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No.20277の一覧
[0] 【習作】「だぜ娘奮闘記!」(現実→東方)[クイックル](2012/04/05 23:35)
[1] プロローグ 紅霧から[クイックル](2010/07/16 14:11)
[2] 閑話1 少し過去の事[クイックル](2010/07/16 13:50)
[3] その1 vs霊夢[クイックル](2010/07/20 04:11)
[4] 閑話2 ツンデ霊夢[クイックル](2010/07/16 14:03)
[5] その2 vsチルノ[クイックル](2010/07/16 14:01)
[6] 閑話3 さいきょーの妖精[クイックル](2010/07/18 04:08)
[7] その3 vs美鈴[クイックル](2010/07/20 04:20)
[8] その4 vsパチュリー[クイックル](2010/07/20 04:28)
[9] その5 vsフランドール[クイックル](2010/08/03 11:05)
[10] その6 vsレミリア[クイックル](2010/08/04 05:57)
[11] 閑話4 かりすまは投げ捨てるモノ[クイックル](2010/09/06 10:28)
[12] 回顧話1 マスパができるまで(依頼編)[クイックル](2010/09/05 09:18)
[14] その7 目が覚めて[クイックル](2012/04/05 23:34)
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[20277] その2 vsチルノ
Name: クイックル◆bad3b9bc ID:b764bb8a 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/07/16 14:01
ルーミアを箒の後ろに乗せて、紅霧に包まれた空をビューンと飛ぶ。
『魔理沙』の代名詞であるパワー&スピード。
私には両方備わっていなくて、どちらかと言うとテクニック&ラックだ。
それでも唯一、霊夢よりは少しだけ移動速度が速い。ステータスの星1個分くらい。
結構速いんだぜ? 木端妖怪を振り抜けるくらいには。

「なんか寒いな」

「そーなのか?」

霧の湖の上をしばらく飛んでいると、辺りがだんだん寒くなってきた。
確か次はチルノだったから、その予兆なのかもしれない。
それにしても、道中思ったほど騒いでいる妖精はいなかった。
多分霊夢が殲滅していったからだな。草木一本も残さない気か、あの巫女は。

「マリサ、寒いならくっつこう」

「おっと、大丈夫だ。しっかし、この湖、こんなに大きかったか?」

ルーミアが箒の後ろからギュッと抱き付いてきた。少し暖かくなったが、それ以上に私のことを気遣ってくれたのが嬉しかったりする。かわいい奴め。
湖も中間くらい渡った。原作ならそろそろ出て来る頃だろうけど、全然現れない。

「マリサ、あれ」

「あれは、弾幕か?」

遠目に見えるのは、青いワンピースを着た青い髪の毛の女の子。
妖精にしては強い力を持つ、自称最強の氷精⑨。
チルノだ。私はまだ面識がないので、初対面の相手となる。
大分距離があるので、まだ気付かれていないみたいだ。
何もない場所に向けて弾幕を放っている。なにしてるんだ?

「妖精か。あの様子を見る限り、弾幕ごっこは避けられないぜ」

「……でもあの子、泣いてるよ」

泣いてる? チルノが?
私の目からは小さい青い点にしか見えないが、ルーミアの目にははっきりと表情まで見えているらしい。

「どうしてだ?」

「さあ。でも、落ち込んでるみたい」

泣きながら虚空に向かって弾幕を放っているのか。あいつは。

「とにかく近づくぜ」

「うん!」

さっきよりも少しスピードを上げ、急いでチルノの元へ飛んでいく。
ルーミアは振り落とされないように私にギュッとしがみついた。



「……なによ、あんたたち」

近くに来ると、チルノは乱暴に目をこすってキッと私たちを睨みつけてきた。

「霧雨魔理沙だぜ」

「私はルーミア」

「あ、あたいはチルノ……。って、名前を聞いてるんじゃないわ!」

む。なんだかこのチルノ、⑨っぽくないぞ。

「お前なにしてるんだ?」

「見てわからない? 特訓よ、特訓!」

「特訓?」

「そうよ! あの鬼巫女にぎゃふんと言わせてやるんだから!」

「あー……」

なんとなく察した。
霊夢に弾幕ごっこでボコボコにされたから、落ち込んでたんだな。

「なんで特訓してるのー?」

ルーミアが能天気にチルノに訊ねている。
チルノはちょっと言葉に詰まったようだが、すぐにこっちにかみついてきた。

「あたいが最強だって、あの巫女に認めさせてやるの! 一回勝ったぐらいで良い気になんてさせないんだから!」

「そーなのかー」

チルノの目がウルッと水気を帯び、辺りが一層寒くなってきた。
つまり、霊夢に負けたのが悔しくて特訓してる、と。
うんうん。私も霊夢にはいつも負けてるからな。気持ちはすっごいよくわかるぜ。

