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No.19470の一覧
[0] 【習作・ネタ】ダンジョンに挑戦するいじめられっこの話[大豆](2010/08/04 23:09)
[1] 5~8[大豆](2010/08/04 23:10)
[2] 9~12[大豆](2010/08/04 23:10)
[3] 13~16[大豆](2010/08/04 23:11)
[4] 17~20[大豆](2010/08/04 23:12)
[5] 21~24[大豆](2010/08/04 23:13)
[6] 25~28[大豆](2010/08/04 23:14)
[7] 29~32[大豆](2010/08/04 23:15)
[8] 33~36(第一部終わり)[大豆](2010/09/14 08:14)
[37] 37・改定(修正)[大豆](2010/07/19 16:25)
[38] 38・改定なし[大豆](2010/07/08 19:44)
[39] 39・改定[大豆](2010/07/08 19:44)
[40] 40・改定・修正[大豆](2010/07/11 18:55)
[41] 41・改定・修正[大豆](2010/07/11 18:54)
[42] 42・改定[大豆](2010/07/08 19:46)
[43] 43・改定[大豆](2010/07/08 19:47)
[44] 44・改定[大豆](2010/07/08 19:48)
[45] 45・改定[大豆](2010/07/08 19:48)
[46] 46・改定・修正[大豆](2010/07/23 22:59)
[47] 47・改定・修正[大豆](2010/07/11 18:56)
[48] 48・改定・修正2[大豆](2010/07/23 23:00)
[49] 49・改定[大豆](2010/07/08 19:51)
[50] 50・(第二部開始)[大豆](2010/07/28 18:10)
[51] 51・改定なし[大豆](2010/07/08 19:52)
[52] 52・新投稿分はここ![大豆](2010/07/08 19:59)
[53] 53[大豆](2010/07/09 19:20)
[54] 54[大豆](2010/07/09 19:21)
[56] 55[大豆](2010/07/09 19:22)
[57] 56・誤字修正[大豆](2010/07/10 19:02)
[58] ステータスとか(56話時点)[大豆](2010/07/09 19:32)
[59] 57[大豆](2010/07/10 19:05)
[60] 58[大豆](2010/07/10 19:06)
[61] 59[大豆](2010/07/10 19:06)
[62] 60(誤字修正)[大豆](2010/09/14 08:10)
[63] 61[大豆](2010/07/11 18:57)
[64] 62[大豆](2010/07/11 18:58)
[65] 63[大豆](2010/07/11 18:58)
[66] 64・誤字修正[大豆](2010/07/23 23:01)
[67] 65[大豆](2010/07/12 19:56)
[68] 66(修正)[大豆](2010/07/18 16:23)
[69] 67[大豆](2010/07/12 19:57)
[70] 68[大豆](2010/07/12 20:11)
[71] 69[大豆](2010/07/13 17:15)
[72] 70[大豆](2010/07/13 17:16)
[73] 71・修正[大豆](2010/07/23 23:02)
[74] 72[大豆](2010/07/13 17:28)
[76] 73[大豆](2010/07/14 18:46)
[77] 74[大豆](2010/07/14 18:46)
[78] 75[大豆](2010/07/14 18:47)
[79] 76[大豆](2010/07/14 19:05)
[80] 77[大豆](2010/07/15 17:31)
[81] 78[大豆](2010/07/15 17:32)
[82] 79(誤字修正)[大豆](2010/07/16 13:02)
[83] 80[大豆](2010/07/15 17:48)
[84] 81(修正)[大豆](2010/07/17 17:53)
[85] 82(修正)[大豆](2010/07/17 17:56)
[86] 83[大豆](2010/07/17 17:56)
[87] 84(修正)[大豆](2010/07/28 18:11)
[88] 85[大豆](2010/07/17 17:57)
[89] 86(改定)[大豆](2010/07/28 18:13)
[90] 87[大豆](2010/07/17 17:58)
[91] 88[大豆](2010/07/17 18:31)
[92] 89[大豆](2010/07/18 16:26)
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[94] 91[大豆](2010/07/18 16:28)
[95] 92[大豆](2010/07/18 16:50)
[96] 93・修正[大豆](2010/07/23 23:03)
[97] 94・修正[大豆](2010/07/23 23:03)
[98] 95[大豆](2010/07/19 16:28)
[99] 96・修正[大豆](2010/07/23 23:04)
[100] 97(改定)[大豆](2010/07/28 18:13)
[101] 98・修正[大豆](2010/07/23 23:05)
[102] 99・修正[大豆](2010/07/23 23:06)
[103] 100・修正[大豆](2010/07/23 23:07)
[104] 101・修正[大豆](2010/08/04 22:29)
[105] 102・修正[大豆](2010/07/23 23:08)
[106] 103・修正[大豆](2010/07/23 23:09)
[107] 104(第2部終了)[大豆](2010/07/28 18:11)
[108] 105[大豆](2010/07/23 23:10)
[109] 106[大豆](2010/07/23 23:11)
[110] 107[大豆](2010/07/23 23:11)
[111] 108(訂正誤字修正)[大豆](2010/10/03 19:48)
[112] 山神ハチエのステとか → 没になりました[大豆](2010/07/26 21:31)
[113] そしてハルマサのステとか。[大豆](2010/08/04 22:29)
[114] 真・山神ハチエのステータス(もう私はこれで行く)[大豆](2010/07/27 19:02)
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[19470] 13~16
Name: 大豆◆c7e5d6e9 ID:9d835427 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/08/04 23:11




