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No.19055の一覧
[0] 【習作】 ルイズは地獄の一丁目を呼び出したようです ゼロ魔xエリア88クロス[mie](2010/06/22 23:26)
[1] 第2話[mie](2010/06/01 22:11)
[2] 第3話[mie](2010/06/10 21:15)
[3] 第4話[mie](2010/06/07 22:39)
[5] 第5話[mie](2010/06/14 18:29)
[6] 第6話[mie](2010/06/23 01:25)
[7] 第7話[mie](2010/07/07 19:49)
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[19055] 第2話
Name: mie◆16737260 ID:65fd7c42 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/06/01 22:11
第2話


「おとなしくその棒を捨てて両手を挙げろ」
 衛兵だろうか?数名の兵士たちは鎧もまとわず剣も持ってない。だが銃?なんだろうか、奇妙なものをこちらに構えてる。ハルケギニアにある銃は指が突っ込めるほどの大きな銃口と横にフリント、もしくは火縄のついたハンマーがあるはずだ。それらがことごとく無い。仮に杖だろうが銃だろうが人一人を担いで300メイル近く飛んだその直後に、この人数を相手にするのは、自分だけならまだしもルイズを守りながらとなると正直厳しい。そこでコルベールは杖を捨て両手を挙げる。
「あ、あんた達平民のくせに貴族に命令するつもり?」
 そんなことはお構いなしに腰に挿しているタクト状の杖を抜こうとするが、コルベールに止められる。
「ミスヴァリエール、ここはおとなしく従ったほうがいい」
「で、でもコルベール先生、こんな平民の言うことなんて…」
 ルイズは憮然として表情でコルベールに言う。
「ここはきっと彼らの町なんだろう、そうなると侵入者は私達だ。しかも私達とは少々毛色が違うようだ。おとなしくしていたら危害は加えられないと思う。」
 そう言いながら杖を放すコルベール、貴族にとっては屈辱であり軍人ならば武装解除と同義だ。
「さぁ、ミスヴァリエールも」
「…わかりました」
 コルベールが杖を捨てた時点でルイズにはこの選択肢しかない。一人の少女が武装?している男数人に立ち回るなんてことができるわけがない。
 そして衛兵に連れられて後部が観音開きになった馬車?のようなものに乗せられる二人。衛兵がしっかり両端に座っている。(何せ航空基地はかなり広いので自動車なしでは非常につらい。)そして全員が乗り込んだ後車は発進した。
(この馬車のようなものは何だ?周りを鉄板で囲ってるし何よりこの音と振動、マジックアイテム?でもこんなものはアカデミーでも開発しているなんて聞いてないし)
 コルベールは向かいに座る憮然とした表情のままのルイズを気にすることなく少年のような目をきらきら輝かせだした。
鉄のような硬い材質に馬車だ。きっと想像以上に乗り語地は悪いかも。と思ったらその馬車もどきは想像以上によい乗り心地で動き出した。
 少し車で移動した後、二人は馬車もどきから降ろされたかと思うと殺風景な部屋に通される。
「しばらくここで待つように」
 そう言うとその兵士は入口の扉まで下がる。
 ほんっっとに何なのよ?こいつら。貴族に対する礼が全くなってない、ルイズの怒りゲージはどんどん上がってゆく。だがそんなことを知ってか知らずか、コルベールが口を開いた。
「ミスヴァリエール、すごいと思いませんか?」
「何がですか?ここの衛兵の無礼さとか?全く、マントを見れば貴族って一目で分かるのにあの態度って、少なくとも鞭打ちものです!」
「いいえ違います。ここの施設ですよ。」
 ルイズはきょとんとした顔をして、改めてここへ来てからの数分を思い出す。
「そうですね、あの広い道と馬がいないのに動く馬車もどき、そして殺風景な部屋!美的センスなんてあったもんじゃない」
 コルベールはルイズの不満と感心がない交ぜになった答えにニコニコと笑い、話し出す。
「そう、まずあの広い道、何のためにあるのかさっぱり分かりませんが、決して石を組んだものでも砂や土を敷き詰めたものでもない。そして馬車もどきですが鉄でできた箱にハルケギニアでは見たことも無い幅の太い黒い車輪をつけていました。この部屋も窓が無いのに我々の使うランプよりはるかに明るい。すばらしい!彼らは我々には無い未知の魔法、もしくは技術を持っている。」
 その後もコルベールはあーだこーだと自分の考察なんかを熱っぽく語りだし、いい加減ルイズが辟易としたころ、そこに助け舟というわけではないが突然ドアが開いた。



