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No.20671の一覧
[0] 【ネタ】魔法先生フェイま!【こんな話はどうよ?】[kuboっち](2011/02/07 20:43)
[1] 第一話[kuboっち](2011/02/07 18:16)
[2] 第二話[kuboっち](2011/02/07 18:17)
[3] 第三話[kuboっち](2011/02/07 18:17)
[4] 第四話[kuboっち](2011/02/07 19:45)
[5] 第五話[kuboっち](2011/02/24 21:26)
[6] 第六話[kuboっち](2011/03/05 23:53)
[7] 第七話[kuboっち](2011/07/21 08:01)
[8] 第八話[kuboっち](2012/02/29 22:15)
[9] 第九話[kuboっち](2012/03/24 23:02)
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[20671] 第四話
Name: kuboっち◆d5362e30 ID:9c20ba48 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/02/07 19:45
やっぱりフェイト主役だと盛り上がりに欠けることが判明しました。










「はじめまして、僕の名前はフェイト・アーウェルンクス。色々あってこのクラスの担任をやることになりました。
 みなさんとはお互いに『害』の無い『程度』の関係を築きたいと思っています。どうぞ、よろしく」



いまいち言っている事の意味が理解できなかったり、もしくは理解できて首を傾げたりしながら、彼女たちが漏らすのは小さくも大きくも無いどよめき。
もしもっと子供『らしい』子供の先生ならば、焦ったりするようなそぶりでもあるならば、反応は違うのだろう。

「おぉ! 本当に子供で先生なんだ! 幾つ?」

「今年で10になる」

「えっと……ご出身は!!」

「イスタンブールの片田舎。育ちはウェールズのド田舎」

「それって何処ですか!!」

「トルコとイギリス。
イスタンブールは東と西が交わる場所だからモスクから教会まで見る物は多いかな。
 ウェールズは……草原だね。そこらじゅう緑色の」

質問に対する答え。余りにも澱みない。

「兄弟とかは?」

「心配性で弟離れが出来ない病気がちな姉が一人」

口にするのも躊躇われるはずの偽りで危うい姉弟関係も容易く口にする。
どうせ確認する手段なんて一般の女学生には無いのだから。

「はいは~い! 趣味は何ですか!?」

「読書かな。体を動かすのも嫌いじゃないけど」

当たり障りのない意見。インドア派、アウトドア派 どちらにも得られる一定以上の共感。
全てがある程度計算されていた答え。盛り上がり過ぎるのは良くない。これからの事を考えれば。
2年A組というのはお祭り好き大集合たる麻帆良学園全体から見ても、かなり高レベルのお祭り好き集団である。
故に『外国人の子供の教諭』なんて現れれば、それこそ押すな押すなの大騒動になる事が予想されていた。
だがそれが無い。誰も席を慌てて立つことも無かったし、質問もフェイトが一つ答えていくのを待つだけ。

理由は様々あるだろうが、もっとも大きな影響はフェイトの雰囲気。
『近寄るな!』という有毒動物がもつような分かり易い警戒の色を発している訳ではない。
むしろ『近寄らない方がいいよ?』という穏やかな程度の物と言えるかもしれない。
だが穏やかであるが故に落ち着いて受け止められる『凄味』というものがある。
凄味を放つ10歳と言うのも色々と問題だと思われるが、分かりやすく表現するならばいわゆる『クール』というものだろう。

もっともそれは反応の代表的なモノであり、少数な感想としては某ショタコン委員長が妄想を加速させていたり、某ロリ真祖が鼻につく石化の匂いに顔を顰めたり、某バカレッドが愛しい高畑先生を強奪したガキンチョにプンスカしている程度。



「質問はこれくらいかな? 後でも受け付けるけど」

勢いが落ちて来たところを見計らい、フェイトは言う。クラス中から上がる不満の声。
ソレもある程度は計算の内。それを手で制して続ける。

「君たちには平凡で詰まらない授業かもしれないけど、僕には人生初の授業なんだ。柄にもなく少し緊張している」

もちろん嘘も方便。別に失敗したった死にはしない位の認識。
しかし嘘も方便。形だけでも困った様子。年下と言う優位を生かす戦術。
大人っぽくて取っつきにくいクールなアイツの新しい魅力発見作戦。

「はい、みなさん! フェイト先生も困ってらっしゃいますわよ! さっさと準備をしなさい」

直ぐに食いついてきた人物の名前を思い出す。雪広あやか、たしかクラス委員長だったはずだ。
こう言う人間が一人でも居てくれるとフェイトとしては大変に遣り易い。すぐさま味方につけておくべきだろう。

「ありがとう、雪広あやかさん」

「あら!? もう名前を……感動です!」

本気で感動しているらしくガッシリと手を掴まれ、涙まで浮かべるというアクションにフェイトは若干困惑。
予想以上の取り込みに成功? いや……身の危険も感じるのはどうしたことか?