<13>



モンスターに対して初白星を挙げたハルマサ。
しかし彼は現在落ち込んでいた。

「な、なんてこったい……」

よろよろピシャンと額を叩きたくなるこの状況。彼は未だにパンツしか穿いておりません。
それもそのはず。

なんということでしょう。彼の服は無惨にも破れ放題穴だらけになっていたのです。

ハルマサがピョンピョン跳ね回り、ヤオザミがそこらを叩き回った結果、彼の服は枝から滑り落ち、そこにカニの爪が、脚が!
結果彼が着れるのは、遠くに落ちていた黒無地の半そでシャツだけなのでした。

(パンツ一丁よりも恥ずかしいな……)

着てみた感想がこれ。
靴は辛うじて無事だったが、履くべきか履かないべきか……
履いたらさらに珍妙な格好に鳴ること間違いない。

(まあ誰にも見られないしいいか。)

いそいそと靴を履き始めるハルマサ。
人外魔境に放り込まれた結果、彼はさばさばした性格となっていた。

(あ、そうだ。骨は?)

そう思って先ほど倒したヤオザミを見ると、そこには2枚のきらめく硬貨と折れ曲がった骨、そしてカニの脚以外何も無かった。
さっきまでハルマサが死闘を繰り広げた相手は跡形もない。
カニの脚も一本だけだ。


(まさか……死んでなかった?)

起き上がって去っていったのだろうか。

それにしては、脚があるのは変だ。
脚には攻撃していないから、落としていく理由がない。
経験値を貰ったことから、生きていることは考えにくいのだ。
ゲームでの古龍戦のように追い返すだけで経験値がもらえたのだろうか?
そうとは思えないな。
多分雑魚だったんだろうし。

考えていると、不自然に落ちている金色の硬貨が目に入る。
ピカピカと木漏れ日を照り返す美しい硬貨。
さっきまでは確実になかった。
いくらハルマサがぼんやりしても見逃していたと言うことは絶対無い。

(もしかして……ドロップ品?)

ハルマサがその考えにいたったのはしばらく経ってからだった。
ここはダンジョンである。
今まで色々リアルすぎて忘れていたが、モンスターはポップして、死んだらドロップ品を落として消えていくとしても、おかしくはない。
色々と不思議ではあるが、納得できないことではない。

なるほど、だとすればあの脚もドロップ品か。
脚は二つの節があり、伸ばしたら150センチ近くある。
ゴツゴツとした硬質な手触りだ。

骨は……もう使えない。
半分どころか二箇所も折れている。ここに置いていこう。

武器ならカニの脚がある。
節があるので折角覚えた「突き」は使えないが、150cmものリーチとこの堅さなら強力な武器になるに違いない。

「観察眼」で見れば、耐久値は50/50もある。
パワーアップしたハルマサよりも堅いとは、頼もしい限りである。
結構重いが、ハルマサの筋力(51)ならば問題ない。
片手で振り回せるだろう。

ついでに美しい女性の意匠が施された金貨も「観察」する。

≪ポーン! 対象の情報を取得するには、スキル「観察眼」Lv5 を習得する必要があります。≫

弾かれた。
しかしレベル5で良いならすぐにでも分かるかもしれない。
それにしてもスキルのレベルアップの法則はどうなっているのだろうか。

レベル2になったのは、熟練度10.0の時。
レベル3になったのは、えーと30.0だったっけ。
で、未だ到達したスキルは二つしかないけど、レベル4になったのは熟練度70.0になった時。

その法則性。分かる人には分かるのだが、ハルマサはお世辞にも頭が良い人物ではなかった。

(まぁ良いか。法則なんか無いかもしれないし。)

レベルが上がれば分かると、彼は考えを放り出し金貨と脚を拾う。
突発的な事態に対応するために、脚は手で持つ事が望ましいが、金貨は手持っていても投げつけるくらいしか使い道がないし、正直邪魔である。

ハルマサは、しばし考えたあと、ジャージの残骸を使って、袋を作ることにした。
上着のほうにはポケットという、千切りとって紐を通すなどすればすぐに小物入れになるようなものがあったが、彼はこの機械に大きな袋を作っておくべきだと考えていた。

この先、持ち運びたいと思うものが出てくるかもしれない。
金貨をたくさん手に入れるかもしれない。
その時、小さな袋だけでは選択肢が限られてしまうのだ。

一番期待していた上着の背中には大きな穴が空いていた。
だが、次に期待していた、ズボンは、比較的無事である。

(やった!)

右足の部分は酷い有様で、腰紐の部分や股間にも穴が開いているが、左足の部分は丸々無事である。
これなら、足首の部分を縛れば、長い筒状にして多くのものが入るだろう。

ハルマサは足首を固く肩結びにすると、中に金貨を放り込み、少し考えて上着の残骸も放り込んだ。

(何に使えるか分からないしね。)

あとは、辺りにある目ぼしい薬草とかを突っ込む。一応キノコも入れておいた。
だぼだぼのジャージだったから結構入ったけどこれくらいにしておこう。

あとは……

一応カニの脚で素振りもしていくことにした。
武器に少しは慣れておきたいのだ。

「フッ!」

ヒュオン!

