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No.20278の一覧
[0] 【ネタ】世紀末悪魔伝【女神転生 ヒャッハー!】[モヒカンの人](2010/07/14 00:19)
[1] 【人類の】「親友がモヒカンになってた」改め世紀末世界で頑張る人たちのスレ 6年目 part185【黄昏ぜよ】[モヒカンの人](2010/07/15 00:00)
[2] 物資調達作戦[モヒカンの人](2010/07/16 03:56)
[3] アッーーーーーーーーー!![モヒカンの人](2010/07/18 02:32)
[4] オワタ式最終手段[モヒカンの人](2010/07/23 09:11)
[5] *お知らせ*[モヒカンの人](2010/07/27 22:27)
[6] [モヒカンの人](2010/09/22 16:20)
[7] ダークサモナー[モヒカンの人](2011/01/04 13:58)
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[20278] オワタ式最終手段
Name: モヒカンの人◆46a88152 ID:8eadbec5 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/07/23 09:11
「主、もうすぐ目的地上空に侵入します」
「分かった。ウォッチタワー、こちらペガサス1、作戦空域上空に到達し――うぇあ!? クソ!」
《ペガサス1 どうした!》
「クソったれ、戦闘中だぞ、聞いてねぇ! 通信オワリ!」

 雲を突き抜けて降下した二人の目に飛び込んできたのは、遺棄された軍事施設の練兵場で死闘を繰り広げる多脚戦車と二人の人影――いや、片方は明らかに人類の範疇を超えた体格をしている。悪魔だ。
 しかも驚いたことに、悪魔は人間の武器で戦っている。殆どの悪魔は人間を自分たちより弱い下等な生き物だと思っているため、人間の作った「弱者のための武器」を使いたがらない。だが、眼下で戦闘中の悪魔は例外のようで、人間には持つことすら危ういような重機関銃を担いでぶっぱなしていた。
 流血と弾丸の渦巻く戦場に、厳しい顔付きとなったセエレが背後を振り返る。

「契約外の状態です、引き返しますか?」
「ちょっと待て。ウォッチタワー、当該地区で先遣隊と思われる二人と戦車が交戦中。指示を乞う」
《…………代行殿から追加の依頼だ 用いる手段の全てを使って援護を願う 最低でも先遣隊だけ救助を頼む 報酬は三倍払うとのこと》
「ヒュー! 太っ腹だな、了解だ! 通信オワリ。セエレ、聞いていたな? 行くぞ!」
「了解致しました」

 風を切り裂きながら天馬が円を描きながら急降下する。
 ベルトで互いを縛り付けた状態で、光太郎はガンホルスターから40mm擲弾銃を取り出すと、対装甲車用の徹甲弾を素早く装填した。
 上空から急降下してくる姿に真っ先に気がついたのは、好感度センサーを搭載している戦車の方で、カメラアイが装着された旋回機銃が上空の彼らに向かって火を噴く。
 至近を大口径銃弾が過ぎ去っていく感覚に心臓を縮み上がらせながら、光太郎は激しく揺れる馬上から一瞬の安定を見きって引き金を引いた。
 発射された徹甲弾は戦車の上部装甲に命中したものの、激しい金属音がしただけで全くダメージを追った様子が見られない。空薬莢を素早く投げ捨てながら、光太郎は舌打ちを禁じ得無かった。

「クソ! トップアタックでこれかよ! せ、セエレ、魔法はどうだ!?」
「いけません、天馬の操縦で手一杯です。魔法を……アレを倒せるほどの大魔法を使うには一旦降りるか止まらないと!」
「止まったら蜂の巣になっちまうぞ!」
「くぅッ」
「うおっ!」

