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No.20455の一覧
[0] 【ネタ】こんなレオはどうだろう(つよきす)[酒好き27号](2010/12/01 12:42)
[1] 霧夜エリカとの関係[酒好き27号](2010/12/01 12:47)
[2] 鮫氷新一との関係[酒好き27号](2010/12/01 14:56)
[3] 伊達スバルとの関係[酒好き27号](2010/12/01 15:02)
[4] 椰子なごみとの関係[酒好き27号](2010/12/01 15:06)
[5] 蟹沢きぬとの関係[酒好き27号](2010/12/01 15:10)
[6] アレックス・サンバルカン13世との関係[酒好き27号](2010/12/01 15:16)
[7] 大江山祈との関係[酒好き27号](2010/12/01 15:22)
[8] 近衛素奈緒との関係[酒好き27号](2010/12/01 15:30)
[9] 佐藤良美との関係【前編】[酒好き27号](2011/08/12 12:42)
[10] 佐藤良美との関係【後編】[酒好き27号](2010/08/17 21:53)
[11] 学校行事におけるスタンス[酒好き27号](2010/12/01 15:56)
[12] 村田洋平及びモブキャラとの関係[酒好き27号](2010/12/01 16:07)
[13] 物語の始まりにおける彼の行動[酒好き27号](2011/05/25 19:51)
[14] 鉄乙女との関係【前編】[酒好き27号](2011/05/25 19:49)
[15] 鉄乙女との関係【後編】[酒好き27号](2011/08/12 12:32)
[16] 生徒会執行部での立ち位置【前編】[酒好き27号](2011/08/12 12:46)
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[20455] 大江山祈との関係
Name: 酒好き27号◆3e94cc3d ID:17f35bae 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/12/01 15:22

 ガラガラガラガラ

 彼女の名前は大江山祈。

 レオが彼女と会ったのはとある日の黄昏。

 何にも使用されていない、教室の一角だった。

 と、妙なモノローグから始まったのではあるが、現実はとても微妙なものだった。


 ガタッ!!


 慌てたように身を起こす少年。高校生という微妙な時期をが少年、と表現できるかは置いておこう。
 今にもその少年にのしかかって、ナニをナニと接触させようとしていた美人教師。

 …………。

「……失礼しました」

 レオは礼儀正しく一礼すると、うやうやしく扉を閉めた。
 本当ならばこのまま全力で離脱した上で記憶から消し去るのが正しいのだが、何となく聞き耳なんかを立ててしまう。

「あらあらどうしましょう」

「え?え!?うわー、やっぱりやめておけばよかった!おしまいだ!退学だー!!」

 混乱したような男子生徒の声。
 かわいそうに、この分だと彼は被害者なのだろう。

「まぁ落ち着いてくださいな」

「やっぱりやめておけばよかった!こんな胡散臭い人がそんな美味しい話なんて持ってくるわけがなかったんだー!」

「……うるさいですわよ」

「にょぎゃーーーー!!!」

 バチッと電流が流れたような音。
 その一瞬前に聞こえた低い声は、やけに迫力があった。
 聞かなきゃよかったと軽く後悔。
 これは今からでも速攻で逃亡すべきか。

「対馬さん。そこにいるのはわかっています」

 入っておいでなさいな。

 悪魔の声が響いた。レオの気分的にではあるが。
 慌てず騒がず深呼吸。現状を把握して、まず一言。

「服を着てください」

「既成事実を作ってしまおうかと思いましたのに」

「誤解を受けそうな発言はやめてください」

 ギリギリセーフだった。
 多分不用意に開けていたらグラマラスな裸身に抱きつかれて脅迫され灰色の学生生活が……!

