<91>
怒るガレオスキングは、口を開き、体内から砂を吐き出す。
「回避眼」に映る光景は、一面を嘗め尽くす攻撃範囲。
(子ガニたちのところまでッ!)
どうすれば………ハッ! そうだァ―――――!
「こっちだ―――――!」
あいつは僕を狙っている! なら、僕が違う方向に動けば良い! セルを相手に悟空もやってた!
―――――――ギャォオオオオオオオオオオオオ!
果たして試みは成功した。
咆哮だか落雷だか分からないような鳴き声と共に、大量の土砂が左の空へと飛び上がったハルマサを追って吐き出されたのだ。
土砂は鼓膜の破れたハルマサを巻き込み、後ろの樹海も塗りつぶす。
樹海の一割が砂漠となってしまったような攻撃だった。
シュゴォオオオオオ!と吐き出され続ける砂。
瞬間移動が使えないハルマサは当然巻き込まれたが、瞬間移動は使えなくても彼には頼れる人が居るのだ。
「――――――カロンちゃんッ!」
「風操作」で必死に砂を散らしつつ、地面に骨を突き刺して恐ろしい勢いの砂に耐えているハルマサに、女神が舞い降りる。その体は緑の光に包まれた。
【今度の相手はまた大きいのぅ。】
「カロンちゃんは相変わらず頼りになるね!」
【そ、そうか? あ、バリアーがもぅもたん。】
「早くない!?」
【樹がほとんど吹き飛ばされてしもうとるからのぅ。】
緑が足りないということか。
時間がない!
自分で強行突破しても良いけど……。
「カロンちゃん、何か攻撃してもらって良い?」
【……別に構わんが。】
渋々といった感じで、カロンはハルマサの体から魔力を吸い上げ、攻撃を放つ。
【響け「空鈴」。】
バキャァアアアアアアアアン!
空気が割れるような音が響き、不可視の衝撃がガレオスキングに叩きつけられる。砂が止んだ。
―――――――――――シャギャアアアアアアアアア!
「耳が―――ッ!」
ハルマサは一瞬で鼓膜を破壊され、さらに魔力がレドゾーンに突入したので意識が飛びそうになった。
【どうかしたのか? 相手はひるんでおるぞ?】
「あ、うん。ありがとう。アーアーアー……よっし、治った! ハルマサ、行ッきま――――す!」
ハルマサの鼓膜は瞬時に治り、ハルマサは走り出す。
ズズズ、と骨に土を纏わせて、作り出すのは長大な剣。
斬艦剣とでも呼ばれそうな巨大な剣を、「剛力」で身体強化したハルマサは振り上げる。
全力を開放し、「突撃」を行うハルマサ。
背から魔力を噴出して、姿勢の制御は「身体制御」で。
数々のスキルに、元々ふざけた数値だったステータスがインフレを起こし、ハルマサの敏捷は「剛力」によって半分になっているのに100万を、筋力に至っては400万を超える。
シュォオ! と剣先が空気との摩擦で燃え上がり、巨大な剣は振るわれた。
「一・刀・両・断ッ!」
ズバァ! と一刀両断は出来なかったが、ガレオスキングの黒い鱗をやすやすと砕き、ハルマサの即席斬艦剣はガレオスの体を叩き割る。
ズゥウウウウウウン!
巨体は地響きを立てて倒れ、ハルマサは骨に付いた岩を落としつつクルリと回って着地する。
「カロンちゃんが居る僕は……無敵ッ!」
【ううむ……複雑じゃ。】
カロンちゃんの反応がちょっと不思議だ。
あ、そういえばこの緑の膜の中だったら「セレーンの骨」を握って居ても痛くないね!
【我の領域は聖なる物とは真逆じゃからの。】
だ、そうで。
命吸い取ったりするもんね。
≪レベルアップしたよお兄さん! 他にも色々上がってる! おめでとう!≫
そうこうしていると、ひまわりの声が響く。
あまりに適当な説明に、脱力してしまうハルマサだった。
ちなみにカロンちゃんはすぐに帰りました。
そして、やっぱり食事タイム。カニと一緒にガレオスキングを食べる。
カニ達はハルマサがこのモンスターを倒すと同時に死体へとむしゃぶりついていた。
ちゃっかりしてるね!
それにしても、他の甲殻種を全然見ない。
一体何処にいるのか。
それとも、もう全部倒されてしまったのか?
