最終試験のトーナメント表、私の居る位置は原作で言うポックルの居る位置だった。確かに注目している相手にゴン君とキルア君、戦いたくない相手にヒソカを選んだからポックルとまぁ似ているところも……あるかな?何にせよ宣言どおりヒソカと別ブロックにしてくれたのはただただ嬉しい、戦いたくない相手にゴン君たちも入れなくて良かった、そうするとドコに入れられるか分からないから。先ほどゴン君とハンゾーの試合、そしてクラピカとヒソカの試合が原作通り終わってこれから私とハンゾーの試合だ。ゴン君のスピードはボール遊びの時の感じだと念を使ってない状態で私とほぼ同じ、ハンゾーはもちろんそれより上。ただ1次試験の様子等を見た感じではキルア君の方が若干上に思える。さて、とりあえずは念なしでやってみよう。今の自分がどれだけ動けるのか、ちゃんと身体を動かすのはこれで3回目、殺されることのないこの状況で格上のハンゾーとやれるのは訓練としては申し分ない。向かい合って顔を見れば若干疲れた感じに見える。先ほどまで面倒なゴン君の相手をして次がまた子供の私だ、ハンゾーでも若干のやりにくさは感じているだろう。しかし、だからと言って手を抜いてくれることはない、相手が誰であろうと必要ならば非情になれる人だ。限界まで思考速度を上げる、パワースピードともに適わない相手に唯一勝るとすれば思考速度とそれにより擬似的にあがる反応速度。まずはこの武器だけを頼りにどこまでやれるか試してみる。ゴン君のようにあれだけ嬲られながらも意地で負けを認めないなんてこと私には出来ない。組み伏せられたら終わり、首筋や側頭部に食らっても終わり、攻撃は全て避けるか逸らすか防ぐか。相手を格上と認めながらこの条件はかなり厳しいと自分でもおかしくなる、しかしこれぐらい出来なければこの先が不安だ。「第三試合、ハンゾーVSユイ 始め!!」試験官の合図と共に動き出すハンゾー、対してこちらはその場を動かず。回り込もうとするハンゾーに合わせ、体の向きだけをずらしてハンゾーを正面に維持する、視界から外れてしまったら反応できない。いくらハンゾーの方がスピードが上でも回り込もうとする相手と身体をずらすだけの私なら遅れはとらない。半周ほど回ったところで正面から向かってくる、放たれる右を腕でガードしながら反撃しようと試みる。しかし腕に当たった瞬間に後ろに弾き飛ばされる私の体、攻撃の衝撃を殺しきれず受けてカウンターは無理と判断。続けて接近し尚も放たれるハンゾーの打撃を、今度は腕を側面にあて外に逸らすことで懐にもぐりこもうとする、狙うは腹部。うまく潜り込めそうだった、が予定をキャンセルし後ろへ後退、眼前すれすれのところをハンゾーの手刀が通り抜ける。私程度の打撃なら喰らっても問題ないと判断されたのか防御をせずに斜め後ろから首筋を打ち抜かれそうになった。前進をキャンセルしての急激な後退でバランスが崩れる、放たれるハンゾーの次の打撃、大きく横に凪ぐ手刀をどうすれば避けられるかを加速した思考で考える。後ろに下がっていたら間に合わない、しかし攻撃の方向的に左右も無理、周りにしてみれば一瞬の判断で足を前に蹴り上げ自分から後ろに転ぶように回避する。両手を地面につき体を伸ばしながら右足を蹴り上げる、狙うは顎、しかし身体を引いて避けられる。そのままバク転をして後退、顔を上げるとハンゾーがいない、見失った。視線を外す今の動きは失敗だったと自分を叱責、左右どちらに行ったかが判断できない、が後ろに回ろうとしていると予想をつけ、確実に居ないことが分かっている前方に全力で駆ける。振り返りたいが左右を外すと背中をさらす、そのまま突き進み壁を駆け上がりつつ反転、視界におさめたハンゾー目指して天井を蹴りつけ突撃する。体重を乗せた一撃、しかし難なく受け止められる、ガードを超えてダメージを与えるには力が足りていない。振り払う動作に身を任せ一度距離をとる、ここまでで分かったことは反応は何とか出来る、しかし受けきれずこちらの攻撃が通じない。釣竿を使わなかったゴン君に対し、相手を嘗める行為だと叱責していた姿を思い出す。ゴン君同様私にとってもはるかに上の相手、念なしではやはり厳しいと判断しオーラを纏う。練はしない、非念能力者に過剰にオーラを乗せた攻撃は命の危険を与える、殺したら失格のルール、纏の状態を維持する。今度はこちらから向かい、放たれる打撃を外へと逸らしまた内部に潜り込む。先ほど同様腹部への一撃を代償に首筋を狙うハンゾーに今度はオーラを乗せて威力の上がった拳を叩き込む。吹き飛ばされるハンゾーの体、足が崩れ届かぬ位置にある顎が下がってくる。