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No.19055の一覧
[0] 【習作】 ルイズは地獄の一丁目を呼び出したようです ゼロ魔xエリア88クロス[mie](2010/06/22 23:26)
[1] 第2話[mie](2010/06/01 22:11)
[2] 第3話[mie](2010/06/10 21:15)
[3] 第4話[mie](2010/06/07 22:39)
[5] 第5話[mie](2010/06/14 18:29)
[6] 第6話[mie](2010/06/23 01:25)
[7] 第7話[mie](2010/07/07 19:49)
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[19055] 第3話
Name: mie◆16737260 ID:65fd7c42 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/06/10 21:15
side コルベール


 私達はサキ司令について通路を歩いてゆく。そして何度目かの扉を抜けるとそこは私達が入ってきた広い道に出た。するとそこは耳をつんざく轟音とその音とともに飛び出す竜ではない竜のようなもの。そして我々が乗せてもらえるらしい先ほど飛んでいった竜とは明らかに違うモノ。促されそれに乗り込む。うなりを上げる機体、徐々に回転しだす頭上の風車。
「こ…これが本当に飛ぶのですか?」
 私はいまだ信じられず向かいに座るサキ司令に聞く。
「何を言っている?これが飛ばなければ君たちの学園とやらにどう向かうんだ」
 彼は何をいまさら、という風に軽く笑っている。
「これもマジックアイテム、風石を使い飛ぶ、などではないんですか?」
 私はこちらの常識からの疑問を発する。
「先ほども言ったろう、我々の世界には魔法などという便利なものはない。後どんなモノ知らないがたかが石が飛ぶ訳なかろう?今乗っているのはヘリコプター、燃料を使いエンジンを回し、空を飛ぶ機械だ。」
 彼は耳飾りのような物をつけつつ答える。
「離陸します」
 御者がそういうとこの乗り物は本当に浮き上がった。
 果たしてこのヘリコプターなる乗り物はふわりと浮き上がり、あっという間にこの穴の出口を飛び出していった。
「と…飛んでる」
 この鉄で出来た機械はさも当たり前に、学園上空をゆっくり旋回し始める。この世界のフネでは推進に風を使うためここまで器用な動きは出来ない、そもそもこのサイズだとせいぜいが脱出艇程度の大きさで、たいてい操縦はおろかゆっくり降りることが出来る程度のものだ。
 私は夕暮れがかった空を魔法でもなく、竜や竜籠でもない違う世界から来た人々の機械に乗り空を舞っている。
「…んだ?」
 私は感慨深く空を見ているとサキ司令の声が聞こえてきた。
「どのあたりに着陸すればいいんだ?」
「…あぁ、それでしたらあの五つの塔の真ん中、あそこに学院長室があります。あの付近に下ろしていただければ」
竜なら私の言ったところへ着陸するのはたやすいだろう、だがいくら異世界の機械とはいえこんなものにそんな器用なことが出来るとは思えない。きっと私は試してみたく、確かめたいのだ。彼らの技術、技能を。あの施設でも散々見たがひとたび外へ出るとやはりどこか信じられない自分がいる。そこでこんなことを言ったみた。もしも出来たら私は…





 午後過ぎに現れたあの山のせいで学院はてんやわんやだ。やれ天変地異だ、やれ始祖の何たらだ、と非常にやかましい。この大陸はこんなことが起こっても不思議もなかろうに。そうでも考えなければあの浮遊大陸なんぞどう説明するんじゃ。で、今は臨時の職員会議。いい大人がそろいもそろって無駄に時間だけが過ぎてゆく。もう夕暮れ時だというのに何の進展もない。
 当初、職員は全員集められ、臨時の探索隊を編成しようとしているときに、中腹あたりから禍々しい咆哮とともに竜が飛び出したた時点でみな腰が引けてしまった。そして今に至る。
「全くどいつもこいつも…こういう不測の事態には全く役に立たん。」
 あきれるオスマン。彼はこの学院の校長だ。彼に言わせればすべてのことは些事である。もちろん今回の騒ぎにおいてもだ。それでも頭の痛くなるだろうことが増えることは間違いない。どちらにしてもこう事が大きいと間違いなく王宮の方から使者が来る。その後に調査団も来るだろう。そいつらをどう誤魔化し、のらりくらりとかわすかだがまぁ、それも良い。まだ時間もある。
 それよりも今一番の問題は学院の井戸が涸れた。この学院を預かる身としてはこちらのほうが問題の優先順位としては大きい。職員である水と土系統の教師に言わせれば、学院付近の水脈が移動したらしい。これに関してはどうやらあの山が原因みたいだが山を人間ごときでどうこうできるわけでもない。まぁ、このあたりも明日から職員にがんばってもらおう。
 そんなことをつらつら考えていると、ぞろぞろと今まで会議をしていた職員達が動き出す。
「おぬし達、結論は出たのかの?」
「はいオールドオスマン、このまま議論をしたところで決着がつきません。そこでそろそろ夕食なので結論は明日以降に、ということに決まりました。」
 職員代表として中年の女教師が言う。
「…結局議論したていにして先送りかい」
 オスマンは小さく呟くとぞろぞろと出てゆく職員達を見送る。その中に自分の秘書も含まれていた。
「ミス・ロングビル、おぬしもか…」
 オスマンは心で泣いた。