「棒術」で得た体重移動のコツとかを上手く転用できるようだ。
尋常ではない膂力もあいまって、先のほうの速度は凄いことになっているのではないだろうか。
残念ながら棒とは見なされないようで、「棒術」の熟練度は0.01も上昇しないが、それならそれで違うスキルが熟練していくだろう。

何が熟練するのだろう。「多節棍術」とか? 語呂悪いな。

ヒュオ!

後ろに跳ぶと同時に薙ぎ払い。着地と同時に斜め上への振り上げ。

こんな長いものを自在に使えることに、だんだんテンションの上がってきたハルマサは、適当にそこらの葉っぱとかを攻撃しだす。

脚の先のほうは杭のように尖っており、葉やつるなどはすっぱりと切断される。
上手くしならせ、あたる瞬間に手を引けば、尖った部分が突き刺さる。
ふふふ、何とも良い気分です!

「だりゃあ!」

さらに、試しに幹の細い(直径20cmほど)木に叩きつけてみたところ見事にへし折った。

「おお……!」

かなりの勢いで叩きつけたのだが、耐久値が減っていない。
なんとも頼もしい武器である。

身体能力も上がり、武器も良いものを手に入れた。

「ふっふっふ……」

思わず気味の悪い顔になっても仕方がないよね!

(待ってろよモス!)

ハルマサは静かに闘志を燃やしつつ、モスが居るであろう方向へと移動していくのだった。






<つづく>


ステータス変化なし。
スキルは観察眼と聞き耳、姿勢制御がほんの少しだけ上がった。




<14>


草を踏み分け歩いていると、進行方向から不吉な音が聞こえた。

ブーンブーン!


「聞き耳」スキルはいまやレベル3になっており、僕の聴力は半端なく強化されている。
その耳に、ブンブンと僕のトラウマを刺激して止まない音が聞こえるのだ。

これは間違いない……蜂だ。
僕は蜂の事が大嫌いである。

僕のトラウマランキングでかなり上位に、蜂関連の出来事が位置しているのだ。

小学校の遠足の時のことだ。
遠足は最高学年のお兄さんお姉さんと手を繋いで近くの山へと赴く、嬉し恥ずかしドキドキイベントである。
そこで僕はお兄さんに手を引かれながら、遠足を満喫していた。
話下手であった僕に、お兄さんは気さくに話しかけてくれ、憧れが半端ない速度で上昇して行ったのを覚えている。
それだけでおわれば幸せな思い出なのだが、そうではない。
事件は、お昼時に起こった。
弁当を広げていた僕たちの周りに蜂が飛んできたのだ。
スズメバチだった。
腰を並べていたお兄さんは突然恐慌し、僕を蜂に向かって突き飛ばすと一目散に逃げ出した。
見事な裏切りに唖然としていた僕は蜂に見事にロックオンされ、執拗に狙われ、僕は泣きながら転げまわって逃げた。
……他の人のお弁当を踏み荒らしながら。
その時クラスの中心に居た女の子の弁当を蹴っ飛ばしたのが全ての運の尽きだったのかもしれない。
結局蜂には刺されたし。

思えば、あれが僕の人生を決定づけたのかなァ……
お兄さんは結局謝ってくれないし、僕は次の日から女の子に目の敵にされてネチネチいびられるし、関係無い子まで便乗してくるしで最悪だったよ。

思い出したら、嫌な気分になった。
火が吹けたら丸ごと焼いてやるのに。

避けるのも癪なので、僕はそのまま歩いていく。
以前は怒りよりも恐怖が勝ったものだったが、今の僕は精神すらも強化された人間だ。
僕は今までのティキンじゃないぞ!

僕は気炎を上げつつ低い木や背の高い草なんかを掻き分け、さらに進んでいくのだった。




ブーン、ブーン!
ブーン! ブーン!

蜂の巣に近づいていくと音はドンドン大きくなる。
そして「鷹の目」によって強化された目に、蜂の巣が見えた。

(……普通だ)

巣は大きい。
大きいが、常識的な大きさだった。
木の枝から釣り下がる巣は、楕円球型で縦の長さは80センチほどか。
周りにたかる蜂も、少し大きいかもしれないが、それでも3センチから5センチくらいだ
5メートルも有るような巣とか、蜂がネコくらいでかいとかじゃなくて良かった。

で、なんでネコを引き合いに出したかと言うと、

「ニャァアアアアア!」

無数の蜂にネコが襲われているんだ。

そのネコは棒の先に牙みたいな白い骨をくくり付けたものを持っていた。
腰には大きなどんぐりを加工したカバンを備えている。

あれアイルーじゃない?
「観察眼」もそう言っている。

ネコは大きな目から涙を流しつつ、白い毛に包まれた体を縮込ませて蹲っていた。

僕はその姿に非常に心を動かされた。
助けなくては、という気持ちが溢れたのだ。

あのように蜂に苦しむ人(ネコ)を放っておけるはずも無い。
なぜなら、僕もその気持ちは痛いほど分かるから。
手に持ったカニの脚を強く握る。

「うぉおおおおおおお!」

荷物を投げ捨て、僕は叫ぶと、蜂に向かって突っ込んだ。
高くなった敏捷が、一瞬にして距離を飛び越えさせる。
彼の敏捷は常人の約4倍。常人が15秒で100mを走れるとしたら、彼は約4秒しか必要ない。地面の硬さなどがあるのでそんな単純計算にはならないが、「突進術」もあるので20mくらいなら一秒かからないのだ。

風を切りながら走ったハルマサは、蜂たちに向かって振りかぶった脚を横に振り払った。

「だりゃあああ!」

バチバチバチバチ!

