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No.20697の一覧
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[20697] 153
Name: 大豆◆191a376c ID:9d835427 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/09/30 22:03


<153>



ハルマサはハチエを背負い、巨大な骸骨の掌の上にいた。

『いくぞ!……でぇい!』

グン!―――――ボッ!

巨大な骸骨のパロちゃんは、掛け声と同時に、ハルマサを持っている腕を振り上げた。
物凄いGが二人の体にかかり、背中のハチエがうめく。
だがそれも一瞬のことで、風の壁を突き破り、二人は射出された。

風操作で空気を掻き分けつつ、ハルマサたちは上へと飛んでいく。
即座に音速を超えた二人は、グングンと上昇する。

「戻れパロちゃん!」

その最中に、忘れずにモンスターボールへとパロちゃんを回収しておく。
ボールから伸びた光はパロちゃんを遥か高みへと一瞬で引き上げて、ハルマサたちは、そのまま塔を上へと飛んでいった。
みるみる床が遠ざかっていく。

「パロちゃんってえらい力強いなぁ。どんくらいあるんやろ」
「レベルは30くらいなんだけどね」

そろそろ失速し、いったん塔の壁を蹴ろうかと風を操作したその時である。
下から、空間を切り裂くような甲高い咆哮が爆風となって二人を追い抜き、周囲の大気を荒れ狂わせた。
ビリビリと響くそれは、一撃でハルマサの耳を破裂させ、三半規管を震わせた。

(――――――――づッ!)

「塞ぎ耳」を使用しておかなかったのは、自分の耐久力が上がっていることに過信を抱いていたからである。
もはや音程度で破れはしないと思っていたのだ。
事実、ハチエの鼓膜は先日のウニドラゴン戦ではビクともしなかった。
だがヤマツカミの集合体に限っては、そうではないらしい。ハチエを背負っているので、耳を塞ぐのが一瞬遅れたのも痛い。
なんか変な周波数でも混ざっているのだろうか。

音の衝撃で、ハルマサの平衡感覚は完全に崩壊していた。
再生しようと思っても、どんな構造か、そもそも何処が壊れて平衡感覚が崩れているのか分からない。
上は、下はどっちなのか。空中に浮いている僕はいま何処に向かって移動しているのか。
ぐらり、と揺れる。

(まずい――――落ちる――――――――!)

「こっからはウチの番やなッ!」

しかし、ハルマサは一人ではなかった。
耳を塞ぐことで聴覚器の破壊を免れたハチエが、ハルマサの胴に腕を回して抱え込み、背中に生やした炎の翼で羽ばたいた。
上ではなく、壁へ。
ふわりとチョウのように壁へと近づいたハチエは、ガォン!と稲妻の如く梯子を蹴りつけて、上へと登っていく。
ハルマサは意識が朦朧としていたが、風を操作し、ハチエの移動を補助することは忘れなかった。

(ぐぅう、もう良く分からないし、耳の辺り全部回復しろぉおおおおおおッ! 「欠損再生」ッ!)

魔力と持久力を過分に消費して、ぎゅるり、と聴覚が再生される。ハルマサに、平衡が戻ってくる。
そして、ようやく聴覚が再生された時、ハチエの声が聞こえた。

「見えたでッ!」

見上げれば、いまだ遠いが微かに見える、上の階層への入り口。天井に開いた無数の穴だ。

あと数秒もすれば――――!

その時、ハルマサに悪寒が走った。

「―――下から来てるッ!」
「――――――!」

ハルマサが叫ぶと同時、ハチエは真横に跳んだ。一蹴りで数十メートルを移動した直後、下から高層ビル一つ分はあるような巨大なタコ脚がまっすぐに飛んできて、壁に突き刺さった。
ズゴォ、と壁は盛大に罅割れ、欠片が飛散する。
下を見れば、ありえないほど遠くから化け物が脚を一本伸ばしてきていた。敵が大きすぎて、間合いが全然つかめない。

≪「観察眼」が情報を取得しました。敵対する魔物のレベルは――――48です。≫
(48! シャレにならない!)
≪さらに残念な情報ですが、レベルが10以上離れている敵は、スキルの上昇に寄与しません。よって交戦しないことをお勧めします。≫

鼻汁が噴き出た。
そりゃあ、逃げたいことは逃げたいけどもッ!

狼狽するハルマサを掴んだまま、ハチエは逃げようとするが、―――敵の攻撃は、巨大な脚を振り回すだけではなかった。

――――ギョルギョル!

敵の脚には、無数の瞳と口がついており、それらが呪いの様な音をたてて蠢いている。
その上、産毛のように触手も生えているのだ。
比較すればたいそう細く見えるが、それぞれがハルマサの体以上には太く、そして呆れるほどに長かった。
急速に伸びた細い触手が、ピュンピュンと矢のように空中のハルマサたちを狙い打つ。

――――――速いッ!

「ぬぅッ!」

ハチエの炎の翼が貫かれ、散らされる。ハルマサたちの真横を巨大な脚が通過し、ハチエの体がカクンと、と揺れる――――――――
そして、避けた触手に一筋の亀裂が走り、パカリと開く。
亀裂は口でありその中には、大雷光虫らしき物体が、今にも弾けそうなくらいに詰まっていた。

(―――――――!!)

