<132>
レベルが上がった二人は劇的に強くなった。
ハチエは、ピアス、雷獣パンツ、手袋など、着々と装備を手に入れている。
それらを着用することで、武器を持っていない状態でもおかしなくらい身体能力が上がっているのだ。(パンツはまだ履いていない)
それらの装備の概念を発現したハチエさんは、髪の先だけ金色になり、口元には牙が生えている。
ハルマサは、何を間違えたか魔力が5倍以上になっており、左腕のカニ砲撃も放てるようになっていた。
俺の左手が火を吹くぜ状態である。
火山はクネクネと曲がりくねった道が徐々に上へと登っており、その途中途中にモンスターが待ち構えている構造である。
「おかしいなぁ……もう大分登ったと思うけど。」
「もう頂上付近まで来てもうたんちゃう?」
二人はその膨大なスタミナを活用して、2時間ほど凄まじい速度で走り続け、蛇行する道を登ってきた。
途中で、見えない龍を蹴飛ばしてしまった気がしたが、やっぱりどうでもいいかとスルーして、終に二人は大きな扉の前にたどり着いた。
扉には文字が書いてある。
『力を示せ。』
「なんやねんこれ。しかもこの扉取ってついてないで。」
「うーん。押し開きかな?」
取りあえず「空間把握」や「観察眼」で調べてみたが何も分からない。
この扉が硬いんだな、ということが分かるだけである。
「ちょっと押してみよか。せっ!」
ギシィ、とハチエさんの筋肉が軋みを上げる。
ハチエさんの筋力は、帽子と耳飾りによって13倍されて5億以上ある。
しかし、それでもダメだった。
「ふんむぐぐぐぐぐぐぐ……!」
ピクリとも動かない。
「違うのかな。力っていえばこれしかないと思うんだけど。」
「まだ足りんのかも分からんで。武器持って挑戦や!」
ハチエさんは気合でラオシャンロンの剣(20メートル)を咥え、両手で扉を押してみる。
「震天動地の巨剣」の筋力補正は+1900%。
これでハチエの筋力は13億1千万。
ギ……
「ちょっと軋んだよ! ハチエさんガンバ!」
「ふんぐ――――――!」
動くには動いたが、少し力が足りないようだ。
「はぁ……はぁ……」
「ハチエさん。やっぱりここは、ペニスケース装着で」
「い、イヤや! まだ手はあるねん! 雷獣パンツを穿けばきっと!」
という訳で、ハチエはハルマサの「空間把握」にも引っかからない遠くまでパンツを穿き替えに行った。
すると、それまで頭の上で正座して、への字口のまま微動だにしなかったカロンちゃんが口を開いた。
【のぅハルマサ。】
「何?」
カロンちゃんは、ハルマサの頭から降りてきて、フヨフヨとハルマサの眼前に漂う。
【少しの間、我はこちらにこれぬ。今日もそろそろ帰らねばならぬ。】
「ええ!?」
何で今突然!?
【………しばらく呼ぶな。応えられぬ。】
「……それでカロンちゃんはずっと黙っていたの?」
【……。】
「そうか。」
言い辛かったのかな。
「そうだよね。理由は分からないけど、カロンちゃんだって色々したいことあるよね。」
プリン食べたりとか。
【い、いやそうでは……】
カロンちゃんは宿題が溜まってしもうて……とかごにょごにょ言い出した。
色々大変らしい。
「じゃあさ、毎日呼びかけるよ。」
【う、うむ? 呼びかけ? ……ちょっと待て、あの馴れ馴れしい声はもしやハルマサか……?】
カロンちゃんは怪訝な顔をする。
「どの声か知らないけど、カロンちゃんがプリンを落としちゃった時の馴れ馴れしい声は僕のだよ。ゴメンね。」
【なにぃ!? は、はよぅ言わぬか!】
わ、我は何ということを……!とカロンちゃんはぷるぷる震えている。
着信拒否のことだろうか。プリンのことで無ければいいけど。
「ねぇ、カロンちゃん。ちょっとだけでも毎日話したいんだけど……ダメかな。」
【……だ、ダメとは言っておらぬ。】
「じゃあ寝る前に「伝声」を使うね!」
【す、好きにせぃ……】
ひゃっほぅ! ドキドキするね!
【……またの。】
「今晩からだよー!」
カロンちゃん(ミニ)は空へと帰っていった。
短い蜜月だったな……!
「君の感触を……忘れない!」
「何変態チックなこと言うてるん?」
ハチエさんが戻ってきたらしい。
「ええ!? ……カロンちゃん帰ってもうたん!? まだウチほっぺ触ってへんのに……」
あ、僕も触ってない!
さてハチエさんだが、外見からは雷獣パンツを穿いているかどうかは分からない。
「もう穿いてるの?」
「う、うん、穿いとるけど……穿いとる下着知られとるのって、なんやめっちゃ恥ずかしいねんけど。………あんま見んといてや。」
「何言ってるのさ! 超見るよ! ハチエさんのパンツは虎柄か……。」
「やめぃ!」
剣ではたかれた。
取りあえずハチエさんはまた頑張って巨大な剣を咥え、扉を押す。
「ぬぉりゃああああああああああ!」
ギギギギギ………! ゴォン!