十匹近い蜂が空中で叩き潰され、体液が飛び散る。
うへぇ、気持ち悪!
一瞬散った蜂たちが、一拍の間をおいて、こっちに群がってくる。

「逃げるんだ!」

僕はアイルーに向かって叫ぶと、さらにカニ脚を振り回す。
ヒーローな僕カッコイイ! とか思っていた。
自己犠牲って尊いよね。

とにかく僕は、振りぬくたびに蜂を潰し、羽根をもいで、幾多の蜂を撃墜していった。




「……ニャ?」

蜂の攻撃が無くなったことに気付き、アイルーは恐る恐る顔を上げる。
するとそこには初めてみる生物が居た。

「うぉおおおお!」

長い、貧弱そうな4本の脚を持ち、アイルーやメラルーと同じように二本足で立ち上がって居る。
体毛は少なく、特に下半身を盛大に晒している理解が難しい生物である。
だが、何処と無くこの密林に生息する桃色の牙獣に、その姿が似ているのだった。

「逃げるんだ!」

アイルーにも分かる言葉で、奇妙な生物は叫ぶ。
助けてくれるのだろうか。
しかし、アイルーは逃げようとはしなかった。
その必要も感じられなかったのだ。

無双状態だったのだ。
霞むような速度で手にもつ獲物を振り回し、制空権を保っている。
蜂は無数に群がるが、全て近づくことも出来ず叩き落されている。もしくは潰されている。
その強さは、この密林で最弱の魔物であるアイルーにはとても計り知れないものだった。

まぁぶっちゃけこの密林に居る魔物は大概強さが突き抜けているのだが、この見たことない生物もその例に漏れないようだった。

だが、他の生物と違ってアイルーはこの生物に強い興味を持った。
話が通じること。
自分を助けてくれたこと。

この二つを同時に満たす魔物は、このアイルーにとって、一寸先も見えない闇における、一筋の光明に見えるのだった。




ハルマサは自分の状態に驚いていた。

(僕ってこんなに強くなっていたのか。)

脚を適当に振り回すだけで、あの怖くて憎くて仕方なかった蜂が、全く近寄ってこれない。
振りまくるうちにスキル「鞭術」を習得したことで、攻撃と攻撃の間が縮まり、蜂が入ってこれない空間はさらに広がった。
もうモスとかに拘っているのがバカらしく思える成長である。

だけどキリが無い。
視界はびっしりと蜂に覆われて、どれだけ叩き落しても壁がなくならないのだ。
80cmの巣は、飾りではないようで、後から後から蜂が出てくる。

アイルーに目を移せば、こちらを呆然と見つめている。

(逃げてくれれば僕も即座に逃げるのにッ!)

ハルマサだけなら逃げるのは容易だ。
蜂たちの動く速度を見てみてもそれは間違いない。
だが逃げた瞬間この視界を埋め尽くす蜂たちは、アイルーをまた襲うだろう。
そうなってはハルマサが来た意味が無い。
ジリジリと減るスタミナも焦りを煽る。
ハルマサは歯噛みしていたが、ふと思いついた。

(……僕はバカか―――! 一緒に逃げれば良いんじゃん!)

ハルマサは自分を罵倒する。
こんな簡単なことに気付かない自分に失望さえ覚える。

とにかく気付けば簡単である。
ハルマサは無理に蜂の壁を突っ切ると、ぼんやりしているアイルーの首を引っつかみ、地面を蹴ってその場から逃げ出したのだった。



<つづく>


ステータス

耐久力:22/22
持久力:15/39  ……1 up
筋力 :32
敏捷 :44
器用さ:34     ……2 up
精神力:102

変動スキル :熟練度
鞭術Lv1  :2   ……2.02 up New!
姿勢制御Lv2:11  ……0.85 up
その他色々、少しづつ上がった。


■「鞭術」Lv1
 鞭を操る技術。鞭の扱いが上手くなる。熟練に伴い敏捷及びその他のステータスにプラスの修正。熟練者は、相手の弱点を正確に貫く。クリティカル率にプラスの修正。






<15>


「もう、追ってこないよね。」


蜂が追ってこないか後ろを振り返りつつ。
荷物を拾ってから、しばらく走り続けて止まった時、ふと左手に柔らかいものがポフポフ押し付けられるのを感じた。

見下ろすと、ネコが青い顔をして必死にタップしていた。
首をつかむ左手に力を込めすぎていたようだ。

「あわわ! ごめん!」
「ゲホハッ!ヒュー…ヒュー………死ぬかと思ったニャ……」

手を離した途端アイルーは蹲って咳き込む。
本当に語尾に「ニャ」ってつくんだ。
ファンタジーを生で見ちゃった気分。
喋るネコって、違和感が凄い。

「でも、助かったニャ。ありがとうニャ。」
「そ、そう?」

スッと立ち上がったネコに唐突にお礼を言われて、ハルマサは戸惑う。
感謝の念を伝えられたのはすごく久しぶりなのだ。
誰かを自分から助けたことも。

(僕が誰かを助けるなんてなぁ……)

