「え、と……。続きを話しても大丈夫ですか?サイトさん」
「ん?」
おみやげを何にしようか考えていたら、なにやら心配されてしまったようだ。
「あの……、シエスタの件で少しショックを受けられたようですから……」
「ああ……」
そういうことか。
確かにショックはでかいが、24歳のオッサンが17歳の女の子と付き合えないくらいで動揺したら……。
ロングビルさんに「こいつロリコンのうえに童貞かよ、キモっ!」と思われてしまうだろう。
オトナの余裕ってヤツを見せつけなければ。
「い、いやー、全然ショックなんて無いですよ!俺、前に居たところじゃ、しょっちゅう告白されてましたし!女の子とも100人ぐらい付き合ったかな?!」
「…………」
「……え、えっと、100人は言い過ぎましたけど10人くらい……いや、3人だったかな……」
「…………」
「……いや、あの……でも、1回もう少しでイケそうだって所まで行ったんですけど、お互いに酔いすぎちゃったって言うか……」
「…………」
「…………」
「…………さっき、女の子が俺に好意をもつなんて10輪廻転生しても、とかなんとか……?」
「…………スイマセン、キスすらしたことありません……(契約を除く)」
「いや、あの……、それはいいんですけど。……続きを話してもよろしいですか?」
「……はい、お願いします……」
「では、アンリエッタ王女の婚約から結婚式のあたりを……」
……。
@@@@@@@@@@
「なによコレ、全部白紙じゃない……」
まったく。
偽物を作るにしても、手を抜き過ぎじゃないかしら。
オールド・オスマンから渡された始祖の祈祷書は年代こそ感じさせるものの、明らかにニセモノだ。
しかも、肌身離さず持ち歩いて詔を考えなければいけないなんて。
でも、姫様たっての希望ということだ。
わたしは喜んで引き受けた。
……。
「おや、ミス・ヴァリエールじゃないか」
「あら、ウェー……サイト殿下」
考え事をしようと広場に出てきたらウェールズ王子に話しかけられた。
「……。やっぱりサイト殿下は止めてもらえないかな?」
「そんなこと出来ませんわ。殿下をサイト呼ばわりしているだけでも申し訳ないのに……」
「そ、そうか……。ところでその本は何かな?」
「コレですか……?これは……」
ウェールズ王子に一通り説明をする。
……。
「そうか……、アンリエッタの結婚式の……」
「ええ、でもなかなか思いつかなくて……」
「……。そうか……、では私も君が詔を作り上げる為に協力しようじゃないか」
「……え?……いやですわ、殿下。私は詔を考えているわけではありませんわ」
「ん?しかし君は今、なかなか思いつかなくて……、と……」
「わたしが考えていたのは、この結婚を破談に追い込む手段ですわ」
「…………」
「これで前日までに何もできなくとも、直接、式に参列できますし……」
「いや……」
「最悪、詔を読み上げる時にゲルマニア皇帝のアレを爆破しようと思ってるんですけど……」
「……そ、それは、なるべく止めてあげてくれないかな……」
「そうですわよね……。姫様に汚らしい血がかかってしまうかもしれませんし……」
「いや……、あの……、男として少し可哀想かなーっと……」
「……殿下、わたしに任せてくださいまし。必ず破談にして姫様と殿下を結びつけてみせますわ」
「アンリエッタが幸せなら私は別に……」
「姫様が殿下以外と結婚して、幸せになれるわけがないではありませんか!」
「それは…………」
「“貴族ならやってやれ”です!任せてください。必ず結婚式を潰してみせますわ!」
……。
@@@@@@@@@@
そして、アンリエッタの結婚式当日。
「ゔ~~~~、ウェールズ王子にあれだけ見栄を切っておいて結局なにも思いつかなかった……」
ゲルマニアの首府であるヴィンドボナにある大聖堂では、各国の王侯貴族がゲルマニア皇帝と姫様の結婚式を見守っている。
わたしも巫女として、端の方で待機していた。
もう結婚の誓いを行う寸前だ。
今は隅っこに居るわたしも、誓いが終わったら2人の前に行き、詔を読みあげなければならない。
姫様は先程からずっと悲しそうな顔をなされている……。
大聖堂に向かうまでのあいだは気丈にも観衆に笑顔で答えていたのに……。
「やっぱり、わたしが何とかしなくちゃ……!」
でもどうやって……?