「それよりも、なんなのよあんたたちは! あたい今機嫌が悪いんだから、さっさといなくならないと痛い目みせるわよ!」

「まあまあ、落ち着けってチルノ」

「なんであたいの名前を!?」

「自分で名乗ってたよー?」

うーん、機嫌が悪そうでちょっと怖いけど、やっぱ⑨か。安心した。

「つまりあなたもあの巫女に負けたのね。私もさっきボコボコにやられちゃったんだー」

ルーミアが慰めるようにチルノに言う。
よく考えたら、私もボコボコにされたから、ここにいるのは霊夢にやられた集まりか。
ん? じゃあ今のところ霊夢は、
1ボス 魔理沙
2ボス ルーミア
3ボス チルノ
と戦ってるのか。……私が1ボスか。この中じゃ一番強いと思うんだがなあ。

「ふんっ! だったら何よ! バカにしに来たわけ?」

チルノの目がウルウルと潤んで、今にも泣きそうだ。

「そんなんじゃないって。おい、メソメソするなよ」

「してない!」

「でも泣きそうだよ。大丈夫?」

「ち、違うもん! 適当な事言わないでよ!」

言いながら、堪えきれなくなったのか目からポロポロと涙をこぼしている。
私とルーミアは2人して慌てて、チルノはそんな私たちを泣きながら睨み続けている。

「な、泣くなって! 負けてそんなに悔しかったのか?」

「な、泣いてない! それに、あたいは負けたことなんて、一回もながっだんだ!」

……負けたことがない?
いやいや、いくらチルノが妖精の中で一番強くても、妖怪だってウジャウジャいるんだぜ?
チルノはグイッと涙を拭い、私を睨みながら叫ぶ。

「あたいは、最強だ! あの巫女にだって、勝てるんだけど、ちょっと油断しただけなんだ!」

チルノの言う事を信じると、私やルーミアより悔しい思いをしているんだろう。
今まで最強だと信じて疑わなかった自分が揺らいでるんだ。

「と、とりあえず泣きやめ! な?」

「だがら゛、泣゛いてない゛!!」

ルーミアはおどおどして何も喋らないし、チルノはますます泣くし……。
とりあえず、チルノを泣きやませたい。
なにか喜ぶものは……。弾幕ごっこ?
あ、そうだ。良い考えが浮かんだぜ!

「……あーあ、なんだ、残念だなー」

「?」

隣に浮いていたルーミアが、訝しげな顔で私を見て来る。

「この湖には最強の妖精がいるって聞いてたのに、どこにもいないじゃないか」

「!?」

チルノが一層強く睨みつけて来る。
ルーミアが不安そうに私を窺う。私はその視線を受けて、ルーミアに小さく頷いた。
ここは任せろ。

「まあ、妖精のくせに最強なんて、いるわけないかー」

「な、あたいをバカにする気!?」

よしよし、食いついてきた。

「へえ、チルノは最強の妖精を知ってるのか?」

「知ってるも何も、さっきから言ってるじゃない! あたいが最強よ!」

「ははは、何言ってんだ。そんなわけないだろ」

「むー! あんたこそ何言ってんのよ! 話聞いてなかったの?」

「だって、ここには泣き虫の妖精しかいないじゃないか」

「ッ!!」

辺りの空気が一段と冷えた。

「こーんな泣き虫が最強? そんなわけないだろ。なあ、ルーミア」

「え、私? う、うーん。そ、そうだねー」

なんとか私の意図に気づいてくれたルーミアが調子を合わせてくれる。
ごめんな、ルーミア!

「……なによ」

夏だというのに、辺りは随分と冷えてきた。

「なんなら、あんたたちで証明してみる? あたいが最強だってこと」

その目にはさっきまでの弱気な姿はなく、そこにいるのは一人の氷精だった。
氷のような冷たい視線に、殺気にも似たプレッシャー。
自分を最強だと疑わない、強い自信が勝気な瞳からうかがえる。
あれ? なんか、やっぱこいつ普通に強そうじゃないか?

