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あーさー!
朝だよぉー!
朝ご飯食べてぇ、モンスターを狩るぞぉ―――――――!
「ギィ!」
「ギュイ!」
昨日のケンカで絆を深めたのかプラチナザザミとプラチナギザミは寄り添いながら、同じ方向の手を挙げて反応してくれた。
微笑ましいなァ。大きさは僕の身長の2倍くらいあるけど。
まぁ狩をするにせよ何をするにせよプラチナ甲殻種次第だが、そろそろ場所を移動する必要があるだろう。
でないと、この辺が「カロンちゃん光臨跡地」みたいになっちゃうからね。
この子たち植物だろうが動物だろうが関係なく食べるんだもん。
好物は菌類のキノコみたいで、昨日のケンカは「美白キノコ」をどっちが食べるかの勝負だったらしい。
ババコンガを倒した後にまたケンカが始まってしまったけど、僕がもう一つ探して来るまでもなく、二人で分け合ったようだった。
我が子(?)の成長を見ると嬉しさがこみ上げるねッ!
その横で僕は涙ぐみつつ腹が減ったので草食ってました。
「概念食い」で何でも食べれるからとりあえず腹の足しに。
二匹のカニは、体をゴツゴツとぶつけながらも寄り添って、場所を移動するようだ。
ならば、行き先の安全を確かめねばなるまい!
「ジャンピング「暗殺術」プラス「鷹の目」プラス「聞き耳」サーチッ!」
説明しよう! この技は狙撃されないように姿を消しつつジャンプして、辺りを見渡す技なのだ!
さらに着地してから地面に耳を当てて地中からの奇襲も察知する!
そうして砂漠を上から見たのだが、黒い塊がいた。でかい。
今まで見た中で一番デカイ。
形はガレオスなんだけど、黒くて大きい。遠近感が狂っちゃいそうだ。
微動だにしないけど。
もうあれがガレオスキングだよね。
確定だよ。レベルは……16ね。ドスガレオスたちのステータスはやや遠距離よりだったので、意外といけるかも知れないけど、積極的に戦いたくはないなぁ……。
子ガニたちはアレが居る方には向かってないし、今は放って置こう。
いずれ戦わないといけないかもしれないけどね。
せめてレベル15になってからお願いしたい!
その後ハルマサ一行は樹海を東に東に樹海の植生を荒らしつつ移動していく。
芳香に狂ったコンガやケルビが引っ切り無しに襲ってくるし、さっきはモスも襲い掛かってきた。全部美味しく頂いています。
子ガニたちの芳香は、風で遮っても関係ないようだったので放置するしかなかったが、食べ物が向こうから飛び込んでくるのは喜ばしい。
既にモスやケルビはカニたちだけで倒せるようになっていた。
プラチナ甲殻種たちはドンドン成長し今や体長6メートル。
脱皮しないのに甲殻も大きくなるのは不思議だ。
樹海の形は、大陸を横断する一本の帯と言える。
それを荒らしつつ東に進んでいると、ボゥン!と目の前にビックリ箱が出現した。
『定時報告の時間デス! クエスト「うお・カニ合戦」より48時間が経過しまシタ! 現在、最も多く魚竜種を倒したプレイヤーは プレイヤーNo.54:佐藤・ハルマサ デス! 記録は 11体 デス! 残りの魚竜種は7体デス! それでは、皆様のご健闘をお祈りしマス!』
言い終わり、箱が消える。
これは……報酬のアイテム貰ったぜ!
いや、その前に誰かがボス倒しちゃうかもしれないけど。
でもボスを倒すためにはヴォルガノスを倒さないといけない可能性が高いから、それまでにここら辺の魚竜種を全部倒しておけば良いんじゃない?
ていうかエコーズさんだっけ? その人以外にプレイヤーっていないのかな。
まぁ居たら寄ってきそうなことしてるし、寄ってこないということは近くにはいないんだろうね。
というかボス倒してリセット起こってもこの子ガニたちは居なくなったりしないよね?
そういう注意なかったし大丈夫!……だといいなぁ。
「ギィ!」
「ギィィイ!」
ブシュ―――!
ブシャシャ―――!
子ガニたちは終に水を出せるようになったらしい。
ザザミは口から、ギザミは何故か宿部位から。
二人はハルマサに向かって執拗に水を吹き付けてくる。ちょっと気持ち良い。
モンスターの体液で汚れていたから丁度良いね。
………もしかして臭かったから、洗浄されているのだろうか。ちょっと凹む。
プラチナザザミに腕を持ち上げられ、脇に水を吹き付けられながらハルマサはそう思った。
しばらくすると、またビックリ箱が出現した。
『クエスト「プラチナ甲殻種の護衛」の時間も半分が過ぎまシタ! プラチナ甲殻種は成長し、ますます魔物を引き寄せるようになりマス! 大陸中から魔物が集結していマス! ご注意下サイ!』
「マジか……。」
『マジ デス!』
答えたよこの玩具!
「え、あの質問とか良いんですか?」
『ダメ デス!』
ダメなのかよッ!