「そんなことしませんわ」

「人の心を読まんで下さい」

 待つこと数分。どうやら服を着たらしいのでレオは恐る恐る教室に足を踏み入れた。
 そこには優雅に椅子でくつろぐ祈と、しっかりと身だしなみを整えられて気絶する生徒が一人。

「……何したんですか?」

「少々記憶を失ってもらっただけですわ」

 にこやかに祈は言った。
 その声はいつもの彼女と寸分たがわず、レオはこんな状況にあることを忘れそうになる。
 現実逃避に近い感情でレオは気絶した男子生徒に黙祷をささげた。

 お互い強く生きようぜ。

「先生もお若いですし、自由恋愛なら何も言うことは無いんですが……」

「自由恋愛ですわよ?万が一ばれても情熱を持って説得すれば橘さんも許してくださいますわ」

 本来ならば教師として首になってもおかしくないのだろうが、あの館長ならば本気で許可を与えそうで怖い。
 ……入学式の件がいい例だ。

「うーん、ここは?」

 やけに呑気な声を上げながら男子生徒が身を起こした。
 さっき見た光景のせいか、軽く身構えるレオ。

「この教室で倒れていたのですよ」

「ええ!?それホントですか」

「占ってみたところ健康に異常はありませんので、悪しきものがついているこの教室には近づかないことをお勧めしますわ」

「わ、わかりました。ありがとうございます」

 どうやら本当に記憶を失っているらしい。祈先生何したんだ。
 驚いたようにこちらを見た生徒に軽くうなづきを返しておくレオは空気の読める男であった。
 いや、決して祈からのオーラが怖かったからではなく。
 にしてもこの科学の時代でもオカルトって信じられてるよなぁ。

「あなたは霊的なものに耐性が無いようですわね。これを持って行きなさいな」

「いいんですか?ありがとうございます!!」

 祈の占いは校内でもかなり有名だ。
 運命を読むとまで言われるその腕前は彼女のミステリアスさをプラスして、より一層男子生徒からの人気を高めている。
 嗚呼かわいそうに。幻想を抱く彼らがこの本性を知らないことを祈る。
 祈先生だけに。
 ついでに渡されたのは何の変哲もないビー玉だった。

「構いませんわ。そういえばあなたの部活の方が探していましたよ?」

「もうこんな時間!失礼します」

 慈愛に満ちた声に促され、男子生徒が慌てたように出て行った。
 かすかに頬を染めていたのは、覗きこむようにして見られ強調された祈の胸のせいだろう。
 女は怖い。レオは心底そう思った。

「もしかして、生徒が近づかないようにこの教室の悪い噂を流してるのって祈先生ですか」

「そんなことはありませんわー」

「…………」

「…………」

 見事な棒読みである。
 え、マジ?適当に言ったことがどうやら正解だったらしくレオは乾いた笑いしか浮かべられない。
 とするとこの教室もゴニョゴニョするための部屋だったりするのだろうか。
 レオは悩んだあげく、根本的な解決を選択した。

「祈先生、俺の記憶も消せますか」

 そう、逃避である。
 チキンと笑うがいい。どうやってもこの人に勝てるイメージが浮かばない。
 いや、勝負する気もないんだけど。

「代償が必要ですわよ?」

「ちなみになんです」

「相手の体液ですわ」

 目がマジだった。
 っていうかなんだ体液って。それあれじゃね?呪い的なものじゃね?
 レオは戦慄しながら冷静にポケットからシャーペンを取りだすと、慎重に親指を刺した。
 ほんの少しではあるが流出する血液。

「……これでいいですか」

「いけずですわね」

 妖艶な流し目と共に祈が血液を呪符らしきものに付着させた。
 何故か胸の谷間から出てきた紙切れで本当に記憶を消すことが可能なのだろうか。
 レオは可能な限り無表情で祈の迫力のある胸を意識から除外した。

「って何してんですか!」

「ちふぉうでふわ」

 パクりと指をくわえられた。
 慌てて後退しようとしたものの、がっちりと抱きしめられて動きを封じられる。
 男子生徒の間で一度顔をうずめてみたいおっぱいNo.1がレオの腕を挟みこんでいる。
 何だこれ何がどうなってああでも指を舐められてるだけなのに気持ちいいってこの思考回路は危ない!