やっぱり、爆破するしか……。
……こんな時サイトなら、どうするだろうか。
アイツはアホだけど、こういう土壇場ではそこそこ頭が回る。
「まったく、この大事なときに勝手に居なくなって!アイツは何処で油売ってんのよ!」
サイトへの怒りで拳を握りしめると、姫様からお借りした(借りパクした)水のルビーが光っていることに気づいた。
「あれ?」
始祖の祈祷書も光っている。
なんだろう、これは。
ゆっくり祈祷書を開く。
序文。
これより我が知りし真理をこの書に記す。
この世のすべての物質は、小さな粒より為る。
四の系統はその小さな粒に干渉し、影響を与え、かつ変化せしめる呪文なり。
神は我にさらなる力を与えられた。
四の系統が影響を与えし小さな粒は、さらに小さな粒より為る。
神が我に与えしその系統は、四の何れにも属せず。
我が系統はさらなる小さき粒に干渉し、影響を与え、かつ変化せしめる呪文なり。
四にあらざれば零。
零すなわちこれ虚無。
我は神が我に与えし零を虚無の系統と名づけん。
……。
「……フ、フフフフフッ……」
笑いが込み上げてくる。
虚無?
そんなことはどうでもいい。
今わたしは、姫様の結婚式を潰す手段を手に入れたのだ。
わたしを友だちと言ってくれた姫様の悲しい顔をこれ以上見なくて済むのだ。
大聖堂に居る全員がゲルマニア皇帝と姫様に注目している今。
「エオルー・スーヌ・フィル・ヤルンサクサ」
わたしは一人、後ろを向き壁に向かって祈祷書に書かれたルーン文字を小声で読み上げる。
「オス・スーヌ・ウリュ・ル・ラド」
わかりました、始祖ブリミル。
「ベオーズス・ユル・スヴュエル・カノ・オシェラ」
あなたの言いたいことが「言葉」ではなく「心」で。
「ジェラ・イサ・ウンジュー・ハガル・ベオークン・イル」
つまり……。
「ブッ潰すと心のなかで思ったのなら、そのとき既に行動は終っているんですね……」
次の瞬間、大聖堂は白い光につつまれた。
……。
@@@@@@@@@@
「へー、白い光ですか」
「はい、そして光が止んで列席者が目を開けると大聖堂は綺麗サッパリ消え失せていました」
「え?人はそのままで、建物だけが?」
「はい、正確には大聖堂とアルブレヒト3世の衣服ですね」
「…………What?」
「はじめは何かの趣向かと静かにしていた列席者も、それに気がつくと流石にざわつき始めました……」
@@@@@@@@@@
ざわ… ざわ… ざわ…
「……誰か!早く閣下に羽織るものを……!」
「落ち着けい!そんなことより周囲に警戒しろ!レコン・キスタの仕業かもしれん!」
慌てる部下をたしなめ、冷静に行動するゲルマニア皇帝。
「おお……、流石は帝政ゲルマニアの皇帝だ……」
「こんな状況(全裸)でもなんと威厳のある姿……」
観衆も、その堂々とした振る舞いに感心する。
「アンリエッタ王女、大丈夫だ。オマエは私が守る」
そして、自らが全裸でも王女を気遣うアルブレヒト3世。
「…………」
「アンリエッタ……?」
皇帝と向い合ってはいるが、何故か目線が下を向いているアンリエッタ王女。
観衆も、俯き加減の王女様に心配を隠せない。
「…………………………ふっ」
ざわ… ざわ… ざわ…
「おお……、アンリエッタ王女が笑われた……」
「大聖堂に入ってから、ずっと悲しそうにしていたアンリエッタ王女が……」
「閣下の“閣下”を見て……」
「(鼻で)笑われた……」
