天空闘技場についてからは経験者のキルア君に案内を受けみんなで選手登録、いくら快勝しても一日に組まれる試合には限りがあるため一日のほとんどの時間を各自の修行に費やした。みんなは基本毎日纏と点、私はそれに練も加えてみんなと一緒に基礎訓練、それからみんなに少しずつ時間をもらって組み手の訓練。今までの私は相手の動きを眼で見て動きを予測、それに対して自分がとるべき行動を考えてから身体を動かしていた。戦闘というものの経験がない私はそうするしかなかったのだが、それによって起こるのはわずかな初動の遅れ、それによって相手の動きが眼では追えているのに体がついていかないという状態になっていた。それを解消するためにはとにかく戦闘というものに慣れ、頭で考えなくても反射で体が動くようになるようにするのが一番であると考えた私は念を使わない組み手をみんなにお願いしたと言うわけだ。190階以下の戦いも参考になるかと思ったが相手の動きが遅すぎて参考にならない、みんな一撃でダウンしちゃうし。キルア君とゴン君は原作通り通り名までついて注目されている、クラピカとレオリオも全ての試合を一撃で終わらせているが2人が注目されたのは子供であることが大きかったのだろう、ゴン君たちほどは騒がれていない。私はと言うと恥ずかしい通り名で呼ばれるのは勘弁してほしかったので特に決まった戦い方はしていない、それでも階があがっていくとどうしても知名度は上がってしまうらしくすれ違いざまに振り返られたり遠目にひそひそと話されるようにはなってしまった。そういえばキルア君は原作通りズシ君と戦っていた、まぁお互い纏を覚えた同士になってしまったせいもありやはり原作通り一方的な試合になってしまったが……ウイングさんの姿も確認したので天空闘技場での修行が終わったら裏ハンター試験の合格をもらうために会いに行こうとは思っている。そして今日はとうとう私たち全員が200階へとあがる日、200階の闘士は全員が念の使い手であることは既に教えているのでゴン君などは楽しみで仕方がないといった表情だ、これはきちんと釘を刺しておかないと原作通り纏しか使えない状態で戦いかねない。――――ヒソカの視線を身長の高いレオリオを盾にして受け流し、現在みんなで200階の闘士登録をしている。後ろにはやはり天空闘技場の3バカたち、しかし今のみんなにとってはまだ格上の相手だ、まぁすぐに追い抜けることは確かだけど。いつでもOKにサインしようとするゴン君を念を込めた拳で軽くはたいておく、原作と違い近くに念を教えている私がいるというのに何を考えているのだろうか、この子は。「準備期間が3ヶ月もあるんだから焦らない、纏しか覚えていない今の状態で未知の相手と戦うのはリスクが高すぎる」「でもオレこの力でどんなことが出来るのか、早く試してみたいんだ!!」纏を完全にマスターするまで念による戦闘は控えようとしていたのが裏目に出たのだろうか、ゴン君にとってはお預けをくらったような状態であったらしい。かと言って纏だけしか使えない状態で戦わせるわけには行かない、貴重な1ヶ月を怪我で失うわけにはいかないのだ、オークションまで後半年ほど、1日でさえも無駄にしたくない。試合が明日になっても今夜練を教えれば勝てるかもしれない、いや勝てる可能性のほうが高いだろう。しかし急いでるからといって焦って詰め込むのは良くない、それだけは絶対だ、今は纏を完全にすることが先決、だとすると……「どうしても戦いたいなら私が相手になる、それでどう?」あいつらと戦わせるくらいなら私が相手をしたほうが安全だ、ゴン君と私ではまだまだ私のほうが格上、大怪我をさせないように戦うことも出来る。ゴン君もそれで了承してくれたのでまさかのゴン君VS私が実現、ゴン君が早く試してみたいというので試合日は明日だ。ゴン君に許可した手前キルア君たちにもやりたいのなら相手になるといっておいたが、とりあえずゴン君の試合を見てから判断するらしい、賢明な判断だ。明日はどうやって戦うか、予想外というかある意味では予想された展開に頭を悩ませながらとりあえず与えられた個室で休むことにした。