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No.21361の一覧
[0] アッカンベーしてさよなら(ゼロの使い魔 オリ主召喚 チラ裏から移動)[しがない社会人](2013/11/08 22:43)
[1] 第1話 鏡の中からボワッと[しがない社会人](2013/11/08 22:35)
[2] 第2話 外出[しがない社会人](2013/11/08 22:36)
[3] 第3話 使い魔[しがない社会人](2013/11/08 22:36)
[4] 第4話 初仕事[しがない社会人](2013/11/08 22:36)
[5] 第5話 まかない[しがない社会人](2013/11/08 22:37)
[6] 第6話 2のルイズ[しがない社会人](2013/11/08 22:37)
[7] 第7話 クリプトナイト(液体)[しがない社会人](2013/11/08 22:37)
[8] 第8話 決闘~消えるオッサン~[しがない社会人](2013/11/08 22:37)
[9] 第9話 決闘~ファン○ム大魔球~[しがない社会人](2013/11/08 22:38)
[10] 第10話 玉職人[しがない社会人](2013/11/08 22:38)
[11] 第11話 農夫[しがない社会人](2013/11/08 22:38)
[12] 第12話 千の風になって[しがない社会人](2013/11/08 22:39)
[13] 第13話 副収入[しがない社会人](2013/11/08 22:39)
[14] 第14話 伝説の剣[しがない社会人](2013/11/08 22:39)
[15] 第15話 コピーロボット[しがない社会人](2013/11/08 22:39)
[16] 第16話 訪問勧誘お断り[しがない社会人](2013/11/08 22:40)
[17] 第17話 特攻野郎ゼロチーム[しがない社会人](2013/11/08 22:40)
[18] 第18話 決闘2~また消えるオッサン~[しがない社会人](2013/11/08 22:40)
[19] 第19話 パイレーツ・オブ・アルビオン[しがない社会人](2013/11/08 22:41)
[20] 第20話 迷子[しがない社会人](2013/11/08 22:41)
[21] 第21話 ハルケギニア動乱 前半[しがない社会人](2013/11/08 22:41)
[22] 第21話 ハルケギニア動乱 後半[しがない社会人](2013/11/08 22:42)
[23] 第22話 帰ってきたヨッパライ[しがない社会人](2013/11/08 22:42)
[24] 第23話 ガウリンガル[しがない社会人](2013/11/08 22:43)
[25] 第24話 惚れ薬[しがない社会人](2013/11/08 22:45)
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[21361] 第14話 伝説の剣
Name: しがない社会人◆f26fa675 ID:18adeda4 前を表示する / 次を表示する
Date: 2013/11/08 22:39




