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No.19645の一覧
[0] 【習作・ネタ】狙撃手(HUNTERXHUNTERに幽遊白書の刃霧要)[ぞーもつ](2010/06/19 00:49)
[1] 狙撃手(スナイパー)第2話[ぞーもつ](2010/06/25 03:49)
[2] 狙撃手(スナイパー)第3話[ぞーもつ](2010/06/27 04:07)
[3] 狙撃手(スナイパー)第4話[ぞーもつ](2010/07/03 02:42)
[4] 狙撃手(スナイパー)第5話[ぞーもつ](2010/07/09 03:58)
[5] 狙撃手(スナイパー)第6話[ぞーもつ](2010/07/09 11:08)
[6] 狙撃手(スナイパー)第7話[ぞーもつ](2010/07/24 01:10)
[7] 狙撃手(スナイパー)第8話[ぞーもつ](2010/08/24 03:03)
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[19645] 狙撃手(スナイパー)第8話
Name: ぞーもつ◆60607513 ID:96299327 前を表示する
Date: 2010/08/24 03:03
「勝者 ビスケ!」
「勝者 パクノダ!」
「勝者 クワバラ!」(ヒソカ)
「勝者 シャルナーク!」
大差での4連敗。
残る7人も実力は申し分無さそうだ。
ゲームマスターたる自分もギリギリの戦いを強いられるかもしれない。
そう思えるレベルの者達だ。
面白くなってきた。
いよいよ自分の出番だ。
その段取りの最中に・・・。
何とも間抜けなことに、部下の1人が造反した。
「このクソゲームに付き合うのも、もうやめだ!」
やれやれ。
本当に間抜けな奴だ。
タブーを口にするとは。
それに何より・・・ジンの・・・俺達のゲームをクソと呼んだ。
目の前で侮蔑されて気にしないでいられる程、俺は優しくないぜ? ボポボ。
ブン。
グシャアァァァ!
俺の念弾で、リンゴが弾けるようにボポボの頭が砕ける。
やれやれ。 今の一連やりとりでバレてしまったかな?
「ふん・・・殺されはしないとタカくくってたか バカが! ・・・・・・よし 次はオレがやろう」
レイザー出陣。
提案は8対8のドッジボール。
「8人・・・!! メンバーを選んでくれ。 こっちはもう決まっているからな」
ズズズ・・・。
レイザーの背後に出現する異形の人。
その数7体。
「!! ちょっと待てよ! 勝敗はどうするんだ! 1人1勝なんだろ!?」
ゴレイヌが抗議の声を上げる。
だがレイザーは平然と答える。
「ああ 1人1勝だ。 だから勝った方にに8勝入る・・・・・・簡単だろ?」
つまり・・・。
今までの勝負はただのお飾り。
無いも同然。
「な~る。 つまり俺達が雑魚相手に何勝しようが、アンタが1人で帳尻合わすシステムってわけだ! 14人の悪魔ってアンタの能力だったんだねー♪」
してやられた! と、愉快そうに悔しがるシャルナーク。
「オ、オレは嫌だぜ! 現実に帰れなくてもいい!」
「俺もだ! あんな奴と闘うのはまっぴらだ!」
「オレももう帰るよ!」
騒ぎ出すクズ達。
戦力になるのは7人。
後はこのクズの中から選ぶ。
「アンタら・・・何か勘違いしてるんじゃないのかい? アンタらに拒否権なんて無いよ。 出な」
ガッ。
マチが1人の首根っこを掴みフィールド内に投げ捨てる。
「ぐひゃ! ま、待ってくれ! 最初と約束が!!」
「ごちゃごちゃうるせーな・・・・・・馬鹿なテメーらにも分かりやすく説明してやろうか? ようは今オレに殺されるか、もうちょい生き延びるか・・・どっちがいい?って話だ 分かったか?」
フィンクスが実に簡潔に、彼らの置かれた状況を説明してやる。
クズ絶体絶命。
その時思わぬ助け舟が出る。
ゴンだ。
「俺達7人だけでやろうよ。 命がけなんだから、やれる人だけでやろう? こっちは7人で構わないでしょ?」
だがレイザーの答えは事務的で非情なものだった。