今までは、困る人を見ても見て見ぬフリが多かった。
自分に何が出来るか、と言う心と、本当に助けてほしいのか?迷惑じゃないのか?と躊躇ってしまう事が多かったのだ。
自分はやはり弱かったのだ。
体も、心も。
だが、さっきは力があり、心は揺れなかった。

たとえチートによって手に入れた物とは言っても、自分の成長を嬉しく感じるハルマサだった。

「やっぱり言葉は通じるんだニャ……!」

アイルーが何か呟き、こちらの手を掴んで来た。

「……?」
「あの! 助けてもらったばっかりで厚かましいとは思うんニャけど、あんたの力を見込んで頼みがあるんだニャ!」

こちらの居住まいが正されるほど、必死な顔である。
死んでからよく頼み事をされるものだと思う。
それも今度は、力を見込んで、ときた。

「ええと……?」
「ボクたちを助けてほしいんだニャッ!」

ネコは茶色い瞳で見上げてくる。
その色は、ハルマサが生まれてこの方見たことのないほど、深い色であり、意志の炎が燃えていた。
彼に向けられるのはこれまで嘲笑の表情、侮蔑の瞳、興味の無いものを見る視線、これらが大半を占めていた。

「と、とりあえず話を聞かせて……?」

だからこそ、戸惑いはするものの、その瞳に答えたい、とハルマサは思ったのだった。



アイルーやメラルーはこの第一層において、もっとも力を持たない魔物であり、被食者であるらしい。(魔物=モンスターであるとハルマサは認識した。)
生身ではただの虫である蜂にさえ遅れを取るネコたちは、この現実に必死に抗った。
発達した知能によって武器を作り、防具を作り、道具を用い、罠に嵌め、なんとか生き残り、個体数を増やしてきた。
魔物が単体で行動しがちなのに対して、彼らは集団行動をとっていたことも大きかった。
現在では十にも及ぶ集落を作り上げることができたらしい。
だが彼らの種族は、壊滅の危機に瀕していると言う。

「原因は雪山からやってきて密林を侵食しつつある魔物、白毛の牙獣たちの軍勢だニャ。」

組織だって襲ってくる恐ろしい強さの魔物の前に、彼らの集落は一つまた一つと蹂躙されているらしい。
位置関係からして、次に襲われるのは、自分たちの村なのだと、目の前のアイルーは震えながら語った。

「お礼はするニャ! 出来ることは何でもするから、助けてほしいんだニャ!」

ネコは語らなかったが、実はこの魔物は他の村に同盟を頼みに行く使者だった。
しかし、ネコはいくら集まろうとも所詮ネコ。
蹴散らされる時期が早いか遅いかの違いにしかならないだろう。
それならば、この強者を信じてみたい。
これがもう最後のチャンス。
そう思っていた。

果たして、ハルマサはその頼みに頷いた。

「うん、わかった。できるだけやらせてもらうよ。」

こんなに頼まれたら怖いとか言ってられないよね、とハルマサは心を決めたのだった。




「あっちだニャ!」

そうと決まれば急いだほうが良い。
アイルーは駆け出し、ハルマサも駆け出し、やがてハルマサが走ったほうが速いということで、アイルーを頭に乗せて走り出す。

そうして走ること10分ほどか。
彼は持久も敏捷も常人の6倍程度はある。さらに「走破術」スキルの発動も手伝い、かなりの距離を移動していた。

「ニャ!? 村の方が騒がしいニャ!」
「うん聞こえる……襲われてるかも。」

二人は耳に聞こえた異変に、反応する。
ネコであるアイルーは当然聴力も高い。それに追随するハルマサの聴力の方が異常である。

この先で複数の獣が騒々しく動き回っているのが聞こえる。
咆哮。咆哮。なぜか爆発音。
ハルマサはさらに足の回転を上げる。

「ニャ!?」

ドンッ!

土を蹴れば地が抉れ、岩を蹴ればヒビが入る。
一歩一歩とグングン加速しながらも、「姿勢制御」によって体勢は地を這うように低く、空気抵抗を減らしながら、脚は動き続けている。

右肩に担いだカニの脚は地面と平行になり、頭上のネコは、振り落とされないようにか頭皮に爪を立ててくる。
靴が磨り減り、バラバラになってどこかに飛んでいく。
そうなってもスピードを落とさず走り続け。

目的地はすぐに見えてきた。



ガサ、と葉を掻き分けるとハルマサは崖の上に居た。
慌てて急ブレーキをかける。
そうして眼下の光景を目に入れて、ハルマサは息を呑む。

「城…?」

走るハルマサが零した言葉が、まさにアイルーの集落を表す言葉だった。
アイルーが集落、村などと呼称していたため、自然、木や藁で作った家が並んでいる集落を想像していたハルマサの衝撃は凄いものだった。

周りの木は伐採され、一面が草原となっている小高い丘。
巨岩を用いた石造り外壁が、延々ぐるりと建物の周りを取り囲み、その上に載った無数のアイルーがボウガンを持って打ち続けている。
内側からは絶え間なく大樽が飛び出し、地面に着弾、爆発が起こっている。
爆発音はこれか。

背後に切り立った崖を持ち、前面と側面を堅固な壁で固めた城塞。
壁の近くに高くそびえる塔からは、バリスタと呼ばれる大きな弓が巨大な矢を吐き出している。
知恵ある魔物が作り上げた集落が、ただの村のはずが無かったのだ。