「お、おうよ。見せてほしいな。その最強の妖精ってのを」

「ふんっ! 後悔しても、遅いんだから! 氷符『アイシクルフォール』」

「ただの妖精に負ける私じゃないぜ!」

啖呵を切ると同時、空気を割いて殺到してくる氷の塊を避ける。
箒を下に向け、急降下。さっきまで私の頭があった地点を氷が突き抜ける。
弾幕が速い。というか、こいつやっぱ強いぞ!

「月符『ムーンライトレイ』」

一瞬隙ができた私に向かってくる氷塊を、ルーミアが撃ち落とす。

「っ、サンキュー! ルーミア!」

箒を上下左右、複雑に向け、殺到する氷塊を避け続ける。
誰だよ、正面安置なんて言ったのは!
難易度Lunaticじゃないか!
アイシクルフォールはNormalまでだろ!

「すばしっこい人間ね! じゃあ、これはどうかしら? 雹符『ヘイルストーム』」

さっきよりも一層密度の濃い弾幕が展開され、驚愕しっぱなしの見開いた目が渇いてくる。
ちくしょうめ。
夏なのに辺りは冬のような寒さで、さっきから手がかじかんでカードを取り出せない。

「マリサ、降りるね」

ルーミアが箒から飛び降り、弾幕の嵐にその身をさらす。

「ルーミア、なにを」

「闇符『ディマーケイション』」

ルーミアの弾幕が、チルノの弾幕とぶつかりあい相殺していく。
その隙に私は、急いでスペルカードと八卦炉を取り出した。
八卦炉に魔力を送り込み、熱のバリヤーを張って寒さを和らげる。

「まったく、好き勝手しやがるぜ!」

けっこう、油断してた。
チルノ程度には負けないと思ってたから。
けど、その油断がいけないんだ。
私は弱い。霊夢も言ってたじゃないか。私は弱いんだ。
傲慢になってはいけない。私はいつも挑戦する立場の人間なんだ。

「凍符『パーフェクトフリーズ』」

「ルーミア、さがれ!」

「あーれー」

ルーミアの首根っこを掴んで無理矢理引き下げる。気の抜けるような声を残してルーミアは下がってくれた。
眼前に展開された、無数のカラフルな弾幕を避ける。
大丈夫、見える! 速い弾幕だけど、まだ余裕をもって避けられる。

「ぅおっ!!」

突然、世界が凍りつく。
弾幕は急に色を失い、静止した。私はあわてて急な姿勢で止まる。
周囲をぐるりと囲むチルノの弾幕。
やばい、さっきチルノは何のスペルを使ってたっけ? 聞いてなかった。

「良い反応するのね。これは避けられる?」

チルノの声が聞こえる。同時に、制止していた弾幕が蠢き始める。
縦に横に、規則性のない動きは読み取ることが難しい。

「っ、だが、この程度なら!」

霊夢の弾幕に比べれば、ぬるいぜ!

「魔符『スターダストレヴァリエ』!」

私のスペル宣言と同時に、辺りの弾幕を食い破り星型の弾幕が生まれた。

「人間のくせに、スペルカードを使えるのね!」

「お前こそ、妖精のくせに強いじゃないか!」

星型の弾幕が殺到し、チルノはいくつか被弾しながらも平気そうな顔で私の前でスペルカードを取り出した。

「ラストスペルよ!」

「私もこいつで終わりにしてやるぜ!」

互いに牽制の弾幕を放ち、距離を詰める。
先にスペル宣言したのは、チルノだった。

「雪符『ダイアモンドブリザード』」

チルノの背にある6枚の氷の羽が光を放ち、羽の一枚一枚から弾幕が放たれた。
小粒の弾幕が、無数に。それこそ雪の嵐のように舞う。
避けた弾幕が湖に着弾すると、高い水飛沫を上げた。見た目に威力が釣り合ってない!
とんでもない速さで、嵐のように殺到してくる弾幕。
私はその嵐の中を、ただ一点。チルノ目指して突き進む。
身を屈め、箒にしっかりと体全体でしがみつき、右手は八卦炉から離さない。