「いやダメだね 8人でやってもらわないと。 15人集めさせた意味が無いだろ?」
「そっちは1人じゃないか! ・・・ゲームのキャラにこんなこと言っても意味無いかもしれないけど・・・仲間だったんだろ? ボポボって人が殺されなきゃいけない程の何をしたって言うんだ!」
激昂する。
何とも純朴で真っ直ぐな少年。
初めて出会った人間の為に、心の底から怒り悲しみ喜べる人間。
それがゴンだった。
だがそんなゴンを嘲笑うかのような声が味方陣地から飛んでくる。
「あははは ゴン・・・アイツは死刑囚だよ。 ここは現実だ ボポボって奴はハンターに雇われた現実の犯罪者さ」
シャルナークの衝撃発言。
「え?」
ゴンを始め・・・キルア、ビスケ、ゴレイヌらが固まる。
「ここが・・・現実!?」
ゴン組一同は誰もこの事実に辿り着いていなかったようだ。
無理もない話だが。
「さっきの遣り取りからして、レイザーはゲームマスターの1人でしょうね。 実在の人間よ 彼らは」
パクノダのアシスト。
ゴンは未だ狼狽を隠せない。
キルアとビスケらも同様だ。
「ここが現実・・・!」
「気付きもしなかったわさ・・・」
ダムッ!
ボールが勢い良くバウンドし、レイザーの手の中に収まる。
「まっ 本来はどちらでもいい話さ。 外界から隔離された空間であることには変わりない」
ここが・・・現実。
「えっ・・・ちょっと待って! ここが現実ってことは じゃあまさか・・・・・・ジンもこの中にいるの!? G.Iの中に!!」
ジン・・・?
キルアとビスケ。 その2人以外の頭の上に疑問符が浮かんでいる。
「! そうか お前がゴンか」
「うん!」
ゴッ!!
ゴンの返事を聞くやいなや、レイザーの体から凄まじい量のオーラが溢れ出す。
何という練!
伝説のハンターの仲間というのは伊達ではないらしい。
「お前が来たら手加減するな・・・と言われるぜ。 お前の親父にな」
ゴゴゴゴゴ・・・。
圧倒的オーラ。
ゴンはその力を前にして、自らが昂ぶるのを感じていた。
旅団達も感心する強さ。
だが。
覚悟も才も無い人間達は違った。
その念に当てられ心が折れてしまった。
脱兎の如く逃げ出す。
が・・・しかし、それを許す旅団ではない。
「・・・逃げたら殺します」
静かに・・・だが明確に。 シズクが圧倒的な殺意を込めて宣言する。
それだけで男達は動けなくなってしまった。
ゴンは心配そうに様子を伺っている。
「大丈夫。 ちゃーんと説得するからさ」
そんなゴンにシャルナークが笑顔で答える。
彼がちょいちょいと手招きし、男4人を呼び寄せる。 男たちはおっかなびっくり・・・といった様子でシャルに近づいていった。
少しの会話の後・・・突然1人の男が大人しくコートに向かう。
目が少々、視点が定まってないように見えるが・・・嫌々には見えない。
あんなに嫌がっていたのに・・・。 不思議に思うゴンとキルア。
「(見えなかった・・・・・・けど何かやったに違いない。 説得なんかする連中じゃない・・・!)」
ゴンはもともと善悪に無頓着な性格。 僅かだが、特訓期間中に旅団に慣れ親しんでいた。 キルアとビスケのみが、そう疑うことができた。
ゴンにもキルアにも、シャルナークが特に何かを仕掛けたようには見えなかった。
『「携帯する他人の運命(ブラックボイス)」』!
男を注視すれば、腹部に深々と針が刺さっていると気付くだろう。
だがそれに気づいているのは旅団以外ではヒソカ(クワバラ)とビスケのみ。
レイザーは位置、距離が災いして気付くことが出来なかったようだ。
シャルナークの「説得」によりメンバー決定。
ゴン。
キルア。
ウボォーギン。
フィンクス。
マチ。
シズク。
ゴレイヌ。
操られた男A。
この8名が選手として出場する。
レイザーがルールを説明している。
いろいろくっちゃべっているが・・・。
「・・・・・・・・・えーと」
「・・・ようはどういう事だ?」
目を点にしているゴンとウボォー。
「ようは球はよけるか捕るかしろってこと」
キルアが慣れたように補足してやる。
「(なんだかゴンがもう1人増えたみたいだ・・・・・・)」
ゴンが大きくなったら、こんな感じなのだろうか?
