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No.20607の一覧
[0] 【初投稿・習作】信ONをネタに書いてみた【VR物】[ノミの心臓](2010/07/24 22:24)
[1] 序章[ノミの心臓](2010/07/24 22:19)
[2] はじまり[ノミの心臓](2010/07/24 22:24)
[3] はじまりはじまり[ノミの心臓](2010/07/25 22:23)
[4] はじまり×3[ノミの心臓](2010/07/26 21:50)
[5] [ノミの心臓](2010/07/31 23:50)
[6] [ノミの心臓](2010/07/31 23:59)
[7] [ノミの心臓](2010/08/02 19:49)
[8] [ノミの心臓](2010/08/07 19:48)
[9] 8 閑話[ノミの心臓](2010/08/05 23:20)
[10] [ノミの心臓](2010/08/05 23:26)
[11] 10[ノミの心臓](2010/08/08 09:46)
[12] 11[ノミの心臓](2010/08/08 20:30)
[13] 12[ノミの心臓](2010/08/10 22:00)
[14] 13[ノミの心臓](2010/08/20 22:22)
[15] 14[ノミの心臓](2010/08/26 21:38)
[16] 15 閑話[ノミの心臓](2010/08/29 00:49)
[17] 16[ノミの心臓](2010/09/01 23:40)
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[20607]
Name: ノミの心臓◆9b8a3f51 ID:ee8cef68 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/07/31 23:50



町の地図への注釈を書き足しながら、街を練り歩くこと30分。
北西の一角にどうにも入り込めない、100m四方の区画がある。
民家で囲まれているらしく、どうしたものかと考える。
回りの民家を訪ねて回ったが、留守らしく返事もなく、扉も開かなかった。
取り合えず、地図には進入不可と書いておく。
粗方、城の北を走破したが、入れない区画も多々あり、冒険心を刺激される。
――時間帯によって入れたりするんじゃろうか。


その後、様々な道場が密集してある南西部に向かった。。
この辺りは阿修羅が真っ先に地図に注釈を書き足していった所だが、やたらと正確だった。
各道場にそれぞれの武器系目録を貰いに行く。
書かれていた技能は一つだけ、パッシブ技能、○○術手習い。○○には刀剣やら槍やら武器の種類が入る。
所謂、必殺技等はクエストでの入手や、自身で編み出して欲しいとのことだ。
鉄砲は鉄砲の命中率が、懐剣は素早さが、刀は若干の素早さと若干の腕力が、他は割愛するが、それぞれ熟練する毎ステータスが上がっていくことになる。
その系統の装備品とセットでないと効果がないとのこと。
武器の種類は、鉄砲、棍棒(釘バット系)、棒、杖、刀剣類、懐剣、槍、弓である。特に職による装備制限は存在しない。
道場で鉄砲以外の武器の貸し出しがあったので、そこで一通り試してみることにした。



棒術道場の外で藁製のかかし相手に時間を過ごしていると、100m四方はある道場内の一角で何やら人だかりが出来ているのに気づいた。
どうやら模擬戦が始まるようだ。
棍棒を持った鍛冶屋と刀を持った侍の試合。
対人戦というものが、どんなものかと興味をそそられ人だかりの一人となる。

「始め!」

道場のおっさんNPCの立会いの下、試合場所の対人戦闘が許される。

「うおりゃああああああ!!」

「いやああああああああ!!」

剣道の試合のように気勢を発しつつお互いに間合いを計っている。
長くなりそうだなぁと思いつつみていると、動きがあった。
侍が大上段に振り下ろしたのを鍛冶屋が棍棒で受け、返す棍棒で胴を払った。
侍は3mほど吹っ飛ぶ、追い討ちをかけてきた鍛冶屋の棍棒をなんと腕で受け止めた。
片腕がポッキリと吹き飛び、千切れとんだ腕は地面で雪が溶けるように霧散する。
侍は腕を吹き飛ばされつつも、片手で逆手にもった刀で鍛冶屋の首を脇をすり抜けるように切りつけた。
リアルだったら首が飛ぶような入り方だったし、事実、刀も首を抜けたのだが、首は血しぶきの変わりに血が滲んだような状態になっており、頭はちゃんと胴体とくっついていた。
鍛冶屋は振り返り、遠心力でもっていった棍棒で侍の背中に当て、侍は派手に吹っ飛んだ。

「そこまで!勝者神宮寺かえで!」

侍は無くなっていたはずの手を付いて、何事もなかったかのように立ち上がり、両者礼をして終了となった。
周りからぽつぽつと拍手が送られていた。
技能がない対人戦はゲームで言うとブシドーブレードのようなものなのかもしれない。
―――ちょっと古すぎて分からないかもしれないの

1対1の対人戦の鍵は思考の早さだろうか防衛本能の強さだろうかMTSへの親和性だろうか、果ては心の強さか、、。しかしゲームなのだから、そういった物が弱い人でも工夫でやれるような物であるべきだろうとは個人的には思うのだが、さてこのゲームは果たしてそのあたりのバランスをどうとっているのだろうか。

