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No.20607の一覧
[0] 【初投稿・習作】信ONをネタに書いてみた【VR物】[ノミの心臓](2010/07/24 22:24)
[1] 序章[ノミの心臓](2010/07/24 22:19)
[2] はじまり[ノミの心臓](2010/07/24 22:24)
[3] はじまりはじまり[ノミの心臓](2010/07/25 22:23)
[4] はじまり×3[ノミの心臓](2010/07/26 21:50)
[5] [ノミの心臓](2010/07/31 23:50)
[6] [ノミの心臓](2010/07/31 23:59)
[7] [ノミの心臓](2010/08/02 19:49)
[8] [ノミの心臓](2010/08/07 19:48)
[9] 8 閑話[ノミの心臓](2010/08/05 23:20)
[10] [ノミの心臓](2010/08/05 23:26)
[11] 10[ノミの心臓](2010/08/08 09:46)
[12] 11[ノミの心臓](2010/08/08 20:30)
[13] 12[ノミの心臓](2010/08/10 22:00)
[14] 13[ノミの心臓](2010/08/20 22:22)
[15] 14[ノミの心臓](2010/08/26 21:38)
[16] 15 閑話[ノミの心臓](2010/08/29 00:49)
[17] 16[ノミの心臓](2010/09/01 23:40)
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[20607] はじまり×3
Name: ノミの心臓◆9b8a3f51 ID:ee8cef68 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/07/26 21:50

前作でも駿府は常春だったが、ここもそうなのだろうか。春の柔らかな日差しが注ぐ桜の木の下で数十分、雑談に興じた。

「いい景色ねぇ・・」

城の中掘りといえど城下町より多少高い所にある、辺りを見渡すにはいい場所であった。

「まさに戦国時代といった景色だな。桜も好い按配じゃ」

若い男女なら、絵になろう場所ではあった。
―――美女とジジイではな・・。

「そうね・・なんだか色彩が日本と違うような気がするわ。」

「ふむ。空気の透明度が違うのかもしれんな。」
色が純色に近いと言えばいいのだろうか、春の景色ではあるが、夏の雨上がりのような輝きを持っていた。

なんでわしに声を掛けたのかと聞いてみる。

「最初はね・・・、ああ、私こういうバーチャルゲームって結構やっててね。こういうゲームって外装は美男美女の若い人ばかりなのよ。ちょっとレアな感じのお爺ちゃんを見かけたので声をかけてみただけよ。」

「そういうものなのか。まぁ、大多数の人間の願望であろうな。」

――わしは歳を取りすぎたのかもしれんな・・。爺に見られたくないとは思ったが、青春の頃のように若くなりたいという発想がなかった。
自分の外装はいい所、中年から初老未満という風体だと思うのだが、若い人にしたら、60代は爺なのかもしれないと思い至った。