ハルマサがそう考えながらガレオスキングの肉を食べていると、突然子ガニたちが騒ぎ出した。
「ギィイイイ!」
「ギィイイイイ!」
ブクブクと泡を吹きつつ、その場に蹲る。
(なに!? 何か悪いものでも食べた!?)
焦るハルマサだが、そうではなかった。大量の力ある肉を摂取した甲殻種は、急激に体を成長させるのだ。
ボトリ、とプラチナザザミの鋏が落ちる。と思えばそれは甲殻、外側だけだ。
さらに体中の甲殻が内側からせり上がる新たな甲殻によって割れて、剥がれ落ちる。
プラチナギザミも同様だ。
ミシリ、と体も一回り、いや二回りは大きくなる。
内側から出てきた甲殻は一層白く輝き、神々しさすら出てきている。
初めての脱皮?じゃないかな。
とりあえず宿が小さくなったので新しいのを……あれ?潜っちゃった。
二匹のカニは地面へと潜り、あちこち動いているようだ。
ハルマサは地面に「耳」をつけて聞いていた。
どこか遠くに行ってしまったら見失ってしまう。
それを危惧したハルマサだったが、直ぐに子ガニたちは出てきた。
背中には、二匹とも同じ形の新しい宿が付いている。
大きな竜の頭だ。見たことない形だが、この階層に居るのだろうか。
≪対象の情報を取得したよ!
【鎧竜の頭殻】:グラビモスの頭の骨格。非常に堅く、加工は難しい。≫
へえぇ……。
鎧竜の骨格って丸々頭の形になってるけど、あの竜は体の外側に骨格を持っている竜だったの?
初めて知ったよ。
まだ体の方が小さいからなんか可愛い。
あ、残りのガレ王の肉食べよ。
うまうま。
カニたちは自分の落とした甲殻を食べていた。リサイクル?
そうやって食事をしていると、遠くから、大勢の足音が聞こえる。
羽ばたく音も同時に聞こえてきた。
「……君も来ちゃったか。」
ハルマサは遠くの空を眺めて言う。
押し寄せてくる魔物の中には、金色の火竜の姿も混じっていた。
悲しくなるけど、倒そうか、と思うハルマサである。
だがその前に、ハルマサと子ガニたちに、地中から危機が迫っていた。
「―――――ッ!」
ハルマサの立っている地面が急激に盛り上がり、大きな口がごばぁと開く。
「ギィ!」
「ギィイ!」
慌てるカニたちも一緒に打ち上げられており、ハルマサが行動を迷っているうちに大きな口はそのまま閉じられる。
プラチナザザミがギリギリで水を噴射して逃れ、ハルマサとプラチナギザミが飲み込まれた。
<つづく>
ポケモントレーナーのスキル昇華が射程圏内に入ってきたー!
それと何時も速攻で倒しているからスキルの上昇値が小さくなっちゃうぜ。
レベル15でこれだとなぁ……。
レベル: 14 → 15 ……Lvup Bonus:40960
満腹度: 101171 → 149717
耐久力: 131778 → 180324
持久力: 99795 → 148341
魔力 : 137697 → 219000
筋力 : 173918 → 290397 ……☆871191
敏捷 : 163578 → 234495 ……☆703484
器用さ: 184286 → 283232
精神力: 74600 → 160911
経験値: 132378 → 214298 ……残り:113380
金貨 : 366 → 379
剛力術Lv13 : 43391 → 69683
身体制御Lv13: 43780 → 69934
両手剣術Lv12: 7433 → 30820 ……Level up!
戦術思考Lv13: 34490 → 57741 ……Level up!
PトレーナーLv15: 145605 → 158593
突撃術Lv13 : 35774 → 58371 ……Level up!
魔力圧縮Lv13: 40888 → 63029
概念食いLv13: 32203 → 53492 ……Level up!
回避眼Lv13 : 27730 → 47806 ……Level up!
魔力放出Lv14: 71841 → 90043 ……Level up!
聞き耳Lv13 : 24980 → 42528 ……Level up!
解体術Lv12 : 21330 → 38339
心眼Lv12 : 21569 → 36439
風操作Lv13 : 27883 → 42706 ……Level up!
棒術Lv12 : 23307 → 37849
観察眼Lv13 : 36309 → 49975 ……Level up!
空間把握Lv13: 61458 → 74893 ……Level up!
空中着地Lv13: 39821 → 50893 ……Level up!
神降ろしLv12: 6740 → 28840 ……Level up!