 其れまでの動きとは一変して、上下左右に乱暴な機動が連発する。
 敵の対空砲火がこちらの進路を予想して上部二門・前部二門、合計機関砲四門を用いた飽和射撃を仕掛けてきたのだ。セエレは驚異的な動体視力と勘でもって手綱を引き絞ると、天馬の周囲に風の障壁を作りながら緊急回避を繰り返した。
 ……幸運にも、熱追尾型ミサイルなどの対空兵装は装備されていないようだ。もし誘導兵器が装備されていた場合、開始五秒で二人と一匹は汚い花火と化していただろう。

「っ! くそ、うっががが、ちょ、セ、セエレ、首がもげる……!」
「ご辛抱を! 一つ間違えただけで肉片になります!」
「ぐぇ、くそ、撃つ暇がないッ」

 ダッダッダッダッダッダ! と暴力的な射撃音が木霊する。機関砲としては最低ランクの20mm口径ではあるが、それを人体に向かって使えばどうなるか? 試すまでもなく、二三発身体に食らっただけでジューシーなミートソースが出来上がるだろうことは明白である。
 主従二人は背後に迫った死神の足音に冷や汗を流す。
 運び屋がするような、任務ではなかった。


――――――――――――――――


「援軍か!?」

 全身傷だらけとなり、汗と流れ出した血でどろどろになったテリーが空を仰ぐと、青空に映える優美な天馬が旋回をしながら下降する。
 手綱を握っていない後席の人影が大口径の銃を撃つと、戦車は目の前のテリーとビューネよりも上空の敵のほうが脅威度が高いと判断したか、上部の対空砲火と前面に配置してある連装機関砲を上空に向けて射撃し始めた。
 凄まじい射撃音と共に大量の空薬莢がバラバラと地面に吐き出され、もう射撃に晒された上空の天馬は激しい回避運動を繰り返している。

「しめた! テリー、あの戦車、おつむが試作品だ。上にばかり気を取られてこっちがほったらかしだよ」
「へっへっへ、なるほどな、いただきだぜーーーー!!」

 テリーは両手でギロチンアクスを構えると、対空砲火に集中する敵戦車を回りこんで脚部の関節部に向かって振り上げたそれを思い切り叩きつけた。
 複合装甲に包まれた装甲板は敵戦車の主砲に耐えうるほどの硬度を誇っているものの、幾度となくテリーの常人離れした剛力で叩きつけられてきた斧の攻撃と、中距離から凄まじい精度で飛来するビューネの重機関銃の弾丸に激しく劣化していた。そして今しがた振り下ろされたギロチンアクスの一撃は、傷だらけとなった脚部の一本にトドメを刺す。
 右後の脚を切り飛ばされた戦車は、残りの脚で何とかバランスを保とうとするも、バランサーが調整されていないためか、よろよろと虚空に銃弾を吐き出しながら出鱈目に動き、最後にはなくなった足の方に崩れ落ちるように擱座した。

「やったぜ!!」
「馬鹿、まだ生きてる!」
「あ?」

 ぽかんとアホ面を浮かべるテリーを突き飛ばした瞬間、戦車下部から飛び出した奇妙な形の短い砲塔が火を吹いた。
 世界が揺れ、鼓膜が破れるかと思うほどの激しい射撃音。
 超音速に達した弾丸が空気の壁を突き破る破裂音と共に、テリーを庇ったビューネの土手っ腹に拳大の穴が開く。そしてその背後から射入口の何倍もの大きさの穴が開き、体に収まった内臓を根こそぎぶちまけた。

「がっ……」
「ビューネ!」

 狼狽したテリーが近寄ろうとするのを跳ね飛ばし、彼女は口から血を吐きながらニヤリと笑って敵戦車に飛びかかった。
 戦車が吶喊するビューネに向かって機関砲を雨あられと撃ちこむ。
 全身を直撃弾で流血まみれにしながら、それでもビューネは歩みを止めない。彼女のマスターの制止の声を振り切りながら、ビューネは圧縮プラズマ弾の第二射が自らの脳天を吹き飛ばすその瞬間まで笑みを絶やさなかった。