ここ臭っせ……。


今日はルイズと一緒に王都で買物だ。
ということで馬を借りに馬小屋に来た。

しかし臭い。
動物園の香ばしい匂いがする。
あたりまえだが。

ちなみにデートに行くなら動物園より水族館の方が良いらしい。
匂いがしないからとか……。
何かの雑誌で読んだ。

俺にとっては完全にトリビア(ムダ知識)の領域だが。
真実かどうかも判らんし。

「というか俺、馬乗ったことないけど……」

「……アンタどんだけ田舎ものなのよ」

「……一応、俺の居たところは30万人くらいの人口だと思うけど……」

確かH市はそんぐらい人が居たはず。

「何それ!大都市じゃない!?」

「いや、大都市というわけでも……」

「で?そこでは何で移動してたの?」

「俺は原チャリかなぁ……」

俺は愛車の黒王号(H○NDAの黒スクーター、命名・俺)に乗っていた。

「原チャリ?」

「うーん……。2輪で……クイッとすると勝手に車輪が回る乗り物かな」

「へー……って!そんなことはいいのよ!とにかく一回馬に乗ってみなさいよ」

「えぇー……」

……。





パカラっパカラっパカラっ。

暴れん坊将軍!
テデ゙デーン!デデデデーン!
てーててー、ててーててー、てーてーてーててー。
……。

結局俺は今、ルイズの後ろに乗せてもらっている。
ヒヅメの音が小気味よく響く。

俺も馬に跨ってみたのだが全く言うことを聞いてくれなかった。

振り落とそうともしないんだが、ビクともしない。
俺が乗ってんのに普通に飼葉を食べ始めた。
挙句、寝た。

3頭乗ってもみんな同じだったのでルイズに乗せてもらうことになったのだ。

まさか馬にシカトされるとは……。

……うま……しか。
馬……鹿……。
Oh……。

「ちょっと、もっとしっかり力入れないと落ちるわよ?」

「ああ、はいはい……」

そしてルイズのお腹に手を回してるわけだが。
なんか力加減が……。
HENTAIと思われないかな。
お腹に回した手から童貞のイヤラしい邪心が伝わらないだろうか?

「ちょっと!ほんとに落ちるわよ?!」

「はいはい」

力を入れて、しっかり掴まる。

全く。
女の子に抱きつくなんてキョドるに決まってるじゃないか。
これが松平健なら安心して抱きつけるのに……。

まあ暴れん坊将軍に抱きつくというのもアレだが。





「そういえばルイズってお小遣い、いくら貰ってるの?」

「え?私は毎月500エキューだけど」

うーん。
なるほど。
じゃあ100エキュー1万円ぐらいかな?
思ったより買い物できそうだ。

学院長太っ腹だな。
日給2万円とは。

……。





なんだかんだで王都到着。

「腰が痛い……」

「アンタ軟弱ねぇ……」

「だって俺のところ鐙無いじゃん……衝撃が殺せないんだもん……」

鞍は二人乗り用があったんだが、鐙は前の人にしか付いてなかった。
なんで後ろにも付けないんだろ。
腰の丈夫な人しか後ろに乗らないルールでもあるのかな?





「しかし狭いな……」

「狭い?これでも大通りなんだけど」

「そうなの?人も多いし、歩きづらいんだけど……」

俺とルイズの財布(布袋)を突っ込んでパンパンになったショルダーバッグが邪魔で余計に歩きづらい。

「……スリには気をつけてよね。注意して無いと、魔法を使ってスられたら絶対気付けないわよ」

「ふーん」

そういえばさっきからショルダーバッグが軽くなったり重くなったりしている。
フワっとしたりドスンときたり……。
誰かがスろうとしてたのか。
ジッパーの開け方が解らないのかな?

なんにしろ腰に響くのでやめてもらいたい。

……。





ここ臭っせ……。


「う~ん。このあたりだと思うんだけど……」

ルイズに連れられてやって来たのはゴミや酔っぱらいの作品が散乱している小汚い場所だった。
女の子が来る場所じゃねーぞ、これ。
まずは武器を買おうということで来たのだが……。
さっさと選んでルイズをここから離さなくては。
教育によろしくない。

