俺の名は、高嶺悠人。
いや、今はこう名乗るとしよう――ユート・E・タカミネ。
ちなみにEとはエトランジェ、つまり来訪者であることを示す。
俺は……英雄となるべくしてこの世界に召喚された男なのだ。
嘘かゲームの話だと思うだろ?
現実なんだぜ、これ。
王家に伝わる不思議な剣を授かり敵を討つ、異世界から来た勇者。
大まかに言って、俺の現状はこんなものだ。
違うのは、
・敵は魔王じゃなくて、他の国のスピリット(美少女型戦闘兵器)
・俺が助け出すのはお姫様じゃなくて人質の義妹、お姫様はむしろ俺に戦いを強制する側
・貰ったのは剣というより鉄塊(まあ、こう言うとこのバカ剣はキレるのだが)
こんなところか。
しかも勝った所で褒美があるわけでもなく、俺と義妹の処刑が少し先延ばしされるだけ。
俺だって死にたいわけじゃないからOKしたけど、正直やってられない。
何人かのスピリットが部下になるし、そいつらに戦わせればいいよね。
働きたくないでござる、絶対に働きたくないでござる。
……ところで。
スピリットが人間に逆らえないなら、人間の軍団が囲んでフルボッコすればいいんじゃないだろうか。
エトランジェも王家の人間には逆らえないのなら、王家の人間がこの剣持てばいいんじゃね?
やっぱり、時代は剣を持つ美少女ですよ。
捨て台詞言っただけでビビってたあの王様は無理としても、顔色一つ変えない姫様は似合うと思うんだけどなあ。
■
「そこまで!」
エスペリアの『献身』から光が消えていくのを確認し、私は胸を撫で下ろす。
「エスペリア、下がりなさい」
一礼して下がってゆくエスペリア。
今回の模擬戦は彼女にしか頼めないことだったとは言え、悪いことをしてしまいました。
「……レスティーナよ、儂はお前に指図を許した覚えはないぞ?」
「申し訳在りません。しかし父様、あのまま戦いを続けていればエトランジェの力は恐るべきもの。この玉座の間すら半壊したやも知れませぬ」
「馬鹿なことを……エトランジェは我々王家の血に逆らえぬ、そうであろう?」
「何事にも事故は起き得ます、何かあってからでは遅いかと」
「ふふふ、相変わらず臆病な娘よな」
一撃目の薙ぎ払いに対して刃の下を転がるように避け、掴み取った剣で続いた突きを弾く。
エスペリアが手加減していた――だからこそ私が動きを目で追えたのですが――とは言え、それがどれだけ難しいことか。
カオリから聞いた話ではあのエトランジェ、ユートは戦いなど何一つ知らない生活を送っていたとの事。
神剣がなければスピリットも人と変わらない。
ならば、エトランジェもそうであると考えるべき。
その状態であれだけの動きができるなら、彼は天賦の才を持つ戦士であり……『求め』を手にすればその力は、どれほどになるのだろう。
「これよりお前はわが国のエトランジェとして戦うのだ。この娘の命が惜しければ、な」
それを、この父は失うことをどうとも思っていない。
反抗したら処刑すればよい、どうせ逆らえないのだから、と思っている節すらある。
確かにカオリもエトランジェ、神剣を扱える可能性はある。
けれどあの娘は優しく弱く、とても戦う事などできないだろう。
戦う理由も能力もないだろうカオリは、とてもユートの代わりにはならない。
ユートを戦わせる私の台詞ではないが……せめてカオリを戦わせないために、二人への謝罪を込めて、私の全力を尽くして。
ユート、貴方を守ります。
だから貴方もカオリのために、剣に負けることが無きように……
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あれ、どうして後半シリアス気味なんだろう。
しかも分量的に、こっちが主役なんじゃね?
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折角なので、誰得だけど縛りの内容を書き込んでみる。
使用可能キャラクター
アセリア、エスペリア、オルファリル、ウルカ、セリア、ネリー、シアー、ヒミカ、ナナルゥ、ハリオン、二ムントール、ファーレーン、ヘリオン、イオ
使用禁止キャラクター
高嶺佳織、倉橋時深、碧光陰、岬今日子、E・アセリア、E・エスペリア、E・ウルカ、E・オルファリル、E・ユウト、E・キョウコ
限定使用キャラクター
高嶺悠人
高嶺悠人の使用可能条件
・ゲーム開始からサードガラハム討伐戦まで
・ラキオス奇襲防衛時の「動力炉防衛」
・マロリガン攻略戦の「砂塵の決闘」
・サーギオス城内戦の「求めと、誓い」(ただし、最初の1ターンのみとする)
難易度条件 ノーマル・1周目
以上の条件に従い、『永遠のアセリア(PS2版)』を開始する。