「さて、これからどうなることやら…」
 誰もいなくなった学院長室で一人ごちる。そもそも今日は2年生の使い魔召喚の儀があの山のある辺りであったはずだ。生徒のほとんどは昼前には戻ってきたのに、ただ2人コルベールとヴァリエールの末娘がいまだに帰ってこん。嘆かわしいことに学院教師からも変わり者扱いされている2人なので、いまだに帰ってこないのに誰も気にかけていなかった。コルベールはまぁいい、あやつは鉄砲玉のようなやつだ。授業中でも何かひらめくとすぐ自習にして自分の工房に引きこもる。だがヴァリエールの末娘が心配だ。彼女は実技はあれだが座学、その他はトップクラスで外面は品行方正を絵に書いたような人物らしい。そんな彼女までもが戻ってこないとは何かあったと見るべきか。
 そんなことをもうすでに誰もいない、本塔の一番最上階で思っていると明らかに異質な轟音が間近にやってきた。
 いったい何かと思わず窓のほうへ向かうと異質な物体が本塔の真横に着陸し、人を吐き出すとすぐさま飛び立っていく。
「何じゃ、あれは…」
オールドオスマン、齢百とも百五十とも言われる人物にして初めて見る異形の物体だった。




 ヘリは何の問題もなく中央本塔の横に着陸し、少しだけ懸念された野次馬も無く関係者は降り立った。ヘリから降りた後、約束通りに二人には杖が返される。だが二人ともそれを使おうとはしない。その間にヘリはまた、もと居た基地にいったん帰投するべく飛び立った。そして空を見上げるとヘリの前に飛び立った飛行機が音も無く上空をゆっくりと旋回している。
「さぁ、それでは学院長のところへ案内したまえ」
 サキはコルベールを促し先導させる、コルベールは言われるがままサキたちを案内してゆく。こうなると面白くないのはルイズだ。
「ちょっと平民、あんたたち先に行って、公爵令嬢たる私に何か言うことはないの?」
「は…公爵令嬢ときましたか。それならばもう少し堂々たる態度とそれに見合った振る舞いをなささるが良いでしょう」
サキはそうそっけなく言うとコルベールについて学院長室へ向かう。
「たかが平民の分際でここまでーーー」
そう叫ぶなり杖を向けようとする刹那、
「ミス・ヴァリエール、あなたは当事者なんですからさっさと着いて来なさい」
「…はい」
コルベールにぴしゃりと言われ振り上げた杖を下ろすしかないのであった。