キルアは心の中で苦笑するのだった。
「それでは試合を開始します。 審判を務めるNo.0です よろしく」
レイザーの念獣が律儀に挨拶。
「スローインと同時に試合開始です!!  レディーーー・・・ゴー!!」
ボールが高々と投げられる。
死を賭けた遊戯が始まる。
 
 
 
***
その巨体を買われスローイン役に決定したウボォーギン。
「おらぁぁぁ!」
気合を入れてボールを奪ったが。
スッ。
念獣はあっさり球を譲る。
「!?」
拍子抜けさせられた一同にレイザーは薄ら笑いを浮かべながら言う。
「先手はくれてやるよ」
嘲りにも聞こえた言葉に、捕球したゴレイヌは心が苛立つのを実感していた。
球を持つ手にも力が入る。
「余裕こきやがって・・・ 挨拶代わりにかましてやるぜ!! どりゃっ!」
掛け声と共に投げられた球は、十分な威力が込められていた。
小柄な念獣が、獣のような不気味な叫び声を上げて倒れる。
「おおっ やった!!」
「よーし まず一匹!!」
キルアの感嘆にゴレイヌはガッツポーズで答える。
キルアから見ても、先程の球の威力に不満は無かった。
外野の男Aから、再びゴレイヌへと球が渡る。
「よっしゃ もう一丁行くぜー そらよ!」
ゴレイヌの投球。
再度、威力申し分無し。
続けて更にもう一匹。
滑り出しとしては重畳。
キルアやゴレイヌらはそう思う。
「よーし 準備OK」
2匹の念獣が外野の3方向を固めた時点で、レイザーから見当違いの声が聞こえてくる。
「あ? 今、何ていった?」
思わずゴレイヌは聞き返してしまった。
「お前達を倒す準備が整ったって言ったのさ」
余裕綽々、といった態度を崩すこと無く・・・シレッとレイザーは答える。
ルール無用の本当の戦いならば、これ程の使い手達を前にここまでの余裕は保てないだろう。レイザー程の実力者であってもだ。
だが死の危険が有るとはいえコレはゲーム。遊戯。
ドッチボールなのだ。
公平に作ってはいるがルールもこちらが決めている。
こちらの土俵で戦ってもらっているのだ。
だからこそ独りであるレイザーにも十分勝機がある。
「・・・・・・・へェ ・・・面白ェ! やってみろよ!!」
気合一閃と共に打ち出されたゴレイヌの渾身の投球は。
バシッ。
「!?」
しかし、無常にもレイザーに片手で捕球される。
「(か・・・片手で止めやがった・・・・・・!!)」
球を持ったレイザーの右手にオーラが集まっていく。
ズ・・・ズ・・・。
「さぁ・・・てと・・・ 反撃開始だ」
レイザーがゆっくりと投球姿勢に入る。
コートのかなり後方でだ。
心理としては、普通少しでも前で投げたいと思うのが常であろう。
「(あんな遠くから!? パスか!?)」
ゴレイヌがそう思っても仕方がないというものだ。
ゴンとキルアも、この点では同様だった。
ゴッ!!
思考を許さぬほどの速度で迫る球!
球は一直線にゴレイヌの顔面へ向かう。
「(強・・・・・・!速・・・避・・・・・・無理!受け止める 無事で!?出来る!?否!死!) へぶッ!?」
ド! メキッ!