そしてそれを攻める魔物の群れ。
いやこの数は軍隊だ。
白色の体毛に筋繊維の詰まったごつい体型。手足は物を掴むように発達しており、猿のような赤い顔を持つ。
ブランゴと呼ばれるモンスターはびっしりと城砦の下の草原を埋め尽くしていた。

『グ・ォ・オ・オ・オ・オ・オ・オ・オ・オ!!!!!!!』

「なんて数……」
「ニャァァ…」

咆え、駆け、跳ね回る白、白、白。

草原にある無数の罠、落とし穴、トラバサミ、毒の針、etc。
「観察眼」で明らかになったそれらを、軽々と無視、粉砕しながら、ブランゴたちは城砦へと吶喊する。
迎撃するアイルーたちの爆弾、弾丸、バリスタの巨矢をあるいは弾き、あるいは身に受けながらもひるまずに、意志の壁に体当たりを繰り返すブランゴたち。
何も考えていない力押し。

しかし、それでも劣勢なのは城塞都市のアイルーたちだった。
彼らが知恵を絞り、技巧を凝らし、時間をかけて作り上げた対抗策は、ただただ、身体能力に蹂躙されていた。
唸るほど押し寄せる魔物の群れは、10メートルもあるような壁の前に肉の階段を作り上げ、アイルーたちが慌てて爆弾を落とす。
石の壁にバカみたいな速度で突っ込む度に、壁は揺れ、アイルーたちは必死に壁にしがみ付く。
もはや抵抗など、風前の灯。
蹂躙される一歩前であった。


「無理ニャ……こんなの無理ニャ……」

頭の上のアイルーがそう思っても無理は無い状況だった。
一体何匹居るんだろう。
百匹は確実に居る。

ハルマサも一度は怖気づいた。
確かにこのネコたちは可哀相だ。
理不尽な暴力によって蹂躙される弱者。
しかし、その弱者を助けられるほど僕は強いのか?

だが、頭の上の絶望する声を聞いたとき決意は固まった。

(ボクは死んでも大丈夫だしね! 出来るところまでやって、死んでから後悔する! これでいこう!)

いつも理不尽な暴力に屈する側であった僕。
力がないといつも諦めていた。
反抗することから逃げ、生きることすらどうでも良くなっていた。
だが、閻魔様のくれたチートで強くなった今なら、何とかなるかも知れないのだ。

(いや、する!)

ハルマサは無理だと怖気ずく心を震え立たせ、決意を固める。
前向きになれた全ての要因は、精神力の多さにあるだろう。
彼の精神力はレベル5の水準に届かんとするほどの物であり、彼は恐怖に対して耐性を得ているのだ。

この事態において、まだマシだと言えることがあるとすれば「観察眼」によってレベルとともにブランゴの弱点部位、弱点属性が判明しているということだ。
猿の生態とほぼ同じであると言うことは見れば分かるので、弱点部位が分かると言うことにあまり利は無い。
ただ、「観察眼」によって詳しい情報が判明するという事が重要なのだ。

(つまりこいつらはヤオザミより弱いって言うことさッ! あいつを倒した僕なら、なんてこと無いんだ!)

自分に活を入れ、ハルマサはネコと荷物を下ろす。
ここなら魔物の集団には気付かれまい。

「よし! 行ってくるね!」
「ニャ! だめニャ!」

こちらを心配してくれているのだろうか。
アイルーにぎこちない笑みを返し、ハルマサはカニの脚を強く握り、助走を付け、跳んだ。

ハルマサは今、なりゆきで絶望的な戦いに身を投じようとしていた。




<つづく>

ステータス変化

姿勢制御と走破術が上がって、その影響で持久力と器用さが上がりました。




<16>


うわぁ……!
高い高い高い!
怖いよ―――――――――!

崖を飛び出したハルマサは、瞬間的に後悔した。
ちょっと格好つけすぎた!
僕そんなキャラじゃ無いのに!
その結果がこれだよ!

風圧で頬の肉をブルブルさせつつ、ハルマサはゆるいカーブの放物線を描きながら群れの真ん中に飛んで行き、

ドゥン!

腹に響く音と共にブランゴの上に斜め上から降り立った。

へ、へへへ。
死んだかと……死んだかと思ったァ!
あ、涙出そう。

ちなみに今ので耐久力一気に半分になりましたー。
死亡に向かって一直線だぜ!

膝をカクカクさせながら立ち上がったハルマサの脳裏にナレーションが響く。

≪魔物を撃退したことにより、20の経験値を得ました。≫

30メートルの滑空ライダーキックは、ブランゴの耐久力を削りきったようだ。
経験値20っていうことは、あと一体倒したらレベルアップじゃないか!

と、ここでまたファンファーレ。

≪跳躍後に一定距離以上空中を移動したことにより、スキル「跳躍術」Lv1を習得しました。習得に伴い敏捷にボーナスが付きます。≫

新しいスキルである。
だが、今は確認している場合ではない。
一時硬直していたブランゴたちだが、新たな獲物として、こちらに向かってきたのだ。

ちょ、一気に来すぎw死ぬるw

前後左右、さらにジャンプしながら上からくるもの、合わせて6匹。
ハルマサの周囲が全部光り始める――――――「回避眼」の攻撃予知だ。
はわわ、あわわとテンパリそうな心を押しつぶし、正面から突撃してくるブランゴにカニの脚を叩きつける。
機先を制されて怯んだブランゴの上に逃げる道が出きた!
早速ブランゴを足蹴に乗り越え包囲網から脱出する。

だがその先にあるのも――――――包囲網。

思ってた以上にキツイなこれ!
ちょ、お前らこっちクンな!
せめて、一匹ずつでお願いしまぁす!