筋力が14億を突破していたハチエさんは見事に扉を押し開いた。
扉の向こうは空が広がっている。
そして空の下には、すり鉢上になっている広い円形の広場があった。
中心には、どろどろの液体が溜まっている。
カルデラ湖とでも言うべきか。
残念ながら、溜まっているのは溶岩だが。
そしてその溶岩の湖から、一匹の飛竜がボコリ、と浮き上がってくる。
≪濃密な殺気……! 危険! あまりに危険です! な、なにぃ!? レベル29相当だとぉ!? うわっ! ……す、スカウターが爆発しただとぉ!?≫
桃ちゃん何時に無くテンション高いな。
「観察眼」で見た情報を、桃ちゃんが余分な情報を付け加えつつ教えてくれた。
形は、ティガレックスや、ナルガクルガに似ていないこともない。
いや、やっぱり似ていないか。
小山のような体格をした四本足のトカゲに見えないこともない。
いや、こんなトカゲが居たらヤバイな。
頭の先から尻尾の先まで、赤黒くメタリックに輝く鱗に包まれており、背中には三列に太い棘が生えている。
さらに地面をこそげ取るような大顎に大木のような太さの牙が二本、上を向いて生えている。
「アカムトルムだね……。」
「ウチちょっとお腹痛ぅなってきたわ。帰らへん?」
「その選択肢は魅力的すぎる!」
もちろんそんな気はサラサラない。
ハチエさんは、最初は様子を見るのだろう、翼の生える弓を握り、それを横目にハルマサは骨を握る。
二人が武器を構えるのを待っていたように、覇竜アカムトルムは大きく口を開け、咆哮した。
<つづく>
<あとがき>
今日はかなり遅くなったぜ!(やる気が脱走してました)
夏休みだから宿題しないとね!
ということで。(なにが)
私も夏休み欲しいです……!
そしてジャイアントロボぉ―――――!なんで近所のゲオに置いていないんだぁ―――――!
明日も更新できる可能性は、少しだけ残されている!
>き・・きれいな白ひげwwww
最終的には綺麗でもなんでもない白ヒゲになっちゃったんだぜ
>レンちゃんかわいすぎて、もうシェンガオレン倒せない
それはそれ、これはこれ、で問題ないと思うんだぜ。
>ドドフランゴの形状を知らない僕にはビーストウォーズメタルスのメタルスコンボイかと思ってしまう。
ビーストウォーズ懐かしいなぁ。形はゴリラ+ライオンって感じかな。
>何故カロンちゃんとポッキーゲームをしないのだッ!!
高度すぎるプレイwそのままちゅるんと食べてしまうかも。
>ウホウホギイギイ言ってる方がかわいい。
私もそっちの方が書きやすいかな。
>よ~し、この調子で早く金ちゃんを迎えに行くんだ!
転送装置を手に入れないと!
>もう結構夜遅いのに普通に太陽が昇ってるってこの世界、夜無いんだっけ?
普通に間違っていました。申し訳ないです。
>ソーラービーム自動で撃つのか、遠距離攻撃としてはどうなんだろう
かなり使いにくいです。
>泉の精が出てきた瞬間、「ついに擬人化か、長かったな……」とか思ったのに
ドドブランゴを擬人化しても毛深いおっさんしか出てこないんだ。
>目からビームとは、デジキャ○ットかよ
その名前をとても久しぶりに聞いたw彼女たちはまだ活躍してるんですね。
>マホターンヘッドバット
マホカンタでも可。
>そして反射屈折跳弾ビームに・・・。
なにそれカッコイイ……
>オプティックブラスト
収束メガネはいらないんだぜ!
>ブルーアイズをゲットして白ヒゲと融合召還か。
ブルーアイズメタルモンキー?
>ハルマサ君はその内『ARMSのジャバウォック』になるんじゃね
ジャバウォック格好いいよね。反物質とか飛ばしたりして。
>腕が砲とかwwwそれなんて言うロックマン?
ああ、これを念頭に私は書いていたのかと、気づかされたんだぜ。
のどの小骨が取れた気分です。
>ポケモンブラック
最初にもらえる草ポケモンがウチに欲しいかな。
幻のポケモンはビキニとかエロイ名前だなって思ってたら違った。
>つまりカロンちゃんがいなければ、ハルマサとこのスレの読者は死んでしまうんだよ!!!
いなくなったけど死んじゃだめですよ
>月光超
危険すぎるww都心で使ったらみんな丸裸じゃないか。
>十傑集走りとか素晴らしい指ぱっちんとか衝撃波とか超見てぇ
ニコニコでMAD見てしまってから、私の集中力が脱走してしまったんだ。これが孔明の(ry
>ハチエさんがムス化したwww
大佐はいいキャラしてますよね。ギャップがたまんねぇ……!
>萌えモン
存在を知らなかった……
>素のままのモンスター達を愛(?)せる懐の広さを持っているようですし。
ベトベターだって抱擁できる程度の懐の深さを持っているんだ。多分。
>OVAかな?
OVAです。見てぇ……