「ああ、アレじゃないか?」

剣を模した、いかにもそれっぽい看板がぶら下がってる。

「そうみたいね。じゃ行きましょ」

……。





店内に入ると、ところ狭しと武器が置いてある。

「いらっしゃい……。……おいおい、うちは貴族の御厄介になるようなことはしてませんぜ?」

「客よ」

「コイツは驚いた。貴族様が武器を?」

「コイツに持たせるのよ」

「……なるほど、最近は土塊のフーケなんていう盗賊が巷を騒がしてますからねぇ。従者に武器を持たす貴族様も増えていますよ」

「「……」」

フーケね。
結局何がしたかったんだろう。
盗んだなら、さっさと逃げて売っぱらえばいいのに。
あんな中途半端な場所に破壊の杖を置いて。

今は砂になって風に吹かれているのかもしれないが。

「じゃあ、この店で一番いい剣を持ってきてちょうだい」

「へぇ、少々お待ちを」

剣か……。
あんまり刃物は持ちたくないな。
それに一番いい剣か……高いだろうに。

「おまたせしやした。コイツがこの店一番の剣です」

「あら。なかなかカッコいいじゃない」

「コイツはゲルマニアの錬金術師シュペー卿・作の業物でさぁ。鉄だって切り裂きますぜ」

宝飾ゴテゴテの剣だ。
こんなもん恥ずかしくて持ち歩けないよ……。
どんなセンスだよ……。

それに、高そうだ。
なので、

「でも、お高いんでしょう?」

通販番組のサクラみたいに訊いてみる。

「金貨2000、新金貨で3000てとこですかねぇ」

「さらに同じ物をもう一つ付けて!」

「え?」

「え?」

「……あの、コイツはこれ1振りっきりですが……」

「ああ、そうですか」

せめて専用アタッチメントを1年分……。

「……サイトはちょっと黙ってて」

「……」

黙っててなんて人生で初めて言われた。
いつも、もっと喋れって言われるのに。

「それにしても、ちょっと!なんで剣一本で2000エキューもするのよ!庭付きの豪邸が買えるわよ!」

へー……そんな高い剣が寂びれた店に良くあるなぁ。

……。

……え?
2000で庭付きの豪邸買えるの……?
……。

マジかよ……。
じゃあ俺の200は……。

とんでもない大金じゃん。
何持ち歩いてんだ俺は。
大御所きどりか俺は。
まるで勝新太郎じゃないか。

学院長ェ……。
なんで、こんな大金を……。
一体どういうつもりなんだ?
……。

まあいい。
あとで物乞いさん10人くらいに、1枚づつあげよう。
一人でこんな金持ってても罪悪感で使う気にならん。
少しおすそ分けしなくては。

でも、やっぱり小市民なんだなぁ俺は。
みんな!俺が奢ってやる!付いて来い!っていつかは言ってみたい。
……。





ふと見るとルイズはなんか思案中だ。

「で?貴族様、お買い上げ頂けるんで?」

「う~ん……」

……。

「ルイズ。その剣はやめようよ」

「え?どうしてよ?」

「長すぎるって。狭い屋内じゃ絶対使えないし外でも俺には無理。大体持ち歩けないし」

1.5mぐらいある。

「そうねぇ……」

「それに刃物は持ちたくないんだけど……」

「なんでよ?」

「いや、刃物を躊躇いなく振り回せるような人生歩んでないんで……」

ヤダよ、人を切るとか。
紙でピッと切った傷でさえ見たくないのに。

「うーん。じゃあどうするのよ?」

と、突然。

「やめとけ!やめとけ!そんな腑抜けたこと言ってるやつは武器なんて使えねぇよ!」

「コラッ!お客サンに失礼なこと言うな!オメエは黙ってろ!」

なんだ?
下の方からオッサンの声が。
しかしルイズの声よりも下からだったぞ。
いるのか?そんなちっさいオッサン。

「おいおい、どこ見てんだ!ここだよここ!」

どうやら樽に乱雑に突っ込まれた武器から聞こえているらしい。

「これかな?」

手に取ってみる。

「おう、そうだよ。オメエさん武器持ったって、どうせ使わねーだろ?さっさと帰んな」

「確かに」

「……いや。ちょっと待て……、オメエさん“使い手”か……?」

使い手?

ガン……、ガンダー……。
……。

忘れた。
あの始祖の人の武器使えるってやつかな。

「よし!俺っちを買いな!」

「いや、いいです」

「いや!え?ちょっと!オマエ“使い手”だろ?俺だよ俺、オレオレ!相棒だよ!」

いや、そんな詐欺みたいに名乗られても……。
余計に買いたくない。

……。

「ちょっと、あの剣なによ?」

「ああ、アイツはインテリジェンス・ソードのデルフリンガーって言いましてね。客に暴言吐いて商売の邪魔する厄介者ですよ」

「ふーん」

「まったく、誰が始めたんでしょう。剣を喋らせるなんて」

……。

「ちょっと待て!今、昔のこと思い出すから!そしたら俺を買いたくなるって!」

「じゃあ、その間に武器を選んでるから思い出しておいてよ」

「おう!……え?いやいや……え?……。……わかった!とにかく思い出すから!」

うーん。
メンドくさいな、この剣。
いや片刃だし刀か?
よくわからん。

「結局どうするの?もうサイトが好きなの選んでいいわよ」

「ホントに?ヤター」

実はさっきから気になってたのだ。

「これにする」

「ウォーハンマー?」

俺が選んだのは無骨なウォーハンマー。
鎚の部分の大きさは制汗スプレーくらい、柄の長さは1m程だ。
柄の部分も金属で全体的にカクカクしている。
持ってみても、そんなに重くない。