「ぬぁああああああああ!」

テンパリながらもハルマサは動き続ける。
手を、足を止めちゃだめだ!
なんか止まったら死ぬって言うのが直感的に分かっちゃうんだよ!
止まって無くても死にそうだけどねぇ―――!

なんでこんなとこに降りたんだ僕! もっと端から攻めろよ!

全方位から突撃してくるブランゴ。
その威力は石の壁を揺らすほど。
当たったらダメージはでかい。上がった耐久力(22)でも即死する可能性は高い。
何故なら「観察眼」によって判明した敵の筋力は―――90前後だから!
救いはそんなに素早くないことだね。

「ガオッ!」
「―――うわッ!」

鋭い爪が背後から。
「聞き耳」で危機一髪、攻撃を察した背面への攻撃を前へ跳ぶことで避ける。

「グォア!」
「ひぃ!」

そこに突っ込んできたブランゴをさらに飛び越える。

「ガアッ!」
「やられるか!」

着地地点で爪を振り上げるブランゴにカニ脚を叩きつけ、反動で左に。

「うおりゃあ!」

目の前に居るブランゴの顔を踏んでさらに逆へ。

「跳躍術」の効果はすぐに現れていた。
跳躍後の挙動がグッと早くなったのだ。
着地した直後は「跳躍術」「撹乱術」「突進術」「撤退術」の4つが重なり、驚異的な回避が可能になった。
無理な姿勢でも「姿勢制御」によってバランスは保たれ、周囲の状況を「聞き耳」によって把握する。
さらに「回避眼」が攻撃を避け、生き残るための道筋を指し示す。

これらが重なり、常人なら100回は死んでいる状況を、ハルマサは辛くも切り抜けているのだった。
まさにチート様様。
生き残ったら閻魔様を奉った祠でも作ろうかな。

だけど、「回避眼」は発動しないこともある。
思ったとおりに行動できないこともある。
その対価に削れるのは耐久力。
何度も攻撃がかすり、シャツはボロボロ。パンツもボロボロ。ポロリはまだだよ!
爪による切り傷も少なくない。

あ、やばい!
なんか耐久力下がっちゃってるっていうか、もともと半分しかなかったのに、さらに半分になったような気がする!
ふふ、今の僕ならパンチ一発で死ぬぞぉ!

至近距離での咆哮。唸りを上げて目の前を通過する鋭い爪。
後一歩横に居れば、肺腑を抉っていた獣の突進。
獣臭が鼻をつき、ブランゴの敵意で体が鈍る。
何より、避けることに集中しなければいけない状況の連続で、攻撃が出来ない。敵が減らない。
予断を許さない状況が、持久力を、集中力をガリガリ削って行く。

だが、極限の状況だからこそ、得られる対価は大きいものだ。

頭の中ではひっきりなしに熟練度アップ、新スキルの取得を知らせるファンファーレが鳴り響く。
それに伴い、徐々に洗練されていく動き。
もうどれほど避けたか。
何度直感により回避を行い、絶望的な死中での「生」を拾ったか。


(ここまで来たら死んでたまるカァアアアアアアア!)


ハルマサの自意識は、今こそ極限。

彼は、確かにここで生きていた。



≪チャラチャンチャンチャン(中略)チャーン♪ 一定範囲内に敵対す――――――
≪チャラチャン(ry 「鞭術」の熟練度――――――
≪チャ(ry 「回避眼」の熟練度が24.0を――――――
≪チ(ry 一定時間内に脚による――――――
≪t(ry 「撹乱術」「跳躍術」のレベルがともに3を越えたことにより――――――


雑多な情報が頭の中で氾濫する。
使えない特技と判断された行動に対する警告も鳴り止まない。
その中で、僕は待っていた。
僕の耐久力が、持久力が、カニ脚の耐久値が削れて行く中で。
僕の、避けるための攻撃が、どれか一匹に蓄積することを!
そして、クリティカルが発生し、ブランゴの耐久値を削りきることを!

なぜなら!
あと一匹倒せばレベルアップするからさ!

彼が左右からの同時攻撃に対して、右のブランゴにカニ脚を振りながら吶喊。
腕を弾き飛ばして顔面にスキル「拳闘術」Lv3による特技「突き」を打つ。
めぎゃあ、と結構良い手ごたえ!
スカッとしている暇も無く、左に体を倒し、跳躍。
その時脳裏に響くファンファーレは、彼が待ち望んだドラクエのものだった。


≪魔物を撃退したことにより、20の経験値を得ました。レベルアップしました。全ステータスにボーナスが発生します。≫


(レベル4キタ――――――!)

流血によって重くなっていた体が、ぐん、と軽くなる。
体の内にはエネルギーが溢れ、切れかけていた息が持ち直す。

そして何より――――――今までレベル制限で使えなかった特技が使えるようになる!
なんかいろんな行動が特技とみなされて≪ポーン!≫ってなったんだけど、その中でレベル4になったら使える奴あったんだよね!