観衆も、その笑顔に心を奪われる。
「グフッ……」
そして膝を付くアルブレヒト3世。
ざわ… ざわ… ざわ…
「ああっ、閣下が……」
「列席者どころか、大聖堂の周りに集まった大観衆に全裸を晒しても威厳を失わなかった閣下が……」
「膝から崩れ落ちた……」
「誰かー!早く閣下に羽織るものをー!」
……。
@@@@@@@@@@
世紀の結婚式から数日後。
「しかし、凄いことになってしまったな……」
学院の広場で昼寝をしながら思い出す。
自分の中で、ケジメをつけようと変装してアンリエッタの結婚式をコッソリ覗きに行ったのだが。
まさか、あのような事態になるとは……。
結局、式は中止に。
それに、いろいろな要素も絡んで、いまや婚約と同盟そのものが危ぶまれる状態だ。
「やはり、あれはミス・ヴァリエールがやったのだろうか……?」
爆破よりもましだが、アレはアレでヒドい……。
アルブレヒト3世は何も悪いことをしていないのに……。
「ウェールズさま~!」
「ん?」
目を開けて声のする方に顔を向けると、ミス・ヴァリエールが私に向かって駆け寄ってくる。
「ウェールズさま!」
そして、何故か私の胸に飛び込んでくるミス・ヴァリエール。
「ミ、ミス・ヴァリエール。その名は、ここでは……」
「え?どうしてなのですか?」
「え?今、私はサイトくんとして潜伏しているんだから、その名はマズイだろう……」
「そ、そうでしたわね!」
「…………?」
何か、おかしいな?
「ああ、ところで結婚式でのアレは……、君がやったのかな……?」
「アレ?」
「あの、白い光は……」
「ウェールズさま、わたくしの結婚式にいらしていたんですか!?」
「わたくしの……?」
「…………はっ!」
「君は……、もしかして……」
まさか……。
また、やってしまったのか……この娘は……?
……。
「サイト殿下~~」
「ん?」
後ろを振り向くと、またしてもミス・ヴァリエールが私の方へ駆け寄ってくる。
「サイト殿下……。あらっ……?…………ちょ、ちょっと何よ!なんでわたしがもう一人居るの?!」
「いや、ミス・ヴァリエール……これは……」
「アンタ……、わたしを騙って殿下に近づくとは、いい度胸ね……」
ユラリとした動きで杖を取り出し、構えるミス・ヴァリエール。
「まって、ルイズ!わたくしよ」
「え?」
「……あ~~……ミス・ヴァリエール、大変遺憾なのだが……アンリエッタが今度は一人で脱走してしまったらしい……」
「……そういえば、その胸……、そして、そのティアラ……」
自分の偽者をミス・ヴァリエールはじっくり眺め回す。
「わたくしですわ、ルイズ」
「ひ、姫様~」
がっしりと抱き合う同じ顔の二人。
たしかに、偽ミス・ヴァリエールは学院の制服こそ身につけているが……。
今思えば、本物よりも背が高いし、身体が成熟して見える。
しかし、ティアラは外さないとマズイだろう……。
「アンリエッタ……、それにしても、その顔はどうやって……?」
「フェイス・チェンジですわ」
「フェイス・チェンジって……、スクウェア・スペルじゃないか……」
「なんかやってみたら出来ました」
そんな簡単にスクウェア・スペルを……。
「スゴイじゃないですか!姫様!」
「ウェールズさまに会えると思えば、なんでもできますわ」
「そ、そうか……」
アンリエッタ……、こんなにアグレッシブな娘だったかな……?