――――――――――――――――



「ああッ!」
「クソ! 一人やられちまいやがった」

 巨体の悪魔が頭部を吹き飛ばされ、血と脳症をまき散らした瞬間、セエレは悲痛な呻きを上げて光太郎は思わず舌打ちを漏らした。先遣隊だけでも助けてくれと頼まれているのに、あっと言う間に一人死んでしまった、これでは依頼が達成できるか怪しい。

「もう一人だけでもすぐに助けましょう!」
「しょうがない、素早く回収してずらかるぞ」

 下降する間に光太郎が生き残ろりを見下ろすと、戦車に寄りかかった死体を暫し呆然と見ていたかと思えば、彼らの方に向かって男は猛然と走り寄ってくる。その顔色は血の気が完全に引いて真っ青で、如何にも外道畜生の類を彷彿とさせる世紀末装備に光太郎は自然と頬が引くつくのを感じた。
 正直言って、依頼でなければ好んで近づきたいとは思えない風体である。
 セエレの方も同感なのか、すっ飛んでくる男を見て眉根を寄せていた。
 男は片輪になりながらも悪魔の死体をマニュピレーターで退かそうとしている戦車を見て、更に顔色を悪くしながら叫んだ。

「はっはやく、早く乗せろ! 早く! なにしてる! 早く降りろ! テメェ、もたもたすんな、ブッ殺すぞ! とっととずらからねぇとヤバイ!」

 しかも、この言い草である。
 仲魔を殺されて錯乱しているのかも知れないが、自分をかばって死んだ仲魔に思うところが一つもないのか、清々しいほどのクズっぷりに光太郎は呆れの溜息を突きながらランディングの指示をセエレに出した、まさに其の次の瞬間である。

「グオォォォォォォオォオオッォアアァァアアアアアアア!!」

 大地を揺るがすような唸り声。
 心臓を鷲掴みにするような感覚に光太郎は息を飲んだ。
 セエレは驚愕の視線を声の主に投げかけ、地上のテリーは死を覚悟した者特有のギラギラ燃え滾る眼をしながら跳躍する。
 驚異的な身体能力で飛び上がったテリーは、そのまま彼らが跨る天馬の尻尾にがっしりと掴まった。
 突然の暴挙に驚いた天馬が嘶き声を上げ、暴れまわる天魔を何とか制御しながらセエレは怒りの声を上げる。

「一体何をするのですかッ!」
「うるせぇええええ! 上昇だ! 行け! 速くここから逃げろ!!」
「は、離してください、痛がっているでしょう」
「へっへえっへ、誰が離すかウボァ」

 怒り狂った天馬の後ろ蹴りが尻尾にぶら下がる馬鹿の鳩尾に突き刺さる。
 鋼鉄の鎧をいとも容易くぶち割り、ケブラー繊維のジャケットが全く衝撃を殺せず、鋭い一撃で内臓をしこたま抉られたテリーは、血反吐をぶちまけながらもより一層その両手の力を強め、あまつさえジリジリとよじ登りながら血塗れの顔を邪悪な笑顔に歪める。

「げぶっ、げほ、げっへっっへっへ、逃がすかぁ……!」
「ヒィィィ! 普通にこぇぇぇ! そ、装填、装填! あ、ああわわ、手が……くそぉセエレ、上昇だ、上昇しろぉ!?」
「は、はい!」
「まぁあてぇぇぇえぇ、連れていけぇぇぇぇ」
「うあぁぁぁぁぁああ! 死ねよぉぉぉお!」

 パンパンパン!と、とっさに引き抜いた拳銃を光太郎はテリーに撃ち放つ。
 揺れながらの射撃で狙いはほとんどバラバラだったが、その中の数発がテリーの胴体や首筋に命中する。

「必ず死ぬはずだ、人間ならば……ッ!」
「イテェじゃねぇぇぇかあぁあぁああ!!」
「ば、化物!」
「俺は人間だァ畜生が!」
「嘘つけ! 異能生存体かなんかだろうがッ!」