「あ~ぁ、ショタコン委員長が興奮しちゃって……」

どこからか聞こえたそんな言葉にビキリと空気が凍った。
声の主は茶系の髪をツインテールにした左右の瞳の色が違う オッドアイの少女。

「あら~明日菜さん。それはもしかして私の事ですか?……このオジコン」

一瞬の沈黙。

「「……」」

その後、大爆発。

「「■■■■!!」」


取っ組み合いのケンカを始める二人の生徒を観察しながらフェイトはため息。
ある程度ロジックを検討しておいたとて、人間というのは64億人いれば同じように対処できる物など本当に僅かだ。
そしてこの決闘を眺めながら賭け事を始めるこのクラスに対する認識も改めなければならない。

「雪広さんに神楽坂明日菜さん。二人の仲がいい事は良く分かったから、性癖暴露はそろそろ止めてもらっていいかな?」

本人悪口やジョークのつもりは全くなく、ただ事実としてそんな事を告げる。

「何が性癖暴露よ!!」

「あぁ……フェイト先生にまでそんな風に見られていたなんて……」

言われた方といえば片方は怒りでテンションが上がり、片方はショックでテンションが下がり、差が大きすぎてケンカの続行は不可能と相成った。
ニ強を御してしまえばあとは難しいことは無い。

「さて、面白くも無い価値ある平凡な授業を始めよう」

生徒よりも真新しい教科書を広げて、生徒よりも小さな子供は、生徒たちよりも冷めた目でそう宣言した





「初日ならこんなものなのか」

麻帆良の日本離れしたレンガ造りの街並みを夕暮れが染め始め、多くの学校で授業が終了したころ。
ローマを彷彿とさせる石像が中央に据えられた広場 石像の足元でフェイトは大きく伸びをした。
これからもう一度学園長室に顔を出し、初日の調子なんかを報告したり、今日から寝泊まりする場所を確認する必要がある。

「でも『イスタンブールの忌子』という看板が無いだけやり易いんだな」

魔法関係者と相対する時、彼を見る目は『変なガキ』である前に『イスタンブールの忌子』なのだ。
目付きが悪くて冷めた態度の子供には危険がない。石化魔法を暴走させた子供には危険がある。
当然のことなのだがその分類は魔法関係者だけがするのだ。今日出会った学生たちにはフェイトは唯の『珍しい子供の教師』に過ぎない。
そしてその待遇を僅かながらにも『心地よい』と考えている自分に驚きを覚えるだけ、客観的で冷静な視点を持ち得るのがフェイトである。


「ん?」

そしてそれが目に入ったのも全くの偶然だ。そろそろ学園長室へ赴こうと立ち上がった視線の先。
石造りの階段の上に山積みにした本を持ってヨタヨタと下り始めた少女の姿を確認。
既に写真付き名簿から2年A組の生徒の顔と名前は完璧に頭に入っている。

「宮崎のどか」

それにしても危険な上に非効率的な運び方だ。あの量の本を効率的に運送するなら二つの袋に入れて両手で一つずつ持つべきだろう。
いったい何をどうすればあんな風に一列で積み上げようと思うのだろう?