『白の賢人(ホワイトゴレイヌ)』『黒の賢人(ブラックゴレイヌ)』。
優れた念能力を持ってはいたのだがルールの制限によりゴレイヌはこれを使用できなかったのだ。
結果、『白の賢人(ホワイトゴレイヌ)』を出現させていなかったことから彼は哀れにも球を回避できなかった。
ぶっ飛んで行ったゴレイヌの顔面は見るも無残なことになっている。
顔面の骨は粉々だろうが辛うじて息がある。
「「ゴレイヌ!!」」
ゴンとキルアが慌てて駆け寄る。
「あの一撃をモロに喰らって生きてんのか。 結構やるね あのゴリラくん」
大人しく観戦していたシャルナークの正直な感想であった。
これでも褒め言葉だ。
並の使い手なら今の一撃で頭が消し飛んでいても不思議ではないのだ。
ポボポのように。
「・・・! 非道い怪我だ・・・! ビスケ! ゴレイヌの治療・・・頼める!?」
2人にやや遅れて駆けつけたビスケに懇願するゴン。
未だ披露していないビスケの能力『魔法美容師(まじかるエステ)』。
これは単純な外傷の回復には即効では無い(自然治癒の補助の様なことは出来るであろうが)。
精神的、肉体的な疲労などといった内在的なモノに優れた効果を発揮する。
「・・・やるだけはやってみるわさ・・・・・・とにかく死なせはしないからアンタらは試合に集中しな。 いいね!」
力強い師の言葉に2人は「押忍!」とだけ元気よく返答する。
球はリバウンドによりレイザー側へ。
再度あの攻撃が来る。
「さあ次いくぞ!」
ビュオ!
だがレイザーの放った球は念獣へ向かっていた。
「パス?」
「はぇーな」
キルアが驚嘆している背後で何とも呑気な会話が聞こえてくる。
バッ!
ビッ!
シュ!
超高速で陣地の周りを巡る球。
ゴゥッ!
超高速パスの勢いを殺さぬまま、外野の一匹が攻撃!
シズク目掛け球は猛然と突き進む。
ズガァァァ!
シズクは旅団でもその身体能力は下の下。
何とか目で追い受け止めることは出来たが・・・。
球の勢いに体が押され、それをマチが止める。
「ぷっ シズク押し負けてやがる。 左腕逝ったろ?」
「危ねーな! 線越えたらアウトだろ!? マチいなかったらアウトじゃねーか ぐはは ダセー!」
顔面近くで捕球していた両手を下ろす。
咄嗟のことで”堅”でしか防御がままならなかったシズクの顔面は、僅かだが傷付いていた。
「・・・・・・メガネが割れた・・・・・・それに今のはちょっとした油断だよ! 負けてません」
意外にも負けず嫌いなのか、メガネを外しながらフィンクスとウボォーの野次にやや声を荒らげて反論するシズク。
「怒ってる」
「怒ってないよ!」
今度の言葉は自分を支えてくれていたマチから飛んできた。
ゴンとキルアからしてみれば冷や汗の連続なのだが。
だがこの幻影旅団は、そんなことを微塵も感じさせない。
味方だとこれ程心強い連中も、そうそう居はしまい。
「・・・・・・(強いな・・・1、4、5の球では倒しきれない・・・か)」
レイザーは独り心中でボヤく。
ダメージはある程度通ったようだが。
ゴン一行の反応速度では致命傷は与えることが出来そうもない。
それに・・・連中から球を取り戻すのも・・・なかなかに難儀になりそうだ。
「ほれ シズクぱーす その手じゃ投げれねぇだろ?」
「いや俺だろ ヘイ! シズクぱーす」
フィンクスとウボォーが両手を上げて球を要求する。
まるで子供のようにはしゃぎながら。
「・・・・・・」
2人の要求を完全にスルーし、シズクは無言のまま投球フォーム。
「え!? シズクさん!?」
恐らく折れているであろう腕で投げるつもりマンマンのシズク。
それを見てゴンが止めようとするが。
ミシ。
折れた腕の痛みを耐えながら満身の力をこめて投げる。
ゴォォゥ!