 ぐいっ

「あら、こういうのはお嫌いですか?」

 レオが最後の力を振り絞って引き離すと、祈は余裕のある笑みで離れた。
 ちゅぽん、と音を立てて引き抜かれた指から銀色の糸がかかって消える。

「いや、あの、ホント誰にも言わないし容赦なく記憶をいじってもらって構わないんで勘弁してください」

「ふふっ、真っ赤になって可愛いですわね」

 しどろもどろになってもなんとか拒否すれば、すっごく色っぽい目を向けられてレオビビる。
 ここは全力で逃げるべきか。

「対馬さんをからかうのはこれくらいにしておきましょう」

「いや、9割本気だったでしょう」

「……何か?」

「何でもありませんマム!」

 ビシッ!と見事な敬礼。
 下手なことを言うと食われる!レオはいたって本気だった。

「私はお母さんと言われるほどの年齢ではありませんわよ」

「予想以上にめんどくさいよこの人!」

 今までのやり取りで一番怖い目をしてるってどういうことだ。
 流石に脱線し過ぎたと思ったのか、祈が軽く咳払いをしてレオに自分の前に立つよう言った。
 また何かされるんじゃないだろうか。

「わがおもいえがくきおくをこのものからけしさりたまえー」

 凄く……わざとらしいです。
 効果を疑う呪文の後、まばゆいばかりの閃光がレオの意識を覆い尽くした。
 数秒の静寂が満ち、レオはゆっくりと口を開いた。

「……祈先生」

「どうしました対馬さん?」

「生徒誘惑するのって趣味ですか」

「そうですわー」

「ちなみに基準は?」

「童貞」

「ど、童貞?」

「あとは可愛らしい生徒、ですわ」

 いやいや、その基準で言ったらどう考えても可愛らしいの方が先に来るべきだと思うのだが。
 だがこの先生ならば童貞か否かを見分けることができてもおかしくは無い。

「私は童貞や処女を見分ける能力があります」

 もうどうにでもなーれ。
 処女も守備範囲内とは恐れ入った。今度から霧夜エリカ2号と呼ぼう。

「私はノーマルですわー」

「それは安心です」

 レオは心にもない返事を返す。
 大人になるということは、状況にあった嘘をどれだけうまくつけるようになるかということだ!
 俺は、汚れてしまった……。
 素敵な絶望感に酔いしれながら、レオは冷静に深呼吸をして祈をまっすぐに見つめた。

「で、何で効いてないんですか」

「血液だと弱すぎたのですわ。やっぱり一番よろしいのはせい……」

「勘弁してください」

 どうやらレオにこの教師から逃れる術はないらしかった。
 何とか矛先を変えようと、彼はちょっと真剣な声を出した。

「どうして、こんなことを?」

 雰囲気の変わってレオにも祈は全くと言っていいほど余裕の表情を崩さなかった。

「あらあら、対馬さんは私を口説いてるんですの?」

「そうかもしれませんよ?」

「私にだって人肌恋しいときというものがありましてよ?」

「……わかりました。そういうことにしておきましょう」

 そういうところが可愛らしくて、可愛くないですわ。
 その独り言のような声にあえて何も言わず、レオは踵を返した。
 彼に見えている地雷をわざわざ踏む趣味は無い。
 その背に背後から低い声が投げかけられた。

「対馬さん、このことは他言無用ですわよ」

「もちろん。呪いなんかかけられたら困りますしね。オカルト関係はお腹いっぱいですんで」

 オカルト、という単語のせいか無意識のうちにレオの口もとに獰猛な笑みが浮かんだ。
 もちろん祈に背を向けているため彼女には見えなかったが。

「では、気をつけてお帰りなさいな」

 ずいぶん含みのある声だったが気にしないでおこう。
 この人をまともに相手していたら心臓がいくらあっても足りないに違いない。

 でも、まぁ。




「男子高校生の夢だよなぁ、エロい美人教師」



 夕暮れに染まり人の少ない校舎で、レオは様々な感情が入り混じった声を出したのだった。










「で、なんか出た?」

 罰ゲームから戻ってきた教室には暇人帰宅部のフカヒレとカニ。
 移動がだるいだけでまぁ何もなかっただろう、というオーラを出したフカヒレがやる気無さげに聞いてきた。

「美人だけど得体の知れないのが出た」

「何ぃ!?なぁなぁ、幽霊って魂なんだから服とかきてないよな」

「ボン、キュ、ボン」

「死んじまって凍えた心、このシャーク新一が優しく温めに参ります!」

 とりあえずフカヒレをけしかけることにした。
 嘘は言っていないのでセーフ。
 もうとっくに祈先生も帰っただろう。と思いながらメインターゲットであるカニを見る。
 おー、凄い勢いで震えてる。
 フカヒレにレオがついていけば、既に誰もいなくなった2-Cの教室にはカニ一人になる。
 これで嫌でもカニは噂の空き教室に行かざるを得ない。
 レオは人知れず小悪党の笑みを浮かべた。