「キャー!!」

そして案の定、滑った。しかも階段の外側に落ちる形。アレではまともな受け身が取れない。
骨折か……下手したら頭部をぶつけて脳挫傷の危険性もある。さてフェイト・アーウェルンクスはどうするべきだ?
普通に考えればこの距離で、あの高さから落ちる人間を、この年で子の体格の人間が走って行って受け止める事は不可能だ。
よって、宮崎のどかが固い石畳に全身を打ち付けられる様子を眺めている事しか出来なくても、何の問題にもならない。
しかしながらフェイトは魔法使いである。しかも天才という部類に入る生き物であり、身体強化系の魔法もこの年ではかなり使える。
それを全力で行使すれば在りえない加速であの落下の下に滑り込む事も今は不可能ではない。
しかしこれには問題がある。『魔法の秘匿』という魔法使いの常識だ。これは魔法を知らない一般人にその存在を知られてはならないという事。

それを優先するのであれば彼女が落ちるに任せてしまっても良いのかもしれない。
だが立派な魔法使いを自称する魔法使い共は同時に『人助け』を叫ぶのである。
いま考えてみても全く分からないのだがつまり『魔法を知らない人の為に魔法を使い、それを彼らには気づかれてはならない』ということ。
全くもって相反する内容である……まぁ、そんな事はどうでも良い。幸いにも今は周りに多くの人影がない。

それにもっと掘り進んで推測して見れば、ここで助けない事の方がマイナスだと気がつく。
何せ魔法教師には悪名を轟かせており、この場にいて助けなかったという事になれば、自分が否応なく罵倒されるのは目に見えている。
普通の10歳魔法使い見習いでは身体強化など出来ないのだから、実力さえ隠しておけば文句を言われる云われは無いように見える。
だがそれも自分が普通の魔法使いだったときだけ。全くもって面倒な忌名。

「ふぅ……」

ここまでの思考には1秒も費やしていない。吐き出したため息が風に溶ける前に駆け出す。
『戦場の舞踏』何種類か存在する身体能力強化目的肉体魔力付与術式の中でもピーキーな部類。
それゆえに高性能。子供離れどころか人間離れした速度で落下中ののどかの下に到着。
足と同じく強化された両腕で自分よりも大きく重いはずの少女をフェイトは容易くキャッチ。

「大丈夫かい?」

「え? あれ?」

いまいち状況が理解できないようなのどかをゆっくりと下に降ろすと、凄いスピードで駆けよってくる問題を発見。

「ちょっと……アンタいま何かしたでしょ?」

神楽坂明日菜……見られた。ボーとしているのどかから距離を取るように引き摺られて連行。
しかし幸いにも使ったのは身体能力強化の魔法。風や水でのどかを受け止めていたら誤魔化すのには遥かに面倒 もしくは不可能になっていただろう。

「何かって?」

「だって! アンタの居た場所から階段まで結構な距離よ! 走って落ちるのに間に合うなんておかしいわ!!」

確かにその通り。普通ならば絶対に間に合わない。普通を何とかしてしまうのが魔法であり、それを使うのが魔法使い。

「そうかな? 体は鍛えてる方だし、君が感じたよりも僕は階段側に居たのかもしれない」

「嘘よ! そんな程度じゃ!」

だけど魔法があるという前提。もしくは今までにそれを匂わせるミスを犯していなければ、一般人では辿り着かない結論だ。

「他にどんな理由がある? 僕が非科学的な何かでも使ったのかな?」

「それはその……超能力とか?」

「それこそ在りえないよ。もう良いかな? 宮崎さんも困ってるみたいだし」

超能力だろうが魔法だろうが『早く動いた』程度では少々インパクトに欠ける。
元より口下手でバカレッドたる明日菜には今の現象の問題点を的確に言い表す事も出来ないだろう。
それに今は二人っきりでも無い。のどかの存在が明日菜にこれ以上の追撃を思い止まらせた。

「もう! しょうがないわね」

踵を返す明日菜の背中を見ながら思考する。今は誤魔化せたけど、あとあと追求してきたら面倒だ。
一般人に魔法がバレた時の対処として、忘却の魔法というのがある。忘れさせる度合いにもよるが、『小さな疑問』くらいならば誤魔化す術は簡単だ。
詠唱も簡易、魔方陣や媒介も必要無い。ここで唱えれば効果を及ぼすまでの時間も僅か。

「……」

沈黙しているかのような詠唱。前を歩く明日菜に気が付いた様子は無い。
フェイトの左中指に嵌められた銀の指輪 そこに刻まれた古代ギリシャ文字 『ゴルゴンの瞳に口づけ』が鈍い石色の光を放つ。