「それにね・・・。なんていうか捻くれ方が家のお爺ちゃんそっくりでね。桜の木の下にいる哀愁漂う姿が哀れに感じられて、また声をかけちゃったって感じね。」

けらけらと笑いながら言ってはいるが、酷い言い草であった。
歳を取り、感受性が鈍っていなかったら泣いていたかもしれない。







「貴方、アバターの年齢だけ上げてった人?」

「さぁ、どうじゃろうな。」

「ふーん、じゃその外装はいじってないって事?」

「・・さてはて。」

あまり爺扱いを受けたくはないので、白髪交じりの髭を弄りながら、惚ける。

「いじってはいるけど、年齢はそのままって事かしら?」

「お主は若作りした口かの?」

「私は、ほとんどいじってないわね。本当よ。」

「まぁ、それが真実と知る術もなし。」

等と、若干不毛な会話が多かったが、人が仲良くなっていく過程等こういう物なのかもしれない。




しばらくして、風景を楽しんでいた人達も、町にくりだし、辺りの人もまばらになって来たところで、自己紹介会はお開きとなった。

「では、まず初期クエストをこなしつつ、手分けして情報収集にかかりましょう。」

半ば強引に徒党を組まされ、今現在は別行動中。
透過性のコマンドウィンドウから古びた地図を開き、町の中を散策中である。

「そういえば、特典とやらは何かなと・・」

アイテム欄を選択すると、


小さな葛篭箱(つづらばこ)×3:ランダムに価値5以上のアイテムが入っている。
引継ぎ知行品:貴方が懐かしむ事が出きる一品を。領地獲得時に自領にてお使い下さい。


所謂、月額無料のアイテム課金ゲーに在りがちな、景品くじという奴だろう。
信onは月額課金なのでこの手のアイテムの入手はクエストか何かだろうか。

腰の袋に手を突っ込み、手の平サイズの葛篭箱取り出す。
こういう物はさっくり空けてしまった方が、はずれを引いても、ショックが少ないのでとさっさと空けてしまう。

越後景虎×5:越後の特産大吟醸酒。価値14 酒類 売値時価
味噌煮込みうどん×10:岡崎の特産品。価値6 食料 売値時価
福豆×1:初期ステータスのうち属性がランダムで+1される。 価値25 食料 取引不可

最後の福豆は陰陽師なら喉から手が出るほど欲しいものだろう。
仮に水属性が上がれば、水属性値だけは今川の陰陽師とためを張れる、レベルが上がれば差が出るだろうが。

ここもさっくり食べてしまう。
結果は見事、水属性は+10となった、――出来すぎじゃな。
以後この初期値に則ってレベルが上がるごとにステータスが上がっていく。
知力も10にして、術主体で行くべきだったかと若干の後悔も沸いた。


『ぴんぽろぼーん。1件のメールが届きました。』

頭の中で声がした。

「開封。」
――で開くんじゃったかな・・・。
正面にウィンドウが開いた。

『阿修羅でーす。地図情報の共有機能があるようでーす。』

メールを開くと同時に地図も開かれる。
ほとんど建物の配置しか書かれていなかった地図に×印が多数書き込まれる、×印を指で指さすと、注釈ノートが浮かび上がり、茶屋、剣術道場等と書かれている。
リアルタイムで共有してるらしい。なんとも押し付けがましい機能である。

思考操作で返信文章を書いていく。

『では、わしは城から北を適当に調べていく。』

北を調べるのは、僧の初期クエストの受諾場所が北にあるからだった。
素っ気ない感じもする、まぁどうでもいいかと軽く返信する。
前作では女性からメールがきたら、1時間は文言を悩み、それから1時間を返信する時期を逸したことで返信すべきかを悩む純真ボーイだったのに成長したものだ。いや、もはや枯れてしまったのだろう。

目に付いた店は片っ端から入り、何の店なのかと声をかけ聞いていき、地図に書き込んでいく、不動産屋まであった。
地図は黄ばんだ和紙に墨で適当に建物らしき四角とが書きなぐられているだけなので、建物の間の路地やらは書かれていない事が多い。
大概は町民の住居らしく、鍵が閉まっており、ドラクエのごとく無許可でタンスを漁る事は出来なかった。
開く扉ないかなぁとガタガタやっていたら、一度不審者扱いを受け、見回りの兵士に職務質問までされた。。

右へ左へしながら方向としては北へ向かっていると、僧侶にとっての重要施設、寺院に到着した。
宗派はなんなのだろうかと、門衛に聞くと、「それは誰も知りません。」とのことだ。

寺前の受付で記帳した後、本堂東の別棟に案内されると、すでに何人かプレイヤーと思しき人達がいた。
10名ほど集まった所で、僧の偉い人。所謂、三官の序列3番目、律師の香織、30代前半と思しき、尼僧の人に、僧とは何たるかの説明を受けた。