『それでは、護衛時間はあと半分デス! ご健闘をお祈りしマス!』
箱は消え、辺りはカニたちが動く音だけになる。
ハルマサに水を吹き付けるのをやめた子ガニたちは辺りの草を千切ったり、木に齧り付いたりしていた。
(大陸中からモンスターを引き寄せるなら……最初はあいつだね。)
恐らく一番近くに居るモンスター。
ハルマサは、ガレオスキングと戦う覚悟を決めた。
子ガニたちはしばらくあそこを動かないだろう。
あそこらへんはキノコが豊富だ。
ハルマサは砂漠と樹海の境界へと来ていた。
(来たな!)
「ギシャアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
相手は、怪獣だ。
鯨が陸に上がってきたみたいな巨体を揺らしつつ砂を割って飛び出してくる。
それだけで災害のように砂が降りかかる。
(風、操作!)
ぶわ、と吹き上げる風により、子ガニたちへ行く被害を無くす。
注意をこちらに向けさせてはいけない。
危険に晒すこととなる。
そして、ガレオスキングの注意はこちらに向けさせる!
「―――――極、風弾!」
斜め前からガレオスキングへと風を飛ばす。
全ての魔法にいえることだが、放出される規模はハルマサの精神力によって変化する。
ハルマサの精神力は約7万。
それなりに大きな風の玉だったが、小山のような相手にとってはカスみたいな物だった。
だが、まだまだ!
「雷弾! 炎弾! 水弾!」
とりあえず全種類撃ってみようと思って放ってみる。
注意はこちらに向かない。
くそう!ならば……
「甘い息!」
≪残念! レベルが上の相手には効かないよ!≫
ダメでした。
ズシン!ズシン!と、ハルマサの身長の数倍はある足を動かして子ガニたちへと走って向かっていく。
「く、仕方ない!」
「袋」から聖者の骨を取り出し、地面へと深く突き刺す。
シュゥ…と、握る両手に聖属性のダメージが入る。
この手の爛れは中々治らない。
しかし、使わない方法では、あの巨体にダメージを与えるビジョンが浮かばなかった。
「土操作……」
土中の鉱石が集積し、骨に付着し、圧縮される。それを何回も何回も行い、やがて、ハルマサの体より大きな岩界を作り上げる。
「いい加減、こっちを………!」
地面から引き抜いた骨は、かなり重い。
だが、重いからこそ意味がある!
ハンマー投げの要領で、骨を掴み、回す。一回、二回。
ギャリギャリと地面が抉れる。
回すごとに骨を伸ばし。
「見ろォ!」
三回転。骨は劇的に伸びる。
ブゥ…………ン――――――――ドガァ!
ハルマサの渾身の一撃は、トラックのような大きさの頭に正面からぶつかり、顎を跳ね上げた。
「ってこれでもダメ!?」
巨大なガレオスも、しっかり芳香にやられているらしい。
こちらを一瞥もせずに走っている。
もう樹海に入りそうだ。
「やばい、「土操作」ッ!」
ズゴォ、とガレオスの足元を凹ましてバランスを崩す。
さらに横から足をハンマーで殴って、転ばせる。
ドォン! と砂が舞い上がる。
(よし!)
転ばせるだけでもほとんど全力が必要だ。
ハルマサは走りより、尻尾を掴む。
尾びれに指を突き刺すように持ち……持てない!
―――――――「剛力術」ッ!
ミシィと筋肉が膨張し、四肢に力が満ち満ちる。
「ふんぬぁああああああああああああ!」
踏ん張りながら、一気に150万近くまで上昇した筋力でガレオスキングの体を振り回し、投げる。
ドスゥ……ン!
濛々と砂が舞う。
「これで死んだりとかしないかなぁ………実は一発殴っただけで死ぬぞぉ、みたいな。」
それどころかハルマサのほうが一噛みで死んでしまうだろう。耐久力はレベル相応だし。
―――――――ギャォオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
起き上がった砂竜の王は眼を怒りに染めていた。
<つづく>
ゴジラの半分くらいの大きさを想定しているけど、重さはどれくらいになるのだろうか。50tくらい?
満腹度: 100319 → 101171
耐久力: 130926 → 131778
持久力: 98943 → 99795
魔力 : 119456 → 137697
筋力 : 161854 → 173918 ……☆521753
敏捷 : 163494 → 163578 ……☆490735
器用さ: 164541 → 184286
精神力: 69454 → 74600
○スキル(変動が大きい順)
PトレーナーLv14: 103822 → 145605
魔力放出Lv13: 60449 → 71841
剛力術Lv13 : 35587 → 43391 ……Level up!
魔力圧縮Lv12: 34039 → 40888 ……Level up!
土操作Lv12 : 21114 → 26639
概念食いLv12: 27031 → 32203
戦術思考Lv12: 30112 → 34490
聞き耳Lv12 : 20884 → 24980
鷹の目Lv12 : 23946 → 27909
槌術Lv9 : 0 → 3840 ……New! Level up!
風操作Lv12 : 24438 → 27883
観察眼Lv12 : 33054 → 36309
空間把握Lv13: 58330 → 61458
身体制御Lv13: 40882 → 43780
炎操作Lv12 : 18234 → 20880 ……Level up!
水操作Lv11 : 14041 → 16672
雷操作Lv9 : 1479 → 4079 ……Level up!
拳闘術Lv12 : 35781 → 36201