即座に、火炎放射のように雷光の塊が大量に吐き出される。
ハルマサの背に冷や汗が噴き出た。
確か、ヤマツカミが吐き出す大雷光虫は――――――爆発するのだ。
フィン、と大雷光虫が一斉に光り出し―――

「ハチエさん! 「加速」するよッ!」
「!」

反応を待っている時間は無い。ハチエには伝わったと信じたい。
ハルマサは口を噛むと、彼女の体に手を回し、強く抱きしめた。

――――――――「加速」ッ!

コォオオオオオオオオ……

微かな耳鳴りを残して、世界の音が消え、全ての事象が止まったように遅くなる。すぐ傍で、巨大な口をぽっかりと開ける触手。そこから吐き出され、膨れ上がり、爆発しようとしている大雷光虫。
もはや、一秒後は地獄であった。

(ぉおおおおおおおおおッ!)

―――――――「空中着地」ッ!

ダァン、と空を蹴り一歩目は右下へ。空いている空間がそこしかなかった。
そして二歩目は、真上へ。鋭角に空中を移動する。
自分の体からも、掴んでいるハチエさんからも、ミシミシと軋む感触が響く。
ハルマサの敏捷は現在32億。「加速」を用いれば1500億まで跳ね上がる。レベルが上がっていることで、「加速」の効果は莫大なものになっており、耐久力との差が開きすぎていた。
その反動は、強烈なGと、筋肉の裂断である。

「っっっはぁ……ッ!」

触手の攻撃範囲から遠くはなれ、「加速」を解除する。

「ぐぅ……!」

抱えているハチエさんの、押し殺した悲鳴が聞こえる。いや、それはハルマサが上げた悲鳴かもしれなかった。
もう一度使うとしても、直線移動以外はハルマサの体が千切れてしまう。

「――――――クッ!」

ハルマサは「空中着地」で空を蹴り、上へ上へと走り出した。

下を見やれば、ガシガシと塔の壁に脚を打ち込んで、巨大なヤマツカミが登ってきていた。猛烈なスピードであり、その広い体は、緑の大地がせり上がってくるようだった。
体中にある口の端々から大雷光虫をばら撒きながら、化け物が迫ってくる。
ガツンガツンと、巨体が壁を穿ちながら登ってくるのだ。
ハルマサの上昇するスピードよりも早かった。

(だけど、このまま行けば!)

空を蹴りつつそう思った瞬間、一番近い壁からタコの脚が飛び出してきた。
爆砕する壁の中から大地が倒れてくるように、現われたのだ。
巨大な岩塊を飛び散らせながら、倒れこんでくる巨大な脚から、無数の触手がハルマサに襲い掛かる。
触手についている口からは、大電光虫が飛び出してくる。

瞬く間に、逃げ場は無くなった。
「空間把握」で前後左右の攻撃を見切り、移動する。
速いが、速いことよりも脅威は別にあった。
ガクン、とハルマサの体が引っ張られたのだ。

――――――――シュゴォオオオオオオオオッ!

(マジか……ッ!)

巨大な脚にある大小あわせて数十の口が、一斉に空気を吸い込んでいた。

(風操作が―――――まずいッ!)

操る空気がなければ、風操作も何も無い。
空気が急激に薄まることで真空状態が発生し、ハルマサの動きは一気に縛られた。
そして強烈に引き付けられるハルマサを迎えるのは、脚から伸びる槍のような無数の触手である。
剣山のように向かってくる触手を、全ては避けれない――――。

バンッ!

刺さるというより、ハルマサの肩が弾け飛ぶ。
左手が――――焼けるように熱いッ!

「ぐぅうッ!」

ハルマサの状態も酷いが、加速の反動を特技の補正なくして受けたハチエの状態はもっと悪い。
ハチエの顔色は青を通り越してどす黒くなっている。
鼻血も出ているし、口の端にも擦り取った血の跡が見える。
恐らく内臓が危険な状態になっている。とてつもなく苦しいだろう。
だが、それでも彼女の瞳には力があった。ハルマサに全てを任せると、その瞳が言っていた。
それはハルマサに決心させるには十分だった。

魔力を起こし風を纏う。雷で神経を焼き体の芯を震わせた。

――――加――――――速ッ!

「…お……お、おおおおおおおおおおおおおおおおおッ!」

―――――――ガァン!

「空中着地」によって固められた空は、一蹴りで砕かれ、急激に圧縮された窒素が固化する。それはキラキラと、砕けたガラスのように輝いた。

ハルマサは襲い来るヤマツカミの脚をくぐり抜け、大雷光虫を動きの余波で吹き飛ばし、生暖かいハチエの吐血を感じながら――――――空を走った。

動くたびに脚の筋肉がビチビチと断裂していく。

(ハチエさん―――――!)

辛い、とてもつらい数瞬だった。ハチエを抱える手から、彼女の苦しみが伝わってくるのだ。
自分の体が痛いのはこの際どうでもいい。慣れっこだ。だけど心が痛いのは―――――――慣れない。
今後慣れることも無いだろう。慣れたくも無い。

だから、天井にいた無数の穴に潜り込みくぐり抜け、十数匹の魔物が待ち構えているのを見た時、ハルマサは叫んだ。

「そこを――――――――――どけぇッ!」









<つづく>


とまぁここまで結構シリアス調ですが、次はギャグです。




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