「……刃物じゃないにしても、もっとカッコいいやつにしなさいよ。メイスとか」

「メイスはザ・鈍器って感じじゃん。普段持ってても使い道ないし」

使わないのに、あんな重いもの持ち歩きたくない。
ウォーハンマーは重いけど日常で使える場面もきっとある。

「……まあアンタが良いなら、いいけど」

「そのウォーハンマーは10エキューでさぁ」

「そ。じゃあ頂くわ」

10エキューって。
それでも数十万円位するんじゃないか?

なんか物価がよくわかんなくなってきたな。
ルイズのお小遣いが500エキュー。
俺の日給が200エキュー。
庭付きの豪邸が2000エキュー。
調理場のまかないプライスレス。
……。

「じゃ、行きましょうか」

「そうだね」

「ちょっと待ったー!オレオレ!忘れてるって!」

ああ、この剣か……。

「いや、忘れてるのは君じゃなかったっけ?」

「え?そうだけど……」

「なにか思い出した?」

「……」

……なんか可哀想になってきた。

「あの……この剣はいくらですか?」

「ソイツは厄介払いも込みで100で結構でさ」

高いよ……。
絶対いらない。

うーん。

「じゃあなんか思い出したら、魔法学院まで連絡ちょうだいよ。そしたら買いに来るから」

「……う~~~~ん…………わかった。……オヤジっ、そんときゃ頼むぜ!」

「めんどくせえなぁ」

「俺とオメエの仲じゃねぇか!」

「わーったよ……」

なんだかんだで仲いいな。
おやじさんとこの剣。

まあいいや、もう行こう。

「毎度ありー」

……。





「さて、次はどうしようかしら」

「俺、服買いたいんだけど。あと日用品」

「そうねぇ……。いいわっ!私が選んであげる!」

なんか楽しそうだな。
しかしルイズのセンスか……。
あの剣をカッコいいって言ってたからなあ。

「私が選んであげるのよ!光栄に思いなさい!」

まあ、よっぽどじゃなきゃ大丈夫か。

「さぁ、行くわよ!」

手を引っ張られる。
10代は元気だなー。
……。





@@@@@@@@@@





「どうしたのタバサ?手が止まってるわよ」

「……何でもない」

手が止まっていた事に気づいて食べ始める。

今日は虚無の曜日だ。
いつもなら読書で過ごすところだが、気が向いたのでキュルケと一緒に王都まで遊びに来ている。

「珍しいわねぇ。あなたが食事中に考え事なんて」

「……」

「……サイトの事かしら?」

「……」ピクッ

「最近シルフィードが、よくサイトを見てるのよねぇ」

……。
確かに最近、彼を観察している。

ギーシュとの決闘からなんとなく気になるのだ。
これから殺し、殺されるかもしれないのに心ひとつ乱さない。

フーケ討伐の時も……。
彼は初めからフーケの正体に気づいていたんじゃないだろうか?
彼は、あまりにも見事に封殺してみせた。
魔法一つ使わないで。

そしてハルケギニアの外から来たらしい。
もしかしたらエルフについての知識があるかもしれない。

だが、わからない。

観察していても彼の行動はよくわからない。

ルイズと一緒に授業を受けて。
他の使い魔たちと昼寝をして。
ときどき金属球を投げて遊んで。
しょっちゅう裾を踏んづけて転んでいる。

切れ者の雰囲気は微塵も感じない。

最近ルイズは殆ど1日中、彼を連れ回している。
彼が何かやってはキツイ言葉を投げかけている。
だが楽しそうだ。
そういえば最近ルイズは柔らかくなった気がする。
私たちにもよく話しかけるようになったし、お互い名前で呼ぶようになった。
キュルケとは相変わらずだが……。
それでも言葉のやり取りに刺が無くなったように思う。