「さぁ、今日は大注目の一戦です!!破竹の勢いで勝ちあがってまいりましたゴン選手とユイ選手が早くも登場!!」ノンストップで勝ち上がってきた新人、しかも2人とも子供とあってか会場内にはかなりの人がいる。とはいえ、あらかじめ試合が決まると同時にチケットを買いに行ったためキルア君たちは最前列をキープしているし問題はない。「ユイ選手の周りには大量の水!!姫に付き従いその身を守る騎士の如くユイ選手を包み込んでおります!!」天空闘技場では地面が遠く、また壁に穴を開けるのもはばかられるためあらかじめ水を纏って試合に臨んだ、武器の持ち込みは自由なのだ何も問題はない。好奇心旺盛も結構だが危険を顧みない行為がどれほど危険なものであるのか、怪我をしない程度に理解してもらおう。「ポイント&KO制、ゴンVSユイ 始め!!」手始めに10個の水弾を作り出しゴン君に向けて飛ばす、まだまだ複数の水弾をマニュアルで動かすのは難しいのでほとんどはオートだ。込める命令は対象者を円周上に乗せての回転運動、そしてギトの独楽と同じくお互いにぶつかった際は方向転換。縦横無尽に回る水弾に対応しきれず弾き飛ばされるゴン君、ほとんどは不規則ではなく規則のある動きをしているのだが今のゴン君はそれを瞬時に見切り対応できるほどではない。「クリーンヒット、ユイ!!1-0!!」そしてオートの水弾に対応できたとしても2~3個であればマニュアルで動かせる、私は操作系だ、遠距離勝負こそ私の土俵。避けきれず攻撃を喰らうゴン君、クリーンヒットやダウンで私にポイントが加算されていく。このままでは埒があかないと判断したのだろう、一直線に私に向かってくるゴン君。強化系VS操作系であれば接近戦に持ち込むことが強化系の基本、しかしそれはゴン君がそれなりの使い手になってからの話だ。練も使えない今のゴン君では……「あーっと!!ゴン選手接近戦を試みるがユイ選手を包み込む水に取り込まれたー!!」私の水を弾き飛ばすほどの力を出すことは出来ない、つまり今のゴン君では私に触れることすら出来ないと言うことだ。水で取り囲んだままゴン君を場外まで運び壁に叩きつける、役目を終えた水は瞬時に私の元へ戻り再度私を包み込む。これを弾き飛ばすには相応の力を込めるしかない、それこそゴン君のジャンケングーのような、水というのは衝撃を吸収させるにはかなり優秀だ、攻撃面はまだまだ考えることが多いだろうが防御性能は結構高いかもしれない。「クリティカル&ダウン!!3Pユイ!!6-0!!」ゴン君の修行になればとギト戦の再現になるように戦ってみたがこの戦い方はやはり強い、というよりもこの戦い方は操作系にこそあっている気がする。操作と相性の悪い強化系では複雑な操作を行うことは出来ない、竜巻独楽は悪くない技だとは思うが舞踏独楽は一定以上の使い手には脅威ではないだろう。ゴン君は回避に全力を注ぐためだろう、纏を解き絶をし精神を集中させる。こちらに向かってきたときにも思ったが原作よりも対応が早い、間違った対応である以上褒めることは出来ないが……しかしどうしよう、絶の状態のゴン君に攻撃を当てたら大怪我をさせてしまう。水弾に込めるオーラの量を減らし威力を下げる、形と操作性を維持できるギリギリまで、これで何とかなるだろうか?ある意味こちらの方がヒヤヒヤしながらオートの水弾の中にマニュアルの水弾を織り交ぜゴン君を隅へ隅へと追いやっていく、自動で動く独楽じゃないんだ追い詰めるのに1時間もかからない。――――当たる、ガードの上から当たるように意識して少し軌道をずらす、大丈夫だろうか、怪我をしないといいが……「!!」ポイントは……入らない、きちんとガードをしたしダメージもほぼないからだ、驚いた、纏を覚えた翌日に即戦ったのではなく約1ヶ月の期間があったことはきちんとゴン君の糧になっていたらしい。避けられないと判断した瞬間纏をしてガードをしていた、威力を下げていたから弾き飛ばすことも出来ていない、あれほど素早く纏の状態に移れるようになっていたのか。纏でガードされるのならばもう少し威力を上げなければ……失敗されたら怖いがこのままでは試合が終わらない、ゴン君を信じることにしよう。