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No.20607の一覧
[0] 【初投稿・習作】信ONをネタに書いてみた【VR物】[ノミの心臓](2010/07/24 22:24)
[1] 序章[ノミの心臓](2010/07/24 22:19)
[2] はじまり[ノミの心臓](2010/07/24 22:24)
[3] はじまりはじまり[ノミの心臓](2010/07/25 22:23)
[4] はじまり×3[ノミの心臓](2010/07/26 21:50)
[5] [ノミの心臓](2010/07/31 23:50)
[6] [ノミの心臓](2010/07/31 23:59)
[7] [ノミの心臓](2010/08/02 19:49)
[8] [ノミの心臓](2010/08/07 19:48)
[9] 8 閑話[ノミの心臓](2010/08/05 23:20)
[10] [ノミの心臓](2010/08/05 23:26)
[11] 10[ノミの心臓](2010/08/08 09:46)
[12] 11[ノミの心臓](2010/08/08 20:30)
[13] 12[ノミの心臓](2010/08/10 22:00)
[14] 13[ノミの心臓](2010/08/20 22:22)
[15] 14[ノミの心臓](2010/08/26 21:38)
[16] 15 閑話[ノミの心臓](2010/08/29 00:49)
[17] 16[ノミの心臓](2010/09/01 23:40)
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[20607] 16
Name: ノミの心臓◆9b8a3f51 ID:ee8cef68 前を表示する
Date: 2010/09/01 23:40

1日目は午前8時スタート、二日目は午後4時スタート、現在三日目ゲーム内時刻、深夜午前0時、駿府城下町寺の一角は見渡す限り墓だった。
そんな暗闇の中、数十人の人影と幾つかの灯火があった、これだけの人数が昨晩は死んで成仏なさったわけだ。その灯火の一つが近づいてきた。

「お爺さん?」

「おおっ!?巫女さんか、こんばんは。」

技能【光明】の明かりを手でかざしながら、巫女さんが声をかけてきた。

「こんばんは。今日は少し暗いですね。月が雲に隠れているようです。」
巫女さんは墓場ということもあってか、声量を落としているようだ。

「墓場から這い出るにはぴったりな雰囲気じゃな。雨でも降りそうじゃ。」

「私達はさしずめゾンビですか。」

ゾロゾロとお寺の出口に向かって歩いていくゾンビ集団、ほとんどが徒党丸ごと全滅のようで、反省会のような会話が聞こえてくる。
その集団にまぎれ進んでいくと、白髪忍者のねずみ小僧君が寺の門によすがって待っていた。

「こんばんは。小林さん、いい夜ですね。」

「こんばんは。小僧君。」

いよいよ雨が降り出してきた、大多数のゾンビ達はあまり気にせず、そのまま門を出て走り去っていく。
わし達はなんとなく、門下の石段に座り込んだ。

「他の地域で山伏が発見されたそうです。キノコハウスも情報を得て、急ぐ必要がないと判断したようです。賞金を取り下げました。当初の予定が狂ってしまった訳ですが…どうしましょうか?」

「あまり賞金には期待はしてなかったが、存外に早く見つかったものじゃな。」

「見つかったのは上杉、越後ですね。上杉はプレイヤーの纏まりがいいみたいで、βテスターが音頭を取り、ローラー作戦で山伏を探し出したようです。」

「越後か、日本海側…間反対じゃな。ちと足を伸ばすには遠いかもしれんな。」
現実で直線距離で300km近く、ここでは100kmになるか、間には武田の国の領地、長野県と山梨県こと、信濃と甲斐があった。
計算上、疲れ知らずのこのゲームで真っ直ぐ走り続ければ4時間ほどで到着する訳だが、長野は果てしなく山だった。

「目録の詳細も書かれてました、野外活動その壱。書かれている技能は二つ。飛脚・序 効果は街道上でのみ脚力上昇です。パッシブ技能のようです。」

「各国で行商するのに便利そうじゃ。」

「でも、お金はかかりますが、街道の移動手段として馬もありますからね。もう一つは料理作成、鼠の肝とか料理できるみたいですよ。」

「あまり美味そうではないの。」

「食料を現地調達できるのが強みですかね。そういう訳でそんなに急いで取る必要もないということが分かりました。」

「ふむ。近場で山伏が見つかるのを待つのも手かの。」

…しとしとと降り続く雨の中、眼前の長屋と遠くの駿府城を見ながら、しばらく沈黙が続いた。

「えっと…阿修羅さんと連絡とっていただけますか?」

「おおっ そうじゃったな。風景に見とれておったわ。」

確か目録の断片の受け渡しをするんだったなと思い出し、阿修羅にその旨のメールを送った。
しばらくすると、返事があり、お互いの場所をフレンド機能と併せ地図で確認をし、西門の茶屋で待ち合わせる事にした。
小僧たちにもそう伝え、小雨の中3人で走り出した。

「まだ来ておらんようだの。」
雨のせいか、茶屋の風景も一遍し、野ざらしにされていた椅子には赤い大きな傘が何百と差されていた。

「タオルでもあればいいのですけれど…」
巫女さんが長い黒髪につけた水滴を払いながら言った。
「すぐ乾くようになってるよ。」
兄妹では小僧だけがβ経験者という事で色々と詳しかった。

茶屋の団子を食べながら、しばらく雑談に兄妹と雑談に興じる。
大体1時間に一度は腹が減っているような感じがし、食事後2時間するとステータスの減少が始まる。休憩を挟めるようにする運営のはからいなのかもしれない。