……。

イーヴァルディの勇者。

彼は全然イメージではない。
イーヴァルディにも色々な話、性格あるが彼のようなイーヴァルディは読んだことない。

だけど。

中庭で読んでいる本の題名を答えようとしたとき、

何故か彼とイーヴァルディが重なった気がした。





@@@@@@@@@@





「あら、ルイズにサイトじゃない」

「キュルケにタバサ。アンタたちも来てたの?」

「せっかくの休日じゃない?部屋にこもっていても面白く無いでしょ?」

そうかな。
俺は家の中大好きだけど。
用がない限り絶対出たくない。
買い物はネット通販。
基本的に家出るのは食料買出しかゴミ出しだけだった。

「で?あなた達はデート?」

「な!そんなわけ無いでしょ!なんでサイトとデートしなきゃいけないのよ!」

「えー?ずいぶん楽しそうだったけど?」

「サイトの服を一緒に選んであげただけよ!どこがデートなのよ!」

「…………十分デートだと思うけど……」





ルイズに服を選んでもらったがセンスは普通だった。
何故か現代日本でも違和感無さそうな服が幾つかあって、それを選んでくれた。
そして買ってくれた。
従者に作業服を自分で買わせるなんて貴族のすることじゃないそうだ。
一応、私服でもあるんだけど……。

その後、一通り買い物を済ませたあとルイズがクックベリーパイというのを食べたいと言い出した。
どうやら1年ほど前から行ってみたい店があったらしい。
1人では行きづらいっていうのは同意するが、友達誘って行けばよかったのに。
俺みたいなボッチじゃあるまいし……。

そんなわけで手を引っ張られながらやってきた店にキュルケとタバサが先客としてダベっていた。
席は空いてるけど丁度いいから相席させてもらおう。

店員さんに注文してから適当に雑談。
……。





「あら?キュルケ達にルイズじゃない。それにサイトも」

「やあ、みんな奇遇だね」

モンモランシーとギーシュまで来た。

「あら、あなた達もデート?」

「……まあ、ね」

「おや、モンモランシー。恥ずかしがることはないよ。……でも恥じらう君もステキだね」

コイツのセリフ臭っせ……。

「ちょっと!私たちは違うって言ったでしょ!」

ルイズは何か言ってる。
からかわれてるだけなんだから黙ってればいいのに。

デートなんて俺だって一度もしたこと無いよ。
デートのやり方だって知らないし。
そんな俺がデートなんて出来るわけがないんだから……。





「あら?そういえば、サイトとモンモランシーって知り合いなの?」

「「……まあ」」

実は少し前に俺はモンモランシーから話しかけられた。
ギーシュと仲が良くて暇な俺に、「女の影を見つけたら報告して欲しい」という依頼をしてきたのだ。

本気で暇だった俺は「あれれー」、「バーロー」と呟きながら調査を開始。
丸一日ギーシュをストーキングし女の子との会話、スキンシップ、イヤラシい視線、等々を全て記録。
麻酔銃のついていない腕時計で確認した時間を、ノートに分単位で書き込み必要と有らばケータイで写真を撮りモンモランシーに報告していた。

我ながらやりすぎたと思ったがモンモランシーには気に入られたようだった。
もうストーキングはしていないが、見かけたら今も報告するようにしている。

「ハッハッハッ。恋人と友人が仲が良くて嬉しいよ。でもサイト、モンモランシーに惚れても無駄だよ。彼女は僕にベタ惚れだからね」

何も知らずに……。
報告するたびにモンモランシーは「あと5回……」「あと4回……」と低い声で呟いているんだぞ。
だんだん数字が減っているソレが何を意味するのか……。
まあ俺には、さっぱりわからんが。