――――リングの隅まで追い込んだところで自身を守っていた分の水も動員し逃げ場をなくした上でゴン君を水で包み込む。そのまま場外に弾き飛ばして終了、マニュアル操作にも段々と対応されつつあったし少し長引いてしまった、操作系なのにほとんどオートで一定の動きなのはな……10個も20個もマニュアルで動かすのは無理があるだろうが少なくとも複数の指示を与えて水弾の動きをもっと複雑にしなければ、ギトのこと言ってる場合じゃなかったな。「クリティカルヒット、ユイ!!10-0!!勝者ユイ!!」さて、原作以上に口をすっぱくして念能力者との戦いの最中纏を解く危険性を言っていたというのに……結果大丈夫だったとはいえ勝負に夢中になって教えを破ったゴン君にはみっちりとお説教を受けてもらいましょうか。私の部屋にみんなで集まって今日の試合の考察会、ゴン君は試合中に纏を解くなんて対戦相手が私でなかったら大怪我をしていたかもしれないと私に散々怒られたので私の隣で小さくなっている。「ってゆーかあの水は卑怯だろ、ほとんど絶対防御じゃん!!」各自思ったことを言って欲しいと言って始まった考察会でキルア君がいきなりそんなことを言ってきた。「そんなことないよ、私が水に込めているオーラ以上の力を出すことが出来れば弾き飛ばすことも出来るもの」修行して基本のオーラ量が同程度になったとしても、ウヴォーのビックバンインパクトやフランクリンの念弾はまず間違いなく防げないだろう、操作系はガチンコ勝負は分が悪いのだ、今回力押しで勝てたのはまだまだゴン君が未熟だったからだ。「水流操作はユイ独自の能力だと以前言っていたな、私たちもユイのそれに匹敵、対抗できるような能力を会得する必要があるということか?」「地力で上回れば能力がなくても勝てるようになる、念にも人によって得意不得意があるから接近戦が得意な人は能力を使わなくても十分勝てる可能性はあるだろうし」とは言っても私も簡単に負けるつもりはない。ただの接近戦なら強化系VS操作系は100VS60で打ち負けてしまうが、身体を覆う水で攻撃を緩和することができれば相手の100を下げることもできるということだから。遠距離も近距離も一定以上に戦えるようにしなければ、少なくともみんなはそうなることが分かっているのだから。あ、レオリオだけはまだどうなるのか分からないけど。「その得意不得意ってのはどうすれば分かるんだ?」「6種類ある念の系統を調べる手段があるからその結果で大体のところが決まる、それをやるためには練が出来ないといけないから今はまだ出来ないけど……」練に移るタイミングが難しい、ヒソカとカストロの試合が1ヵ月後、そのときには練を習得して凝をしながら試合を見られるくらいにはなって欲しい。みんなが纏を覚えてもうすぐ1ヶ月経つ、みんなとても自然に纏を行えるようになってきたしそろそろいいだろうか。ゴン君も試合中に見せた絶から纏へのシフトは速く自然だった、毎日の纏と点をしっかりやっていた証だろう。「後1週間くらいでみんなが纏を覚えてちょうど1ヶ月経つから、そしたら練の修行を始めよう」練が扱えるようになれば水見式が出来る、クラピカは具現化系だ、鎖を具現化するのに時間が必要だからこのくらいでちょうどいいだろう。その後も絶をして感覚で全部の水弾を捉えていたゴン君も、上から全体を見るようにしていたみんなにも分かっていたのだろう、水弾に込めたオートの命令、中に織り交ぜたマニュアルの水弾等についていくつか質問を受けてからまた各自基本の修行へと入っていった。6/11投稿纏や練の性能が上がるということは力強さが上がることに加えその状態に移行する速度があがるということだと思う。原作でもゴン君が2ヶ月に及ぶ点の修行の後、以前よりも速く自然に行えたとウイングさんに言っていた。纏を覚えて1ヶ月、避けきれないと判断してから纏を行うくらいの実力はついたと思っている。ゴン君たち4人にギトたちと戦わせようとしたら全員がやる前にギトたちが下に落ちてしまう、割り振ればいいのだろうか?