 学院長室は中央塔の最上階にあり、5人はその扉をくぐると老人が一人水パイプをくゆらせていた。コルベールは早速今までのいきさつを説明する。その言葉を胡散臭げに聴くオスマン、だが何とか理解した風にうなずきサキたちのほうを向いた。
「にわかには信じられんが、今飛んできたヘリコプターといい、君達の見たことも無い服装といいどうやら本当のことのようじゃの。ようこそ異国の人。わしがこのトリステイン学院の院長、オスマンじゃ。オールドオスマンと呼ばれておる」
「アスラン王国空軍エリア88司令、サキ・ヴァシュタール中佐だ」
 お互いわずかな緊張の中、名乗りあう。
「わしも長く生きているがアスラン王国なんて国は聞いた事がないのぉ」
「それはこちらも同じだ」
「にわかには信じられんのぉ、見ればおぬし達は平民の様じゃがその様な者が貴族たるメイジになに用かの?」
 オスマンはあまり身分を気にする人間ではないが、今回ヴァリエールの娘の進級もかかっているのでこう言ってみる。
「何、簡単なことだ。われわれを即刻もとの世界に帰してもらいたい」
「それは無理というものじゃ、本来サモンサーヴァントは使い魔を召喚すればそれで目的は達成される。よって送り返す魔法など研究されてないし、これからもされんじゃろう。何、ここもそんなに悪くないところじゃよ。そのついでに君でもミス・ヴァリエールの使い魔になれば彼女も安泰、わしらも安泰じゃ」
 オスマンは飄々とした口調で言う。
「ふざけるな、そんな理屈が通るわけ無かろう!…ミスタ・オスマン、ここに来るとき気付いたがこの下の階は何かの倉庫なのかね?」
 怒気を強めたかと思うとサキは薄く笑いながら問う。
「いかにもこの下はわが学院の宝物庫じゃが、魔法で厳重に強化しておる。平民風情の武器なんぞ束になったところでビクともせんよ。脅迫するならまだわしを人質にしたほうが頭が良いと思うがの?」」
「何をしようとしてるか分かんないけど平民の癖に悪あがきはやめるのね。わたしとしても不本意だけど使い魔にしてやるわ」
 勝ち誇ったようにルイズがオスマンの台詞に乗っかる。そんな彼らを視界に入れつつ、サキはヘッドセットを通じて、上空にいるグレッグたちに指示を出し始めた。
”射撃目標。中央の塔、先端から10メートルほど下。上下に散らすなよ、私にも被害が及ぶ”
”かかかっ、殺しても死にそうにねぇ奴が吹いてんじゃねぇよ!ちびんじゃねぇぞ。行くぜ!”
 上空3000メートルで旋回待機していたグレッグはそう答えると、機体をダイブさせる。
「ミスタ・オスマン。確かに我々は魔法などというものは使えない、だからその魔法とやらで我々を元の世界に帰して頂けるようお願いしてるのだ」
 なにやら急に独り言を言い出したかと思うとやおらこちらを向き静かに語るサキ。その行動に学院側の3人が首をひねろうとしたとき。 