「待たせたな。私はサキ・ヴァシュタール、この施設の責任者だ。」
 そこには漆黒の髪を腰まで伸ばし、黒メガネをかけているせいで瞳が見えにくい、額に大きな傷を持った男がやってきた。
「トリステイン王立魔法学院、教師をしておりますジャン・コルベールです」
 コルベールは先ほどのハイテンションをどこかにすっ飛ばしたかのように落ち着いた声音で自己紹介をする。
「ルイズ・フランソワーズ・ヴァリエール学院の生徒よ。それよりもどういうこと?ここの衛兵の態度!あなたも平民のくせにそう、貴族に対する礼儀ってものを知らないようね。謝罪もなければお茶の一杯も出さないなんて!」
 召喚の儀式からここにいたるまでの訳の分からない、しかも彼女にとっては竜を召喚したと思ったら(そう、彼女にとっては既に山が出てきたことなんてほんの些事なのだ)使い魔なんてなれそうもないあまりに不躾な平民どもの集落らしきもの、ときたもんだ。彼女は落胆し、同時に怒りもふつふつと湧き上がる。
「威勢のいいお嬢さんだ。君がパイロットだったらここにスカウトしたいぐらいだ。だが今彼と話がしたい。すまないが君は黙っていてくれないか?その代わりといっては何か飲み物くらいはお出ししよう」
 サキは室内に備えられている電話で飲み物を持ってくるよう指示を出す。そして電話を切ると視線をコルベールに向け、
「さて、どうやら君はこの異常事態のいきさつをご存知のようだが説明をしてもらえないか?」
 有無を言わせぬ口調で尋ねだす。



 コルベールによるとハルケギニア大陸にあるトリステイン魔法学院の春の進級行事である使い魔召喚の儀を学園の少し離れた草原でしていたそうだ。使い魔とは主人と契約するとお互いのどちらかが死ぬまで契約は解除されないという。このとき、召喚し使い魔にすることが出来なければ進級できないというルールになっている。普通ならこちらの世界の動物、幻獣、その他が召喚ゲートをくぐってやってくるのだが、今回は違ったらしい。隣にいるルイズの魔法によって彼らの住む山が丸ごと召喚されたと言うのだ。
「我々の世界ではトリスタニア大陸もトリステイン王国も寡聞に聞いたことがないのだが、また魔法などという便利なものもない」
「それは私どもも同じです、アスラン王国なんて国も見たことも聞いたこともありません」
 普通なら一笑にふす与太話だが、悲しいことに彼らの目はそれを真実だといっている。
「よしんば百歩譲ってそれが事実としよう、だが我々にはこちらの学生が進級しようが落第しようが全く関係ない。我々はアスラン王国空軍の軍人だ。誰一人として君たちの言う使い魔などという奴隷のような境遇に私の部下をさせる訳にはいかない。そしてそもそもの原因が君たちにあるのなら、君たちの責任において我々を元のアスランに返していただこう」
 サキは静かに、だが有無を言わさぬ迫力で言う。
「…それはできないわ。」
その言葉に気圧されながらも、ルイズはかろうじてこの科白を言う。
「どういうことだ?呼ぶことができるのなら帰すこともできなければおかしいではないか?先ほども言ったが、子供の遊びに付き合う暇も時間もない」
「それはできないの。使い魔は召喚されたら主人の忠実な僕となり命を共にするものだから。返す魔法なんてないのよ!」
 子供の遊びといわれカチンときたルイズは語気を荒げて答える。
「それならば早急にその魔法とやらを研究でもして、一日でも早く我々の故国へ返していただこう」
 子供との問答は終わりだとばかりにコルベールに視線を向ける。
「それは私からはなんとも…」
 歯切れの悪いコルベールの返事。それはそうだ、仮に魔法学園の教師陣やアカデミーを総動員してもそれが可能かどうか分からない、ひょっとしたら明日完成するかもしれないし、何年もかかるかもしれないのだ。
 その返事を聞いてサキは意地の悪い笑顔を作り言い放つ。
「ああ、君は一教師だったね。それではそちらの責任者と協議させてもらうとしようか」
 そこに電話がかかってきた。
「私だ。どうかしたか?」
「ミッキーからの連絡です。周辺に対空脅威なしとのことです。」
 司令室のオペレータが答える。
「分かった。引き続き付近哨戒を続けるよう指示を。それから今からヘリを用意しろ。それとグレッグの小隊を出撃させる。」
 オペレーターの指示確認の声を聞き受話器を置く。


