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No.19055の一覧
[0] 【習作】 ルイズは地獄の一丁目を呼び出したようです ゼロ魔xエリア88クロス[mie](2010/06/22 23:26)
[1] 第2話[mie](2010/06/01 22:11)
[2] 第3話[mie](2010/06/10 21:15)
[3] 第4話[mie](2010/06/07 22:39)
[5] 第5話[mie](2010/06/14 18:29)
[6] 第6話[mie](2010/06/23 01:25)
[7] 第7話[mie](2010/07/07 19:49)
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[19055] 第4話
Name: mie◆16737260 ID:65fd7c42 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/06/07 22:39
 それはあまりに突然だった。
 夕食を終え、皆各々寮に、宿舎に、研究室に戻っていく。本塔に残っているのは明日の仕込をするコック達や夕食の片づけをするメイドたち、そしてオスマンだけだ。
 月明かりの中食後の散歩と言うわけではないが歩いていると破裂音とともに宝物庫のあたりが爆ぜた。
 その直後空からオーク鬼の鳴き声が短く聞こえたかと思うと竜が咆哮とともに上昇していく。そして土煙が晴れたとき私はきっとすごい顔をしていたに違いない

「…なんてこったい」

 宝物庫に風穴が開いている。これじゃ中のお宝も無事ではないだろう

「私の獲物を掻っ攫うならともかく壊してくれるなんて!」

 私は駆け出そうとし、はたと思いつく
所蔵する宝物は宝物庫の固定化とは別に、それぞれもまた強固に固定化の呪文をかけている。それならばお宝は無事かも知れない。

「ふふっ、これで仕事がしやすくなったじゃないか」

 そして秘書の仮面をかぶり直し本塔へ急いだ。
 学院長室へ向かう途中にある宝物庫、本来厳重に施錠された分厚い扉がまるで紙のように破壊されている。

「何とまぁ、所詮メイジっていってもなんて竜の前じゃ無力なのかね」

 自分の魔力をもってしても壊せそうになかった扉がいともたやすく破壊されている。そんなことを思いつつ学院長室の扉を開けるとそこにはソファーに座ったセクハラジジィと後ろに控えるハゲに問題児で有名なチビ。そしてオスマンに向かい合うように座った見慣れない格好の額に大きな傷を持ち長い黒髪の平民と同じく後ろに控えた2人の平民。なぜここに平民が?いろいろ疑問はあるがそれはあとだ、まずは事の報告を。

「大変です、オールドオスマン。突如現れた竜に宝物庫が破壊されました!」

 私の報告にオスマンたち3人は見る見る顔色を失い、そして私は退室を命じられた。




「どうやら本当にここは異世界のようだな」

 迎えのヘリに乗り込む直前月明かりに空を見上げるとそこには二つの月。サキはため息を吐きつつ、ヘリのシートに着く。

「反政府軍との戦いのほうが楽かも知れんな」

 そう一人ごちるとヘリは基地へと向かった




 基地に戻るとミッキーたちが集めた情報が整理されていた。航空写真やレーダーチャートが並べられる。

「全く信じられないぜ、強いてあげるなら中世世界だ。大都市も工場地帯もない」

 確かに出来上がった写真を見てみるとビルや工場の類がが全くない。街道はどこも舗装なんてしてないし、都市らしいところは巨大な城塞都市のみ。あとは小さい集落ばかり、どれも現実味がない、その中にひときわ一枚気になる写真があった。

「ミッキーこの写真は?」

 それは山間部にあると言うのを除けばまるで港だった、木造船があたりに並んでいる。

「造船所じゃないか?何でそんな山間にあるのかは皆目見当もつかないけどな。あまり高度も落としてないし」

 何せろくに情報もない中一番に飛んだのだ。何があるのか分からない中うかつに高度は下げられない。

「そのあたりは明日こちらに来る現地協力者に聞けばいいさ、彼らが言うに我々の世界とは違うようだ。信じられんことに魔法使いがいる、その一人が我々を基地ごと呼んだんだそうだ」

