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No.19819の一覧
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[19819] 20人目
Name: 狂戦士◆377472df ID:fd7977e5 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/08/21 15:34
「……ねえ、パパ」

「どうしたオルファ、暑くて休憩でもしたくなったか?」

「オルファも休憩はしたいけど、それはパパの方じゃないかな……じゃなくて」



 砂漠は暑い。

 出来ればこの暑さは勘弁して欲しいのだが、夜に進むとなれば寒さに加えて暗闇が俺たちの敵となる。

 何せ、土地勘があるのは向こうなのだ。

 いずれにせよ、喋るのも億劫。



「じゃあ何だ? 俺も辛いから、今言うなら手短に頼むな」

「うん。あのね……」



「……パパって、病気なの?」











 思春期心因性自己認識不全症候群、とでも言えばいいのだろうか?

 オルファは、俺がそれに罹患していると疑っているようだ。


 三文字で説明しよう、邪気眼である。



「時々だけど、パパ、誰もいない方向に剣を向けてたりするよ。聞いても、『誰かが俺を見てる』って」

「いやホントだって! 最近、時々誰かに見られてるような気がしてるんだって!」

「……アセリア、何か気付いた事はありますか?」

「ん」



 首を横に振るアセリア。

 くそ、見捨てられたと言うのか。



「やっぱりパパ、前に話してくれた『ちゅうにびょう』になっちゃったんだね……」

「俺を哀れんだような目で見るな!」

「いいんだよ? 『えたーなるふぉーすぶりざーど、相手は死ぬ!』とか言っても」

「そろそろ俺が泣きそうなので勘弁してください」



 大体、今の俺の現状そのものがリアルファンタジーだっての。

 リアルファンタジーという言葉の並びが面白すぎるけど。

 と言うか残念ながら、俺本人はアレを発症しなかったしなあ……



「マロリガンの偵察兵、と考えるのが妥当でしょうか」

「それにしても、気配がそんなに離れてるわけじゃないんだよな。アセリアとオルファなら、何か感知できてもおかしくないと思うんだが」

「確かにアセリアは物理的な感知、オルファは神剣関係の感知能力に優れていますから」

「じゃあ身体能力と神剣の力、両方に優れた存在、か」



 それって要するに。



「……エトランジェじゃね?」











 訓練が一通り終わったのを見計らって、訓練場へと足を踏み入れる。



「よう、イオ。訓練はどんな感じだ?」

「ユート様ですか……ひとまず、順調ですね」

「それは良かった」



 まあヒミカからも訓練の質が上がった、と報告されていたし、あまり心配してはいなかったけど。



「ユート様がここにいらっしゃるとは珍しいですが、訓練をお望みですか?」

「いや、今は遠慮しとく。イオと1対1で戦ってたら、命がいくつあっても足りないな」

「そうですか。エスペリア殿からは訓練の希望があったのですが」

「エスペリアは俺が逃げるの分かってて一応言ってるだけだから、問題ないよ。それよりイオ、外から訓練見てたんだけど」

「ええ」



 最近本当に諦めモードだからなあ、エスペリア。

 一時期は訓練参加を賭けて盤上模擬戦挑んできたけど、十面埋伏喰らってからはそれもない。



「アレだけ強いんなら、戦闘参加できるんじゃないのか?」

「……それは、参加して欲しい、と?」

「いいや、ただの疑問。ヨーティアの助手はラキオスの客分、そんな事させるわけにはいかないって」



 そもそも、訓練や建設にヨーティアの世話と研究助手までしてるのだ。

 これ以上酷使したら、それこそイオが倒れかねない。

 珍しい白スピリットと考えれば、(言い方は悪くなるが)生きた研究資料でもあるだろうしな。



「私はハイロゥが展開できませんので、ご期待には添えないかと」

「あー。それだと剣は防げても、破壊エネルギーの余波は防げないよな……俺みたいにマナ放出して、力任せに防ぐんなら別だろうけど」

「効率が良くない防御方法ですからね」

「それを言われると辛いです」











 そろそろ、俺も訓練を始めた方が良いのかもしれない。

 マロリガンにエトランジェがいるなら、エトランジェに対抗できるのは王族かエトランジェしかいない。

 そして先代ラキオス王の例を考えた場合、レスティーナを戦場に出すわけにも行かないのだから。



 エトランジェ。

 俺がこの世界に召喚され、そして佳織も召喚された。

 召喚条件が俺と『求め』の契約だったことを考えると、召喚された人物の共通点が見えてくる。


 おそらくは俺と近い関係にあった人間の運命が、俺に引きずられているのだろう。


 ならば、あいつらも?








次回登場予定です


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