……。
「なるほど……やはり、ミス・ヴァリエールが……それも虚無とは……」
本物のミス・ヴァリエールに白い光の事を尋ねると、やはり彼女の仕業ということだった。
「ええ、姫様に頂いた(借りパクした)水のルビーと始祖の祈祷書、この二つが鍵になっていたようです」
「スゴイわ、ルイズ!あなたが虚無の担い手だなんて。……でも、その指輪は確かアルビオン出発前日に貸しただけだったような……」
「姫様!このルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、これから先、姫様に仇なす者は皆、光の彼方に葬り去ってみせますわ!」
「えと、とても頼もしいのですが……。……まあ、わたくしが持っていても役に立つものではありませんしね。その指輪はルイズに与えますわ」
「ありがとうございます!」
「…………」
これが、この国の王女と虚無の担い手か……。
トリステイン……。
……。
@@@@@@@@@@
「……結局、結婚はどうなったんですか?」
「式は即刻中止されました。そして、婚約や同盟についても見直されようとしていますね」
「え?そんな……」
何のために、俺達はアルビオンに乗り込んだんだ……。
何のために、俺は100日間も迷子になったというんだ……。
「まず、トリステインとゲルマニアにとって同盟や結婚のメリットが無くなってきているというのがあります」
「はぁ……」
「トリステインは元々ほとんどの貴族が心情的にゲルマニアとの同盟は反対ですし……、ましてや次期女王のアンリエッタ王女が嫁ぐわけですから……。同盟の最大の理由、アルビオンの脅威も現時点では無いに等しいですし」
王女様が嫁いだら、誰が王位を継ぐ予定だったんだろう?
ルイズのお父さんとか、かな?
「ゲルマニアは始祖の血筋が欲しいというのはあるのでしょうが……。アルブレヒト3世がアンリエッタ王女との結婚に消極的になっていて……」
「それは……」
しょうが無いよ……。
俺だったら、豆腐の角に頭ぶつけて自殺するレベル。
「……婚約が発表された直後からも良くない噂などがあったんです……」
「噂?」
「はい、アンリエッタ王女がウェールズ王子の子供を身篭っていたとか……、実は空賊の親分の子だとか……、既に出産しているとか……、空中で出産したとか……。丁度、噂の日付にアンリエッタ王女は体調不良ということで姿を表しませんでしたし……」
「…………」
「このような噂が何故かトリステインのフナ乗りたちから広まって……」
「…………」
「間の悪いことに、神聖アルビオン共和国からアンリエッタ王女直筆の王家の紋章入りラブレターが公開されて……」
「…………」
「アルブレヒト3世は噂を笑って受け流してくれていたんですけど……、式当日にあんな事が……」
「……不憫すぎる……」
そして、ごめんなさい……。
その噂100%俺達のせいです……。
そして、ラブレター……。
俺がオリバーさんに渡したヤツかな?
オリバーさんアルビオンの貴族派に手紙を取り上げられちゃったのか?
……。
まあ、いまさら考えてもしょうが無い。
あれがラブレターかどうかも俺は知らんし。
ドンマイ、ドンマイ。
「それにしても、お姫様は城を抜けだしてまで王子様に会いに来るとは……」
「ちょくちょく来ますよ」
「マジすか!」
「ええ、毎回だれかに化けて学院にやってくるんですけど……」
あの王子誘拐旅行で脱走癖がついてしまったのか……。
「いつもティアラを着けているので、すぐわかります」
それは……、化ける気あるのか……?
「バカ殿が白塗りで城下に遊びにいくようなものですね」
「バカ……?」
「ああ、こっちの話です、……しかし、それじゃあ爺も大変でしょうに……」
「じい……?……マザリーニ宰相のことでしょうか」
「学院にやって来た時もお姫様の近くにいましたよね。やっぱり、あの人が連れ戻しに来るんですか?」
「いえ、さすがに宰相が直接迎えに来るということは……」
そりゃそうか。
「毎回、銃士隊のアニエスという人が連れ戻しに来ますよ」
誰だ、それ?