追撃をしようと近づいた私に体勢を立て直したハンゾーから放たれる足による一撃、両腕でガードするが受けきれずに弾き飛ばされる。蹴りは拳の数倍の威力があると言うが纏をしているおかげでガードは出来る様、しかし踏ん張りはきかない。小さい身体はどうしても軽い、しかし小回りは利くので一長一短。とにかく纏の状態ならば勝負にはなる、試合はまだ始まったばかり、次の一手を考えながら立ち向かう。青い果実を探しに来て想像以上の豊作だった今年のハンター試験♦その中でも彼女は異質でとても目に付く♥念が使えるというのに見たところ戦闘経験は皆無、とても美味しそうだというのにまるで実がついてすぐのようだ♣彼との試合もまるで自分でも分からない自分の力を試しているよう♣最初は念を纏わず、それでは適わないと理解してからは纏をしだした♦しかし僕の見たところ纏をしたとしても彼の方がやや優勢♣だけど今僕の目の前で彼女は徐々に彼に追いついてきている♥一度交差し離れるたびに動きの無駄が減っていく、この短期間でスポンジが水を吸い込むように成長している♥あぁぁぁぁ♥良い、すごく良いよ、さっきのゴンの試合も良かったけど君の試合も見ていて飽きないよ♥一体どこまで美味しくなるんだろう♥今すぐ食べてしまいたいけどダメダメ、まだまだ熟してからじゃないと♥何度目か分からない打ち合いからまた距離をとる、加速しっぱなしの思考にそろそろ脳が熱を持ってきた感じがする。しかし動きについていけるようになってきた、まだやれるもう少しと思う反面脳と身体は休息を求めている。判断をミスり一撃を喰らえばもうそれだけで私は戦えなくなる、そろそろ限界だろうかと考えている中ハンゾーが身体を起こし腕から刀を取り出した。「なるべく後に残るような怪我はさせないように終わらせようと思ったが、認めよう、お前は強い。本気で行く、まいったというなら今のうちだ」ちょっと待て、刃物はずるい、纏による防御力は一体どのくらいなのだろうか?ズシは纏の状態でキルアのほぼ手加減なしの一撃を受け無傷だった、相当な防御力なのだろうが刃物を受けられるほどだろうか?いや、練の状態ならともかく纏ではさすがに無理だろう、しかし私は刃物どころか武器になりそうなものを何も持っていない、水はあるが非念能力者に発による攻撃など出来る訳がない。「ずるい!私は武器使ってないのにハンゾーだけ!」刃物を見て混乱した頭が馬鹿な台詞を吐き出させるが殺す以外何でもありのルールだ、武器の使用は当たり前だろうと返され再度降参を促される。「クラピカ!双剣貸して!」それならば自分も武器を持てば大丈夫だろうと安易な思考がクラピカの持っていた双剣を求めるが試験官に試合開始後の武器の貸し出しは手助けにあたり失格になると注意を受けた、それはそうか。「刃物ちらつかせて女の子を脅すなんて!鬼!!悪魔!!」やはり長時間の思考の加速で脳がオーバーヒート気味になっているらしい、自分でも何を言っているのか分からなくなってきた。武器は借りられない、生身では戦えない、これはもう無理ではないだろうか。眼前に突きつけられる刃物、その眼は脅しでなく降参しないのなら斬りつけると言っている様だ。さすがにいきなり足や腕を斬り飛ばされることはないのかもしれないが斬られるだけで十分嫌である。練をしようか、いやまて死んだらどうするんだ、生身の相手にそんなことをしたらどうなるかは天空闘技場の3バカが十分に示してくれている。ハンゾーも刃物ちらつかせて腕や足を斬り飛ばそうとしてるんだこちらもそれくらい、と黒い思考が流れそうになるのを慌てて止める、その考えはさすがによろしくない。「う~……、参りました……」負け上がりだと次はキルア君だ、もし次も私が負けてキルア君が合格したらイルミに殺されるんじゃないだろうか?しかしそれはかもの話で今目の前に突きつけられてる刃物は降参しなければ私に降りかかるのは確定事項である。とりあえず眼前の恐怖から逃れることを優先しよう、キルア君との試合は……また後で考えよう。6/5投稿本当は最終試験は全部一度に書くつもりだったが夜勤に行かないといけない時間になってしまったのでここであげる。最初はユイを勝たせるつもりで書き始めたのに書き終わったら負けていた、さすがハンゾー。ハンゾーが負けるところがイメージできない、纏をしたズシは念を知らないキルアに負けた、そのせいでハンゾーがユイに勝つイメージしかわいてこない。なんか1話書くごとにユイが弱くなっていく、ヨークシンとか大丈夫だろうか?天空闘技場をかなり必死に書いてユイを強くしないと足を引っ張る気さえしてきた、頑張れユイ、というか頑張れ自分。