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フルフルと言えば、白くてエロくて(?)ほぁあああああ! な生き物だと認識しているハルマサである。
そのほぁあああああ!(咆哮ね)への対策をしないまま挑むのは、何回も鼓膜をパーン! された彼にとっては自虐行為のようなものだった。
三度目にパーン! された時は慣れさえ感じたけど、やっぱり鼓膜は大事にしたいんだ!
でも、ここのモンスターたちの咆哮って大概規格外だし、どんな耳栓をすれば良いのだろう。
リオレウスの咆哮は、真空っぽくした空間をサンドした土のヘルメットでも防げなかったし。
いや、でも真空を作るのは間違えてないはず。
音は波だから、その波が伝わるものが無い状態を作るんだ!
でも、ハンターハンターのゴンが水で濡らした耳栓をしていたことも思い出した。
よし、水も使って早速作ってみよう!
今度作るのは多層構造!
水を使うのは……真ん中にしよう。
土・真空・土・水・土・真空・土!
この順に重ねるんだ!
そして作り上がったのが、この耳栓です。
土を限界まで圧縮したので、耳栓のくせに重たいです。
でも、鼓膜がパーンてなるよりはいいよね。
真空の作り方は魔力で風を追い出しても、直ぐに他の空地が入るもんだから、魔力で風を弾きつつ、中から追い出すという、ちょっとメンドクサイ方法になった。
というか火竜の咆哮が防げなかったのって、どっかから空気が入っていたからだろうね。
土の圧縮も不十分だっただろうし。
風を弾くのに使っていた魔力を土へと変質させ、終に完成……な分けないだろ!
作ってから気付いたけど、こんなもん耳に捻じ込んだら耳血が止まらんわ!
何か周りを優しく覆うクッションみたいな……でもそこから音が入ったら意味ないし……。
難しい、もの作り難しいな!
そうだ! ヘッドホン形式にしよう!
捻じ込むから痛いんだ! 隙間なく引っ付けるように作れば問題ない!
で作ってみたのが試作二型。
ぴっちり頭に引っ付いて、少々髪とか土の中に巻き込んでいたり。
これは良い! 何も聞こえんぞ! ちょっと重いけど。
よし! ちょっと動いてみよう!
ちょっと走ったら髪の毛を引きちぎりつつ取れました。
禿げるかと思ったよ!
「不死体躯」って、毛根も再生してくれるのかな……
ヘッドホン型だと激しい運動には向いていない事が分かったので、いっそヘルメットを作ることにした。
でも、またもや抜け毛の心配をするのは嫌なので……
「チャラチャラッチャラ~! ゴム質の特上皮~!」
未だ辛うじて残っているズボンのポケット。そこに入っているのは閻魔様から貰った大事な「収納袋」である。
5万リットル入るらしいので、素材は基本的に入れてみたり。
今日の朝見つけた「金火竜の厚鱗」も入れてある。
なんだか凄く高価に見えたのでネコババしたような気分になったものだ。
その「収納袋」からゴム質の黒い皮を取り出す。
毒に塗れていないところが使用者に優しい一品である。
これをヘルメットと頭の間に挟めば、防具として使った際に衝撃の吸収も出来るし、弾力性があるので密着度も抜群!
言うことないね!
「観察眼」で見ると応答が返ってきた。
≪対象の情報を取得しました。
【ゴム質の特上皮】:脅威の弾力性を持つ、毒怪鳥の特別上等な皮。あらゆる衝撃を吸収する。≫
「あらゆる」は言いすぎだと思うけど、弾力性があるのは確か。
しかも5ミリくらいと薄くて使い勝手も良い。
結構面積もあるし、ヘルメットが終わったら、ボロボロのズボンの補修にも挑戦してみよう。
まずは僕の頭にあわせたヘルメットの外側を作るぜ!
「魔力圧縮」があるのだから、まず頭の周りを圧縮した魔力で覆います。
そしてその魔力を「土弾」の要領で土へと変質!
土、とは言っても、今まで操った事があるものならだいたい真似できるみたいなので、岩剣を作った時に土中から集めた鉱石に似た感じの材質にして、と。
黒光りするフルフェイスヘルメットの雛形が完成だ!
前見えないし息できない上にかなり重いけどね!
……息をする穴くらいは開けとこうか。
眼の穴は……どうせこれから行くのは洞窟の中だし、眼なんか使わないよね。
目立たないように鼻の穴もあけて、と。
脱着も出来るように首のところ広げないと。
で、出来た雛形の上に被せるように風の層、圧縮した土の層、圧縮した水の層……と順番に作って行って……最後に風を抜いて終了!
頑張れば全部魔力で出来るから助かるよ。
水も魔力で作れるようになったから、水も圧縮した魔力を変換して作ってみた。
よっし、完成!
持つと手にズシッとくる。
……重たくない?
ま、まあ良いさ! 僕の首の筋肉だって半端じゃないしね。
一般人が装着したら即座に首がもげるような重さでも、問題ないはず!
じゃあ最後に、内側へゴム皮を貼り付けたいんだけど……ボンドないかな……。
縫い付けるとしても糸が無いし、縫いつける場所がやたら固い。
熱で溶かしてくっ付けるか?