 サキは先ほど学院で得た情報を簡単に説明した。

「しかし自分の目で見てきてなんだがこれ(偵察写真)を前にしても信じられんな…全くどこのファンタジーだ?魔法使いまでいるって?俺たちゃトールキンの世界にでも飛ばされたのか?」

 ミッキーとペアで飛んだケンは目で見た現実はどうあれ、魔法使いには信じられないと言う顔だ。

「なぁに我々のやることなんてどこに居ようがそう変わらんさ。とりあえずは明日の夜明けから本格的な調査だ。出来るだけ広範囲の詳細な航空地図の作成からだな。そして昼には件の魔法使いと対面できる、お前達、粗相の無いようにな」

 そう言うとサキはその場にいる者たちと笑いあう

「魔法使いのばぁさんなんて見たくもねぇや、目の毒だ」

グレッグはおとぎ話の魔法使いのイメージでそんなことを言う。

「それが信じられんが一人は小さな女の子だ、相当なはねっ返りだがな。もう一人は学者然とした冴えないやつだが」

サキのそんな言葉に皆目を丸くする。ここの連中にとっては魔法使いなんて禍々しい年寄りのイメージしかない。

「そんなわけで明日からは忙しくなるぞ、反政府軍はいないだろうが違う危険があると思われる。各中隊はメンバーを選出しておけ。ブリーフィングは明朝3時からだ」

その言葉に司令室に集まった連中はわらわらと部屋から出て行く。その姿を見ながらサキは電話を手にする。

「私だ。どうやらここでも商売が出来そうだぞ。詳しくはこちらに来てくれ」





 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの朝は遅い。
ただでさえ昨日はろくでもないことばかりだった、サモンサーヴァントで呼び出したのはよりにもよって平民ばかりの軍基地。しかもそこの平民どもはことごとく貴族に対する敬意というものがない。あまつさえ学院相手に脅迫まがいの交渉をしてきた。だが恐ろしいことにそれだけの実力を持っているようなのだ。
 そしてわたしもその平民の提案を受け入れてしまった。それだけでも屈辱なのに、昨日あのあとオールドオスマンから今回の召喚に関してまだ何も言うなと言われた。…私サモンサーヴァントは失敗してないのに。初めて成功した魔法なのに”ゼロ”じゃない証明になるのに…
 そんなことを悶々と考えているとなかなか寝付けなかった。そして明け方ようやくまどろみかけた頃、昨日聞いた轟音が轟いた。

「こんな騒音の中じゃ寝れる訳ないじゃない!!」
 ルイズはコモンマジックすらろくに使えない。だからサイレントで外音を遮断するなんてことも出来ない。そこにジェット機の騒音だ、たまったもんじゃない。
 この騒音は小一時間続き、ルイズは目が冴えてしまった。だから今日のルイズは普段より遥かに朝は早かった。人は徹夜とも言う。
 そしてそんなこんなで朝食の時間が近づき、いつものように一人で着替え、髪を梳き、身だしなみを整える。

「…ひどい顔」

 寝不足と精神的疲労で目の下には隈ができ生気もない。
 だが今日の昼には使い魔とはいえないかも知れないが、何かが手に入るはずだ。自身のプライドは正直傷つくが公爵家の人間が留年するという最悪事態は回避できる…きっと。
 微妙にマイナス志向のまま食堂へ向かうため自室のドアを開けると、今一番会いたくない奴があまりにいいタイミングで現れた。

「…キュルケ」

「おはようルイズ」

意地悪そうな笑顔を浮かべたこの背も高く、スタイルのいい褐色赤毛娘はルイズの顔を見ると急に心配そうな顔をする。

「どうしたのルイズ、ひどい顔よ?ひょっとして昨日の召喚の儀、使い魔を呼べないいまま中止になってしまったせい?でもあんな竜の群れのいる山が出てきたんだもの。あなたじゃ集中できなくなるからしょうがないわよ」