一瞬の思考の隙があったか。
飛び掛ってきたブランゴの下から突進してきたブランゴに、対応が遅れる。
咄嗟にカニの脚で受け止める。
猛烈な勢いに、しかしレベルが上がったハルマサは耐え切った。
だが、武器は耐え切れなかった。
手元に近いほうの節がもげ、50センチの棒になってしまったカニの脚。

(!?)

相棒が! 臨時だけど!
くそう!
貴様には取って置きを食らわせてやる! さっき偶然発見した、かっこいい名前の特技を!
でもその前に、

「突きィ!」

突進を避けざまに、わき腹へ「棒術」の特技「突き」を放ち、突き込んだそれを無理やり引き戻す。
筋力が上がったのか、さっきまでよりもブランゴが柔らかく感じるよ!
口を限界まで開け、衝撃に体を揺らすブランゴ。

――――――行くぞ!

僕は瞬時に重心を沈め、地面を踏み抜くような踏み込みと共に、腰だめに構えていた拳を放つ。

「―――崩拳!!!!!」

熟練度ではなく、レベルで制限のかかっていた特技「崩拳」。
もう名前からして強そうな特技は、予想通り強かった。
何の制限もなくなった今、彼の劇的に上昇した筋力によって放たれる拳は、爆発的な威力。

―――――轟音!

顔面に攻撃を受けたブランゴは瞬時に骨が砕け、次の瞬間、背中が内側から爆発。
周囲に血が飛びちり、赤い雨が降る。


◆「崩拳」
 踏み込みと同時に対象の体に拍打を打ち、体の内部に衝撃を置く。下位の装甲を必ず貫通。


一撃で相手を沈黙させられる特技である。
これは使える!
カニ脚はもう役に立たないけど、「突き」「崩拳」さえあれば戦える!
まだまだ状況は油断できないけど。

(反撃は、ここからだぁああああああああ!)

血に濡れたハルマサの顔は、常には無く、生気が溢れるものとなっていた。





<つづくといい>




ステータス

佐藤ハルマサ(18♂)  ……Level up!
レベル:4        ……1 up レベルアップボーナスは20
状態 :流血(継続ダメージ小)
耐久力:40/57    ……35 up
持久力:91/141  ……98 up
筋力 :126      ……94 up
敏捷 :268      ……222 up
器用さ:122      ……89 up
精神力:166      ……64 up
経験値:80 次のレベルまであと78


あたらしい特技

崩拳


変動スキル :熟練度

拳闘術Lv3 :36   ……36.2 up New! Level up!
蹴脚術Lv3 :30   ……30.4 up New! Level up!
棒術Lv2  :10   ……0.03 up
鞭術Lv3  :45   ……43.7 up Level up!
姿勢制御Lv3:67   ……53.5 up Level up! 
突進術Lv3 :65   ……60.1 up Level up!
撹乱術Lv4 :74   ……60.1 up Level up!
跳躍術Lv3 :61   ……61.3 up New! Level up!
撤退術Lv4 :72   ……60.1 up Level up!
防御術Lv1 :2    ……2.88 up New!
戦術思考Lv2:14   ……14.3 up New! Level up!
回避眼Lv4 :92   ……86.3 up Level up!
的中術Lv2 :29   ……29.0 up New! Level up!
空間把握Lv2:18   ……18.1 up New! Level up!
聞き耳Lv4 :73   ……23.4 up Level up!


◆「崩拳」
 対象の体に踏み込みと同時に拍打を打ち、体の内部に衝撃を置く。下位の装甲を必ず貫通。

■「拳闘術」Lv3
 拳で攻撃する技術。拳で攻撃する際、威力が上がる。熟練に伴い筋力またはその他のステータスにプラスの修正。熟練者は拳で大地を割る。
(一定時間内に一定回数以上拳による攻撃を繰り出したことにより、習得。)

■「蹴脚術」Lv3
 蹴りを繰り出し攻撃する技術。足で攻撃を放つ際、蹴りの速度が上がる。熟練に伴い敏捷またはその他のステータスにプラスの修正。熟練者は蹴りで衝撃波を放つ。
(一定時間内に一定回数以上足を強振したことにより、習得。)

■「跳躍術」Lv3
 跳躍後、上手く着地する技術。着地後、素早く動くことが可能となる。熟練に伴い敏捷にプラスの修正。上級スキルに「空中着地」がある。

■「防御術」Lv1
 攻撃を防御する技術。攻撃を防御する際、被害を軽減する。熟練に伴い、耐久値にプラスの修正。熟練者は、魔法による攻撃を無効化する。
(耐久力以上の攻撃を防御したことにより、習得。(カニの脚で防御した時に習得。))

■「戦術思考」Lv2
 戦闘中において思考する技術。戦闘中、冷静になる。熟練に伴い、精神力にプラスの修正。熟練者は、死の間際でさえ慌てない。
(一定時間以上、戦闘行為を継続したことにより、習得。)

■「的中術」Lv2
 攻撃を命中させる技術。攻撃が当たる度、確率でクリティカルが出る。スキルレベル上昇に伴い、スキル発動確率が増加する。
(一定時間内に一定回数以上攻撃を命中させたことにより、習得。)

■「空間把握」Lv2
 戦闘時、自分の周りの事象を把握する技術。自分を基点とした一定範囲内の事象を把握できる。スキルレベル上昇に伴い効果範囲が増加する。
(「撹乱術」「跳躍術」のレベルがともに3を越えたことにより、習得。)



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