 嵐が起こった。

 突如塔に爆音が響いたかと思うと、学院長室の窓ガラスが衝撃で全て割れ、その後に空から短く牛のような、オーク鬼のような声、それに重なるように竜の鳴き声が轟いて行った。 
 オスマンたちがその衝撃に呆然としていると、ノックをするのもそこそこにロングビルが息せき切って報告する。
「大変です、オールドオスマン。突如現れた竜に宝物庫が破壊されました!」
 その言葉を聞いて顔を青ざめさせるオスマン達。そもそも宝物庫の壁は確かに厳重に固定化や硬化の魔法もかかり、普通の武器なら歯が立たない。そう、ハルケギニアの武器なら。今放たれたのは戦車をも屠るために作られた30ミリバルカン砲。そんなものにかかっては強化されたところで土壁は所詮土壁なのだ。
「あなた達がお望みならここの施設、2秒で更地にしてみるが?」
 サキは先ほどと変わらない口調でなんでもない事のように言う。オスマンはソファーに腰掛け深くため息をついた。
「…何が望みじゃ」
「元の世界への速やかなる帰還を。使い魔などというものには私も、部下達もさせるわけにはいかない。」
「帰還する方法じゃが今すぐにとはいかん、早急に研究し完成させるからそれまで待ってくれ」
 オスマンはそうとしか答えられない、実際どれだけ時間がかかるのか皆目見当がつかない。
「それでいいだろう。それならば我々がここにとどまっている間の安全も。」
「おぬし達ならそんなもの自分達で何とかできるだろうに?」
 不思議そうに尋ねる。
「いきなり後ろから撃たれたらたまらんのでね、少なくとも我々からはそちらに攻め込む気は無い。だからそちらもそうして欲しい」
 単騎でもこれだけの威力の兵器を持ちながらも、攻める気は無いというのはトリステインの貴族の感覚では信じがたいが、彼らは異邦人なのだ。しかも早急に帰りたがっている。それなら何の問題もない、こちらが仕掛けなければいいだけだ。
「君達の安全は始祖ブリミルとこのわしの名にかけて保証しよう」
 オスマンがそういうと横からコルベールが割り込んできた。
「ちょっと待ってください、これじゃあ、あまりに一方的ではないですか」  
 コルベールのあまりに空気の読めない行動にオスマンは頭を抱える。今彼らの機嫌を損ねると、本当に数秒のうちに学院が消えてなくなるだろう。貴族の子女と職員あわせて数百人をあずかる身としては、この程度の譲歩は譲歩のうちには入らない。実際彼らはもっととんでもないことをも学院、ひいてはトリステインの国から引き出せるだけの武力がきっとある。
 オスマンが頭を抱えてる横で、その言葉を聞いていたサキは愉快そうに尋ねる。
「ギヴアンドテイクという奴だな、よろしい。君は我々に何を望む?」
「あなた達の知恵を、技術を私にご教授いただきたい」
 コルベールは瞳を輝かせ答える。
「面白いことを言う。よかろう、君の望むものすべては無理だろうが出来る限りのことはしよう、こちらも短い間だろうがこちらのことを知らなければならない。オブザーバーとしても歓迎しよう」
 サキは愉快そうにそう答えると今にも踊りださんとするコルベールからルイズへ視線を向けた。
「ミス・ヴァリエール、元はといえば君が我々をこんなところに呼び出したんだ。私にできる範囲で何か望みはあるかね?無論代価は求めるが。」
 いまだに信じられないが彼女が、基地をこの世界に呼んだのは間違いないようだ。こんな理不尽な目に合わされているのに彼女に施しをあたえる気は無い。だが今の彼女の表情を見ていると何かしてやろうという気になった。
「わたしに、つ、使い魔を…」
 ルイズはまさか自分にそんな話を振られるとは思ってなかったので、思わず反射的にそう答える。その答えにサキは苦笑いをしつつ、
「ふむ…ミスタコルベール、使い魔とはどういうものがあるのかね?」 
「いえ、特には。一般的にはそのものの持つ魔法属性に合ったものが召喚されます。一般的には動物、幻獣の類ですが、ごくまれにその範疇から外れたものを召喚するものもいると聞きます。」
 コルベールは一般的な使い魔の説明を改めてする。
 サキとしては自分を含む基地のスタッフを使い魔なんてものされるわけにはいかない、だが今の説明を聞くとどうやらモノでもいいのかもしれない。
「それはモノでも問題はないのかね?」
「ごくまれに人形のようなものを召喚する者もいるらしいので問題はないかと」
「それならば何か基地にあるもので気に入ったものがあればお譲りしよう。無論代価はもらうが」
 サキのその言葉はルイズにとってもいい話のはずだが、
「あんた達の言うモノがどんなものか分からないから、まずは見せて頂戴。話はそれからよ」
 何せとてつもない攻撃力の空飛ぶ兵器がある今の出来事でも分かった。平民にも扱えるものらしいから貴族の自分なら簡単に扱えるだろう、とは言うものの果たしてそれが使い魔といえるのだろうか?っていうかそれじゃ進級できないじゃない!ルイズは複雑な顔をしながら思う。
「気に入るものがあるかどうかは分からんが、もし気に入ったものがあれば君の使い魔とやらの問題もカタはつく。進級も問題なかろう?」
 そう言いながらオスマン達に顔を向ける。オスマンは髭をなでつつ、コルベールは少し難しい顔をしているが、
「なぁに、我々が黙っていれば何の問題もない。逆にミス・ヴァリエール、考え方によったら使い魔を自分で選べるんじゃからラッキーじゃぞ」
 飄々と言うオスマン、彼らにとっても渡りに舟な提案だ。…ルイズがごねさえしなければ。
「とりあえずそれでいいわ」
 不承不承といった顔でルイズは答える。
「それでは今日は遅い。明日の昼にでも迎えをよこすから基地に来てくれたまえ、それでは私たちは戻らせてもらう」
 そういうとサキたちは席を立つ。階下に降りたころには迎えのヘリが来る手はずだ。
「それではミス・ヴァリエール、コルベール君、明日基地で会おう」
 そしてサキ達が学院長室から退出し、しばらくしたころに彼らが来たときと同じヘリの轟音がとどろき、夜の闇に消えていった。



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