「戦闘ログを表示」
ウィンドウが表示される。

『山下五郎の攻撃・・・神宮寺かえでは受け止めた。
 神宮寺かえでの攻撃・・・山下五郎は3のダメージ。
 棍棒によるノックバック効果上昇発動。
 神宮寺かえでの攻撃・・・山下五郎は13のダメージ。
 山下五郎の会心の一撃・・・神宮寺かえでは28のダメージ。
 神宮寺かえでの攻撃・・・山下五郎は17のダメージ。
 山下五郎は死亡した。                  』

RPGによくありそうなオーソドックスな感じのログだった。基本、首を飛ばされようが心臓を貫かれようがHPが0にならないと死なないらしい。
侍の胴に派手に入った一撃は3しかない、これは初期装備とはいえ鎧の上からだったせいかもしれない。
もしくは打撃系は鎧にすこぶる弱いとかもあったりするのか。
首への一撃は会心の一撃らしい、あれで侍は勝ったと思っただろうが、鍛冶屋は耐久が高いおかげで生き残ったのかもしれない。
最後の鍛冶屋の攻撃も鎧の上からだったと思ったが、背中に補正でもあるのだろうか等と色々考察を巡らせていると、次の戦闘が始まった。


『ぴんぼろぽーん。着信です。』

「受信。」

ぶちっと昔のアナログ回線が繋がったような音がした。

『もしもーし、阿修羅でーす。お爺ちゃん元気ー?』

声が若干電話越しのようにノイズがかって聞こえる。

「さっきまで元気じゃったがな、何かようかいな?」

次の対戦を見学中なので、ぼそぼそと喋っているのだが、ちゃんと声を拾ってくれているようだ。

『んーとね。ちょっと手伝って欲しいクエストがあってね。』

「なんじゃ?面倒くさいのは勘弁じゃ」

『お爺ちゃん、そんなに偏屈だと、友達できないわよー?』

「三つ子の魂100までじゃ、もはや直るはずもない」

『まぁ自覚があるんならいいけど、で内容なんだけど、模擬対人戦を3戦やると好きな初期武器が貰えるらしいのよ』

「ああ、だからやけに道場が混んでおる訳だ。」

周りで見学している人たちも、自分の番を待っているのかもしれない。

『クエスト情報メールに添付して送っておくから、受けたら一緒にやりましょうよ。』

「かまわんが、さっきまで、道場巡っていたんじゃが、どこも混んでおったぞ。」
―――今もいるんじゃがな。

『んーそうね・・・。城の練兵場なんか穴場じゃないかしら、あそこは立ち会ってくれるNPCも沢山いたようだったし。』

「ふむ。今から向かっても・・・そうじゃな、20分はかかりそうじゃ」

クエスト情報が送られてきたのでそれを見ながら答える。両替商前のNPCから受諾可能ということだ。

『私もそれぐらいはかかりそうね、今12時半ばだから、13時ちょうどに練兵場で落ち合いましょう』

ゲームが開始されたのが、ゲーム内時間で午前8時だから、なんだかんだで制限時間半分が過ぎている。

「あい、分かったよ。」
了承の意を示し、通話を終了する。

――さて、両替、両替と・・・。
持っていた武器を返品し、道場を後にした。


両替前のNPCこと、物知り爺に声をかけましたら、
「お主レベル1のひよっこじゃな。・・・ならば誰でもよい模擬戦で三勝せよ、さすれば、大した物ではないが、わしが現役だった頃の武器を一つやろう。不正を行なえばこのクエストは失敗となる。監督がいることを努々忘れるでないぞ。」
とのことで、クエストが開始された。

「不正とは具体的にどういったことかの?」

「わざと勝ち負けを決めてかかることだ」

「それはどうやって判断するんじゃ?」

「監督は長年の経験から限定的に戦意を読むことが可能となっておる。偽証は不可能と知れ。」

後衛職には大分辛いクエストと思われた。
しかし、相手は陰陽師、術による戦いが主体である、接近戦に持ち込んでしまえば、こちらが相当有利なはずだ。
茶屋で買った団子を食いながら城に向かった。


城の中堀の練兵場は割りと空いていた。
広い敷地でちらほら戦っている人達もいるが、道場のように待つほどに混んではいないようだ。

NPCに武器を借りうけ、しばらく、かかし相手に術や武器の練習していると、阿修羅が外堀の橋を歩いて渡ってくるのが見えた。

「三戦じゃなく三勝じゃったな。」

「ああ、ごめんなさいね。実は人づてからの情報を間違って聞いてたみたいでね。私もクエストをさっき受けたばかりなのよ。」

阿修羅は、何故か心底申し訳ないといった風だった。

「負けたほうは、また他の人を当たるしかないようね、まぁ人気のクエストみたいだから、戦う相手はすぐ見つかるでしょ。」

「どちらとも3勝になるまで、やればいいのではないか。」

「ああ、そうね。うん、そうすればいいんだけどね・・・。実力に差があるとどちらかが一方的に負け続ける事もあるじゃない。」

手加減できないんだし、と何やらお茶を濁す風に言った。

「なるほどな。しかし職業的にな、陰陽師に一方的に負けるわけにはいかんじゃろて」

「このゲームで戦うのは初めてだけど、私も負ける気はさらさらないからね。」

NPCから、刀を借り受け、微笑みを浮かべながら、武器の具合を確かめるように数度振っていた。
その姿はやけに様になっていた。


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