「!?」

光の刹那、魔法は発動し完了した。それは間違いない。だがフェイトが浮かべるのは驚きの表情。掛け間違えるなんてありえない初級の魔法 それが弾かれた。レジスト!? いや、彼女が魔法を使った様子は無い。
使えるのならば先ほどのフェイトの動きに驚きはしない。つまり魔法関係者ではないはずだ。
それにレジスト 抵抗などという生易しいレベルでは無かった。消されるような感覚。確かめなければ。

「……っ!?」

先ほどよりも力を込めてより確かに呪文を詠唱していた時、不意に割って入ってくる人物。
ガシリと掴まれた左腕、目の前にいつの間にか立ちふさがる長身の男性。

「なんのつもりだい? 高畑・T・タカミチ」

フェイトは今にして朝からの怨敵の名前に行き付いた。
大戦の英雄 『赤き翼』の一角で在り、現在は『悠久の風』のトップエース。
気と魔力という禁忌の融合を会得した究極なる闘法を用いると聞く腕利き。
今朝の殺気の意味も良く分からないが、どうして今自分の魔法発動を止めているのか理解できない。

「君こそ何のつもりだ。明日菜君……いや、教え子に魔法を使おうとするなんて」

「君たちの大好きな人助けで彼女に魔法を見られた。大した魔法じゃ無かったから少し忘却の魔法でも掛けようと思った程度さ」

「っ!」

タカミチの顔には焦りの色。どうやら自分の早とちりに気が付いたらしい。
慌てて離された左手を払いつつ、フェイトは追撃。別に嫌われるのには慣れている。
問題は自分の魔法を消し飛ばした明日菜の方だ。

「いい機会だから聞いておこうかな? 神楽坂明日菜に魔法が消された」

「っ!? それは……」

脈あり。その理由をタカミチは知っている。そしてそれこそがわざわざ飛び出してきて、自分の腕を掴んだ理由だとフェイトは理解。

「本人は魔法も知らないんだ。レジストじゃない。何か生まれ持った能力でも……」

「黙れ。『ただの』魔法使い見習いに教える事柄じゃない!!」

正義の味方は熱くなり易い。フェイトはもはやその言葉を聞いた時点でこれ以上の追及に利益が無い事を確信した。
肩を竦めて言葉を納める。もはやそのアクションだけで唯の女子中学生では無いと語ってしまっているのだから。

「あまり大きな声は出さない方がいいよ、ナイト様」

「?」

「どうして守りたい姫様が戻ってくる」

「!?」

タカミチが不味いと思った時にはもう遅い。1時間程度の短い付き合いでも明日菜の性格は理解している。
頭よりも先に体が動く人種だ。後ろに付いて来ていると思っていた要注意人物が消えていたら、間違い無く何かやらかしていると思って戻ってくる。
そこから愛しい高畑先生の声など聞こえたら尚のことだ。

「あれっ!? 高畑先生!! なにしてるんですか、このマセガキと!!」

焦るとストッパーが外れる性格らしい。『マセガキ』と心の中の日本語辞典に登録したフェイトは何時も通りに無表情。
『説明はお任せするよ。君が招いた厄介事だ』と、タカミチに視線を向ける。

「いや! たまたま通りかかってね。教師初日の感想を……」

「高畑先生が担任じゃなくなって寂しいですけど、あのガキの面倒は私がしっかり見ますから!」

「そんなに気を遣わなくても大丈夫だと思うけどね」

何やら自分の面倒をみる事を勝手に進言している明日菜と困った顔をしているタカミチを捨て置いて、フェイトはさっさと歩み去ろうとした。
それを止めるのは先の二人からしたら控えめで……好意的な声。

「あの~フェイト先生。実はこれから先生の歓迎会が……」

「歓迎会?」

『面倒だ』
なんて口が裂けても言えない。面倒なのは間違いないが、初日からそういうお誘いを無視するのは今後の円滑な関係に支障をきたす。
元より最悪なスタートを切ったウェールズではもはや回復不可能だったが、ここでいきなりそこまで落とす必要もあるまい。
明日菜いわく『マセガキ』で留めておくべきだ。

「それは嬉しいな。お世話になるよ」

可能な限り愛想が良く『見える』顔を『作って』、フェイトは何故だか嬉しそうに先導するのどかの後に従う。
なんかラブコメを始めたタカミチと明日菜を置き去りにして。


こうして暮れる初日。









タカミチと明日菜のカップルが好き過ぎる自分発見。
そういえばフェイトの家はどうしようかしら?


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