「そういえば君たち、精霊勲章を申請してもらったそうじゃないか」

「ええ、そうよ。来れなくて残念だったわね。ギーシュ」

「く~。僕もあの時、馬車に乗れていれば……」

「何よ、ギーシュ!私というものがありながらキュルケ達と出かけたかったっていうの!?この浮気者!」

モンモランシー大激怒。

「サイテー……」

「色情狂……」

「強姦魔……」

「派手シャツ……」

キュルケ、ルイズ、タバサが追い打ちをかける。
ついでに俺も言っといた。

「ちょっと君たち!それは酷すぎるだろ!あとサイトは自分のシャツも派手じゃないか!」

「なによギーシュ、大声だして。他のお客さんの迷惑でしょ?」

「え?モンモランシー、君が初めに……」

「そういえばサイトは何か報酬を貰ったの?」

「モンモランシー……。話の逸らし方が大雑把すぎるよ……」

「ああ、勲章がもらえないからって学院長に200エキュー貰ったよ」

「え?何よそれ!すごいじゃない!……ちょっとギーシュ!アンタなんで行かなかったのよ!」

「え?それはモンモランシーが……」

「私のせいだっていうの?!酷い!」

モンモランシー大号泣。

「サイテー……」

「鬼畜……」

「暴力二男……」

「薔薇族……」

キュルケ、ルイズ、タバサが非道な行為をたしなめる。
ついでに俺も言っといた。

「ちょっと待て!オカシイだろ!だいたいタバサ!暴れカニ男って何!?」

「違う。ぼうりょくじなん」

「暴力なんて振るってないし僕は四男だ!あとサイト!それなんか変な意味だろ!」

「そんなことよりモンモランシーが……」

「モンモランシー可哀想~」

「酷い」

「い~けないんだ~、いけないんだ~、セーンセに言ってやろ~」

キュルケ、ルイズ、タバサが小学生化した。
ついでに俺も歌っといた。

これは日本の小学生が追い打ちに使う必殺スペルだ。
全国に様々なバリエーションがある。
これを唱えると1分前まではしゃいでいたお調子者も8割方泣く。

「ギーシュ、いい加減に謝っちゃいなさいよ」

「人間は誰でも間違えるものだけど謝罪は必要よ」

「誠意」

「カボチャじゃだめだぞ?」

キュルケ、ルイズ、タバサが人としての道を説く。
ついでに俺も言っといた。

「…………どうしてこうなった……」

立ち尽くすギーシュ。

ギーシュは2度と恋人へは戻れなかった…。
友人と恋人の中間の生命体となり永遠にハルケギニアをさ迷うのだ。
そして、なんかもう状況がよく解らないので、そのうちギーシュはツッコむのをやめた。

……。
まあ冗談だけどね。
なんだかんだでモンモランシーはギーシュが好きだし。

ただ流石に遊びすぎた……。
ギーシュが石のようになってしまった。





「あら、もう結構遅い時間ね」

「そろそろ帰りましょうか」

「そうね、みんなでシルフィードに乗せてもらって早く帰りましょ」

「ギーシュはどうするの?」

ギーシュは思考停止状態で立ったまま固まっている。

「私とギーシュは馬で来たんだけど……」

「私とサイトも馬で……1頭だけど」

「じゃあギーシュに伝言を残しておいてギーシュに3頭連れて帰ってもらいましょうか」

「そうね」

「決まり。じゃあ、行きましょう」

女性陣はさっさと店から出て行く。
どうやらお会計もギーシュに任せるようだ。
恐ろしい……。

さすがに不憫になったので代金は支払っておく。

「悪い、ギーシュ。俺は馬に乗れないんだ。あとは頼む……」

かなりの罪悪感。

「ちょっとサイトー。早く行くわよー」

「わかったー」

未だピクリともしないギーシュを置いて店をでる。
……。





行きとは違って帰りはシルフィードに乗って快適な空の旅だ。
腰も痛くないし、眺めもいい。
なんだ、外に出るのも悪くないじゃないか。
仲の良い友達との外出ってこんなに楽しいのか。

ただ人ごみはやっぱり苦手だけど……。





ギーシュには今度何か奢ってあげよう。


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