、アンタ馬乗れないでしょ?当然竜なんて乗れるわけ無いでしょ?だから背中に括りつけて……」
何を言ってるんだこの娘は……。
「ウェールズ王子を連れ帰った時も同じだったから括りつけ方はバッチリよ。それに怪我をしているところをちいねえさまが保護した竜だから人に慣れていて賢いし、朝にいなくなってても竜籠の竜と違って使用人たちが騒ぐこともないし……」
すごいな。
竜まで拾って手当してあげてるのか……。
「戦争で傷ついた竜騎兵の竜がドサクサではぐれてたみたいなのよ」
ふ~ん、そうなのか。
って、そうじゃなくて!
「いや、せめて馬車とか……」
「ヴァリエールの紋章が入った馬車勝手に使えるわけ無いでしょ」
「普通の馬車でもいいんだが……」
「アンタが馬車で帰る数日の間に賊に襲われてもいいならいいけど」
「いや、護衛の方を……」
「そうなったら、この平民は何者だってなっちゃうじゃない」
賊はさすがにないだろ……?
いや、あるか。
アルビオン行きの一日で宿とフネで2回も襲われたからな。
…………。
「いやいや、え?オレ今から本当に帰るの?」
「あたしが帰省する前に言ったでしょ?アンタをお父様たちに見せたら……」
「でもカトレアさんには……」
「ちいねえさまは特別よ。エレオノールお姉さまがアンタを見たら……考えるだけでも恐ろしいわ……」
「使い魔じゃなくただのこ汚い平民ということで何とか押し通せば……」
「ただのこ汚い平民がいつの間にか、しかもこんな時間にちいねえさまの部屋に居るのはおかしいでしょうが」
いや、そうだけど。
いや、ホントにそうか?
もっとないか?他の方法。
この娘、もう自分の思いつきで俺を竜に乗っけて飛ばしたいだけなんじゃなかろうか?
子どもがカエルやカニを笹舟に乗せて川に流すようなアレで……。
「とにかく!ここでのわたしの使い魔。つまりアンタの設定は、ロバ・アル・カリイエにある国の高位貴族出身で、スクウェア・メイジで、剣の腕前も一流で、あらゆる方面の知識に長けていて、動物にも好かれ、ハンサムで身長185サントで独身、気が強くてメガネをかけてる研究職の金髪女性(27)がタイプで……」
「ちょ、ちょーっと!後半どうなってんの?いや、最初からおかしいけども……」
「仕方ないじゃない。お父様たちに使い魔の説明をしてる時にちょっと脚色を加えてたらいつの間にか、こうっなちゃったんだから」
ちょっとって……。
話を盛り過ぎでしょ、この娘。
そしてピンポイントな後半は何……?
「お父様たちみんなに認められるような設定を考えてたんだけど、段々エレオノールお姉さまが興味を持っちゃって……最終的にはこんな感じになっちゃった」
なっちゃった。じゃなくて……。
「まだ、召喚してないことにすればよかったんじゃ……」
「それこそ、その場で召喚してみなさいってなるでしょ。それで、『私達がお前の使い魔を審査してあげよう。さあルイズ、サモン・サーヴァントを唱えなさい。なぁに、私達が気に入る使い魔が出るまでアレしてアレすれば何度でも……』ってことだって100%ないとは言い切れないわ」
とくにアンタみたいなやつが召喚されたら。とルイズは続ける。
「…………」
「だいたいサモン・サーヴァントは進級試験だったんだから、わたしが落第してることになっちゃうじゃない」
「…………」
俺は、カトレアさん以外のルイズの家族とは一生会えないな……。
………………。
…………。
……。
@@@@@@@@@@
翌早朝、トリステイン魔法学院本塔。
「まったく、なんであたしが朝っぱらっから塔に引っかかったボロ布を掃除しなきゃならないんだよ……」
朝日が昇り、地平線がだんだんと明るくなるのを眺めている俺のもとにフライの呪文でフワフワとロングビルさんがやってきた。
「すいません、お手数かけて……」
「どわああああああああああああああああああああ!!!!ってサイトさん!」
どうやらボロ布が突然喋ったので相当に驚かれたらしい。
杖を落っことしかけ、慌てて空中での体勢を立てなおしている。
「すいません、驚かせてしまって」
「って耳デカっ!!」
「あ、これ小さくできます」
あの白い手袋で耳をグイグイ丸め込む。
すると、みるみるうちに俺の耳が小さくなっていった。
結局、この手袋は耳限定で誰にもフェイス・チェンジが可能という意味不明なマジックアイテムだった。