「それに、マザリーニ宰相は……」
……。
@@@@@@@@@@
王女帰還直後、ある日のトリステイン王宮。
廊下を歩くヴァリエール公爵。
「おお、これは枢機卿」
「……これはヴァリエール公爵。お久しぶりですな……」
「ふむ……、なにやら顔色が悪いようだが。どうかなされたのかな?」
「はは……、少々、頭の痛いことがありましてな……やらなければならないことも山積みですし……」
「水のメイジに診てもらった方が良いのではないか?」
「……そうですな。時間ができたら診てもらうことにします……」
……。
アンリエッタ王女結婚式直後、ある日のトリステイン王宮。
廊下を歩くヴァリエール公爵。
「ん?……そこの者、大丈夫か?だいぶフラついているが?」
「……おお……、ヴァリエール公爵……」
「なっ!枢機卿!?以前にも増して顔色が悪くなっているぞ!」
「な……何……、姫殿下の式のことで、ゲルマニアや我が国の貴族たちから少々うるさく言われましてな……」
「とにかく、今すぐ水メイジに診せなくては……生まれたての仔羊が歩いているようだぞ」
「いや……、私は、まだやることが……」
「そんな場合では、ないだろう……」
……。
アンリエッタ数回目の脱走中、ある日のトリステイン王宮。
廊下を歩くヴァリエール公爵。
「ん?……誰だ、こんなところにボロ布を置いているのは……」
「……うう………………う……」
「枢機卿!?どうしたというのだ、いったい!」
「…………おお、……公爵、……なに……姫殿下が少々ヤンチャでしてな……おちおち仕事もしていられず……」
「いや!それより、アナタは大丈夫なのか!?」
「…………だ、……だいじょうぶい……」
「だ、誰かー!医者だ!医者を呼んでくれー!」
……。
@@@@@@@@@@
「……凄まじい、心労っすね……」
「ええ……、ただでさえトリステインの政治を一手に担っているのに、ここの最近の心労は計り知れないですね……」
桑マンも大変だなあ……。
「宰相に負担がかかりすぎている現状を見かねたヴァリエール公爵がマリアンヌ皇后に進言したようで……。近々、皇后様が女王に即位するようです」
「まあ、王女様がアレじゃあ……」
「ええ……、マリアンヌ皇后も、さすがに今のアンリエッタ王女が王位につくのは、よろしくないと思ったようです」
「あれ?桑マンといえば……、田代さんはどうしたんですか?」
「タシロ……?」
「ああ、田代じゃないや、……えーと」
……。
あの人の名前なんだっけ……?
「えと、ヒゲを生やして……、グラサン……はかけてないな……、帽子をかぶった……、グリフォンに乗ってる……」
「ああ、ワルド子爵ですね」
「!そうです!ワルドさん!」
「正確には元子爵ですが」
「元……?」
「彼は、爵位を剥奪されて、領地も没収されました」
「ええ?!一体何が……。もしやロリコンがバレて……」
「いえ、彼はレコン・キスタのスパイだったようです」
「ああ、そうなんですか」
「…………。……あまり、驚かないですね……」
「もう、あの人のこと、ほとんど覚えていないので……」
「…………。……実は旅の間、アンリエッタ王女をオールド・オスマンの偏在が見守っていたんですけど……」
「へー……」
「特に偏在が活躍することは無かったようですが、ワルド子爵の正体は影から丸見えだったようです」
「なるほど」
「サイトさんたちを襲った白仮面も彼の偏在だったようですよ」
「ああ……、ルイズに速攻で撃ち落されたアレが……」
しかし、ロリコンの上に白仮面とは……。
「魔法衛士隊隊長も当然解任されました」
「……それで、彼の後釜にダチョウCLUBというわけですね?」
「いえ、違いますが……。……ダチョウ?」
「スイマセン、なんでもないです……」
「?……よくわかりませんが……。彼は今、トリステインとレコン・キスタの2重スパイをしていて、どっちつかずのコウモリ状態のようです」
「どちらにも信用されてないと……」
「あと、ときどき学院に来てはミス・ヴァリエールを口説いていますね」
「そっすか……」
筋金入りのロリコンだな……。
「でも、ヴァリエール公爵が怒って婚約は解消されたようですし、ミス・ヴァリエールも相手にしていませんね」
「まあ、裏切り者ですしね」
「そういえばヴァリエール公爵はモット伯にも激怒しているようで、ワルドとモット伯の2人には刺客を送り込んだという噂が……」
モット伯……、人形好きのHENTAIさんだっけか……。
「なんか、物騒ですね……」
「ちなみにモット伯は男性機能を失って神官の道に進んだそうです」
「怖っ!」
「刺客の噂が本当かどうかは判りませんが……」
ルイズに近づくHENTAIは去勢されてしまうというのか……。
俺も気をつけなければ……。
俺はHENTAIじゃないけど……。
…………たぶん。
@@@@@@@@@@
* 20話のあとがきで、次回アルビオン編完結と書いたな……、アレは嘘だ。
* ……ごめんなさい、次回サイトが学院に帰還して本当に完結です。