そんな微妙なこと出来るのかな……
ちょっと皮の端に向かって手を翳し、
「メラ!」
ボッと火があたるが変化なし。
まぁ想定の範囲内だ。
「ギラ!」
またも変化なし。
じゃあ二段階上で。
「べギラゴン!」
結構な火が出たが焦げもしない。
ゲリョスの皮膚ってどうなってんの?
「ちくしょー! インフェルノッ!」
≪ポーン! 特技「地獄の業火」を使用するには、生贄に精霊の頭部、左腕部、右腕部、左脚部、右脚部が必要です。魔力が5210217足りません。≫
(なんというエグゾードフレイムッ!)
サラッとエグイし、魔力がミリオン単位で足りない。
困ったなぁ。
困った困った。
困った時は?
「カロンちゃーん!」
【………なんじゃ? まだ朝飯も食うとらんのに……】
ブツブツぼやきつつ、カロンちゃんが来てくれた。
ちょっと呼ぶのが恥ずかったけど、声を聞くとほっこりするね。
「ゴメンね。多分直ぐ終わるから。これをこれに引っ付けたいんだけど、何か良い案ない?」
【そんなことか。真空状態でも作ればよかろう。接着魔法でも使ぅてやろうか?】
即答だった。
「カロンちゃん頭良いねぇ……。」
【まぁの!】
カロンちゃん嬉しそうだねぇ。
よし、じゃあ貼り付けるために皮を切ろう。
(ハサミ……生成ッ!)
ハルマサが両手を地面につけると、地面からズズズ……とハサミが生まれてくる。
何か無駄に格好良い!
カロンちゃんも【おお!】とか喜んでくれているし。
あ、ちなみにここらへんは泥じゃない、比較的地面が堅いところです。
地面から召喚したハサミを使ってショキショキ皮を切り、長方形を作る。
えーとここがこうで、こうだから……できた!
「強盗マスクぅ~!」
【なんでそれでマスクが出来るのじゃ?】
「カロンちゃんがところどころ張り合わせてくれたお陰かな。」
強盗マスクの完成です。
ゲリョスの皮って元々くすんだ黒色だし、これ被って銀行に行ったら即逮捕だね。
【のぅ、貴様の鼻の高さと頭の出っ張りまであわせてあるなら、その防具の内側にこれを貼り付ける必要はないのではないか?】
た、確かに―――!
この黒光りするヘルメット、ペプシマスクみたいに頭をピッタリガッチリ守るから、中にある布が引っ付いてないからってずれる心配は全然無い。
簡単には脱げないし。
カロンちゃんにはマスク作成で大活躍してもらったとは言え、悪いことをしたかも。
【別に構わん。】
「でも、」
【我はいっこうに構わんッ!】
お腹空いてるだろうに男らしいねカロンちゃん。
烈海王みたい。
じゃあ早速……装・着!
おお、何も見えないし聞こえない……。
鼻と口の空気穴(目立たない)は開いているので匂いだけがする。
外見はどうか聞いてみた。
【キモイ。】
酷いよカロンちゃん!
まぁ上半身裸だし、ズボンもボロボロだから見た目は変態だろうけど!
良いもん。ゲリョスの皮をやりくりして上半身の服も作ってやる!
と、こんなグダグダな感じで全身のラバースーツ、胸当て、手甲、脛当てを作る。
作っている最中に特技「防具生成」とスキル「布加工術」が出て、ゲリョスの皮を一片残らず使い切った。
作っている最中に気付いたのだが、これから行くのは雷を吐く飛竜、フルフルのところである。
ゴム質の服が絶縁性を持っているか分からないけど、無駄ではないはず!
裸足なのが若干不安だけど、魔力噴き出したいから我慢です。
何か戦隊物の人みたいになった。
カロンちゃんは全身タイツの如きラバースーツに難色を示していた。
でも、これは通気性もよく、フィット感が溜まらないんだよカロンちゃん。
そういう僕にカロンちゃんは
【貴様は……そうか。そうなんじゃな。】
と納得して帰っていった。
何を納得したのか凄く気になる朝だった。
<つづく>
耐久力 :24209 → 24209
持久力 :33004 → 33004
魔力 :38948 → 46070
筋力 :31638 → 31638
敏捷 :56566 → 56566
器用さ :63396 → 73565
精神力 :35106 → 35741
スキル
神降ろしLv11 :14105 →14740
炎操作Lv11 :12856 →13228
水操作Lv9 :2811 →5102
風操作Lv12 :21081 →22613
土操作Lv11 :5602 →10761 ……Level up!
魔力放出Lv12 :32562 →33971
魔力圧縮Lv10 :2097 →7175 ……Level up!
観察眼Lv11 :11109 →12774
折紙術Lv6 :8 →337 ……Level up!
描画術Lv5 :2 →198 ……Level up!
布加工術Lv5 :0 →290 ……New! Level up!
◆「防具生成」
魔力を用いて鉱石を固め、防具を作成する。防具の能力は使用魔力、またスキル「土操作」「魔力圧縮」のレベルによって変化する。
■「布加工術」
布を加工し衣服などを生成する技術。用途に合わせて布を加工できる。熟練に伴い、器用さにプラスの修正。熟練者は布じゃないものからでも服を作れる。