念獣No.3が受け取りきれず吹き飛ぶ。
「意地っ張りね・・・」
パクノダが呆れたように、しかし温かく微笑む。
シズクは無表情のままだが一矢報いた事でどこか誇らしげだ。
球はレイザー陣地上空を未だ滞空。
このままいけばレイザーが捕ることは疑いなし。
だが。
「デメちゃん! ボールを吸引!」
「!?」
宙の球は猛スピードでシズクの元へ引き寄せられる。
球はそのままデメちゃんの口の中へ飲み込まれてしまう。
「ゲェっぷ」
「ダメだよデメちゃん 吐き出して」
言われるとデメちゃんは、口から先程の球をペッと吐き出す。
デメちゃんは直前に飲み込んだ物ならば吐き出すことが可能なのだ。
「(なるほど・・・いい能力だ・・・とんでもない奴らだぜ・・・)」
これ程の使い手達と1人でヤリ合うのも、そう経験出来ることではない。
自分は運がいい。
ドッチボールで、というのが安心していいのか悲しむべきなのかは思案どころだが。
レイザーは素直にこの状況を喜んでいた。
「審判 今のはアリだろ?」
キルアがNo.0に確認をとる。
「はい 念能力による捕球ですので問題ありません。 足が線を越えなければOKです」
その言葉にニヤッと笑うフィンクス。
「なるほどなるほど 念なら結構何でも有りな訳だな! 楽しいじゃねーかドッチボール!」
楽しそうにしている旅団。
この程度、旅団にとっては本当に只のゲームだ。
シズクからパスを受け取るフィンクス。
コイントスで投手の権利をウボォーから奪っていたのだ。
球にオーラを収束させる。
「へへへ 行くぜェ!? オラァ!!」
ギュオォォ!
「スゲェ!!」
「(威力は申し分無し!)」
キルアが声に出して、ビスケは心の中で賞賛する。
「(2、6、7では受け切れん)」
レイザーが念じたその瞬間、フィンクスの球に狙われていたNo.6、7の様子に変化が生じる。
幻影のように揺蕩い、そのシルエットが1つに重なる。
「!?」
ガシィッ!!ズザ、ザザザッ。
後退しながらもしっかりと球を捕球している。
巨体の念獣。
胸部と顔面にはデカデカと13の数字。
「アレありかよ!!」
「アリです」
「合体アリなら分裂もアリってこよかよ!?」
「ハイ ただし規定人数をオーバーするのはダメですから」
キルアが抗議の声を上げるも当然意味はない。
ルール違反ではないのだから。
No.0はレイザーの念獣の一体とはいえ高度な知性と公平な精神を持っている。
妥当な判定といえよう。
「おいキルア やいのやいの言うな。 ようはなァ・・・今度はアイツらが捕れねぇぐらいの球投げりゃいいんだよ・・・!」
口ではそう言っているフィンクスだが、捕られたのが相当悔しいのだろう。
コメカミに血管が浮き出ている。
「さぁ・・・ これで再び攻守交代だな」
レイザーは不敵な笑みを浮かべる。
再度レイザーの「あの」球が・・・来る・・・!
「ガキども、”堅”だ! やれるな?」
自身のオーラを高めながら、ウボォーギンがゴンらに問いかける。
なんだかんだで気にかけているようだ。
「オッサン 誰に言ってんだよ。 特訓で見たろ?」
「うん! 大丈夫!」
『堅』!
ゴウッ!!
素晴らしい。
特訓で見せた”堅”よりもずっと滑らかだ。
美しくすらある。
それが旅団員達・・・そしてレイザーの正直な感想であった。
「ほォ・・・ ”堅”ができるか ならば死ぬことはあるまい。 ・・・当たり所が良ければな・・・・・・ 行くぞ! ゴン!」
「・・・来い!!!」
一瞬の間の後、力強くレイザーへと応える。
ジンとの約束。
手加減はしない!
そう決めているレイザーの一撃がゴン目掛けて放たれる。
ゴレイヌへのモノと比べても明らかに強力!
現段階でのレイザーが放つことが出来る最高の一撃。
槍のように一直線にゴンへと突き刺さる。
「”硬”!!!」
ド!
”堅”では受け切れぬとのゴンの咄嗟の判断。
それは正しい。
だが。
ゴゥッ!!
ゴンが消える! 否! 吹き飛ばされた!