「ごめんなさい、待たせたわね。」

しばらくして、阿修羅と合流し、挨拶もそこそこに、小僧がわしに話した内容と同様の会話が始まった。

「積極的に探す理由もなくなったわけねぇ。今日はレベル上げにでも転向する?」

「このまま解散しても良いがな。」
色んな人間と組むのもMMOの一つの楽しみ方だろう。

「捻てるわねぇ。ストレスなくパーティ組めるっていうのは案外珍しいのよ。私を大切にした方がいいわよ。お爺ちゃん。そうそう断片だったわね。」

お前さんの図太さなら、誰でもストレスなくパーティ組めそうじゃがな。等とわしは言わなかった。


断片で思い出し、小僧と阿修羅が受け渡し操作をしている間、自分にも何か偽山伏のドロップ品が入っていればと思い、アイテムウィンドウを開くと、アイテム欄の一番下に何やら、見慣れぬものがあった。

『地図絵巻物其の百弐十七』

それを選択し、腰の袋から、その巻物を取り出す、アイテムは具現化すると他の人にもそのアイテムの詳細を注視することでウィンドウで見る事が可能となる。

「お爺さんそれはなんですか?」巫女さんが覗いてくる。

「わからん、偽山伏からのドロップ品のようじゃ。」

「地図絵巻物ですか…効果とか何も書かれてませんね」

「使ってみるかの、地図なら共有すればよいしな。」

特に遠慮することなく、使用してみた。すると駿河の…街道以外は真っ白な地域マップが開かれ、駿府城から北東、富士樹海の真っ只中だろう場所に×印が書かれ注釈用のペーパーも付いていた。
注釈を見てみると、富士地下洞穴:推奨レベル20以上・フル徒党以上複数徒党推奨と書かれていた。
フレンド登録しなければ、地図情報の受け渡しはできないらしく、小僧と巫女さんにフレンド登録依頼を出し、了解をもらった。

「ダンジョンの情報のようね。次の目的が決まったわね。」

「推奨レベル20と書いてあるじゃろうが。」
自分達のレベルは昨日1ずつ上がり、阿修羅とわしが5、小僧と巫女さんが4だった。

「ご丁寧に街道沿いからのルートまで書かれてます。」

「面白そうですね。」

「人に荒らされる前に行くべきよ。昨今のゲームじゃダンジョンといえばお宝がつき物だしね。」

「推奨レベルを満たすことが、近道かもしれんぞ。急がば回れじゃ。」

「長期間遠征することになるなら、武具の修理ができる鍛冶屋は必須でしょう。」巫女さんが言った。

「恐らく偽山伏を倒せるぐらいの徒党を想定しているでしょうから、今の僕達では力不足かもしれません。」
小僧が言った。確かに倒せたのは運がよかったというほかない。仮にあんなのがうじゃうじゃしているような場所だったら経験値を減らしに行くようなものだ。

「人を集めるか、レベルを上げるかするべきじゃろうな。」

「安易に人を集めて情報を漏らすのは止めましょうね。」お宝に目がくらんでいる阿修羅が言う。

「では、こういうのはどうでしょう。ここで一度、徒党を解散して、それぞれレベル上げをしてる過程で、信用できる人を私と兄さんで一人、阿修羅様でお一人、お爺さんでお一人作ってから富士地下洞穴に向かうのは。」
「レベル20にしようと思えば、ひたすら時間をレベル上げに費やしても最低2週間はかかると思われます。段々と上がりにくくなっていくでしょうし。」
βからの経験でなんとなく分かるのだろう、小僧が巫女さんの提案に補足するように言った。

「長いわね…一週間にしましょう。時間をかければ、他の徒党に先を越されるかもしれないわ。別に推奨なんだから、それ以下でもかまわないでしょう?」
阿修羅の言葉にその辺が妥協案と思え、みな頷いた。

「先々のことになるが、徒党の職が偏ったらどうするんじゃ?」

「その辺は連絡を密にしていきましょう。複数信用できる人を用意しておいて、後で誘う人を決めるとか。」
小僧の交友関係が広いからこその発言のようだった。

「わしゃ信用できる人を一人作るのも難しいの。」

「誰もお爺ちゃんには期待してないわよ。人数も臨機応変にね」
その後も細々とした事を小僧と阿修羅がほとんど二人で決めていった。

「こんなところかしらね。何か忘れていることあるかしら?」

「再び集まったときの徒党のリーダーは誰にしますか?」
昨日党首だった小僧が言った。

「また小僧君でいいじゃろ。」

「しかし、この中では一番若輩者ですし…あまり大勢を纏める自信がありません。お爺さんどうですか?」

「見た目どおりの歳でもあるまいに…。わしゃ嫌じゃ。阿修羅はどうじゃ?」
小僧と巫女さんは高く見積もっても高校生といった容姿だ。

「別にかまわないけど、私がリーダーになると暴走するけどいいかしら?」

「…ここは、巫女さんでいいんじゃないか、別に気負う事もないと思うがな。」

「私ですか…兄を差し置いて、でしゃばるなんて…。」

「いいと思うよ。うん、向いてると思うし。」
その後しばらく、誰が党首になるかで話し合いが行われた。

「では、次から私が党首ということになりましたので、そのつもりでよろしくお願いします。」
結局、巫女さんが折れる形で党首になったが、その台詞に何やら不安になった。






「それじゃあ、またの。」
「ちゃんと、お友達作ってくるのよ。お爺ちゃん。」
「うっさいわい。」
「では、また一週間後に。」
「またです。」
わしは軽く片手を上げて、阿修羅は何もせず、兄妹は丁寧にお辞儀をしてそれぞれ別れた。





茶屋では太らないことをいいことに、4人で団子100個以上…半分以上は女性陣が食べていたが、割り勘だった。


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