「これで終わり!」

チルノの背にある6枚の氷の羽が、一層光を放ち更に密度を上げる。

「ああ、終わりだぜ」

まるで壁のような密度で氷の弾幕が迫ってくる。
上下左右、私を囲む空間の何処にも逃げ場はない。

「お前がな! 偽恋符!」

箒から上体を起こす。
手を離し、両手で八卦炉をグイッと眼前に掲げ、弾幕の向こうのチルノを狙い撃つ。
頬の横をギリギリ氷の弾幕が通り抜け、肝を冷やすが私の宣言は終わらない。

「『マスタースパーク』!」

「ッ!」

魔力を八卦炉へ、目一杯送り込む。
八卦炉から目を覆う程の極光が生まれ、放たれた光はチルノと周辺の弾幕すべてを飲み込んで消えた。

「やったか!?」

やってないフラグ。
安堵からか、バカなことを言ってしまった。

「っけほ」

光が止むと、服が少し焦げたチルノが、平気そうに浮いていた。

「うえ、なにアレ。眩しかっただけじゃない」

……やっぱ幽香の言ってた通り、威力ないなー。
近くじゃないと意味ないって言われたから、こんなに近くまで来たのに。

「スペルブレイクだ。私の勝ちだぜ!」

早々に勝利宣言。情けないと思うなよ。一杯一杯なんだ。

「うう。……でも、あたい全然痛くなかったんだけど……」

「負けたのに言い訳は無しだぜ」

「マリサ、無事?」

「おう、ルーミア! 私の勝ちだ。な、チルノ」

「……でも納得いかないわ! もう一回勝負よ!」

「疲れたからもう嫌だ」

「な! なによ!」

とりあえず、チルノの気を晴らせたみたいで良かった。
ていうか、チルノめっちゃ強いじゃんか。負けそうだったぞ。

「むきーっ!!」

「まあ落ちつけよチルノ。今暴れても結果は変わらないぜ?」

むきーって。さるか。
いま再戦すると多分負けるので、これ以上刺激しないように諌める。

「それと、悪かったな。お前、すっごい強いじゃないか」

「え?」

「自分で最強って言ってたのもわかるぜ」

「で、でもあたい負けちゃったし……」

「なんだ、負けたらもう最強になれないのか」

「あたりまえじゃない! 最強は負けないのよ!」

「じゃあ、勝てばいいだろ」

「だから、あたいは特訓して強くなるの!」

「うんうん。これ以上強くなったら大変だな。本当の最強になっちゃうな」

「そうよ! あの鬼巫女だって見返してやるんだから!」

「じゃあ、今負けて良かったじゃないか」

「……なんでよ」

「今以上に強くなるって思えたんだからな。チルノは最強に近づいたんだぜ」

井の中の蛙じゃダメだぜ。
霊夢も強いが、他にも強い奴がいっぱいいるんだ。
私も、チルノ程度って考えてたのを改めないと。

「最強に、近づく?」

「ああ。今は最強じゃないんだろ? なら、最強になればいいんだよ」

言って、近づいてポンポンと頭を撫でてやる。

「負けてすぐ立ち直る強さがあるんだからさ、チルノはきっと最強になれるぜ」

落ち込んでても、強くなるために特訓してたからな。
少なくとも、弾幕ごっこじゃなかったら私以上に強いぜ。
あれ、ルールのおかげで勝ったようなものだから。

「……へへ、じゃあ、まずはマリサを倒さなきゃね!」

うん?

「あたいに勝ったマリサの方が、今はあたいより最強なんだから!」

「おいおい、勘弁してくれよ。私はもう疲れたんだから今度にしてくれ」

チルノはにっこりと童女のような笑みを浮かべ、ぐっと拳を握って私の前に突き出した。

「あたいとマリサは、いわゆるライバルよ! 次は私が勝つんだからね!」

もう落ち込んでる様子はないので、結果は良かったんだけど、なんかライバル認定されてしまった。
私はただ引き攣った笑みを浮かべ、原作通りに進んでない事をこっそり嘆いた。

「じゃあ私はー?」

「ルーミアは友達!」

「わー。妖精の友達ははじめて」

「ただの妖精じゃないわよ。あたいは最強になるんだから!」

まあいいか。
まだ誤差の範囲内だぜ。多分。

* * *

初戦闘描写。すっごい難しい。
マスタースパーク(笑)
形だけの物真似で、威力のないショットガンみたいなものです。
それか口の壊れた水鉄砲ってところです。

次回は閑話。


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