 逃げろ落ちろ、いや振り落とせそうはさせるか。ごちゃごちゃと団子になってふらふら飛びながら、一行はこの場で何より大事な「とっとと逃げる」という当初の目的をすっかり忘れていた。
 そして、カタストロフが始まる。

「ま……さか……な、何故……こ、こんなところに!?」

 セエレの呆然とした言葉に答えるかのごとく、緑鱗の暴龍がそこに現れていた。
 全長約15メートル。まるでエメラルドを並べ立てたような深緑の鱗がギラギラと輝き、背中の翼はまるで剃刀のように鋭利な陰影を刻む。そしてその首は根元で二つに別れた双頭竜。
 首の根元には人間の女性の上半身が怒りの形相で生えていた。

「な、なんだありゃ!?」
「人生オワタ\(^o^)/」
「龍公!? ブネ卿です! まずい、速く離れないとっ」

 しかし、逃走の時間はすでになかった。
 今や怒れる巨竜となったビューネ――龍公ブネは、その鋭い爪と剛腕で戦車の車体を容赦なく引き裂いていく。まるで紙細工のように戦車の複合装甲が引き裂かれるその光景は、まるで一昔前に映画館を賑わせた怪獣映画のパロディを見るような気分に陥らせる。
 まるで好奇心旺盛な子供に四肢を引きちぎられる蜘蛛のようになった戦車は、発狂したようにプラズマ砲を乱射するが、高密度プラズマ弾はブネの鱗の表面を焦がすことしか出来ず、連発して砲身が焼け爛れるまで撃ったものの、首の根元の人間体は鬱陶しげに眉を顰めるだけだった。
 やがて戦車のパーツをバラバラにしてたたき壊すと、ブネは激怒に真っ赤になった両目を爛々と輝かせて、ふらふらと上空を飛びまわる彼らの方を見たのであった。
 特に、天馬の尻尾にぶら下がったまま蒼白となったテリーを見て、艷めかしい裸体を晒すブネの人間体はニッコリと笑顔を浮かべる。

「……セエレ、あのヤバげな美人と知り合いか」
「ソロモン王に封ぜられた72柱の魔神、その26位に叙せられた龍公ブネ……連絡が全く取れなかったので顕界していないと思っていましたが、ま、まさか分霊ではなくて本霊に近い構成体がこちらに来ているとは……ッ」
「おい、解説はもういい、はやく、速く逃げろ!」
「ブネ卿は私の天馬並に早く飛べます。しかも三人も乗せたままではまず追いつかれるでしょう…………」

 苦々しげなセエレの言葉に、テリーは真顔で光太郎に向き直った。

「よし、お前、降りろ」
「ハァ!? ここはお前が降りるのが常識だろッ。つうかテメェ、乗ってすらいないだろうが! 速く落ちろよ、あちらさんもお前がご所望だろうが!」
「うっせ死ね速く降りろ死ねふざけんな死ねうおあおあぉぉぉぉぉぉ、連れてけぇぇ!」

 ギャアギャアと見にくく争う人間たちを眺めながら、双頭竜の公爵は大きく息を吸い込んだ。

「あ」
「え?」
「ヒギィ!」

 緑深い山中に、三人と一匹の悲鳴と爆裂音が木霊すのだった……。










――――――――――――――――
堕天使ブネ[Bune]
30の悪魔軍団を指揮する地獄の公爵。召喚されると3つの頭を持つ竜として現れる。頭の組合せは、人間とグリフォンと犬もしくは2つの竜頭に人の顔であるとされる。鋭い鉤爪は銀で、緑の鱗は翡翠で出来ていると言われる。その最大の能力は強大なNecromancy (死霊術) であると言われ、死者を蘇らせ知識を得たり、召喚者が墓場を領地として持っているならば軍団を瞬時に墓場に集めることが出来るという。また、人に富や知恵、雄弁さや巧みな会話術を伝授するとも言われる。

[儀典・デビルチルドレンの両作品にのみ登場]
*本作での姿形はオリジナルです ゲームとは違います*


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