一瞬で後方の壁へゴンは叩きつけられ、砕く。
「「ゴン!!」」
キルアとウボォーギンが駆け寄る。
「ゴン!」
「生きてるか!?」
両名が問うと、ゴンはすぐさま顔をあげる。
額から流血しているものの致命的なダメージは負ってなさそうだ。
「大丈夫! 全然へーき!!」
「じゃねーだろ!」
とは言っても、キルアはそう突っ込まざるを得なかった。
流血はしているのだから。
「”硬”はナイス判断だったぜゴン お前の”堅”じゃぁ骨持ってかれてただろーからな」
ウボォーがゴンの頭をポンポンと叩きながら褒める。
「うん! ”硬”で頭と手をガードしちゃったから足の踏ん張りが効かなかった・・・・・・。 でも手も動く・・・ 次は捕る!!」
ゴンが笑顔を浮かべながら、吹き飛ばされる前よりも元気良く答える。
その答えに対し、ウボォーギンもニカっと笑う。
「よっしゃあ! その意気だぜゴン! レイザーに球ぶち込んでやろうぜ!!」
わはは、と笑いあう強化系2人。
キルアも何だか釣られて笑ってしまう。
「ぼーるはあそこかー・・・」
「随分派手にめり込んだね・・・」
シズクとマチが天井を見上げている。
そこにはポッカリと穴が空いている。
「ボールの落下予想地点からゴンチームの内野ボールで試合を再開します! なお、天井と壁も床の延長とみなしますのでゴン選手はアウトです!」
ホコリを払いながら立ち上がるゴン。
No.0の宣言を聞きながらゴンは決意を・・・というより意地を語る。
「『バック』は俺が宣言するからね」
駆け寄ってきていたシャルナークが、しかめっ面をしながらゴンを見る。
「でもさ ゴン」
「するから」
・・・・・・取り付く島もない。
ゴンが『バック』を宣言? とんでもない。
確かに才能は十分だが、現段階での戦闘力は旅団員のそれに及ばない。
それならば旅団の誰かが『バック』の権利を行使するのが当然と言えた。
「こーなったら聞かねーよ」
キルアも呆れ顔で嘆息する。
だがシャルナークも引き下がるつもりはない。
「・・・あのねえゴン・・・君はまだまだ弱い。 なんでそんな君に貴重な『バック』を使わせなきゃなんないんだい?」
弱い。
それは確かだ。
幻影旅団の面々。
ビスケ。
ヒソカ。
そしてレイザー。
彼らと比べれば自分は未だに圧倒的に弱い。
それはこのドッチボールを通してでも痛感している。
悔しいが何も言い返せない。
ゴンが諦めかけたその時・・・思わぬ所から助け舟がでた。
「いいじゃねーかシャル ゴンに使わせりゃあよ」
「ウボォーさん・・・」
「ウボォー?」
ゴンとシャルナーク、そしてキルアは無言で。 三者三様の驚きを示す。
「ゴンは確かにまだ弱っちいけどよ・・・ドッチボールならいけっだろ? それに俺達が『バック』の権利持ってても使わねーよ。 アウトにならねーからな・・・」
ウボォーの言葉に目をパチクリさせているシャルナーク。
そう言われれば・・・。
「うーん・・・ まぁ確かに・・・。 俺達がアウトにならなければいいだけの話か。 じゃーいーよ ゴンで」
許可がでた!
ゴンは満面の笑みでシャルナークに礼を言う。
「ありがとうシャルナークさん!」
そして言い終わるやいなやウボォーに向き直り。
「ありがとうウボォーさん! 俺絶対やってみせるから!!」
と、またもや満面の笑みのゴン。
「へっ ゴン・・・ 言ったからには意地みせろよ? 無様なマネしやがったらブッ飛ばすからな」
「うん!」
元気よく返事をすると、ゴンはキルアと共にコートへと駆け戻っていく。
「・・・・・・」
シャルナークがウボォーを見ている。
ニヤニヤと。
「・・・なんだよ?」
ギロリとウボォーが眼を飛ばすが・・・。
「いやー 良いパパだな。 って思ってね♪」
いい笑顔のシャル。
人をバカにする時に見せる最高の笑顔だ。
「俺はまだ独身だ!!」
ウボォーの悲痛な叫びは広大な部屋へと虚しく木霊したのであった。


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