耳の穴に耳全体を小さくして押し込むなんて一発芸も可能だし、当然耳元でグッと握ってパッと開くと耳が大きくなる。
少しでもイケメンに近づこうと邪願をいだき鼻を高くしようと試みたが、耳とは違い何の変化も起きなかった。
「いやいや、そんなことより、一体何があったんですか……」
「……男ってやつには、そういう時があるんですよ……」
「…………」
「…………」
「サイトさん、どうせ下らないことでしょうし説明するのも面倒なんでしょうけど、私もオールド・オスマンに報告しなければいけないので下に降りたら説明してくださいね」
「あ、はい……」
………………。
…………。
……。
「虎や熊や蛇の相手をしてボロボロになってしまった、と」
「カトレアさんやルイズには優しく甘えるのに、何故か俺にだけ本気でじゃれついてくるんですよ」
「竜に括られて魔法学院まで送還されたと……」
「途中で縄が解けて一回落ちそうになったんですけど、竜って賢いですね。口で咥えて学院まで運んでくれました。しかし、まさか学院の塔の屋根の上に引っ掛けてSAYONARAとは思いませんでしたけど」
マラソンランナーが折り返し地点を回るようなスムーズさで塔を折り返し竜は帰っていった。
それに夏とはいえ高度数百メイルを高速配送は辛かった。
主に巨大化した耳が。
凍えて千切れそうな痛みに耐えながら頭を巡らせて、この手袋の耳縮小機能を発見したのは学院到着10分前の事だった。
「毎度毎度、よく生きてますね……」
「実は1回くらい死んでたりして、ワハハハハハハハ」
「…………」
なんで彼女は俺から目をそらすんだろう……。
場を和ます小粋なジョークのつもりが完全にスベってしまったようだ。
「そうだ。この手袋をテファにあげてくださいよ」
「え?」
「屋根に引っかかってる間に考えたんです。この手袋はテファのために使えるんじゃないかって」
「あ、……」
「どうぞ受け取ってください」
ロングビルさんにウェールズ王子の手袋を渡す。
「ありがとうございます……」
「はい、それを使ってウエストウッド周辺の人たち全員の耳を大きくしてしまえばテファも自分の耳を……」
「テファのお出かけ時の変装用に使わせていただきますね!」
「あ、そうすか……」
最後まで言う前に俺のアイディアは却下されたようだ。
「でも、いいんですか?これはサイトさんがあのアホ……じゃなくて、ウェールズ王子から下賜されたものじゃ……」
下賜って……。
そんな大層なものかな?
ただのパーティーグッズだと思うが、やはり王族から頂くとなると特別なのかな。
ハルケギニアに来てからどうも俺の中の王族に対する認識が変わってるから、なんとも……。
「いいんですよ。俺が持ってたってアホのギーシュを笑いで窒息させることくらいしか使い道がありませんから」
ハルケギニアに来てから不運続きなので、自分の耳を少し福耳にしておいたがこれ以上はもうすることもない。
「……はい。では、サイトさんからの贈り物としてテファに届けてあげます。サイトさんもまたウエストウッドに会いに行ってあげてくださいね」
そう言って笑うロングビルさん。
やっぱりこの人の笑顔は眩しいぜ……。
「よし、じゃあ俺はベッドで(藁で)、ゆっくり寝るとしますよ」
「そうですね、ゆっくり眠……あ、そうそう!」
「ん?」
「昨日の夜、女子寮のミス・ヴァリエールの部屋からカチャカチャっていう物音と男のすすり泣く声が聞こえて眠れないって苦情が周りの部屋の子たちからあったんですが、なにか知りませんか?」
え、なにそれこわい……。
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長らく更新をしていませんでした。
もし、続きを待っていてくれた人が居たなら、ありがとうございます。
そして本当にごめんなさい。
USBメモリの整理をしてる時にこの23話の未投稿テキストを発見しました。
あらためて1話から読み返して、書いた自分でもわけがわからないこの駄文SSの投稿を再開するか迷いましたが、どんなものでも途中で投げ出すのは良くないなと思い直し23話の投稿に至りました。
なお残り数話でこのSSは完結ですが、もし再び投稿が長期にわたって滞りそうだなと私が感じた場合、すでに書き上げてある『あれから数年~』といういかにも打ち切り的な最終回を投稿して完結となります(順調に投稿できた場合も同じ最終回ですが……)。
その場合も、ごめんなさい。