 
「コルベール先生…私どうなっちゃうの?」
 ルイズは今のやり取りで不安になってきたようだ。何せ杖のない貴族は平民と変わらない、しかもどうやらここは〝貴族である”ということが全く役に立たないのだ。
「安心してください、ミス。幸い彼は話が通じるようですし、いまさらどうこうしようとするなら最初からしてるでしょう。もし何かあってもあなたは私の生徒だ。あなただけは守って見せます。」
 静かに、しかしはっきりとコルベールは言う。
「いえ、それは当然ですが私の進級は?」
 そのルイズの科白に腰が砕けそうになったコルベールであった。
「…まぁ、校長とも話してみます」
「それでは学院とやらにへ向かおうか、君達もお送りしよう。さ、こちらへ」
 その言葉に促されサキを先頭について行く二人。その後ろには二人の兵士がつかず離れずついてくる。そして通路をしばらく歩き、何度目かのドアを開けると耳をつんざく轟音が聞こえてくる。
 ルイズたちの目の前にいるのは1台の鉄の箱。先ほど乗せられた馬車もどきより大きく頭の上に風車が回っている、そして箱から後ろへ向けて尾びれのようなモノが伸び、その先にも風車。その箱部分の扉が開き、ずいぶん質素な椅子が設えている。
「まさかこれに乗れっていうの?何あのでっかい風車、こんなので空を飛べるわけないじゃない。コルベール先生、もう一度私と飛んでもらえませんか?」
「ミス、そうしたいのは山々なんだが私は杖を預けていてね。学院に戻るまで返してもらえないんだ。だからしょうがないのでこれに乗せてもらうしかない。」
 そんな問答を爆音の中二人がしていると後方から山の下から聞いた轟音が聞こえてきた。それは魚のような胴体に鳥の羽をつけたような巨大な物体で、羽ばたくわけでもなく二人の横を猛スピードで通り過ぎていく。すると彼女たちの入ってきた入り口から出て行く。
それを唖然とした顔で二人が見送るとまた後ろから1機、また1機と合計3機の鉄の竜が空へ飛んでいった。
「も、もしかしてさっきの竜も…」
「ええ。きっと彼らの乗り物でしょう。そうとわかればこの乗り物も大丈夫でしょう、学園に送ってもらいましょうか。」
 そしてヘリに乗り込む二人。ルイズはその轟音とシートのあまりの窮屈さに顔をゆがめるが、コルベールの目は爛々と先ほどよりも輝き、やもすれば危ないおっさんになっている。
 そしてサキは護衛を伴い乗り込むと、機長が離陸を宣言し、ヘリは学園に向かい飛行を始めた。




6/1 少しだけ改訂


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