「僧は回復、攻撃、補助、防衛と多岐にわたる技能を修得することができ、万能職と呼べる内容にっています。しかし、僧が修得できる技能はどれもクセが強く、同列に位置づけられる他職のそれらと比べると、技能単体としては物足りなかったり、使いにくいものが多いです。
そのため、僧の技能は、単体よりも複数を組み合わせて使う必要があり、満足に戦うためには自身の能力や技能を十分に理解し、臨機応変に装備や技能を組み替えていかなければならず、これが僧の難しさであり、また醍醐味にもなっているという訳です。」


その後、それぞれに技能目録を渡された。勤行、護法、僧兵法、仏の道、密教、芸道、の目録を渡された。
それぞれの名前の目録に2つか3つ技能が書かれている。

「コマンドから技能を選択すると、レベルに応じた数のスロットが表示されます。それに使いたい技能を実装することにより、使いたいと思考すれば、自動で使用が可能です。使えば使うほど、技能の熟練度が上がり、その技能の拡張性が上がります。また、上位互換といえる技能を覚える事もあります。」

律師はお茶に口をつけた。

「これで、一応一通りの説明は終わりましたが、何か質問があれば受け付けます。」

さっそくコマンドをいじくっているのだろう。前方を指先でつついている人、腕を組んで目だけで操作している人、ぼーっと思考操作をしたりする人、様々であるが多少シュールな光景だった。

「この目録では、技能の印の結びや詠唱が書いてありますが、仮に覚えて使用する場合ば実装しなくても使えるでしょうか?」

「良い質問ですね。答えは使えます。マスタートレースシステムを使わなくても使用は可能です。」

「では、マニュアルでの使用を習熟すればMTSの補助を受けるより速く使えるようになったりするのでしょうか?」

「それは、人それぞれだと思います。ご自分でお確かめいただきますよう。ですが、MTSはその名のとおり、達人クラスの技能を写しているシステムの事です。」

「ではスロットに入れるのは多用するものにし、入らないものはマニュアルで使用というのが正しい使い方でしょうか?」

律師は微笑を浮かべるだけで答えなかった。自分で考えろということか。

「護法にあるパッシブ技能は実装しなくては意味ないのかの?またパッシブ技能の熟練度獲得方法はなんであろうか?」

――とこれはわし。

「実装しないと効果がなく、基本的には実装し敵を倒すことにより上昇していきます。」

そう思うと枠が少ないように感じられた。

「技能の使用が制限される場所はありますか?」

「現在の所、ございません。」

「仮に街中で建物や人等に攻撃術を使ったとしたら?」

「大惨事ですね。ですが町民も各自、自衛いたします。」

「具体的にそういったプレイヤーはどうなりますか?」

「自国人の場合は、しばらく牢屋に入っていただきます。他国人の場合は処刑されるでしょう。ですので、街での攻撃術の使用は各種道場及び練兵場での使用をお勧めいたします。」

「では、少し長くなりましたので、まだご質問のある方は後ほどお受けいたします。」

そう言われて、まだ聞きたそうな面々も速く立ち去りたそうな面々も息をついた。

「これにて初期クエストのお一つが終了となります。皆様方には今川家所属の僧として、支度金10貫が支給されます。毎月給金も身分に応じて支給されます。給金の計算は大雑把に今川の総国力割る所属プレイヤーの総数掛ける身分となります。」

要は人数が少ない国ほど給金は高くなるということだろう。
律師は最後まで微笑を絶やさず答えていたが、最後の質問者を若干睨んでいる気がした。

さて次はどうするかと考えながら寺を出る。



『ぴんぼろぼーん。ボイスメールが届きました』

色んなメールがあるもんだと思いながら開封を指示する。

『お爺ちゃん、人にも分かるように地図の注釈書いて下さいね』

何か苛立つ事でもあったのだろうか、優しい声音の中に鬼が垣間みえた。










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※マスタートレースシステム(以後、MTS):思考を読み取り、自動で戦闘等を行なってくれるシステム全般の事。


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