 で、所変わって先ほどの教室。
 窓が開いているのは先ほどの生々しいにおいを消す為だろうか。

「こ、こんなの別に怖くないもんね!!」

「出ておいで~、ちょっと一緒にコウノトリさんを呼ぶだけだから」

 カニ、そんなしがみついた状態でその台詞は説得力が無い。
 それとフカヒレ、それは婉曲に言ってるつもりだろうが聞く人によってはド変態にしか聞こえない。
 スキップでもしそうなほどテンションが変なオーラを振りまいている。
 かすかに何かつぶやいてるのが聞こえる「幽霊もいいよな」ぶっ殺すぞテメェ。
 はっ、フカヒレは関係の無い話だった。自重自重。

「……レオー」

「ん?どうした?」

 レオの背中に隠れるようにしていたカニが珍しく遠慮がちにレオの袖を引っ張った。

「別に何もいなくない?」

「実はその通り」

 カニの怖がりは元からだが、レオに憑いていた幽霊の経験からか何となく安心できるところはわかるらしい。
 馬鹿だからそれも怪しいものだが、まぁひっついてくる暑苦しさは軽減されるのでいい。
 と、そこでやはりカニが爆発した。

「てめぇボクを怖がらせてそんなに楽しいか!あんまりふざけたこと言ってるとお前の部屋の漫画本全部売り払ってやるからな!!」

「怖くないんじゃなかったのか」

「それは言葉の鞘ってやつだよ!ボクが幽霊なんか怖がるもんか!」

 数秒前の発言をきっぱりと忘れたような物言いはいっそ清々しい。
 それと鞘じゃなくて言葉の綾な。
 ポケットからハンカチを取り出すと、レオは涙目のカニの目元をぬぐってやる。

「まったく、泣くほど怖いなら教室で待ってればよかったのに」

「泣いてない、泣いてないもんね!」

 このレオの発言は幼馴染を思いやった言葉に聞こえるだろうが、カニの逃げ道をふさいでここまで連れてきたのはこの男である。
 そこに何も見つけられなかったフカヒレが戻ってきた。

「どうやら俺のあまりのカッコよさに気後れしてるようだな」

「フカヒレのあまりの駄目人間オーラに恐れをなしたと見た」

 カニみたいなお子様に俺の魅力は……と馬鹿二人の醜い争いが始まったところで、レオは教室の片隅にペンダントを発見した。

「これは……」

 確か祈先生のものだったはず。
 身につけているわけではないが、何かの時に持っているのを見た。

「明日辺りに届けるか」

 また何かのフラグを立てた気がする。
 そんな予感を振り払いつつ、レオはそのペンダントを制服のポケットに入れるのだった。
















「ではみなさん授業はここで終わりです。昨日出した課題を提出してくださいな」

 翌日の英語の授業。
 何かされるのではないかと朝から警戒していたレオは、普通に終わった授業に拍子抜けしていた。
 だが、それでも残る嫌な予感。

「なぁフカヒレ。課題なんてあったか」

「おう、昨日やったところの復習。要点をほぼ写すだけだから楽だってぜ。祈ちゃん優しいな」

「馬鹿なっ……!」

 必死に思い出そうと頑張ってみるものの、レオの脳内に昨日課題が出たという記憶は存在しなかった。

「今回の簡単な課題すらやってこなかった方にはもれなく補習をプレゼントいたしますわー」

「逃げたら吾輩のくちばしが貴様らのその空っぽの頭にサクサクとささるぞ」

 茫然としたレオの耳に絶望的な言葉が響く。
 その声に惹かれるように目線をそちらへと向ければ、笑顔の祈。


───祈先生、俺の記憶も消せますか。


 は、はめられた……。




 ポケットの中のペンダントを返して、補習をお手柔らかにしてもらうことを頼むくらいしかレオにできそうなことは無かったのだった。









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