キュルケは心配してるのか遠まわしに皮肉を言ってるのかよく分からない慰めをくれた。

(あー、コルベール先生以外みんな帰ったしね。そう思うのもしょうがないかも。)

そうルイズが心で思っているとき、キュルケの後ろから大きく真っ赤なトカゲが現れた。

「サラマンダーね」

何か心ここにあらずと言う体ででルイズはサラマンダーに近づく。

「そ、いいでしょう、名前はフレイム。この子きっと火竜山脈のサラマンダーよ。ブランド物よー」

 キュルケは思いっきり自慢げにいう。

「いいなぁ~わたしはここまでじゃなくてもいいから普通の使い魔がよかったなぁ~」

 そう言いながらフレイムを撫で回すルイズ。そのルイズの言葉にキュルケは目を白黒させ、

「ちょっと何その反応は、いつもみたいに悔しがらないの?」  

「悔しいけど、わたし今それどころじゃないし。今日のお昼からのことを考えると憂鬱だったり…いろいろ考えることが多いのよ」

 どんよりとした声でつぶやくルイズ。

「昨日は練習だと思って、今日成功させればいいじゃない。さぁ、ご飯にいきましょう」

 こんなに落ち込んでるルイズをからかうなんて、いくらキュルケでもしない。ルイズの纏った暗い雰囲気を飛ばすような明るい声で、この悪友を連れ食堂に向かった。 




 食堂に着くと食事に入る前にオスマンから全生徒に対し、昨日突如現れた山には決して近寄らないようにとの訓示があり、その後いつもと変わらない朝食が始まった。
 この食堂の何階か上にある惨状は件の山の中腹にすんでる竜の群れによる破壊と説明され、努々近づかないようにと皆は念を押された。

 午前の授業。ルイズは目だないように、昨日の件を莫迦にされても怒らず、おとなしく昼までの時間をすごした。




 そして午前の授業が終わり、ルイズたち生徒が食堂に向かおうとしたそのとき、教室の扉が突然開いた。 

「ミス・ヴァリエール、時間ですよ。さぁまいりましょう!」

 そこに居たのは肩から膨らんだ鞄をかけ、瞳を輝かせた怪しいハゲがいた。

「ミスタコルベール、せめて午後の始業からでもいいと思うのですが」

 ルイズは自分と真反対のテンションのコルベールにやんわりと提案する。どう見ても補習の監督のテンションではない。

「いえ、ミス・ヴァリエール、整列は前に、休暇はあとに。と言う格言もあります。早くに用意して損はありません。さぁ、まいりましょう」

 そう言うとルイズを引きずるように去ってゆくコルベール。あとは残された生徒達が何事もなかったかのように食堂へ向かってゆく。
 ただ一人の女生徒を除いて。
 
 
 

 学園から少し離れたところに森がある。森と言っても全てが木々に覆われてるわけではなく、所々は木のない開けたところもある。そんなところにルイズたちは居た。

 「・・・そろそろですね。」

 昨日から何度か聞いた音がしてきた。その音を聞いてコルベールは魔法で目印となる煙を作り始める。それから数分と待たずにその音の主、ヘリコプターがダウンウオッシュを巻き上げながら降りてくる。

「早く乗ってください」

 ヘリのクルーの声に促され乗り込む二人。乗り込むのを確認するとドアが閉じられ、エンジンがうなりだす。

「離陸します」

 機長の声とともにふわりと浮き上がるヘリ、コルベールは昨日よりはこれに関しては落ち着いているせいかしきりに顔が外の景色と機内を行ったりきたりしている。はたで見ていると落ち着きのないことこの上ない。ルイズはというとやはり反対で、下ばかり向いて使い魔がどうとか平民がどうとかぶつぶつ言っている。
 そんな後席にいる二人の感情などお構いなしにヘリはエリア88に向かっていく。


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